説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 集合住宅の各住戸に設置された住戸親機を大きく変更することなく低コストで病院等の診察予約や受け付けを実施することを可能とする。
【解決手段】 集合住宅の制御装置3を集合住宅居住者の患者を管理する集合住宅患者管理サーバ4と接続し、この集合住宅患者管理サーバ4を病院において患者の受け付けを管理するた受付管理サーバ5と接続した。住戸親機2は、診察予約する予約操作部25を備えて、入力された予約内容に患者IDを加えた診察予約信号を生成して集合住宅患者管理サーバ4に送信する。集合住宅患者管理サーバ4は患者IDを認証したら受付管理サーバ5に診察予約信号を送信し、受付管理サーバ5は診察予約信号を受けたら診察待ち人数情報から診察待ち時間を演算し、待ち時間情報を添付した受付完了通知を返信する。住戸親機2のモニタ21には、受信した待ち時間が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に集合住宅の各住戸に設置された住戸親機から病院の診察受け付けを行うことができる集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅インターホンシステムは、来訪者がエントランスに設置された集合玄関機から呼び出したい居室番号をキー入力して呼び出し、呼び出された居住者は住戸親機にて集合玄関機に設けられたカメラ映像をモニタに表示させて来訪者の顔映像を見ながら通話できるものが広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
このような集合住宅インターホンシステムでは、エントランスに設けたオートドアの電気錠を住戸親機から操作可能とし、不審者の侵入を防ぐ機能を備えたりしている。
【0003】
しかしながら、インターホンシステムの使用頻度は来訪者があった時のみで、殆どの時間は使用することがないため、来訪者との通話に使用するだけでなく他の機能を加えて有効利用を図るための技術が提案されている。特に、住戸親機に設けられた来訪者を表示するためのモニタは、タッチパネルと組み合わせることで様々な用途が考えられ、例えば特許文献2では、回覧板を住戸親機のモニタに表示させることで、いちいち回覧板を持って行く手間を省いている。
【0004】
一方で、インターネットを利用して集合住宅の各住戸に情報端末を設置して、病院の予約や様々な施設のサービスを受けることを可能とするサービス提供システムが提案されている。例えば、特許文献3では、個々の住戸内にLCD表示部や通話機能を備えた情報端末を設け、これら情報端末を集合住宅内サーバを介して病院等の施設内ネットワークに接続することで、 病院の予約や施設の予約、更にはメールや地域情報の入手を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−133646号公報
【特許文献2】特開2001−258015号公報
【特許文献3】特開2002−15069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献3に開示されたサービス提供システムは、病院の予約をすることが可能であるが、パーソナルコンピュータと同等の機能を備えた情報端末が必要であり、住戸内に設置されるインターホン機器である住戸親機の機能を遥かに上回る機能を必要としている。そのため、結果として住戸親機の機能を具備させることで別途住戸親機を設ける必要はなくなるが、住戸親機に比べて大幅なコスト高となる。
また、病院の予約に際して、診察の待ち時間の算出が実際に待合室で待っている患者の人数を加味して算出しないため、精度が十分ではなかった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、集合住宅の各住戸に設置された住戸親機を大きく変更することなく低コストで病院等の診察予約や受け付けを実施することが可能であり、更に診察待ち時間を住戸親機で確認することができる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、エントランスに設置されて来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、各住戸内に設置されてカメラの撮像映像を表示するモニタ、及び集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、集合玄関機と住戸親機の間の通信を制御するための制御装置と、を有する集合住宅インターホンシステムであって、制御装置は、LAN等の通信ネットワークを介して集合住宅に居住する患者のID情報及び予約内容を管理する集合住宅患者管理サーバと通信を行うと共に、病院に設置されて診察待ち人数等の診察の受け付け情報を管理する受付管理サーバと通信を実施し、住戸親機は、居住者の患者IDを記憶する親機患者情報記憶部と、診察日時や診療科目等を選択して診察予約するための予約操作部と、診察予約内容等の各種情報をモニタに表示し、入力された診察予約に患者ID情報を加えた診察予約信号を制御装置を介して集合住宅患者管理サーバに送信する親機CPUとを有すると共に、集合住宅患者管理サーバは、集合住宅に居住する患者の患者IDを記憶する集合住宅患者情報記憶部と、受信した診察予約信号に添付されている患者IDが集合住宅患者情報記憶部に登録されているか判定するID判定部と、IDが登録されている患者であると判定したら通信ネットワークを介して受付管理サーバに診察予約信号を送信する集合住宅患者管理サーバCPUとを有し、更に受付管理サーバは、診察予約信号を受けて、管理している診察待ち人数情報から診察待ち時間を算出し、制御装置を介して住戸親機に待ち時間情報を返信してモニタに表示させる受付管理サーバCPUを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、住戸親機から病院の診察予約ができる。そして、診察待ち時間が計算されて住戸親機で表示されるので、集合住宅の居住者である患者は、病院へ行ってからの待ち時間を把握することが可能となる。
また、診察予約内容等の各種情報は元々来訪者を表示するためのモニタを使用して表示するし、住戸親機には親機患者情報記憶部や予約操作部を新たに設ける程度で済むのでコストアップは僅かで済む。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、受付管理サーバは、当日診察に来た患者の受け付けを行う受付機が接続されて、当日の診察待ち患者人数を管理し、受付管理サーバCPUは病院での診察待ち患者人数を加味した待ち時間を演算して住戸親機に送信することを特徴とする。
この構成によれば、病院での診察待ち患者数を加味して待ち時間を演算するので精度の高い待ち時間を通知することができ、集合住宅に居る患者は安心して待つことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の構成において、集合住宅居住者の患者IDは、住戸ID情報を含んで作成され、患者IDから住戸親機を特定できることを特徴とする。
この構成によれば、集合住宅に居住する患者に対しては住戸ID情報が関連付けられているので、患者を住戸毎に管理できる。そのため、同一住戸の患者の診察予約を一括して住戸親機に容易に表示でき、同居人である家族は状況を把握し易い。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、親機CPUは、予約操作部から翌日以降の予約操作が成されると、受付管理サーバが管理している翌日以降の診療時間帯等の情報を集合住宅患者管理サーバを介して入手してモニタに表示し、或いは集合住宅患者管理サーバが定期的に受付管理サーバから入手して更新している翌日以降の診察時間帯等の情報をモニタに表示し、予約操作が可能であることを特徴とする。
この構成によれば、翌日以降の病院の診察時間等を住戸親機で認識できるので、翌日以降の予約であっても、時間を間違えずに容易に予約できる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、集合住宅患者管理サーバは、集合住宅居住者が住戸親機から行った診察予約情報を記憶する予約情報記憶部と、翌日以降の診察予約が成され診察予約に対して診察日当日になったら住戸親機に診察日であることを通知してモニタにその旨を表示させる予約確認制御部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、事前予約した場合、診察日当日に住戸親機にその旨表示されるので、居住者は診察日であることを認識できる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の構成において、親機CPUは、新規の診察予約の場合には複数の診療科目をモニタに表示させて予約操作部で選択可能とする一方、事前予約した診療科目の確認操作、或いは事前予約した診療科目の当日の最終受付の手続操作が成される場合は、集合住宅患者管理サーバから予約した診療科目等の情報を読み出して表示することを特徴とする。
この構成によれば、事前予約の操作と予約した内容を表示させる操作とでは表示の流れが異なり、事前に行った予約の表示に関しては診療科目の選択ステップが省略されて予約した診療科目のみ表示されるので、最終受付操作がし易い。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載の構成において、受付管理サーバには、医事・会計をおこなうための医事・会計管理サーバが接続され、受付管理サーバは、診察予約信号又は最終受付による最終予約信号を受けたら信号に含まれる患者IDを医事・会計管理サーバに送信し、医事・会計管理サーバは、集合住宅居住者専用の基本伝票を作成することを特徴とする。
この構成によれば、診察受付がなされたら集合住宅居住者専用の基本伝票が作成されるので、集合住宅居住者を別途管理できるしカルテの準備も可能となるため、効率の良い診察をおこなうことが可能となる。
尚、基本伝票とは、患者が診察する際に必要な患者氏名、受付番号、診療科目等が記載された伝票である。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の構成において、住戸親機或いは集合住宅患者管理サーバは、受付管理サーバの予約受付時間帯を記憶しており、予約操作部が操作された時刻が予約受付時間帯を外れた時間帯である場合は、親機CPUが時間外であるため予約できない旨をモニタに表示させることを特徴とする。
この構成によれば、受付管理サーバが時間外等で受け付けを終了停止している場合、その時間帯において住戸親機から予約操作しても予約を受け付けないが、その旨が住戸親機において患者等の操作者に通知されるので、操作者は予約できない理由を認識でき安心できる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の構成において、親機CPUは、予約操作部の操作が途中で停止され、所定時間以上なされないことを検出すると、予約制御を終了して待受け状態に移行することを特徴とする。
この構成によれば、住戸親機で予約操作している途中で、操作者が他の用事等により操作を中止してしまった場合、所定時間が経過したら待ち受けに移行するので、入力ミスを防止できる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の構成において、受付管理サーバには、各患者のカルテが保存されるカルテ管理サーバ、及び個々の診察室に設置されて医師がカルテ作成のために使用する診療端末が接続され、新規の診察予約又は最終受付がおこなわれたら、受け付けに関連付けられている患者IDをカルテ管理サーバに送信し、関連する診療端末にカルテを配信する制御をおこなうことを特徴とする。
この構成によれば、最終受付がなされたら、カルテが作成されて関連する診療端末に配信されるので、効率の良い診察をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、住戸親機から病院の診察予約ができ、病院の診察待ち人数から待ち時間が計算されて住戸親機で表示することができるので、集合住宅居住者の患者は、病院へ行くこと無く診察予約ができるし、行ってからの待ち時間を短縮することができる。
また、診察予約内容等の各種情報は元々来訪者を表示するためのモニタを使用して表示するし、住戸親機には親機患者情報記憶部や予約操作部を新たに設ける程度で済むのでコストアップは僅かで済む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図及びブロック図である。
【図2】図1の住戸親機のモニタ画面表示説明図である。
【図3】図1の住戸親機のモニタ画面表示説明図である。
【図4】図1の住戸親機のモニタ画面表示説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図及びブロック図であり、1は集合住宅のエントランス或いは各階のロビー等に設置されて来訪者が居住者を呼び出す際に使用する集合玄関機、2は集合玄関機1からの呼び出しを受けて応答するために各住戸に設置された住戸親機、3は集合玄関機1及び住戸親機2との間の通信を制御する制御装置、4は集合住宅に設置されて集合住宅に入居している居住者の患者情報を管理する集合住宅患者管理サーバ、5は病院に設置されて患者情報や診察待ち人数等の診察の受け付けを管理する受付管理サーバ、6は病院の受け付けに設置されて患者が携行する患者カードを挿入等して診察の受け付けを行う受付機、7は病院に設置されて医事・会計を管理する医事・会計管理サーバ、8は病院の診察室毎に設置されてカルテを管理するためのカルテ管理サーバである。
【0021】
集合玄関機1は伝送線L1を介して制御装置3に接続され、各住戸親機2,2,・・は親機伝送線L2を介して制御装置3に接続され、制御装置3と集合住宅患者管理サーバ4とはLAN等から成る集合住宅内通信ネットワークN1介して接続されている。一方、受付管理サーバ5、受付機6、医事・会計管理サーバ7、カルテ管理サーバ8はLAN等から成る病院内通信ネットワークN2により接続され、集合住宅内通信ネットワークN1と病院内通信ネットワークN2とはルータ或いはHUBから成る中継器9により接続されて相互通信が可能となっている。
【0022】
集合玄関機1は、呼び出す住戸を選択するための操作部11、呼出ボタン12、通話するためのマイク13及びスピーカ14、来訪者を撮像するためのカメラ15等を備えている。
【0023】
住戸親機2は、集合玄関機1のカメラ15が撮像した来訪者の映像を出画したり、後述する病院の診察予約をするための予約画面等を表示するモニタ21、来訪者と通話するためのマイク及びスピーカを備えた通話部22、住戸親機2を特定するための親機IDに関連付けられた患者IDを記憶する親機患者情報記憶部23、留守時の来訪者によるメッセージや、診察予約情報等の新着情報を記憶する新着情報記憶部24、診察予約等の各種操作をおこなうタッチパネルから成る予約操作部25、住戸親機2全体を制御する親機CPU26、制御装置3と通信するための親機IF27等を備えている。
【0024】
制御装置3は、住戸親機2を特定するための住戸IDと住戸親機2の関連付けを記憶する住戸情報記憶部31と、集合玄関機1と住戸親機2の間の映像路及び通話路の制御、住戸親機2と集合住宅患者管理サーバ4との通信の制御、更に制御装置3全体を制御する制御装置CPU32、集合住宅患者管理サーバ4と通信するためのネットワーク接続IF(図示せず)、集合玄関機1や住戸親機2と通信するために伝送線L1,L2を接続するインターホンIF(図示せず)等を備えている。
【0025】
集合住宅患者管理サーバ4は、集合住宅全体の患者IDを記憶する集合住宅患者情報記憶部41、集合住宅に居住する患者の診察予約情報を記憶する予約情報記憶部42、住戸親機2から送信された診察予約信号に含まれる患者IDから集合住宅居住者であると判定した場合に、受付管理サーバ5に診察予約信号を送信する制御を行い、また集合住宅患者管理サーバ全体を制御する集合住宅患者管理サーバCPU44、受付管理サーバ5や制御装置3と通信する管理サーバIF45等を備えている。
尚、集合住宅患者管理サーバ4は、制御機3を介して受付管理サーバ5と通信を実施しても良いし、制御装置3と一体に構成しても良い。
【0026】
受付管理サーバ5は、患者の受付状況を表示するモニタ51、各種操作をおこなうための操作部52、登録された患者IDや診察予約した患者ID、更に来院して受付処理した患者の患者IDを記憶する患者情報記憶部53、受付管理サーバ全体を制御する受付管理サーバCPU54、集合住宅患者管理サーバ4、受付機6、医事・会計管理サーバ7、カルテ管理サーバ8等と通信するための受付管理サーバIF55等を備えている。
【0027】
受付機6は、診察カード読み取り部、情報表示部等を備え、病院に来た患者が診察券の挿入操作等行うことで、患者ID等の情報を読み取らせて診察の受付処理を行うための装置であり、受付処理した患者のIDや診療科目等の情報は受付管理サーバ5へ送信される。
【0028】
このように構成された集合住宅インターホンシステムについて、以下動作を説明する。なお、来訪者が居住者を呼び出すために集合玄関機1を操作して住戸親機2を呼出動作させ、居住者が来訪者映像を見ながら来訪者と通話する動作については、従来と同様であるため説明を省略し、ここでは集合住宅インターホンシステムの住戸親機2を用いて病院の診察予約を行う動作について説明する。
【0029】
まず、診察日当日に診察予約をする場合を説明する。図2,図3は住戸親機2のモニタ21に表示されるタッチパネル画面を示し、この図を参照して説明する。
集合住宅の居住者が集合住宅に並設されている病院の診察を予約するに当たり、住戸親機2の予約操作部25を操作して実施される。具体的に、住戸親機2のモニタ21に組み付けられている予約操作部25としてのタッチパネルを操作し、メニュー画面から診察予約画面に移行させておこなう。
【0030】
この診察予約画面には、まず図2に示すように住戸に同居する家族等の名前の一覧が表示され、自分の名前、例えば「特許太郎」を選択して決定操作する。居住者(以下、「患者」という)は、次に最初に診察を受けたい診療科目を選択し、選択したら予約決定操作をする。この結果、親機CPU26は、選択された患者のID情報を親機患者情報記憶部23から読み出して、選択した診療科目情報と一体化した診察予約信号を生成して制御装置3に送信する。尚、この患者IDは、居住者IDに住戸IDが付加されて構成されている。
診察予約信号を受信した制御機3は、この信号を診察予約の信号であると認識して集合住宅患者管理サーバ4に送信する。
【0031】
集合住宅患者管理サーバ4では、送付された診察予約信号から患者IDを読み取り、集合住宅患者情報記憶部41に記憶されている患者IDとを比較して該当する人物がいるかを確認する。尚、親機患者情報記憶部23、集合住宅患者情報記憶部41には、予め患者ID情報が記憶されている。
患者IDは、最初の診察を行った際に付与されて集合住宅患者管理サーバ4及び居室親機2に記憶される(詳述せず)。患者IDが登録されていたら、診察予約信号が受付管理サーバ5に送信される。
【0032】
診察予約信号を受信した受付管理サーバ5は、受付管理サーバCPU54が診察予約信号から患者IDを読み取り、病院側の情報として患者情報記憶部53に記憶されている患者情報から該当する患者IDに対応するカルテナンバー情報等を読み出し、医事・会計管理サーバ7及びカルテ管理サーバ8に送信する。これにより、医事・会計管理サーバ7では基本伝票を作成し、カルテ管理サーバ8は、患者のカルテを該当する診療科に設置された診療端末(図示せず)へ送信する。
こうして、住戸親機2から診察予約して診察受付がなされたら、集合住宅居住者専用の基本伝票が作成されるので、集合住宅居住者を別途管理できるしカルテの準備も可能となるため、効率の良い診察をおこなうことができる。
【0033】
また、受付管理サーバCPU54は、受付機6から入手した受付情報を基に診察待ち人数を把握し、その人数と予め定められた一人当たりの診察時間をもとに待ち時間を計算し、患者IDに計算された待ち時間情報を添付した受付完了通知を集合住宅患者管理サーバ4に送信する。
受付完了通知を受信した集合住宅患者管理サーバ4は、集合住宅患者管理サーバCPU44が、受付完了通知が具備している患者IDから住戸IDを読み取って、受付完了通知及び待ち時間情報を、制御装置3を介して予約操作した住戸親機2へ返信する。
【0034】
受付完了通知を受信した住戸親機2では、親機CPU26が受信した受付完了通知及び待ち時間情報をモニタ21に表示する。このとき、モニタ21には図3に示す様な表示が行われる。この表示により、予約した内容、及び何時頃病院にいけば良いかが確認できる。その後、操作者(患者)により確認ボタンB2が押されると、メニュー画面に戻る。
【0035】
尚、この予約は住戸親機2の予約操作部25を操作してキャンセルすることができる。キャンセル操作されると、キャンセル信号が集合住宅患者管理サーバ4を介して受付管理サーバ5に送信され、キャンセル処理が行われる。
【0036】
このように、住戸親機2から病院の診察予約ができ、診察待ち時間が計算されて住戸親機2で表示されるので、集合住宅の居住者である患者は病院へ行ってからの待ち時間を把握することが可能となる。
また、診察予約内容等の各種情報は元々来訪者を表示するためのモニタ21を使用して表示するし、住戸親機2には親機患者情報記憶部23や予約操作部25を新たに設ける程度で済むのでコストアップは僅かで済む。
更に、病院での診察待ち患者数を加味して待ち時間を演算するので精度の高い待ち時間を通知することができ、集合住宅に居る患者は安心して待つことができる。
また、集合住宅に居住する患者に対しては、患者IDが住戸IDに関連付けられているので、患者を住戸毎に管理できる。そのため、同一住戸の患者の診察予約を一括して住戸親機に容易に表示でき、同居人である家族は状況を把握し易い。
【0037】
次に、診察日が当日でなく後日である場合の事前予約について説明する。上述した当日予約の場合と同様に、診察を予約するに当たり患者は住戸親機2の予約操作部25を操作してモニタ21の画面を待受からメニュー画面に移行させ、メニューを選択して事前診察予約画面に移行させる。事前診察予約画面では、まず受診したい診療科目が表示され、診療科目が選択されると月別の診察可能日が表示される。この表示から診察を受けたい日付が選択されると(タッチ操作されると)、次に予約可能時間帯が表示される。
【0038】
図4はこの事前診察予約画面(事前予約画面)の一例を示し、D1は月別(10月)の診察可能日を表示した画面、D2は選択した日付(4日)の予約可能時間帯を表示した画面を示している。これらのデータは、集合住宅患者管理サーバ4から読み出されて表示される。集合住宅患者管理サーバ4は、受付管理サーバ5から定期的に或いは更新に連動して診察時間帯情報を受付管理サーバ5から入手して、図示しない診察時間記憶部に記憶している。
尚、これらの事前予約画面のデータは、事前予約操作される度に受付管理サーバ5から直接入手して表示してもよい。
【0039】
こうして表示された受診可能な時間帯や受診できない時間帯の一覧を見て、操作者は、受診可能な時間帯から任意の時間帯を選択(図4では11:00〜12:00の時間帯を選択)し、決定ボタンB3をタッチする。これにより、上述した当日予約と同様に住戸IDが付加された患者ID、診療科目情報、受信日時情報を具備した診察事前予約信号が送信される。その後の信号の流れも上述した当日予約と同様であり、受付管理サーバ5は受け付けが完了すると、受付完了通知を集合住宅患者管理サーバ4、制御装置3を介して住戸親機2に送信し、モニタ21に表示させる。
また、このとき集合住宅患者管理サーバ4では、予約情報記憶部42に患者IDに関連付けられた予約日時情報が記憶される。
【0040】
そして、集合住宅患者管理サーバCPU44は、予約情報記憶部42に記憶した日付を管理し、受診当日になると住戸親機2に対して本日受信日であることを知らせるための最終確認通知を新着情報として通知する。この新着情報を受けた住戸親機2は、親機CPU26がモニタ21に本日受診日であることを表示させる。また、通話部22から新着通知音を報音させる。
これにより、居住者は診察当日であることを認識でき忘れることなく診察を受けることができる。なお、報知のタイミングは、居住者が住戸親機2を操作したときでも良いし、予め決められた時刻に通知してもよい。
【0041】
これを確認した患者は、住戸親機2を操作して最終受付処理を行うことで病院での受付機6による受け付けと同様の受付処理が成される。具体的に、受付操作を受けた親機CPU26は、まず患者IDを参照して事前予約があるかを確認し、上述の通り事前予約があることを認識したら、選択できる診療科目が予約された科目に限定されて表示される。これにより、患者は診療科目を選択する手間がなくなり、最終受付処理がし易くなる。
なお、最初の名前選択操作において予約のない他の家族(居住者)が選択された場合には、診療可能な診療科目が表示されることとなる。
こうして、上記当日の診察予約と同様の操作を行うことで最終受付処理は行われ、最終受付が完了したら完了の情報がモニタ21に表示される。また、待ち時間も表示される。
【0042】
尚、最終確認通知を受けても最終受付が行われなかった場合には、予め定められた時間(例えば、予約時間の10分前等)になると集合住宅患者管理サーバ4或いは受付管理サーバ5から最終受付未完了の通知が該当する住戸親機2に成され、この通知の対して応答が無かった場合に予約破棄の処理がなされる。
【0043】
また、住戸親機2等の集合住宅に設置されているインターホン機器は常時駆動しているが、病院の受付機6や受付管理サーバ5等は予約可能時間帯が決められたり、時間外では機器が停止ている場合が多い。このような時間外では、住戸親機2で診察予約の操作して、診察予約信号を受付管理サーバ5に送信しても、受付管理サーバ5が予約を受け付けないため、受付完了通知が返信されない。
【0044】
そのため、集合住宅患者管理サーバ4は予約可能時間帯を集合住宅患者情報記憶部41に記憶しており、予約可能時間帯を外れた時間帯に住戸親機2において予約操作が成されて診察予約信号が送出されたら、集合住宅患者管理サーバCPU44が住戸親機2に対して予約不可を通知する信号を返信し、予約できない時間帯であることをモニタ21に表示させる制御を実施する。
これにより、予約できない理由が住戸親機2において患者等の操作者に通知されるので、操作者は状況を把握でき安心できる。尚、予約可能時間帯は集合住宅患者管理サーバ4ではなく個々の住戸親機2に記憶させても良い。
【0045】
また、予約可能時間帯の操作であっても、親機CPU26は予約操作部25の操作を開始してから予約を完了せずに5分等の所定時間が経過したら、待ち受け状態に移行させる。これにより、住戸親機2で予約操作している途中で、操作者が他の用事等により操作を中止してしまった場合でも、所定時間が経過したら待ち受けに移行するので、入力ミスを防止できる。
【0046】
このように、翌日以降の病院の診察時間等を住戸親機2で認識できるので、翌日以降の予約であっても、時間を間違えずに容易に予約できる。そして、事前予約した場合、診察日当日に住戸親機2にその旨表示されるので、居住者は診察日であることを認識できる。
【0047】
尚、ここでは集合住宅と病院とが並設されている場合を想定して説明しいるが、集合住宅内通信ネットワークN1と病院内通信ネットワークN2をプロバイダを介した外部ネットワークを介して接続すれば、近隣に位置している集合住宅と病院に対しても上記集合住宅インターホンシステムは活用できるものである。
【符号の説明】
【0048】
1・・集合玄関機、2・・住戸親機、3・・制御装置、4・・集合住宅患者管理サーバ、5・・受付管理サーバ、6・・受付機、7・・医事・会計管理サーバ、8・・カルテ管理サーバ、21・・モニタ、22・・通話部、23・・親機患者情報記憶部、24・・新着情報記憶部、25・・予約操作部、26・・親機CPU、31・・住戸情報記憶部、32・・制御装置CPU、41・・集合住宅患者情報記憶部、42・・予約情報記憶部、44・・集合住宅患者管理サーバCPU(ID判定部、予約確認制御部)、53・・患者情報記憶部、54・・受付管理サーバCPU、N2・・病院内通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エントランスに設置されて来訪者を撮像するためのカメラ、及び来訪者が居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、各住戸内に設置されて前記カメラの撮像映像を表示するモニタ、及び前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、前記集合玄関機と前記住戸親機の間の通信を制御するための制御装置と、を有する集合住宅インターホンシステムであって、
前記制御装置は、LAN等の通信ネットワークを介して集合住宅に居住する患者のID情報及び予約内容を管理する集合住宅患者管理サーバと通信を行うと共に、病院に設置されて診察待ち人数等の診察の受け付け情報を管理する受付管理サーバと通信を実施し、
前記住戸親機は、居住者の患者IDを記憶する親機患者情報記憶部と、診察日時や診療科目等を選択して診察予約するための予約操作部と、診察予約内容等の各種情報を前記モニタに表示し、入力された診察予約に患者ID情報を加えた診察予約信号を前記制御装置を介して前記集合住宅患者管理サーバに送信する親機CPUとを有すると共に、
前記集合住宅患者管理サーバは、集合住宅に居住する患者の患者IDを記憶する集合住宅患者情報記憶部と、受信した前記診察予約信号に添付されている患者IDが前記集合住宅患者情報記憶部に登録されているか判定するID判定部と、IDが登録されている患者であると判定したら前記通信ネットワークを介して前記受付管理サーバに前記診察予約信号を送信する集合住宅患者管理サーバCPUとを有し、
更に前記受付管理サーバは、前記診察予約信号を受けて、管理している診察待ち人数情報から診察待ち時間を算出し、前記制御装置を介して前記住戸親機に待ち時間情報を返信して前記モニタに表示させる受付管理サーバCPUを備えたことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記受付管理サーバは、当日診察に来た患者の受け付けを行う受付機が接続されて、当日の診察待ち患者人数を管理し、前記受付管理サーバCPUは病院での診察待ち患者人数を加味した待ち時間を演算して前記住戸親機に送信することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
集合住宅居住者の前記患者IDは、住戸ID情報を含んで作成され、患者IDから住戸親機を特定できることを特徴とする請求項1又は2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記親機CPUは、前記予約操作部から翌日以降の予約操作が成されると、前記受付管理サーバが管理している翌日以降の診察時間帯等の情報を前記集合住宅患者管理サーバを介して入手して前記モニタに表示し、或いは前記集合住宅患者管理サーバが定期的に前記受付管理サーバから入手して更新している翌日以降の診察時間帯等の情報を前記モニタに表示し、予約操作が可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記集合住宅患者管理サーバは、集合住宅居住者が前記住戸親機から行った診察予約情報を記憶する予約情報記憶部と、翌日以降の診察予約が成され診察予約に対して診察日当日になったら前記住戸親機に診察日であることを通知してモニタにその旨を表示させる予約確認制御部とを有することを特徴とする請求項4記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記親機CPUは、新規の診察予約の場合には複数の診療科目をモニタに表示させて前記予約操作部で選択可能とする一方、事前予約した診療科目の確認操作、或いは事前予約した診療科目の当日の最終受付の手続操作が成される場合は、前記集合住宅患者管理サーバから予約した診療科目等の情報を読み出して表示することを特徴とする請求項4又は5記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
前記受付管理サーバには、医事・会計をおこなうための医事・会計管理サーバが接続され、
前記受付管理サーバは、前記診察予約信号又は最終受付による最終予約信号を受けたら信号に含まれる患者IDを前記医事・会計管理サーバに送信し、
前記医事・会計管理サーバは、集合住宅居住者専用の基本伝票を作成することを特徴とする請求項6記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項8】
前記住戸親機或いは前記集合住宅患者管理サーバは、前記受付管理サーバの予約受付時間帯を記憶しており、前記予約操作部が操作された時刻が予約受付時間帯を外れた時間帯である場合は、前記親機CPUが時間外であるため予約できない旨を前記モニタに表示させることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項9】
前記親機CPUは、前記予約操作部の操作が途中で停止され、所定時間以上なされないことを検出すると、予約制御を終了して待受け状態に移行することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項10】
前記受付管理サーバには、各患者のカルテが保存されるカルテ管理サーバ、及び個々の診察室に設置されて医師がカルテ作成のために使用する診療端末が接続され、
前記新規の診察予約又は最終受付がおこなわれたら、受け付けに関連付けられている前記患者IDを前記カルテ管理サーバに送信し、関連する前記診療端末にカルテを配信する制御をおこなうことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−147260(P2012−147260A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4257(P2011−4257)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人電気設備学会 2010年(第28回)電気設備学会全国大会、2010年(第8回)電気設備学会国際ワークショップ 講演論文集CD−ROM 平成22年8月1日発行
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】