説明

集合基板のユニット配線板取り替え方法及び集合基板

【課題】製品シートにおける不良ユニット配線板の除去箇所に良品ユニット配線板を位置精度良く取り付けて、製品シートの良品化を向上させる。
【解決手段】製品シート1のスクラップ部3に接着剤シート貼り合せエリアを形成し、不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部9に位置合わせ冶具を立設した後、不良ユニット配線板2A、ジョイント部及び接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シート12を貼り付ける。次に、ジョイント部を切断して接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シート12の一部を残存させ、製品シート1から不良ユニット配線板2Aを分離除去し、該除去個所に良品ユニット配線板2Bを位置合わせ冶具7で位置決めして、良品ユニット配線板2Bの貼着エリアとスクラップ部3の接着剤シート貼り合せエリアとを両面接着剤シート12を介して接着固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品シートに複数のユニット配線板が面付けされた集合基板のユニット配線板取り替え方法及び集合基板に関するものであり、特に、製品シート内に存在する不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替えて該製品シートを良品化させる、集合基板のユニット配線板取り替え方法及び集合基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユニット配線板で構成される集合基板の中に、不良ユニット配線板が存在する場合に対処する技術が種々報告されている。例えば、同一の製品シートに複数のユニット配線板が面付けされている集合基板の中に、不良ユニット配線板が存在しているとき、自動で部品実装を行う場合は、不良ユニット配線板には高価な部品を搭載しないように不良表示を行い、画像認識装置等によって不良ユニット配線板を読み取り、その不良ユニット配線板の箇所をとばして、良品ユニット配線板のみに部品実装を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、不良ユニット配線板をとばして部品実装を行うことは、実装作業の生産性を悪くする要因となり、又、部品実装装置に高価な画像認識装置等を設置させなければならず、設備コストが大幅にアップする要因にもなる。従って、同一の製品シートに複数のユニット配線板が面付けされている集合基板の中に、不良ユニット配線板が所定数以上存在しているときは、その製品シート全体を用いることなく廃棄することが行われている。
【0004】
特に、不良ユニット配線板を識別する機構を装備しない安価な部品実装装置を用いて部品実装する際、製品シートに1個でも不良ユニット配線板が存在する場合は、該製品シートを廃棄し、全数が良品ユニット配線板である製品シートのみについて部品実装が行われる。しかし、この方法では、製品シートに不良ユニット配線板が1個でも存在すればその製品シート全体、即ち、良品ユニット配線板を多数含む製品シート全体を廃棄しなければならず、配線板生産のコストアップに繋がる要因となる。
【0005】
又、ユニット配線板が連続的に配列された製品シートから不良ユニット配線板を取り替えて、製品シートを良品化する技術も開示されている(特許文献2参照)。これによれば、製品シート上に連続して回路パターン部が配列された集合基板において、位置決め手段、基板固定手段及び接着手段を用いることにより、不良な回路パターン部を除去して正常な回路パターン部が印刷された他のユニット配線板を高精度に接合固定できる。
【0006】
更に、複数のユニット配線板が一列に配列された集合基板から、不良なユニット配線板を取り替える技術も開示されている(特許文献3、7参照)。これによれば、取り替えたユニット配線板を集合基板の所定の位置に嵌合させたり、嵌め込んだユニット配線板の側端部の空隙に接着剤を充填して固定する必要がある。
【0007】
一方、集合基板のフレームやスクラップ部から不良ユニット配線板を切り抜いた後、該切り抜き個所に良品ユニット配線板を嵌め込んでブリッジで結合させる技術も開示されている(特許文献4参照)。また、複数のユニット配線板を着脱可能な分離型ブリッジで製品シート枠に取り付け、その中から不良ユニット配線板のみを取り外して良品ユニット配線板と取り替えることによって、今まで廃棄していた良品ユニット配線板を活用する技術も開示されている(特許文献5参照)。更に、良品ユニット配線板に付け替えた後の結合をブリッジ部で接着剤により行う方法も開示されている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−191668号公報
【特許文献2】特開2000−252605号公報
【特許文献3】特開平10−247656号公報
【特許文献4】特開昭64−48489号公報
【特許文献5】特開2001−203482号公報
【特許文献6】特開2005−38953号公報
【特許文献7】特開2010−40949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献3〜7記載の技術は、何れもユニット配線板の側端壁で結合させるもの、或いは、フレームに嵌合させるように嵌め込むものである。このため、ある程度の厚みを有する硬質プリント配線板や、剛性を有するフレームが用いられる場合のみに適用されるものであり、薄くて可撓性を有するフレキシブル配線板(Flexible Printed Circuit、FPC)には用いることができない。また、近年の部品実装の高密度化から位置精度が厳しくなりつつあるために、製品シート内に存在する不良ユニット配線板と良品ユニット配線板とを取り替える場合には、微細な位置精度をクリアするような取り替え技術が必要である。
【0010】
特許文献7には、例えば薄い可撓性のユニット配線板(フレキシブル配線板FPC)が連続的に配列された製品シートにおいて、不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替えて、製品シートを良品化する技術が開示されている。この技術では、まず製品シートのスクラップ部に位置決めガイド穴を穿設し、不良ユニット配線板を含み、且つ、ガイド穴を含まない領域を切断除去した後に、ガイド穴を含みそれ以外の領域は不良ユニット配線板と同一形状で切断された良品ユニット配線板をガイド穴によって位置決めして貼り合わせる方法を採択している。
【0011】
この方法によれば、不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に位置精度良く取り替えルことが可能になり、今まで廃棄していた製品シートを良品化して利用することが可能になる。しかし、製品形状によってはスクラップ部に位置決め用のガイド穴を設けることが困難になる。
【0012】
また、良品ユニット配線板をガイド穴で位置決めして貼り合わせた際に、重なり部分が生じ該重なり部分に接着手段を介挿するが、この場合、微小サイズのフレキシブル配線板FPCでは非常に困難な作業が強いられる。また、接着剤をディスペンサーで滴下する際、微小サイズの接着剤シートを貼り合わせなければならないので、高度な技術を必要とし困難な作業が伴う。
【0013】
そこで、製品シート上における不良ユニット配線板の除去箇所に良品ユニット配線板を位置精度良く取り付けて、微小サイズのフレキシブル配線板であっても、製品シートを容易に良品化するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、製品シートにおけるジョイント部を除く部分を打ち抜いて複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合、該不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替える集合基板のユニット配線板取り替え方法であって、製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアを形成する第1のエ程と、前記不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に位置合わせ冶具を立設する第2の工程と、前記不良ユニット配線板、ジョイント部及び接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートを貼り付ける第3の工程と、該ジョイント部を切断して該接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートの一部を残存させた状態で前記製品シートから前記不良ユニット配線板を分離除去する第4の工程と、配線板本体部が前記不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、前記接着剤シート貼り合せエリアと対応する貼着エリアを有する良品ユニット配線板を前記不良ユニット配線板除去個所に位置合わせ冶具で位置決めして、該良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを前記両面接着剤シートを介して接着固定する第5の工程とを含むことを特徴とする集合基板のユニット配線板取り替え方法を提供する。
【0015】
この方法によれば、あらかじめスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアを形成しておき、不良ユニット配線板が見つかったときに、不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に位置合わせ冶具を立設する。次に、不良ユニット配線板、ジョイント部及び接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートを貼り付けた後、ジョイント部を切断して接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートの一部を残存させた状態で、製品シートから不良ユニット配線板を分離除去する。
【0016】
そして、配線板本体部の形状が不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、スクラップ部側の接着剤シート貼り合せエリアと対応する貼着エリアを有する良品ユニット配線板を前記不良ユニット配線板除去個所に配置して位置合わせ冶具で位置決めする。このあと、良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを前記両面接着剤シートを介して接着固定すること。これによって、製品シートの前記不良ユニット配線板除去個所において、良品ユニット配線板が位置精度良く取り替えられる。
【0017】
請求項2記載の発明は、前記ユニット配線基板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法を提供する。
【0018】
この方法によれば、製品シート内に不良フレキシブル配線板が混在していた場合でも、該不良フレキシブル配線板のみを良品フレキシブル配線板に取り替えることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとの接合部分は、前記ユニット配線板に形成された回路金属箔及びカバーフイルムが取り去られていることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、接着剤シート貼り合せエリアと接着剤シート貼り合せエリアとの貼着接合部分は、ユニット配線板に形成された回路金属箔及びカバーフイルムが取り去られているので、その分だけ貼着接合部分の厚みが変化することが最小限に抑えられる。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記両面接着剤シートが、剥離用ハーフカットを有するリリースフィルム付きの両面接着剤シートであることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、不良ユニット配線板に両面接着剤シートを貼り付けた後に、両面接着剤シートからリリースフィルムを剥がした後に、製品シートから不良ユニット配線板を打ち抜いて分離除去される。この場合、リリースフィルムはハーフカットを有するので、リリースフィルムの剥離作業が容易化する。
【0023】
請求項5記載の発明は、ジョイント部を除く部分を打ち抜いて複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合、該不良ユニット配線板を打ち抜き除去した箇所に良品ユニット配線板を固定して取り替える集合基板であって、前記製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアが形成され、不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に立設した位置合わせ冶具で良品ユニット配線板の位置決めを行い、該良品ユニット配線板に設けた貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを両面接着剤シートを介して接着固定したことを特徴とする集合基板を提供する。
【0024】
この構成によれば、良品ユニット配線板を位置合わせ冶具で位置決めした後に、スクラップ部側の接着剤シート貼り合せエリアと良品ユニット配線板側の貼着エリアとを両面接着剤シートを介して固定する。これによって、製品シートにおいて不良ユニット配線板に代えて、良品ユニット配線板が位置精度良く取り替えられる。
【0025】
請求項6記載の発明は、前記ユニット配線基板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項5記載の集合基板を提供する。
【0026】
この構成によれば、製品シート内に不良フレキシブル配線板が混在していた場合、該不良フレキシブル配線板のみを良品フレキシブル配線板に取り替えることができる。
【0027】
請求項7記載の発明は、前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアは、前記ユニット配線板の対峙する複数個所に形成され、且つ、前記両面接着剤シートが前記対峙方向両側に離間するように分割して形成されていることを特徴とする請求項5記載の集合基板を提供する。
【0028】
この構成によれば、不良ユニット配線板に貼り付けられる両面接着剤シートは、スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアの対峙方向に離間した分割形状のもの、即ち、両面接着剤シートにおける前記対峙方向中間部分を切除したものを使用することができる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明は、製品シート上において不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替えることができるので、従来廃棄されていた製品シートを容易に良品化することができ、しかも、良品ユニット配線板の取り替え位置の精度を確保できるので、電子部品の高密度実装化にも適合することができる。
【0030】
請求項2記載の発明は、不良フレキシブル配線板のみを良品フレキシブル配線板に取り替えることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、良品フレキシブル配線板の取り替え作業を容易迅速に実行でき、より効率的な製品シートの良品化が可能になる。
【0031】
請求項3の発明は、接着剤シート貼り合せエリアと接着剤シート貼り合せエリアとの貼着接合部分の厚みが変化することを最小限に抑制できるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、電子部品の実装時における搬送不具合の発生を防止できると共に、高密度実装に容易に対応することができる。
【0032】
請求項4の発明は、両面接着剤シートとして、剥離用ハーフカット付きのリリースフィルムを貼着したものを使用するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、リリースフィルムの剥離作業が容易化するのみならず、両面接着剤シートの接着力が増大して、製品シートへの良品ユニット配線板の固定強度を向上させることができる。
【0033】
請求項5記載の発明は、製品シート上において不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替えることができるので、従来廃棄されていた製品シートを容易に良品化することができる。しかも、良品ユニット配線板の取り替え位置の精度が向上するので、電子部品の高密度実装化に容易に適合することができる。
【0034】
請求項6記載の発明は、不良フレキシブル配線板のみを良品フレキシブル配線板に取り替えることができるので、請求項5記載の発明の効果に加えて、良品フレキシブル配線板の取り替え作業を効率良く実行して、製品シートの良品化を図ることができる。
【0035】
請求項7記載の発明は、両面接着剤シートにおける前記対峙方向中間部分を切除したものを使用できるので、請求項5記載の発明の効果に加えて、両面接着剤シートの使用量の節減化が可能になり、しかも、両面接着剤シートの接着作業を容易迅速に行えると共に、該両面接着剤シートの前記接着剤シート貼り合せエリアに対する接着強度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に適用される集合基板の平面図。
【図2】本発明の実施例1に係る製品シート及び製品ユニット外形を説明する平面図。
【図3】本発明の実施例1に係る両面接着剤シートを貼り合せるときの状態を説明する工程図。
【図4】図3に示す製品シートのA−A断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る不良ユニット配線板を打ち抜き除去するときの状態を説明する工程図。
【図6】本発明の実施例1に係る良品ユニット配線板を位置決めして貼り合わせるときの状態を説明する工程図。
【図7】図6に示す製品シートのB−B断面図。
【図8】本発明の実施例2に係る集合基板のユニット配線板取り替え方法を示す工程図。
【図9】本発明の実施例3に係る集合基板のユニット配線板取り替え方法を示す工程図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は、製品シート上における不良ユニット配線板の除去箇所に良品ユニット配線板を位置精度良く取り付けて、微小サイズのフレキシブル配線板であっても、製品シートを容易に良品化するという目的を達成するために、製品シートにおけるジョイント部を除く部分を打ち抜いて複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合、該不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替える集合基板のユニット配線板取り替え方法であって、製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアを形成する第1の工程と、前記不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に位置合わせ冶具を立設する第2の工程と、前記不良ユニット配線板、ジョイント部及び接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートを貼り付ける第3の工程と、該ジョイント部を切断して該接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートの一部を残存させた状態で前記製品シートから前記不良ユニット配線板を分離除去する第4の工程と、配線板本体部が前記不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、前記接着剤シート貼り合せエリアと対応する貼着エリアを有する良品ユニット配線板を前記不良ユニット配線板除去個所に位置合わせ冶具で位置決めして、該良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを前記両面接着剤シートを介して接着固定する第5の工程とを含む集合基板のユニット配線板取り替え方法によって実現した。
【実施例1】
【0038】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に適用される集合基板の平面図である。同図に示すように、集合基板の製品シート1上には、複数のユニット配線板2,2…が長尺状に連続的に形成されている。従って、インサートマシン等を用いることによって、各ユニット配線板2,2…に対して電子部品等を連続的に自動実装することができる。そして、複数のユニット配線板2,2…の中に不良ユニット配線板が存在する場合は、製品シート1を良品化させるために、該製品シート1から当該不良ユニット配線板を除去して、別に用意した良品ユニット配線板に置き換えることができる。尚、集合基板は長尺状に限らず、平板シート状のものにも適用できる。
【0039】
図2に示すように、製品シート1は、例えばフレキシブル配線板であるユニット配線板2と、該ユニット配線板2の外周部を構成する枠状のスクラップ部3と、該スクラップ部3とユニット配線板2の横辺中央部を結合するジョイント部4a、4bとから成る。製品シート1内の破線5は、ユニット配線板2の外形である製品ユニット外形を示す。ユニット配線板2は、具体的には、製品シート1におけるジョイント部4a,4bを除く部分を金型で打ち抜いて形成されている。
【0040】
図3に示すように、製品シート1内に不良ユニット配線板2Aが存在していた場合は、製品シート1を良品化させるべく、不良ユニット配線板2Aを除去して、その代わりに良品ユニット配線板(図6中の符号2B)に取り替える。
【0041】
以下、本実施例に係るユニット配線板取替え方法について説明する。先ず、図3に示すように、スクラップ部3におけるジョイント部4a,4bと対応する個所に接着剤シート貼り合せエリア6a,6bをあらかじめ形成しておく。該接着剤シート貼り合せエリア6a,6bは、ジョイント部4a,4bに連続して形成することにより、不良ユニット配線板2A(ユニット配線板2)の縦方向において互いに対峙するように配設する。良品ユニット配線板のみで形成された製品シートの場合には、そのままとし、不良ユニット配線板2Aを見つけた場合、不良ユニット配線板2Aの左右両側にて対向する複数枚(図3では4枚)の位置決め部材を有する位置合わせ冶具7を用意し、これを不良ユニット配線板2A外周側の製品外形打抜き空洞部9に立設する。
【0042】
図4に示すように、位置合わせ冶具7は、製品シート1を支持する冶具架台8上の所定位置に設置する。この場合、位置合わせ冶具7の内側面が不良ユニット配線板2Aの横方向外側面に当接するようにセットする。次いで、不良ユニット配線板2A、ジョイント部4a,4b及び接着剤シート貼り合せエリア6a,6bの表面に両面接着剤シート(以下、接着剤シートという。)12を貼り付ける。
【0043】
接着剤シート12としては、その表面にリリースフィルム11を貼着したものが使用されている。接着剤シート12は、不良ユニット配線板2Aの形状(製品ユニット外形部5)と、ジョイント部4a,4b及び接着剤シート貼り合せエリア6a,6bの形状に対応する形状寸法を有する。尚、接着剤シート12における接着剤シート貼り合せエリア6a,6bと対応する部分16a、16bの面積は、該接着剤シート貼り合せエリア6a,6bよりも小さくなるよう設定されている。
【0044】
次に、接着剤シート12表面からリリースフィルム11を取り除いた後、ジョイント部4a,4bにおいて打抜き金型で切断することにより、図5に示すように、製品シート1から不良ユニット配線板2Aを分離除去する。この場合、ジョイント部4a,4bは不良ユニット配線板2A側に結合させた状態で、該不良ユニット配線板2Aと共に製品シート1から分離除去する。これにより、スクラップ部3側の接着剤シート貼り合せエリア6a,6bには、図6に示すように、接着剤シート12の縦方向両側の部分16a,16bが残存することとなる。
【0045】
そして、製品シート1における不良ユニット配線板除去箇所には、図6に示すように、不良ユニット配線板2Aと略同一形状の良品ユニット配線板2Bを取り付ける。この良品ユニット配線板2Bは、配線板本体部22とジョイント部24a,24bと接着剤シート貼り合せエリア(貼着エリア)26a、26bとから成り、配線本体部22は、図2に示した製品ユニット外形部5と同一形状を有する。又、良品ユニット配線板2Bのジョイント部24a,24bと接着剤シート貼り合せエリア26a、26bは夫々、図3に示した接着剤シート12のジョイント部14a,14bと接着剤シート貼り合せエリア16a、16bの寸法形状と略同一の寸法形状を有する。
【0046】
ここで、良品ユニット配線板2Bを製品シート1に取り付ける際は、図4に示したように、冶具架台8上に立設した位置合わせ冶具7を用いて、スクラップ部3に対する良品ユニット配線板2Bの位置合わせを行う。これにより、良品ユニット配線板2B側の接着剤シート貼り合せエリア26a、26bをスクラップ部3側の接着剤シート貼り合せエリア6a,6bに合致させたうえで、該接着剤シート貼り合せエリア6a,6bに残存する接着剤シート12の貼り合せエリア16a,16bを介して、スクラップ部3側の接着剤シート貼り合せエリア6a,6bと良品ユニット配線板2Bの接着剤シート貼り合せエリア26a、26bとを接着する。
【0047】
図7は、スクラップ部3側の接着剤シート貼り合せエリア6b上に良品ユニット配線板2Bの接着剤シート貼り合せエリア26bが、接着剤シート12の貼り合せエリア16bを介して接合された状態を示す。同図に示すように、スクラップ部3及び良品ユニット配線板2Bは、絶縁ベース17の表裏両面に回路金属箔18,18とカバーフイルム19,19を積層して構成されているが、これら接着剤シート貼り合せエリア6b,26bは絶縁ベース17のみから成り、回路金属箔18,18とカバーフイルム19,19は取り除かれている。
【0048】
本発明では、スクラップ部3側の接着剤シート貼り合せエリア6a,6bと良品ユニット配線板2Bの接着剤シート貼り合せエリア26a,26bとの接合部分は、回路金属箔18,18とカバーフイルム19,19を取り除いた分だけ、当該接合部分の厚みの変化が最小限に抑えられる。従って、電子部品の実装時における搬送不具合の発生を防止できる。
【0049】
叙上の如く本発明によると、不良ユニット配線板を除去した後に良品ユニット配線板を貼り付ける場合は、良品ユニット配線板を位置合わせ冶具で位置決めした後、スクラップ部の所定位置に接着剤シートを介して接着固定できるので、従来廃棄されていた製品シートを容易に良品化することができる。この場合、良品ユニット配線板の取り替え位置の精度が大幅に向上するので、電子部品の高密度実装化に柔軟に適合することができる。
【0050】
又、製品シート内に微小サイズの不良フレキシブル配線板が多数混在していた場合でも、該不良フレキシブル配線板のみを良品フレキシブル配線板に容易迅速に取り替えることができるので、良品フレキシブル配線板の取り替え作業を効率良く行うことができる。
【0051】
更に、接着剤シートとしてリリースフィルム付きのものを使用した場合は、リリースフィルムを剥離して、接着剤シートの清浄な接着面に良品ユニット配線板が接着固定されるので、製品シートへの良品ユニット配線板の固定強度を増大させることができる。
【0052】
尚、実施例1では、図2において、ジョイント部4a,4bは、ユニット配線板2の縦方向において互いに対峙するように配設されているが、スクラップ部3にユニット配線板2が安定して保持可能であれば、特に位置は特定する必要はない。
【実施例2】
【0053】
前記実施例1に係る集合基板では、接着剤シート12としては、不良ユニット配線板2A、ジョイント部4a,4b及び接着剤シート貼り合せエリア6a,6bの形状と対応するものを1枚使用したが、本実施例2に係る集合基板では、2分割構成タイプの接着剤シートを使用することを特徴とするものであり、それ以外の構成は前記実施例に係る集合基板と同様である。
【0054】
製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合は、前記実施例1で説明した集合基板のユニット配線板取り替え方法により、製品シートを良品化することができる。即ち、図8に示すように、先ず、製品シート1のスクラップ部3に接着剤シート貼り合せエリア6a,6bを形成し、不良ユニット配線板2A外周の製品外形打抜き空洞部5に位置合わせ冶具7を立設する。次に、予め用意した2分割型のリリースフィルム27付き接着剤シート28を不良ユニット配線板2A、ジョイント部4a,4b及び接着剤シート貼り合せエリア6a,6bに貼り付ける。
【0055】
接着剤シート28は実施例1とは異なり、不良ユニット配線板2Aの縦方向中間部に相当する部分が除去されており、不良ユニット配線板2Aの縦方向上下両側に離間するよう分割して形成されている。そして、接着剤シート28の貼付け工程の後、接着剤シート28からリリースフィルム27は剥離したうえで、前記ジョイント部4a,4bを打ち抜き切断する。
【0056】
その結果、接着剤シート貼り合せエリア6a,6bに接着剤シート28の一部を残存させた状態で、製品シート1から不良ユニット配線板2Aが分離除去される。このあと、良品ユニット配線板を位置合わせ冶具7で位置決めする工程、良品ユニット配線板とスクラップ部3とを接着剤シート28の残存部で接着固定する工程等は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
本実施例2によれば、接着剤シート28は、接着剤シート貼り合せエリアの対峙方向に2分割したもの、即ち、接着剤シート28における前記対峙方向中間部分を切除したものを使用するので、接着剤シート28の使用量を節減できると共に、前記接着剤シート貼り合せエリア6a,6bへの接着剤シート28の貼付け工程が容易化すると共に、前記接着剤シート貼り合せエリア6a,6bへの接着剤シート28の接着強度を増大させることができる。
【実施例3】
【0058】
前記実施例1,2とは異なり本実施例3は、接着剤シートに貼り付けたリリースフィルムにハーフカット部を設けたことを特徴とするものであり、それ以外の構成は前記実施例に係る集合基板と同様である。
【0059】
製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合は、図9に示すように、製品シート1のスクラップ部3に接着剤シート貼り合せエリア6a,6bを形成し、不良ユニット配線板2A外周の製品外形打抜き空洞部5に位置合わせ冶具7を立設する。次に、予め用意したリリースフィルム30付き接着剤シート29を不良ユニット配線板2A、ジョイント部4a,4b及び接着剤シート貼り合せエリア6a,6bに貼り付ける。
【0060】
この場合、接着剤シート29のリリースフィルム30には、接着剤シート29の縦方向中央部においてプルタブ用のハーフカット部31が設けられている。本実施例3では、ハーフカット部31は一直線ではなく、リリースフィルム30を剥離しやすい曲線、例えば接着剤シート29の縦方向において互いに逆向きに突出する弧状部を有する曲線に形成されている。
【0061】
そして、接着剤シート28の貼付け工程の後、接着剤シート28からリリースフィルム27は剥離したうえで、前記ジョイント部4a,4bを切断して接着剤シート貼り合せエリア6a,6b内に接着剤シート28の一部を残存させた状態で、製品シート1から不良ユニット配線板2Aを分離除去する。
【0062】
このあと、良品ユニット配線板を位置合わせ冶具7で位置決めする工程、良品ユニット配線板とスクラップ部3とを接着剤シート28の残存部で接着固定する工程等は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0063】
本実施例3によれば、リリースフィルム30の剥離用ハーフカット部31は、接着剤シート29の縦方向において互いに逆向きに突出する弧状部を有するので当該個所が指掛りとなり、リリースフィルム30の剥離を容易に行える効果があり、ユニット配線板取り替え時の生産性を向上させることができる。
【0064】
本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、複数のユニット配線板が形成された集合基板であれば、ユニット配線板の用途、構造、形状などの種類にかかわらず、各種の集合基板に有効に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 集合基板の製品シート
2 ユニット配線板
2A 不良ユニット配線板
2B 良品ユニット配線板
3 スクラップ部
4a,4b ジョイント部
5 製品ユニット外形部
6a,6b 接着剤シート貼り合せエリア
7 位置合わせ冶具
8 冶具架台
9 製品外形打抜き空洞部
11 リリースフィルム
12 (両面)接着剤シート
14a,14b ジョイント部
16a,16b 貼り合せエリア
17 絶縁ベース
18 回路金属箔
19 カバーフイルム
22 配線板本体部
24a,24b ジョイント部
26a、26b 接着剤シート貼り合せエリア(貼着エリア)
28,29 両面接着剤シート
30 リリースフィルム
31 ハーフカット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品シートにおけるジョイント部を除く部分を打ち抜いて複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合、該不良ユニット配線板を良品ユニット配線板に取り替える集合基板のユニット配線板取り替え方法であって、
製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアを形成する第1の工程と、前記不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に位置合わせ冶具を立設する第2の工程と、前記不良ユニット配線板、ジョイント部及び接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートを貼り付ける第3の工程と、該ジョイント部を切断して該接着剤シート貼り合せエリアに両面接着剤シートの一部を残存させた状態で前記製品シートから前記不良ユニット配線板を分離除去する第4の工程と、配線板本体部が前記不良ユニット配線板と同一形状であり、且つ、前記接着剤シート貼り合せエリアと対応する貼着エリアを有する良品ユニット配線板を前記不良ユニット配線板除去個所に位置合わせ冶具で位置決めして、該良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを前記両面接着剤シートを介して接着固定する第5の工程とを含むことを特徴とする集合基板のユニット配線板取り替え方法。
【請求項2】
前記ユニット配線基板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法。
【請求項3】
前記良品ユニット配線板の貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとの接合部分は、前記ユニット配線板に形成された回路金属箔及びカバーフイルムが取り去られていることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法。
【請求項4】
前記両面接着剤シートが、剥離用ハーフカットを有するリリースフィルム付きの両面接着剤シートであることを特徴とする請求項1記載の集合基板のユニット配線板取り替え方法。
【請求項5】
製品シートにおけるジョイント部を除く部分を打ち抜いて複数のユニット配線板が形成された集合基板の製品シート内に不良ユニット配線板が存在する場合、該不良ユニット配線板を打ち抜き除去した箇所に良品ユニット配線板を固定して取り替える集合基板であって、
前記製品シートのユニット配線板周辺部分であるスクラップ部における複数個所のジョイント部近傍に接着剤シート貼り合せエリアが形成され、不良ユニット配線板外周の製品外形打抜き空洞部に立設した位置合わせ冶具で良品ユニット配線板の位置決めを行い、該良品ユニット配線板に設けた貼着エリアと前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアとを両面接着剤シートを介して接着固定したことを特徴とする集合基板。
【請求項6】
前記ユニット配線基板がフレキシブル配線板であることを特徴とする請求項5記載の集合基板。
【請求項7】
前記スクラップ部の接着剤シート貼り合せエリアは、前記ユニット配線板の対峙する複数個所に形成され、且つ、前記両面接着剤シートが前記対峙方向両側に離間するように分割して形成されていることを特徴とする請求項5記載の集合基板。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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