説明

集塵装置および空調装置

【課題】放電を用いたイオン化手段と、一体型の通風体を挟んで設けられた電圧印加平板電極とアース平板電極からなる集塵部、そして送風ファンの順で構成される電気集塵式集塵装置は、集塵装置に導入された粉塵はイオン化手段で帯電し、平板電極を一定間隔で積層して電圧を印加することで電場を形成する後段の集塵部で除去されるが、タバコ煙などにはタールや炭素分および水分を多く含んでおり、これら成分が集塵部の表面に付着して導電性の膜を形成し、集塵部表面の電荷が消滅して集塵性能が低下するという課題がある。
【解決手段】一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極2によって形成される集塵部1において、前記交互に異なる電圧が印加される電極2の少なくともどちらか一方にオルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電するイオン化手段を前段に設け、その後段に、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成して帯電した粉塵を捕集する集塵部を設けたものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には積層する片方の極性の電極を絶縁体である樹脂製のフィルムで被覆した集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図8を参照しながら説明する。図8に示すように、荷電部101は線状電極102とアース対向板103とからなり、荷電部101の通風方向下流側に電圧印加電極105とアース集塵電極106を重ね合わせてロール状に巻いた集塵部104を設けている。集塵部104に空気を通過させるためにアース集塵電極106には表面を切り起こして設けた導電性の突起110を設ける加工が施されており、電圧印加電極105とアース集塵電極106は一定の間隔を開けて保持されている。また、電圧印加電極105は絶縁体である樹脂フィルムで被覆されており、アース集塵電極106およびアース集塵電極106に設けられた突起と接触しても短絡を起こさない工夫が施されている。通常、荷電部101においては線状電極102とアース対向板103との間に5〜15kV、また、集塵部104の電圧印加電極105とアース集塵電極106との間に2〜6kVの電位差を持つように高圧電源107によって線状電極102および電圧印加電極105にそれぞれ電圧が印加されている。
【0004】
上記構成において、荷電部101では線状電極102に高い電圧がかかっており、線状電極102近傍に非常に強い電場が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、アース電極の間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵を帯電させる。帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部104に導入され、電圧印加電極105とアース集塵電極106との電場の力を受けて主にアース集塵電極106に付着して取り除かれ、清浄な空気が集塵部104の後方から吹出される。
【0005】
また、特許文献2には周囲全体を絶縁性合成樹脂でモールドした電圧印加電極105と、電圧印加電極105に平行して設けられたアース集塵電極106とで集塵部104を構成し、絶縁性合成樹脂によって形成されたモールド材108に撥水剤を混入させる、もしくはモールド材108表面に撥水層109を設ける集塵装置が示されている。その集塵装置について図9を用いて説明する。図9はプラスの電圧が印加される電圧印加電極105、およびアースに接続されるアース集塵電極106で構成される集塵部の拡大図となっており、電圧印加電極105は絶縁性合成樹脂で形成されるモールド材で被覆されることによってアース集塵電極106との絶縁が保たれている。また電圧印加電極105とアース集塵電極106との間に粉塵を含んだ空気を通過させるために、アース集塵電極106を折り曲げ加工することによって得られた導電性の突起110が設けられている。粉塵は集塵部104の前段に設けられた荷電部101によってプラスに帯電され、帯電した粉塵は集塵部104の電圧印加電極105およびアース集塵電極106の間を通過する時に電場の力を受けて主にアース集塵電極106に付着し、取り除かれて清浄な空気が集塵部後方から吹出される。また、電圧印加電極105のモールド材108の表面には撥水層109が設けられているため、高湿度になった際も表面に濡れが生じず、モールド材108の表面の電荷が消滅することを防ぐことで集塵性能を維持する工夫がなされている。
【特許文献1】特開平6−31200号公報
【特許文献2】特公平6−45017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空気中に浮遊するタバコの煙はカーボンなどの固形分、タールなどの液状の油分、そして水分といった導電性を有する成分を多分に含んでいる。また、空気中に排出される自動車などの排気には導電性を有するカーボン粒子が含まれる。そして集塵装置の集塵部は、電圧印加電極とアース集塵電極とが接触して短絡しないように一定の間隔を開けて保持することで絶縁のためおよび空気を通過させるための空間が設けられているが、タバコの煙や排気ガス中のカーボン粒子を集塵すると、粉塵に含まれる導電性を有する成分が電極上に捕集され堆積することで、電圧印加電極とアース集塵電極の間の空間層による絶縁距離が小さくなり、短絡してスパークを引き起こし、ノイズと電極破損の原因となる。また電圧印加電極とアース集塵電極が短絡を起こすと両電極間の電位差が得られなくなって集塵性能が低下するという課題があり、電圧印加電極とアース集塵電極との短絡を防止することが要求されている。
【0007】
また、絶縁体で電圧印加電極の全体を被覆した集塵部においては、電圧印加電極とアース集塵電極との短絡を完全に防ぐことができるが、導電成分を含む粉塵を集塵することによって絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることがある。この絶縁体の表面に発現した電荷の消滅を引き起こす導電性の膜は、水分が濡れるように付着してできる膜のみではない。集塵部がタバコの煙などを捕集した場合、電極を被覆する絶縁体の表面には水分のみでなく導電成分を含む粉塵が付着することで導電性の膜が形成される。そして電圧印加電極を被覆する絶縁体とアース集塵電極とが接触することで電荷の移動が起こり、その結果絶縁体の表面に発現した電荷は消滅してその後絶縁体の表面に補充されないため、アース集塵電極と電圧印加電極の間に設けられた空間に電場が形成されなくなり集塵性能が低下する。そのため絶縁体の表面に撥水性のみを付与しても集塵性能が低下するという課題があり、どのような粉塵を集塵しても電極を被覆する絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることを防ぐことが要求されている。
【0008】
また、集塵部において、電極を一定の間隔に保持して空気を通過させるために設けるスペーサーと電極との接触部分が接着されていないと強度が得られないという課題があり、スペーサーと電極との接触部分が接着されていることが要求されている。
【0009】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、短絡を防止して電極の電位差を保ち、また、電極の平行性を損なうことなく、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても高い集塵性能を安定して維持することが可能で、また、強度および弾性が高く、外部からの衝撃を受ける、もしくは水洗などの洗浄作業を行うなどをしても、破壊や破損を起こすことがなく、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化することが可能な集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記交互に異なる電圧が印加される電極の少なくともどちらか一方にオルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0012】
また、一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記集塵部の全体に、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0013】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0014】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有する突起の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0015】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0016】
また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0017】
また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有するスペーサーの表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0018】
また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項3乃至8いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極におけるシート状導電体からなる電極を被覆する絶縁体、絶縁性を有する突起、および絶縁性を有するスペーサーの材質が絶縁性の樹脂であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項6乃至9いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項6乃至9いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項11記載の集塵装置において、コルゲートシートの材質がポリブチレンテレフタレートであることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項2、5、8乃至12いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。
【0024】
これらの手段により、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態となっても、電極間のスパークおよび漏れ電流の増大を防ぎ、またシート状絶縁体およびスペーサーの表面に発現した電荷の消滅を防ぐことで高い集塵性能を半永久的に安定して維持することが可能となる。また、外部からの衝撃を受ける、または水洗などの洗浄作業を行うなどしても集塵部の破壊や破損を起こさない集塵装置を簡単かつ手軽に得られる。
【0025】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。
【0026】
この手段により、シリコーンポリマーの粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に強固かつ均一にシリコーンポリマーの膜を設けることが可能な集塵装置が得られる。
【0027】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に誘電体材料を添着することを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項15記載の集塵装置において、誘電体材料がチタン酸バリウムであることを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項17記載の集塵装置において、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項20記載の集塵装置において、抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項22記載の集塵装置において、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置において、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0037】
これらの手段により、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることが可能な集塵装置が得られる。
【0038】
また、請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0039】
この手段により、粉塵を帯電して集塵部で高い効率で捕集することが可能な集塵装置が得られる。
【0040】
また、請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0041】
この手段により、僅かな放電電流で粉塵を帯電し、集塵部で高い効率で捕集することが可能な集塵装置が得られる。
【0042】
また、本発明の空調装置は、請求項27に記載したとおり、請求項1乃至26いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。
【0043】
この手段により、空調機能と同時に高性能かつ性能低下の無い安定した空気清浄機能を半永久的に持つ空調装置が得られる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても短絡を防止して電極間の電位差を保つと同時に電極表面の電荷の消滅を防ぐことで安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができる。また衝撃を受ける、または水洗などの洗浄作業を行うなどしても集塵部の破壊や破損を防ぐことができ、また、電極の間に設けられた空間における電場の強度を高めることで集塵性能を高めることができ、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、不活化させることができるという効果のある集塵装置および空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の集塵装置は、一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記交互に異なる電圧が印加される電極の少なくともどちらか一方にオルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。また、〔請求項2〕一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記集塵部の全体に、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0046】
シリコーンポリマーは主鎖にシロキサン結合を、側鎖に例えばメチル基を持つ構造となっており、主鎖がらせん状となる分子構造を持つことにより発現する撥水性と、高い絶縁性、化学的安定性、弾性および接着性を兼ねそろえた材料である。また、シリコーンポリマーは全体としてミクロな隙間を有する特徴を持つ。空気中に浮遊するタバコの煙はカーボンなどの固形分、タールなどの液状の油分、そして水分といった導電性を有する成分を多分に含んでいる。また、空気中に排出される自動車などの排気には導電性を有するカーボン粒子が含まれる。そして集塵装置の集塵部は、異なる電圧が印加される電極どうしが接触して短絡しないように一定の間隔を開けて保持することで絶縁のためおよび空気を通過させるための空間が設けられているが、タバコの煙や排気ガス中のカーボン粒子などといった導電性を有する成分が電極上に捕集され堆積することで、異なる電圧が印加された電極間の空間層による絶縁距離が小さくなり、短絡してスパークを引き起こす。また、異なる電圧が印加される電極どうしが沿面で短絡して漏れ電流の増加ならびに電圧の低下を引き起こさないように、絶縁体で支持して沿面の絶縁を確保しているが、タバコの煙など導電成分を含む粉塵が沿面の絶縁を確保するための絶縁体の表面に付着すると、この絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることで漏れ電流が増大し、電極に印加する電圧の低下を引き起こして集塵性能を低下させる。本発明は集塵部にタバコの煙などが付着して集塵性能が低下することを防ぐことを主眼とし、集塵部の異なる電圧が印加される電極の少なくとも一方、もしくは集塵部全体にシリコーンポリマーの膜を設けたものである。導電成分を含む粉塵が電極の表面に捕集されて堆積することで、異なる電圧が印加される電極間に設けられた空間が小さくなりスパークを発生しながら短絡を起こすが、本発明では導電成分を含む粉塵と電極との間に高い絶縁性を有するシリコーンポリマーの膜が存在するため、導電成分を含む粉塵が電極の表面に堆積しても異なる電圧が印加される電極どうしが空間において電気的につながることがなく、スパークを発生させない。また、異なる電圧が印加される電極間の沿面の絶縁を確保するための絶縁体の表面にもシリコーンポリマーの膜を設けているため、その撥水性および隙間構造により、タバコの煙など導電成分を含む粉塵が非連続的に付着し、導電性の膜を形成させない。このことから、異なる電圧が印加される電極間の漏れ電流を抑制し、電極に印加する電圧の低下を防ぐことができる。これらの理由によって安定して高い集塵性能を手軽かつ安価に得ることができる。そしてシリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、電極などで構成される集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができるという作用を有する。
【0047】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0048】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有する突起の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0049】
また、シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0050】
このようにシート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆し絶縁した完全絶縁型電極を用いることで、スパークといった空間の絶縁破壊による短絡や、異なる電圧が印加される電極どうしが直接接触することによって起こる短絡を完全になくすことができるが、完全絶縁型電極の絶縁体の表面にタバコの煙などといった導電成分を含む粉塵が付着して導電性の膜が形成され、絶縁体の表面に発現した電荷が移動し、消滅して粉塵の通過する空間の電場が弱まる。この電場の弱まりによって集塵性能の低下が引き起こされる。本発明においては完全絶縁型電極の絶縁体の表面、もしくは集塵部の全体に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けているため、タバコの煙といった導電成分を含む粉塵を集塵しても、完全絶縁型電極の絶縁体の表面に連続して付着することを抑制し、その結果導電性の膜が形成されることを防ぐことができる。そして同時に、完全絶縁型電極の絶縁体にエンボス状の突起加工を行う、もしくは絶縁体に突起を一体加工するなどして絶縁性を有する突起を完全絶縁型電極の両面に設けることで、粉塵を含む空気を通過させつつも完全絶縁型電極の絶縁体とシート状導電体からなる電極とが直接接触しない構造となっている。また、絶縁性を有する突起に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けることで絶縁性を有する突起の表面にタバコの煙といった導電成分を含む粉塵が連続して付着することを抑制し、導電性の膜が形成されることを防ぐことができることから、完全絶縁型電極の絶縁体表面に発現した電荷とシート状導電体からなる電極表面に発現した電荷とが互いに結び付き合うように移動して中和し、消滅することを防ぐことができる。これらのことから、導電成分を含む粉塵を集塵しても高い集塵性能を維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、完全絶縁型電極の絶縁体や絶縁性を有する突起を含めて集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができる。これらの作用は集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることでも得ることができ、その際には完全絶縁型電極の両面に設けられた絶縁性を有する突起とシート状導電体からなる電極との接触面は、高い接着性および弾性を有するシリコーンポリマーで接着されるため集塵部全体が大きな強度と弾性を有する。そのため外部からの衝撃を受けても、集塵部は破壊されずに接着によって一体化された状態を保持することができる。また、完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設けることで、完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを一定間隔に配列する構造を、交互に積層するだけで得ることができるといった作用を有する。
【0051】
また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有するスペーサーの表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。また、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。完全絶縁型電極の絶縁体の表面に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けているため、タバコの煙といった導電成分を含む粉塵を集塵しても、完全絶縁型電極の絶縁体の表面に連続して付着することを抑制し、その結果導電性の膜が形成されることを防ぐことができる。そして同時に、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを配列しているため、粉塵を含む空気を通過させつつも完全絶縁型電極の絶縁体とシート状導電体からなる電極とが直接接触しない構造となっている。また、絶縁性を有するスペーサーに絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けることで絶縁性を有するスペーサーの表面にタバコの煙といった導電成分を含む粉塵が連続して付着することを抑制し、導電性の膜が形成されることを防ぐことができることから、完全絶縁型電極の絶縁体表面に発現した電荷とシート状導電体からなる電極表面に発現した電荷とが互いに結び付き合うように移動して中和し、消滅することを防ぐことができる。これらのことから、導電成分を含む粉塵を集塵しても高い集塵性能を維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、完全絶縁型電極の絶縁体や絶縁性を有するスペーサーを含めた集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができる。これらの作用は集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることでも得ることができ、その際には絶縁性を有するスペーサーと、完全絶縁型電極もしくはシート状導電体からなる電極との接触面は、高い接着性および弾性を有するシリコーンポリマーで接着されるため集塵部全体が大きな強度と弾性を有する。そのため外部からの衝撃を受けても、集塵部は破壊されずに接着によって一体化された状態を保持することができる。また、完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを一定間隔に配列する構造を、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら交互に積層するだけで得ることができるといった作用を有する。
【0052】
また、請求項3乃至8いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極におけるシート状導電体からなる電極を被覆する絶縁体、絶縁性を有する突起、および絶縁性を有するスペーサーの材質が絶縁性の樹脂であることを特徴とするものである。絶縁性の樹脂としてはポリプロピレン(以下PP)やポリエチレン(以下PE)といったポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(以下PET)やポリブチレンテレフタレート(以下PBT)といったポリエステル類、もしくはポリスチレン(以下PS)、ポリカーボネート(以下PC)やポリウレタンなどが挙げられる。絶縁性を有する樹脂は絶縁耐圧が15kV/mm以上と絶縁性が非常に高く、また成形性や加工性がよいという特徴を持つため、シート状導電体を樹脂によってラミネートやモールド加工により被覆して高い絶縁性を有する完全被覆型電極を容易に作成することが可能となる。また可撓性が高いことから、完全絶縁型電極、シート状導電体からなる電極、また絶縁性を有するスペーサーを長い帯状にし、重ね合わせて巻くことによって集塵部を形成することが可能となるという作用を有する。
【0053】
また、請求項6乃至8いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とするものである。
【0054】
多孔体は3次元の方向に網目状の立体構造を成す繊維状基材からなっており、空気は多孔体の内部を通過することができる。このような3次元の網目構造を持つ多孔体を電極の間に挟むことで電極の間に空気を通過させる通風路を設けることができるという作用を有する。
【0055】
また、請求項6乃至8いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とするものである。コルゲートシートは通風方向に垂直な断面において波状や三角状、もしくはコの字状といった形状をしており、コルゲートシートを電極の間に挟むことで、電極の間に空気を通過させる空間を規則的な配列で均一に設けることができるという作用を有する。
【0056】
また、請求項11記載の集塵装置において、コルゲートシートの材質がポリブチレンテレフタレートであることを特徴とするものである。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は形状記憶性を持つため、例えば加熱可能な歯車を上下に持つコルゲート成形機にPBTのシートを通すことによって容易にコルゲート形状を得ることができ、そして外力を受けてもコルゲート形状を損なわずに保つことが可能なコルゲートシートを得ることができるという作用を有する。
【0057】
また、請求項2、5、8乃至12いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。
【0058】
シリコーンポリマーには接着成分が含まれており、集塵部をシリコーンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することで、電極もしくはシート状絶縁体とスペーサーとの接触部分を含めた集塵部全体を、シリコーンポリマーで接着して一体化して弾性および強度と得ることと、集塵部全体にシリコーンポリマーの膜を均一に設けることを一括して同時に行うことができるという作用を有する。
【0059】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。シリコーンポリマーは例えばトルエンやシクロヘキサン、ノルマルヘキサンといった極性の小さい芳香族系や炭化水素系の有機溶剤で希釈することができる。このような極性の小さい有機溶剤で希釈することでシリコーンポリマーの粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一にシリコーンポリマーの膜を設けることができるという作用を有する。
【0060】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に誘電体材料を添着することを特徴とするものである。チタン酸バリウムなどの誘電体材料を集塵部の表面に添着する、もしくはシリコーンポリマーの溶液に混合して集塵部をコーティングすることで、電極、電極を被覆する絶縁体もしくはスペーサーの表面に発現する電荷を増加させ、電極間に設けられた空間の電場の強度を高めることで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0061】
また、請求項1乃至16何れかに記載の集塵装置において、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制することで増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部1に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができるという作用を有する。
【0062】
また、請求項1乃至24何れかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。放電による電離現象などを用いて得られた空気イオンを集塵部1の風上に発生させ、取り込んだ空気中に存在する粉塵に付着させることによって粉塵を帯電させ、そして帯電した粉塵を集塵部に送り込んで捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0063】
また、請求項1乃至24何れかに記載の集塵装置において、集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。放電による電離現象などを用いて得られた空気イオンを吹出し口から部屋へ供給することによって部屋の中の空気中に存在する粉塵を帯電させる。このように部屋の空間において帯電された粉塵を集塵部に送り込んで捕集することができるという作用を有する。
【0064】
また、本発明の空調装置は、請求項27に記載したとおり、請求項1乃至26いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至1いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に安定して高い空気清浄機能を持たせることができるという作用を有する。
【0065】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0066】
(実施の形態1)
集塵部1は、一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極2によって形成され、集塵部の全体にオルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜3を設けた集塵部の一例を図1に示す。電極2の表面に高い絶縁性を有するシリコーンポリマーの膜3を設けているため、導電成分を含む粉塵4が電極2に付着してもスパークの発生といった空間の絶縁破壊の発生を防ぐことができ、集塵部1は導電性を有する支持棒5によって電極2がひとつおきに一定の間隔をあけて支持され、かつ電極2を支持棒5によってひとつおきに電気的に接続した構造となっている。そして支持棒5は絶縁性を有する沿面絶縁体6に固定支持されている。シート状導電体からなる電極2の材質としてはアルミや鉄、ステンレスといった金属板もしくは金属箔や、カーボン樹脂の成形シートなどが良く用いられる。そしてこのようにして作られた集塵部1を、シリコーンポリマーを炭化水素系有機溶剤に溶かした溶液の中に漬け込む、もしくは前記シリコーンポリマーの溶液を吹き付けるなどして集塵部1全体にシリコーンポリマーの膜3を設けている。このようにして電極2の表面に高い絶縁性を有するシリコーンポリマーの膜3を設けているため、導電成分を含む粉塵4が電極2に付着してもスパークの発生といった空間の絶縁破壊の発生を防ぐことができる。また、異なる電圧が印加される電極2どうしは絶縁性を有する沿面絶縁体6によって沿面における絶縁が確保されているが、沿面絶縁体6の表面にも絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜が設けているため、沿面絶縁体6に導電成分を含む粉塵4が非連続的に付着して導電性の膜を形成しない。このため異なる電圧が印加される電極2どうしにおける沿面絶縁体6を伝わって流れる漏れ電流を抑制し、電圧の低下を防ぐことができることから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部1の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜3は集塵部1から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部を得ることができる。
【0067】
(実施の形態2)
両面に絶縁性を有する突起を設けた完全絶縁型電極と、一方の電圧が印加される電極とを積層することで構成した集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜3を設けた集塵部の側面図を図2に、正面図を図3に示す。図2に示すように完全絶縁型電極7は、シート状導電体からなる電極2を、この電極2よりも幅の広いシート状絶縁体8で挟むようにして貼り合わせることで電極2を完全に被覆できるものとなっている。シート状絶縁体8は材質としてPPやPE、PET、PBT、PS、PCといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。完全絶縁型電極7における電極2はシート状絶縁体8で全体が被覆されるため、もう一方の電圧が印加される電極2と直接接触することがなくなり、異なる電圧が印加された電極2の間の空間および沿面の絶縁を完全に確保することができることから、異なる電圧が印加される電極2の間で生じるスパークや漏れ電流の増大による電圧の低下を完全に防ぐことができる。そして図2に示すように、完全絶縁型電極7におけるシート状絶縁体8の表面にはプレス成型や真空成型などによって浮き上がらせる、もしくは射出成型などの一体成型を行うなどによって絶縁性を有する突起9が設けられている。この絶縁性を有する突起9によって、完全絶縁型電極7の表面ともう一方の電圧が印加される電極2とを直接接触させることなく、空気を通過させるための空間を設けながら完全絶縁型電極7ともう一方の電圧が印加される電極2とを交互に積層することができる。
【0068】
そして図には示していないが、シート状絶縁体8や絶縁性を有する突起9を含む集塵部1全体の表面には絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜3を設けており、導電成分を含む粉塵4はシリコーンポリマーの膜3が有するミクロな隙間によって非連続的に付着するために、シート状絶縁体8および絶縁性を有する突起9の表面に導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このため、シート状絶縁体8の表面に発現した電荷が中和して消滅することがなく、そして完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2に設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部1の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜3は集塵部1から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部1を得ることができる。
【0069】
なお、シート状絶縁体8として主に絶縁性を有する樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば無機材料といった他の材料を用いても効果に差は生じない。
【0070】
また、絶縁性を有する突起9を設けた完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2を長い帯状のものにして重ね合わせ、一定の間隔を開けてロール状に巻いても同様の効果を有する集塵部1を作成することができる。
【0071】
また、完全絶縁型電極7は、電極2の全体を覆って完全に絶縁される形であれば、絶縁体で電極2をモールドするといったその他の方法を用いても効果に差異を生じない。
【0072】
(実施の形態3)
完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極との間に3次元の網目構造を持つ多孔体を挟んで積層することで構成された集塵部の全体に、シリコーンポリマーの膜を設けた集塵部を図4に示す。多孔体10は3次元の方向に網目状の立体構造を成す繊維状基材からなっており、空気が通過できる空間を内部に持つ。材質としてはPPやPE、PET、PBT、もしくはポリウレタンなどといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。このような3次元の網目構造を持つ多孔体10を完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間に挟むことで、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間に空気を通過させる空間を設けることができる。また、図には示していないが集塵部1全体の表面には絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜3を設けており、導電成分を含む粉塵4が非連続的に付着することからシート状絶縁体8および多孔体10の表面に導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このためシート状絶縁体8の表面に発現した電荷が消滅することがなく、多孔体10によって設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部1の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜3は集塵部1から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部を得ることができる。
【0073】
なお、長い帯状のものにした完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2との間に、長い帯状にした多孔体10が挟まれるように積層したものをロール状に巻いても同様の効果を有する集塵部1を得ることができる。
【0074】
また、多孔体10の材質として主に樹脂を用いているが、絶縁性、そして通風可能な空間を内部に有するのであれば、セラミックスなどといった他の材質で作成した多孔体10を用いてもその効果に差異を生じない。
【0075】
(実施の形態4)
完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極との間にコルゲートシートを挟んで積層することで構成された集塵部の全体に、シリコーンポリマーの膜3を設けた集塵部を図5に示す。コルゲートシート11は図5に示すとおり波状の形状となっており、材質としてはPPやPET、PBTもしくはPCなどといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。コルゲートシート11は図4に示すとおり波状の形状をしており、コルゲートシート11を完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間に挟むことで、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間に空気を通過させる空間を規則的な配列で均一に設けることができる。また、集塵部1全体の表面には絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜3を設けており、導電成分を含む粉塵4が非連続的に付着することからシート状絶縁体8およびコルゲートシート11の表面に導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このためシート状絶縁体8の表面に発現した電荷が消滅することがなく、コルゲートシート11によって設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部1の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜3は集塵部1から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部1を得ることができる。
【0076】
なお、長い帯状のものにした完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2との間に、長い帯状にしたコルゲートシート11が挟まれるように積層したものをロール状に巻いても同様の効果を有する集塵部1を得ることができる。
【0077】
また、図4に示したコルゲートシート11は波型の形状であるが、完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2の間に空間を設けることができるのであれば、三角状やコの字状といった他の形状であっても効果に差を生じない。
【0078】
また、コルゲートシート11の材質として樹脂を用いているが、絶縁性、そして通風可能な空間を設けるため形状を有するのであれば、ガラス繊維などの無機材といった他の材質によるコルゲートシート11を用いてもその効果に差異を生じない。
【0079】
(実施の形態5)
上記実施の形態4で示した集塵部を有する集塵装置の集塵効率を評価した実験結果を以下に示す。図6は本実験の実験室を示す図であり、図7は同集塵部の寸法図を示す図である。図6に示すように、集塵効率を求める際は、温湿度制御可能な実験室で、ダクトを用いて上流側から荷電部101、集塵部1、送風機12の順番で設置した実験装置を作成し、面風速が1.4m/sとなるように送風機12を設定して集塵効率を求めた。そしてリオン製パーティクルカウンターKC18を用い、荷電部の上流側および集塵部の下流側の空気中に含まれる粒径0.1μm以上の粉塵を測定し、以下の式を用いて集塵効率を算出した。
【0080】
η=(1−Cin/Cout)×100
η:集塵効率(%)、Cin:荷電部上流側の粉塵濃度(個/L)、Cout:集塵部下流側の粉塵濃度(個/L)
実験に用いた荷電部101は幅100、高さ50mmの開口寸法、25mmの奥行寸法を持つABS製ボックスに80μmの径を持つタングステン製の線状電極102を3本水平に設置し、線状電極102の中心に位置するようにアース対向板103を16mmの間隔で4枚設置したものを用いた。線状電極102に約4kVの電圧を印加し、温湿度20℃40%RHで評価する際は5μA、30℃80%RHで評価する際は10μAの放電電流となるようにコロナ放電を起こして通過する粉塵を帯電させた。集塵部1の作成に用いた部品は以下のとおりである。厚さ15μm、幅20mmの長い帯状のアルミ箔からなる電極2の両面に、厚さ50μm、幅30mmの長い帯状のPETフィルムからなるシート状絶縁体8を接着剤で貼り合わせて完全に被覆したものを作成し、完全絶縁型電極7として用いた。また、厚さ50μm、幅30mmの長い帯状のアルミ箔を作成し、これをシート状導電体からなる電極2として用いた。また、厚さ80μm、幅30mmの長い帯状のPBT製シートを波高さが1.67mmとなるように波状にコルゲート加工したものを作成し、コルゲートシート11として用いた。評価を行った各集塵部について説明する。比較例1の集塵部は、完全絶縁型電極7、コルゲートシート11、シート状導電体からなる電極2、コルゲートシート11の順番で積層し、ロール状に巻いた構造となっている。比較例2の集塵部は、表面にシリコーンポリマーの膜3を設けた完全絶縁型電極7と、上下の頭の距離が2.4mmとなるように折り曲げて導電性の突起13を設けたシート状導電体からなる電極2とを重ね合わせてロール状に巻いた構造となっている。比較例3の集塵部は、比較例1の集塵部において、集塵部1の全体にフッ素樹脂の膜を設けたものである。これらに対して実施例1の集塵部は、比較例1の集塵部において、完全絶縁型電極7の表面のみにシリコーンポリマーの膜3を設けたものである。また、実施例2の集塵部は、比較例1の集塵部において、コルゲートシート11の表面のみにシリコーンポリマーの膜3を設けたものである。また、実施例3の集塵部は、比較例1の集塵部において、集塵部1の全体にシリコーンポリマーの膜3を設けたものである。なお、これらの集塵部は全て図7に示す寸法で作成した。ちなみに完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間隔を示す電極間隔は、比較例2の集塵部で1.2mm、それ以外の集塵部で1.67mmとなる。実験の際にはシート状導電体からなる電極2をアースに接続し、完全絶縁型電極7に4kVの電圧を印加して両電極に4kVの電位差を与えた。
【0081】
実験においては、集塵部1が低湿度(20℃40%RH)かつタバコの煙で汚れていない時、および高湿度(30℃80%RH)かつタバコの煙を集塵して汚れている時という2つの条件で集塵効率がどのように変化するかを評価した。具体的には新品の集塵部1を実験装置に組み込み、20℃40%RHに制御された実験室の中で集塵効率を測定した。その後荷電部101、集塵部1、送風機12を設けた集塵装置を組んで、容積0.5立方メートルのアクリルボックスの中で合計40本のタバコを燃焼させながら運転してタバコの煙を集塵させた後、温湿度が30℃80%RHに制御された実験室に集塵部1を持ち込んで実験装置に組み込み、集塵効率を求めた。
【0082】
【表1】

【0083】
評価を行った集塵部の仕様および集塵効率の測定結果を表1に示す。タバコの煙0本付着、20℃40%RHの条件では全ての集塵部において集塵効率が97%以上となったが、タバコの煙40本付着、30℃80%RHにおいては比較例1、2、3の集塵部はそれぞれ53.6%、68.3%、48.5%となったのに対して実施例1、2、3の集塵部はそれぞれ75.8%、64.6%、95.6%となった。タバコの煙を集塵することで比較例1の集塵部の表面には導電性の膜が形成され、完全絶縁型電極7の表面に発現した電荷が消滅して集塵効率が大幅に低下した。それに対して比較例2の集塵部は、完全絶縁型電極7の表面にシリコーンポリマーの膜3を設けることで導電性の膜の形成を抑制している。しかしながら40本分もの大量のタバコの煙を集塵すると、シリコーンポリマーの膜3を設けたとしても、完全絶縁型電極7の表面には導電性の膜が僅かに形成された状態となる。そしてシート状導電体からなる電極2に設けられた導電性の突起13と完全絶縁型電極7とが直接接触する構造となっているため、この接触部分によって完全絶縁型電極7の表面に発現した電荷が移動し、シート状導電体からなる電極2の表面に発現した電荷と結びついて消滅することがある程度の割合で起こることで集塵効率が低下した。また、比較例3の集塵部は、集塵部1全体に撥水性を有するフッ素樹脂の膜を設けているが、40本分もの大量のタバコの煙を集塵すると、フッ素樹脂の膜によって水分をはじくことができても、タバコの煙に含まれる導電成分を含む粉塵は表面を覆うように付着してしまう。そのため完全絶縁型電極7やコルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されてしまい、集塵効率が大幅に低下した。すなわち完全絶縁型電極7やコルゲートシート11の表面に撥水性のみを表面に付与しても大量のタバコの煙を集塵することで集塵性能が低下することがわかった。それに対して実施例1の集塵部は、完全絶縁型電極7の表面にシリコーンポリマーの膜3を設けると同時に絶縁性を有するコルゲートシート11を挟んで空気が通過する空間を設けることで、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2とが直接接触しない構造となっている。このように完全絶縁型電極7の表面に導電性の膜が形成されること、および完全絶縁型電極7の表面に発現した電荷がシート状導電体からなる電極2と直接接触することで移動し、消滅することを抑制することができる構造となっているため、40本分のタバコの煙を集塵しても集塵効率の低下が小さかった。また、実施例2の集塵部は、コルゲートシート11の表面にシリコーンポリマーの膜3を設けているため、タバコの煙を集塵しても完全絶縁型電極7の表面に導電性の膜が形成されることは抑制できていないが、コルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されることを抑制することで、完全絶縁型電極7およびコルゲートシート11の表面に発現した電荷がコルゲートシート11を通じてシート状導電体からなる電極2に移動することを抑制している。そのため比較例1および比較例3の集塵部と比較して集塵効率の低下は小さくなった。また、実施例3の集塵部においては、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2の間に絶縁性を有するコルゲートシート11を挟んだ集塵部1の全体にシリコーンポリマーの膜3を設けているため、タバコの煙を集塵しても完全絶縁型電極7およびコルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されることを抑制している。更にコルゲートシート11によって完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2とが直接接触しない構造となっているため、完全絶縁型電極7の表面に発現した電荷がシート状導電体からなる電極2に直接接触することで移動し、消滅することを防ぐと同時に、完全絶縁型電極7の表面に発現した電荷がコルゲートシート11を通じてシート状導電体からなる電極2に移動し、消滅することを防ぐことができる。このようなことから、タバコ40本分の煙を集塵した後においても30℃80%RHの高湿度の環境で95.6%と高い集塵効率を維持した。
【0084】
また、比較例1の集塵部の完全絶縁型電極7およびシート状導電体からなる電極2の間で測定した静電容量は3.26nFとなり、他の集塵部と比較して大きい。これは電極2を折り曲げ加工して設けた導電性の突起13が完全絶縁型電極7と接触しており、接触部分において電極間隔が大幅に小さくなるためである。静電容量が大きいと、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2との間に蓄えられる電荷量が大きくなる。多くの電荷が蓄えられた状態で完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2とを同時に使用者が触った時に受ける感電のショックは非常に大きいものとなる。また、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2が接触している部分において、完全絶縁型電極7のシート状絶縁体8の絶縁が破壊され、集塵部1に電圧が印加できなくなって集塵部1としての機能を果たせなくなる可能性が高くなるといった欠点を持つ。実施例1、2、および3の集塵部では絶縁性を有するコルゲートシート11を挟むことで完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2が直接接触しない構造となっているため、静電容量は0.33〜0.34nFと非常に小さい。そのため万が一の感電時に受けるショックは小さいものとなっている。また、完全絶縁型電極7とシート状導電体からなる電極2とが絶縁性を有するコルゲートシート11を挟むことによって直接接触しない構造となっているため、完全絶縁型電極7のシート状絶縁体8の絶縁が破壊される可能性はまずないといってよく、集塵部としての機能を半永久的に保つことが可能となることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の集塵装置は、集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有し、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0086】
また本発明の集塵装置を備えた空調装置は、長期間において安定した集塵性能を得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態1に記載の集塵部の構成図
【図2】実施の形態2に記載の集塵部の側面を示す構成図
【図3】実施の形態2に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図4】実施の形態3に記載の集塵部の構成図
【図5】実施の形態4に記載の集塵部の構成図
【図6】実施の形態5に記載の実験室を示す図
【図7】実施の形態5に記載の集塵部の寸法図
【図8】従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【図9】従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【符号の説明】
【0088】
1 集塵部
2 電極
3 シリコーンポリマーの膜
4 導電成分を含む粉塵
5 支持棒
6 沿面絶縁体
7 完全絶縁型電極
8 シート状絶縁体
9 絶縁性を有する突起
10 多孔体
11 コルゲートシート
12 送風機
13 導電性の突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記交互に異なる電圧が印加される電極の少なくともどちらか一方にオルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
一定の間隔で配列され、交互に異なる電圧が印加されるシート状導電体からなる電極によって形成される集塵部において、前記集塵部の全体に、オルガノポリシロキサンを主骨格としたシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有する突起の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
シート状導電体からなる電極の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極の両面に絶縁性を有する突起を設け、前記完全絶縁型電極とシート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記完全絶縁型電極の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項7】
絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記絶縁性を有するスペーサーの表面にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項8】
絶縁性を有するスペーサーを挟みながら、完全絶縁型電極と、シート状導電体からなる電極とを交互に積層してそれぞれに異なる電圧を印加する集塵部を構成し、前記集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする集塵装置。
【請求項9】
完全絶縁型電極におけるシート状導電体からなる電極を被覆する絶縁体、絶縁性を有する突起、および絶縁性を有するスペーサーの材質が絶縁性の樹脂であることを特徴とする請求項3乃至8いずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
コルゲートシートの材質がポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項11記載の集塵装置。
【請求項13】
集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とする請求項2、5、8乃至12いずれかに記載の集塵装置。
【請求項14】
シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とする請求項13記載の集塵装置。
【請求項15】
集塵部に誘電体材料を添着することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
誘電体材料がチタン酸バリウムであることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項17】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項17記載の集塵装置。
【請求項19】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項20】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項22】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項22記載の集塵装置。
【請求項24】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至24いずれかに記載の集塵装置。
【請求項26】
集塵部と送風機を備えた集塵装置の吹出口に、空気をイオン化して粉塵を帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−289337(P2006−289337A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258803(P2005−258803)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】