説明

集積化X線源モジュール

制御付きの強度及び明確なスペクトルのX線を放出する小型真空X線管を含む、自蔵式の小型、軽量で電力効率が高く放射線遮蔽されたモジュールについて記述されている。ビーム電流及び電圧の監視及び維持に、帰還制御回路が使用される。X線管、高電圧電源及び共振コンバータが固体の高電圧絶縁材に封入される。このモジュールは、複雑な形状寸法に構成可能であり、市販の小型、コンパクト、低電圧バッテリによって電力供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してX線発生装置に関し、より詳細には、小型、軽量、かつ電力効率の高いX線源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
X線システムを含む装置は、たとえば金属、鉱石、土壌、水、塗料及びそのほかの材料のXRF(X線蛍光)分析、セキュリティ目的のためのタガント(taggant)材料の識別及び穿孔における材料の分析を含む種々の目的に関する分野において使用されている。最近まで現場携帯XRF機器は、要求されるX線束を提供すべくCd−109のような放射性線源を使用していた。しかしながら、放射性線源の強度は時間とともに減衰して頻繁な再較正を必要とし、また放射性線源は、輸送、保管及び廃棄に関して厳格な規制対象でもある。それに加えて放射性線源を不使用時に止めることが不可能であり、その種の線源に関連する安全性の問題をさらに悪化させる。
【0003】
放射性線源の代替として、装置は、XRF及びそのほかのX線分析応用のための電子X線源を使用するX線システムを含んでいてもよい。約5−100kVの範囲の電圧において5ワット又はそれ未満の電力レベルで動作するX線源は、ほとんどの現場携帯X線機器のための強度及びスペクトルの要求を満たすことが知られている。実用的な考察としては、小型軽量であり、人間工学的な持ち運び型の筐体内に収まり、乾電池等の軽量バッテリから電力供給され、かつX線管からの迷放射が操作者に到達することを防止する放射線遮蔽を組み込んだ現場携帯X線源があれば望ましい。また、あらかじめ決定された強度の安定したX線ビームを提供すべくX線源の電圧及び電流を高度に調整(たとえば、0.1%の変動より良好)させることが望ましい。装置は、その動作パラメータが機器内に収容されたほかの電子回路によって外部的に制御可能であるようなものであることも望ましい。従来のX線管及びそれと協働するエレクトロニクスは、典型的には、50ワット又はそれを超えるはるかに高い電力レベルにおいて動作するべく設計される。それらは、現場携帯応用のためには大きさ及び重さにおいて過大であり過度の電力を必要とする。したがって、XRF機器及びそのほかの携帯持ち運び型X線分析機器に使用するための高精度の安定した低電力、軽量、コンパクトな放射線遮蔽付きX線源に対する要求がある。
【0004】
持ち運び型X線発生装置の放射線遮蔽は特に困難である。X線遮蔽は、一般に、鉛、タングステン又はモリブデンのような高い原子番号の高密度材料で作られたX線源を取り囲む層の形態をとる。5−100kVにおいて動作するX線管は、X線ターゲットでの電子ビーム焦点スポットから全方向に一様にX線を放出することから、所望のX線ビームに沿った方向以外の方向の放出が遮蔽されなければならない。実際上は、X線管自体の壁によって、また冷媒流体(存在する場合)及びX線管を囲む電気的絶縁材によって一部の遮蔽が提供されるが、通常これは管に近接する人の被曝の防止に充分ではない。遮蔽材の合計質量を最小化するためには、可能な限りX線源に近接させて遮蔽材を装着することが望ましいといえる。しかしながら通常には、これは、前述した冷媒流体及び電気的絶縁材の存在に起因して実際上は可能でない。それに加えて、放射線不透過材料から形成された外部ハウジングによって遮蔽を提供する場合には、ハウジングの割れ又は継ぎ目の排除に極限の注意を払わなければならない。満足のゆく遮蔽は、通常、各継ぎ目に重ね合わせ領域を設けることによって達成されるが、遮蔽材の合計重量がさらに増加する。X線源に対して遮蔽材を変位不可能に確保することにも最大の注意を払わなければならない。これは、現場において大きな機械的及び温度的応力を受けることのある携帯ユニットにおいて特に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、現存するシステムの欠点を克服した現場応用のために使用できる低電力X線システムがあれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、X線を発生するシステムである。X線管はX線を放出する。電子ビーム電流制御エレクトロニクスは、X線管の電子ビーム電流の測定に基づく第一の帰還信号を使用して当該X線管の電子ビーム電流を制御する。高電圧制御エレクトロニクスは、電圧検知に基づく第二の帰還信号を使用して高電圧電源を制御し、ここで、共振コンバータは当該高電圧電源を駆動し、ビーム電流検知抵抗はX線管の陽極に接続されており、当該ビーム電流検知抵抗は第一の帰還信号を発生させる。
【0007】
本発明の別の態様は、X線を発生するシステムである。X線管はX線を放出する。当該X線管に結合された高電圧電源は、そのX線管に使用するための高電圧を供給し、共振コンバータによって駆動される。X線管はフィラメントを含んでいる。制御回路は当該高電圧電源を制御し、電圧帰還信号に応答する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、放射線遮蔽付きX線モジュールである。X線管はX線を放出する。当該X線管に結合された高電圧電源は、そのX線管に使用するための高電圧を供給する。電気接続は、X線管を高電圧電源に接続し、ここで、X線管、高電圧電源及び電気接続は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入される。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、X線管、共振コンバータ、当該共振コンバータによって駆動される高電圧電源及びX線管を高電圧電源に接続し、かつ高電圧電源を共振コンバータに接続する電気接続を包含するX線モジュールである。X線管、高電圧電源及びX線管を高電圧電源に接続する電気接続は固体の電気的絶縁材に封入される。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、フィラメントを有し、X線を放出するX線管、共振コンバータ、当該共振コンバータによって駆動される高電圧電源、低電圧制御エレクトロニクス及びX線管を高電圧電源に接続し、低電圧制御エレクトロニクスを共振コンバータに接続し、そして共振コンバータを高電圧電源に接続する電気接続を含むX線モジュールである。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、X線放出において使用される電子素子を、放射線不透過材料を含む固体の成型ブロックに封入することと当該固体の成型ブロックを導電層によって取り囲むこととを含むX線モジュールを製造する方法である。
【0012】
本発明の別の態様は、X線放出器において使用される制御エレクトロニクスである。電子ビーム電流制御エレクトロニクスは、放出されたビーム電流の電流検知に基づく第一の帰還信号を使用して電子ビーム電流を制御する。ビーム電流検知抵抗はX線管の陽極に接続される。このビーム電流検知抵抗は、当該第一の帰還信号の発生に使用される。高電圧制御エレクトロニクスは、電圧検知に基づく第二の帰還信号を使用して高電圧電源を制御し、ここで、共振コンバータは高電圧電源を駆動する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、電子ビーム電流を制御する電子ビーム電流制御エレクトロニクスにおいて使用される第一の帰還信号を生成することと;高電圧電源を制御する高電圧制御エレクトロニクスにおいて使用される第二の帰還信号を生成することとを含む:高電圧電源によって駆動されるX線放出装置の電子ビーム電流及び電圧を制御するための方法であって、第一の帰還信号は放出されたビーム電流の電流検知に基づいており、ここで、第一の帰還信号は、X線管の陽極に接続されたビーム電流検知抵抗を使用して発生され、第二の帰還信号は電圧検知に基づいており、ここで、共振コンバータは高電圧電源を駆動する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、X線を放出するX線管、そのX線管に使用のための高電圧を供給する当該X線管に結合された高電圧電源及びX線管を高電圧電源に接続する電気接続を含む:放射線遮蔽付きX線モジュールである。X線管は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入される。
【0015】
本発明の特徴及び利点については、添付図面とともに以下の例示的実施態様の詳細な説明からより明らかなものとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1Aを参照すると、ケーブル800によってプリント回路基板(PCB)700に接続されたモジュラユニット400の実施態様10の一例が示されている。PCB700及びモジュラユニット400の詳細は、以下の段落の中でより詳細に述べる。モジュラユニット400は、電気的絶縁ポッティング材600に入れられており、接地された導電表面650によって囲まれている。このユニット400は、PCB700における低電圧電力及び制御回路によって電力供給され、PCB700は、それに含められている標準のストレージバッテリからの電力を得る。ここで注意が必要であるが、別の実施態様は、PCB700にバッテリが配されない構成でのバッテリを含んでいてもよい。PCB700に含まれる低電圧回路は、高電圧モジュールユニット又はモジュラユニット400の外に配置してもよく、またそれは絶縁ポッティング材内に配置してもよい。いずれの場合においても、低電圧回路が電気ケーブルを介して又はほかの適切な基板対基板コネクタによってモジュールに接続される。
【0017】
ここで注意することは、図1Aの実施態様が、たとえば持ち運び型機器のための応用に使用してもよい近似的な寸法で描かれたシステム10を示していることである。ほかの実施態様では、特定の応用及び装置に従ってシステム10とは異なる大きさを使用することがある。
【0018】
モジュラユニット400は、エポキシのような硬質、非導電性の高絶縁耐力材600に封入されており、接地された導電表面650は、この実施態様の場合、硬質封入材600の外側表面に対して接着性のある薄層又は被覆である。
【0019】
図1Aは、一実施態様に従った、封入されたユニット400及び別体のPCB700の低電圧電力及び制御回路を示している。ユニット400は、小型低電力X線管120、高電圧電力供給素子118、電圧検知抵抗122及びフィラメントトランス230を備える。ユニット400は、標準のストレージバッテリからの電力を得るPCB700に含まされてもよい低電圧電力及び制御回路とともに使用されるべく設計されている。
【0020】
図1Aにおいて低電圧電力及び制御回路は、単一のプリント回路基板700に装着され、薄い柔軟な低電圧ケーブル800によってユニット400に接続され得る。この構成は、全体的な寸法を縮小し、特定の現存する応用及び新しい応用への本発明の組み込みにおいてより大きな柔軟性を提供することができる。それに代えて、低電圧電力及び制御回路の一部又はすべての部品を封入されたユニット400内に含めることが可能である。その上、X線管窓の正面に対する付属品の取り付け又は外部構造に対する前述の装置の取り付け又はその素子の一つの取り付けを可能にすべく、機械的な相互接続機構を上記のものの中に組み込んでもよい。この相互接続機構は、たとえば一連のねじ付き孔又はそのほかのフランジ及びタブを含む機械的な取り付け機構の形態をとることができる。
【0021】
ユニット400の素子は、非導電性の高絶縁耐力材料から作られた固い成型ブロック600内に封入される。ブロック600は、エポキシ、ウレタン又はシリコンポッティング化合物から成型することができる。一実施態様においては、ブロックは、エマーソン アンド カミング スタイキャスト(Emerson & Cuming Stycast)2850FTのような硬化時に固化する硬質の二分割エポキシ樹脂成型システムから成型される。それに代えて、ブロックを、P.D.ジョージ カンパニ(P.D.George Co.)(ミズーリ州セントルイス)の製品番号第200/65のような半硬質ウレタン材料から成型してもよい。空隙(エアポケット)は、高電圧絶縁破壊を導き得る強化電界の領域を作り出すので、成型材料が空気を含まないことを確保すべくこの分野で公知の樹脂成型技術を利用することができる。これらの技術は、使用に先行する成型材料の真空脱気及び加圧硬化を含んでもよい。高電圧ブロックは、たとえばX線管及び関連エレクトロニクスによって生成される電界を遮蔽すべく、典型的には厚さが1ミルから2ミルの薄い導電層によって囲まれる。
【0022】
薄い導電層650は、好ましくは高電圧ブロックの外側表面に直接的に塗布される。この層は、スーパー シールド コンダクティブ ニッケル コーティング(Super Shield Conductive Nickel Coating)(MGケミカルズ(MG Chemicals)カナダ、トロント州)のような導電性金属性塗料又は薄い金属箔(たとえば、厚さ1−2ミルのアルミニウム又は銅箔)又は金属化高分子(たとえばアルミニウム化マイラ)から形成してもよい。薄い箔が使用される場合には、適切な接着剤を用いてそれを高電圧ブロックに直接的に接着してもよい。導電層は、典型的には、基本的に高電圧電源及びそのほかのこのX線機器内のエレクトロニクスに対して接地電位に維持される。これは、たとえば、電気的に高電圧電源に接続され、被覆が塗布されたときに導電性被覆により覆われる封入されたユニットに接地パッドを備えることによって達成されてもよい。
【0023】
図1Aに示されているX線管120は、ブロックの主部から延びる細い首部の先端に配置されている端部窓(エンド−ウインドウ)管である。空間が制限されている場合であっても、この形状寸法によってX線管の出力窓450を、照射されるべき領域の近傍に配置することが可能になり、それによって最高可能X線強度をその場所に与えることができる。この首部は、高電圧モジュールの残りの部分に対して角度を持って配向されることが示されている。
【0024】
ここで認識されることになろうが、図示の形状寸法は単なる例に過ぎず、高電圧モジュール400は、特定の応用の要求によって教示されるとおりに、広範各種の形状寸法構成において容易に製造することが可能である。たとえば、いくつかの応用では、側部向き窓(サイド−ルッキングウインドウ)をもったX線管が有利になり、別の応用では湾曲した首部が有利になることもあり得る。実際、封入材は、内部素子の電気的機能と両立する実質的に任意の形状寸法にも成型することが可能である。樹脂成型技術は、この分野において周知である。図示の例においては、X線管120は、フィラメントトランス230から電力を受ける熱フィラメント電子エミッタを使用する。このほかのエミッタ、たとえばフィラメントトランスを必要としない冷陰極エミッタのようなものを使用することも可能である。
【0025】
フィラメントトランスの二次側とX線管のフィラメントとの間の接続は、フィラメント駆動回路によって発生される電気的ノイズを最小化するために同軸ケーブルを用いて行われる。図1Aは、内側導体と外側導体との間の空間に電気的絶縁封入材料が充填された硬質の同軸ケーブル460によって高電圧発生器及びフィラメントトランスに接続されたX線管を示している。それに代えて、市販されている柔軟な同軸ケーブルを使用することもできる。図1Aにおいては、高電圧電源素子118の高電圧端子が同軸ケーブルの外側導体に接続されて示されており、その外側導体は、次にX線管の陰極端410に接続されている。それに代えて、同軸ケーブルの内側導体を使用することによって高電圧発生器とX線管の陰極との間の接続を行うことも可能である。フィラメントトランスの二次側は、X線管のフィラメントリードに接続される。この構成においては、フィラメント駆動回路の電流供給及び戻り導体が同軸であり、それによってフィラメントトランスの二次側に接続される回路による電力放出を最小化している。フィラメント回路は、典型的には、もっとも高い電流を低電力X線モジュールに運ぶことから、フィラメント回路によって生成される電気的ノイズを最小化することが特に重要になる。このことは、ノイズに敏感なX線検出回路がX線管の近傍に配置されることがある小型の持ち運び型ユニットの場合に特に重要である。
【0026】
図1Aの高電圧電源素子118、電圧検知抵抗122及びフィラメントトランス230(必要な場合)は、好ましくは高電圧の領域が互いに近接するようにモジュール内に配置される。同様に、X線管の高電圧端もまた、X線機器の形状寸法の制限内にとどめつつ可能な限りほかの高電圧の素子に近づけて配置される。取り囲む封入材の形状は、電源素子と接地された導電性被覆との間に充分な電気的絶縁を提供するように選択される。したがって、動作中に高電圧になる内部素子は、通常はより低い電圧で動作する素子より厚い封入材によって取り囲むようにしてもよい。
【0027】
封入材の最大の厚さは、内部素子の表面における電界の強化に対して考慮すべき追加の安全要因とともにユニットの最大定格動作電圧によって決定される。たとえば、40kVの最大電圧で動作するモジュールに関しては、高電圧絶縁は、625V/ミルの公称絶縁耐力をもった0.25インチ又はそれより小さい成型エポキシ材を使用して達成される。
【0028】
高電圧電源素子118は、たとえばこの分野で周知のようにコックロフト−ウォルトン(Cockroft−Walton)タイプの電圧倍増器とすることができる。このほかの電源構成、たとえば対称カスケード電圧倍増器及び昇圧トランスを含んでいるものも可能である。この実施態様において電源素子118として機能する倍増器は、約70kHzの周波数で動作し、巻き線比125:1をもった昇圧トランス136によって駆動される12段直列給電倍増器である。端子電圧35kVのためには、各段の電圧が約2.9kVになっている。高電圧倍増器118の出力は、10kオームの電流制限抵抗520を介してX線管120に接続される。電圧検知抵抗122は、約10,000:1の分圧比及び1−10Gオームの合計抵抗をもった精密分圧器である。
【0029】
フィラメントトランス230は、この実施態様において、一次巻き線、二次巻き線及び磁性体コアを含む。この分野で知られているとおり、二次側の巻数を一次側の巻数で除して定めた巻き線比を調整して制御回路に対してフィラメントの電圧及び電流範囲を整合させることができる。磁性体コアは、“U”字形、トロイダル、ボビン又はそのほかの通常使用されている磁性体コアの形状寸法とすることができる。コア材料は、好ましくはフェライトとするが、たとえばシリコンスチール、粉末鉄又はメトグラス(metglass)のような別の材料としてもよい。ここで述べている実施態様においては、フィラメントトランスは、マグネティックス(Magnetics)部品番号41809−TCのようなトロイダルフェライトコアを使い、一次巻き数32回及び二次巻き数5回を有する逓降(降圧)トランスである。
【0030】
図1Aの実施態様のX線管120は、好ましくは接地電位での陽極をもって動作する金属セラミックの端部窓(エンド−ウインドウ)X線管である。図1Aに戻ると、X線管120は、セラミック絶縁体430によって分離された陰極端410及び陽極端420を含む。持ち運び型XRF機器における使用のための要求を満たすため、このX線管は、35−40kVの最大動作電圧において、50−100マイクロアンペア以下の電子ビーム電流で動作する。これらのパラメータを伴うX線管は、適当な小さい寸法のものがいくつかの商業供給者から入手できる。たとえば、モックステック(Moxtek)(ユタ州オレム)は、概略の寸法が1×0.38インチの金属セラミック、端部窓(エンド−ウインドウ)の伝達ターゲットX線管を製造している。ニュートン サイエンティフィック インク(Newton Scientific Inc.)(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、類似した動作パラメータをもった概略の寸法が1.5×0.34インチの金属セラミック、端部窓(エンド−ウインドウ)のX線管を製造している。またX−レイ アンド スペシャルティ インストゥルメンツ インク(X−Ray and Specialty Instruments Inc.)(ミシガン州イプシランティ)も寸法が1.5×0.25インチの類似したX線管を製造している。
【0031】
前述した管は、高電圧で動作するべく設計された電子エミッタ(カソード)アセンブリによって一端が終端され、X線ターゲット材料の薄い層により電子ビーム側が被覆されたベリリウムX線窓を包含するX線伝達ターゲットによって他端が終端される真空密閉セラミック管として構成される。市販されているターゲット材料は、Ag、Pd、W等を含む。端部窓(エンド−ウインドウ)の接地陽極構成は、X線ターゲット及び電子ビーム焦点スポットを、図1Aに例示されているとおり、X線モジュールの外側表面に近づけて配置することが可能となり、それによって所定の管電流及び電圧について利用可能なX線の強度を最大化できるので好ましい。
【0032】
適切な動作パラメータ及び側部向き(サイド−ルッキング)X線窓をもった小型X線管も利用可能であり、いくつかの応用においては好ましいこともある。一例に、オックスフォードTRG(OxfordTRG)(カリフォルニア州スコッツバレー)のTF1000/3000シリーズX線管がある。これまで述べたX線管は、すべて、5ワットに満たない電力レベルで動作する熱タングステンフィラメント電子エミッタを使用している。小型冷陰極X線管もまた、オックスフォードTRG(OxfordTRG)によって開発されており、本発明のX線モジュール内における使用に適した構成のものが入手できる。冷陰極を含む実施態様においては、電力が必要ないことからフィラメントトランス230のような図1Aの素子を省略してもよい。
【0033】
図1Aの実施態様においては、電気的絶縁性の放射線不透過充填材料を高電圧ブロック600の封入材に追加することによって放射線遮蔽が提供されている。ここで注意する必要があるが、ポッティング化合物への充填材料の混合には、この分野で知られた任意の一又は複数の技術を使用してもよい。この種の充填材料の例としてタングステン、鉛、バリウム、アルミニウム、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム又はビスマスの化合物(たとえば、酸化物、硫酸塩又は炭酸塩)又はそれらの元素の非化合物形態が挙げられる。その種の化合物は、好適に、所定量の重元素について低い式量をもった安定した化合物である(たとえば、重元素の質量は、化合物内のほかの材料の質量に対して高い必要がある)。それに加えて、充填剤は、エポキシを劣化させるようにエポキシと相互作用すべきでない。封入材600が、X線管の高電圧陰極端410と電気的に接地された被覆650との間に電気的絶縁を提供することから、充填剤もまた、X線管から被覆650に向けられる電圧に耐える充分に高い絶縁耐力を有する必要がある。酸化鉛、酸化タングステン、硫酸バリウム又は酸化ビスマスといった高い原子番号の元素を含む材料は、比較的薄い充填エポキシによって高い度合いの減衰が提供されることになる場合に好ましい。
【0034】
特定の応用に必要な放射線不透過材料の量は、X線源の光子エネルギスペクトル及び希望する放射線減衰の程度に依存する。上記のタイプのX線源は、最大電圧と電子電荷の積に等しい最大エネルギをもった連続体(又は制動輻射)光子スペクトルを放出することはよく知られている。したがって、35kVにおいて動作するX線源は、35keVのエンド−ポイント光子エネルギをもった広いスペクトルを放出する。厚さ0.5mmの鉛がその種のX線源に対して約10の減衰率を提供することは、単純な計算によって示すことができる。約11体積%の酸化鉛を混合した厚さ0.25インチの酸化鉛含有エポキシの層によって同程度の減衰が提供できることも単純な計算によって示すことができる。たとえば、要求される減衰率を達成すべく、エマーソン アンド カミングスタイキャスト(Emerson & Cuming Stycast)2850FTのような標準的なエポキシ樹脂に1−2マイクロメートルの粒子寸法の酸化鉛粉体を混合することができる。
【0035】
ニューハンプシャー州アマーストのレジンシステムズ(Resin Systems)のRS−2232酸化鉛充填エポキシのような市販されている酸化鉛充填エポキシを使用することもできる。それに代えて、タングステン、鉛、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム、バリウム、ビスマス又はこれらの任意の組み合わせの化合物(たとえば、酸化物、硫酸塩又は炭酸塩)が充填された樹脂を上記の実施態様に使用することも可能である。これらの元素は、前記充填樹脂が実質的に非導電性である限り、それらの純粋な形で使用してもよい。高い原子番号の元素及びそれらの化合物がX線放射の効果的な吸収体となることはよく知られている。したがって、ほかの高い原子番号の元素及びそれらの化合物を単独又は上に列挙した材料との組み合わせにおいて使用してもよい。
【0036】
図1Aに示されているとおり、放射線不透過充填エポキシ600は、X線出力窓450を除いてX線管120を完全に取り囲む。放射線不透過エポキシ600は、X線管の高電圧陰極端410と電気的に接地された導電性被覆650との間に電気的絶縁を提供する。また放射線不透過エポキシ600は、X線管のセラミック高電圧絶縁体430の表面に沿った電気的絶縁も提供する。したがって放射線不透過エポキシ600は、X線管の全外側表面と直に接触し、それによって所定の所望の放射線減衰率に対して最軽量の構成を提供する。いくつかの応用においては、照射されるべき物質に出力窓を近づけて配置できるようにすべくX線出力窓の近傍のエポキシの厚さを減じることは有利であり得る。そのような場合には、図1Aに示されているように、X線管の陽極端の周囲に配置されるタングステンのような原子番号の高い材料の中空シリンダ440によって追加の放射線遮蔽を提供してもよい。
【0037】
図1Bを参照すると、図1Aに示したユニット400の側面図が示されている。
【0038】
図1Cを参照すると、モジュラX線源を含むシステムの別の実施態様12の例が示されている。この実施態様12は、相互接続ワイヤ18を使用して電気的に接続されている第一の封入された部分14及び封入されたX線部分16を含んでいる。別の実施態様においては、必要に応じ、一又は複数の部分の間に電気的接続のための別のタイプの接続を使用することができるが、本実施態様においては、相互接続ワイヤ18は、たとえば同軸ケーブルであり得る。X線管は、固体の封入材において分離して部分16に封入されており、且つ本実施態様においては高電圧電源及びフィラメントトランスを含む第一の封入された部分14と接続されている。ここで述べた以前の実施態様における場合と同様に、図1Cの実施態様においても、封入材600は、X線出力窓を除き、X線管の任意部分又はすべての部分を取り囲むことができる。封入材は、放射線不透過材料を含むことができ、それによってX線出力窓によって画定される方向を除くすべての方向においてX線管の出力の効果的な放射線遮蔽を提供する。X線管と高電圧電源とフィラメントトランスとの間の電気接続は、柔軟な又は硬質の電気ケーブルを使用して行うことができる。電気的ノイズの最大遮蔽を提供するため、このケーブルを好ましくは同軸ケーブルとしてもよい。この図1Cの実施態様においては、導電性被覆650は、封入されたX線管ユニットを取り囲み、電気ケーブルを介して高電圧電源の接地端に接続されている。
【0039】
上記の実施態様12は、空間が非常に制限されるX線機器の部分の中にX線管が配置されるいくつかの応用においては利点を有し得る。ここで認識されるべきであるが、X線モジュールの電気素子の他の配置構成も可能であり、本発明のX線ユニットが組み込まれるX線機器の正確な構成に応じて特定の応用においては好ましいこともある。たとえば、フィラメントトランスは、電気ケーブルをもって高電圧電源と接続されたフィラメントトランスとX線管を含むユニットとX線管とともに封入されてもよい。
【0040】
ある実施態様は、二を超える別個のシステム又は装置の素子群を含むことができ、またここで述べたものと異なる素子群を含むこともできる。それに加えて、ここで10及び12として示される実施態様は、封入された部分の中に素子群を含むが、1又はそれ以上の群においては、それぞれの実施及び応用の詳細に従って封入を省略してもよい。たとえば図1Cに戻ると、ある実施態様は、封入された部分14及び16の両方を有するよりも、封入された部分14又は16の一つだけを有していてもよい。
【0041】
ある実施態様においては、一又はそれ以上の群は封入されてもよいが、必ずしもすべての群が放射線不透過材料を含まなくてもよい。たとえば、図1Cの実施態様においては、第一の封入された部分14を、放射線不透過材料を含まない封入材料で成型し、X線管を、放射線不透過材料を含む封入材料で成型することができる。このようにして、放射線不透過材料は、もっとも必要とされるX線放出を遮蔽すべく使用され、それに対して第一の封入された部分は、放射線不透過材料を含めないことによって軽量化される。
【0042】
次に図2A、2B、2C及び2Dを参照すると、ここで述べているシステムに従った別の実施態様の異なる観点が示されている。図2A−2Dに示されているような代替実施態様においては、ユニット400は、ウレタン又はシリコンのような半硬質材料に封入され、別体の硬質軽量導電性ハウジング900内に封じ込められる。
【0043】
ここで注意をするべきであるが、ある実施態様においては、封入材600は、所望のX線ビーム方向以外の方向においてユニットから放射するX線を遮蔽すべく、放射線遮蔽材を含んでいてもよい。
【0044】
電力消費(バッテリ給電の携帯応用における重要な考慮事項)を低減するためにPCB700に含められる回路に関連して高効率の電源及び高確度、高精度制御回路をX線管電子ビームの加速に必要な高電圧の生成及び制御に対してまた熱フィラメントからの熱電子放出による電子ビームの生成に対してここで説明する。
【0045】
以下の段落の中で述べるとおり、高電圧出力は、閉ループ制御下にあり、入力制御信号を介して設定される。特定の応用において望ましいことがあり得る接地陽極構成おいて管の動作を許容すべく負の電圧が使用される。電源は、正の高電圧出力を提供することもでき、この場合には、陰極が接地電位となる。X線管の電子ビーム電流を生成し制御すべくビーム電流回路を使用してもよい。ビーム電流は、閉ループ制御下においてビーム電流入力制御信号を介して設定された大きさをもっている。ここで述べている実施態様においては、高電圧及びビーム電流入力制御信号の両方はアナログ入力電圧であるが、並列又は直列ディジタルビットストリームを含むディジタル入力を実施態様に含めてもよい。
【0046】
図2Eを参照すると、図1Aのシステム10内に含めてもよい素子の実施態様の例示的構成4000が示されている。構成4000は、PCB700に物理的に常駐すべき素子の第一の部分及びモジュール400内に物理的に常駐すべき素子の第二の部分を含む。これらの素子の2つの部分の間における接続は、ケーブル800によって維持される。ここで注意するべきであるが、これは、一つの特定の素子の物理的な分割及びそれらの間の接続である。ほかの実施態様が、ここで述べている素子の異なる物理的分割及び構成を指定することもある。たとえば、一実施態様においては、すべての素子が、別体のPCB700ではなく、モジュール400のケース内にもっぱら常駐することもある。特定の構成が装置の特定の物理的な要求に従って変化してもよい。
【0047】
この実施態様においては、低電圧制御エレクトロニクスを含むPCB700は、高電圧制御ループ1000及びビーム電流制御ループ2000を含む。モジュール400は、高電圧電源1500並びにフィラメントトランス及びX線管2500を含む。
【0048】
PCB700に電力を供給すべくバッテリのような電源をPCB700に含めてもよい。信号KV_ENABLE138及び入力制御信号KV_CTRL100は、システム出力信号KV_MON134として提供する高電圧制御ループ1000に対する入力である。この出力信号134は高電圧出力に比例し、KV_CTRL入力信号によって要求される高電圧との比較において実際に達成された高電圧を外部装置が監視することを可能にするべく提供され、それによって障害検出の手段を提供する。また、高電圧制御ループ1000への入力は、KV_FDBK信号104及びKV_GND_SENSE信号124である。また、高電圧制御ループ1000からの出力信号として、高電圧電源1500に入力される信号HV_PRI_A110、HV_PRI_CT146及びHV_PRI_B112が生成される。高電圧電源1500は、信号HV102、KV_FDBK104及びKV_GND_SENSE124を出力として生成する。
【0049】
ビーム電流許可制御ループ2000は、BC_ENABLE信号232、制御信号BC_CTRL200及びBC_FDBK信号204を入力として有し、出力としてFIL_DRV信号228及びBC_MON信号216を生成し、BC_MON信号216は、ビーム電流に比例しており、外部装置がBC_CTRL入力信号によって要求される電流との比較において実際に達成されたビーム電流を監視することを可能にすべく本発明からの出力として提供されて、それによって障害検出の手段を提供する。フィラメントトランス及びX線管2500は、入力信号FIL_DRV228及びHVを有し、出力として信号BC_FDBK204を生成する。
【0050】
以下の段落においては、上記の信号、素子及びそれらの動作についてより詳細に説明する。
【0051】
図3Aは、高電圧制御ループ1000及び高電圧電源1500に含めてもよい素子の実施態様の一例1100である。1000内の素子はPCB700に含めてもよく、1500に含まれる素子はモジュール400内に含めてもよい。ライン1200は、図1A及び1Bの実施態様に示されるとおり、ケーブル800によって接続される1000と1500とにおける素子の間の物理的分離を表している。
【0052】
図3Bは、ビーム電流制御ループ2000並びにフィラメントトランス及びX線管2500に含めてもよい素子の実施態様の一例2100である。2000内の素子はPCB700に含めてもよく、2500に含まれる素子はモジュール400内に含めてもよい。ライン2200は、ケーブル800によって2500におけるほかの素子に接続される2000の素子の間における物理的分離を表している。
【0053】
ここで図3A、4A、4B及び4Cを参照し、高電圧制御ループ1000及び高電圧電源1500の実施態様1000の作動を説明する。図4A、4B及び4Cは、図3Aに含まれる素子に関するより多くの詳細を提供する。特に、図4Aは、KV誤差処理128及びKV監視出力フィルタ132を含む構成の例である。図4Bは、共振コンバータ128を含む構成の例である。図4Cは、HV倍増器ブロック118を含む構成の例である。
【0054】
入力制御信号100(KV_CTRL)は、所望の高電圧出力102を設定する。高抵抗分圧器122による実際の高電圧出力102の測定から引き出された帰還信号104(KV_FDBK)は、U18−3において計測増幅器130の正入力に印加される。接地検知信号124(KV_GND_SENSE)は、U18−2においてこの計測増幅器130の負入力に印加される。接地検知信号124の目的は、高電圧出力の正確な制御を提供するには必要であるところのU18と122との間に存在し得る接地降下(グラウンドドロップ)に起因して誘起される何らかの誤差について104を修正することにある。
【0055】
ここで図4Aを参照すると、U18−6における修正されたこの帰還信号126は、U17Aを組み込んだ比例−積分−微分(PID)制御機能を含むKV誤差処理ブロック128の入力に印加される。このブロック128はいくつかの機能を実行する。それは、まず、入力制御信号100と修正された帰還信号126とを比較し、抵抗R55及びR60に流れる電流における差に基づく誤差信号を生成する。ビーム電流の高精度制御を達成するために、好ましくは極めて厳密な許容誤差及び優れた温度安定性をもった抵抗を使用してもよい。この実施態様においては、帰還信号126の微分がC29及びR53を介して導出される。微分帰還は、過渡応答を改善し、制御ループのオーバーシュートを低減すべく使用されてもよい。
【0056】
図4Aの特定の実施態様においては、システムの過渡的振る舞いは、意図された応用又は用途に対して、微分帰還を含ませることを必要とすることなく受け入れ可能であり得る。したがって、ここで述べる微分帰還とともに使用するための特定の素子及び/又は接続は、ここで述べている当該実施態様においては使用されず、むしろ図4Aには、未定の(do−not−populate:DNP)素子値をもって示されている。しかしながら別の実施態様において、微分帰還を使用する実施態様は、これらの素子を使用することもある。回路アーキテクチャにおける素子のための設備は、特定の応用及び実施態様の特定の要求に対する制御ループ応答の調整における最大の柔軟性が考慮されるべく提供されている。誤差の積分は、R70及びC45を介して求められる。積分帰還は、要求された入力値100(KV_CTRL)と104(KV_FDBK)によって示される実際の値との間に生じることのある残留DCオフセット誤差を除去すべく使用される。この誤差の比例積分微分の一定割合の値(scaled version)は、誤差信号106(KV_ERROR)を生じさせるべく、U17Aの演算によって求められて結合される。このPIDアーキテクチャは、制御ループの高精度の安定した高速過渡応答の実現を可能にする。異なる実施態様においては、異なる制御ループの応答特性を達成すべく比例積分微分帰還の種々の組み合わせを使用してもよい。
【0057】
U18−6における修正された帰還信号126は、KV監視出力フィルタブロック132の入力にも印加される。この実施態様において、このブロック132の目的は、出力信号134(KV_MON)を生成すべく、126をフィルタリングし、スケーリングし、そして反転させることにある。出力信号調節のこのほかの形態も可能である。この信号は、高電圧出力に比例しており、KV_CTRL入力信号によって要求される高電圧との比較において実際に達成された高電圧を外部装置が監視することを許容すべくシステム10からの出力として提供され、それによって障害検出の手段を提供する。
【0058】
次に図4Bを参照すると、誤差信号106は、共振コンバータ108の入力に印加されている。共振コンバータ108は、素子U9、U10及びU11を含む。共振コンバータ108は、振幅変調された正弦波駆動を高電圧昇圧トランス136の一次側入力へ供給するべく機能する。トランス136の一次側のインダクタンスは、反射された二次側のインダクタンスとともにキャパシタC2及びトランス136の反射された二次側のキャパシタンスにより追加されるキャパシタンスと共振する。この共振は、トランスの一次側入力端子110及び112に印加される正弦波形をもたらす。U10−2及びU10−1による共振周波数におけるU9−2及びU9−4の夫々の交互の切り替えは、振動を持続させる手段を提供する。振動周波数は、114によって検出され、U10−9における入力として提供される。切り替えは、切り替え遷移の間における最小電力損を達成すべく、正弦波形の零交差の間に生じる。
【0059】
正弦波の振幅、したがって高電圧出力102の大きさは、U10−14におけるパルス幅変調された出力信号116の動作によって設定される。この信号がU11−2及びU11−4においてデュアルFETアレイU11のゲートに印加される。FETアレイU11は、116に応答して交互に導通する相補型のN及びPチャンネルFETを含む。切り替えの間の電力消費を最小化し、かつ電源効率を向上させるために、素子R33、R37、D8A及びD8Bは、U11−4及びU11−2においてFETのゲートに印加される信号の遅い立ち上がり端及び速い立ち下がり端を提供するべく組み合わせることによってFETのN及びPチャンネルの同時導通を防止すべく採用されている。
【0060】
116のデューティサイクルは、誤差信号106の大きさによって決定される。このデューティサイクルは、L1を通る平均電流、したがって136の中央タップ(HV_PRI_CT)146に印加される電圧の振幅を決定する。一方この中央タップの電圧は、136の一次巻き線の共振正弦波電圧の振幅を設定する。この共振コンバータ電力供給は、高電圧許可信号138(KV_ENABLE)を現出させることによって許可される。
【0061】
次に図4Cを参照すると、トランス136の出力が標準のコックロフト−ウォルトン(Cockroft−Walton)構成118のダイオード−キャパシタ電圧倍増器の入力に印加されている。倍増器のダイオードは、電気的な接地に対して負の高電圧出力が提供されるように配向されており、それによってX線管120は陽極接地構成で動作することが可能になる。電気的な接地に対して正の高電圧出力が提供されるようにダイオードが配向される別の実施態様も可能である。陽極接地構成においては、倍増器の高電圧出力が、加速電圧としてX線管120の陰極に印加される。この高電圧出力は、前述したとおりの高電圧帰還信号104を生じさせるべく高抵抗分圧器122を介して検知される。高電圧出力の制御は、入力制御信号100の調整を介して提供される。接地基準信号124(KV_GND_SENSE)は、低電圧制御エレクトロニクスと高電圧電源との間の相互接続ケーブルのいずれかにおける接地降下に起因する帰還信号104に導入される誤差を監視して補償すべく使用される。
【0062】
ここで注意が必要であるが、共振コンバータ108、昇圧トランス136及び高電圧倍増器118の組み合わせは、X線管120用の加速電圧を生成するために使用される。共振コンバータ及び協働する昇圧トランスは、バックライトインバータ電源産業において、冷陰極蛍光管(CCFL)への意図された電力供給適用に採用される高電力効率のトポロジとして知られている。これらのCCFL装置は、たとえばバッテリ動作応用における液晶ディスプレイ(LCD)のためのバックライトとして使用される。それらの応用においては、インバータ出力から達成される高電圧は、典型的には、数キロボルトを超えることがなく、136のような昇圧トランスからの直接出力によって達成することができる。ここで述べている実施態様においては、共振コンバータ及びトランスの技術は、従来の電源応用の関連において使用されるよりはるかに高い出力電圧を達成すべく、高電圧倍増器118と結合されている。ここで使用されているとおり、これらの素子は、たとえば製造者のサポート技術文献に記述されているような意図された応用の要求を超えたはるかに高い出力電圧を生成する応用における組み合わせに使用される。
【0063】
上記の説明においては共振コンバータ及びトランスは高電圧倍増器連鎖と組み合わせて使用される。共振コンバータ及びトランスは、典型的には、たとえばCCFLバックライトインバータに含まれている。前述の構成は、CCFL応用に使用されるよりはるかに高い出力高電圧を生成すべく、共振コンバータ及びトランスを高電圧倍増器連鎖と組み合わせている。それに加えて、このCCFLバックライトインバータ技術の使用及び特にここで述べたとおりの昇圧トランスの使用は、高電圧電源の全体的なパッケージングの寸法を有意に縮小することを可能にする。X線管のための高い加速電圧を生成する他の現存するアプローチは、実施態様に求められるぴったりとしたパッケージングをもたらすことができない。上記の構成は、寸法において小さく、高い電力効率を有する高電圧電源の利点を提供する。これらは、たとえば、はるかに大きいX線管及びAC幹線電力供給電源を使用することがある現存するX線管技術の装置の設計に関連して考慮される典型的な設計要因として特徴付けられ得ない。
【0064】
次に図3B、5A、5B及び5Cを参照し、ビーム電流制御ループ2000及びフィラメントトランス及びX線管2500の実施態様2100の動作を説明する。図5A、5B及び5Cは、図3Bに含まれている素子をより詳細に示している。特に図5Bは、BC誤差処理210及びBC監視出力フィルタ214を含む回路例である。図5Bは、フィラメント駆動218並びにチョッパ及びACカップリング220を含む回路例である。図5Cは、フィラメントトランス及びX線管2500を含む回路例である。
【0065】
ビーム電流制御ループ2000の動作において、入力制御信号(BC_CTRL)200は、所望のX線管ビーム電流出力を設定する。ビーム電流検知抵抗206を介してビーム電流をアースに流すことによって求められた帰還信号電圧204(BC_FDBK)は、U4−3において計測増幅器206の正入力に印加される。ビーム電流の高精度制御を達成するために、抵抗206は、極めて厳密な許容誤差及び優れた温度安定性をもって好ましく特定され得る。この実施態様においては、ビーム電流検出抵抗206がU4と物理的に近接して配置される。その結果、接地検知及び修正が採用されていなく、206の下端における接地レベルと、U4−2における接地基準点との間に有意な差を生じない。別の実施態様においては、ビーム電流検知抵抗206をU4からいくらかの距離を置いて、可能性としては高電圧電源又はX線管の近傍に配置してもよい。これらの実施態様においては、高電圧回路1100に採用し得るような接地検知及び誤差修正に類似したアプローチの採用が望ましいこともある。特にU4−2をその部位での接地ではなくて206の接地端に直接的に接続してもよい。
【0066】
U4−6からの出力の調整された帰還信号208は、比例積分微分(PID)制御機能を組み込んだU5Aを含むBC誤差処理ブロック210の入力に印加される。このブロックは、いくつかの機能を実行する。まず、入力制御信号200と調整後の帰還信号208とを比較し、抵抗R9及びR10を流れる電流における差に基づく誤差信号を生成する。ビーム電流の高精度制御を達成するために、極めて厳密な許容誤差及び優れた温度安定性をもった抵抗が使用される。この誤差の比例積分微分の一定割合の値(scaled version)は、誤差信号212(BC_ERROR)を生成すべくU5Aの演算によって求められて結合される。このPIDアーキテクチャは、制御ループの高精度の安定した高速過渡応答の実現を可能にする。異なる実施態様においては、異なる制御ループの応答特性を達成すべく比例積分微分帰還の種々の組み合わせを使用してもよい。
【0067】
U4−6におけるこの調整された帰還信号208は、BC監視出力フィルタブロック214の入力にも印加される。本発明のこの実施態様においては、このブロックの目的は、出力信号216(BC_MON)を生成すべく、208をフィルタリングし、スケーリングし、そして反転することにある。出力信号調節のこのほかの形態も可能である。信号216は、ビーム電流に比例しており、BC_CTRL入力信号によって要求される電流との比較において実際に達成されたビーム電流を外部装置が監視することを許容すべく本発明からの出力として提供され、それによって障害検出の手段が提供される。
【0068】
次に図5Bを参照すると、この実施態様においては、誤差信号212(BC_ERROR)は、フィラメントに対してヒータ電流を提供するフィラメント制御電源218の入力に印加されている。ほかの実施態様においては、この誤差信号は、フィラメント温度に対するビーム電流生成の略4乗依存を補償すべく誤差信号の4乗根をとる線形化段に最初に印加されてもよい。別の実施態様においては、この誤差信号のこのほかの修正又はスケーリングも可能である。
【0069】
フィラメント制御電源218は、スイッチング調整器U1並びに出力電圧検知抵抗回路網R34及びR32からなる可調ブースト調整器を含む。この回路網は、DC出力電圧222を固定された公称値に維持すべく作用する。ブースト調整器の調節は、この回路網の中央ノードに対するR35を介した誤差信号212の印加によって達成される。このようにして、U5Aの動作によるR35を介して流れ込む又は流れ出す電流は、U1に出力電圧222の調整を行わせて補償する。この電力供給は、ビーム電流許可信号232(BC_ENABLE)の現出によって許可される。
【0070】
DC出力信号222は、この可調DC信号をAC波形に変換するチョッパ及びACカップリングブロック220の入力に印加される。チョッパは、U16、U15及びU7を含む。U16は、U15、すなわちMOSFETドライバに印加される公称値50%のデューティサイクルの方形波出力224を生成する固定周波数発振器である。出力U15−6及びU15−7は、相補型のN及びPチャンネルFETを含むデュアルFETアレイU7のゲートを制御する。これらのFETは交互に導通し、それによってU7−3においてDC入力電圧222をチョップして、チョップされたDC出力226をU7−5、6、7、8で提供する。切り替えの間の電力消費を最小化し、かつ電源効率を向上させるために、素子R11、R13、D6A及びD6Bは、U7−4及びU7−2においてFETのゲートに印加される信号の遅い立ち上がり端及び速い立ち下がり端を提供するべく組み合わせることによってFETのN及びPチャンネルの同時導通を防止すべく採用されている。
【0071】
チョップされたDC信号226は、DC成分を除去すると共に、図5Cに示されているように、フィラメント駆動絶縁トランス230の一次側を駆動するために使用される信号228(FIL_DRV)としてのAC波形を生成すべく、ACカップリングキャパシタC3に印加されている。このトランス230の二次側は、X線管120内の陰極端でのフィラメントに接続されている。このトランスの二次側と高電圧電源102からの出力との間の接続は、フィラメントを加速電位に上げるべく設けられている。動作中の電圧絶縁破壊を防止すべく、230の一次巻き線と二次巻き線との間に高度の電圧絶縁が提供されている。
【0072】
ビーム電流は、入力制御電圧200(BC_CTRL)を0ボルトから上昇させることによって生成される。これは、フィラメント電源222の出力電圧を最小値から、フィラメントを適切に加熱して熱電子放出を生じさせるに充分な値まで上昇させる効果を有する。222の最小出力電圧は、放出を開始する適切な温度にフィラメントが到達することを防止すべく設定されるが、この222の最小出力電圧は、フィラメントをウォームアップすべく、フィラメントの温度を中間値まで上昇させるに充分である。このようにして、短いフィラメントターン−オン応答時間は、ビーム電流が要求される際に冷状態からのフィラメントの加熱に関連する時間を回避することによって達成される。
【0073】
次に図5Dを参照すると、ビーム電流検知を行うべく実施態様に含ませることのできる構成4000の一例が示されている。ビーム電流帰還信号204(BC_FDBK)は、以下のように求められる。ビーム電流は、高電圧倍増器連鎖118を通ってX線管120のフィラメントに流れ、フィラメントにおいて当該ビーム電流は、絶縁トランス230からのフィラメントヒータ電流と合成される。加熱されたフィラメントから熱電子放出される電子は、X線管の陰極(フィラメント)からその陽極(ターゲット及び窓)へ流れるビーム電流を構成する。高精度ビーム電流検知抵抗206は陽極をアースに接続する。電流は、抵抗206を通って流れ、接地戻り路142を経由して高電圧倍増器連鎖118に戻り、回路を完成する。ビーム電流帰還信号電圧204(BC_FDBK)は、ビーム電流検知抵抗206の陽極端での電圧を検知することによって生成される。わずか数ミリボルトの信号が生成されれば充分であり、したがってX線管の陽極は、基本的に接地電位に維持される。
【0074】
ここで注意する必要があるが、以前にこの中で述べたとおり、図5Dは、種々の素子、たとえば図3A及び3Bからの素子及びそれらの間の接続を含んでいる。図5Dに含められている特定の個々の素子は、ビーム電流帰還信号204(BC_FDBK)の動作及び生成を例示し、説明する目的で選択されている。
【0075】
実施態様にビーム電流帰還信号204(BC_FDBK)の生成に関する別の変形を含めてもよい。図5Dは、ビーム電流検知抵抗206を通って接地へ流れる電子ビーム電流に基づいてX線管の陽極においてビーム電流検知が行われる構成を例示している。次に、ビーム電流帰還信号204(BC_FDBK)の生成と関連して使用できる別の代替構成について説明するが、これは図5Dの構成とは対照的に、高電圧倍増器118の接地に基づいてビーム電流検知を行う。
【0076】
図5Eを参照すると、ビーム電流検知を行う実施態様に含めてもよい構成4002の一例が示されている。この構成4002においては、X線管120の陽極は、高電圧倍増器への戻り電流として検知されるビーム電流をもって直接アースに接続され得る。ビーム電流検知抵抗206は、高電圧倍増器連鎖118の接地接続と直列に配置される。X線管120の陽極から流れて接地戻り路を介して戻り電流として高電圧倍増器連鎖118に戻るビーム電流は、ビーム電流帰還電圧としてその後使用される電圧をビーム電流検知抵抗206に発生させる。
【0077】
構成4000においては、高電圧検知抵抗分圧器122は、(図5Eのように)アースに直接的に接続されるのではなく、図示のように206の上端に接続されており、すべての戻りビーム電流を206を介して流させている。このようにすれば、ビーム電流の正確な測定がなされ得る。204(BC_FDBK)の極性は、図5Eの構成からもたらされる電圧の極性から反転される。したがって、図5Eの構成4002を使用するときは、適正な動作のためにU4−2及びU4−3(図5A)の入力における接続が逆転される。高電圧の正確な測定のため、高電圧分圧器122の基底部分の差電圧が測定される。これは、計測増幅器130において、計測増幅器130(図4A)のピンU18−2を直接204(BC_FDBK)に接続し、それによって124(KV_GND_SENSE)への接続を断にすることにより行うことができる。このようにして、修正された帰還信号126をU18−6で発生させるべく、206の電圧降下は、104(KV_FDBK)から差し引かれる。
【0078】
ある実施態様は、DC源入力電圧を固定してもよい。ここで述べているように、電源の一部としてバッテリを使用してもよい。しかしながら、ある実施態様では別の電源、たとえば壁プラグ又はアウトレットに差し込まれるDC源を使用する電源を含めてもよい。
【0079】
高電圧制御ループ及び電源1000の共振コンバータブロック108は、可変出力を達成すべく入力電圧のパルス幅変調に基づいている。この可変出力は、制御ループの動作とともに可変高電圧出力を達成すべく、昇圧トランスを介して電圧倍増器連鎖に印加される。特定のバッテリ給電応用においては、共振コンバータ108に対する入力電圧をバッテリから直接的に得てもよい。しかしながら、バッテリ出力電圧は、典型的には、調整が行われてなく、バッテリの消耗とともに低下する。共振コンバータ108に供給される電圧の調整には種々の電圧調整を利用できる。一例の調整回路が、www.lineartech.com/pdf/1772fs.pdfにおいてリニアテクノロジ(Linear Technology)から入手することのできる「コンスタントフリクェンシーカレントモード・ステップ−ダウンDC/DCコントローラインSOT−23(Constant Frequency Current Mode Step−Down DC/DC Controller in SOT−23)」と題されたテクニカルノートLTC 1772(technical note LTC 1772)の中に述べられている。
【0080】
このほかの、ブースト及びバック−ブーストのような電圧調整器のアーキテクチャも、特定の応用の要件に基づいて採用することができる。重要なことは、バッテリの入力電圧の変動とは独立の固定した出力電圧を調整器が維持するということであり、採用されている特定の調整器のアーキテクチャとは関わりがない。
【0081】
ここで注意が必要であるが、上記の低電圧制御エレクトロニクスは、可変DC源入力電圧によって給電されてもよい。その変動は、可変源入力とは無関係に実施態様に従ったあらかじめ決定された電圧を供給すべく、特定の範囲内としてもよい。一実施態様においては、システムは、+4ボルトから+10ボルトの範囲内で動作することができるが、別の実施態様はほかの範囲を使用することもある。
【0082】
以上の説明は、X線源、高電圧電源及び高精度制御エレクトロニクスを含めてもよいと共に、広範各種の応用に使用される現場携帯X線機器に使用するための複雑な形状寸法に構成され得る低電力、高効率の電気的に遮蔽され、かつ放射線遮蔽されたX線モジュールを提供する。空間が制限されている装置応用において、このコンパクトなX線モジュールを使用することができる。軽量のX線モジュールは、たとえば持ち運び型携帯機器内に含めることができる。このX線モジュールは、出力の調整が行われない小型の低電圧バッテリから給電され、低電力応用のために高い電力効率の利点を提供してもよい。ここで述べた放射線遮蔽付きX線モジュールにおいては、放射線遮蔽の重量は、持ち運び型機器における使用の要求に従って最小化される。
【0083】
前述の説明は、コンパクトなX線ユニットのための電力効率の高い制御回路も提供する。このX線モジュールは、高度の正確性、精度及び安定性に対してX線出力を制御することができる。前述したX線モジュールは、異なるサプライヤからのX線管と相互接続することのできる柔軟性及び適合性の高い内部アーキテクチャを含む。ここで説明したX線モジュールは、硬質の自立構造型の電気的絶縁材内に封入された小型の低電力X線管及び高電圧電源を含むことができる。封入材は、露出させたままに残すX線管のX線出力窓を除いて、X線管、高電圧電源及び制御エレクトロニクスの全部又は任意部分を取り囲むことができる。硬質の封入材の外側表面に被着させた導電性材料の薄層は、モジュールからの電界を遮蔽すべく接地された導電表面を提供する。外部の接地されたハウジングの必要性を排除することによって、ここで述べているX線モジュールは、寸法を最小化し得る。それに加えて、X線モジュールの機械的剛性を硬質の封入材によって提供してもよく、その結果、広範複雑な形状寸法のモジュールを容易かつ経済的に構成してもよい。
【0084】
ここで述べている電気的絶縁封入材は、導電性又は非導電性であってもよい放射線不透過材料であって、ユニットからのX線の放出を遮蔽する放射線不透過材料を含めてもよい。またここで注意する必要があるが、封入材に含められる放射線不透過材料の組み合わせが、その封入材の絶縁耐力に概略で近い高い絶縁耐力を有することが好ましい。放射線不透過材料を電気的絶縁封入材に組み込むことによって、放射線不透過材料をX線管の近傍に近づけ、それによって最小の追加重量で最大の遮蔽を提供する。ここで述べているとおり、組み合わされた放射線不透過材料と封入材料との配合は、封入材の高い絶縁耐力を残すように選択することができる。したがって、放射線不透過封入材をX線管のすべての部分に密着させることが可能になり、さらに遮蔽効果を最大化することが可能になる。それに加えて、封入材の高い絶縁耐力を残すことによって、高電圧絶縁の厚さ及び全体的なモジュールの寸法が実質的に無変更のままとなる。
【0085】
前述の説明は、高電圧モジュールの高電圧電源に効率的な電力の引き渡しを提供する。最良可能電圧調整を得るためには、高電圧DC電源を最高可能周波数において駆動すると好ましいことがある。充分に高い周波数においては、高電圧電源の接地に対する浮遊キャパシタンスが支配的な負荷となる。非常にコンパクトなモジュール寸法の利点を達成するために、前述したものは、接地面を提供すべく導電性材料によって被覆されている最小可能な厚さの高い絶縁耐力材によって取り囲まれたモジュールを含んでいる。前述したものの設計は、接地面が高電圧電源の素子からより離れた平均距離に配置される設計に対して、高電圧電源の接地に対する浮遊キャパシタンスにおける増加を含む。最高可能電力効率を提供するために、この高電圧電源は、共振コンバータ回路によって駆動されてもよい。ここで認識されることになろうが、低電圧制御回路の共振コンバータ及び封入された高電圧モジュールの小さな寸法は、現場携帯バッテリ動作X線機器における使用のための最大限にコンパクトな電力効率の高いX線源を提供すべく、前述した構成においてともに作用する。
【0086】
前述したものはまた、高電圧及びビーム電流出力調整を提供するべく共振コンバータ回路及びフィラメント制御回路において振幅変調技術を使用している。これらの技術の使用は、電力効率の高い設計の利点も提供する。
【0087】
また前述したものは、バッテリ電源から得られるような入力電圧の広い範囲にわたって動作すべく設計された制御エレクトロニクスも提供する。これは、バッテリ電圧が回路に直接印加され得るバッテリ動作機器のための重要な考慮として特徴付けられてもよい。バッテリからの直接的な動作によって、この回路は、バッテリ電圧の予調整を必要としなくなり、それによって回路の複雑性が抑えられ、よりコンパクトな設計が可能になり、さらにはこの予調整段と関連する電力の損失が回避され、より電力効率の高い設計がもたらされる。
【0088】
前述したものの追加の態様は、エレクトロニクス設計アーキテクチャが柔軟な構成を提供することであり、それによって低電圧制御回路をX線管及び高電圧電源アセンブリに直接的に結合し、オプションとしてそれらとともに封入し又は別体で封入されるX線管及び高電圧電源アセンブリを薄い柔軟な低電圧相互接続ケーブルを介して結合することが可能になる。このパッケージングの柔軟性は、利用可能空間及びパッケージングの要求によって指定される非常に多様な空間的形状寸法の構成を見込んでいる。
【0089】
ここでより詳細に示した態様は、異なる商業的売主からのX線管の使用を可能にするエレクトロニクス設計における柔軟性という利点を提供する。制御システムアーキテクチャは、一つの設計の実施が仕様の規定された範囲内において異なるX線管とともに使用できるといったものになる。
【0090】
ここで述べた技術の使用は、自蔵式の非常に小型の軽量で電力効率の高いX線源モジュールを提供し、検査及び分析に使用される持ち運び型であって、バッテリ動作の携帯機器に特に適する。ここで述べた技術を採用する機器の一つの用途は、X線蛍光分光分析法に基づいた材料分析機器であり、それにおいてここで述べた技術を採用する機器は、X線源として広く使用されている放射性アイソトープに代わってもよい。さらに、ここで述べた技術の使用は、単一の電気的に遮蔽され、かつ放射線遮蔽された、軽量コンパクトであり、持ち運び型X線機器において動作されるに充分に安全なユニットにおけるX線管及び関連高電圧エレクトロニクスの一体化を可能にする。さらにまた、電力効率の高い制御エレクトロニクスは、ユニットを標準的な低電力バッテリから動作させ得るように使用され得る。またここで述べたとおり、前述の技術は、特定の機器の空間的要求に従って複雑な形状寸法で構成された装置内において採用され得る。
【0091】
以上、本発明を種々の実施態様に関連して説明してきたが、当業者にはそれらに対する修正が容易に明らかになるであろう。したがって、本発明の精神及び範囲を付随する特許請求の範囲に示す。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】モジュラX線源を含むシステムの実施態様の一例であり、X線管及び高電圧エレクトロニクスを含む封入された高電圧ユニット縦方向断面及び電気ケーブルを介してモジュラユニットに接続される低電圧電力及び制御回路を示した説明図である。
【図1B】ここで説明しているシステムによる図1Aの実施態様の側面図である。
【図1C】モジュラX線源を含むシステムの別の実施態様の例を示した説明図である。
【図2A−2D】ここで説明しているシステムによる別の実施態様を示した種々の斜視図である。
【図2E】ここで説明しているシステムによる素子構成の実施態様の一例を示した説明図である。
【図3A】ここで説明しているシステムによる高電圧制御ループ及び電源の実施態様を例示したブロック図である。
【図3B】ここで説明しているシステムによるビーム電流制御ループ及びフィラメントトランス並びにX線管の実施態様を例示したブロック図である。
【図4A】ここで説明しているシステムによるKV誤差処理及びKV監視出力フィルタブロックの実施態様を例示した回路図である。
【図4B】ここで説明しているシステムによる共振コンバータの実施態様を例示した回路図である。
【図4C】ここで説明しているシステムによるHV倍増器ブロックの実施態様を例示した回路図である。
【図5A】ここで説明しているシステムによるBC誤差処理及びBC監視出力フィルタブロックの実施態様を例示した回路図である。
【図5B】ここで説明しているシステムによるフィラメント制御ブロックの実施態様を例示した回路図である。
【図5C】ここで説明しているシステムによるフィラメント制御逓降絶縁トランス及びX線管の実施態様を例示した回路図である。
【図5D】ビーム電流検出に使用される素子の実施態様を例示した回路図である。
【図5E】ビーム電流検出に使用される素子の別の実施態様を例示した回路図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を放出するX線管と、前記X線管に結合されて、前記X線管を伴う使用のための高電圧を供給する高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続とを包含しており、前記X線管、前記高電圧電源及び前記電気接続は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入されており、前記放射線不透過材料は、タングステン、鉛、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ビスマス、アルミナ、酸化鉛、硫酸バリウム、酸化ビスマス、炭酸カルシウム並びにこれらの材料の任意のいくつかを含む化合物及び混合物からなるグループから選択された材料を含む放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項2】
前記高電圧電源を駆動する共振コンバータをさらに包含する請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項3】
前記共振コンバータに接続された昇圧トランスと、前記昇圧トランスによって駆動される高電圧倍増器とをさらに包含している請求項2に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項4】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択される請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項5】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項6】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項5に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項7】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項6に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項8】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項7に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項9】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項10】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項11】
前記放射線遮蔽付きX線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項1に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項12】
X線管と、共振コンバータと、前記共振コンバータによって駆動される高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続し、前記高電圧電源を前記共振コンバータに接続する電気接続とを包含しており、前記X線管、前記高電圧電源及び前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続は、固体の電気的絶縁材に封入されており、前記電気的絶縁材は、タングステン、鉛、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ビスマス、アルミナ、酸化鉛、硫酸バリウム、酸化ビスマス、炭酸カルシウム並びにこれらの材料の任意のいくつかを含む化合物及び混合物からなるグループから選択された放射線不透過材料を含むX線モジュール。
【請求項13】
前記固体の電気的絶縁材は、エポキシ、ウレタン及びシリコンポッティング化合物のうちの少なくとも一つを包含している請求項12に記載のX線モジュール。
【請求項14】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項12に記載のX線モジュール。
【請求項15】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項14に記載のX線モジュール。
【請求項16】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項15に記載のX線モジュール。
【請求項17】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項16に記載のX線モジュール。
【請求項18】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項12に記載のX線モジュール。
【請求項19】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項12に記載のX線モジュール。
【請求項20】
前記X線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項12に記載のX線モジュール。
【請求項21】
X線放出において使用される電子素子を、放射線不透過材料を含む固体の成型ブロックに封入し、前記固体の成型ブロックを導電層によって取り囲むことを包含しており、前記放射線不透過材料は、タングステン、鉛、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ビスマス、アルミナ、酸化鉛、硫酸バリウム、酸化ビスマス、炭酸カルシウム並びにこれらの材料の任意のいくつかを含む化合物及び混合物からなるグループから選択された材料を含んでいるX線モジュールを製造する方法。
【請求項22】
前記固体の成型ブロックは、エポキシ、ウレタン及びシリコンポッティング化合物のうちの少なくとも一つを包含する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
電源及び制御回路の素子を、放射線不透過材料を含む固体の成型ブロックに封入することをさらに包含する請求項21に記載の方法。
【請求項24】
二分割エポキシ樹脂成型システムを使用して前記固体の成型ブロックを成型することをさらに包含する請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択される請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成される請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
接着剤を用いて前記薄い金属箔を前記固体の電気的絶縁材に対して直接的に接着することをさらに包含する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記X線モジュールは、携帯X線機器に含められる請求項21に記載の方法。
【請求項30】
X線を放出するX線管と、前記X線管に結合されて、前記X線管を伴う使用のための高電圧を供給する高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続とを包含しており、前記X線管は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入されており、前記放射線不透過材料は、タングステン、鉛、カルシウム、タンタル、錫、モリブデン、銅、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ビスマス、アルミナ、酸化鉛、硫酸バリウム、酸化ビスマス、炭酸カルシウム並びにこれらの材料の任意のいくつかを含む化合物及び混合物からなるグループから選択された材料を含んでいる放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項31】
前記放射線遮蔽付きX線モジュールは、携帯X線機器に含められる請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項32】
前記高電圧電源を駆動する共振コンバータをさらに包含する請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項33】
前記共振コンバータに接続された昇圧トランスと、前記昇圧トランスによって駆動される高電圧倍増器とをさらに包含する請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項34】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択される請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項35】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項36】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項35に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項37】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項36に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項38】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項37に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項39】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項40】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項41】
前記放射線不透過材料は、硫酸バリウム又はタングステン、鉛若しくはビスマスの酸化物である請求項30に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項42】
X線を放出するX線管と、前記X線管の電子ビーム電流の測定に基づく第一の帰還信号を使用して前記X線管の電子ビーム電流を制御する電子ビーム電流制御エレクトロニクスと、電圧検知に基づく第二の帰還信号を使用して高電圧電源を制御する高電圧制御エレクトロニクスとを包含しており、共振コンバータが前記高電圧電源を駆動し、ビーム電流検知抵抗が前記X線管の陽極に接続されており、前記ビーム電流検知抵抗が前記第一の帰還信号を発生させるX線発生システム。
【請求項43】
電圧調整器は、固定された入力電圧を前記共振コンバータに与える請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記システムは、逓減バッテリ電力に適合されかつ構成されており、前記共振コンバータの最大出力は、前記バッテリの電圧と独立である請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記システムは、携帯X線機器に含められている請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
X線を放出するX線管と、前記X線管に結合され、前記X線管を伴う使用のために高電圧を供給し、共振コンバータによって駆動される高電圧電源と、前記高電圧電源を制御し、電圧帰還信号に応答する制御回路とを包含しており、前記X線管は、フィラメントを含んでいるX線を発生するシステム。
【請求項47】
前記電圧帰還信号を生成するための手段をさらに包含する請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記電圧帰還信号を生成するための前記手段は、前記高電圧電源の実際の電圧出力を測定すべく使用される高抵抗分圧器を含む請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記高電圧電源は、前記共振コンバータに接続される昇圧トランスと、前記昇圧トランスによって駆動される高電圧倍増器とを含む請求項46に記載のシステム。
【請求項50】
前記システムは、携帯X線機器に含められる請求項46に記載のシステム。
【請求項51】
X線を放出するX線管と、前記X線管に結合されて、前記X線管を伴う使用のための高電圧を供給する高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続とを包含しており、前記X線管、前記高電圧電源及び前記電気接続は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入されている放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項52】
前記高電圧電源を駆動する共振コンバータをさらに包含する請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項53】
前記共振コンバータに接続された昇圧トランスと、前記昇圧トランスによって駆動される高電圧倍増器とをさらに包含する請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項54】
前記放射線不透過材料は、酸化タングステン、酸化鉛、炭酸カルシウム、鉛化合物、硫酸バリウム、タングステン化合物及びアルミナのうちの少なくとも一つを含む請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項55】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択されている請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項56】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項57】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項56に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項58】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項57に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項59】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項58に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項60】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項61】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項62】
前記放射線遮蔽付きX線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項51に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項63】
X線管と、共振コンバータと、前記共振コンバータによって駆動される高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続し、前記高電圧電源を前記共振コンバータに接続する電気接続とを包含しており、前記X線管、前記高電圧電源及び前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続は、固体の電気的絶縁材に封入されているX線モジュール。
【請求項64】
前記固体の電気的絶縁材は、放射線不透過材料を含む請求項63に記載のX線モジュール。
【請求項65】
前記固体の電気的絶縁材は、エポキシ、ウレタン及びシリコンポッティング化合物のうちの少なくとも一つから形成されている請求項64に記載のX線モジュール。
【請求項66】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項64に記載のX線モジュール。
【請求項67】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項66に記載のX線モジュール。
【請求項68】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項67に記載のX線モジュール。
【請求項69】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項68に記載のX線モジュール。
【請求項70】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項63に記載のX線モジュール。
【請求項71】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項63に記載のX線モジュール。
【請求項72】
前記X線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項63に記載のX線モジュール。
【請求項73】
フィラメントを有し、X線を放出するX線管と、共振コンバータと、前記共振コンバータによって駆動される高電圧電源と、低電圧制御エレクトロニクスと、前記X線管を前記高電圧電源に接続し、前記低電圧制御エレクトロニクスを前記共振コンバータに接続し、かつ前記共振コンバータを前記高電圧電源に接続する電気接続とを包含するX線モジュール。
【請求項74】
前記X線管、高電圧電源及び共振コンバータは、固体の電気的絶縁材に封入されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項75】
前記固体の電気的絶縁材は、放射線不透過材料を含む請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項76】
前記X線管、高電圧電源及び共振コンバータは、固体の電気的絶縁材に封入されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項77】
前記固体の電気的絶縁材は、放射線不透過材料を含む請求項76に記載のX線モジュール。
【請求項78】
前記固体の電気的絶縁材は、エポキシを含む請求項76に記載のX線モジュール。
【請求項79】
前記放射線不透過材料は、前記エポキシ全体にわたって均一分布の酸化鉛の粒子から作られている請求項78に記載のX線モジュール。
【請求項80】
前記放射線不透過材料は、前記エポキシ全体にわたって均一分布の酸化タングステンの粒子から作られている請求項78に記載のX線モジュール。
【請求項81】
前記放射線不透過材料は、前記エポキシ全体にわたって均一分布の硫酸バリウムの粒子から作られている請求項78に記載のX線モジュール。
【請求項82】
前記封入材料は、複雑な形状に成形されている請求項76に記載のX線モジュール。
【請求項83】
前記封入材の外側表面に薄い導電性金属膜が蒸着されている請求項76に記載のX線モジュール。
【請求項84】
前記封入材の外側表面に適合する薄い導電性金属層が当該表面に接着されている請求項76に記載のX線モジュール。
【請求項85】
前記X線管と前記高電圧電源とは、同軸ケーブルによって接続されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項86】
前記共振コンバータは、振幅変調のための手段を含む請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項87】
前記低電圧制御エレクトロニクスは、前記高電圧電源に直接的に結合されるプリント回路基板に配置されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項88】
前記低電圧制御エレクトロニクスは、柔軟な低電圧ケーブルによって前記高電圧電源に取り付けられるプリント回路基板に配置されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項89】
前記低電圧制御エレクトロニクスは、固定及び可変DC電源入力電圧のうちの一つによって電力供給されている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項90】
複数の異なるX線管が、前記低電圧制御エレクトロニクスのアーキテクチャと互換性を有する請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項91】
前記低電圧制御エレクトロニクスのアーキテクチャは、比例−積分−微分帰還制御アーキテクチャを採用する請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項92】
前記低電圧制御エレクトロニクスは、フィラメント加熱電流を維持する手段を含む請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項93】
前記低電圧制御エレクトロニクスは、前記X線管の電子ビーム電流及び電子ビーム電圧のうちの少なくとも一つからの少なくとも一つの帰還信号に応答する請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項94】
前記X線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項73に記載のX線モジュール。
【請求項95】
X線放出において使用される電子素子を、放射線不透過材料を含む固体の成型ブロックに封入し、前記固体の成型ブロックを導電層によって取り囲むことを包含しており、前記放射線不透過材料は、酸化タングステン、酸化鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、鉛化合物、タングステン化合物、鉛、タングステン及びアルミナ並びにそれらの材料の任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含むX線モジュールを製造する方法。
【請求項96】
前記固体の成型ブロックは、エポキシ、ウレタン及びシリコンポッティング化合物のうちの少なくとも一つから形成される請求項95に記載の方法。
【請求項97】
電源及び制御回路の素子を、放射線不透過材料を含む固体の成型ブロックに封入することをさらに包含する請求項95に記載の方法。
【請求項98】
二分割エポキシ樹脂成型システムを使用して前記固体の成型ブロックを成型することをさらに包含する請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択される請求項95に記載の方法。
【請求項100】
前記導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成される請求項95に記載の方法。
【請求項101】
前記導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成される請求項100に記載の方法。
【請求項102】
接着剤を用いて前記薄い金属箔を前記固体の電気的絶縁材に直接的に接着することをさらに包含する請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記X線モジュールは、携帯X線機器に含められる請求項95に記載の方法。
【請求項104】
放出された電子ビーム電流の電流検知に基づく第一の帰還信号を使用して電子ビーム電流を制御する電子ビーム電流制御エレクトロニクスと、電圧検知に基づく第二の帰還信号を使用して高電圧電源を制御する高電圧制御エレクトロニクスとを包含しており、ビーム電流検知抵抗はX線管の陽極に接続されており、前記ビーム電流検知抵抗は前記第一の帰還信号を発生させるべく使用されており、共振コンバータは、前記高電圧電源を駆動する制御エレクトロニクス。
【請求項105】
電子ビーム電流を制御する電子ビーム電流制御エレクトロニクスにおいて使用される第一の帰還信号を生成し、高電圧電源を制御する高電圧制御エレクトロニクスにおいて使用される第二の帰還信号を生成することを含み、前記第一の帰還信号は、放出されたビーム電流の電流検知に基づいており、前記第一の帰還信号は、X線管の陽極に接続されたビーム電流検知抵抗を使用して発生され、前記第二の帰還信号は、電圧検知に基づいており、共振コンバータは、前記高電圧電源を駆動する、高電圧電源によって駆動されるX線放出装置の電子ビーム電流及び電圧を制御するための方法。
【請求項106】
X線を放出するX線管と、前記X線管に結合され、前記X線管を伴う使用のための高電圧を供給する高電圧電源と、前記X線管を前記高電圧電源に接続する電気接続とを包含し、前記X線管は、放射線不透過材料を含む固体の電気的絶縁材に封入されている放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項107】
前記放射線遮蔽付きX線モジュールは、携帯X線機器に含められている請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項108】
前記高電圧電源を駆動する共振コンバータをさらに包含する請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項109】
前記共振コンバータに接続された昇圧トランスと、前記昇圧トランスによって制御される高電圧倍増器とをさらに包含する請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項110】
前記放射線不透過材料は、酸化タングステン、酸化鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、鉛化合物、タングステン化合物、鉛、タングステン及びアルミナ並びにそれらの材料の任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含む請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項111】
前記放射線不透過材料の量は、あらかじめ決定された放射線減衰の程度に従って選択されている請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項112】
電気的遮蔽を提供すべく前記固体の電気的絶縁材を覆う薄い導電層をさらに包含している請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項113】
前記薄い導電層は、導電性金属性塗料、薄い金属箔及び金属化高分子のうちの一つから形成されている請求項112に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項114】
前記薄い導電層は、銅及びアルミニウムのうちの少なくとも一つから作られた薄い金属箔から形成されている請求項113に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項115】
前記薄い金属箔は、前記固体の電気的絶縁材に接着剤を用いて直接的に接着されている請求項114に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項116】
前記固体の電気的絶縁材は、複雑な形状に成形されている請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。
【請求項117】
前記X線管と前記高電圧電源は、同軸ケーブルによって接続されている請求項106に記載の放射線遮蔽付きX線モジュール。

【図1C】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【公表番号】特表2006−520068(P2006−520068A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503775(P2006−503775)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005190
【国際公開番号】WO2004/075610
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505310116)インフォ,インク. (1)
【出願人】(505310105)ニュートン サイエンティフィック インク. (1)
【Fターム(参考)】