説明

集積回路、および信号処理方法

【課題】従来の集積回路においては、LSIの内部状態は、数が膨大である、高速に変化する、再現不能な場合が多い、という特徴を持つ。そのため、内部状態をモニタリングすることや、内部状態を比較してエラーを検出するという技術は存在するが、他のLSIの内部状態を利用し、処理を行うという技術は存在しない。
【解決手段】信号を受け付け、信号を処理する信号処理手段と、信号処理に関する情報である内部状態を保存し得る1以上の保存手段とを具備する集積回路であって、内部状態を他の集積回路から受信する受信手段、または保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送信手段、または内部状態を他の集積回路から受信し、かつ保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送受信手段のいずれかを具備する集積回路により、集積回路間で、内部状態を共用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部状態の送受信を行う集積回路等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIの内部状態をモニタリングする装置(特許文献1参照)や、LSI間の内部状態を比較してエラー検出を行う装置(特許文献2参照)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−341003
【特許文献2】特開平06−274360
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術においては、LSIの内部状態をモニタリングすることや、内部状態を比較してエラーを検出するという技術であり、エラーが検知された際に他のLSIの内部状態を利用し処理を行うことはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明の集積回路は、信号を受け付け、信号を処理する信号処理手段と、信号処理に関する情報である内部状態を保存し得る1以上の保存手段とを具備する集積回路であって、内部状態を他の集積回路から受信する受信手段、または保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送信手段、または内部状態を他の集積回路から受信し、かつ保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送受信手段のいずれかを具備する集積回路である。
【0006】
このような構成により、集積回路間で、内部状態を共用することができる。
【0007】
また、本第二の発明の集積回路は、第一の発明に対して、信号処理手段は、受信手段または送受信手段が、内部状態を受信した場合に、当該内部状態を用いて、信号を処理する集積回路である。
【0008】
このような構成により、他の集積回路から受信した内部状態を利用して、信号処理を行うことができる。
【0009】
また、本第三の発明の集積回路は、第一または第二の発明に対して、予め決められた条件を満たすか否かを判断する判断手段と、判断手段が予め決められた条件を満たすと判断した場合に、保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信するよう送信手段または送受信手段に指示する、または内部状態を他の集積回路から受信するよう受信手段または送受信手段に指示する制御手段とをさらに具備し、
送信手段または送受信手段は、制御手段から指示を受け付けた場合に、保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信し、受信手段または送受信手段は、制御手段から指示を受け付けた場合に、内部状態を他の集積回路から受信する集積回路である。
【0010】
このような構成により、予め決められた条件に応じて、他の集積回路に内部状態を送信し、また、他の集積回路から内部状態を受信することができる。
【0011】
また、本第四の発明の集積回路は、第三の発明に対して、送信手段または送受信手段は、制御手段から指示を受け付けた場合に、タイミング信号も他の集積回路へ送信する集積回路である。
【0012】
このような構成により、他の集積回路にタイミング信号を送信することができる。
【0013】
また、本第五の発明の集積回路は、第三または第四の発明に対して、判断手段は、信号処理手段における信号処理が、予め決められた条件を満たすほど時間がかかっていると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する集積回路である。
【0014】
このような構成により、信号処理に予め決められた時間以上の時間を要する場合に、他の集積回路に内部状態を送信することができる。
【0015】
また、本第六の発明の集積回路は、第三または第四の発明に対して、判断手段は、保存手段に保存されている内部状態を検査し、内部状態が異常であると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する集積回路である。
【0016】
このような構成により、内部状態に異常がある場合に、他の集積回路から内部状態を受信することができる。
【0017】
また、本第七の発明の集積回路は、第三または第四の発明に対して、判断手段は、信号処理手段が行う処理の対象である信号の特性を取得し、特性が他の集積回路が処理すべき信号の特性であると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する集積回路である。
【0018】
このような構成により、集積回路の特性に応じて、信号を処理することができる。
【0019】
また、本第八の発明の集積回路は、第一から第七いずれかの発明に対して、受信手段または送受信手段は、タイミング信号も受信し、信号処理手段は、受信手段または送受信手段がタイミング信号も受信した場合に、信号を処理する集積回路である。
【0020】
このような構成により、タイミング信号に応じて、信号を処理することができる。
【0021】
また、本第九の発明の集積回路は、第一から第八いずれかの発明に対して、受信手段または送受信手段が受信した内部状態と、保存手段に保存されている内部状態とから新たな内部状態を生成する内部状態生成手段をさらに具備し、信号処理手段は、内部状態生成手段が生成した内部状態を用いて、信号を処理する集積回路である。
【0022】
このような構成により、新たな内部状態を生成することができる。
【0023】
また、本第十の発明の集積回路は、第一から第九いずれかの発明に対して、信号処理手段が処理を行うために必要な情報のみを、内部状態として保存手段に保存する内部状態処理手段をさらに具備する集積回路である。
【0024】
このような構成により、保存する内部状態の容量を削減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による集積回路等によれば、集積回路間で、内部状態を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態における集積回路1のブロック図
【図2】同集積回路2の構成例を示す図
【図3】同集積回路3の構成例を示す図
【図4】同処理情報テーブルの例を示す図
【図5】同内部状態変換テーブルの例を示す図
【図6】同内部状態処理テーブルの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明による集積回路等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0028】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における集積回路1のブロック図である。
【0029】
集積回路1は、信号処理手段11、保存手段12、判断手段13、制御手段14、送受信手段15、内部状態生成手段16、内部状態処理手段17を備える。集積回路1は、送受信手段15の代わりに、受信手段151、または送信手段152を備えていてもよい。
【0030】
信号処理手段11は、信号を受け付け、当該信号に対して信号処理を行う。ここで、信号とは、例えば、テレビ信号や、映像信号、音声信号、動画などである。また、信号処理とは、例えば、高画質化や、フォーマット変換、解像度変換などである。
【0031】
高画質化とは、ビットレートの低い音声、映像等を、ビットレートの高い音声、映像等に変換することや、フレームレートの低い映像等を、フレームレートの高い映像等に変換することなどである。また、フォーマット変換とは、一の音声、映像等の形式(フォーマット)を、他の音声、映像等の形式に変換することなどである。また、解像度変換とは、低い解像度の映像を高い解像度の映像に変換することや、高い解像度の画像を低い解像度の画像に変換することなどである。
【0032】
また、信号処理手段11は、後述の送受信手段15、または後述の受信手段151が他の集積回路から内部状態を受信した場合に、当該内部状態を用いて、信号処理を行う。また、信号処理手段11は、後述の送受信手段15、または後述の受信手段151が他の集積回路から内部状態とタイミング信号とを受信した場合に、信号処理を行ってもよい。ここで、タイミング信号とは、信号処理の開始のタイミングを示す信号である。また、信号処理手段11は、後述の内部状態生成手段16が生成した内部状態を用いて、信号処理を行ってもよい。
【0033】
なお、送受信手段15、または後述の受信手段151が受信した内部状態、および内部状態生成手段16が生成した内部状態は、通常、後述の保存手段12に保存されるため、結果的に、信号処理手段11は、保存手段12に保存されている内部状態を用いて、信号処理を行うことになる。
【0034】
また、信号処理手段11は、通常、後述の制御手段14の指示により、信号処理を行う。
【0035】
信号処理手段11は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得るが、ソフトウェアで実現してもよい。
【0036】
保存手段12は、信号処理に関する情報である内部状態を保存し得る。ここで、内部状態とは、論理回路や順序回路などが集積された集積回路の状態を示すビット列のことである。本実施の形態における内部状態とは、信号処理手段11の内部状態である。また、保存手段12は、通常、1以上存在し得るものとする。例えば、信号処理手段11が信号を2個の領域に分割して処理する場合、保存手段12は2個存在する。また、例えば、信号処理手段11が信号を16個の領域に分割して処理する場合、保存手段12は16個存在する。
【0037】
保存手段12は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得る。
【0038】
判断手段13は、予め決められた条件を満たすか否かを判断する。予め決められた条件とは、例えば、テレビ信号の1フレームの処理時間が入力フレーム周期を超えることや、テレビ信号の1フレームの処理時間が1/30秒を超えること、保存手段12に保存されている内部状態が異常であること、信号処理手段11が信号処理を行う信号の特性がノイズの多い動画であること、信号処理手段11が信号処理を行う信号の特性がぼけた動画であることなどである。
【0039】
例えば、予め決められた条件が、テレビ信号の1フレームの処理時間が入力フレーム周期を超えることである場合、判断手段13は、信号処理手段11がテレビ信号の信号処理を開始してからの経過時間と、信号処理手段11が信号処理を行っている信号のフレーム周期を取得し、当該経過時間が、当該フレーム周期を超えた時点で、予め決められた条件を満たすと判断する。
【0040】
また、例えば、予め決められた条件が、テレビ信号の1フレームの処理時間が1/30秒を超えることである場合、判断手段13は、信号処理手段11がテレビ信号の信号処理を開始してからの経過時間を取得し、当該経過時間が、1/30秒を超えた時点で、予め決められた条件を満たすと判断する。
【0041】
また、例えば、予め決められた条件が、保存手段12に保存されている内部状態であることである場合、判断手段13は、保存手段12に保存されている内部状態を取得し、当該内部状態と、内部状態の正常パターンとを比較し、取得した内部状態と正常パターンとが一致しない場合に、予め決められた条件を満たすと判断する。また、この場合において、判断手段13は、保存手段12に保存されている内部状態を取得し、当該内部状態と、内部状態の異常パターンとを比較し、取得した内部状態と異常パターンとが一致する場合に、予め決められた条件を満たすと判断してもよい。正常パターンとは、信号処理時に起こり得る内部状態のビット列パターンである。また、異常パターンとは、信号処理時に起こり得ない内部状態のビット列パターンである。なお、内部状態の正常パターン、および異常パターンは、通常、判断手段13が保持しているものとする。
【0042】
判断手段13は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得るが、ソフトウェアで実現してもよい。
【0043】
制御手段14は、判断手段13が予め決められた条件を満たすと判断した場合に、送受信手段15、または後述の送信手段152に対して、保存手段12に保存されている内部状態を他の集積回路に送信するよう指示する。つまり、制御手段14は、判断手段13が予め決められた条件を満たすと判断したか否かを判断し、判断したと判断した場合に、送受信手段15、または後述の送信手段152に対して、保存手段12に保存されている内部状態を他の集積回路に送信するよう指示する。
【0044】
制御手段14は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得るが、ソフトウェアで実現してもよい。
【0045】
送受信手段15は、他の集積回路から内部状態を受信する。また、送受信手段15は、他の集積回路から、内部状態とタイミング信号とを受信してもよい。また、送受信手段15は、保存手段12に保存されている内部状態を、他の集積回路に送信する。また、送受信手段15は、保存手段12に保存されている内部状態とタイミング信号とを、他の集積回路に送信してもよい。
【0046】
なお、送受信手段15は、制御手段14から内部状態を送信する旨の指示を受け付けた場合に、保存手段12に保存されている内部状態を送信する。また、送受信手段15は、制御手段14からタイミング信号を送信する旨の指示を受け付けた場合に、タイミング信号を送信する。
【0047】
送受信手段15は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得る。
【0048】
内部状態生成手段16は、送受信手段15、または後述の受信手段151が受信した内部状態と、保存手段12に保存されている内部状態とから新たな内部状態を生成する。このとき、内部状態生成手段16が受信する内部状態は、通常、複数である。また、新たな内部状態の生成は、通常、内部状態ごとに生成処理が予め決められており、内部状態生成手段16は、当該処理に従い、受信した内部状態と、保存手段12に保存されている内部状態とから新たな内部状態を生成する。
【0049】
内部状態生成手段16は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得るが、ソフトウェアで実現してもよい。
【0050】
内部状態処理手段17は、信号処理手段11が信号処理を中断する際に、信号処理手段11の内部状態を保存手段12に保存する。このとき、内部状態処理手段17は、処理を再開するために必要な情報のみを、内部状態として保存手段12に保存する。処理を再開するために必要な情報とは、内部状態の復元に必要な情報という意味である。例えば、信号処理手段11の内部状態が4ビットのビット列で表現される場合であって、信号処理手段11が信号処理を行っている間、2ビット目と4ビット目のみが変化する場合、内部状態処理手段17は、変化しない1ビット目と3ビット目は保存せず、変化する2ビット目と4ビット目のみを保存手段12に保存する。
【0051】
内部状態処理手段17は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得るが、ソフトウェアで実現してもよい。
【0052】
受信手段151は、他の集積回路から内部状態を受信する。また、受信手段151は、他の集積回路から、内部状態とタイミング信号とを受信してもよい。受信手段151は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得る。
【0053】
送信手段152は、保存手段12に保存されている内部状態を、他の集積回路に送信する。また、送信手段152は、保存手段12に保存されている内部状態とタイミング信号とを、他の集積回路に送信してもよい。なお、送信手段152は、制御手段14から内部状態を送信する旨の指示を受け付けた場合に、保存手段12に保存されている内部状態を送信する。また、送信手段152は、制御手段14からタイミング信号を送信する旨の指示を受け付けた場合に、タイミング信号を送信する。送信手段152は、通常、ダイオードやトランジスタなどから構成される電子回路で実現され得る。
【0054】
(具体例1)
本具体例において、信号処理回路の内部状態を外部に送信し、また、外部から信号処理回路の内部状態を受信する内部状態送受信回路を備える集積回路について説明する。なお、外部とは、他の装置、他の回路を含む概念である。
【0055】
図2は、本具体例における集積回路の構成例を示す図である。集積回路2は、入力処理回路210、メモリ220、信号処理回路230、複数の内部状態保存回路240、制御回路250、切替回路261、262、内部状態送受信回路270、出力処理回路280を備える。また、制御回路250は、入力用キュー(図示せず)と、出力用キュー(図示せず)を備える。なお、信号処理回路230は、図1の信号処理手段11に相当する。内部状態保存回路240は、図1の保存手段12に相当する。制御回路250と切替回路261、262は、図1の判断手段13と制御手段14に相当する。内部状態送受信回路270は、図1の送受信手段15に相当する。
【0056】
入力処理回路210には、信号処理の対象となる信号が入力される。なお、入力処理回路210に入力された信号を、以下、入力信号とする。メモリ220には、入力信号や、信号処理回路230が入力信号を信号処理した結果である信号処理結果などが保存される。信号処理回路230は、制御回路250からの制御信号に応じて、入力信号の信号処理を行う。内部状態保存回路240には、信号処理回路230の内部状態が保存される。制御回路250は、信号処理回路230、切替回路261、262、内部状態送受信回路270、出力処理回路280の制御を行う。切替回路261は、信号処理回路230と内部状態保存回路240の接続の切り替えを行う。切替回路262は、内部状態保存回路240と内部状態送受信回路270の接続の切り替えを行う。内部状態送受信回路270は、信号処理回路230の内部状態を外部に送信し、また、信号処理回路230の内部状態を外部から受信する。出力処理回路280は、信号処理結果を出力する。
【0057】
入力処理回路210に信号が入力されると、入力処理回路210は、入力信号をメモリ220に保存する。このとき、入力処理回路210は、信号処理回路230が処理する処理単位ごとに保存する。処理単位は、通常、フレームである。保存が完了すると、入力処理回路210は、処理リクエスト信号と、入力信号保存アドレスとを、制御回路250に送信する。処理リクエスト信号とは、信号処理の要求を示す制御信号である。また、入力信号保存アドレスとは、入力信号のメモリ220上の保存場所を示すアドレスである。なお、入力処理回路210は、処理単位ごとに入力信号を保存するため、保存された処理単位ごとの入力信号保存アドレスを、制御回路250に送信する。
【0058】
ここで、例えば、入力処理回路210に対する入力信号は動画であるものとし、信号処理回路230は、入力動画の各フレームを16個の領域に分割して、高解像度処理を行うものとする。なお、入力動画において分割した領域を、以下、分割領域とする。また、入力動画の各フレームを16個の領域に分割し処理するため、内部状態保存回路240は、分割数の16と同数の16個存在するものとする。なお、各内部状態保存回路240には、各分割領域に対して信号処理回路230が信号処理を行った直後の内部状態が保存されるものとする。例えば、分割領域の1番目の領域を処理した直後の内部状態は、1番目の内部状態保存回路240に保存される。また、例えば、分割領域の10番目の領域を処理した直後の内部状態は、10番目の内部状態保存回路240に保存される。このように、処理対象となる分割領域と、当該分割領域の信号処理を行った直後の内部状態を保存する内部状態保存回路240とは、対応付けられているものとする。なお、処理対象となる分割領域と、分割領域の信号処理を行った直後の内部状態を保存する内部状態保存回路240との対応付けの方法は、問わない。また、本具体例における集積回路2は、16個の領域のうちの8個の領域(位置は問わず)の処理を担当するものとし、残りの8個の領域については、他の集積回路が担当するものとする。
【0059】
制御回路250は、処理リクエスト信号と、入力信号保存アドレスを、入力処理回路210から受信する。そして、制御回路250は、受信したこれらを、入力用キューに保存する。
【0060】
次に、制御回路250は、信号処理回路230が信号処理を行っていないか否かを判断する。そして、信号処理回路230が信号処理を行っていない場合、制御回路250は、入力用キューに保存されている先頭のリクエストを実行するために、信号処理回路230に対して、入力動画の16個の領域のうち、処理を担当する領域を順番に処理するように制御を行う。具体的には、制御回路250は、まず、1個目の内部状態保存回路240と信号処理回路230とを接続する旨の切替信号を切替回路261に送信し、処理開始信号と、入力信号保存アドレスとを、信号処理回路230に送信する。なお、切替信号とは、2個の回路を接続する旨を示す制御信号である。また、処理開始信号とは、信号処理を開始する旨を示す制御信号である。また、信号処理を行っていないか否かの判断は、信号処理を行っていないことを示す制御信号である非処理中信号を、信号処理回路230が出力しているか否かで判断する。
【0061】
次に、制御回路250は、処理完了信号と、処理結果保存アドレスとを、信号処理回路230から受信する。処理完了信号とは、信号処理の完了を示す制御信号である。また、処理結果保存アドレスとは、信号処理結果のメモリ220上の保存場所を示すアドレスである。そして、制御回路250は、受信した処理結果保存アドレスを、出力用キューに保存する。
【0062】
次に、制御回路250は、2個目の内部状態保存回路240と信号処理回路230とを接続する旨の切替信号を切替回路261に送信し、処理開始信号と、入力信号保存アドレスとを、信号処理回路230に送信する。制御回路250は、このような処理を、処理を担当する領域の数と同じ回数繰り返し、1フレームの処理を完了する。
【0063】
また、制御回路250は、信号処理回路230が1フレームの処理が開始されてからの経過時間を常に監視し、当該時間が入力動画のフレーム周期を超えたか否かをその都度、判断する。そして、制御回路250は、経過時間が入力動画のフレーム周期を超えたと判断した場合、信号処理回路230が信号処理を行っている分割領域に対応する内部状態保存回路240と内部状態送受信回路270を接続する旨の切替信号を、切替回路262に送信する。このとき、制御回路250は、送信リクエスト信号を、内部状態送受信回路270に送信する。送信リクエスト信号とは、内部状態を送信する旨を示す制御信号である。その後、制御回路250は、集積回路2が処理を担当する領域の数を1減らす。
【0064】
また、制御回路250は、内部状態受信信号を、内部状態送受信回路270から受信する。内部状態受信信号とは、内部状態送受信回路270が外部から内部状態を受信したことを示す制御信号である。そして、制御回路250は、内部状態受信信号を受信すると、集積回路2が処理を担当する領域の数を1増やし、内部状態送受信回路270が受信した内部状態が示す分割領域に対応する内部状態保存回路240と内部状態送受信回路270とを接続する旨の切替信号を、切替回路262に送信する。
【0065】
また、制御回路250は、出力リクエスト信号を、出力処理回路280から受信する。出力リクエスト信号とは、信号処理結果の出力の要求を示す制御信号である。そして、制御回路250は、出力リクエスト信号を受信すると、出力用キューに保存されている1フレーム分の領域番号と処理結果保存アドレスを、出力処理回路280に送信する。
【0066】
切替回路261は、信号処理回路230と内部状態保存回路240のうちのいずれかとの接続を切り替える旨の切替信号を、制御回路250から受信する。切替回路261は、当該切替信号を受信すると、信号処理回路230と内部状態保存回路240のうちのいずれかとの接続を切り替える。例えば、切替回路261は、1番目の内部状態保存回路240と接続する旨の切替信号を受信した場合、信号処理回路230と1番目の内部状態保存回路240とを接続する。また、例えば、切替回路261は、10番目の内部状態保存回路240と接続する旨の切替信号を受信した場合、信号処理回路230と10番目の内部状態保存回路240とを接続する。
【0067】
切替回路262は、内部状態保存回路240のうちのいずれかと内部状態送受信回路270との接続を切り替える旨の切替信号を、制御回路250から受信する。切替回路262は、当該切替信号を受信すると、内部状態保存回路240のうちのいずれかと内部状態送受信回路270との接続を切り替える。例えば、切替回路262は、1番目の内部状態保存回路240と接続する旨の切替信号を受信した場合、1番目の内部状態保存回路240と内部状態送受信回路270とを接続する。また、例えば、切替回路262は、10番目の内部状態保存回路240と接続する旨の切替信号を受信した場合、10番目の内部状態保存回路240と内部状態送受信回路270とを接続する。
【0068】
内部状態送受信回路270は、送信リクエスト信号を、制御回路250から受信する。内部状態送受信回路270は、送信リクエスト信号を受信すると、内部状態リクエスト信号を切替回路262に送信し、切替回路262を介して、内部状態保存回路240に保存されている内部状態を、切替回路262から受信する。そして、内部状態送受信回路270は、受信した内部状態を外部に送信する。なお、内部状態リクエスト信号とは、内部状態の要求を示す制御信号である。
【0069】
また、内部状態送受信回路270は、内部状態を外部から受信する。内部状態送受信回路270は、内部状態を受信すると、内部状態受信信号を制御回路250に送信し、受信した内部状態を、切替回路262に送信する。
【0070】
出力処理回路280は、出力リクエスト信号を、制御回路250に送信する。そして、出力処理回路280は、当該出力リクエスト信号に応じた1フレーム分の領域番号と処理結果保存アドレスを制御回路250から受信する。そして、出力処理回路280は、当該処理結果保存アドレスにより示されるメモリ220上の保存場所に保存されている信号処理結果を読み出し、出力フォーマットに応じて出力する。出力フォーマットは、通常、制御回路250からの制御信号により指示される。
【0071】
(具体例2)
本具体例において、信号処理回路の異常を検知する内部状態処理回路を備える集積回路について説明する。図3は、本具体例における集積回路の構成例を示す図である。集積回路3は、入力処理回路210、メモリ220、信号処理回路230、複数の内部状態保存回路240、制御回路350、切替回路261、262、内部状態送受信回路370、出力処理回路280、内部状態処理回路390を備える。なお、内部状態処理回路390は、図1の判断手段13、制御手段14、内部状態処理手段17に相当する。
【0072】
内部状態処理回路390は、信号処理回路230の異常を検知する。具体的には、内部状態処理回路390は、通常、内部状態正常パターンを保持しており、信号処理回路230が内部状態保存回路240に保存した内部状態を常に監視し、信号処理回路230が保存した内部状態と、内部状態正常パターンとが一致しないか否かを判断する。そして、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が保存した内部状態と、内部状態正常パターンとが一致しない場合に、異常を検知したと判断する。内部状態正常パターンとは、信号処理回路230が正常動作している際の内部状態を示すビット列のパターンである。例えば、内部状態正常パターンが「01010101」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「01010101」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230は正常であると判断する。また、内部状態正常パターンが「01010101」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「10101010」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が異常であると判断する。また、例えば、内部状態正常パターンが「1100****」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「11000011」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230は正常であると判断する。また、例えば、内部状態正常パターンが「1100****」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「00111100」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が異常であると判断する。なお、「*」は任意のビット値(0または1)を示す記号である。
【0073】
また、例えば、内部状態処理回路390は、内部状態異常パターンを保持しており、信号処理回路230が内部状態保存回路240に保存した内部状態を常に監視し、信号処理回路230が保存した内部状態と、内部状態異常パターンとが一致するか否かを判断してもよい。そして、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が保存した内部状態と、内部状態異常パターンとが一致する場合に、異常を検知する。内部状態異常パターンとは、信号処理回路230が異常動作している際の内部状態を示すビット列のパターンである。例えば、内部状態異常パターンが「01010101」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「01010101」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が異常であると判断する。また、内部状態異常パターンが「01010101」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「10101010」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230は正常であると判断する。また、例えば、内部状態異常パターンが「1100****」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「11000011」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230が異常であると判断する。また、例えば、内部状態異常パターンが「1100****」であり、信号処理回路230が保存した内部状態を示すビット列が「00111100」である場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230は正常であると判断する。なお、「*」は任意のビット値(0または1)を示す記号である。
【0074】
なお、内部状態処理回路390は、信号処理回路230の内部状態を常に監視し、信号処理回路230の異常を検知してもよい。この場合、内部状態処理回路390は、信号処理回路230から内部状態を受信し、当該内部状態に対して内部状態正常パターン、または内部状態異常パターンを用いて、異常であるか否かを判断する。判断の方法は、前述と同様である。また、この場合、内部状態処理回路390は、受信した内部状態を、通常、内部状態保存回路240のいずれかに保存する。
【0075】
また、内部状態処理回路390は、信号処理回路230の異常を検知した場合、異常検知信号を制御回路350に送信する。異常検知信号とは、信号処理回路230が異常である旨を示す制御信号である。
【0076】
制御回路350は、異常検知信号を、内部状態処理回路390から受信する。制御回路350は、異常検知信号を受信すると、内部状態受信リクエスト信号を内部状態送受信回路370に送信する。内部状態受信リクエスト信号とは、内部状態の受信の要求を示す制御信号である。
【0077】
また、制御回路350は、内部状態受信信号を、内部状態送受信回路370から受信する。制御回路350は、内部状態受信信号を受信すると、内部状態送受信回路370が受信した内部状態に対応する内部状態保存回路240と内部状態送受信回路370とを接続する旨の切替信号を、切替回路262に送信する。また、制御回路350は、内部状態受信回路を受信すると、内部状態送受信回路370が受信した内部状態を保存した内部状態保存回路240のいずれかと信号処理回路230とを接続する旨の切替信号を、切替回路261に送信し、内部状態上書信号を、内部状態処理回路390に送信する。内部状態上書信号とは、信号処理回路230と接続されている内部状態保存回路240のいずれかに保存されている内部状態で、信号処理回路230の内部状態を上書きする旨を示す制御信号である。
【0078】
その後、内部状態処理回路390は、受信した内部状態上書信号に従い、信号処理回路230の内部状態を、内部状態保存回路240のいずれかに保存されている内部状態で上書きする。
【0079】
内部状態送受信回路370は、内部状態受信リクエスト信号を、制御回路350から受信する。内部状態送受信回路370は、内部状態受信リクエスト信号を受信すると、内部状態送信リクエスト信号を外部に送信する。内部状態送信リクエスト信号とは、内部状態の送信の要求を示す制御信号である。
【0080】
また、内部状態送受信回路370は、内部状態送信リクエスト信号を外部から受信する。内部状態送受信回路370は、内部状態送信リクエスト信号を受信すると、内部状態リクエスト信号を切替回路262に送信し、切替回路262を介して、内部状態保存回路240に保存されている内部状態を、切替回路262から受信する。そして、内部状態送受信回路370は、受信した内部状態を外部に送信する。
【0081】
また、内部状態送受信回路370は、内部状態を外部から受信する。内部状態送受信回路370は、内部状態を受信すると、内部状態受信信号を制御回路350に送信し、受信した内部状態を、切替回路262に送信する。
【0082】
なお、内部状態処理回路390による信号処理回路230の異常の検知は、異常検知回路(図示せず)が行ってもよい。この場合、異常検知回路は、通常、信号処理回路230が備えるものとする。
【0083】
(具体例3)
本具体例において、信号処理回路が処理する入力信号が、当該信号処理回路の処理に適しているか否かを判断する内部状態処理回路を備える集積回路について説明する。本具体例における集積回路の構成例は、図3と同様であり、図3において、集積回路3を集積回路4と、制御回路350を制御回路450と、内部状態処理回路390を内部状態処理回路490と読み替えたものである。集積回路4は、入力処理回路210、メモリ220、信号処理回路230、複数の内部状態保存回路240、制御回路450、切替回路261、262、内部状態送受信回路370、出力処理回路280、内部状態処理回路490を備える。なお、内部状態処理回路490は、図1の判断手段13、制御手段14、内部状態生成手段16に相当する。
【0084】
内部状態処理回路490は、信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致したことを検知する。具体的には、内部状態処理回路490は、通常、内部状態の条件が定義された処理情報テーブルを保持しており、信号処理回路230の内部状態を常に監視し、信号処理回路230の内部状態が、処理情報テーブルに定義されている内部状態の条件に合致するか否かを判断する。そして、内部状態処理回路490は、信号処理回路230の内部状態が、処理情報テーブルに定義されている内部状態の条件に合致する場合に、予め決められた条件に合致したことを検知する。予め決められた条件とは、内部状態の条件である。また、内部状態の条件とは、例えば、信号処理回路230の内部状態を示すビット列パターンである。また、処理情報テーブルは、例えば、図4に示すものである。処理情報テーブルは、判断の対象となる内部状態を含む条件式、条件に合致する場合の内部状態の送信先から構成される。図4において、「内部状態1」や「内部状態2」などは、内部状態保存回路240の各回路に保存される内部状態の一部分を意味する。例えば、内部状態1は、「内部状態保存回路240の各回路に保存されている内部状態の1ビット目から8ビット目」を意味し、内部状態2は、「内部状態保存回路240の各回路に保存されている内部状態の9ビット目から16ビット目」を意味する。また、図4において、「LSI0」や「LSI1」などは、送信先となる集積回路を識別する情報を意味する。つまり、例えば、「LSI0」であれば、「LSI0」で識別される集積回路を意味する。また、図4において、「ID」が「1」のレコードは、『各内部状態保存回路240の内部状態1が「00000000」より大きければ、その内部状態1が含まれる内部状態保存回路240に保存されている内部状態を「LSI0」に送信する』ことを意味する。また、図4において、「ID」が「3」のレコードは、『各内部状態保存回路240の内部状態3が「0000001」に等しければ、その内部状態3が含まれる内部状態保存回路240に保存されている内部状態を「LSI0」に送信する』ことを意味する。また、図4において、「条件」中の「00000000」や「0000001」は、通常、信号処理回路230が信号処理を行う入力信号の特徴を示す。
【0085】
なお、信号処理回路230の内部状態が、図4の処理情報テーブルに定義されている条件のうちの複数の条件に合致する場合、内部状態処理回路490は、「ID」が一番小さなレコードに定義されている送信先に対して、内部状態を送信する。
【0086】
また、内部状態処理回路490は、信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致したことを検知した場合、条件合致信号を制御回路450に送信する。条件合致信号とは、信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致したことを示す制御信号である。条件合致信号には、信号処理回路230の内部状態が保存された内部状態保存回路240のいずれかを示す情報と、当該内部状態の送信先を示す情報とが含まれる。
【0087】
制御回路450は、条件合致信号を、内部状態処理回路490から受信する。制御回路450は、条件合致信号を受信すると、送信リクエスト信号を内部状態送受信回路370に送信する。当該送信リクエスト信号には、通常、内部状態処理回路490から受信した条件合致信号が含まれる。また、このとき、制御回路450は、信号処理回路230が信号処理を行っている分割領域に対応する内部状態保存回路240と内部状態送受信回路370を接続する旨の切替信号を、切替回路262に送信する。なお、制御回路450の切替回路261の制御の方法や、内部状態送受信回路370の制御の方法は、具体例1や具体例2と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
なお、内部状態処理回路490による信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致することの検知は、内部状態判定回路(図示せず)が行ってもよい。この場合、内部状態判定回路は、通常、内部状態処理回路490が備えるものとする。
【0089】
また、内部状態処理回路490は、処理情報テーブルを用いて信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致することを検知した場合に、送信する内部状態を変換してもよい。具体的には、内部状態処理回路490は、通常、内部状態の変換方法が定義された内部状態変換テーブルを保持しており、信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件に合致することを検知した場合に、検知の際に使用した内部状態の条件に対応する送信先に応じて、内部状態変換テーブルを用いて内部状態を変換する。内部状態変換テーブルは、例えば、図5に示すものである。内部状態変換テーブルは、内部状態の送信先、内部状態の変換方法から構成される。図5において、「内部状態1」や「内部状態2」、「LSI0」や「LSI1」などは、前述の処理情報テーブルと同様であるので、説明を省略する。また、図5において、「ID」が「1」のレコードは、『「送信先」が「LSI1」であり、「LSI1」の内部状態1を、自身の内部状態1とし、かつ、「LSI1」の内部状態2を、自身の内部状態3の2倍とする』ことを意味する。
【0090】
つまり、内部状態処理回路490は、処理情報テーブルを用いて信号処理回路230の内部状態が予め決められた条件を満たすか否かを判断し、満たす場合は、処理情報テーブルにより示される送信先と、内部状態変換テーブルとを用いて、送信する内部状態の変換が必要か否かを判断し、必要な場合は、内部状態を変換する。
【0091】
(具体例4)
本具体例において、1以上の内部状態から新たな内部状態を生成する内部状態処理回路を備える集積回路について説明する。本具体例における集積回路の構成例は、図3と同様であり、図3において、集積回路3を集積回路5と、制御回路350を制御回路550と、内部状態処理回路390を内部状態処理回路590と読み替えたものである。集積回路5は、入力処理回路210、メモリ220、信号処理回路230、複数の内部状態保存回路240、制御回路550、切替回路261、262、内部状態送受信回路370、出力処理回路280、内部状態処理回路590を備える。なお、内部状態処理回路590は、図1の判断手段13、制御手段14、内部状態生成手段16に相当する。
【0092】
内部状態処理回路590は、内部状態変換テーブルを保持している。内部状態変換テーブルは、例えば、図6に示すものである。内部状態変換テーブルは、処理の対象となる内部状態、処理を行う条件、処理の内容から構成される。図6において、「内部状態1」や「内部状態2」、「LSI0」や「LSI1」などは、前述の処理情報テーブルと同様であるので、説明を省略する。また、図6において、「ID」が「1」のレコードは、『内部状態1について、自身の内部状態が保存されている内部状態保存回路240内の内部状態3が「00000001」であれば、LSI1の内部状態が保存されている内部状態保存回路240内の内部状態1で上書きすること』を意味する。
【0093】
また、内部状態処理回路590は、内部状態変換テーブルを基に、信号処理回路230の内部状態から新たな内部状態を生成する。具体的には、内部状態処理回路590は、信号処理回路230が内部状態保存回路240に保存した内部状態を常に監視し、信号処理回路230が保存した内部状態が、内部状態変換テーブルに定義されている条件に合致するか否かを判断する。そして、内部状態処理回路590は、信号処理回路230が保存した内部状態が、内部状態変換テーブルに定義されている条件に合致する場合に、内部状態変換テーブルに定義されている処理の内容に従い、内部状態保存回路240のいずれかに保存されている内部状態を処理する。
【0094】
また、信号処理回路230が内部状態保存回路240に保存した内部状態が、内部状態処理テーブルの複数のレコードの条件に合致する場合、内部状態処理回路590は、合致するレコードに定義されているすべての処理を行う。例えば、図6の内部状態処理テーブルにおいて、内部状態保存回路240のうち、信号処理回路230の内部状態が保存された回路内の内部状態3が「00000001」の場合、条件に合致する「ID」が「1」から「5」のレコードに定義されている処理を行う。「ID」が「1」のレコードに定義されている処理においては、信号処理回路230の内部状態1をLSI1の内部状態1で上書きする。「ID」が「2」から「5」のレコードに定義されている処理についても同様に行われる。
【0095】
前述のように、内部状態保存回路240に保存されている内部状態を、外部から受信した内部状態で上書きする場合、内部状態処理回路590は、処理検知信号を、制御回路550に送信する。処理検知信号とは、内部状態保存回路240のいずれかに保存されている内部状態を処理することを示す制御信号である。内部状態処理回路590は、当該処理検知信号を制御回路550に送信することで、処理に必要な内部状態を、内部状態送受信回路370を介して受信する。
【0096】
なお、内部状態処理回路590は、信号処理回路230の内部状態を常に監視し、信号処理回路230の内部状態が、内部状態変換テーブルに定義されている条件に合致するか否かを判断してもよい。判断の方法、および判断後の処理内容は、前述と同様である。
【0097】
制御回路550は、処理検知信号を、内部状態処理回路590から受信する。制御回路550は、処理検知信号を受信すると、内部状態受信リクエスト信号を内部状態送受信回路370に送信する。なお、制御回路550が内部状態受信リクエスト信号を内部状態送受信回路370に送信し、内部状態送受信回路370が内部状態送信リクエスト信号を外部に送信する処理については、前述と同様であるので、説明を省略する。
【0098】
以上のように、本実施の形態による集積回路は、内部状態を送受信できる回路を備える。このような構成により、異なる集積回路間で内部状態を共用することができ、入力信号の特性、または集積回路の特性に応じて、入力信号を処理することができる。また、同集積回路は、例えば、処理の遅い集積回路の処理を、他の集積回路において行うことができる。また、同集積回路は、例えば、異常の発生した集積回路の内部状態を、他の集積回路の内部状態を用いて復元することができる。また、同集積回路は、例えば、内部状態の送受信を行う集積回路間で、内部状態の互換性がない場合などにおいて、互換性を保って内部状態の送受信を行うことができる。また、同集積回路は、例えば、複数の内部状態から、よりよい結果となる内部状態を生成することができる。
【0099】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよいし、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0100】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明にかかる集積回路は、集積回路間で、内部状態を共用することができるという効果を有し、テレビジョン装置等として有用である。
【符号の説明】
【0102】
1、2、3、4 集積回路
11 信号処理手段
12 保存手段
13 判断手段
14 制御手段
15 送受信手段
16 内部状態生成手段
17 内部状態処理手段
151 受信手段
152 送信手段
210 入力処理回路
220 メモリ
230 信号処理回路
240 内部状態保存回路
250、350、450、550 制御回路
261、262 切替回路
270、370 内部状態送受信回路
280 出力処理回路
390、490、590 内部状態処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受け付け、当該信号を処理する信号処理手段と、
信号処理に関する情報である内部状態を保存し得る1以上の保存手段とを具備する集積回路であって、
内部状態を他の集積回路から受信する受信手段、または前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送信手段、または内部状態を他の集積回路から受信し、かつ前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送受信手段のいずれかを具備する集積回路。
【請求項2】
前記信号処理手段は、
前記受信手段または前記送受信手段が、内部状態を受信した場合に、当該内部状態を用いて、前記信号を処理する請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
予め決められた条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が予め決められた条件を満たすと判断した場合に、前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信するよう前記送信手段または前記送受信手段に指示する、または内部状態を他の集積回路から受信するよう前記受信手段または前記送受信手段に指示する制御手段とをさらに具備し、
前記送信手段または前記送受信手段は、
前記制御手段から指示を受け付けた場合に、前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信し、
前記受信手段または前記送受信手段は、
前記制御手段から指示を受け付けた場合に、内部状態を他の集積回路から受信する請求項1または請求項2記載の集積回路。
【請求項4】
前記送信手段または前記送受信手段は、
前記制御手段から指示を受け付けた場合に、タイミング信号も前記他の集積回路へ送信する請求項3記載の集積回路。
【請求項5】
前記判断手段は、
前記信号処理手段における信号処理が、予め決められた条件を満たすほど時間がかかっていると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する請求項3または請求項4記載の集積回路。
【請求項6】
前記判断手段は、
前記保存手段に保存されている内部状態を検査し、当該内部状態が異常であると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する請求項3または請求項4記載の集積回路。
【請求項7】
前記判断手段は、
前記信号処理手段が行う処理の対象である信号の特性を取得し、当該特性が他の集積回路が処理すべき信号の特性であると判断した場合に、予め決められた条件を満たすと判断する請求項3または請求項4記載の集積回路。
【請求項8】
前記受信手段または前記送受信手段は、
タイミング信号も受信し、
前記信号処理手段は、
前記受信手段または前記送受信手段がタイミング信号も受信した場合に、前記信号を処理する請求項1から請求項7いずれか記載の集積回路。
【請求項9】
前記受信手段または前記送受信手段が受信した内部状態と、前記保存手段に保存されている内部状態とから新たな内部状態を生成する内部状態生成手段をさらに具備し、
前記信号処理手段は、
前記内部状態生成手段が生成した内部状態を用いて、前記信号を処理する請求項1から請求項8いずれか記載の集積回路。
【請求項10】
前記信号処理手段が処理を行うために必要な情報のみを、内部状態として前記保存手段に保存する内部状態処理手段をさらに具備する請求項1から請求項9いずれか記載の集積回路。
【請求項11】
保存手段に信号処理に関する情報である内部状態が保存され得、
信号処理手段と、受信手段と、送信手段と、送受信手段とを用いて行われる信号処理方法であって、
前記信号処理手段が、信号を受け付け、当該信号を処理する信号処理ステップを具備する信号処理方法であって、
前記受信手段が、内部状態を他の集積回路から受信する受信ステップ、または前記送信手段が、前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路へ送信する送信ステップ、または前記送受信手段が、内部状態を他の集積回路から受信し、かつ前記保存手段に保存されている内部状態を他の集積回路に送信する送受信ステップのいずれかを具備する信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145990(P2012−145990A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1620(P2011−1620)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(509281519)アイキューブド研究所株式会社 (11)
【Fターム(参考)】