説明

集積装置

【課題】物品が間欠的に且つ高速に供給される場合にも、安定的に集積を行うことができる集積装置とする。
【解決手段】物品12を搬送路に沿って搬送するコンベアベルト30と、搬送路に沿って設けられ、物品12のフランジ12aが相対移動可能な螺旋溝を有する複数のスクリューロッド42、43と、スクリューロッド42、43を回転させる駆動部52と、搬送部20によって搬送される物品が所定位置に達したことを検出する検出部24と、検出部24の検出信号を受ける毎に駆動部によってスクリューロッドを1回転させる制御部と、を備え、所定位置に達した物品12を、スクリューロッド42、43の螺旋溝に沿って上昇させて、集積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠的に供給される物品を集積させる集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供給される物品として容器を例にとって説明すると、従来のこの種の集積装置では、横向きの状態で容器を集積しており、上向きに搬送されてくる容器を横向きに倒した後、エア等によって吹き飛ばして、集積された最後部にある容器の後に、重ねるようにしている。
【0003】
このような集積装置では、エアによって容器を移動させるために、安定性、制御性に欠けるという問題がある。特に、背の浅い容器であると、最後部にある容器による誘導効果が弱いために、安定的に順次容器を積み重ねていくことが困難である。容器の摩擦抵抗が大きい場合、例えば容器自体の摩擦抵抗が大きい場合または成形後の高温状態にあって摩擦抵抗が大きい容器を取り扱う場合にも、安定的に順次容器を積み重ねていくことが困難であるという問題がある。
【0004】
一方、他の集積装置としては、特許文献1に記載された洗浄済食器類の積み重ね装置が知られている。この装置では、洗浄されてきた多数の食器類を滑落させる斜め下り勾配の食器類送出路が設けられ、送出路の後端部に側縁支持用螺旋ロッド及び前縁支持用螺旋ロッドが上向きに突設されており、これら螺旋ロッドは同速度で回転するように構成され、回転する各螺旋ロッドの螺旋羽根が、滑落してくる食器類の側縁部及び前縁をその上に載せて同一のタイミングで食器類の周縁部を同時に掬い上げ、連続して搬出されてくる食器類を次々に螺旋羽根の上端に移送させて下から順に積み重ねるようになっている。
【0005】
同様の螺旋機構を持つものとしては、特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−86331号公報
【特許文献2】特開平3−23116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1または2記載の構成においては、物品が連続的に、即ち間隔なく供給されるか、または物品の供給が非常に低速な条件でないと、適用することができないという問題がある。
【0008】
即ち、物品が間欠的にまたは非規則的に供給される場合には、螺旋羽根と物品とのタイミングが合致しなくなるおそれがあり、そのため、物品が螺旋羽根に当たり詰まって動作不良を起こすという問題がある。低速で物品が供給されている場合には、タイミングが合うまで、物品が螺旋羽根に当たった状態で待機することも可能であるが、高速で物品が搬送される場合には、次々と物品が滞留して動作不良を起こしてしまうという問題がある。
【0009】
また、高速で物品が搬送されていると、螺旋ロッドに囲まれる位置に達した時に、物品が螺旋ロッド等に当たって反動で跳ね返るため、螺旋羽根と物品とのタイミングがずれて動作不良を起こしてしまうという問題がある。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、物品が間欠的に供給される場合にも、安定的に集積を行うことができる集積装置を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の他の目的は、物品が高速に供給される場合にも、安定的に集積を行うことができる集積装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、間欠的に供給される物品を集積する集積装置であって、
物品を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
搬送路の近傍に上下方向を向いて設けられ、物品の端部が進入可能で且つ相対移動可能な螺旋路を有する複数のスクリューロッドと、
スクリューロッドを回転させる駆動部と、
搬送部によって搬送される物品が所定位置に達したことを検出して検出信号を出力する検出部と、
検出部の検出信号を受ける毎に駆動部によってスクリューロッドを1回転させる制御部と、
を備え、所定位置に達した物品を、スクリューロッドの螺旋路に沿って上昇させて、物品を上方に向かって集積させることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、搬送路下方に設けられた吸引室に負圧を導入して、前記物品を搬送路に吸着する吸引部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記螺旋路はスクリューロッドに形成された螺旋溝であり、物品の端部が螺旋溝内で案内されながら上昇することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出部で物品が所定位置に達したことを検出すると、スクリューロッドを1回転させるようにしたので、必ず、物品の搬送とスクリューロッドの螺旋路及びスクリューロッドの回転開始のタイミングを合わせることができて、該螺旋路によって物品を確実に上昇させて集積させることができる。
【0016】
スクリューロッドは、一回転して次の物品の搬送を待機することで、物品の間欠的な供給に対応することができ、また、高速で一回転することで、物品の高速供給に対応することができる。
【0017】
また、物品が高速で搬送されると、スクリューロッドの螺旋路に達した地点でその動きを急停止させることは困難であるが、吸引部によって物品を搬送路に吸着するようにすることで、物品を決められた螺旋路とのタイミングが合致する位置に確実に停止させることができる。
【0018】
螺旋路を螺旋溝とすることにより、物品が螺旋路から外れることを防ぎ、確実に物品を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の集積装置の全体を表す斜視図である。
【図2】本発明の集積装置の集積本体部の側面図である。
【図3】本発明の集積装置の集積本体部と搬送部の一部を表す物品の搬送方向上流から見た斜視図である。
【図4】本発明の集積装置の集積本体部の主要部の平面図である。
【図5】本発明の集積装置の集積本体部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による集積装置の概略全体図を表している。
【0022】
この実施形態による集積装置10は、物品12としての合成樹脂製の容器を集積するものであり、物品12である容器は、平面視でその端部に該当する周縁にフランジ12aを有している。但し、物品としては、容器に限るものではなく、また周縁にフランジを有するものに限られるものではなく、任意の構成のものとすることができる。また、その平面形状は略矩形形状のものに限らず円形形状その他の任意の形状とすることが可能である。
【0023】
集積装置10は、大別して搬送部20と、集積本体部22と、検出部24と、制御部26と、吸引部28とを備える。
【0024】
搬送部20は、一対のプーリ30a、30a間に掛け渡されてプーリ30a、30a間を移動して物品12を搬送する搬送路を画定するコンベアベルト30と、一方のプーリ30aを駆動する駆動モータ31(図2)と、コンベアベルト30に沿って搬送路の両側に設けられたガイド32と、を有している。搬送部20の上流端から物品が供給されるようになっており、物品12はコンベアベルト30に移送されると、コンベアベルト30に載って搬送され、搬送部20の下流端へと向かう。搬送路20の下流端には、物品12のそれ以上の移動を阻止するストッパー34(図2)が設けられる。
【0025】
集積本体部22は、搬送部20の下流端に設けられ、その中央に開口部40aが形成された支持プレート40と、支持プレート40から下方に延びて、上下方向を向いて設けられたスクリューロッド42、42、43、43を有する。スクリューロッド42、43は、搬送路の両側にそれぞれ2個ずつ設けられている。
【0026】
さらに、集積本体部22は、図5に示したように、支持プレート40に配設されて、各スクリューロッド42、42、43、43と一体回転する被駆動プーリ44、44、45、45と、アイドラープーリ46、47と、駆動プーリ48、49と、各プーリ44、46及び48の間に張り渡されたタイミングベルト50と、各プーリ45、47及び49の間に張り渡されたタイミングベルト51と、駆動プーリ48、49を駆動する駆動部52と、を有する。駆動部52は、サーボモータ54と、駆動プーリ48、49にサーボモータ54からの回転を伝達する複数の伝達ギヤ55を有する。尚、駆動プーリ48と49とは互いに反対方向に回転する。また、支持プレート40の開口部40aの縁部からは複数の案内ロッド40bが上方に突設されている。
【0027】
スクリューロッド42、43は、その周面にそれぞれ螺旋溝42a、43aを有しており、螺旋溝42a、43aは、スクリューロッド42、43の約2周にわたり形成されている。搬送路に対して同じ側に設けられるスクリューロッド42と42、または43と43は、互いに平行に配置されているのに対して、搬送路を挟み対向するように設けられるスクリューロッド42と43は、その螺旋溝42a、43aの向きが互いに逆になり、搬送路の中心線に対して線対称となるように配置される。
【0028】
検出部24は、例えば搬送路を挟んで対向して設けられる光電センサから構成される。光電センサ24は、ストッパー34に当接する手前の物品12の所定位置の通過を検出するものであり、例えば、その所定位置として、スクリューロッド42と42との間、及びスクリューロッド43と43との間を光路が設定されるように発光器と受光器とがそれぞれ位置づけられる(図4)。
【0029】
光電センサ24からの物品12の検出信号は、制御部26へと送られる。制御部26は、検出信号を受けると、サーボモータ54を駆動するためのモータ駆動信号を出力するように予め設定される。
【0030】
吸引部28は、リングブロア方式の圧空送風機60と、上下のコンベアベルト30の間に設けられる吸引室62と、圧空送風機60から吸引室62との間を連通するための吸引ダクト64と、を有する。コンベアベルト30には搬送路上に沿って多数の開口30bが形成されており、該開口30bは吸引室62に連通している。
【0031】
以上のように構成される集積装置10において、物品12は搬送部20の上流端から供給される。物品12は、隣り合う物品との間隔が空いており、間欠的に即ち非連続的に供給される。また、その供給は、周期的、非周期的のいずれでもよく、厳密にその周期性が担保されている必要はない。
【0032】
物品12は、コンベアベルト30及びガイド32によって搬送路を搬送されて、集積本体部22へと送られる。スクリューロッド42、43は、物品12のフランジ12aがスクリューロッド42、43の螺旋溝42a、43a内に丁度進入することができる回転位置で待機している。
【0033】
ストッパー34に達する手前の地点で、光電センサ24によって物品12が検出されると、その検出信号が制御部26へと出力され、制御部26から駆動部52へとモータ駆動信号が出力されて、サーボモータ54から所定角度の回転運動が発生され、伝達ギヤ55、駆動プーリ48、49、タイミングベルト50、51及び被駆動プーリ44、45を介してスクリューロッド42、43が上下軸を中心として1回転を行う。
【0034】
スクリューロッド42、43の1回転により、物品12のフランジ12aは螺旋溝42a、43aに沿って相対的に移動し、結果として物品12は螺旋溝42a、43aの1ピッチ分上昇することができる。尚、スクリューロッド42、43が線対称で配置されて反対方向に回転することにより、螺旋溝42a、43aの相対移動は、物品12から見て同じとなる。
【0035】
スクリューロッド42、43は1回転すると停止して、次の物品12のフランジ12aを受け入れるために、前記回転位置で再び待機している。
【0036】
こうして順次物品12を1つずつ上昇させていくことで、物品12を下から集積させていくことができる。この例では、スクリューロッド42、43の螺旋溝42a、43aが2周分となっているので、スクリューロッド42、43の2回転で物品12が上方に既に集積されている物品の最後尾に重ね合わされることになる。但し、螺旋溝42a、43aは、1周分、または1周分以下とすることも可能であり、螺旋溝42a、43aのピッチと物品12の厚みによって適宜設定することができる。
【0037】
光電センサ24による検出信号に基づきスクリューロッド42、43が、物品12の供給に合わせて、間欠回転を行うために、物品12のつかみ損ないを防ぐことができ、物品12を確実に上昇させることができる。また、スクリューロッド42、43の螺旋溝42a、43aで物品12のフランジ12aを案内するために、物品12が不用意に螺旋溝42a、43aから外れたりすることなく、物品12を確実に集積していくことができる。
【0038】
スクリューロッド42、43の回転は、物品12が、ストッパー34に当接する寸前に開始することが理想的であるが、高速搬送の場合、光電センサ24からの検出信号を制御部26が受信してからスクリューロッド42、43の回転開始までの遅延時間を正確にコントロールすることは困難となり、そのため、物品12がストッパー34に当接して反動により跳ね返って後退するおそれがある。物品12の相対速度が高速であると、その分、跳ね返り量が大きくなり、物品12がスクリューロッド42、43の螺旋溝42a、43aから外れて、スクリューロッド42、43が物品12をつかみ損なって、動作不良が発生するおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、物品12は、コンベアベルト30による搬送中に、開口30bを介して、送風機60によって負圧が導入された吸引室62からの吸引力を受けており、コンベアベルト30に吸着されている。そのため、ストッパー34に当接したとしても、跳ね返りを防ぐことができ、動作不良を確実に防ぐことができる。こうして高速供給される物品に対しても安定的に集積を行うことができる。
【0039】
送風機60によって発生される吸引室62の吸引力は、跳ね返りを防ぐに十分なものであればよく、バキュームポンプによって発生される吸引力ほどに強い吸引力にする必要はない。これによって物品12のスクリューロッド42、43による上昇動作が妨げられることはない。
【0040】
スクリューロッド42、43は、1回転を間欠的に行うので、高速1回転を行わせることで、物品の高速供給に対応することができる。例えば、供給速度として、300個/分にも対応することができる。
【0041】
尚、以上の例では、スクリューロッド42、43は、搬送路の両側に2個ずつ設けられており、搬送路の下流端にはストッパー34が設けられていたが、これに限るものではなく、搬送路の下流端にスクリューロッドを設けることも可能である。また、搬送路の両側に1個以上の任意の数のスクリューロッドを設けることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 集積装置
12 物品
12a フランジ(端部)
20 搬送部
22 集積本体部
24 検出部
26 制御部
28 吸引部
42、43 スクリューロッド
42a、43a 螺旋溝
52 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に供給される物品を集積する集積装置であって、
物品を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
搬送路の近傍に上下方向を向いて設けられ、物品の端部が進入可能で且つ相対移動可能な螺旋路を有する複数のスクリューロッドと、
スクリューロッドを回転させる駆動部と、
搬送部によって搬送される物品が所定位置に達したことを検出して検出信号を出力する検出部と、
検出部の検出信号を受ける毎に駆動部によってスクリューロッドを1回転させる制御部と、
を備え、所定位置に達した物品を、スクリューロッドの螺旋路に沿って上昇させて、物品を上方に向かって集積させることを特徴とする集積装置。
【請求項2】
搬送路下方に設けられた吸引室に負圧を導入して、前記物品を搬送路に吸着する吸引部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の集積装置。
【請求項3】
前記螺旋路はスクリューロッドに形成された螺旋溝であり、物品の端部が螺旋溝内で案内されながら上昇することを特徴とする請求項1または2記載の集積装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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