説明

集音装置及び集音装置を有する電子機器

【課題】マイクを配置できるスペースが限られている電子機器に対しても、効果的な集音機能を実現しマイクに対する安定した音声入力を実現できる集音装置を提供することにある。
【解決手段】実施形態によれば、集音装置は、開口部から導入される音波の通路を有し前記開口部を除いて密閉されている筐体と、前記筐体の内部に設けられて前記通路を伝わる音波を所定の位置で入力するマイクロフォンを保持するマイクロフォン保持部材とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、集音装置及び集音装置を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話や携帯情報端末などには、音声を入力するマイクロフォン(以下単にマイクと表記する場合がある)が設けられている。また、近年では、パーソナルコンピュータやテレビジョン受信機(以下TV装置と表記する場合がある)などにも、双方向の音声通信を行なうためにマイクの取り付けが可能な製品がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−111702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話などでは、構造上の制約もあり、マイクへ音声を導くための集音の改善やハウリング防止のための各種の工夫または提案がなされている。一方、TV装置などは、映像を再生するための表示パネルの薄型化に伴って、本体の薄型化、特に表示パネルを保持するベゼル(bezel)と呼ぶ枠の薄型化(狭ベゼル化)が進んでいる。また、TV装置では、再生音を出力するスピーカが設けられている。このスピーカは、携帯電話などのスピーカと比較して大出力であるため、TV装置にマイクを取り付けた場合には、ハウリングに対する影響が大きい。
【0005】
このため、薄型化のTV装置などの電子機器では、物理的にマイクを配置できるスペースが限られている上に、スピーカの近傍もマイクの配置場所としては適切ではない。従って、TV装置などの電子機器では、集音効果の大きいスペースにマイクを配置し、マイクに安定して音声を導くことが困難である。
【0006】
本発明の目的は、マイクを配置できるスペースが限られている電子機器に対しても、効果的な集音機能を実現しマイクに対する安定した音声入力を実現できる集音装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、集音装置は、開口部から導入される音波の通路を有し前記開口部を除いて密閉されている筐体と、前記筐体の内部に設けられて前記通路を伝わる音波を所定の位置で入力するマイクロフォンを保持するマイクロフォン保持部材とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に関する集音装置を有する電子機器の外観を示す図。
【図2】第1の実施形態に関する集音装置の構成を具体的に示す図。
【図3】第2の実施形態に関する集音装置10の正面図。
【図4】第2の実施形態に関する集音装置10の側面及び外観を示す図。
【図5】第3の実施形態に関する集音装置の構成を示す図。
【図6】第4の実施形態に関する集音装置の構成を示す図。
【図7】第1から第4の実施形態に関する集音装置のマイクの一例を示す図である。
【図8】第5の実施形態に関する集音装置の構成を示す図。
【図9】第6の実施形態に関する集音装置の構成を示す図。
【図10】第7の実施形態に関する集音装置の構成を示す図。
【図11】第8の実施形態に関する電子機器の外観を示す図。
【図12】第8の実施形態に関する集音装置の側面を示す図。
【図13】第9の実施形態に関する集音装置の側面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1(A),(B)は、本実施形態の集音装置10を取り付けた電子機器20の外観を示す図である。ここで、図1(A)は正面図であり、図1(B)は側面図である。
【0011】
図1(A)に示すように、電子機器20は、具体例としてテレビジョン受信機(TV装置)とする。TV装置20は、液晶パネルからなる表示パネル21を含む本体22と、表示パネル21を保持する枠(以下、ベゼル:bezelと呼ぶ)23とを有する。表示パネル21は、本体22に含まれる映像受信モジュールで受信された映像を再生する画面である。
【0012】
本実施形態の集音装置10は、ベゼル23の上部に取り付けられている。集音装置10は、本体として開口部11を除いて密閉されている筐体(ケース)から構成されている。開口部11はスリット形状であり、筐体がベゼル23の上部に取り付けられた場合に、例えばTV装置20の正面側に向くように設計されている。
【0013】
図1(B)に示すように、集音装置10は、密閉されている筐体の内部(中空部)には、開口部11から導入される音声の通路12、及びマイクロフォン(マイク)15を保持するマイク保持部材13が設けられている。マイク15の信号線14は、筐体の外部に延長されてTV装置20の本体22に含まれて、音声認識機能などを有する音声処理モジュールなどに接続される。
【0014】
図2は、図1(B)に示す側面図の詳細図である。
【0015】
図2に示すように、TV装置20の本体22は、表示パネル21と、複数層からなる基板24と、スピーカ25と、ウーハ(woofer)26とを有する。基板24には、映像受信モジュールや音声処理モジュールなどが実装されている。
【0016】
集音装置10は、TV装置20の正面側に配置される開口部11に対して、マイク保持部材13が表示パネル21の裏面側(本体22の奥行方向)に配置されている。マイク保持部材13は、無指向性のマイク15が音声の通路12と同一平面上、即ち奥行方向と平行に配置されるようにマイク15を保持する。ここで、通路12の距離、即ち開口部11からマイク15までの距離は、例えば3cm程度であり、マイク15に入力される音質などの音響特性に基づいて設計される。
【0017】
本実施形態の集音装置10では、例えば、表示パネル21に再生される映像を見ているユーザから発声された音声が、筐体の開口部11から導入される。図2に示すように、開口部11から導入された音声(音波)は、筐体の内部に設けられた通路12を伝わり、マイク保持部材13に保持されているマイク15に入力される。このマイク15により、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の本体22に含まれる音声処理モジュールなどに送られる。
【0018】
本実施形態の集音装置10であれば、筐体は、開口部11を除いて密閉されているため、表示パネル21側を除いて、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)をある程度遮断することが可能である。マイク15は、筐体の内部で表示パネル21の裏側に配置されている。このため、マイク15に対して、開口部11からの音声以外の音の入力を抑制できる。
【0019】
さらに、TV装置20は、スピーカ25やウーハ26を備えているため、これらの発生音がマイク15の入力音声とハウリングを起こす可能性が高い。本実施形態の集音装置10は、表示パネル21の上部に配置されることにより、スピーカ25やウーハ26とは距離を確保することが可能である。一般的に、音は距離の2乗に比例して減衰する特性を有する。
【0020】
また、集音装置10の開口部11を、TV装置20の正面側に向けて、スピーカ25やウーハ26などの音源の方向には設けない構造とすることにより、音源からの回り込み音(エコー;echo)の影響を抑制することができる。即ち、集音装置10は、スピーカ25やウーハ26などの音源がある場合でも、高い音響特性(SER:signal-to-echo ratio)で集音することができる。
【0021】
従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。特に、本体22の薄型化に伴って、
ベゼル23の薄型化(狭ベゼル化)を実現しているTV装置20の場合には、ベゼル23の内部にマイク15を実装することは困難である。本実施形態の集音装置10であれば、マイク15をベゼル23に組み込まずに、ベゼル23に取り外し可能な一種のアダプタとして取り付けることが可能である。
【0022】
ここで、薄型化のTV装置20では、デザイン性を優先してスピーカ25などを表示パネル21の下部に配置される設計が主流になっている。従って、スピーカ25からの再生音の影響が大きいために、マイク15を表示パネル21の下部に配置することは、ハウリングが発生して音響特性上において望ましくない。また、本体22の下側は障害物により集音効果が低下するため、マイク15の配置場所として望ましくない。本実施形態の集音装置10であれば、マイク15の実装スペースが限定されている薄型化のTV装置20においても、集音効果の高いマイク15の配置場所を確保することが可能となる。
【0023】
[第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態に関する集音装置10の構成を示す正面図である。図4(A)はその側面図であり、図4(B)は外観図である。なお、集音装置10の内部構造は、図2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0024】
本実施形態の集音装置10は、複数のマイクを搭載する場合の構造である。図3に示すように、本実施形態の集音装置10では、筐体は、それぞれ開口部11を有する複数の小筐体が横方向に結合する構成からなる。各小筐体はそれぞれ、密閉された中空部を有し、
図2に示すように、開口部11、通路12及びマイク保持部材13を含む。各マイク保持部材13のそれぞれには、1個のマイクが実装されている。
【0025】
図4(A)は、本実施形態の集音装置10が、TV装置20の表示パネル21の上部に取り付けられている構成を示す側面図である。TV装置20の本体22は、前述したように、表側には表示パネル21を有し、裏面側には基板24を含む。図4(B)は、TV装置20の本体22に取り付けられている集音装置10の外観を示す図である。
【0026】
このような複数のマイクを搭載する集音装置10においても、前述したように、効果的な集音機能を実現し、複数のマイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。また、薄型化のTV装置20に対して、各マイク15をベゼル23に組み込まずに、ベゼル23に取り外し可能な一種のアダプタとして取り付けることが可能である。
【0027】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態に関する集音装置10の構成を示す側面図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0028】
図5に示すように、本実施形態の集音装置10は、マイク保持部材13が表示パネル21の裏面側ではなく、表示パネル21の上側に配置される構成である。筐体の内部は、スリット状の開口部11から連続するL字形の通路12を有する。マイク保持部材13は、TV装置20の正面側に配置される開口部11に対して、垂直方向に配置されるようにマイク15を保持する。
【0029】
本実施形態の集音装置10では、開口部11から導入された音声(音波)は、水平方向の通路12を伝わり、さらに垂直方向の通路12を伝わることでマイク保持部材13に保持されているマイク15に入力される。このマイク15により、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の音声処理モジュールなどに送られる。
【0030】
本実施形態の集音装置10の場合でも、前述したように、筐体は、開口部11を除いて密閉されているため、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)をある程度遮断することが可能である。また、表示パネル21の上部に配置されることにより、TV装置20のスピーカ25やウーハ26とは距離を確保することが可能である。
【0031】
さらに、開口部11をTV装置20の正面側に向けて、スピーカ25やウーハ26などの音源の方向には設けない構造とすることにより、音源からの回り込み音(エコー;echo)の影響を抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。
【0032】
[第4の実施形態]
図6は、第4の実施形態に関する集音装置10の構成を示す側面図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、本実施形態の集音装置10は、マイク保持部材13が表示パネル21の裏面側(本体22の奥行方向)で、かつスリット状の開口部11から表示パネル21の下側に配置される構成である。筐体の内部は、開口部11から水平方向と垂直方向に連続する通路12が設けられて、マイク保持部材13が配置されている中空部に連絡している構造である。なお、開口部11の垂直方向の幅は、表示パネル21の上側のベゼル23の幅BWに相当する。
【0034】
本実施形態の集音装置10では、開口部11から導入された音声(音波)100は、水平方向の通路12を伝わり、さらに垂直方向の通路12を伝わることでマイク保持部材13に保持されているマイク15に入力される。このマイク15により、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の音声処理モジュールなどに送られる。
【0035】
本実施形態の集音装置10の場合でも、前述したように、筐体は、開口部11を除いて密閉されているため、表示パネル21側を除いて、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)をある程度遮断することが可能である。また、マイク15は、開口部11から表示パネル21の下側に配置されるため、スピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音の影響を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。
【0036】
[マイク保持部材]
図7(A),(B)は、前述した第1から第4の実施形態の集音装置10において、マイク15の一例を示す図である。
【0037】
図7(A)は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクの外観を示す図である。図7(A)に示すように、マイク本体15は中空の直方体からなり、例えば長さが4×3mm、高さが1mm程度のサイズである。マイク本体15の表面の一部には、音孔150が設けられている。
【0038】
図7(B)は、ECM(Electret Condenser microphone)型マイクの外観を示す図である。図7(B)に示すように、マイク本体15は中空の円柱からなり、表面の一部には音孔150が設けられている。
【0039】
[第5の実施形態]
図8は、第5の実施形態に関する集音装置10の構成を示す側面図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0040】
図8に示すように、本実施形態の集音装置10は、マイク15を保持する部材として、所定の角度の斜面を有するエンクロージャー80からなる。エンクロージャー80は、例えばアクリルなどのプラスチック部材からなり、マイク15が配置される部分には開口部81を有する。本実施形態の集音装置10は、表示パネル21の裏面側に配置されている。ここで、本実施形態のTV装置20は、表示パネル21の上側にはベゼル23が無い構造である。
【0041】
本実施形態の集音装置10では、図8に示すように、表示パネル21の正面側からユーザが発声した音声(音波)100が、エンクロージャー80の斜面と表示パネル21の裏面の間を反射して、エンクロージャー80に保持されているマイク15に入力される。このマイク15により、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の音声処理モジュールなどに送られる。
【0042】
本実施形態の集音装置10の場合には、マイク15には、表示パネル21の正面側から伝わる音声100がエンクロージャー80の斜面と表示パネル21の裏面の間を反射しながら入力される。このため、音声100が反射により増幅されて、マイク15に入力される。従って、集音装置10は、表示パネル21の正面方向の音声を高い信号特性(SNR:signal-to- noise ratio)で集音することができる。
【0043】
一方、マイク15は、エンクロージャー80に覆われて、表示パネル21の裏面側の開口部81から音声を入力する構造である。このため、TV装置20のスピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音(エコー;echo)の影響を抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。
【0044】
[第6の実施形態]
図9は、第6の実施形態に関する集音装置10の構成を示す側面図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0045】
図9に示すように、本実施形態の集音装置10は、図2に示すような第1の実施形態での集音装置10において、マイク保持部材13と表示パネル21の上部が所定の角度を有する構成である。即ち、マイク保持部材13に保持されるマイク15は、所定の角度だけ上方向に配置される。また、表示パネル21の上部は、所定の角度だけ、開口部11から本体22の奥行方向に傾斜する斜面210が形成される。
【0046】
本実施形態の集音装置10では、開口部11から導入された音声(音波)は、水平方向の通路12を伝わり、マイク保持部材13に保持されているマイク15に入力される。この場合、音声は、表示パネル21の斜面210が奥行方向に傾斜しているため、進行しやすい。また、マイク15は、所定の角度だけ上方向に配置されるため、開口部11から導入された音声を入力しやすい。従って、集音装置10は、表示パネル21の正面方向の音声を集音しやすい状態となる。
【0047】
一方、集音装置10の開口部11は表示パネル21の正面側に向けられるため、スピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音の影響を抑制することができる。即ち、集音装置10は、スピーカ25やウーハ26などの音源がある場合でも、表示パネル21の正面側でユーザが発声した音声を効果的に集音することができる。
【0048】
[第7の実施形態]
図10は、第7の実施形態に関する集音装置10の構成を示す側面図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0049】
図10に示すように、本実施形態の集音装置10は、幅BWのベゼル23の上部に形成された開口部11と音声の通路12に結合するように、取り付けられる筐体(ケース)から構成されている。筐体は、通路12に結合する部分を除いて密閉されており、マイク15を保持するマイク保持部材13が設けられている。
【0050】
本実施形態の集音装置10では、例えば、表示パネル21に再生される映像を見ているユーザから発声された音声が、ベゼル23に形成された開口部11及び通路12を介して筐体に入る。筐体に伝わった音声は、マイク保持部材13に保持されているマイク15に入力される。このマイク15により、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の本体22に含まれる基板24の音声処理モジュールなどに送られる。
【0051】
本実施形態の集音装置10の場合でも、前述したように、筐体は密閉されているため、ベゼル23に形成された開口部11を除いて、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)を遮断し、スピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音の影響を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイク15に対する安定した音声入力を実現することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の場合には、ベゼル23に開口部11及び通路12を形成する構成であるため、マイク15をベゼル23に組み込まずに、取り外し可能な一種のアダプタとして集音装置10を取り付けることが可能である。従って、ベゼル23の薄型化(狭ベゼル化)と共に、集音装置10を表示パネル21の裏面側に配置させることが可能である。これにより、デザイン性を優先した薄型化のTV装置20の設計が可能となる。
【0053】
[第8の実施形態]
図11及び図12は、第8の実施形態に関する集音装置10の構成を示す図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図1及び2に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0054】
図11(A)は、TV装置20の裏面側を示す外観図である。図11(B)は、TV装置20の正面側を示す外観図である。図12は、TV装置20の本体の内部を示す側面図であり、本実施形態に関する集音装置10の構成を示す図である。
【0055】
図12に示すように、本実施形態の集音装置10は、TV装置20の本体の内部に取り外し可能に組み込まれており、音声の通路12及びマイクを保持するマイク保持部材13を有する。通路12は、TV装置20の本体のバックキャビネット22Bに沿って配置されている。さらに、通路12は、マイク保持部材13が配置されている中空部まで連続している。
【0056】
バックキャビネット22Bは、図11(A)に示すように、本体の裏面側を構成する本体部材である。本実施形態では、バックキャビネット22Bの上部に、例えば2か所にスリット(開口部)31が設けられる。図11(B)に示すように、これらの各スリット31は、表示パネル21の正面側からユーザには見えない場所に配置される。なお、表示パネル21は、フロントキャビネット22Aにより保持されている。
【0057】
本実施形態の集音装置10では、例えば、表示パネル21に再生される映像を見ているユーザから発声された音声が、バックキャビネット22Bに形成されたスリット31から導入される。この導入された音声は、通路12を伝わり、マイク保持部材13に保持されているマイクに入力される。このマイクにより、ユーザから発声された音声は音声信号に変換されて、TV装置20の本体に含まれる音声処理モジュールなどに送られる。
【0058】
本実施形態の集音装置10は、スリット31を除いて、TV装置20のバックキャビネット22Bにより密閉されている。このため、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)を遮断し、スピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音の影響を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイクに対する安定した音声入力を実現することができる。
【0059】
[第9の実施形態]
図13は、第9の実施形態に関する集音装置10の構成を示す図である。なお、TV装置20の周辺構成は、図11に示すものと同様であるため説明を省略する。
【0060】
図13に示すように、本実施形態では、2か所のスリット(開口部)31は、バックキャビネット22Bの上部で、表示パネル21の正面側に向くように設けられる。なお、他の構成は、図12に示すように、第8の実施形態に関する集音装置10の構成と同様のため説明を省略する。
【0061】
本実施形態の集音装置10の場合でも、スリット31を除いて、TV装置20のバックキャビネット22Bにより密閉されている。このため、TV装置20の周囲からの音(ノイズを含む)を遮断し、スピーカ25やウーハ26などの音源からの回り込み音の影響を効果的に抑制することができる。従って、本実施形態の集音装置10であれば、効果的な集音機能を実現し、マイクに対する安定した音声入力を実現することができる。特に、本実施形態の場合には、スリット31が表示パネル21の正面側に向いている構造であるため、例えば、表示パネル21に再生される映像を見ているユーザから発声された音声を効果的に導入することができる。
【0062】
以上のように各実施形態の集音装置10は、TV装置20のベゼルやバックキャビネットから取り外し可能な一種のアダプタとして使用することが可能である。集音用のマイクをベゼルに組み込むマイク搭載機種のTV装置は、ベゼルと表示パネル21とが一体になっていることが多いため、生産工程が複雑であり、相対的に高い生産コストを要すことが予想される。これ対して、各実施形態の集音装置10であれば、マイク非搭載機種のTV装置にマイクを取り付けることができるため、結果として、相対的に低生産コストでかつ集音機能を備えたTV装置を提供できる。
【0063】
なお、各実施形態では、集音装置10を取り付ける電子機器として、TV装置を想定したが、これに限ることなく、パーソナルコンピュータなどにも適用できる。また、集音機能を利用して、音声による機器の操作を行なう装置であれば、例えば空調機器などにも適用できる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10…集音装置、11…開口部(スリット)、12…通路、13…マイク保持部材、
14…信号線、15…マイクロフォン(マイク)、20…電子機器(TV装置)、
21…表示パネル、22…本体、23…ベゼル、24…基板、25…スピーカ、
26…ウーハ、22A…フロントキャビネット、22B…バックキャビネット、
31…スリット、80…エンクロージャー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部から導入される音波の通路を有し、前記開口部を除いて密閉されている筐体と、
前記筐体の内部に設けられて、前記通路を伝わる音波を所定の位置で入力するマイクロフォンを保持するマイクロフォン保持部材と
を具備する集音装置。
【請求項2】
前記マイクロフォン保持部材は、
前記通路と同一平面上に前記マイクロフォンを配置させるように、前記筐体の内部に設けられている請求項1に記載の集音装置。
【請求項3】
前記筐体は、
前記通路を介して前記開口部から前記マイクロフォンまでの距離が所定の音響特性に基づいて設定される構成である請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の集音装置。
【請求項4】
前記マイクロフォン保持部材は、
前記通路に対して所定の角度を有し、前記開口部から導入される音波が反射して、前記マイクロフォンに入力される構成である請求項1に記載の集音装置。
【請求項5】
前記筐体は、
前記通路が水平方向及び垂直方向に連続する構成である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の集音装置。
【請求項6】
前記筐体は、
前記開口部から導入される音波が反射して、前記マイクロフォンに入力される構造の前記通路を有する請求項1に記載の集音装置。
【請求項7】
複数の前記筐体がそれぞれ独立して結合し、
前記各筐体のそれぞれの開口部から導入される音波を、各通路を介して各マイクロフォンに入力するように構成される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の集音装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の集音装置と、
スピーカと、
前記スピーカから所定の距離を有する位置に前記集音装置を取り付ける構造と
を具備する電子機器。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の集音装置と、
スピーカと、
ディスプレイを保持するベゼル部材とを具備し、
前記スピーカから所定の距離を有し、前記ベゼル部材の所定の位置に前記集音装置を取り付ける構造と
を具備する電子機器。
【請求項10】
前記集音装置は、
前記開口部が、前記スピーカ及び音源発生部からの音源方向とは異なる方向に向けられる構成である請求項8または請求項9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
音波を導入するための開口部を有する本体と、
前記本体の内部に取り外し可能に設けられて、前記開口部を除いて密閉されている集音装置とを具備し、
前記集音装置は、
前記開口部から導入される音波の通路と、
前記通路を伝わる音波を所定の位置で入力するマイクロフォンを保持するマイクロフォン保持部材と
を有する電子機器。
【請求項12】
前記本体は、
ディスプレイを保持する第1の本体部材と、
前記第1の本体部材と反対側の第2の本体部材と、
前記開口部が前記第2の本体部材の一部に設けられる構成である請求項11に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−110632(P2013−110632A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254910(P2011−254910)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】