説明

離脱防止部材、およびそれを用いた電子機器

【課題】コネクタ装置に装着されたメモリーモジュールが容易に離脱してしまうことを防止する。
【解決手段】コネクタ装置30にカバー部材60を装着した構成とし、カバー部材60に第1の規制部62a及び第2の規制部62bを備えたことにより、第1の保持部材33及び第2の保持部材34の変位を規制することができる。したがって、コネクタ装置30に外部から衝撃や振動が加わったとしても、第1の保持部材33及び第2の保持部材34とメモリーモジュール20との係合が外れず、メモリーモジュール20が第1のコネクタ本体31から容易に離脱してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、離脱防止部材、および脱落防止部材を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン等の情報処理装置は、中央演算処理装置が様々な情報処理を実行する際に一時的にデータを保存するRAM(Random Access Memory)を備えていることが多い。近年のRAMは、プリント基板の表裏にメモリーチップが実装されたSIMM(Single Inline Memory Module)やDIMM(Dual Inline Memory Module)が用いられることが多い。上記のようなメモリーモジュールは、情報処理装置内のメインプリント基板に実装されたコネクタに電気的及び機械的に装着することで、RAMとして機能する。
【0003】
特許文献1は、メモリモジュールが接続されたコネクタ本体にロック部材を装着することにより、ロック部材によってメモリモジュールの接続解除方向への移動を規制するとともに、ロック部材の係止片をコネクタ本体側に係止してロック部材の取外方向への移動を規制し、ロック部材の係止片を補強板によって外部から係止解除操作不能に覆うようにしたので、コネクタ本体とメモリモジュールとの接続が容易に解除されることがなく、衝撃や振動に対する接続信頼性の向上を図ることができるとともに、例えば電気機器のメモリモジュールが故意に取外されて他のメモリモジュールに交換されることによる故障や誤動作を効果的に防止することができる旨を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−293990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1が開示している構成では、複数のコネクタ本体を備えたコネクタの場合、コネクタ本体の数だけロック部材が必要となる。したがって、部品点数が増加し、コストアップにつながってしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、複数のコネクタ本体に装着された電気回路モジュールの離脱を防止することができる脱落防止部材、この脱落防止部材を備えるコネクタ装置、およびこのコネクタ装置を備える電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る離脱防止部材は、接続対象物を保持可能なコネクタ本体と、このコネクタ本体に備わり接続対象物を接続解除方向へ付勢可能なように弾性を有する電気接点と、コネクタ本体に備わり接続対象物の接続解除方向への移動を規制する係止部を備えた少なくとも一対の保持部材とを備えたコネクタ装置に装着可能な離脱防止部材であって、コネクタ本体に固定される固定部と、係止部が接続対象物の係止を解除する方向へ保持部材が変位するのを規制する規制部とを備えたものである。
【0008】
本開示に係る電子装置は、筐体と、筐体内部に配置され、接続対象物を保持可能なコネクタ本体と、筐体の外面に開閉自在に配置され、閉状態でコネクタ本体を覆う蓋体と、コネクタ本体に備わり接続対象物を接続解除方向へ付勢可能なように弾性を有する電気接点と、コネクタ本体に備わり接続対象物の接続解除方向への移動を規制する係止部を備えた少なくとも一対の保持部材と、コネクタ本体に固定された離脱防止部材とを備え、離脱防止部材は、コネクタ本体に固定される固定部と、係止部が接続対象物の係止を解除する方向へ保持部材が変位するのを規制する規制部とを備え、蓋体が閉状態の際は、係止部の規制が解除される構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、1つの離脱防止部材で、複数のコネクタ本体に装着された電気回路モジュールの離脱を防止することができるので、部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ノートパソコンの斜視図
【図2】ノートパソコンの下面の構成を示す平面図
【図3A】コネクタ装置の平面図
【図3B】コネクタ装置の正面図
【図4】メモリーモジュールの斜視図
【図5A】第1のコネクタ本体の断面図
【図5B】第1のコネクタ本体の断面図
【図6】メモリーモジュールが装着されたコネクタ装置の平面図
【図7】メモリーモジュールが装着されたコネクタ装置の側面図
【図8】メモリーモジュールが装着されたコネクタ装置の拡大断面図
【図9A】カバー部材の斜視図
【図9B】カバー部材の側面図
【図9C】閉蓋状態におけるカバー部材の要部側面図
【図9D】海外状態におけるカバー部材の要部側面図
【図10A】カバー部材が装着されたコネクタ装置の正面図
【図10B】カバー部材が装着されたコネクタ装置の拡大断面図
【図10C】カバー部材が装着されたコネクタ装置の拡大断面図
【図11】カバー部材の変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(実施の形態1)
〔1.電子機器の構成〕
図1は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。図1に示すノートパソコンは、電子機器の一例である。本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともメモリーモジュール等の電気回路モジュールを着脱可能なコネクタを備えた電子機器であれば、本発明の構成を適用できる。
【0014】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板や、中央演算処理装置等を内蔵している。第2の筐体2は、ディスプレイパネル4を備えている。ディスプレイパネル4は、例えば液晶ディスプレイパネルで実現することができる。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを矢印AまたはBに示す方向へ回動自在に支持する回動軸を備えている。第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。
【0015】
図2は、第1の筐体1の下面1b側の構成を示す平面図である。第1の筐体1の下面1bは、上面1aの裏側の面である。第1の筐体1の下面1bには、開口部10が備わる。開口部10は、メモリーモジュール20を着脱可能なコネクタ装置(後述)を内蔵している。開口部10は、蓋体11によって開閉可能である。
【0016】
〔2.コネクタ装置30の構成〕
図3Aは、本実施の形態にかかるコネクタ装置の平面図である。図3Bは、本実施の形態にかかるコネクタ装置の正面図である。
【0017】
コネクタ装置30は、図2に示す開口部10内に配置されている。コネクタ装置30は、第1のコネクタ本体31、第2のコネクタ本体32、第1の保持部材33、第2の保持部材34、第3の保持部材35、および第4の保持部材36を備えている。
【0018】
一般的に、ノートパソコンは、その製造者によって第2のコネクタ本体32にのみメモリーモジュール20が装着され、第1のコネクタ本体31にはメモリーモジュールが装着されていない状態で流通することが多い。このような場合、ユーザーが任意に第1のコネクタ本体31に新たなメモリーモジュールを装着することで、ノートパソコンのメモリー総容量を増加させることができる。また、ノートパソコンは、その製造者によって第1のコネクタ本体31と第2のコネクタ本体32の両方にメモリーモジュール20が装着されて流通する場合がある。
【0019】
第1のコネクタ本体31は、図3Bに示すようにプリント基板40に実装されている。第1のコネクタ本体31は、メモリーモジュール20を保持することができる。第1のコネクタ本体31は、メモリーモジュール20を挿入可能なスロットを備えている。第1のコネクタ本体31は、メモリーモジュール20に備わる複数の端子に電気的に接続可能な複数の接点31aを備えている。接点31aは、例えば特開2005−293990号公報に開示されている構成とすることができる。
【0020】
第2のコネクタ本体32は、図3Bに示すようにプリント基板40に実装されている。第2のコネクタ本体32は、メモリーモジュール20を保持することができる。第2のコネクタ本体32は、メモリーモジュール20を挿入可能なスロットを備えている。第2のコネクタ本体32は、メモリーモジュール20に備わる複数の端子に電気的に接続可能な複数の接点32aを備えている。接点32aは、例えば特開2005−293990号公報に開示されているような構成を採用することができる。
【0021】
第1のコネクタ本体31と第2のコネクタ本体32とは、本実施の形態では接点31a及び32aの数やスロットの大きさが同じコネクタを用いたが、仕様が互いに異なるコネクタを用いてもよい。第1のコネクタ本体31と第2のコネクタ本体32とは、図3Aに示すように、プリント基板40の実装面の面方向にずらして配置されている。第1のコネクタ本体31と第2のコネクタ本体32とは、図3Bに示すように、プリント基板40の実装面に直交する方向にずらして配置されている。
【0022】
第1の保持部材33は、第1のコネクタ本体31の長手方向の一方の端部に固定されている。第1の保持部材33は、腕部33a、係止部33b、操作片33cを備えている。腕部33aは、第1のコネクタ本体31の側面からプリント基板40の実装面に平行に延びるように形成されている。腕部33aは、一方の端部が第1のコネクタ本体31に固定されている。腕部33aは、図3Aに示す状態から矢印Dに示す方向へ弾性変形可能に形成されている。腕部33aは、弾性変形可能な形状及び材料で形成されており、例えばステンレス鋼等の金属を薄板状に形成した構成とすることができる。係止部33bは、腕部33aの他方の端部近傍に形成されている。係止部33bは、図3Bに示すように、第2の保持部材34側へ向かって突出している。係止部33bは、メモリーモジュール20の一方の面に当接可能で、メモリーモジュール20を正規の装着位置で係止する。具体的には、係止部33bは、メモリーモジュール20の矢印Fに示す方向への変位を規制することができる。操作片33cは、腕部33aの他方の端部に形成されている。操作片33cは、ユーザーが第1の保持部材33を矢印Dに示す方向へ弾性変形させる際に指を掛けることができる部分である。
【0023】
第2の保持部材34は、第1のコネクタ本体31の長手方向の他方の端部に固定されている。第2の保持部材34は、腕部34a、係止部34b、操作片34cを備えている。腕部34aは、第1のコネクタ本体31の側面からプリント基板40の実装面に平行に延びるように形成されている。腕部34aは、一方の端部が第1のコネクタ本体31に固定されている。腕部34aは、図3Aに示す状態から矢印Eに示す方向へ弾性変形可能に形成されている。腕部34aは、弾性変形可能な形状及び材料で形成されており、例えばステンレス鋼等の金属を薄板状に形成した構成とすることができる。係止部34bは、腕部34aの他方の端部近傍に形成されている。係止部34bは、図3Bに示すように、第1の保持部材33側へ向かって突出している。係止部34bは、メモリーモジュール20の一方の面に当接可能で、メモリーモジュール20を正規の装着位置で係止する。具体的には、係止部34bは、メモリーモジュール20の矢印Fに示す方向への変位を規制することができる。操作片34cは、腕部34aの他方の端部に形成されている。操作片34cは、ユーザーが第1の保持部材34を矢印Dに示す方向へ弾性変形させる際に指を掛けることができる部分である。
【0024】
第3の保持部材35は、第2のコネクタ本体32の長手方向の他方の端部に固定されている。第3の保持部材35は、腕部35a、係止部35b、操作片35cを備えている。腕部35aは、第2のコネクタ本体32の側面からプリント基板40の実装面に平行に延びるように形成されている。腕部35aは、一方の端部が第2のコネクタ本体32に固定されている。腕部35aは、図3Aに示す状態から矢印Dに示す方向へ弾性変形可能に形成されている。腕部35aは、弾性変形可能な形状及び材料で形成されており、例えばステンレス鋼等の金属を薄板状に形成した構成とすることができる。係止部35bは、腕部35aの他方の端部近傍に形成されている。係止部35bは、図3Bに示すように、第4の保持部材36側へ向かって突出している。係止部35bは、メモリーモジュール20の一方の面に当接可能で、メモリーモジュール20を正規の装着位置で係止する。具体的には、係止部35bは、メモリーモジュール20の矢印Fに示す方向への変位を規制することができる。操作片35cは、腕部35aの他方の端部に形成されている。操作片35cは、ユーザーが第3の保持部材35を矢印Eに示す方向へ弾性変形させる際に指を掛けることができる部分である。
【0025】
第4の保持部材36は、第2のコネクタ本体32の長手方向の他方の端部に固定されている。第4の保持部材36は、腕部36a、係止部36b、操作片36cを備えている。腕部36aは、第2のコネクタ本体32の側面からプリント基板40の実装面と平行に延びるように形成されている。腕部36aは、一方の端部が第2のコネクタ本体32に固定されている。腕部36aは、図3Aに示す状態から矢印Eに示す方向へ弾性変形可能に形成されている。腕部36aは、弾性変形可能な形状及び材料で形成されており、例えばステンレス鋼等の金属を薄板状に形成した構成とすることができる。係止部36bは、腕部36aの他方の端部近傍に形成されている。係止部36bは、図3Bに示すように、第3の保持部材35側へ向かって突出している。係止部36bは、メモリーモジュール20の一方の面に当接可能で、メモリーモジュール20を正規の装着位置で係止する。具体的には、係止部36bは、メモリーモジュール20の矢印Fに示す方向への変位を規制することができる。操作片36cは、腕部36aの他方の端部に形成されている。操作片36cは、ユーザーが第4の保持部材36を矢印Eに示す方向へ弾性変形させる際に指を掛けることができる部分である。
【0026】
図4は、メモリーモジュール20の斜視図である。メモリーモジュール20は、プリント基板21、メモリーチップ22、および接点23を備えている。プリント基板21は、略長方形状の樹脂基板で形成されている。メモリーチップ22は、様々なデータを一時記憶可能なチップである。メモリーチップ22は、プリント基板21の一方の主面21a及び他方の主面21bにそれぞれ実装されている。本実施の形態では、メモリーチップ22は、プリント基板21に複数個実装しているが、個数は限定されない。本実施の形態では、メモリーチップ22は、プリント基板21の一方の主面21a及び他方の主面21bにそれぞれ実装されているが(他方の主面21bに形成されているメモリーチップ22は図示省略)、プリント基板21に対するメモリーチップ22の実装に依存していずれか一つの主面にのみ実装されていてもよい。接点23は、プリント基板21の一方の長辺に沿って複数個形成されている。接点23は、プリント基板21に形成されている配線パターン(不図示)を介してメモリーチップ22に電気的に接続されている。接点23は、メモリーモジュール20をコネクタ装置30に装着した際に、コネクタ装置30に備わる接点31aまたは32aに電気的に接続される。本実施の形態では、接点23は、プリント基板21の一方の主面21a及び他方の主面21bにそれぞれ形成されているが(他方の主面21bに形成されている接点23は図示省略)、プリント基板21に対するメモリーチップ22の実装に依存していずれか一つの主面にのみ実装されていてもよい。
【0027】
以下、コネクタ装置30へメモリーモジュール20を装着する際の動作について説明する。
【0028】
図5Aは、コネクタ装置30へメモリーモジュール20を挿入した状態を示す断面図である。図5Bは、メモリーモジュール20をコネクタ装置30における正規の位置に装着した状態を示す断面図である。
【0029】
図5A及び図5Bに示すように、接点31aは、第1の接点31b及び第2の接点31cからなる。なお、本実施の形態のコネクタ装置30は、プリント基板21の両面に接点23を備えたメモリーモジュール20(DIMM)を装着可能な構成としているため第1の接点31b及び第2の接点31cを備えているが、プリント基板21の片面にのみ接点23を備えたメモリーモジュール(SIMM)を装着可能とする場合は第1の接点31b及び第2の接点31cのうちいずれか一方のみ備えていればよい。第1の接点31b及び第2の接点31cは、それぞれ弾性変形可能である。第1の接点31bと第2の接点31cとの間には、メモリーモジュール20を挿入可能な間隙31dを有する。間隙31dの寸法は、メモリーモジュール20のプリント基板21の厚さよりも僅かに小さくすることで、メモリーモジュール20を保持することができ、好ましい。
【0030】
コネクタ装置30へメモリーモジュール20を装着する際は、まず、図5Aに示すようにメモリーモジュール20を斜め方向から矢印Gに示すように変位させて、コネクタ装置30へ挿入する。具体的には、メモリーモジュール20における接点23が配されている長辺部分を、第1の接点31bと第2の接点31cとの間隙31dに挿入する。間隙31dに挿入されたメモリーモジュール20は、間隙31dの寸法がメモリーモジュール20の厚さよりも僅かに小さい寸法を有するため第1の接点31bと第2の接点31cとに挟持されるとともに、第1の接点31bと第2の接点31cとがプリント基板21の主面21aの面方向に異なる位置を支持しているため図5Aに示す傾斜姿勢を維持する。
【0031】
次に、メモリーモジュール20を図5Aに示す姿勢から、矢印Hに示す方向へ変位させる。このとき、メモリーモジュール20は、一方の長辺部分が第1の接点31bと第2の接点31cとに挟持されているため、矢印Hに示す方向へ変位させる際にメモリーモジュール20の接点23と第1の接点31b及び第2の接点31cとの接触点を支点として摺動しながら回動する。
【0032】
メモリーモジュール20は、図5Bに示す位置まで変位させて係止部33b及び34bに係合させることにより、コネクタ装置30における正規の位置で係止される。このとき、第1の接点31bは図5Bに示すように矢印Jに示す方向へ弾性変形し、第2の接点31cは図5Bに示すように矢印Kに示す方向へ弾性変形する。
【0033】
なお、上記と同様の手順により、第2のコネクタ本体32にメモリーモジュール20を装着することができる。
【0034】
図6は、第1のコネクタ本体31及び第2のコネクタ本体32のそれぞれにメモリーモジュールを装着した状態を第1のコネクタ本体31側から示す平面図である。図7は、第1のコネクタ本体31及び第2のコネクタ本体32のそれぞれにメモリーモジュールを装着した状態を示す側面図である。図8は、第2の保持部材34及び第4の保持部材36近傍の部分正面図である。
【0035】
なお、図6〜図8は、一例として、第1のコネクタ本体31にメモリーモジュール20が装着され、第2のコネクタ本体32にメモリーモジュール50が装着されている状態を図示しているが、メモリーモジュール20とメモリーモジュール50とは少なくともコネクタ装置30に装着される部分の形状が同一であればよい。メモリーモジュール20とメモリーモジュール50とは、搭載されるメモリーチップの容量等は異なっていてもよい。したがって、メモリーモジュール20は第2のコネクタ本体32に装着可能であり、メモリーモジュール50は第1のコネクタ本体31に装着可能である、図6〜図8に示すように、メモリーモジュール20は、第1の保持部材33の係止部33bと第2の保持部材34の係止部34bとに係止され、矢印Fに示す方向への変位が規制されている。また、メモリーモジュール50は、第3の保持部材35の係止部35bと第4の保持部材36の係止部36bとに係止され、矢印Fに示す方向への変位が規制されている。
【0036】
図6〜図8に示す状態において、コネクタ装置30に外部から衝撃や振動が加わると、第1の保持部材33及び第2の保持部材34の両方またはいずれか一方が矢印DまたはE(図3B参照)に示す方向へ変位する場合がある。第1の保持部材33及び第2の保持部材34の両方またはいずれか一方が変位すると、メモリーモジュール20と係止部33b及び34bとの係合が外れる場合がある。メモリーモジュール20と係止部33b及び34bとの係合が外れると、メモリーモジュール20は、第1の接点31bによる矢印Kに示す方向の押圧力と第2の接点31cによる矢印Jに示す方向の押圧力(図5B参照)が作用し、図5Aに示す傾斜姿勢に変位する場合がある。メモリーモジュール20が図5Aに示す姿勢になると、メモリーモジュール20の接点23と第1のコネクタ本体31の接点31aとの電気的接続が不安定となる場合がある。なお、図示や説明は省略するが、第2のコネクタ本体32に接続されたメモリーモジュール50においても、上記と同様の問題が生じる可能性がある。
【0037】
本実施の形態では、コネクタ装置30に外部から衝撃や振動が加わったとしても、メモリーモジュール20の接点23と第1のコネクタ本体31の接点31aとの電気的接続が不安定となることを防止することができるカバー部材60を備えている。
【0038】
〔3.カバー部材60の構成〕
図9Aは、カバー部材60の斜視図である。図9Bは、カバー部材60の側面図である。
【0039】
カバー部材60は、本実施の形態では樹脂で形成したが、金属で形成することもできる。カバー部材60は、固定部61、第1の規制部62a、第2の規制部62b(図9A及び図9Bでは図示省略)、第3の規制部62c、第4の規制部62d、壁部63、薄肉部65を備えている。
【0040】
固定部61は、第1のコネクタ本体31の上面31b(図3A参照)を覆うように固定される。固定部61は、内面61aを第1のコネクタ本体31の上面31bに接着剤や両面テープ等を用いて固着することで固定することができるが、固定の手段は限定されない。
【0041】
第1の規制部62aは、カバー部材60を第1のコネクタ本体31の正規の位置に固定したときに、第1の保持部材33の係止部33bの近傍に位置する。第1の規制部62aは、係止部33bとメモリーモジュール20との係合が外れる方向への第1の保持部材33の弾性変形を規制する。第2の規制部62bは、カバー部材60を第1のコネクタ本体31の正規の位置に固定したときに、第2の保持部材34の係止部34bの近傍に位置する。第2の規制部62bは、係止部34bとメモリーモジュール20との係合が外れる方向への第2の保持部材34の弾性変形を規制する。第1の規制部62aと第2の規制部62bは、内部空間64を挟んで互いに対向する位置に形成されている。
【0042】
第3の規制部62cは、カバー部材60を第1のコネクタ本体31の正規の位置に固定したときに、第3の保持部材35の係止部35bの近傍に位置する。第3の規制部62cは、係止部35bとメモリーモジュール50との係合が外れる方向への第3の保持部材35の弾性変形を規制する。第4の規制部62dは、カバー部材60を第1のコネクタ本体31の正規の位置に固定したときに、第4の保持部材36の係止部36bの近傍に位置する。第4の規制部62dは、係止部36bとメモリーモジュール50との係合が外れる方向への第4の保持部材36の弾性変形を規制する。第3の規制部62cと第4の規制部62dは、内部空間64を挟んで互いに対向する位置に形成されている。
【0043】
壁部63は、カバー部材60を第1のコネクタ本体31の正規の位置に固定したときに、第1のコネクタ本体31に装着され内部空間64内に位置するメモリーモジュール20が第1のコネクタ本体31から離脱する方向へ変位するのを防止することができる。なお、接点31aにメモリーモジュール20が確実に保持されていれば、壁部63は省略することができる。
【0044】
薄肉部65は、図9Aに示す破線65aに沿って、カバー部材60の一方の端部から他方の端部へ形成されている。本実施の形態では、薄肉部65は、破線65aに沿って連続的に形成されている。カバー部材60は、薄肉部65を境に、矢印Lに示す方向(図9B参照)へ屈曲させることができる。
【0045】
以下、蓋体11を用いてカバー部材60の各規制部の規制を解除する構成及び方法を説明する。
【0046】
カバー部材60の薄肉部65は復元自在に屈曲可能な性質を有する。カバー部材60における第1の規制部62aおよび第3の規制部62cが突出する側壁を横規制部66、第2の規制部62bおよび第4の規制部62dが突出する側壁を横規制部67とする。固定部61における横規制部66側の側壁を横固定部68、横規制部67側の側壁を横固定部69とする。この薄肉部65は、上述したように破線65aに沿って屈曲する。カバー部材60は薄肉部65の屈曲の様子に応じて、開放状態と閉塞状態とに変形する。カバー部材60は内部空間64の方向に垂直方向から押し下げる外力が加わらない状態では、薄肉部65の破線65aを軸に固定部61の上方向に屈曲する復元力を有する。この状態を開放状態とする。他方、カバー部材60は蓋体11で閉蓋された状態では、内部空間64の方向に垂直方向から押し下げる外力が加わり、開放状態よりも固定部61と略平面に近づいた形態を有する。この状態を閉塞状態とする。
【0047】
図9Cは、蓋体11が開口10をネジ11aによって螺結することで閉蓋している状態の断面図である。蓋体11は開口部10を閉ざしている状態において、カバー部材60の形状を閉塞状態に規制する。カバー部材60の横規制部66および67は、蓋体11が開口部10を閉蓋している状態において、横固定部68および69と固定部61とが成す交線と横規制部66および67の上側の辺とが略一致するように、横規制部66および67を規制する位置に蓋体11によって規制される。
【0048】
図9Dは、ネジ11aの螺合を解除し蓋体11にネジ孔11bおよび下面1bに備えるネジ穴11cが露出し、蓋体11が開口10を開蓋している状態の断面図である。蓋体11が除かれると、カバー部60の形状は開放状態に戻る。カバー部60の横規制部66および67は、蓋体11で規制されない状態においては、横規制部66および67を規制しない位置に存在する。すなわち、横規制部66および67の一部は開口部10を通り、薄肉部65の破線65aを中心に背面1bに突出する。また、開口部10を通り背面1bに突出する部位は、メモリーモジュール20や50を挿入する挿入側であるため、新規追加や交換し易い構成である。
【0049】
カバー部材60に屈曲性を備える構成としては、カバー部60の一部を薄肉に加工する方法で形成した薄肉部65以外として、例えばバネヒンジなどで構成する方法が挙げられる。また、本実施の形態では、蓋体11をネジ11aで螺結した構成で説明したが、下面1bに蓋体11を装着する方向としては螺結に限らず、例えば爪と溝との係合等であっても良い。
【0050】
このように、蓋体11を用いてカバー部材60の屈曲の規制を解除するように構成すると、ノートパソコンの使用者が蓋体11を外せば、同時にメモリーモジュール20の規制を解除することができるので、メモリーモジュール20の交換に際して便利である。
【0051】
図10Aは、コネクタ装置30にカバー部材60を装着した状態を示す正面図である。図10Bは、コネクタ装置30における第1の保持部材33及び第3の保持部材35近傍の拡大断面図である。図10Cは、コネクタ装置30における第2の保持部材34及び第4の保持部材36近傍の拡大断面図である。なお、図10Bにおいて、第1の保持部材33と第3の保持部材35とカバー部材60との位置関係を明確に図示するために、カバー部材60を仮想線で図示した。また、図10Cにおいて、第2の保持部材34と第4の保持部材36とカバー部材60との位置関係を明確に図示するために、カバー部材60を仮想線で図示した。
【0052】
図10Bに示すように、カバー部材60の第1の規制部62aは、第1の保持部材33の操作片33a及び係止部33bの外側に位置し、第1の保持部材33の矢印Dに示す方向への変位を規制している。カバー部材60の第3の規制部62cは、第3の保持部材35の操作片35a及び係止部35bの外側に位置し、第3の保持部材35の矢印Dに示す方向への変位を規制している。
【0053】
図10Cに示すように、カバー部材60の第2の規制部62bは、第2の保持部材34の操作片34a及び係止部34bの外側に位置し、第2の保持部材34の矢印Eに示す方向への変位を規制している。カバー部材60の第4の規制部62dは、第4の保持部材36の操作片36a及び係止部36bの外側に位置し、第4の保持部材36の矢印Eに示す方向への変位を規制している。
【0054】
以上により、カバー部材60は、第1の保持部材33、第2の保持部材34、第3の保持部材35、第4の保持部材36の変位を規制することができる。
【0055】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、コネクタ装置30にカバー部材60を装着した構成とし、カバー部材60に第1の規制部62a及び第2の規制部62bを備えたことにより、第1の保持部材33及び第2の保持部材34の変位を規制することができる。したがって、コネクタ装置30に外部から衝撃や振動が加わったとしても、第1の保持部材33及び第2の保持部材34とメモリーモジュール20との係合が外れず、メモリーモジュール20が第1のコネクタ本体31から容易に離脱してしまうことを防止することができる。
【0056】
本実施の形態によれば、カバー部材60に第3の規制部62c及び第4の規制部62dを備えたことにより、第3の保持部材35及び第4の保持部材36の変位を規制することができる。したがって、コネクタ装置30に外部から衝撃や振動が加わったとしても、第3の保持部材35及び第4の保持部材36とメモリーモジュール50との係合が外れず、メモリーモジュール50が第2のコネクタ本体32から容易に離脱してしまうことを防止することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、カバー部材60は、第1の規制部62a、第2の規制部62b、第3の規制部62c、および第4の規制部62dを備えたことにより、1つのカバー部材60で2枚のメモリーモジュールの離脱を防止することができる。したがって、部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。また、第1の保持部材33、第2の保持部材34、第3の保持部材35、および第4の保持部材36とカバー部材60との位置合わせが容易になるため、コネクタ装置30及びカバー部材60を備えた機器の組立作業性を向上することができる。
【0058】
本実施の形態によれば、カバー部材60を第1のコネクタ本体31に直接固定したことにより、プリント基板40にカバー部材60を固定するためのスペースを設ける必要がなく、プリント基板40を小型化することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、カバー部材60で2枚のメモリーモジュールの離脱を防止する構成としたが、カバー部材60に規制部の数を増やすことで3枚以上のメモリーモジュールの離脱を防止する構成も可能である。
【0060】
また、本実施の形態では、コネクタ装置30に装着可能な回路モジュールとしてメモリーモジュールを挙げたが、通信モジュール等のように他の回路モジュールにも適用できる。
【0061】
また、本実施の形態では、カバー部材60は樹脂で形成したが、金属等のように熱電導性に優れた材料で形成してもよい。これにより、メモリーモジュール20の放熱性能を向上することができ、メモリーモジュール20の動作を安定させることができる。
【0062】
また、カバー部材60とメモリーモジュール20との間に放熱板を配置してもよい。これにより、メモリーモジュール20の放熱性能を向上することができ、メモリーモジュール20の動作を安定させることができる。
【0063】
また、図11に示すように、カバー部材60の上面60aからその裏面に至るまで貫通孔66を備えてもよい。貫通孔66を備えることにより、メモリーモジュール20が動作時に発する熱を外部へ放出することができ、メモリーモジュール20の動作を安定させることができる。
【0064】
また、本実施の形態では、カバー部材60は、コネクタ装置30または第1のコネクタ本体31とは別部材としたが、コネクタ装置30または第1のコネクタ本体31に一体的に備えてもよい。
【0065】
また、本実施の形態におけるメモリーモジュール20及び50は、接続対象物の一例である。本実施の形態における第1のコネクタ本体31及び第2のコネクタ本体は、コネクタ本体の一例である。本実施の形態における接点31a及び32aは、電気接点の一例である。本実施の形態における第1の係止部33b、第2の係止部34b、第3の係止部35b、第4の係止部36bは、係止部の一例である。本実施の形態における第1の保持部材33、第2の保持部材34、第3の保持部材35、第4の保持部材36は、保持部材の一例である。本実施の形態におけるコネクタ装置30は、コネクタ装置の一例である。本実施の形態におけるカバー部材60は、離脱防止部材の一例である。本実施の形態における固定部61は、固定部の一例である。本実施の形態における第1の規制部62a、第2の規制部62b、第3の規制部62c、第4の規制部62dは、規制部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本願の開示は、離脱防止部材、コネクタ装置、電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0067】
20、50 メモリーモジュール
30 コネクタ装置
31 第1のコネクタ本体
32 第2のコネクタ本体
33 第1の保持部材
34 第2の保持部材
35 第3の保持部材
36 第4の保持部材
60 カバー部材
61 固定部
62a 第1の規制部
62b 第2の規制部
62c 第3の規制部
62d 第4の規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物を保持可能なコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に備わり前記接続対象物を接続解除方向へ付勢可能なように弾性を有する電気接点と、
前記コネクタ本体に備わり前記接続対象物の接続解除方向への移動を規制する係止部を備えた少なくとも一対の保持部材とを備えたコネクタ装置に装着可能な離脱防止部材であって、
前記コネクタ本体に固定される固定部と、
前記係止部が前記接続対象物の係止を解除する方向へ前記保持部材が変位するのを規制する規制部とを備えた、離脱防止部材。
【請求項2】
複数対の保持部材を備えたコネクタ装置に装着可能であり、
前記規制部は、前記複数対の保持部材のうち一方の保持部材の変位を規制する一方の保持部材と、前記複数対の保持部材のうち他方の保持部材の変位を規制する他方の保持部材を備えた、請求項1記載の離脱防止部材。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体内部に配置され、接続対象物を保持可能なコネクタ本体と、
前記筐体の外面に開閉自在に配置され、閉状態で前記コネクタ本体を覆う蓋体と、
前記コネクタ本体に備わり前記接続対象物を接続解除方向へ付勢可能なように弾性を有する電気接点と、
前記コネクタ本体に備わり前記接続対象物の接続解除方向への移動を規制する係止部を備えた少なくとも一対の保持部材と、
前記コネクタ本体に固定された離脱防止部材とを備え、
前記離脱防止部材は、
前記コネクタ本体に固定される固定部と、
前記係止部が前記接続対象物の係止を解除する方向へ前記保持部材が変位するのを規制する規制部とを備え、
前記蓋体が開状態の際は、前記係止部の前記規制が解除される、電子機器。
【請求項4】
前記保持部材を、複数対備え、
前記規制部は、前記複数対の保持部材のうち一方の保持部材の変位を規制する一方の保持部材と、前記複数対の保持部材のうち他方の保持部材の変位を規制する他方の保持部材を備えた、請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−38068(P2013−38068A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150608(P2012−150608)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】