説明

難治性てんかん重積症の治療用ペプチド化合物

本発明は、難治性てんかん重積症を予防、緩和または/および治療するための、ある種のペプチド化合物の使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月15日の米国仮出願第60/813,967号の優先権を主張し、これを参照により本明細書に含む。本出願はさらに、2006年6月30日の欧州特許第06 013 655.3号の優先権を主張し、参照により本明細書に含む。
【0002】
本発明は、難治性てんかん重積症(SE)または関連する病態を治療するための、ある種のペプチド化合物の使用を対象とする。
【0003】
特に、本発明は、ある種のペプチド化合物と、ベンゾジアゼピン、抗けいれん薬またはバルビツレートなどのSEの治療に使用する薬剤、特にベンゾジアゼピンとの組み合わせの、難治性てんかん重積症または/および難治性てんかん重積症に関連する病態、例えばてんかん発生または難治性てんかん重積症により起こるてんかん発生などの治療のための使用を対象とする。
【背景技術】
【0004】
米国特許第5,378,729号には、中枢神経系(CNS)の活動を示し、てんかん、不安神経症、精神病および不眠症の治療において有用であるペプチド化合物が記載されている。欧州特許第1 541 138号には、てんかん重積症の治療に有用なペプチド化合物が記載されている。しかし、これらの特許はいずれも、難治性てんかん重積症または/および関連する病態(例えば、てんかん発生または難治性てんかん重積症により起こるてんかん発生)の治療のための、これらの化合物の使用を記載していない。
【0005】
発作は、挙動または意識の変化をもたらす過剰な神経細胞の活動に関連する、発作性の脳機能障害の結果である。てんかんは、複数の無熱性発作の再発を示し、慢性の脳疾患を示す。人口の約0.5%がてんかんを患い、人口の10%以下がその生涯の間に少なくとも1回の発作を経験すると思われる。
【0006】
発作には主に2つの型:部分発作または焦点発作(脳のある部分で起こるが、事象の過程において拡張し得る)および全身発作(両方の脳半球に同時に作用し得る)がある。部分発作は、作用を受けた脳の領域により、多様な様式(精神錯乱、反射的体動、幻覚など)で表れ、それらが脳内で広がった場合、最後には全身強直間代性事象(けいれん)に至る可能性がある。複雑部分発作は、側頭葉で起こる部分発作の1つの型であり、意識障害を特徴とし、多くの場合幻覚の前兆が先行する。部分発作が脳に広がった場合、最後には全身発作、例えば強直間代けいれんに至る可能性がある。全身発作にはいくつかの型、けいれん性(強直間代性、強直性、間代性、ミオクロニー性)および非けいれん性(欠神性、弛緩性)がある。通常、全ての型の発作が、数分、一般的には5分未満続く。けいれん発作、特に強直間代性事象は、通常意識障害をもたらす。
【0007】
てんかん重積症は、30分以上続く発作または30分以上起こり、その間対象が意識を完全には回復しない一連の連続発作として定義される。しかし、多くの臨床医および多くの最近の主要な研究論文が、発作が5分より長く続く場合に、患者はてんかん重積症であると考えている。
【0008】
本出願の目的で、SEは、全身または部分発作が5分より長く続く、あるいは一連の全身または部分発作が5分より長く起こり、発作の間に完全には意識を回復しない、いずれかのてんかん事象を意味することが理解される。
【0009】
てんかん重積症には2つの主要な型:全身性(けいれん性および非けいれん性)および焦点性がある。全身性けいれん症状は、最も重篤な型であり、高い罹患率および死亡率を伴う。てんかん重積症は、てんかんの診断を以前に受けた患者に起こり得る。しかし、てんかん重積症の発症は、てんかんの既往症のない対象においてより頻繁であり、多くの場合重篤かつ急性な脳疾患(例えば、脳炎または脳卒中)に関連している。これらに加えて、低血糖、異常高熱、薬物過剰投与およびアルコールまたは薬物の離脱症状を含む様々な症状が、SEの原因であり得る。したがって、例えば、複雑部分発作に関するモデルまたは複雑部分発作を有する患者における、化合物または組み合わせの抗けいれん薬活性は、必ずしもSEに対する活性を予測するものではない。SEは、生死にかかわる疾患であるだけではなく、神経細胞の消失およびてんかんの発生を起こす。
【0010】
てんかん重積症または関連する病態は、緊急を表し、薬物治療は好ましくは静脈内投薬を使用して実施されるべきである。現在、初期治療のために使用される薬剤は、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパムまたはロラゼパム)、抗けいれん薬(例えば、フェニトイン、フォスフェニトインまたはバルプロ酸)およびバルビツレート(例えば、フェノバルビタール)の静注を含む。バルプロ酸静注もまた使用されている。直腸または筋肉内投与経路もまた使用できる。これらの1次治療にもかかわらず、対象の40%以上は反応しないであろう。これらの状況下で、例えばペントバルビタール、チオペンタール、プロポフォール、高用量のミダゾラムまたは他のベンゾジアゼピンにより誘導された薬理学的昏睡が、治療状態に必要とされる。
【0011】
最近の人口に基づく研究により、てんかん重積症が成人において急性死亡率27%をいまだ有し、使用された標準薬では不十分であることが全体的な合意であることが示されている。てんかん重積症の過程において非常に早期に与えられた場合、標準薬は比較的よく作用するが、発作が30分より長く続いた場合に、標準薬はそれらの効果を急速に失う。バルビツレートおよび他のGABA作動薬は、全体として決して不活性にはならないが、有毒な副作用が十分に有効な治療を妨げるような高用量を必要とする可能性がある。例えば動物モデルにおいて、ベンゾジアゼピンの有効性は、自己持続性てんかん重積症の30分以内に20倍減少し得る。フェニトインなどの他の抗けいれん薬も有効性を失うが、より緩慢である。
【0012】
したがって、抗けいれん薬の早期開始は、てんかん重積症の現在の治療およびてんかん重積症の長期的結果、例えば神経細胞の消失およびてんかん発生の防止に非常に重要である(再考のために、Chen JW、Wasterlain CG、Lancet Neural 2006年、5:246〜56頁を参照されたし)。
【0013】
難治性SEの最適な治療およびその結果の予防は、本明細書中において定義されたように確立されていない。
【0014】
てんかん重積症の後のてんかんの有病率は、一度の「正常な」発作後より3倍高く、てんかん重積症が高度にてんかんを誘発することを示している(再考のために、ChenおよびWasterlain Lancet Neurology 2006年を参照されたし)。今までのところ、ヒトにおいててんかん重積症により誘導されるてんかん発生の阻害を示す薬剤はない。
【0015】
最も頻繁に使用されるものは、例えばミダゾラム(Claassen他、Neurology 57(2001年)、1036〜1042頁を参照されたし)、プロポフォールまたはペントバルビタール(Stecker他、Epilepsia 39(1998年)、18〜26頁)の投与である。Claassen他、により再考された、ミダゾラム、プロポフォールまたはペントバルビタールを用いた治療に対する、難治性SE患者の反応に関する文献(Epilepsia 43(2002年)、146〜153頁)に基づくメタ分析により、治療の失敗は低いが、ペントバルビタールに関する低血圧、ミダゾラムに関する多数のブレイクスルー発作(breakthrough seizures)および全ての治療に関する同様に多数の離脱発作の発症率の高さが明らかにされた。したがって、難治性SEのさらなる治療の選択肢に関する必要性は満たされていない。
【0016】
発作は、てんかんおよびてんかん重積症の両方に関して共通の症状であるが、てんかん重積症は、てんかんを患っていない対象にも頻繁に起こる。脳卒中、脳損傷または脳炎などの様々な他の疾患あるいは低血糖、異常高熱、薬物中毒またはアルコールもしくは薬物離脱などの様々な病態が、てんかん重積症の原因となり得る。したがって、複雑部分発作のモデルまたは複雑部分発作を有する患者における抗けいれん活性は、必ずしもてんかん重積症に対する活性を予測するものではない。
【0017】
現在、抗てんかん薬は、多様な作用機序(例えば、電位依存性ナトリウム、カルシウムまたはカリウムチャネルとの相互作用を介した神経細胞インパルス伝播の変化、あるいは抑制性GABA(γ-アミノ酪酸)系の増強または興奮性グルタメート系の抑制のいずれかによる神経伝達への作用を含む)を介して働くと考えられている。
【0018】
(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-メトキシプロピオンアミド(ラコサミド、以前はSPM 927またはハーコセリドと呼ばれていた)は、当初は抗けいれん薬として合成された官能化アミノ酸である。ラコサミドは、いくつかの抗けいれん薬動物モデルにおいて評価した場合に、他の臨床的に有効な抗けいれん薬(フェニトイン、カルバマゼピン)と比較して、より強力かつ有効であると思われる。
【0019】
ラコサミドは、本明細書中で式(I)、(II)または/および(III)により包含されるある種の化合物の代表であり、一般的に耐容性良好である。したがって、特にSEの難治性が、許容できない有害な副作用の危険性のために、標準抗てんかん薬の用量を増加することで克服できなかった場合、本方法は有利であり得る。
【特許文献1】米国仮出願第60/813,967号
【特許文献2】欧州特許第06 013 655.3号
【特許文献3】米国特許第5,378,729号
【特許文献4】欧州特許第1 541 138号
【特許文献5】米国特許第5,773,475号
【特許文献6】国際出願PCT/EP2005/010603
【非特許文献1】Chen JW、Wasterlain CG、Lancet Neural 2006年、5:246〜56頁
【非特許文献2】Claassen他、Neurology 57(2001年)、1036〜1042頁
【非特許文献3】Stecker他、Epilepsia 39(1998年)、18〜26頁
【非特許文献4】Claassen他、Epilepsia 43(2002年)、146〜153頁
【非特許文献5】Mazarati他、1999年、Neurosci. Lett、265:187〜190頁
【非特許文献6】Advanced Organic Chemistry、J. March著、John Wiley and Sons、New York、NY、16〜18頁(1985年)
【非特許文献7】Walton & Treiman(1988年)Exp. Neurol. 101:267〜275頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
式(I)、(II)または/および(III)の化合物の、難治性てんかん重積症のための使用は、報告されていない。したがって、本発明は、難治性てんかん病態、特に難治性てんかん重積症または/および難治性てんかん重積症に関連する病態の予防、緩和または/および治療用医薬組成物の調製のための、式(I)、(II)または/および(III)の化合物の使用に関する。
【0021】
さらに、対象に式(I)、(II)または/および(III)の少なくとも1種の化合物を投与する段階を含む、対象において難治性てんかん重積症または/および関連する病態を治療する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
難治性てんかん重積症を含むてんかん重積症の長期的結果は、神経損傷(例えば、海馬における細胞の消失)およびてんかん発生(すなわち、最初のてんかん重積症事象の、数カ月から数年後の自発的発作の発生)である。
【0023】
本明細書中で使用する「てんかん重積症に関連する病態」または「難治性てんかん重積症に関連する病態」は、てんかん重積症により起こる病態、例えば、てんかん発生または神経細胞の消失を含む。本明細書中で使用する「てんかん発生」は、慢性てんかんまたは本明細書中に記載したてんかんの病態などのてんかんの発症を含む。
【0024】
驚いたことに、貫通線維が刺激されたラットにおいて、自続性てんかん重積症(SSSE)の発症の40分後に投与されたラコサミド(50mg/kg)が、発作頻度および累積発作持続期間を40%減少させたことが見いだされた。6か月後に慢性てんかんが進行したラットの割合は、100%から30%に減少した。同様に、6か月後の1週間当たりの発作の数は、60%減少した。SSSEの誘導6か月後、100%の媒体で治療された動物は、1週間に平均110発作の自発的再発発作が発症した。ラコサミド(30〜50mg/kg)を用いた治療後、わずか30%のラットが、自発的再発発作を発症し、発作頻度は60%減少した。文献のデータにより、このモデルにおいて自続性てんかん重積症が、てんかん重積症の初めの10分の内はベンゾジアゼピンまたはヒダントイン(フェニトインおよびフォスフェニトイン)を用いた治療に反応するが、後にそれらの薬剤に反応しなくなることが示されている(Mazarati他、1999年、Neurosci. Lett、265:187〜190頁)。
【0025】
SEのラットのリチウム/ピロカルピンモデルにおいて、てんかん重積症の発症10分後のラコサミド治療(50mg/kg)は、さらに運動発作症状の緩和をもたらすが、標準の抗重積薬は全く効果がなかった。しかし、標準の抗重積薬、例えば、ベンゾジアゼピンは効果がないが、てんかん重積症の発症10分後に投与された50mg/kgのラコサミドと、てんかん重積症の発症15分後に投与された20mg/kgのジアゼパムとの組み合わせは、この併用治療により全てのラットにおいて完全な発作の調節が達成されたので、ラコサミド単独より驚くほど優れていた。
【0026】
これらの実験的発見により、本発明の化合物、特にラコサミド、または本発明の化合物、特にラコサミドと、SEの治療に使用されるさらなる薬剤(例えばベンゾジアゼピン、抗けいれん薬またはバルビツレート)、特にベンゾジアゼピン(例えばジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クロナゼパム、クロラゼブ酸または/およびクロバザン(clobazan))との併用は、難治性になっているあるいはその持続過程において難治性であるまたは難治性になる、長期持続てんかん重積症の治療に適しているという結論に達する。
【0027】
式(I)、(II)または/および(III)の本発明の化合物、特にラコサミドは、耐容性良好であり、これは、難治性てんかん重積症などの難治性てんかんの病態の治療のための他の一般的に使用される治療法より有利である。
【0028】
理論に縛られるものではないが、式(I)、(II)または/および(III)の化合物の作用様式は、一般の抗てんかん薬の作用様式とは異なる。本発明の化合物により、イオンチャネルは、他の周知の抗てんかん薬に相当する様式で作用を受けないのに対して、GABA誘導電流は強化され、しかしいずれの周知のGABA受容体のサブタイプとの直接相互作用も観察されていない。グルタメート誘導電流は減衰するが、本化合物はいずれの周知のグルタメート受容体のサブタイプとも直接に相互作用しない。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「てんかん病態」は、てんかん重積症、てんかん発作、反復性発作または/および群発発作を含む、疾患状態を指す。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「難治性てんかん病態」は、てんかん重積症または/およびてんかんの治療に用いられる1種または複数種の薬剤に対して少なくとも部分的に耐性または実質的に耐性である、てんかん重積症、てんかん発作、反復性発作または/および群発発作を含む、疾患状態を指す。特に、これらの薬剤は、本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの化合物とは異なる。より具体的には、それは、ベンゾジアゼピン、バルビツレートおよび本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの化合物とは異なる抗けいれん薬から選択された、特にジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、フォスフェニトイン、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、ペントバルビタール、チオペンタール、プロポフォールおよびそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される、少なくとも1種の薬剤に対して、少なくとも部分的に難治性または実質的に難治性である疾患状態を指す。
【0031】
特定の患者において、難治性てんかん重積症または関連する病態は、先験的に存在でき、またはてんかん重積症の持続によって起こり得る。
【0032】
本発明のある実施形態において、難治性てんかん病態は、てんかん重積症、てんかん発作、反復性発作または/および群発発作を含み、これは少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分または少なくとも約60分、好ましくは少なくとも約30分、少なくとも約45分または少なくとも約60分のその持続のため、少なくとも部分的に難治性になっている。
【0033】
ある実施形態において、本発明の方法により治療されるSEは、本明細書中に記載されたてんかん重積症または/およびてんかんの治療に用いられる1種または複数種の薬剤を用いた治療に対して、初めは反応するが、SEが少なくとも約10分、例えば少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分または少なくとも約60分続いた場合、少なくとも部分的に難治性になる。
【0034】
本発明の化合物、特にラコサミドは、上で定義された疾患状態の持続期間により難治性であると考えられる、難治性病態の1次治療に使用できる。より具体的には、本発明の医薬組成物は、難治性てんかん重積症または関連する病態の1次治療に適している。
【0035】
本発明の化合物は、療法に対する耐性が、以前の治療、具体的にはベンゾジアゼピン、バルビツレートおよび本発明の化合物とは異なる抗けいれん薬、具体的には、フェニトイン、フォスフェニトインおよびバルプロ酸を用いた治療においてすでに明らかな、難治性病態の2次治療にもまた使用できる。より具体的には、本発明の医薬組成物は、難治性てんかん重積症または関連する病態の2次治療に適している。
【0036】
難治性てんかん重積症の発作は、焦点発作であり得、または/および全身発作であり得る。全身発作は、けいれん性の全身発作、例えば、強直間代性、強直性、間代性またはミオクロニー性の発作であり得、または非けいれん性発作、例えば欠神性または弛緩性の発作であり得る。通常、難治性てんかん重積症は、少なくとも部分的に意識の喪失を伴う。
【0037】
したがって、一実施形態において、難治性てんかん重積症または関連する病態は、焦点発作または/および全身発作を含む。別の実施形態において、難治性てんかん重積症または関連する病態は、けいれん性発作(例えば、強直間代性、強直性、間代性またはミオクロニー性の発作)または/および非けいれん性発作(例えば欠神性または弛緩性)を含む。
【0038】
さらに別の実施形態において、難治性てんかん重積症または関連する病態は、急性の反復発作または群発発作を含む。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、好ましくはラコサミドを、難治性てんかん重積症または関連する病態などの難治性てんかん病態の予防、緩和または/および治療のために含む医薬組成物である。
【0040】
上述のように、てんかん重積症の発症15分後に投与する、ラコサミドとジアゼパムとの組み合わせが、この併用治療により全てのラットにおいて完全な発作の調節が達成されたので、てんかん重積症の動物のモデルにおいてラコサミド単独より優れていることが、驚いたことに見いだされた。この時点で投与されたジアゼパム単体は、効果がないことが見いだされた。したがって、式I、IIまたは/およびIIIの化合物もまた、さらなる活性薬剤、例えば抗てんかん薬、特にベンゾジアゼピン薬と共に投与できる。
【0041】
本発明のさらなる態様は、
(a)本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、好ましくはラコサミドと、
(b)少なくとも1種のさらなる活性薬剤、例えば、ベンゾジアゼピン、好ましくはジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クロナゼパム、クロラゼブ酸または/およびクロバザンと、
を含む、医薬組成物である。
【0042】
特定の実施形態において、さらなる活性薬剤は、例えば少なくとも1種のベンゾジアゼピン、バルビツレートを含む抗てんかん薬、および/または式(I)の化合物以外の抗けいれん薬である。
【0043】
一実施形態において、医薬組成物は、ラコサミドおよびジアゼパム、ラコサミドおよびロラゼパムまたはラコサミドおよびミダゾラムの、特定の組み合わせの1つを含む医薬組成物である。この実施形態において、(a)の化合物はラコサミドであり、(b)の化合物はジアゼパム、ロラゼパムまたはミダゾラムである。
【0044】
本明細書中で使用する「ベンゾジアゼピン」は、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クロナゼパム、クロラゼブ酸およびクロバザンを含む、てんかん重積症の治療に用いられる任意のベンゾジアゼピンを含む。好ましいベンゾジアゼピンは、ジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムである。さらなる抗てんかん薬は、抗けいれん薬または/およびバルビツレートもまた含む。
【0045】
上で定義されたような、薬剤(a)と(b)との組み合わせを含む医薬組成物は、任意のてんかん病態、特に上で定義されたような難治性の病態の、予防、緩和または/および治療のために有益である。
【0046】
本実施形態の方法により治療可能な難治性てんかん病態は、上で定義されたような難治性SEだけでなく、ベンゾジアゼピン、バルビツレートなどの抗てんかん薬、および/または式(I)の化合物以外の抗けいれん薬を用いた治療に対して、少なくとも部分的に耐性、または実質的に耐性であり、必ずしも意識の喪失を伴わない発作を含む、てんかん発作、反復発作および群発発作もまた含む。
【0047】
本発明のさらに別の態様は、本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドの、てんかん発生の予防、緩和または/および治療のための医薬組成物を調製するための使用である。この使用において、「てんかん発生」は、本明細書中に記載のてんかん発生の全ての実施形態を含む。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドを、それを必要とする対象に投与する段階を含む、てんかん発生を予防、緩和または/および治療する方法である。この方法において、「てんかん発生」は、本明細書中に記載のてんかん発生の全ての実施形態を含む。一実施形態において、てんかん発生は、難治性てんかん重積症などのてんかん重積症に関連する。
【0049】
一実施形態において、本発明のてんかん発生を予防、緩和または/治療するための方法は、さらなる活性薬剤、特にジアゼパム、ロラゼパム、または/およびミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを投与する段階を含む。
【0050】
別の実施形態において、てんかん発生を予防、緩和または/治療するための本発明の方法において、本明細書中で定義された式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドは、てんかん重積症の発症後に投与する。本発明のてんかん発生を予防、緩和または/および治療するための方法において、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物は、てんかん重積症の発症後少なくとも10分または少なくとも30分で投与してもよい。式I、IIまたは/およびIIIの化合物、特にラコサミドは、約50から約500mgの用量で投与してもよい。式I、IIまたは/およびIIIの化合物、特にラコサミドは、静脈内投与してもよい。
【0051】
式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、さらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)とを、同時に投与するために1つの医薬製剤(単一剤形)に処方してもよく、あるいは同時または/および連続の投与のための複数の異なる製剤(分離剤形)に処方してもよい。分離財形の2つの異なる製剤は、同じ経路により、または異なる経路により投与してもよい。
【0052】
分離剤形は、場合によっては同一包装、例えば、1つの容器に、または1つの外装内に複数の容器で、あるいは分離包装で共に提供してもよい(「共提供」)。同一包装または共提供の例として、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、ベンゾジアゼピンとを、別の容器で含む、キットが企図される。別の例において、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、さらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)とを、分離して包装し、互いに独立して販売可能にし、しかし本発明に従った使用のために同時販売または同時推進する。分離剤形はまた、本発明に従った使用のために、対象に別々にかつ独立して提供してもよい。
【0053】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種のさらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)とを含む、単一剤形を含む。
【0054】
式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、少なくとも1種のベンゾジアゼピンおよび少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0055】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、
(i)式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物を含む、第1の組成物と、
(ii)少なくとも1種のさらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)を含む、第2の組成物と、
を含む、分離剤形を含む。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態において、少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含む第2の組成物(ii)は、市販の組成物であってもよい。
【0057】
本発明の医薬組成物は、一実施形態において、哺乳動物、好ましくはヒトに投与するために調製される。
【0058】
本発明の医薬組成物、特に少なくとも1種の本発明の化合物と、少なくとも1種のベンゾジアゼピンとを含む組成物は、てんかん重積症または関連する病態の発症後、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約40分、少なくとも約45分または少なくとも約60分で、好ましくは少なくとも約30分、少なくとも約45分または少なくとも約60分で投与するために調製できる。
【0059】
本発明の医薬組成物、特に少なくとも1種の本発明の化合物と、少なくとも1種のベンゾジアゼピンとを含む組成物は、てんかん重積症の治療に用いられる薬剤、特にジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、フォスフェニトイン、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、ペントバルビタール、チオペンタール、プロポフォールおよびそれらの薬学的に許容可能な塩から選択されるに薬剤に対して、少なくとも部分的にまたは実質的に耐性である難治性てんかん重積症を患う患者に投与するために調製できる。
【0060】
(a)式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物と、(b)少なくとも1種のさらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)とを含む、本発明の医薬組成物は、てんかん重積症(難治性および非難治性てんかん重積症を含む)または/およびてんかんを、予防、緩和または/治療するために調製できる。
【0061】
本発明のさらに別の態様は、難治性てんかん病態を予防、緩和または/および治療するための方法であり、本方法は、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドを、場合によりさらなる活性薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン)と一緒に、それを必要とする対象に投与する段階を含む。
【0062】
一実施形態において、本方法は、第2の活性薬剤、特に、ベンゾジアゼピン、バルビツレートおよび式(I)の化合物以外の抗けいれん薬から選択される抗てんかん薬を投与する段階をさらに含む。
【0063】
本発明のさらなる態様は、てんかん病態を予防、緩和または/および治療するための方法であり、本方法は、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミド、ならびにベンゾジアゼピン、特にジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムを、それを必要とする対象に治療有効量で共投与する段階を含む。一実施形態は、ラコサミドおよびジアゼパム、ラコサミドおよびロラゼパムまたはラコサミドおよびミダゾラムの特定の組み合わせの1つの共投与を含む。
【0064】
上記の任意の実施形態のいずれかによれば、式(I)の例示的化合物は、ラコサミド、(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-メトキシプロピオンアミドである。
【0065】
本発明の方法において、少なくとも1種の本発明の化合物を、単独または少なくとも1種のさらなる化合物(例えば、ベンゾジアゼピン)と組み合わせて、それを必要とする対象に、病態の発症後、例えば病態の発症後約10分、約15分、約20分、約30分、約40分、約45分、約60分またはそれ以上で投与することが好ましい。
【0066】
「共投与」という用語は、対象に一緒にまたは別々に投与する場合、対象に治療的有用性をもたらすことにおいて共活性である複数の薬剤を指す。このような共投与は、また「併用」、「併用療法」、「共療法」、「補助療法」または「付加的療法」とも称される。例えば、一方の薬剤が、他方の治療効果を高めるもしくは強化でき、または他方の不都合な副作用を減少できる、あるいは1種または複数種の薬剤が、単独で使用する場合より低用量で効果的に投与できる、あるいは単独で使用する場合より大きな治療的有用性を提供できる、あるいは疾患または病態の異なる態様、症状または病因的因子を補足的に処理できる。
【0067】
共投与は、それを必要とする対象において、治療有効濃度、例えば血漿濃度を達成または/および維持するための十分量の薬剤を組み合わせた投与を含む。共投与は、同時投与または/および連続投与を含む。同時投与は、単一の組成物として、または異なる組成物としての薬剤の投与を含む。
【0068】
連続投与は通常、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドと、第2の活性薬剤とを、約90分以下、例えば約60分以下、約45分以下、約40分以下、約30分以下、約20分以下、約10分以下または約5分以下の間隔で投与することを含む。投与の間隔は、薬剤の剤形および投与経路に依存し得る。式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドを最初に投与しても、または第2の活性薬剤を最初に投与してもよい。
【0069】
本方法が、本実施形態として第2の薬剤の投与をさらに含む場合、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドと、第2の活性薬剤、例えばベンゾジアゼピンとを、同時に投与するために1つの医薬製剤(単一剤形)に処方しても、または同時投与または/および連続投与のために複数の異なる製剤(分離剤形)に処方してもよい。分離剤形は、同じ経路により、または異なる経路により投与してもよい。
【0070】
分離剤形は、場合によっては同一包装、例えば、1つの容器に、または1つの外装内に複数の容器で、あるいは分離包装で共に提供しても(「共提供」)よい。同一包装または共提供の例として、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、ベンゾジアゼピンとを、別の容器で含む、キットが企図される。別の例において、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、ベンゾジアゼピンとを、分離して包装し、互いに独立して販売可能にし、しかし本発明に従った使用のために同時販売または同時推進する。分離剤形はまた、本発明に従った使用のために、対象に別々にかつ独立して提供してもよい。
【0071】
本発明のさらに別の実施形態において、治療的組み合わせは、式(I)、(II)または(III)の少なくとも1種の化合物、例えばラコサミドと、少なくとも1種のベンゾジアゼピンとを含む。本組み合わせは、限定するものではないが、SEなどのてんかん病態を含む、それらに反応する任意の病状の治療に、例えば、このような病態が上記のように難治性である、または難治性になる場合に使用できる。
【0072】
任意のベンゾジアゼピン、特に抗てんかん活性を有するベンゾジアゼピン(ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クロナゼパム、クロラゼブ酸およびクロバザンの1種または複数腫など)は、併用できる。
【0073】
式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドと、ベンゾジアゼピン、例えばジアゼパム、ロラゼパムまたはミダゾラムとは、治療的に有効な、全量および相対量で組み合わせて存在する。例えば、ラコサミドとジアゼパムとを含む組み合わせにおいて、ラコサミドは約50から約500mgの用量をもたらす量で、ジアゼパムは約10から約100mgの用量をもたらす量で提供できる。
【0074】
治療的組み合わせの成分のそれぞれは、所望の送達経路に適合した医薬組成物、例えば成分が静脈内投与される場合、注入可能な組成物として提供できる。それぞれの医薬組成物は、上に十分記載したように1種または複数種の賦形剤成分を含む。ベンゾジアゼピンは、例えば市販の医薬組成物の形態で提供できる。
【0075】
あるいは、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドと、ベンゾジアゼピンとは、特定の投与経路に適合した単一医薬組成物で提供できる。
【0076】
したがって、本発明のさらに別の実施形態において、医薬組成物は、
(a)式(I)、(II)または(III)の少なくとも1種の化合物、例えばラコサミドと、
(b)少なくとも1種のベンゾジアゼピン、例えばジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クロナゼパム、クロラゼブ酸および/またはクロバザンと、
(c)少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤と、
を含む。
【0077】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、ありとあらゆる上記のような材料ならびに当分野において周知のありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および医薬活性物質の吸収遅延剤を含む。任意の従来の賦形剤が1種または両方の活性成分と適合しない場合を除いて、本実施形態の医薬組成物におけるその使用が企図される。上に明記したものに加えて、1種または複数種のさらなる活性薬剤が場合によって存在する。
【0078】
てんかん重積症は緊急事態なので、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、場合によりさらなる活性薬剤、例えばベンゾジアゼピンの迅速な投与が必要である。連続投与は、式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、さらなる活性薬剤とを、5分以下、10分以下、20分以下、30分以下、40分以下、60分以下または90分以下の間隔で投与することを含む。式I、IIまたは/およびIIIの化合物と、さらなる活性薬剤との投与の間隔は、剤形に依存し得る。式I、IIまたは/およびIIIの化合物を最初に投与しても、またはさらなる活性薬剤を最初に投与してもよい。
【0079】
本発明による化合物は、一般式(I)
【0080】
【化1】

【0081】
(式中、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、Rは、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されており、
R1は、水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、複素環アルキル、アルキル複素環、複素環、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルであり、それぞれは、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されており、
R2およびR3は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールアルキル、アリール、ハロ、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはZ-Yであり、R2およびR3は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
Zは、O、S、S(O)a、NR4、NR'6、PR4または化学結合であり、
Yは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環であり、Yは、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されていてもよく、ただし、Yがハロである場合、Zは化学結合であり、あるいは
一緒になったZYは、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5、PR4SR7、NR4PR5R6、PR4NR5R7またはN+R5R6R7
【0082】
【化2】

【0083】
であり、
R'6は水素、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R4、R5およびR6は、独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、R4、R5およびR6は、独立して、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R7は、R6またはCOOR8またはCOR8であり、R7は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R8は、水素あるいはアルキルまたはアリールアルキルであり、アリール基またはアルキル基は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
nは1〜4であり、
aは1〜3である)
またはそれらの薬学的に許容可能な塩を有する。
【0084】
一実施形態において、式(I)の化合物は、一般式(II)
【0085】
【化3】

【0086】
(式中、
Arはアリールであり、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基、好ましくはハロ、より好ましくはフルオロにより置換されており、
R1は、アルキル、好ましくは1〜3個の炭素原子を含むアルキル、より好ましくはメチルであり、
R3は本明細書中で定義された通りである)
またはそれらの薬学的に許容可能な塩を有する。
【0087】
別の実施形態において、式(I)または/および(II)の化合物は、一般式(III)
【0088】
【化4】

【0089】
(式中、
R9は、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル、アリールアルカノイル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバルコキシ(carbalkoxy)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプトおよびジスルフィドからなる群から独立して選択される1種または複数種の置換基であり、
R3は、水素、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、複素環、複素環アルキル、N-アルコキシ-N-アルキルアミノ、N-アルコキシアミノおよびN-カルバルコキシからなる群から選択され、
R1は、アルキル、好ましくは1〜3個の炭素原子を含むアルキル、より好ましくはメチルである)
またはそれらの薬学的に許容可能な塩を有する。
【0090】
本発明において利用される化合物は、1個または複数個の不斉炭素を含んでもよく、ラセミ体および場合により活性型で存在してもよい。各不斉炭素の周りの立体配置は、D体またはL体のいずれであってもよい。キラル炭素原子の周りの立体配置はまた、カーン・プレローグ・インゴールド(Cahn-Prelog-Ingold)命名法において、RまたはSとしても記載できることは、当分野において周知である。様々な光学異性体およびジアステレオマーならびにラセミ混合物および光学異性体、ジアステレオマーまたは両方の混合物を含む、各不斉炭素の周りの全ての様々な立体配置は本発明により企図される。
【0091】
本明細書中で使用する場合、立体配置という用語は、R2とR3またはHとR3が結合した炭素原子の周りの立体配置を特に指し、たとえ他のキラル中心が分子内に存在してもよい。したがって、DまたはLなどの特定の立体配置を指す場合、R2とR3またはHとR3が結合した炭素原子におけるDまたはLの立体異性体を意味することを理解するべきである。しかし、もしあれば、化合物内に存在する他のキラル中心における、全ての考えられる光学異性体およびジアステレオマーもまた含む。
【0092】
本発明の化合物は、全ての光学異性体を対象とする、すなわち、本発明の化合物は、(R2とR3またはHとR3が結合した炭素原子において)L立体異性体またはD立体異性体のどちらかである。これらの立体異性体は、LおよびDの立体異性体の混合物、例えばラセミ混合物に見いだすことができる。D立体異性体が好ましい。
【0093】
式(I)の化合物は、R立体配置であることが好ましい。式(II)の化合物が、R立体配置であることもまた好ましい。式(III)の化合物が、R立体配置であることもまた好ましい。
【0094】
R立体配置の式(I)、(II)または/および(III)の化合物は、実質的にエナンチオピュアであることが好ましい。本明細書中で使用する場合、「実質的にエナンチオピュア」という用語は、R光学異性体の含有量が少なくとも99.5%であることを指す。これは、光学異性体過剰率(ee)99%に相当する。RおよびSの光学異性体のそれぞれの量は、キラルカラムクロマトグラフィー、例えば、キラル固定相として「ChiralPak」を用いたHPLCによって決定できる。
【0095】
一実施形態において、化合物、例えばラコサミドは実質的にエナンチオピュアである。
【0096】
本明細書中で使用する場合、「実質的にエナンチオピュア」という用語は、少なくとも88%、好ましくは90%、より好ましくは少なくとも95、96、97、98または99%のエナンチオマー純度を有することを意味する。
【0097】
「アルキル」(単独または別の用語と組み合わせて)という用語は、好ましくは1から約20個の炭素原子(C1〜C20のアルキル)、より好ましくは1から約8個の炭素原子(C1〜C8のアルキル)、さらにより好ましくは1から約6個の炭素原子(C1〜C6のアルキル)、最も好ましくは1から3個の炭素原子(C1〜C3のアルキル)を含む、直鎖または分岐鎖の飽和ヒドロカルビル置換基を意味する。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、アミル、ヘキシルなどを含む。さらに、アルキル基は、特に明記しない限り過ハロゲン化までのハロゲン化アルキル基、例えばトリフルオロメチルもまた含む。
【0098】
「アルコキシ」(単独または別の用語と組み合わせて)という用語は、-O-アルキルを指し、好ましくは1から約20個の炭素原子(C1〜C20-アルコキシ)、より好ましくは1から約8個の炭素原子(C1〜C8-アルコキシ)、さらにより好ましくは1から約6個の炭素原子(C1〜C6-アルコキシ)、最も好ましくは1から3個の炭素原子(C1〜C3-アルコキシ)を含む、直鎖または分岐鎖のアルコキシ置換基を意味する。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含む。さらに、アルコキシ基は、特に明記しない限り過ハロゲン化までのハロゲン化アルコキシ基もまた含む。
【0099】
「アルコキシアルキル」という用語は、少なくとも1個のアルコキシ基により置換されたアルキル基を指す。アルコキシアルキル基は、メトキシメチル(-CH2-OCH3)基、メトキシエチル(-CH2-CH2-OCH3)基、エトキシメチル(-CH2-O-CH2CH3)基などを含む。
【0100】
「N-アルコキシアミノ」という用語は、1個または2個のアルコキシ基により置換されたアミノ基、例えば-NH-N(OCH3)2を指す。
【0101】
「N-アルコキシ-N-アルキルアミノ」という用語は、アルコキシ基とアルキル基とにより置換されたアミノ基、例えば-N(CH3)(OCH3)、-N(CH3)(OCH2-CH3)などを指す。
【0102】
「N-カルバルコキシ」という用語は、カルバルコキシ基により置換されたアミノ基、例えば-NH(C(O)-O-CH3)、-NH(C(O)O-CH2-CH3)を指す。
【0103】
「アリール」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて使用する場合、6から18個までの環炭素原子(C6〜C18-アリール)、好ましくは6から10個の環炭素原子(C6〜C10-アリール)を含む芳香族基を指し、多環芳香族化合物を含む。アリール基は、単環式、二環式、三環式または多環式であってよく、縮合環であってよい。本明細書中で使用する場合、多環芳香族化合物は、10〜18個の環炭素原子を含む二環式および三環式の縮合芳香族環系を包含することを意味する。アリール基は、フェニルおよび多環式芳香族化合物、例えばナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、アズレニルなどを含む。アリール基は、フェロセニルなどの基もまた含む。アリール基は、置換されていなくてもよく、あるいは電子求引基または/および電子供与基により一置換、または多置換されていてもよい。好ましいアリール基は、置換されていなくてもよく、あるいは電子求引基または/および電子供与基により一置換、または多置換されていてもよいフェニル基である。
【0104】
本明細書中で使用する場合、単独または他の用語と組み合わせた「アリールアルキル」という用語は、本明細書中で定義したようなアリール置換基を担持する、本明細書中で定義されたようなアルキル基を意味する。好ましいアリールアルキル基は、アリール-C1〜C6-アルキル、アリール-C1〜C3-アルキル、C6-C10-アリール-アルキル、C6〜C10-アリール-C1〜C6-アルキル、C6〜C10-アリール-C1〜C3-アルキルである。より好ましいアリールアルキル基は、フェニル-C1〜C6-アルキルおよびフェニル-C1〜C3-アルキルである。さらにより好ましいアリールアルキル基は、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルイソプロピル、フェニルブチル、ジフェニルメチル、1,1-ジフェニルエチル、1,2-ジフェニルエチルなどを含む。最も好ましいのはベンジルである。
【0105】
「アルケニル」(単独または他の用語と組み合わせて)という用語は、少なくとも1個の二重結合を含み、好ましくは2から約20個の炭素原子(C2〜C20-アルケニル)、より好ましくは2から約8個の炭素原子(C2〜C8-アルケニル)およびさらにより好ましくは2から約6個の炭素原子(C2〜C6-アルケニル)、最も好ましくは2または3個の炭素原子(C2-C3-アルケニル)を含む直鎖または分岐鎖のアルケニル置換基を意味する。アルケニル基は、Z型またはE型であってよい。アルケニル基は、ビニル、プロペニル、1-ブテニル、イソブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、(Z)-2-ペンテニル、(E)-2-ペンテニル、(Z)-4-メチル-2-ペンテニル、(E)-4-メチル-2-ペンテニル、ペンタジエニル、例えば1,3または2,4-ペンタジエニルなどを含む。
【0106】
「アルキニル」(単独または他の用語と組み合わせて)という用語は、少なくとも1個の三重結合を含み、好ましくは2から約20個の炭素原子(C2〜C20-アルキニル)、より好ましくは2から約8個の炭素原子(C2〜C8-アルキニル)およびさらにより好ましくは2から約6個の炭素原子(C2〜C6-アルキニル)、最も好ましくは2または3個の炭素原子(C2〜C3-アルキニル)を含む直鎖または分岐鎖のアルキニル置換基を意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-l-ペンチニル、3-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニルなどを含む。
【0107】
「シクロアルキル」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて使用する場合、3から約18個までの環炭素原子(C3〜C18-シクロアルキル)、好ましくは6から10個の環炭素原子(C3〜C10-シクロアルキル)、より好ましくは3から6個の環炭素原子を含むシクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基は、単環式、二環式、三環式または多環式であってよく、環は縮合されていてもよい。シクロアルキルは、完全に飽和していても、または部分的に飽和していてもよい。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、シクロヘプテニル、デカリニル(decalinyl)、ヒドロインダニル(hydroindanyl)、インダニル、フェンキル(fenchyl)、ピネニル(pinenyl)、アダマンチルなどを含む。シクロアルキル基は、cis型またはtrans型を含む。シクロアルキル基は、置換されていなくてもよく、あるいは電子求引基または/および電子供与基により一置換、または多置換されていてもよい。架橋二環式シクロアルキル基において、置換基は、endoまたはexoの位置のどちらであってもよい。
【0108】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキルアルキル」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて使用する場合、本明細書中で定義されたようなシクロアルキル置換基を担持する、本明細書中で定義されたようなアルキル基を意味する。好ましいシクロアルキルアルキル基は、シクロアルキル-C1〜C6-アルキル、シクロアルキル-C1〜C3-アルキル、C6-C10-シクロアルキル-アルキル、C6〜C10-シクロアルキル-C1〜C6-アルキル、C6〜C10-シクロアルキル-C1〜C3-アルキルである。より好ましいシクロアルキルアルキル基は、シクロヘキシル-C1〜C6-アルキルおよびシクロヘキシル-C1〜C3-アルキルから選択される。
【0109】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0110】
接頭辞の「ハロ」は、接頭辞が付いている置換基が、1個または複数個の独立して選択されたハロゲンラジカルにより置換されていることを示す。例えばハロアルキルは、少なくとも1個の水素ラジカルが、ハロゲンラジカルにより置換されているアルキル置換基を意味する。ハロアルキルの例は、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどを含む。さらに例示すると、「ハロアルコキシ」は、少なくとも1個の水素ラジカルが、ハロゲンラジカルにより置換されたアルコキシ置換基を意味する。ハロアルコキシ置換基の例はクロロメトキシ、1-ブロモエトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ(「パーフルオロメトキシ」としてもまた周知である)、1,1,1,-トリフルオロエトキシなどを含む。置換基が、複数のハロゲンラジカルにより置換されている場合、それらのハロゲンラジカルは(明記しない限り)同じであってもまたは異なっていてもよいことを認識すべきである。
【0111】
「電子求引」および「電子供与」という用語は、水素原子が分子の同じ位置を占めていた場合の水素の能力と比較した、それぞれ、電子を吸引するまたは供与する置換基の能力を指す。これらの用語は、当業者には十分理解されており、Advanced Organic Chemistry、J. March著、John Wiley and Sons、New York、NY、16〜18頁(1985年)に述べられており、その中の議論を参照により本明細書に組み込む。電子求引基は、ハロ(ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨードを含む)、ニトロ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル(トリフルオロメチルなど)、アリールアルカノイル、カルバルコキシなどを含む。電子供与基は、ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシ、エトキシなどを含む)、アルキル(メチル、エチルなど)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ(フェノキシなど)、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプト、ジスルフィド(アルキルジチオ)などの基を含む。当分野の普通の技術者は、前述の置換基のいくつかが、異なる化学的条件下で電子供与性または電子求引性であると考え得ることを理解するであろう。さらに本発明は、上で特定した基から選択される置換基のいずれの組み合わせをも企図する。
【0112】
電子供与基または/および電子求引基は、式(I)、(II)または/および(III)の置換基のいずれか1つ、例えば本明細書中で定義されたR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R'6、R7、R8、R9または/およびR10で、独立して表すことができる。
【0113】
少なくとも1つの電子求引基または/および少なくとも1つの電子供与基は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル、アリールアルカノイル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプト、ジスルフィド、アルカノイル、アミノアルキル、アリーロイル、シアノ、スルホニル、スルホキシド、複素環、グアニジン、スルホニウム塩、メルカプトアルキルおよびアルキルジチオから独立して選択されることが好ましい。
【0114】
「スルフィド」という用語は、メルカプト、メルカプトアルキルおよびアルキルチオを包含し、一方ジスルフィドという用語は、アルキルジチオを包含する。
【0115】
本発明の化合物において、少なくとも1つの電子求引基または/および少なくとも1つの電子供与基は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル、アリールアルカノイル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプトおよびジスルフィドから独立して選択されることがさらに好ましい。
【0116】
少なくとも1つの電子求引基または/および少なくとも1つの電子供与基は、ハロ、C1〜C6-アルキル、C2〜C6-アルケニル、C1〜C6-アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、C6〜C10-アリール、四級アンモニウム、C1〜C6-ハロアルキル、C6〜C10-アリールC2〜C6-アルカノイル、ヒドロキシ、C1〜C6-アルコキシ、C2〜C6-カルバルコキシ、アミノ、C1〜C6-アルキルアミノ、C1〜C6-ジアルキルアミノ、C6〜C10-アリールオキシ、メルカプト、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルキルメルカプトおよびジスルフィドから選択されることが、さらにより好ましい。
【0117】
電子求引基または/および電子供与基は、ハロ、C1〜C6-アルコキシ、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、四級アンモニウム、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびジスルフィドから独立して選択することもできることがさらにより好ましい。
【0118】
最も好ましい電子求引基または/および電子供与基は、ハロ(フルオロなど)およびC1〜C6-アルコキシ(メトキシおよびエトキシなど)から独立して選択される。
【0119】
本明細書中で使用する場合、「カルバルコキシ」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて、-CO-O-アルキルを意味し、式中、アルキルは本明細書中で定義された通りであり、-CO-O-基が、アルキル基の炭素原子に加えて、1個の炭素原子を提供することを考慮に入れる。カルバルコキシ基は、好ましくは2から約20個の炭素原子(C2〜C20-カルバルコキシ)、より好ましくは2から約8個の炭素原子(C2〜C8-カルバルコキシ)、さらにより好ましくは2から約6個の炭素原子(C2〜C6-カルバルコキシ)、最も好ましくは2から3個の炭素原子(C2〜C3-カルバルコキシ)を含む。
【0120】
本明細書中で使用する場合、「アルカノイル」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて、アルカノイル基(-CO-アルキル)を意味し、式中、アルキルは本明細書中で定義された通りであり、-CO-基が、アルキル基の炭素原子に加えて、1個の炭素原子を提供することを考慮に入れる。アルカノイルは、好ましくは2から約20個の炭素原子(C2〜C20-アルカノイル)、より好ましくは2から約8個の炭素原子(C2〜C8-アルカノイル)、さらにより好ましくは2から約6個の炭素原子(C2〜C6-アルカノイル)、最も好ましくは2から3個の炭素原子(C2〜C3-アルカノイル)を含む。アルカノイル基は、直鎖または分岐型であってよい。アルカノイル基は、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ターシャリーブチリル、ペンタノイルおよびヘキサノイルを含む。
【0121】
本明細書中で用いる場合、複素環基は、少なくとも1個のヘテロ原子を環構造の中に含み、好ましくは、1、2、3または4個のヘテロ原子を含む。少なくとも1個のヘテロ原子は、硫黄、窒素および酸素から独立して選択されてよい。本発明により企図される複素環基は、複素環式芳香族化合物ならびに飽和および部分飽和複素環基を含む。複素環は、単環式、二環式、三環式または多環式であってよく、縮合環であってもよい。複素環は、いわゆるベンゾ複素環もまた含む。複素環基は、置換されていなくてもよく、あるいは電子求引基または/および電子供与基により一置換または多置換されていてもよい。複素環基は、好ましくは18個以下の環原子を含み、全部で17個以下の環炭素原子を含み、置換されていなくてもよく、あるいは電子求引基または/および電子供与基により一置換または多置換されていてもよい。
【0122】
より好ましくは複素環基は、5員または6員の単環式複素環基から独立して選択されてよく、置換されていなくてもよく、または電子求引基または/および電子供与基により一置換または多置換されていてもよい。複素環基は、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、メチルピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルホリニル、ベンゾオキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾリジニル(pyrazolindinyl)、イミダゾリニル、イマダゾリジニル(imadazolindinyl)、ピロリジニル、フラザニル、N-メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル、アゼチジニル、窒素を含む複素環のN-オキサイド例えば、ピリジル、ピラジニルおよびピリミジニルなどのN-オキサイドなどから独立して選択されることがより好ましいと思われる。さらにより好ましくは、複素環部分は、単環式である前述の複素環である。
【0123】
複素環はまた、チエニル、フリル、ピロリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、オキサゾリル、メチルピロリル、モルホリニル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニルおよびピリダジニルから独立して選択されることがより好ましいと思われる。特に好ましい複素環は、フリル、オキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、イミダゾリル、ピリミジニルおよびピリダジニルから独立して選択される。最も好ましい複素環は、フリル、ピリジルおよびオキサゾリルから独立して選択される。
【0124】
本発明の化合物の単環式5員または6員の複素環基は、好ましくは、式(IV)
【0125】
【化5】

【0126】
またはそれらの部分的または全体的に飽和した型に相当するものであり、式中、nは、0または1であり、
R50は、H、電子求引基または電子供与基であり、
A、E、L、JおよびGは独立して、CHまたはN、O、Sからなる群から選択されるヘテロ原子であるが、nが0の場合、GはCHまたはA、E、L、JおよびGの多くても2個がヘテロ原子であるという条件で、NH、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子である。
【0127】
nが0の場合、上の複素環芳香族化合物部分は、5員環であり、一方nが1の場合、複素環部分は6員の単環式複素環部分である。
【0128】
式(IV)に描かれた環が窒素環原子を含む場合、その時N-オキサイド型もまた、本発明の範囲内であることが企図される。
【0129】
R2またはR3が、式(IV)の複素環である場合、環炭素原子により主鎖に結合できる。nが0の場合、R2またはR3は、窒素環原子により主鎖にさらに結合できる。
【0130】
本明細書中で使用する場合、「複素環アルキル」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて、上で定義されたような複素環置換基を担持する、上で定義されたようなアルキル基を意味する。好ましい複素環アルキル基は、複素環-C1〜C6-アルキル、複素環-C1〜C3-アルキルであり、複素環は本明細書中で定義されたような好ましい、より好ましい、または最も好ましい複素環基であってよい。
【0131】
本明細書中で使用する場合、「アルキル複素環」という用語は、単独または他の用語と組み合わせて、上で定義されたような少なくとも1個のアルキル置換基を担持する、上で定義されたような複素環基を意味する。好ましいアルキル複素環基は、C1〜C6-アルキル-複素環、C1〜C3-アルキル複素環であり、複素環基は本明細書中で定義されたような好ましい、より好ましい、または最も好ましい複素環基であってよい。
【0132】
好ましい化合物は、nが1のものであるが、ジ(n=2)、トリ(n=3)およびテトラペプチド(n=4)もまた、本発明の範囲内であることが企図される。
【0133】
式(I)または/および(II)のR2または/およびR3の典型であるZY基において、Zは、O、S、S(O)a(式中、aは1〜3)、NR4、NR'6、または化学結合であってよく、Yは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環であってよく、Yがハロであり、Zが化学結合である場合、Yは置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されていてもよく、あるいは、
一緒になったZYは、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5、PR4SR7、NR4PR5R6、PR4NR5R7またはN+R5R6R7
【0134】
【化6】

【0135】
であってよく、R4、R5、R6、R'6、R7、は本明細書中で定義された通りである。
【0136】
式(I)または/および(II)のR2または/およびR3の典型であるZY基は、ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシ、エトキシなど)、アリールオキシ(フェノキシなど)、チオアルコキシ(チオメトキシ、チオエトキシなど)、チオアリールオキシ(チオフェノキシなど)、アミノ、アルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノなど)、アリールアミノ(アニリノなど)、ジアルキルアミノ(ジメチルアミノなど)、トリアルキルアンモニウム塩、ヒドラジノ、アルキルヒドラジノおよびアリールヒドラジノ(N-メチルヒドラジノ、N-フェニルヒドラジノ、カルバルコキシヒドラジノ、アラルコキシカルボニルヒドラジノ、アリールオキシカルボニルヒドラジノ)、ヒドロキシルアミノ(N-ヒドロキシルアミノ(-NH-OH)など)、アルコキシアミノ[(NHOR18)式中、R18はアルキルである]、N-アルキルヒドロキシルアミノ[(NR18)OH、式中R18はアルキルである]、N-アルキル-O-アルキルヒドロキシアミノ、すなわち[N(R18)OR19、式中R18およびR19は独立してアルキルである]およびO-ヒドロキシルアミノ(-O-NH2);アルキルアミド(アセトアミドなど)、トリフルオロアセトアミド、アルコキシアミノ(例えば、NH(OCH3)および複素環アミノ(ピラゾイルアミノなど))であってよい。
【0137】
好ましいZY基において、ZはO、NR4またはPR4であり、Yは水素またはアルキルである。
【0138】
別の好ましい実施形態において、ZYは、NR4R5R7、NR4OR5、ONR4R7
【0139】
【化7】

【0140】
である。
【0141】
より好ましくは、ZYはNR4OR5またはONR4R7である。
【0142】
別のより好ましいZYは、N-ヒドロキシアミノ、N-アルキルヒドロキシアミノ、N-アルキル-O-アルキルヒドロキシアミノ、O-アルキルヒドロキシアミノ、N-アルコキシ-N-アルキルアミノ、N-アルコキシアミノまたはN-カルバルコキシである。
【0143】
式(I)において、Rは好ましくはアリールまたはアリールアルキルであり、より好ましくは、Rはアリールアルキルであり、Rは置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されている。Rは、フェニルまたはベンジル、最も好ましくはベンジルであってよく、Rは置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されている。Rが置換されている場合、Rはアリール環において置換されていることが好ましい。本実施形態において、少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基が、ハロ、より好ましくはフルオロであることが好ましい。
【0144】
式(I)、(II)または/および(III)において、R1はHまたはアルキルである。より好ましくは、R1は、好ましくは1から6個の炭素原子を含む、より好ましくは1から3個の炭素原子を含むアルキルである。最も好ましくは、R1基は、メチルである。R1は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されていてもよい。
【0145】
さらに、R2またはR3の1つが水素であることが好ましい。R2が水素であることは最も好ましい。式(I)においてR2の他の好ましい部分はアリール(フェニルなど)、アリールアルキル(ベンジルなど)およびアルキルである。R2の好ましい基は、置換されていなくてもよく、あるいは電子供与基または/および電子求引基により、一置換または他置換されていてもよいことを理解するべきである。R2における少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基は、独立して、アルコキシ、N-ヒドロキシアミノ、N-アルキルヒドロキシアミノ、N-アルキル-O-アルキルヒドロキシアミノまたはO-アルキルヒドロキシアミノであり、特にメトキシまたはエトキシであることが好ましい。
【0146】
式(I)、(II)または/および(III)において、R3は水素、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル基、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアリール基、複素環、複素環アルキルあるいはZYであってよい。
【0147】
R3は、水素、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアリール基、複素環、複素環アルキルあるいはZYであり、ここでZはO、NR4またはPR4であり、Yは水素またはアルキルであり、ZYはNR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7
【0148】
【化8】

【0149】
であることが好ましい。
【0150】
R3は、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、あるいはZ-Yであり、Z-Yが本明細書中で定義された通りであることもまた好ましい。
【0151】
R3は、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、NR4OR5あるいはONR4R7であり、R4、R5およびR7が本明細書中で定義された通りであることもまた好ましい。
【0152】
R3は、CH2-Qであり、ここでQがアルコキシ(特に1から3個の炭素原子を含む)であり、あるいはR3がNR4OR5またはONR4R7であり、R4、R5およびR7が本明細書中で定義された通りであることもまた好ましい。
【0153】
R3は、置換されていない、または少なくとも1個のアルコキシ(特に1から3個の炭素原子を含む)により置換されているアルキルであることもまた好ましい。
【0154】
R3が、CH2-Qであり、Qがアルコキシ(好ましくは1から3個の炭素原子を含む)であることもまた好ましく、Qがエトキシまたはメトキシであることはより好ましい。
【0155】
R3が、NR4OR5またはONR4R7であり、ここでR4、R5およびR7が本明細書中で定義された通りであり、R4、R5およびR7は本明細書中で定義された通り(例えば、N-アルコキシ、N-アルコキシ-N-アルキルアミノまたはN-カルバルコキシ)であることもまた好ましい。
【0156】
R3が、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基によって置換されていてもよい複素環、複素環アルキルまたはアリールであることもまた好ましい。R3において最も好ましい複素環はフリルまたはオキサゾリルである。
【0157】
R3が、水素、アルキル、アリールアルキル(ベンジルなど)、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール(フェニルなど)、複素環、複素環アルキル、N-アルコキシ-N-アルキルアミノ、N-アルコキシアミノおよびN-カルバルコキシからなる群から選択されることもまた好ましい。
【0158】
R3の好ましい基が、置換されていなくてもよく、あるいは電子供与基または/および電子求引基により一置換または多置換されていてもよいことを理解するべきである。R3において少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基は、独立してアルコキシ、N-ヒドロキシアミノ、N-アルキルヒドロキシアミノ、N-アルキル-O-アルキルヒドロキシアミノまたはO-アルキルヒドロキシアミノであり、特にメトキシまたはエトキシであることが好ましい。
【0159】
R4、R5、R6、R'6、R7およびR8は、独立して水素またはアルキルであることが好ましい。
【0160】
R4、R5またはR7が、独立して水素または1から3個の炭素原子を含むアルキルであることが好ましい。
【0161】
最も好ましいアリールは、フェニルである。最も好ましいハロは、フルオロである。
【0162】
式(I)の化合物において、Rがアリールアルキルであり、Rは置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されていることが好ましい。
【0163】
式(I)の化合物において、R1は、置換されていない、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキルであることが好ましい。
【0164】
式(I)の化合物において、R2およびR3は、独立して、水素、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアリール、複素環、複素環アリールあるいはZYであり、ZはO、NR4またはPR4であり、Yは水素またはアルキルであり、あるいはZYはNR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7
【0165】
【化9】

【0166】
であり、R4、R5またはR7は本明細書中で定義された通りであることが好ましい。
【0167】
式(I)の化合物において、R2およびR3の好ましい基は、置換されていなくてもよく、あるいはアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、N-ヒドロキシアミノ、N-アルキルヒドロキシアミノ、N-アルキル-O-アルキルヒドロキシアミノおよびO-アルキルヒドロキシアミノなどのように電子供与基または/および電子求引基によって一置換または多置換されていてもよい。
【0168】
式(I)の化合物において、R2または/およびR3における少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基が、独立してヒドロキシまたはアルコキシであることが好ましい。
【0169】
式(I)の化合物において、R2が水素であることがより好ましい。
【0170】
式(II)の化合物において、R1がメチルであることが好ましい。
【0171】
式(II)の好ましい化合物において、R3は、水素あるいは置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキルである、あるいはR3は、複素環、複素環アルキルまたはZ-Yであり、Z-Yおよび複素環は本明細書中で定義された通りである。
【0172】
式(II)の他の好ましい化合物において、R3は、置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、NR4OR5あるいはONR4R7であり、ここでR4、R5およびR7は本明細書中で定義された通りであり、少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基は、好ましくはヒドロキシおよびアルコキシから選択される。
【0173】
式(II)のさらに好ましい化合物において、R3はCH2-Qであり、ここでQはアルコキシ(好ましくは1から3個の炭素原子を含む)、より好ましくはメトキシである、あるいはR3はNR4OR5またはONR4R7であり、ここでR4、R5およびR7は、独立して水素または1から3個の炭素原子を含むアルキルである。
【0174】
式(II)の他の好ましい化合物において、R3はCH2-Qであり、ここでQは1から3個の炭素原子を含むアルコキシである。
【0175】
式(II)の化合物において、Arは、置換されていない、または少なくとも1個のハロ、好ましくは少なくとも1個のフルオロで置換されたフェニルであることが好ましい。より好ましくは。式(II)のArは置換されていないフェニルである。
【0176】
式(III)の好ましい化合物において、R9は、水素またはフルオロであり、R3はメトキシメチル、フェニル、N-メトキシ-N-メチルアミノおよびN-メトキシアミノからなる群から選択され、R1はメチルである。
【0177】
本発明の最も好ましい化合物は、
(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-メトキシ-プロピオンアミド、
(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-エトキシ-プロピオンアミド、
O-メチル-N-アセチル-D-セリン-m-フルオロベンジル-アミド、
O-メチル-N-アセチル-D-セリン-p-フルオロベンジル-アミド、
N-アセチル-D-フェニルグリシンベンジルアミド、
D-1,2-(N,O-ジメチルヒドロキシルアミノ)-2-アセトアミド酢酸ベンジルアミド、
D-1,2-(O-メチルヒドロキシルアミノ)-2-アセトアミド酢酸ベンジルアミド、
D-α-アセトアミド-N-(2-フルオロベンジル)-2-フランアセトアミド、
D-α-アセトアミド-N-(3-フルオロベンジル)-2-フランアセトアミド、
を含む。
【0178】
本明細書中に記載したR1、R2、R3、Rおよびnのマーカッシュグループ(Markush groups)のさまざまな組み合わせおよび順列が、本発明の範囲内であると企図されることを理解するべきである。さらに、本発明は、R1、R2、R3、nおよびRのマーカッシュグループの各要素ならびにそれらの様々な組み合わせの1つまたは複数を含む、化合物および組成物もまた包含する。したがって、例えば、本発明は、R1が、nの各値に対する、ありとあらゆるR2、R3、およびRの置換基と組み合わせた、本明細書中の上記の置換基の1種または複数種であってよいことを企図する。
【0179】
より好ましいものは、R立体配置の式(I)、(II)または/および(III)の化合物であり、好ましくは実質的にエナンチオピュアであり、ここで、置換基Rは、少なくとも1個のハロ基により置換されていないベンジルであり、R3はCH2-Qであり、(Qは1から3個の炭素原子を含むアルコキシである)、R1はメチルである。好ましくは、Rは置換されていないベンジルまたは少なくとも1個のハロ基(フルオロである)により置換されているベンジルである。
【0180】
置換基に応じて、本化合物は同様に付加塩を形成できる。立体異性体の混合物を含むこれらの全形態は、本発明の範囲内であると企図される。
【0181】
本発明において使用される化合物の製造は、米国特許第5,378,729号および第5,773,475号ならびに国際出願PCT/EP2005/010603に記載されており、これらの内容を参照により組み込む。
【0182】
本発明において使用される化合物は、式(I)、(II)または/および(III)に描かれたそのままで有用であり、あるいは遊離アミノ基の存在によるその塩基性を考慮すると塩の形態で使用できる。したがって、式(I)、(II)または/および(III)の化合物は、薬学的に許容可能な酸を含む無機および有機の多様な酸と塩を形成する。薬学的に許容可能な酸との塩は、水溶性の強化が最も有利である製剤の調製において当然有用である。
【0183】
これらの薬学的に許容可能な塩は、治療効果もまた有する。これらの塩は、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸の塩、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、過塩素酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)、リン酸、マロン酸などの有機酸の塩を含む。
【0184】
本実施形態の方法により治療されるSEは、少なくとも1種の抗てんかん薬、例えばベンゾジアゼピン、バルビツレートまたは式(I)、(II)または(III)の化合物以外の抗けいれん剤に対して、少なくとも部分的に難治性または実質的に難治性である。特定の実施形態において、SEが難治性である少なくとも1種の抗てんかん薬は、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、フォスフェニトイン、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、ペントバルビタール、チオペンタール、プロポフォールおよびそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0185】
式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドは、治療有効量で使用される。
【0186】
医師は、最も適切であると思われる本治療薬の用量を決定し、それは投与形態および選択された特定の化合物により変化し、さらにそれは治療下にある患者、患者の年齢、治療される疾患の型により変化するであろう。医師は、一般的に化合物の最適な用量を実質的に下回る少用量で治療を始め、状況下における最適な効果に達するまで少量の増加分により用量を増加しようと望む。組成物を経口投与する場合、非経口で与えられる少量と同じ効果を生み出すためにはより多量の活性薬剤が必要であろう。化合物は、同程度の治療薬と同じ様式において有用であり、用量レベルはこれらの他の治療薬が一般的に用いられるのと同じ桁である。
【0187】
一実施形態において、本発明の化合物は、1日に体重1kg当たり約1mgから約100mgの範囲の量で、より好ましくは1日に体重1kg当たり約1mgから約10mgの範囲の量で投与される。この用量投与計画は、医師により最適な治療反応を提供するために補正できる。それを必要とする患者を、少なくとも50mg/日、好ましくは少なくとも200mg/日、より好ましくは少なくとも300mg/日、さらにより好ましくは少なくとも400mg/日、最も好ましくは少なくとも600mg/日の本発明の化合物の用量を用いて治療できる。一般的に、それを必要とする患者を、最大6g/日、より好ましくは最大1g/日、さらにより好ましくは最大600mg/日、最も好ましくは最大800mg/日の用量を用いて治療できる。しかし、いくつか場合において、用量の増減は必要と思われる。
【0188】
別の好ましい実施形態において、日用量は、所与の日用量に達するまで増加し、これをさらなる治療の間維持する。
【0189】
本明細書中で表される1日分の用量、例えばmg/日は、1日1回の投与頻度を要求すると解釈されるべきではない。例えば、300mg/日の用量は、100mgを1日に3回として、または600mgを2日毎に与えることができる。
【0190】
より典型的には、緊急事態において、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドは、1日分ではなく、通常SEの発症後必要に応じて(pro re nata(p.r.n.))投与される。通常のラコサミドの1回量は、例えば、約50から約500mgの量である。このような投与は、例えば発症直後、発症後約60分まで、またはさらに後でも実施可能である。様々な実施形態において、投与は、発症後約10、約15、約20、約30、約45または約60分で行う。
【0191】
難治性SEは、特にSEが全身性けいれん型である場合、緊急事態であり、一般的には発症後できるだけ早く薬剤を投与することが重要である。したがって、特定の実施形態において、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドは、SEの発症直後、または発症後できるだけ早く投与する。
【0192】
式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドは、例えば以前のSEの症状の発症が他の治療に対して難治性であると分かっている場合、難治性SEの1次治療に使用できる。
【0193】
あるいは、式(I)、(II)または(III)の化合物、例えばラコサミドは、1種または複数種のベンゾジアゼピン、バルビツレートまたは式(I)の化合物以外の抗けいれん薬、特にフェニトイン、フォスフェニトインまたはバルプロ酸などを用いた事前の1次治療後に耐性がすでに明らかになった時、難治性SEの2次治療に使用できる。
【0194】
通常2次治療において、式(I)、(II)または(III)の化合物は、SE発症後少なくとも約10分、例えば少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分または少なくとも約60分で投与される。この投与は、発作または群発性発作が1次治療に対して難治性となる場合、時間とは独立して実施できるが、一実施形態において、耐性が1次治療に対して明らかになった後すぐにまたはできるだけ早く実施できる。
【0195】
さらに別の実施形態において、いくつかに分割された用量を、毎日投与できる。例えば、1日に3用量を、好ましくは1日に2用量を投与できる。より好ましいのは、1日に1用量の投与である。
【0196】
さらに別の好ましい実施形態において、複数の治療対象の平均として算出された、0.1から15μg/mg(トラフ)および5から18.5μg/mg(ピーク)の血漿濃度をもたらす量の本発明の化合物を投与でき、緊急治療において静脈内投与により最大30μg/mgまでのピーク血漿濃度をもたらすことができた。
【0197】
式(I)、(II)または/および(III)の化合物は、都合のよい様式、例えば、経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、髄腔内、直腸内(例えば、坐薬、ゲル、液体など)または皮下の経路により、投与できる。経口、直腸内または/および静脈内(i.v.)投与が好ましい。緊急治療において、i.v.投与が最も好ましい。
【0198】
本発明の医薬組成物は、上記の様な治療投与計画のために、特に、上記の様な血漿濃度をもたらす、上記の様な用量による治療のために、上記のような本発明の実施形態において明記されたような投与期間または/および投与経路のために調製できる。
【0199】
式(I)、(II)または/および(III)の化合物は、例えば、不活性の希釈剤または吸収可能な食用担体と共に経口投与でき、あるいは硬殻または軟殻のゼラチンカプセルに封入でき、あるいは錠剤に固めることができ、あるいは食事療法の食事に直接組み込むことができる。経口治療投与のために、式(I)、(II)または/および(III)の活性化合物は、賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェファーなどの形態で使用できる。このような組成物および製剤は、少なくとも1%の式(I)、(II)または/および(III)の活性化合物を含むべきである。組成物および製剤の割合は、当然変更でき、単位重量の約5から約80%が都合がよいと思われる。このような治療に有用な組成物における、式(I)、(II)または/および(III)の活性化合物の量は、適切な投薬量が得られるであろう程度である。本発明による好ましい組成物または製剤は、約10mgから6gの式(I)、(II)または/および(III)の活性化合物、例えば約50mgから約1000mgまたは約100から約800mgの化合物を含む。
【0200】
錠剤、トローチ、丸薬、カプセルなどは、以下もまた含むことができる:結合剤(例えば、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン)、賦形剤(例えば、第二リン酸カルシウム)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、アルギン酸など)、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、および甘味料(例えば、ショ糖、乳糖またはサッカリンも添加できる)あるいは香味料(例えば、ペッパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリー香味)。単位剤形が、カプセルの場合、上記の型の材料に加えて、液体担体を含むことができる。
【0201】
様々な他の材料は、コーティングまたは単位剤形の物理的形状を修正する他のものとして存在できる。例えば、錠剤、丸薬、またはカプセルは、セラック、糖類または両方を用いてコーティングできる。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としてショ糖、保存料としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、染料およびチェリーまたはオレンジの香味料などの香味料を含むことができる。当然のことながら、いずれの剤形の調製に使用されるいずれの材料も、医薬的に純粋であり、使用量で実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物は、持続性放出の製剤または処方に組み込むことができる。例えば持続性放出剤形は、活性成分を、場合により拡散障壁コーティングを用いてコーティングされ得るイオン交換樹脂に結合し、樹脂の放出特性を修正するように企図される。
【0202】
活性化合物は、非経口または腹腔内にもまた投与できる。分散体は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物において、ならびに油においてもまた調製できる。普通の保存および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の成長を防止するために保存料を含む。
【0203】
注入可能な使用に適切な医薬品形態は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散体ならびに滅菌注射溶液または分散体の即時調製用の滅菌粉末を含む。全ての場合において、形態は滅菌されていなければならず、容易な注入可能性(syringability)が存在する程度まで流動性でなければならない。形態は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして、微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用から保護されねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物および植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性が、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散体の場合では必要とされる粒子径の保持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物作用からの保護は、様々な抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが、好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物中への使用によってもたらされ得る。
【0204】
滅菌注射剤は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、上記の様々な他の成分と組み合わせ、必要に応じてその後ろ過滅菌することによって調製される。一般的に、分散体は、様々な滅菌活性成分を、基本の分散媒と、上記のものからの必要とされる他の成分とを含む滅菌媒体に組み込むことによって調製される。滅菌注射剤の製造用の滅菌粉末の調製の場合、調製の好ましい方法は、場合により任意の追加の望ましい成分と一緒に、真空乾燥または凍結乾燥することである。
【0205】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」は、当分野では周知のありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および医薬活性物質の吸収遅延剤を含む。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合を除いて、医薬組成物へのその使用が企図される。補助活性成分もまた、組成物に組み込むことができる。
【0206】
非経口組成物を単位剤形処方すること、すなわち投与の容易さおよび用量の一律性は特に有利である。本明細書中で使用する場合、単位剤形は、治療すべき哺乳動物対象用の単位用量として適切な、物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な医薬担体を伴い、望ましい治療効果を生み出すために計算された、所与の量の活性材料を含む。本発明の新規な単位剤形についての詳細は、(a)活性材料の固有の特性および達成されるべき特定の治療効果と、(b)本明細書中に詳細に記載されるような、身体の健康が損なわれた、疾患状態を有する生きた対象における、疾患の治療のために活性材料などを混合する分野に特有の制限とに、より決められ、また直接依存する。
【0207】
主活性成分は、簡便かつ効果的な投与のために、有効量で、適切な薬学的に許容可能な担体と共に前述のように単位剤形に混合される。単位剤形は、例えば主活性化合物を約10mgから約6gの範囲の量で含むことができる。比率で表すと、活性化合物は、一般的に約1から約750mg/mlで担体中に存在する。組成物が補助活性成分を含む場合、用量は、前記成分の常用量および投与様式を参照して決められる。
【0208】
本明細書中で使用する場合、「患者」または「対象」という用語は、温血動物、好ましくは哺乳類(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ネズミ、ラットおよびヒトを含む霊長類など)を指す。好ましい患者は、ヒトである。
【0209】
「治療」という用語は、疾患または病態に伴う痛みを緩和すること、患者の疾患または病態の部分的から完全な緩和を提供すること、あるいは患者の疾患または病態を軽減することのいずれかを指す。より具体的には、文脈が別段に要求しない限り、本明細書中で「治療(treat、treatingまたはtreatment)」という用語は、このような病態またはそれらの根本原因の強度を軽減、緩和、低減またはそれらを取り除くための療法として、難治性てんかん病態の危険のある、または難治性てんかん病態を含む予後を有する対象への、薬剤の防止的(preventive)または予防的(prophylactic)使用、ならびにすでに難治性てんかん病態を経験している対象への、このような化合物の使用を含む。特定の態様において、本発明の方法による薬剤の投与は、SEの発症の後である。投与時において、SEはすでに難治性である場合もあり、または以前の症状の発現または発作の持続期間に基づいて、難治性になっている予後を有する場合もある。
【0210】
本発明の化合物は、前述の型の障害を患っている患者に有効量で投与される。これらの量は、上記の治療有効量と等価である。
【0211】
本発明を以下の図および実施例によりさらに例示する。
【0212】
(実施例)
SEの過程で非常に早期に与えられた場合、標準抗てんかん薬は比較的よく作用できる一方、発作が続いた場合、特に発作が約30分を超えて続いた場合、それらは通常それらの効果を失う。
【0213】
これらの臨床的特徴は、てんかん重積症の貫通線維刺激モデルおよびリチウム/ピロカルピンモデルを使用して、実験的に再生できる。ラコサミドを、実験的に誘導されたSEの発症後に、規定された時間に投与することによって、これらの2つのモデルにおいて研究したが、この時間において、標準薬は、効果が低下または不活性でさえある。例えば、Mazarati他、(1999年、Neurosci Lett.、265:187〜190頁)には、貫通線維刺激(PPS)モデルにおける自続性てんかん重積症(SSSE)の過程の間に、標準抗けいれん薬への耐性は徐々に進行し、SSSEの前または発症時に与えた場合、ジアゼパムおよびフェニトインは非常に有効であったが、投与が遅れた場合、それらの効果は失われたことが述べられていた。
【0214】
ラコサミドを、てんかん重積症の貫通線維刺激モデルおよびリチウム/ピロカルピンモデルにおいて研究した。ラコサミドは、これら2つのモデルにおいて、難治性てんかん重積症の治療に関して研究され、ラコサミドを、実験的に誘導されたてんかん重積症の発症後に規定された期間に投与し、この時間に、標準薬は効果が低下または不活性でさえある。
【0215】
以下の実施例は、ラコサミド(単独またはジアゼパムと組み合わせて)の抗けいれん効果を、難治性SEに関するモデルにおいて例示する。
【0216】
(実施例1)
貫通線維刺激モデル
オスのウィスター系ラットに、貫通線維の角の束に刺激電極を、歯状回の顆粒細胞層に記録電極を埋め込んだ。貫通線維刺激(PPS)は、以下のパラメーター:10s、1msの20Hzトレインで30から60分で送達され、同じパラメーターを用いた連続2Hz刺激と一緒に30 Vのパルスが毎分送達された。
【0217】
ラコサミドを、PPS終了40分後に、50mg/kgの用量で腹腔内に注入した。以下の指数:累積発作時間(SSSEの持続期間、間欠時間は引く)および発作症状の発症回数、を発作活性の定量化のために使用した。さらに、てんかん重積症により誘導されたてんかん発生を評価するために、SSSEの誘導6か月後に自発的発作の回数を測定した。
【0218】
図1に示すように、ラコサミド治療をPPSの40分後に開始した場合、発作頻度および累積発作持続期間の両方が、実質的に減少した。
【0219】
(実施例2)
リチウム/ピロカルピンモデル
ラットに、40mg/kgのピロカルピンを投与する20〜24時間前に、3mmol/kgのリチウムを与えた。ラコサミド治療を、EEGに振幅の大きい、急速な持続性棘波が生じた10分後に開始した。これは、このモデルにおいて、標準臨床抗SE薬を用いた治療に対して難治性であることが、あらかじめ実証されている時間である(例えば、Walton & Treiman(1988年)Exp. Neurol. 101:267〜275頁によるジアゼパムに対する反応の研究を参照されたし)。
【0220】
ラコサミド(50mg/kg)を用いた治療により、標準抗重積薬が全く不活性であった状態下の運動発作症状が減少した。
【0221】
ラットの別の群に、50mg/kgのラコサミドを与え、5分後に20mg/kgのジアゼパムを与えた。この併用治療により、全てのラットにおいて発作の完全調節が達成された。
【0222】
本発明の化合物、特にラコサミド、または本発明の化合物、特にラコサミドと、SEの治療に使用される1種または複数種のさらなる薬剤(例えば、ベンゾジアゼピン、抗けいれん薬またはバルビツレート、好ましくはベンゾジアゼピン、特にジアゼパム)との組み合わせは、難治性てんかん重積症の治療に、あるいはその持続過程において難治性であるまたは難治性になる長期継続SEの治療に適切であると考えられる。
【0223】
(実施例3)
ラコサミドの長期効果(疾患修飾効果)
SSSEを、実施例1に記載したようなラットに誘導した。SSSEの誘導後、少なくとも6か月待ち(「沈黙期」)、動物を、EEG/テレメトリー/ビデオテープに、長期EEGおよびビデオ観察のために連続して2週間配置したが、2週目(麻酔および外科手術からはさらに離れている)に発作頻度を計算するために使用した(24時間/日×7)。電子写真の発作をハーモニー(Harmony)のソフトウェアにより捉え、EEGおよびビデオテープのオフラインの手動再検討により確認した。以下の指数:観察7日間の発作の棘波の総数、平均発作持続期間、光/暗の配分、を計測した。
【0224】
貫通線維刺激10分後のてんかん重積症の、ラコサミドを用いた治療は、てんかん重積症の長期結果のいくつかにおいて、有意な効果を有した。1週間当たりの自発的再発発作(SRS)の回数(図2)は、媒体治療動物の110±8から3mg/kgのラコサミドを与えたラットの85±5に減少し、10mg/kg、30mg/kgまたは50mg/kgを用いて治療した動物において、それぞれ66±8、42±8、34±6に減少した。
【0225】
棘波頻度を調べた場合に、少用量のラコサミドのこの疾患修飾性効果もまた観察し、これは、対照における9534±1114棘波/週から、3mg/kg群における7557±1945棘波/週ならびに10mg/kg、30mg/kgおよび50mg/kg群において、それぞれ3536±380、2969±542および2588±370棘波/週に減少した。
【0226】
貫通線維刺激40分後の治療により、自発的再発発作を示した動物の数が、2つの高用量治療群を合わせて6/6から3/9に減少した(p<0.05)。2つの最も高い治療群を合わせた場合、それらは発作回数を、110±8から55±32発作/週に減少した。個々の治療を分析した場合、1週間当たりの発作回数は、110±8から100±7(ラコサミド10mg/kg)、67±67、(ラコサミド30mg/kg)および45±29(ラコサミド50mg/kg)となったが、これらの変化は統計的に有意ではなかった(図3)。
【0227】
しかし、30mg/kgおよび50mg/kgの群における発作の平均回数は、大部分の動物がSRSを有さなかった事実を反映して0であった。
【0228】
てんかん重積症の進行において、貫通線維刺激10分後に与えた場合、ラコサミドは抗けいれん薬として有効であり、10mg/kgおよび上記の用量で、発作の回数および治療後治まるまでに費やす累積時間が減少した。
【0229】
慢性的に、早期ラコサミド治療(貫通線維刺激10分後)により、自発的再発発作の頻度が減少し、棘波頻度が減少する。
【0230】
貫通線維刺激40分後の確立された、自続性てんかん重積症の治療(後期治療)は、発作回数を有意に減少しなかった。
【0231】
高用量(30〜50mg/kg)のラコサミドを用いた治療により、慢性SRSの出現およびそれらSRS頻度が減少し、慢性てんかん発生に対する疾患修飾効果を示唆する。
【0232】
早期治療により、その後の慢性てんかんの重篤性、疾患修飾効果が減少した。分析のために2つの高用量群を合わせた場合、後期治療の後で、疾患修飾効果が観察された。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】治療耐性てんかん重積症のための、自続性てんかん重積症モデルにおけるラコサミドの効果を示す図である。
【図2】SRS/週の回数に関する早期治療の効果を示す図である。
【図3】発作/週の回数に関する後期治療の効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、Rは、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されており、
R1は、水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、複素環アルキル、アルキル複素環、複素環、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルであり、それぞれは、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されており、
R2およびR3は、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールアルキル、アリール、ハロ、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、またはZ-Yであり、R2およびR3は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、R2およびR3における複素環は、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、メチルピロリル、イミダゾリル、インドリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジル、ピロリニル、ピペラジニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、モルホリニル、ベンゾオキサゾリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、フラザニル、N-メチルインドリル、メチルフリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジル、エポキシ、アジリジノ、オキセタニル、アゼチジニルであり、または複素環にNが存在する場合、それらのN-オキサイドであり、
Zは、O、S、S(O)a、NR4、NR'6またはPR4あるいは化学結合であり、
Yは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、複素環、複素環アルキル、アルキル複素環であり、Yは、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されていてもよく、複素環はR2およびR3における場合と同じ意味を有し、ただし、Yがハロである場合、Zは化学結合であり、あるいは、
一緒になったZYは、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7、OPR4R5、PR4OR5、SNR4R7、NR4SR7、SPR4R5、PR4SR7、NR4PR5R6、PR4NR5R7またはN+R5R6R7
【化2】

であり、
R'6は水素、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R4、R5およびR6は、独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、R4、R5およびR6は、独立して、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R7は、R6またはCOOR8またはCOR8であり、R7は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
R8は、水素あるいはアルキルまたはアリールアルキルであり、アリール基またはアルキル基は、置換されていなくてもよく、あるいは少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基により置換されていてもよく、
nは1〜4であり、
aは1〜3である)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩の、難治性てんかん病態、特に難治性てんかん重積症または/および難治性てんかん重積症に関連する病態の予防、緩和または/および治療用医薬組成物の調製のための使用。
【請求項2】
難治性てんかん病態が、少なくとも約10分間続く、てんかん重積症、てんかん発作、反復発作または/および群発発作である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
難治性てんかん病態が、てんかん重積症または/およびてんかんの治療に用いられる薬剤、より具体的には、好ましくはジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、フェノバルビタール、カルバマゼピン、フェニトイン、フォスフェニトイン、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、バルプロ酸、ペントバルビタール、チオペンタール、プロパフォールおよびそれらの薬学的に許容可能な塩から選択されるベンゾジアゼピン、バルビツレートおよび請求項1に記載の化合物とは異なる抗てんかん薬から選択される少なくとも1種の薬剤に対して、少なくとも部分的に難治性または実質的に難治性である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
てんかん病態が、焦点発作または/および全身発作を含む、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
てんかん病態が、強直間代性、強直性、間代性もしくはミオクロニー性の発作などのけいれん性発作または/および欠神性もしくは弛緩性の発作などの非けいれん性発作を含む、請求項1から4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
てんかん病態または関連する病態が、急性反復発作または/および群発発作を含む、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
難治性てんかん重積症に関連する病態がてんかん発生である、請求項1から6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
R2およびR3の1つが水素である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
nが1である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
Rがアリールアルキル、特にベンジルであり、Rが置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
R1が、置換されていない、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
R2およびR3が、独立して、水素、
置換されていない、または少なくとも1個の電子供与基もしくは/および少なくとも1個の電子求引基により置換されているアルキル、アルコキシまたはアリールアルキル、特にアルコキシアルキル、
複素環、複素環アルキルあるいはZYであり、
Zは、O、NR4またはPR4であり、Yは水素またはアルキルであり、あるいは
ZYは、NR4NR5R7、NR4OR5、ONR4R7
【化3】

であり、R4、R5およびR7は、請求項1で定義された通りである、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
少なくとも1個の電子求引基または/および少なくとも1個の電子供与基が、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル、アリールアルカノイル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプトおよびジスルフィドから独立して選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
R2または/およびR3における少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基が、独立してヒドロキシまたはアルコキシである、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
化合物が一般式(II)
【化4】

(式中、
Arはアリールであり、置換されておらず、あるいは少なくとも1個の電子供与基または/および少なくとも1個の電子求引基により置換されており、
R1は、アルキルであり、
R3は請求項1、11、12または13で定義された通りである)
を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
R3が-CH2-Qであり、Qがアルコキシである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
R1がメチルである、請求項15から16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
Arが、置換されていない、または好ましくは少なくとも1個のハロ、より好ましくは少なくとも1個のフルオロにより置換されているフェニルである、請求項15から17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
Arが置換されていないフェニルである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
化合物が、
(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-メトキシ-プロピオンアミド、
(R)-2-アセトアミド-N-ベンジル-3-エトキシ-プロピオンアミド、
O-メチル-N-アセチル-D-セリン-m-フルオロベンジル-アミドまたは
O-メチル-N-アセチル-D-セリン-p-フルオロベンジル-アミド
である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
化合物が、一般式(III)
【化5】

(式中、
R9は、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、カルボキシアミド、アリール、四級アンモニウム、ハロアルキル、アリールアルカノイル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルキルメルカプトおよびジスルフィドからなる群から独立して選択される1種または複数種の置換基であり、
R3は、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、複素環、複素環アルキル、N-アルコキシ-N-アルキルアミノ、N-アルコキシアミノおよびN-カルバルコキシからなる群から選択され、
R1は、アルキルである)
を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
R9が、水素もしくはフルオロ、エトキシメチルであり、かつ/またはR1がメチルである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
R3が、アルコキシアルキル、特にメトキシメチルまたはメトキシエチル、アルキル、特にメチルまたはエチル、-NH-O-CH3、-N(CH3)-O-CH3、-NH(C(O)-O-CH3)、アリール特に、フェニルならびに複素環、特にフリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリルおよびチエニルから選択される、請求項21または22に記載の使用。
【請求項24】
化合物が、
N-アセチル-D-フェニルグリシンベンジルアミド、
D-1,2-(N,O-ジメチルヒドロキシルアミノ)-2-アセトアミド酢酸ベンジルアミド、または
D-1,2-(O-メチルヒドロキシルアミノ)-2-アセトアミド酢酸ベンジルアミド
である、請求項21、22または23に記載の使用。
【請求項25】
化合物が、R立体配置にある、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
化合物が実質的にエナンチオピュアである、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
医薬組成物が、少なくとも100mg/日、好ましくは少なくとも200mg/日、より好ましくは少なくとも300mg/日、さらにより好ましくは少なくとも400mg/日、最も好ましくは少なくとも600mg/日の化合物の用量を用いた治療用に調製される、請求項1から26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
医薬組成物が、最大6g/日、より好ましくは最大1g/日、さらにより好ましくは最大600mg/日、最も好ましくは最大800mg/日の化合物の用量を用いた治療用に調製される、請求項1から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
医薬組成物が、少なくとも400mg/日、好ましくは600mg/日または800mg/日の用量を用いた治療用に調製される、請求項1から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
医薬組成物が、複数の治療対象の平均として計算された、0.1から15μg/ml(トラフ)および5から30μg/ml(ピーク)の血漿濃度をもたらす投与のために調製される、請求項1から29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
医薬組成物が、経口、直腸内またはi.v.投与のために、好ましくはi.v.投与のために調製される、請求項1から30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
医薬組成物が、
(a)請求項1および8から26のいずれかに記載の、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、好ましくはラコサミドと、
(b)少なくとも1種のさらなる活性薬剤、特に少なくとも1種のベンゾジアゼピン、好ましくはジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムと、
を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
化合物(a)および(b)が単一剤形で存在する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
化合物(a)および(b)が分離剤形で存在する、請求項32または33に記載の使用。
【請求項35】
(a)の化合物がラコサミドであり、(b)の化合物がジアゼパム、ロラゼパムまたはミダゾラムである、請求項32から34のいずれかに記載の使用。
【請求項36】
医薬組成物が、哺乳動物、好ましくはヒトに投与するために調製される、請求項1から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
(a)請求項1および8から26のいずれかに記載の、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、好ましくはラコサミドと、(b)少なくとも1種のベンゾジアゼピン、好ましくはジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムと
を含む医薬組成物。
【請求項38】
化合物(a)および(b)が単一剤形で存在する、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
化合物(a)および(b)が分離剤形で存在する、請求項37または38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
化合物(a)がラコサミドであり、化合物(b)がジアゼパム、ロラゼパムまたはミダゾラムである、請求項37から39のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項41】
てんかん障害の予防、緩和または/および治療用の、請求項36から40のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項42】
式(I)の少なくとも1種の化合物がラコサミドであり、少なくとも1種のベンゾジアゼピンがジアゼパムであり、それぞれが静脈内投与に適合する形態である、請求項37から41のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項43】
ラコサミドが約50から約500mgの用量をもたらす量で存在し、ジアゼパムが約10から約100mgの用量をもたらす量で存在する、請求項37から42のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項44】
式(I)の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種のペンゾジアゼピンが、分離剤形で提供される、請求項37から43のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項45】
少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項37から44のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項46】
請求項1および8から26のいずれかに記載の、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドを、それを必要とする対象に投与する段階を含む、難治性てんかん病態を予防、緩和または/および治療するための方法。
【請求項47】
難治性てんかん病態が難治性てんかん重積症である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ラコサミドを、てんかん重積症の発症後に投与する、請求個46から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
ラコサミドを、てんかん重積症の発症後少なくとも約10分で投与する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ラコサミドを、てんかん重積症の発症後少なくとも約30分で投与する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ラコサミドを、約50から約500mgの用量で投与する、請求項46から50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
ラコサミドを静脈内投与する、請求項46から51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
請求項1および8から26のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物、特にラコサミド、ならびにさらなる活性薬剤、特にジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを、それを必要とする対象に共投与する段階を含む、難治性てんかん病態を予防、緩和または/および治療するための方法。
【請求項54】
請求項1および8から26のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物、特にラコサミド、ならびにジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを、それを必要とする対象に共投与する段階を含む、てんかん病態を予防、緩和または/および治療するための方法。
【請求項55】
投与が、経口、注射による(例えば、静脈内または筋肉内)、または直腸内(例えば、坐薬、ゲル、液体など)投与、好ましくはi.v.注射による投与である、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
てんかん発生の予防、緩和または/および治療用医薬組成物の調製のための、請求項1および8から26のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物、特にラコサミドの使用。
【請求項57】
てんかん発生が、難治性てんかん重積症などのてんかん重積症に関連する、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
てんかん発生が、慢性てんかんなどのてんかんの発症、あるいは少なくとも約10分間続く、てんかん重積症、てんかん発作、反復発作または/および群発発作から選択されるてんかん病態を含む、請求項56または57に記載の使用。
【請求項59】
てんかん病態が、焦点発作または/および全身発作を含む、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
てんかん病態が、強直間代性、強直性、間代性またはミオクロニー性の発作などのけいれん発作または/および欠神性または弛緩性の発作などの非けいれん性発作を含む、請求項58または59に記載の使用。
【請求項61】
てんかん病態または関連する病態が、急性の反復発作または/および群発発作を含む、請求項58から60のいずれかに記載の使用。
【請求項62】
請求項1および8から26のいずれかに記載の、式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物、特にラコサミドを、それを必要とする対象に投与する段階を含む、てんかん発生を予防、緩和または/および治療するための方法。
【請求項63】
さらなる活性薬剤、特にジアゼパム、ロラゼパムまたは/およびミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを投与する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
てんかん発生が、難治性てんかん重積症などのてんかん重積症に関連する、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物を、てんかん重積症の発症後に投与する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物を、てんかん重積症の発症後少なくとも約10分で、または少なくとも30分で投与する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物を、約50から約500mgの用量で投与する、請求項62から66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
式I、IIまたは/およびIIIの少なくとも1種の化合物を、静脈内に投与する、請求項62から67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
てんかん発生が、慢性てんかんなどのてんかんの発症、あるいは少なくとも約10分間続く、てんかん重積症、てんかん発作、反復発作または/および群発発作から選択されるてんかん病態を含む、請求項62から68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
てんかん病態が、焦点発作または/および全身発作を含む、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
てんかん病態が、強直間代性、強直性、間代性またはミオクロニー性の発作などのけいれん発作または/および欠神性または弛緩性の発作などの非けいれん性発作を含む、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
てんかん病態または関連する病態が、急性の反復発作または/および群発発作を含む、請求項69から71のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−539910(P2009−539910A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514712(P2009−514712)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005306
【国際公開番号】WO2007/144196
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(507038467)シュヴァルツ・ファーマ・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】