説明

難燃剤、およびこれを用いた硬化性組成物

【課題】難燃性、密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスのとれた硬化膜を形成することが容易な硬化性組成物を与える難燃剤、上記特性バランスに優れた難燃性の硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)の構造を有する難燃剤。


(式中、Rは水素、またはメチルであり、Rは炭素数2〜20のアルキレンであり、R3はメチレンであり、R4およびR5は独立して、炭素数1〜20のアルキル、フェニル、任意の水素が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニル、または任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニルであり、R4とR5が一体となって環状基を形成してもよく、mは1〜30の整数であり、n、pおよびqは独立して、0または1である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃剤、それを用いた熱硬化性組成物、熱硬化性インクジェット用インク、熱硬化性スクリーン印刷用インク、光硬化性組成物、光硬化性インクジェット用インク、光硬化性スクリーン印刷用インクなどの硬化性組成物に関し、具体的には、本発明はプリント配線基板などを製造するために用いられるインクジェット用インク、スクリーン印刷用インクに関する。さらに本発明は、インクジェット用インク、スクリーン印刷用インクから形成された難燃性硬化膜、難燃性硬化膜が形成された電子回路基板、該電子回路基板を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子回路基板に使用される材料には、安全性のために難燃性が要求されている。従来、難燃性を付与するためには各種の臭素化物が用いられてきた。しかし近年、燃焼時のダイオキシンの発生が問題視されており、臭素化物を使用しない難燃剤が求められてきた。さらに、最近の電子部品に対しては耐熱性の向上が求められており、このためには反応性の官能基を持つ難燃剤が求められている。このような状況の中、各種の反応性難燃剤が提案されている(例えば、特開昭60−161993号公報(特許文献1)、特開2001−106766号公報(特許文献2)、特開2001−213889号公報(特許文献3)、特開2002−121245号公報(特許文献4)、特開2004−91683号公報(特許文献5)等を参照)。しかし、これらに記載されている難燃剤はすべてアクリルの二重結合にリン含有化合物を反応させたものであるため、材料としてのバリエーションが狭く、電子回路基板に要求される密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスをとることが難しかった。一方、近年電子回路基板の製造においてパターン化された硬化膜を形成する方法として、設備投資金額が少なく材料の使用効率が高い等の長所を持つインクジェット法が提案され、これに使用する組成物(インクジェット用インク)も提案されている(例えば、特開2003−302642号公報(特許文献6)、WO2004/099272号パンフレット(特許文献7)、特開2006−282757号公報(特許文献8)、特開2006−307152号公報(特許文献9)等を参照)。
しかしながら、これらのインクジェット用インクから形成された硬化膜は、十分な難燃性を有してはいなかった。
【特許文献1】特開昭60−161993号公報
【特許文献2】特開2001−106766号公報
【特許文献3】特開2001−213889号公報
【特許文献4】特開2002−121245号公報
【特許文献5】特開2004−91683号公報
【特許文献6】特開2003−302642号公報
【特許文献7】WO2004/099272号パンフレット
【特許文献8】特開2006−282757号公報
【特許文献9】特開2006−307152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の状況の下、難燃性、密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスのとれた硬化膜を形成することが容易な重合体組成物を与える難燃剤、上記特性バランスに優れた難燃性の硬化性組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、特定の構造を有する難燃剤を使用すると難燃性、密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスのとれた硬化膜を形成することが容易な組成物を与えることができ、またこの難燃剤を含有する硬化性組成物から形成される硬化膜の難燃性、密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスが良好であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0005】
本発明は以下のような難燃剤、さらには、熱硬化性組成物、熱硬化性インクジェット用インク、熱硬化性スクリーン印刷用インク、光硬化性組成物、光硬化性インクジェット用インク、光硬化性スクリーン印刷用インク、などの硬化性組成物を提供する。本発明のインクは無色であっても、有色であってもよい。
【0006】
本発明は以下の項に示される
【0007】
1.式(1)、(2)、または(3)で表される化合物。







(式中、Rは水素、またはメチルであり、Rは炭素数2〜20のアルキレンであり、R3はメチレンであり、R4およびR5は独立して、炭素数1〜20のアルキル、フェニル、任意の水素が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニル、または任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニルであり、R4とR5が一体となって環状基を形成してもよく、mは1〜30の整数であり、n、pおよびqは独立して、0又は1である。)
【0008】
2.式(4)、(5)、または(6)で表される化合物。







(式中、Rは水素、またはメチルであり、Rは炭素数2〜20のアルキレンであり、R3はメチレンであり、mは1〜30の整数であり、nは0又は1である。)
【0009】
3.項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)を20〜100重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合して得られる難燃性重合体(F)。
【0010】
4.項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)および請求項3に記載の難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を含有する熱硬化性組成物
【0011】
5.インクジェット用インクである、項4に記載の熱硬化性組成物。
【0012】
6.スクリーン印刷用インクである、項4に記載の熱硬化性組成物。
【0013】
7.項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)および項3に記載の難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)を含有する光硬化性組成物。
【0014】
8.インクジェット用インクである、項7に記載の光硬化性組成物。
【0015】
9.スクリーン印刷用インクである、項7に記載の光硬化性組成物。
【0016】
10.オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)が式(7)、(8)、(9)、または(10)である、項4〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。



(式(7)中、nは0〜10の整数である。)
【0017】
11.(メタ)アクリレート(C)が式(11)、(12)、(13)および(14)から選ばれる1つ以上である、項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。



(式(11)中、a、b、cはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(11−1)で表される基であり、s個は式(11−2)で表される基であり、rは0〜2の整数であり、sは1〜3の整数であり、r+sは3であり、R1は水素またはメチルである)



(式(12)中、a、b、cはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(12−1)で表される基であり、s個は式(12−2)で表される基であり、rは0〜2の整数であり、sは1〜3の整数であり、r+sは3であり、R1は水素またはメチルである)



(式(13)中、a、b、c、dはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(13−1)で表される基であり、s個は式(13−2)で表される基であり、rは0〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、r+sは4であり、R1は水素またはメチルである)



(式(14)中、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(14−1)で表される基であり、s個は式(14−2)で表される基であり、rは0〜5の整数であり、sは1〜6の整数であり、r+sは6であり、R1は水素またはメチルである)
【0018】
12.さらに(メタ)アクリレート(C)を含有する、項4〜6、10のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
【0019】
13.(メタ)アクリレート(C)が式(15)の化合物である、項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物、または項12に記載の熱硬化性組成物。



(式(15)中、R6は環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、R1は水素またはメチルであり、tは1〜30の整数である。)
【0020】
14.(メタ)アクリレート(C)が式(11)〜(14)から選ばれる1つ以上と式(15)の化合物の混合物である、項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物、または項12に記載の熱硬化性組成物。
【0021】
15.式(15)の化合物が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、項13または14に記載の光硬化性組成物、または熱硬化性組成物。
【0022】
16.光重合開始剤(D)がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである、項7〜9、11、13〜15のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0023】
17.難燃剤(A)が式(4)におけるRが炭素数2〜4のアルキレンである化合物と、式(5)におけるRが炭素数2〜4のアルキレンである化合物の混合物であり、(メタ)アクリレート(C)が式(14)の化合物と式(15)の化合物の混合物である、項16に記載の光硬化性組成物。
【0024】
18.式(15)の化合物が、4−ヒドロキシブチルアクリレートである、項16または17に記載の光硬化性組成物。
【0025】
19.常圧における沸点が300℃以下の溶媒を含有しない、または常圧における沸点が300℃以下の溶媒の組成物全体に占める割合が10重量%以下である、項7〜9、11、13〜18のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0026】
20.常圧における沸点が300℃以下の溶媒を20〜70重量%含有する、項4〜6、10、12〜15のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
【0027】
21.常圧における沸点が300℃以下の溶媒がガンマブチロラクトンである項20に記載の熱硬化性組成物。
【0028】
22.項4〜6、10、12〜15、20、21のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物、または項7〜9、11、14〜19のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を用いて基板上に難燃性硬化膜が形成された電子回路基板。
【0029】
23.項22に記載された電子回路基板を有する電子部品。
【0030】
なお、本明細書中、アクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【発明の効果】
【0031】
本発明の好ましい態様に係る難燃剤を使用した熱硬化性組成物、熱硬化性インクジェット用インク、熱硬化性スクリーン印刷用インク、光硬化性組成物、光硬化性インクジェット用インク、光硬化性スクリーン印刷用インクなどの硬化性組成物から形成される硬化膜は難燃性、密着性、耐薬品性、耐熱性、弾性等のバランスに優れ、電子回路基板用の材料として良好かつ安全に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
1 本発明の難燃剤(A)
本発明の難燃剤(A)は、式(1)、(2)、または(3)で表される化合物であり、好ましくは式(4)、(5)、または(6)で表される化合物である。ここで、式(1)、(2)、(4)または(5)において、Rの例としては炭素数2〜8のアルキレンが好ましく、エチレン、プロピレン、ブチレンがより好ましい。mは1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。さらに好ましくは、下記式(16)、(17)、または(18)の化合物である。







これらの化合物は分子中におけるリンの含有率が高く難燃性が良好である。また、分子中に(メタ)アクリロイル、カルボキシといった熱硬化性の反応基を有しているため、高温で加熱してもブリードアウトすることがなく、基板との密着性が良好である。したがって、電子回路基板におけるカバーレイ等に使用すると難燃性、密着性、耐薬品性に優れる。また、従来の難燃剤に比べると比較的分子量が小さいため、多量に含有しても粘度の調整が容易である。このため、粘度を2〜200mPa・sに調整した無溶媒タイプのインクジェット用インクに好適に用いることができる。
【0033】
2 本発明の難燃性重合体(F)
本発明の難燃性重合体(F)は、難燃剤(A)の単独重合体、2つ以上の難燃剤(A)の共重合体、または難燃剤(A)と他のラジカル重合性モノマーとの共重合体である。難燃剤(A)の含有量が、難燃性重合体(F)の溶媒以外の全量の10重量%以上であると難燃性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると、20〜100重量%であることがさらに好ましく、50〜100重量%であることが特に好ましい。
本発明の難燃性重合体(F)は、難燃剤(A)を例えば溶液中のラジカル重合で高分子量化することで得ることができる。難燃性重合体(F)を用いて、熱硬化性組成物または光硬化性組成物の粘度を1Pa・s以上となるように調合することにより、スクリーン印刷用インクに好適に用いることができる。
【0034】
2.1 他のラジカル重合性モノマー
本発明の難燃性重合体(F)の重合には、耐熱性、接着性または柔軟性などを高めるために、難燃剤(A)の他に、他のラジカル重合性モノマーを加えてもよい。本発明の難燃性重合体(F)に使用することができる他のラジカル重合性モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル] 、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸−(2−モノ(メタ)アクリロイルオキシ)エチル、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタルイミドエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、4−アクリロイルモルホリン、N−フェニルマレイミド、またはN−シクロヘキシルマレイミド;KAYARAD TC−110S(商品名:日本化薬(株)製);ビスコート#193、ビスコート#320、ビスコート#2311HP、ビスコート#220、ビスコート#2000、ビスコート#2100、ビスコート#2150、ビスコート#2180、ビスコート3F、ビスコート3FM、ビスコート4F、ビスコート4FM、ビスコート6FM、ビスコート8F、ビスコート8FM、ビスコート17F、ビスコート17FM、またはビスコートMTG(それぞれ商品名:大阪有機化学(株)製);M−101、M−102、M−110、M−113、M−117、M−120、M−5300、M−5600、M−5700、TO−850、TO−851、TO−1248、TO−1249、TO−1301、TO−1317、TO−1315、TO−981、TO−1215、TO−1316、TO−1322、TO−1342、TO−1340、TO−1225(それぞれ商品名:東亜合成(株)製)等をあげることができる。
【0035】
中でも、難燃性重合体(F)の耐熱性を高める観点からは、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。難燃性重合体(F)の接着性を高める観点からは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどが好ましい。難燃性重合体(F)の柔軟性を高める観点からは、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、KAYARAD TC−110S等が好ましい。
【0036】
難燃性重合体(F)が難燃剤(A)と他のラジカル重合性モノマーの混合物を共重合して得られる場合は、他のラジカル重合性モノマーの含有量が1〜50重量%であるのが好ましい。
【0037】
2.2 溶媒
難燃性重合体(F)の合成に使用する重合溶媒は、モノマー、重合開始剤を溶解するものであれば特に限定しないが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、トルエン、キシレン、ガンマブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。特に重合液をそのままスクリーン印刷用インクとして調製することを考慮すると、ガンマブチロラクトンが好ましい。
【0038】
重合溶媒は2種以上の混合溶媒でもよい。重合は通常モノマー濃度5〜50重量%、重合開始剤をモノマー重量の0.1〜15重量%、反応温度50〜160℃、反応時間3〜12時間で行うとよい。式(3)の化合物を使用して重合する場合は、重合液のゲル化を防止するために重合開始剤をモノマー重量の5〜15重量%使用するとよい。分子量を調節するためにチオグリコール酸等の連鎖移動剤をモノマー重量の0.1〜3重量%程度加えてもよい。難燃性重合体(F)は、重合体溶液を大量の非溶媒に投入して沈殿を生成させ、これを乾燥した粉末としてもよいし、重合体溶液をそのままインクジェット用インクやスクリーン印刷用インクの調製に使用してもよい。
【0039】
3 本発明の熱硬化性組成物
本発明の熱硬化性組成物は、式(1)、(2)、(3)で表される難燃剤(A)、または難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を混合、溶解、ろ過することにより調製するのが好ましい。ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。該熱硬化性組成物は、インクジェット用インク、スクリーン印刷用インクとして使用することができる。難燃剤(A)およびオキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を混合して調製される熱硬化性組成物はインクジェット用インクとして好適に使用できる。難燃性重合体(F)およびオキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を混合して調製される熱硬化性組成物はスクリーン印刷用インクとして好適に使用できる。
【0040】
3.1 難燃剤(A)
本発明の熱硬化性組成物に用いられる難燃剤(A)は、式(1)、(2)、または(3)で表される化合物であり、好ましくは式(4)、(5)、または(6)で表される化合物である。さらに好ましくは、式(16)、(17)、または(18)の化合物である。 熱硬化性組成物は、難燃剤(A)を含有すると形成される硬化膜の難燃性が高い。難燃剤(A)は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の10重量%以上であると難燃性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると難燃剤(A)の含有量は10〜70重量%であることが好ましい。
【0041】
3.2 難燃性重合体(F)
本発明の熱硬化性組成物に用いられる難燃性重合体(F)は、難燃剤(A)の単独重合体、2つ以上の難燃剤(A)の共重合体、難燃剤(A)と他のラジカル重合性モノマーとの共重合体である。
熱硬化性組成物は、難燃性重合体(F)を含有すると形成される硬化膜の難燃性が高い。難燃性重合体(F)が難燃剤(A)の単独重合体または2つ以上の難燃剤(A)の共重合体である場合には、難燃性重合体(F)は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の10重量%以上であると難燃性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると難燃性重合体(F)の含有量は10〜70重量%であることが好ましい。難燃性重合体(F)が難燃剤(A)と他のラジカル重合性モノマーとの共重合体である場合には、難燃性重合体(F)が、難燃剤(A)の含有量に換算して、熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の10重量%以上であると難燃性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると難燃性重合体(F)の含有量は難燃剤(A)に換算して10〜70重量%であることが好ましい。
【0042】
3.3 オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)
本発明の熱硬化性組成物に用いられるオキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)としては、耐薬品性の高い硬化膜が得られるためにエポキシ樹脂が好ましい。本発明で用いられるエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の具体例としては、「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、または「エピコート191P」(それぞれ商品名:油化シェルエポキシ(株)製);「エピコート1004」、「エピコート1007」、または「エピコート1256」(それぞれ商品名:ジャパンエポキシレジン(株)製);「アラルダイトCY177」または「アラルダイトCY184」(それぞれ商品名:日本チバガイギー(株)製);「セロキサイド2021P」または「EHPE−3150」(それぞれ商品名:ダイセル化学工業(株)製);「テクモアVG3101L」(商品名:三井化学(株)製)などを挙げることができる。中でも式(7)の化合物の混合物であるエピコート1004、式(8)の化合物であるアラルダイトCY184、式(9)の化合物であるテクモアVG3101L、または式(10)の化合物であるセロキサイド2021Pは、耐熱性、耐薬品性が高いので好ましい。
【0043】
オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の10重量%以上であると耐薬品性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると10〜50重量%であることが好ましい。
【0044】
3.4 (メタ)アクリレート(C)
本発明の熱硬化性組成物は、使用する用途に合わせた粘度に調整するために(メタ)アクリレート(C)を含んでもよい。(メタ)アクリレート(C)の具体例としては、前記難燃性重合体(F)の合成に使用する各種(メタ)アクリレート、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)の化合物等を挙げることができる。
【0045】
中でも、硬化膜の基材への密着性が高いという観点から、式(15)の化合物が好ましい。ここで、式(15)において、Rの例としては炭素数2〜8のアルキレンが好ましく、エチレン、プロピレン、ブチレンがより好ましい。mは1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどがさらに好ましい。
【0046】
また、得られる硬化膜の硬度が高いという観点から、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)の化合物のうち、a、b、c、d、e、fがともに0である化合物が好ましい。
【0047】
得られる硬化膜の柔軟性が高いという観点から、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)の化合物のうち、a+b+c+d+e+fが1以上である化合物などが好ましい。
【0048】
得られる硬化膜の難燃性が高いという観点から、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)の化合物のうち、rが1以上である化合物などが好ましい。
【0049】
(メタ)アクリレート(C)は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の10重量%以上であると、使用する用途に合わせた粘度に調整できるので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると10〜70重量%であることが好ましい。
【0050】
3.5 その他の成分
本発明の熱硬化性組成物には、粘度を調整するための溶媒、耐熱性向上のためのエポキシ硬化剤、膜面均一性向上のための界面活性剤、基材との密着性向上のためのカップリング剤等を添加してもよい。
【0051】
3.5.1 溶媒
本発明の熱硬化性組成物は、使用する用途に合わせた粘度に調整するために溶媒を含んでもよい。本発明の熱硬化性組成物に含まれる溶媒としては沸点が100〜300℃の溶媒が好ましい。
【0052】
沸点が100〜300℃である溶媒の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、ガンマブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、またはジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
【0053】
溶媒は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。本発明の熱硬化性組成物において、溶媒は固形分濃度が20重量%以下にならない程度に含まれることが好ましい。
【0054】
3.5.2 エポキシ硬化剤
本発明の熱硬化性組成物は、硬化膜の耐熱性を向上させるためにエポキシ硬化剤を含んでもよい。エポキシ硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、および触媒型硬化剤などがあるが、着色および耐熱性の点から酸無水物系硬化剤が好ましい。
【0055】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、イタコン酸無水物、またはスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらのなかでも耐熱性が特に優れたトリメリット酸無水物またはヘキサヒドロトリメリット酸無水物などが好ましい。
【0056】
エポキシ硬化剤は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の5重量%以上であると耐熱性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると5〜30重量%であることが好ましい。
【0057】
3.5.3 界面活性剤
本発明の熱硬化性組成物は、下地基板への濡れ性、硬化膜の膜面均一性を向上させるために界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤などが用いられる。具体的には、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、またはByk−370(それぞれ商品名:ビック・ケミー(株)製)などのシリコン系;Byk−354、ByK−358、またはByk−361(それぞれ商品名:ビック・ケミー(株)製)などのアクリル系;DFX−18、フタージェント250、またはフタージェント251(それぞれ商品名:ネオス(株)製)を挙げることができる。
【0058】
界面活性剤は、熱硬化性組成物中に0.01重量%以上であると硬化膜の膜面均一性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると0.01〜1重量%であることが好ましい。
【0059】
3.5.4 カップリング剤
本発明の熱硬化性組成物は、下地基板との密着性を向上させるためにカップリング剤を含んでもよい。カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系およびチタネート系の化合物を用いることができる。具体的には、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系;テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタネート系を挙げることができる。これらのなかでも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
【0060】
カップリング剤は熱硬化性組成物の溶媒以外の全量の0.5重量%以上であると下地基板との密着性が向上するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0061】
3.5.5 着色剤
本発明の熱硬化性組成物は、硬化膜の状態を検査する際に基板との識別を容易にするために、着色剤を含んでもよい。着色剤としては、耐熱性が良好であるため顔料が好ましい。着色剤は、熱硬化性組成物中に1重量%以上であると硬化膜の検査が容易であるので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると1〜10重量%であることが好ましい。
【0062】
3.5.6 重合禁止剤
本発明の熱硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、またはフェノチアジン等を挙げることができる。これらの中でも、フェノチアジンが長期の保存においても粘度の変化が小さいために好ましい。重合禁止剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。重合禁止剤は、熱硬化性組成物中に0.01重量%以上であると長期の保存においても粘度の変化が小さいために好ましく、他特性とのバランスを考慮すると0.01〜1重量%であることが好ましい。
【0063】
4 本発明の熱硬化性インクジェット用インク
3項に記載した熱硬化性組成物を、25℃における粘度を2〜200mPa・sに調整すると、熱硬化性インクジェット用インクとして使用することができる。インクジェット用インクとして使用すると所望のパターンを描画することができるため、電子回路基板等の製造に有効である。インクジェットヘッドからの吐出を安定させるためには、25℃における粘度が50mPa・s以下であることが好ましい。
【0064】
25℃における粘度が50mPa・s以上のインクを使用する場合は、インクジェットヘッドを加温することが好ましい。インクジェットヘッドを加温する場合、インクに低沸点の溶媒が含まれていると溶媒が揮発してインクの粘度が上昇しヘッドが詰まってしまうことがある。これを回避するために、インクは溶媒を含まないか、含んだとしても10重量%以下の少量であることが好ましい。また、インクは(メタ)アクリレート(C)を含むと粘度調整が容易になるので好ましい。
【0065】
インクジェットヘッドを加温しない場合、インクの粘度は溶媒を加えて調整することができる。
5 本発明の熱硬化性スクリーン印刷用インク
3項に記載した熱硬化性組成物を、25℃における粘度を1〜100Pa・sに調整すると、熱硬化性スクリーン印刷用インクとして使用することができる。スクリーン印刷用インクとして使用すると所望のパターンを描画することができるため、電子回路基板等の製造に有効である。安定した描画特性を得るためには、25℃における粘度が5〜50Pa・sであることが好ましい。
【0066】
6 本発明の光硬化性組成物
本発明の光硬化性組成物は、式(1)、(2)、(3)で表される難燃剤(A)、または難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)を混合、溶解、ろ過することにより調整するのが好ましい。ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。該光硬化性組成物は、インクジェット用インク、スクリーン印刷用インクとして使用することができる。
【0067】
6.1 難燃剤(A)
本発明の光硬化性組成物に用いられる難燃剤(A)の構造、好ましい構造、好ましい含有量は、3.1項に記載の難燃剤と同一である。
【0068】
6.2 難燃性重合体(F)
本発明の光硬化性組成物に用いられる難燃性重合体(F)の組成、好ましい組成、好ましい含有量は、3.2項に記載の難燃性重合体と同一である。
【0069】
6.3 (メタ)アクリレート(C)
本発明の光硬化性組成物に用いられる(メタ)アクリレート(C)の具体例、好ましい例、好ましい含有量は、3.4項に記載の(メタ)アクリレートと同一である。
【0070】
6.4 光重合開始剤(D)
本発明の光硬化性組成物に使用される光重合開始剤(D)は、紫外線あるいは可視光線の照射によりラジカルを発生することのできる化合物であれば特に限定されない。光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0071】
中でもビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドまたは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどはリン原子を有する光重合開始剤であり、これらを使用すると得られる硬化膜の難燃性が向上するので好ましい。
【0072】
本発明で用いられる光重合開始剤(D)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。光重合開始剤(D)は光硬化性組成物の溶媒以外の全量の1重量%以上であると、少ない紫外線の照射量で硬化するので好ましく、他特性とのバランスを考慮すると1〜20重量%であることが好ましい。
【0073】
6.5 その他の成分
本発明の光硬化性組成物には、粘度を調整するための溶媒、耐薬品性向上のためのエポキシ樹脂、耐熱性向上のためのエポキシ硬化剤、膜面均一性向上のための界面活性剤、基材との密着性向上のためのカップリング剤等を添加してもよい。
【0074】
6.5.1 溶媒
本発明の光硬化性組成物に用いられる溶媒の種類、好ましい含有量は、3.5.1項に記載の溶媒と同一である。
【0075】
6.5.2 エポキシ樹脂
本発明の光硬化性組成物に用いられるエポキシ樹脂の種類、好ましい含有量は、3.3項に記載のエポキシ樹脂と同一である。
【0076】
6.5.3 エポキシ硬化剤
本発明の光硬化性組成物に用いられるエポキシ硬化剤の種類、好ましい含有量は、3.5.2項に記載のエポキシ硬化剤と同一である。
【0077】
6.5.4 界面活性剤
本発明の光硬化性組成物に用いられる界面活性剤の種類、好ましい含有量は、3.5.3項に記載の界面活性剤と同一である。
【0078】
6.5.5 カップリング剤
本発明の光硬化性組成物に用いられるカップリング剤の種類、好ましい含有量は、3.5.4項に記載のカップリング剤と同一である。
【0079】
6.5.6 着色剤
本発明の光硬化性組成物に用いられる着色剤の種類、好ましい含有量は、3.5.5項に記載の着色剤と同一である。
【0080】
6.5.7 重合禁止剤
本発明の光硬化性組成物に用いられる重合禁止剤の種類、好ましい含有量は、3.5.6項に記載の重合禁止剤と同一である。
【0081】
7 本発明の光硬化性インクジェット用インク
6に記載した光硬化性組成物を、25℃における粘度を2〜200mPa・sに調整すると、光硬化性インクジェット用インクとして使用することができる。インクジェット用インクとして使用すると所望のパターンを描画することができるため、電子回路基板等の製造に有効である。インクジェットヘッドからの吐出を安定させるためには、25℃における粘度が50mPa・s以下であることが好ましい。
【0082】
25℃における粘度が50mPa・s以上のインクを使用する場合は、インクジェットヘッドを加温することが好ましい。インクジェットヘッドを加温する場合、インクに低沸点の溶媒が含まれていると溶媒が揮発してインクの粘度が上昇しヘッドが詰まってしまうことがある。これを回避するために、インクは溶媒を含まないか、含んだとしても10重量%以下の少量であることが好ましい。また、インクは(メタ)アクリレート(C)を含むと粘度調整が容易になるので好ましい。
【0083】
インクジェットヘッドを加温しない場合、インクの粘度は溶媒を加えて調整することができる。
【0084】
8 本発明の熱硬化性スクリーン印刷用インク
6項に記載した光硬化性組成物を、25℃における粘度を1〜100Pa・sに調整すると、熱硬化性スクリーン印刷用インクとして使用することができる。スクリーン印刷用インクとして使用すると所望のパターンを描画することができるため、電子回路基板等の製造に有効である。安定した描画特性を得るためには、25℃における粘度が5〜50Pa・sであることが好ましい。
【0085】
9 硬化膜の形成
本発明の硬化膜は、熱硬化性組成物の場合インクジェット印刷、スクリーン印刷、スピンコート、ロールコート、バーコート、スリットコート等、公知の方法を用いて基板の表面に塗布した後に、150〜250℃のオーブンまたはホットプレートで10〜60分間加熱して得られる。加熱によりエポキシ樹脂が反応し、強固な膜が形成される。
【0086】
光硬化性組成物の場合、上記方法で基板の表面に塗布した後、該組成物に紫外線や可視光線等の光を照射して得られる。光が照射された部分の組成物はアクリルモノマーの重合により三次元化架橋体となって硬化する。光硬化性インクジェット用インクの場合、インクの広がりを効果的に抑えることができるので、高精細なパターンの描画が可能になる。照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm程度が好ましい。さらに150〜250℃のオーブンまたはホットプレートで10〜60分間加熱、焼成すると、耐熱性、耐薬品性が向上するので好ましい。
【0087】
本明細書中、「基板」は、本発明の熱硬化性組成物、熱硬化性インクジェット用インク、光硬化性組成物、または光硬化性インクジェット用インクが塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0088】
また、本発明に使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。なお、これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および/または電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
【0089】
上記の基板の厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
【0090】
上記の基板の硬化膜を形成する面には、必要によりコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、易接着層を設けてもよい。
【0091】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
[合成例1](難燃剤(A1)の合成)
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、「HCA」という)43.2g、イタコン酸無水物22.4gを4つ口フラスコに投入し、窒素気流下100℃で18時間攪拌した。その後、4−ヒドロキシブチルアクリレート28.8g、ピリジン0.19g、フェノチアジン0.19gを加えて、乾燥空気気流下80℃で10時間攪拌し、式(16)と式(17)の化合物の混合物である難燃剤(A1)を得た。構造はLC−NMRにより決定される。
【0093】
[合成例2](難燃剤(A2)の合成)
下記式(19)の化合物である、三光(株)製HCA−HQ16.2g、トリエチルアミン15.0g、テトラヒドロフラン200mlを加え、窒素雰囲気下0℃にした。次いで、アクリル酸クロライド10.0gを滴下し、20℃で2時間攪拌した。その後、0℃において飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、得られた溶液の水層から酢酸エチルで2回抽出を行い、さらに合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。これに硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、減圧下35℃で溶媒を留去して、16.9gの式(18)の化合物である難燃剤(A2)を得た。構造はNMRにより決定される。


【0094】
[合成例3](難燃性重合体(F1)の合成)
難燃剤(A1)30g、難燃剤(A2)3.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレート17.0g、アゾビスイソブチロニトリル6.0g、ガンマブチロラクトン75gを4つ口フラスコに投入し、窒素気流下80℃に加熱した。80℃を保持して10時間攪拌した後、冷却し、難燃性重合体(F1)の40重量%溶液を得た。GPCで分析したポリエチレンオキシド標準の重量平均分子量は31,000であった。
【0095】
[合成例4](難燃剤(A3)の合成)
合成例2のHCAをジフェニルホスファイトに、4−ヒドロキシブチルアクリレートを2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代え、合成例1と同様の方法で式(20)と式(21)の化合物の混合物を得た。構造はLC−NMRにより決定される。




【0096】
[実施例1]
難燃剤(A1)、(メタ)アクリレート(C)としてリポキシHFA−6127(商品名;昭和高分子(株)製;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとHCAとの付加反応物(式(14)の化合物)と4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下、「4HBA」という)、光重合開始剤(D)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド[(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)DAROCUR(商品名)TPO;以下、「TPO」という]、および、重合禁止剤としてフェノチアジンを下記組成にて混合溶解し、孔径1μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、光硬化性インクジェット用インク1を調製した。この粘度は132mPa・sであった。粘度はE型粘度計(商品名;VISCONIC END(株)東京計器製)を使用して25℃で測定した(以下同じ)。
【0097】
難燃剤(A1) 5.00g
HFA−6127 5.00g
4HBA 10.00g
TPO 0.50g
フェノチアジン 0.01g
【0098】
この光硬化性インクジェット用インク1をインクジェットカートリッジに注入し、インクジェット装置DMP−2811(商品名、Dimatix社製)に装着し、ポリイミドフィルムであるカプトン(登録商標)(商品名、東レ・デュポン(株)製、150μm厚、Hタイプ;以下、「カプトン基板」という)上に描画した。このとき、ラインの幅を200μm、ライン間のスペースの幅を200μmとなるように描画条件を設定した。塗布回数は1回で、ラインの長さは50mm、ノズルからのジェッティング速度は10回/s、ジェッティング温度は75℃とした。
【0099】
描画後の基板に、波長365nmの紫外線を30mJ/cm照射後、200℃で30分間焼成し、ライン&スペースパターンを形成したカプトン基板1を得た。この基板1を顕微鏡で観察したところ、ラインの直線性は良好であり、インクジェット塗布に適したインクであることを確認した。
【0100】
次にこの光硬化性インクジェット用インク1を、幅13mm、長さ125mmの型枠に厚さ5mmとなるように流し込み、波長365nmの紫外線30mJ/cmを20回照射して固めた後、型枠を外して200℃で30分間焼成し、燃焼試験用サンプル1を作成した。この燃焼試験用サンプル1にライターの炎を近づけたところ、炎が接触している間は燃焼しているが、炎を離すと約1秒後に消炎した。したがって難燃性を有していることが確認された。
【0101】
[比較例1]
HFA−6127、4HBA、TPO、およびフェノチアジンを下記組成にて混合溶解し、孔径1μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、光硬化性インクジェット用インク2を調製した。この粘度は125mPa・sであった。
【0102】
HFA−6127 10.00g
4HBA 10.00g
TPO 0.50g
フェノチアジン 0.01g
【0103】
この光硬化性インクジェット用インク2を用いて、実施例1と同様の塗布、露光、焼成を行ったカプトン基板2を得た。この基板2を顕微鏡で観察したところ、ラインの直線性は良好であり、インクジェット塗布に適したインクであることを確認した。
【0104】
次にこの光硬化性インクジェット用インク2を用いて、実施例1と同様の燃焼試験用サンプル2を作成した。この燃焼試験用サンプル2にライターの炎を近づけたところ、炎が接触している間は大きな炎を上げて燃焼し、炎を離しても燃焼し続けた。したがって難燃性を有していないことが確認された。
【0105】
[実施例2]
難燃性重合体(F1)の40重量%溶液、エポキシ樹脂(B)としてエピコート1004(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポキシ硬化剤としてトリメリット酸無水物を下記組成にて混合溶解し、孔径1μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、熱硬化性組成物1を調製した。この粘度は5.2Pa・sであった。
【0106】
難燃性重合体(F1)の40重量%溶液 10.00g
エピコート1004 4.00g
トリメリット酸無水物 1.00g
【0107】
この熱硬化性組成物1を、幅13mm、長さ125mmの型枠に厚さ5mmとなるように流し込み、220℃で30分焼成して固めた後、型枠を外して燃焼試験用サンプル3を作成した。この燃焼試験用サンプル3にライターの炎を近づけたところ、炎が接触している間は燃焼しているが、炎を離すと約1秒後に消炎した。したがって難燃性を有していることが確認された。
【0108】
[比較例2]
溶媒としてガンマブチロラクトン、エポキシ樹脂としてエピコート1004(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、エポキシ硬化剤としてトリメリット酸無水物を下記組成にて混合溶解し、0.2μmのフッ素樹脂製のメンブレンフィルターでろ過し、熱硬化性組成物2を調製した。この粘度は2.8Pa・sであった。
【0109】
ガンマブチロラクトン 7.00g
エピコート1004 6.00g
トリメリット酸無水物 2.00g
【0110】
次にこの熱硬化性組成物2を用いて、実施例2と同様の燃焼試験用サンプル4を作成した。この燃焼試験用サンプル4にライターの炎を近づけたところ、炎が接触している間は大きな炎を上げて燃焼し、炎を離しても燃焼し続けた。したがって難燃性を有していないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の難燃剤、およびそれを用いた硬化性組成物から形成される硬化膜は難燃性が良好であるため、例えば、電子回路基板に使用されるエッチングレジストや保護膜あるいは絶縁膜に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)、(2)、または(3)で表される化合物。







(式中、Rは水素、またはメチルであり、Rは炭素数2〜20のアルキレンであり、R3はメチレンであり、R4およびR5は独立して、炭素数1〜20のアルキル、フェニル、任意の水素が炭素数1〜5のアルキルで置き換えられたフェニル、または任意の水素がフェニルで置き換えられたフェニルであり、R4とR5が一体となって環状基を形成してもよく、mは1〜30の整数であり、n、pおよびqは独立して、0または1である。)
【請求項2】
式(4)、(5)、または(6)で表される化合物。







(式中、Rは水素、またはメチルであり、Rは炭素数2〜20のアルキレンであり、R3はメチレンであり、mは1〜30の整数であり、nは0または1である。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)を20〜100重量%含有するラジカル重合性モノマーの混合物を重合して得られる難燃性重合体(F)。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)および請求項3に記載の難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)を含有する熱硬化性組成物
【請求項5】
インクジェット用インクである、請求項4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
スクリーン印刷用インクである、請求項4に記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の化合物から選ばれる難燃剤(A)および請求項3に記載の難燃性重合体(F)から選ばれる1つ以上と、(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)を含有する光硬化性組成物。
【請求項8】
インクジェット用インクである、請求項7に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
スクリーン印刷用インクである、請求項7に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
オキシランまたはオキセタンを2つ以上有する化合物(B)が式(7)、(8)、(9)、または(10)である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。



(式(7)中、nは0〜10の整数である。)
【請求項11】
(メタ)アクリレート(C)が式(11)、(12)、(13)および(14)から選ばれる1つ以上である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。



(式(11)中、a、b、cはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(11−1)で表される基であり、s個は式(11−2)で表される基であり、rは0〜2の整数であり、sは1〜3の整数であり、r+sは3であり、R1は水素またはメチルである)



(式(12)中、a、b、cはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(12−1)で表される基であり、s個は式(12−2)で表される基であり、rは0〜2の整数であり、sは1〜3の整数であり、r+sは3であり、R1は水素またはメチルである)



(式(13)中、a、b、c、dはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(13−1)で表される基であり、s個は式(13−2)で表される基であり、rは0〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、r+sは4であり、R1は水素またはメチルである)



(式(14)中、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立に0〜10の整数であり、Rのうちr個は式(14−1)で表される基であり、s個は式(14−2)で表される基であり、rは0〜5の整数であり、sは1〜6の整数であり、r+sは6であり、R1は水素またはメチルである)
【請求項12】
さらに(メタ)アクリレート(C)を含有する、請求項4〜6、10のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリレート(C)が式(15)の化合物である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物、または請求項12に記載の熱硬化性組成物。



(式(15)中、R6は環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、R1は水素またはメチルであり、tは1〜30の整数である。)
【請求項14】
(メタ)アクリレート(C)が式(11)〜(14)から選ばれる1つ以上と式(15)の化合物の混合物である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物、または請求項12に記載の熱硬化性組成物。
【請求項15】
式(15)の化合物が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項13または14に記載の光硬化性組成物、または熱硬化性組成物。
【請求項16】
光重合開始剤(D)がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである、請求項7〜9、11、13〜15のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項17】
難燃剤(A)が式(4)におけるRが炭素数2〜4のアルキレンである化合物と、式(5)におけるRが炭素数2〜4のアルキレンである化合物の混合物であり、(メタ)アクリレート(C)が式(14)の化合物と式(15)の化合物の混合物である、請求項16に記載の光硬化性組成物。
【請求項18】
式(15)の化合物が、4−ヒドロキシブチルアクリレートである、請求項16または17に記載の光硬化性組成物。
【請求項19】
常圧における沸点が300℃以下の溶媒を含有しない、または常圧における沸点が300℃以下の溶媒の組成物全体に占める割合が10重量%以下である、請求項7〜9、11、13〜18のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項20】
常圧における沸点が300℃以下の溶媒を20〜70重量%含有する、請求項4〜6、10、12〜15のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
【請求項21】
常圧における沸点が300℃以下の溶媒がガンマブチロラクトンである請求項20に記載の熱硬化性組成物。
【請求項22】
請求項4〜6、10、12〜15、20、21のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物、または請求項7〜9、11、14〜19のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を用いて基板上に難燃性硬化膜が形成された電子回路基板。
【請求項23】
請求項22に記載された電子回路基板を有する電子部品。

【公開番号】特開2008−303260(P2008−303260A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149993(P2007−149993)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】