説明

難燃性軽量板材

【課題】軽量で、強度に優れ、環境負担が小さく、かつ耐腐食性の、そして建築用材料、産業用軽量板材、更にはその他の種々の用途の構造材用に好適する難燃性軽量板材を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物が含浸、硬化されたハニカムコア材の少なくとも片面に難燃性の外装板材を貼着してなる軽量板材において、フェノール樹脂もしくは熱硬化性樹脂組成物が、メチロール基を有する熱硬化性樹脂に、180℃以上の温度で水を分離する、含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物の少なくとも1種以上の物質を含む難燃性軽量板材を使用する。 難燃性軽量板材は、軽量で、強度に優れ、環境負担が小さく、耐腐食性、かつ製造容易であり、そして建築用材料、産業用軽量板材用等に好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性軽量板材に係り、特に、軽量で、強度に優れ、環境負担が小さく、かつ耐腐食性の、そして建築用材料、産業用軽量板材、更にはその他の種々の用途の構造材用に好適する難燃性軽量板材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軽量板材は、アルミニウム製や紙製のハニカム、あるいはポリウレタン又はポリスチレン等の樹脂発泡体を芯材として、その表面に接着剤により金属薄板や樹脂被覆金属板等、を表面材として接着したものであった。例えば、ハニカムコアの表裏両面に、ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤などの接着剤を用いて繊維強化熱可塑性樹脂シートを貼り合わせたコンクリート型枠用板体(例えば、特許文献1。)、及びハニカム構造を有する芯材の両面に樹脂が溶融可能な繊維強化型の熱可塑性樹脂板を配置し、これを外側から、樹脂板を芯材に押しつけるように熱板で挟みつけることにより、溶融した樹脂を芯材の繊維または多孔質部分に浸透させて積層体と芯材とを一体化してなる積層成形品(例えば、特許文献2。)が挙げられる。
【特許文献1】特許平7−233630号公報
【特許文献2】特許平7−88988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような、各種の発泡体を内部構造材に用いたり、紙製のハニカムコア材を用いる軽量板材では、十分な構造強度が得られず、また、アルミ製のハニカムを内部に用いる軽量板材では、長期的に見ると金属腐食の問題がある。さらに、紙とフェノール樹脂を組み合わせたハニカムコア材は、燃焼性を有するという難点もある。
【0004】
本発明はかかる従来の問題点を解決すべくなされたもので、特に、軽量で、強度に優れ、環境負担が小さく、かつ耐腐食性の、そして建築用材料、産業用軽量板材、更にはその他の種々の用途の構造材用に好適する難燃性軽量板材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の難燃性軽量板材は、熱硬化性樹脂組成物が含浸、硬化されたハニカムコア材の少なくとも片面に難燃性の外装板材を貼着してなる軽量板材において、熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂もしくはメチロール基を有する熱硬化性樹脂に、180℃以上の温度で水を分離する、含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物の少なくとも1種以上の物質を含むことを特徴としている。
【0006】
本発明のハニカムコア材は、紙、又はプラスチック、不織布、等のハニカムコア材を形成できる材質の原料を使用することができる。これらの材料から、当業者に公知の通常のハニカムコア材の形成方法を用いてハニカムコア材を形成することができる。
【0007】
これらのうち、紙からなる原料を用いたハニカムコア材を使用することが好ましい。紙からなる原料としては、ハニカムコア材が形成された後に含浸もしくは樹脂被覆の可能な紙であれば種類を問わないが、例えば、下級印刷紙、未塗工紙、コート紙、アート紙、工業用雑種紙、板紙、ダンボール紙、クラフト紙などが挙げられる。なお、このハニカムコア材は、古紙を原料として製造することもできる。この場合は、古紙を水と攪拌してパルプ化したものに添加剤、例えばサイズ剤、紙力増強剤を加え、製造される。
【0008】
尚、本発明において、ハニカムコア材の空隙の断面形状は、図1の難燃性軽量板材の円中に示されるような六角形が連続した断面形状、いわゆるハニカム構造の他に、正方形、菱形、三角形、円形等が連続した断面形状を有するものを全て含むものである。
【0009】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂組成物は、フェノール樹脂もしくはメチロール基を有する熱硬化性樹脂並びに含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物の少なくとも1種以上の物質を含む。
【0010】
メチロール基を有する熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、レゾール型フェノール樹脂、メチロール化フェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。具体的には、レゾール型フェノール樹脂としては、例えば昭和高分子株式会社製BRM−470を、そしてレゾール型フェノールアラルキル樹脂としては、例えば昭和化成株式会社製MEP−7200、等を挙げることができる。
【0011】
これらのうちメチロール基を有する熱硬化性フェノール樹脂及びメチロール化フェノールアラルキル樹脂が好ましく、レゾール型フェノールアラルキル樹脂が最も好ましい。
【0012】
本発明のメチロール基を有する熱硬化性樹脂は、ハニカムコア材に含浸、硬化されるが、ハニカムコア材100重量部あたり、10重量部〜80重量部含浸されることが好ましく、15重量%〜50重量%含浸されることがより好ましい。
【0013】
本発明の含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物からなる群から選択される1種以上の物質(以下「水放出性物質」という。)は、例えば180℃以上の温度で水を分離する。
【0014】
本発明に用いられる含水鉱物としては、緑泥岩、蛇紋岩、含水ケイ酸塩、角閃石、雲母、ドーソナイト、ハイドロタルサイト等の含水鉱物、等を挙げることができる。
【0015】
本発明に用いられる金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。例えば、昭和興産株式会社製の天然水酸化マグネシウム系難燃剤MG−2が挙げられる。また、水酸化アルミニウムとしては、巴工業株式会社製のB−30、B−325、B−315、B−303、UFH−20、NOC−30、NOC−30F、NOC−308、水酸化マグネシウムとしては、宇部マテリアルズ株式会社製の、UD−65、UD−650、UD−653、タテホ化学工業株式会社製のZ−10、#20、#5、#4、#2等が挙げられる。
【0016】
なお、本発明の金属水酸化物は、金属酸化物の水和物も包含するものである。これらの金属水酸化物は、その組成中に、複数の金属元素を含むことができる。例えば、カルシウム・アルミネート水和物(3CaO・Al・6HO)が挙げられる。これらのうち、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好適である。
【0017】
また、本発明に用いられる金属化合物の水和物としては、ミョウバン、硫酸ニッケル水和物等を挙げることができる。
本発明の水和物における水は、例えば、結晶水、配位水、格子水、ゼオライト水等のいずれの種類の水であってもよい。
【0018】
これらの含水鉱物、金属水酸化物又は金属化合物の水和物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物のうち、金属水酸化物が好ましい。
【0019】
本発明の水放出性物質は、180℃以上の温度で、好ましくは200℃以上の温度で、より好ましくは220℃以上の温度で、水を放出する。
高い耐熱性が要求される用途においては、これらの水放出性物質、即ち、含水鉱物、金属水酸化物又は金属化合物の水和物の表面を処理して、分解温度を、例えば220℃以上に高めることができる。
【0020】
本発明の水放出性物質(含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物)の、平均粒子径は、40μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がより一層好ましく、0.5〜1μmが最も好ましい。
【0021】
本発明の水放出性物質は、本発明のハニカムコア材のいずれに存在していても良いが、ハニカムコア材の表面近傍に偏在(付着)していることが好ましい。この場合、水放出性物質を含有する熱硬化性樹脂がハニカムコア材の表面上に被膜層を形成することにより水放出性物質がハニカムコア材の表面近傍上に存在することがより好ましい。
【0022】
本発明に用いられる水放出性物質は、軽量化の面からは、少ない程好ましい。
また、難燃性、強度等を考慮すると、水放出性物質の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して2.5重量部〜50重量部であることが好ましく、5重量部〜30重量部であることがより好ましく、10重量部〜20重量部であることが最も好ましい。
【0023】
さらに、本発明のハニカムコア材の強度を上げるために、水放出性物質に加えて、各種の充填材を併用することも可能である。
本発明に用いることができる充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、炭化ケイ素繊維等の繊維状充填材や、マイカ、タルク、ウォラストナイト、焼成カオリン等の粉末状無機充填材が利用できる。これらの充填材を併用した場合には、水放出性物質のハニカムコア材への配合量を少なくすることが可能である。
【0024】
また、本発明に用いられる熱硬化性樹脂組成物(ワニス)は、ハニカムコア材100重量部に対して、10重量部〜70重量部配合(付着)されることが好ましく、20重量部〜45重量部配合されることがより好ましい。
【0025】
本発明に用いられる外装板材としては、難燃性、かつ環境負担の小さい板材が好ましく、例えば、ナイロン6、ナイロン66系のアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうち、フェノール樹脂からなる板材が好ましい。
【0026】
また、外装板材の強度上の点からは、これらの樹脂に加えて、ガラス繊維、ガラス短繊維、ガラス繊維布、アラミド繊維、アラミド短繊維、アラミド繊維布、フェノール繊維、フェノール短繊維、フェノール繊維布、等を組み合わせて使うことが好ましい。
なお、本発明のハニカムコア材含浸用の水放出性物質を含むワニスと上記の繊維成分を組み合わせて外装板材を形成することもできる。
【0027】
これらの外装板材の厚さ(mm)と重量(g/m)は、その用途に応じて任意に選択することができるが、本発明の難燃性軽量板材の軽量化を考慮すると、その厚さは、0.1mm〜1mmが好ましい。また、その重量は、200g/m〜1000g/mが好ましい。
【0028】
本発明のハニカムコア材と外装板材との貼着に用いられる接着剤は、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤等の接着剤を挙げることができる。これらのうち、エポキシ系接着剤が、強度、耐水性の面から好ましい。また、外装板材の未硬化プリプレグを用いて無接着剤で接合することも可能である。
【0029】
次に本発明の難燃性軽量板材の製造方法を、例を挙げて説明する。
図1は、本発明の一態様である難燃性軽量板材を示す外観図である。図1の円中は、難燃性軽量板材の内部構造、即ち、水放出性物質を含有する熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させたハニカムコア材1を表す。まず、水放出性物質を含有する熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させたハニカムコア材1を製造する為に、ハニカムコア材への含浸用のワニス(熱硬化性樹脂組成物)を調製する。含浸用のワニスは、例えば、メチロール化アラルキルフェノール樹脂を溶剤であるメタノールに溶解し、さらに、例えば水酸化マグネシウムの粉末を加えて、攪拌することにより調製できる。含浸用のワニスの調製の後、ハニカムコア材を、含浸用ワニスを攪拌しながら含浸用ワニスへ浸漬させた後、引き上げてハニカムコア材1の表面に水酸化マグネシウム粉末が分散したワニス層を付着させる。その後、このワニス含浸ハニカムコア材1を加熱硬化炉に投入し、硬化及び後硬化反応を進める。加熱硬化炉より取り出した難燃性のハニカムコア材1の両面に、ガラス−フェノール積層板(外装板材)2,3を、接着剤、例えばエポキシ系接着剤で接着して本発明の環境負担の小さい難燃性軽量板材を製造することができる。
【0030】
なお、接着の際に、難燃性のハニカムコア材1の両面の凹凸により十分な接着力が出ない場合には、両面を平坦化するために表面を水平に切削(カット)してから接着を行うことが好ましい。
【0031】
また、本発明のハニカムコア材1は、常にその両面に外装板材2,3を設ける必要はなく、用途や要求される強度などに応じて、ハニカムコア材の片面のみに外装板材2を設けるようにしてもよい。
【0032】
本発明に係る難燃性軽量板材は、ハニカムコア材の表面を、水放出性物質を含有する熱硬化性樹脂の被覆層が覆い、かつ、ハニカムコア材の両面に、難燃性の、例えばガラス・フェノール樹脂複合基板を表面板としてプレス成形されるので、難燃性ハニカムコア材(芯材)を燃えやすい紙原料を用いて製造することができる。
【0033】
本発明の難燃機構は、含水鉱物、金属水酸化物又は金属化合物中から高温にされた時に水が脱離する際の吸熱作用、又は発生する水蒸気による可燃性ガスの希釈、などによるものと考えられる。
【0034】
本発明の難燃性軽量板材の用途としては、例えば家具、又は天井材、床材、間仕切材等の建築用材料、その他一般産業用等、或いは、例えばスピーカー等の音響製品等に使用することができる。
【0035】
また、本発明の難燃性軽量板材は、ハロゲンガスを発生しない、環境負担が小さい軽量板材であるので、特に、環境対応型の難燃性軽量板材が必要とされる用途に適する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の難燃性軽量板材は、軽量で、難燃性であり、環境負担が小さく、耐腐食性の、電気絶縁性が良好で、低コストで製造容易であり、そして建築用材料、産業用軽量板材、更にはその他の種々の用途の構造材用に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0038】
紙製のハニカム構造のハニカムコア材(六角ハニカム・ハニカム長寸は約4mmx幅は約3mm、厚さ約6mm)を入手し、この同一の紙製のハニカムコア材を用いて、実施例1乃至実施例8及び比較例1乃至比較例3を実施した。
【0039】
まず、以下の配合量で混合し、含浸用のワニス(熱硬化性樹脂組成物)(a)〜(f)の調製をそれぞれ行った。
【0040】
ワニス(a):レゾール型アラルキルフェノール樹脂 200重量部
(明和化成株式会社製、品番:MEP−7200)
メタノール 800重量部
水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、 15重量部
品番:キスマ5A)
【0041】
ワニス(b):レゾール型フェノール樹脂 200重量部
(昭和高分子株式会社製、品番:BRM−470)
メタノール 800重量部
水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、 15重量部
品番:キスマ5A)
【0042】
ワニス(c):ノボラック型フェノール樹脂 200重量部
(昭和高分子株式会社製、品番:BRM−592A)
メタノール 800重量部
水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、 15重量部
品番:キスマ5A)
【0043】
ワニス(d):レゾール型フェノール樹脂 200重量部
(昭和高分子株式会社製、品番:BRM−470)
メタノール 800重量部
水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、 50重量部
品番:キスマ5A)
【0044】
ワニス(e):レゾール型フェノール樹脂 200重量部
(昭和高分子株式会社製、品番:BRM−470)
メタノール 800重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、 15重量部
品番:ハイジライトH−42M)
【0045】
ワニス(f):レゾール型フェノール樹脂 200重量部
(昭和高分子株式会社製、品番:BRM−470)
メタノール 800重量部
【0046】
次に外装板材(a)〜(e)を準備した。
【0047】
外装板材(a):ガラス繊維布強化タイプのフェノールアラルキル樹脂製積層板
(繊維布2プライ、厚さ0.2mm)の難燃性外装板材。
【0048】
外装板材(b):ガラス繊維布強化タイプのフェノールノボラック樹脂製積層板
(繊維布2プライ、厚さ0.2mm)の難燃性外装板材。
【0049】
外装板材(c):ガラス繊維布強化タイプのレゾールフェノール樹脂製積層板
(繊維布2プライ、厚さ0.2mm)の難燃性外装板材。
【0050】
外装板材(d):ガラス繊維布強化タイプのノボラックエポキシ樹脂製積層板
(繊維布2プライ、厚さ0.2mm)の難燃性外装板材。
【0051】
外装板材(e):紙強化タイプのレゾールフェノール樹脂製積層板
(繊維布2プライ、厚さ1mm)の難燃性外装板材。
【0052】
(実施例1)
紙製のハニカム構造のハニカムコア材(六角ハニカム・ハニカム長寸は約4mmx幅は約3mm、厚さ約6mm)をワニス(a)に3分間浸漬の後、175℃で、2時間硬化させた。硬化後にカッターでハニカムコア材の両面を平滑にし、外装板材(a)を両面からエポキシ接着剤で接着して、環境負担の小さい難燃性の軽量板材を作成した。この軽量板材の作成の後、難燃性、曲げ強度及び重量について試験を行い、その性能を確認した。
【0053】
(実施例2〜8)
実施例1と同様に、下記の表1に記載のワニス、水放出性物質及び外装板材等の組み合わせで、軽量板材を作成した。
【表1】

【0054】
これらの軽量板材についても同様に、難燃性、曲げ強度及び重量について試験を行い、その性能を確認した。これらの結果を表2に示す。
【表2】

:燃焼試験は、UL94燃焼性試験に準じて、切断端面を試験した。
:曲げ強度は、JIS6911に従って測定した。
【0055】
(比較例1)
紙製のハニカム構造のハニカムコア材(六角ハニカム・ハニカム長寸法は約4mmx幅は約3mm、厚さ約6mm)をワニス(f)に3分間浸漬した後、175℃で2時間硬化させた。硬化後にカッターでハニカムコア材の両面を平滑にし、外装板材(a)を両面からエポキシ接着剤で接着して、環境負荷の小さい難燃性の軽量板材を作成した。この軽量板材について、難燃性、曲げ強度及び重量について試験を行い、その性能を確認した。その結果を表2に示す。
【0056】
(比較例2〜3)
比較例1と同様に、表1に記載のワニス、水放出性物質及び外装板材等の組み合わせで、軽量板材を作成した。これらの軽量板材についても同様に、難燃性、曲げ強度及び重量について試験を行い、その性能を確認した。その結果を表2に示す。
【0057】
この結果より、本発明の難燃性軽量板材は、難燃性を得るためのハロゲンガスを発生しない環境対応タイプの軽量板材であり、難燃性軽量板材が、高い製造効率且つ低コストで、製造できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一態様である難燃性軽量板材を示す外観図である。
【符号の説明】
【0059】
1…ハニカムコア材、2…外装板材、3…外装板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂組成物が含浸、硬化されたハニカムコア材の少なくとも片面に難燃性の外装板材を貼着してなる軽量板材において、
前記熱硬化性樹脂組成物が、フェノール樹脂もしくはメチロール基を有する熱硬化性樹脂に、180℃以上の温度で水を分離する、含水鉱物、金属水酸化物及び金属化合物の水和物の少なくとも1種以上の物質を含むことを特徴とする難燃性軽量板材。
【請求項2】
前記ハニカムコア材が、紙からなる部材であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性軽量板材。
【請求項3】
前記メチロール基を有する熱硬化性樹脂が、メチロール基を有するアラルキルフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃性軽量板材。
【請求項4】
前記外装板材が、メチロール基を有する熱硬化性樹脂をバインダー樹脂とする無機繊維強化型の強化板であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性軽量板材。
【請求項5】
前記180℃以上の温度で水を分離する物質の配合量が、前記メチロール基を有する熱硬化性樹脂100重量部に対して2.5重量部〜50重量部であることを特徴とする請求項1記載の難燃性軽量板材。

【図1】
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【公開番号】特開2007−8002(P2007−8002A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191740(P2005−191740)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】