雪上用歩行具
【課題】クランポンが配設された部分を歩行具本体から取外すことができ、コンパクトに携帯することが可能な雪上用歩行具を提供する。
【解決手段】履物の底よりも大きな面積を有し、履物を装着した際に、履物の爪先側となる領域に開口部11が形成された歩行具本体10と、開口部11内に位置し、歩行具本体10に着脱可能に配設される着脱部材50を備え、着脱部材50の履物を装着する面とは反対側の面に、略接地方向に突出するクランポンと、歩行具本体10に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部25A、25Bが形成されてなり、係合部25A、25Bは、着脱部材50が所定角度で回転した際に、歩行具本体10との係合を解除して、着脱部材50を歩行具本体10から取外す雪上用歩行具1である。
【解決手段】履物の底よりも大きな面積を有し、履物を装着した際に、履物の爪先側となる領域に開口部11が形成された歩行具本体10と、開口部11内に位置し、歩行具本体10に着脱可能に配設される着脱部材50を備え、着脱部材50の履物を装着する面とは反対側の面に、略接地方向に突出するクランポンと、歩行具本体10に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部25A、25Bが形成されてなり、係合部25A、25Bは、着脱部材50が所定角度で回転した際に、歩行具本体10との係合を解除して、着脱部材50を歩行具本体10から取外す雪上用歩行具1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴等の履物に装着し、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上を歩行するための雪上用歩行具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上を歩いて移動するための雪上用歩行具として、「かんじき」と呼ばれるものが使用されている。このかんじきは、深雪時に着用者の体重を分散させ、且つ雪からの浮力を得ることで、雪中への沈み込みを軽減させて歩行を容易にする歩行具であるが、実際の雪山は深雪のみではなく、凍結した斜面等もあり、このような凍結面を安全に歩行するには、アイゼンに履き替える必要がある。したがって、実際には、かんじきとアイゼンの両方を携帯する必要があり、荷物が増えて面倒であった。
【0003】
そこで、近年では、かんじきよりも雪面の上を楽に歩行することが可能な雪上用歩行具として、「スノーシュー」(西洋かんじき)と呼ばれるものも使用されている。このスノーシューには、着用者が装着した際に雪面に向けられる面(以下、「裏面」という)に、滑り止め用の爪(クランポン)が配設されたものがあり、部分的に凍結状態の場所を通過する際に、例えば、アイゼンに履き替えることなく、スノーシューを靴に装着したままの状態で歩行することができるようになっている。
【0004】
このような雪上用歩行具(スノーシュー)としては、例えば、雪面上を歩行する際に靴に装着する本体部と、前記靴の爪先部分に対応する位置の、前記本体部の雪面側に突出して設けられた第1のクランポンと、前記靴の踵部分に対応する位置の、前記本体部の雪面側に突出して設けられた第2のクランポンと、前記本体部の両側部の雪面側にそれぞれ突出して設けられ、前記第1のクランポンおよび前記第2のクランポンよりも大きな爪部を有する複数の第3のクランポンとを備えたものが紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、靴の靴底よりも大きな面積を有するとともに、金属の一枚板からなるフレーム、該フレームの表面側に前記靴を固定するための固定手段、前記フレームの裏面側から下方に向けて設けられた滑り止め用の爪を備えた雪上用歩行具も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−125712号公報
【特許文献2】特開2003−125808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記クランポンが配設された従来の雪上用歩行具は、クランポンが雪上用歩行具の裏面に固定されており、また、前記裏面とは反対側の面(以下、「表面」という)には、雪上用歩行具に靴を固定するストラップ等も配設されているため、全体的に嵩張る構造となっている。したがって、携帯に不便であり、例えば、左足用と右足用をコンパクトに重ねて携帯したり、収納しておくことも困難である。
【0007】
また、急斜面等が凍結している状況では、従来の雪上用歩行具の本体部(デッキ部分)が滑る要因となるため、スノーシューを装着せずにアイゼン(クランポン)だけで歩行することが一般的である。しかしながら、従来の雪上用歩行具は、クランポンが裏面に固定されているため、クランポンと本体部(デッキ部分)とを分離することができないため、前記雪上用歩行具の他に、別途アイゼンを携帯する必要があり、面倒である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、クランポンが配設された部分を歩行具本体から取外すことができ、コンパクトに携帯したり、収納しておくことが可能であると共に、前記取外した部分をアイゼンとして独立して使用することが可能な雪上用歩行具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、雪の中に履物が埋没するのを防止するための雪上歩行具であって、前記履物の底よりも大きな面積を有すると共に、前記履物を装着した際に、当該履物の爪先側となる領域に開口部が形成されてなる歩行具本体と、前記歩行具本体の開口部内に位置すると共に、前記歩行具本体に着脱可能に配設される着脱部材と、を備えてなり、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面には、略接地方向に突出するクランポンと、前記歩行具本体に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部が形成されてなり、当該係合部は、前記着脱部材が所定角度で回転した際に、当該歩行具本体との係合を解除して、当該着脱部材を前記歩行具本体から取外す雪上用歩行具を提供するものである。
【0010】
この構成を備えた雪上用歩行具は、嵩張りの要因となるクランポンが配設された着脱部材を、歩行具本体から取外すことができるため、歩行具本体を嵩張ることなくコンパクトに携帯したり、収納したりすることができる。したがって、雪上用歩行具を携帯する際に、例えば、右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを重ねても、嵩張ることがなくコンパクトに携帯、収納することができる。また、歩行具本体と着脱部材とを分離することで、雪上用歩行具の重量を分散することができる。したがって、例えば、雪上用歩行具を携帯した状態でスキー等により滑走する際には、重い着脱部材を着用者の体側にし、軽い歩行具本体をザック等の外側に装着することができ、遠心力の影響等を受けることを抑制し、滑走時の安定感を向上することができる。また、取外した着脱部材は、アイゼンとして独立して使用することもできる。したがって、雪上用歩行具の他に別途アイゼンを携帯する必要がなく便利である。なお、雪上用歩行具は、右足用と左足用が同じ形状であってもよいし、それぞれ左右対称な形状であってもよく、この点については、特に限定されるものではない。
【0011】
また、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記歩行具本体が、該歩行具本体の幅方向に対し略水平方向に延びると共に、前記開口部に跨って配設され、且つ前記着脱部材を回動可能に支持する支軸を有し、当該支軸に、前記係合部が回動可能且つ着脱可能に係合する被係合部が形成された構成を有することができる。この構成を備えた雪上用歩行具は、前記着脱部材が、前記支軸を支点として、歩行具本体の爪先側を左側に見て時計方向及び反時計方向に回動することができる。ここで、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記着脱部材が位置する開口部が、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、当該履物の爪先側が位置する領域に形成されており、当該履物の踵側は、前記開口部よりも後側に位置することになる。したがって、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、必要以上に時計方向に回動する(すなわち、着脱部材の踵側が接地面側に必要以上に移動するように、着脱部材が回動してしまう)ことがなく、前記利点に加え、安定した歩行を行うことができる。
【0012】
そしてまた、本発明にかかる雪上用歩行具は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパを、前記歩行具本体に設けることができる。このように構成することで、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、必要以上に反時計方向に回動する(すなわち、着脱部材の爪先側が接地面側に必要以上に移動するように、着脱部材が回動してしまう)ことがなく、前記利点に加え、さらに安定した歩行を行うことができる。また、前記着脱部材が回転しすぎて、当該着脱部材の先端が着用者の脛にぶつかることも防止することができる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる雪上用歩行具は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が、時計方向に回動し、当該着脱部材が時計方向に所定角度で回動した際に、前記係合部と前記被係合部との係合が解除可能となるよう構成することができる。このように構成することで、前記利点に加え、前記着脱部材は、雪上用歩行具に履物が装着されている際には、歩行具本体から取外されることがなく、歩行中に不意に着脱部材が外れることを防止することができる。また、この構成の場合、前記係合部は、前記支軸を回動可能に支持する支持孔と、当該支持孔に連通して形成された切欠きを有してなり、前記被係合部は、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円からなり、当該略長円の短軸は、前記切欠きを画定する側壁間の距離の最小値よりも短く形成されてなり、前記着脱部材が、爪先側を左側に見て、時計方向に所定の回転角度で回動した際に、前記略長円の短軸と前記切欠きを画定する側壁面とが略平行となり、前記被係合部が当該切欠きを介して前記支持孔から取外され、前記係合を解除するよう構成することもできる。
【0014】
また、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記着脱部材の前記履物を装着する面に、当該履物を固定する固定部材を配設することができる。このように構成することで、歩行具本体から着脱部材を取外した際に、履物を固定する固定部材も一緒に取外されることになるため、さらに右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを嵩張ることなくコンパクトに携帯したり、収納したりすることができる。また、歩行具本体から取外された着脱部材を、アイゼンとして独立して使用することもできる。
【0015】
そしてまた、前記係合部は、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面から略接地方向に突出形成されたクランポンに形成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる雪上用歩行具は、クランポンが配設された着脱部材を歩行具本体から取外すことができるため、歩行具本体を嵩張ることなくコンパクトに携帯、収納することができる。したがって、例えば、右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを重ねた状態で携帯してスキー等で滑走する場合であっても、滑走の邪魔になることを防止することができる。また、歩行具本体から着脱部材を取外すことで、雪上用歩行具の重量を分散することができ、例えば、雪上用歩行具を携帯した状態でスキー等により滑走する際に、遠心力の影響等を受けることを抑制することができ、滑走時の安定感を向上することができる。さらにまた、取外した着脱部材は、アイゼンとして独立して使用することもできる結果、雪上用歩行具の他に別途アイゼンを携帯する必要がなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる雪上用歩行具について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0018】
なお、雪上用歩行具は、左右の足に装着するため、2つで一対となるが、本実施の形態では、片方の構造を例にとって説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の斜視図、図2は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の平面図、図3は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図、図4は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図であって、歩行具本体から着脱部材を取外した状態を示す図、図5は、図4に示す雪上用歩行具の一部を拡大して示す図、図6は、歩行具本体と着脱部材との関係を、図2に示すVI−VI線に沿った断面図として示す模式図、図7は、着脱部材の側面図であって、ストラップを取除いた状態の図、図8は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図、図9は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図10は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具を斜め下方から見た状態の一部を拡大斜視図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図11は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図12は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図、図13は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図、図14は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具に靴を装着させた状態の側面図である。
【0020】
なお、本実施の形態では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、本実施の形態では、雪上用歩行具に履物を装着した際に、当該履物の爪先が向く方向を「前」、踵が向く方向を「後」とし、この前後方向に略垂直な方向を「幅方向」、履物が装着される側を「表」、接地側を「裏」として記載した。そしてまた、「時計方向」、「反時計方向」とは、雪上用歩行具の爪先側を左にして置いた状態での方向として記載した。
【0021】
図1〜図14に示すように、本実施の形態にかかる雪上用歩行具1は、履物としての靴100の底よりも大きなサイズの表裏面を有する歩行具本体10と、歩行具本体10に着脱可能に取付けられる着脱部材50を備えて構成されている。
【0022】
歩行具本体10は、前側に形成された開口部11を有するデッキ部12と、デッキ部12の外周に設けられ、歩行具本体10の外枠を形成するフレーム部13を備えている。デッキ部12に形成された開口部11は、雪上用歩行具1に靴100を装着した際に、靴100の爪先が置かれる位置よりも前側まで開口されている。一方、開口部11の後側は、雪上用歩行具1に靴100を装着した際に、靴100の踵部分が置かれる位置よりも前側に位置しており、したがって、靴100の踵部分は、デッキ部12の表面に載置されることになる。また、デッキ部12の表面の後部には、靴100の踵部分が載置されるヒール載置部14が設けられている。そしてまた、デッキ部12の裏面の後部には、滑り止め用の爪であるヒールクランポン15が設けられている。
【0023】
フレーム部13には、開口部11に跨って幅方向に延びる略円柱状の支軸21が配設されている。この支軸21は、特に図4に示すように、開口部11の前後方向略中央に位置しており、後に詳述する着脱部材50を回転可能に支持するものである。この支軸21の両端には、後に詳述する着脱部材50に形成された係合部55A及び55Bが各々係合するための被係合部25A及び25Bが形成されている。
【0024】
被係合部25A及び25Bは、特に図6、図12及び図13に示すように、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円となっている。すなわち、前記略長円の短軸と略垂直に位置する両側部分が、平面部31A(31B)及び32A(32B)となっており、長軸の両側に位置する面(平面部31A(31B)及び32A(32B)とを結ぶ面)が、湾曲面33A(33B)及び34A(34B)となっている。また、図12(A)に示すように、前記短軸の長さLS(すなわち、平面部31A(31B)と平面部32A(32B)との間の距離)は、後に詳述する係合部55A及び55Bに形成された切欠き58A及び58Bを画定する側壁間の距離の最小値W(図12(A)参照)よりも短く形成されており、長軸の長さLL(すなわち、湾曲面33A(33B)の頂点と湾曲面34A(34B)の頂点との間の距離)は、最小値Wよりも長く形成されている。
【0025】
また、フレーム部13の支軸21が配設された位置よりも前側には、後に詳述する着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパ26A及び26Bが各々配設されている。
【0026】
なお、本実施の形態では、支軸21とストッパ26A及び26Bは、一体的に形成されており、固定ベルト27A及び27Bによってフレーム部13に固定されている。また、これらの固定ベルト27A及び27Bは、デッキ部12にも固定されている。
【0027】
着脱部材50は、開口部11内に収容されるサイズの表裏面を有するベース部60を備えている。ベース部60の裏面の前端には、略接地方向に突出する第1のフロントクランポン51が形成され、後端には、略接地方向に突出する第2のフロントクランポン52が形成されている。また、ベース部60の裏面の後端側には、幅方向両側に第3のフロントクランポン53A及び53Bが形成されている。
【0028】
ベース部60の裏面であって、第1のフロントクランポン51と、第3のフロントクランポン53A及び53Bとの間に位置する幅方向両側には、係合部55A及び55Bが形成されている。これらの係合部55A及び55Bは、略接地方向に突出した状態で配設されており、その先端がクランポンの役割を果たす形状となっている。係合部55A及び55Bの略中央部分には、支軸21の被係合部25A及び25Bが各々挿入される支持孔56A及び56Bが形成されており、これらの支持孔56A及び56Bは、切欠き58A及び58Bが連通形成されている。
【0029】
切欠き58A及び58Bは、これらを画定する側壁間の最小値W(図12(A)参照)が、前述した被係合部25A及び25Bの短軸の長さLS(図12(A)参照)よりも長く形成され、長軸の長さLL(図12(A)参照)よりも短く形成されている。したがって、後に詳述するが、係合部55A及び55Bは、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58Aを画定する側壁面とが略平行となり、前記短軸と切欠き58Bを画定する側壁面とが略平行となった際に、被係合部25A及び25Bが、切欠き58A及び58Bを各々介して、支持孔56A及び56B内に各々挿入される、あるいは、支持孔56A及び56B内から切欠き58A及び58Bを介して各々取外されることになる。(図13(A)及び(B)参照)。
【0030】
なお、切欠き58A及び58Bは、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、時計方向に所定角度で回転した際に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行となる位置に形成されている。(図11及び図13(A)参照)。また、これらの切欠き58A及び58Bは、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に回動し、ストッパ26A及び26Bに当接するまでの間に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行にならない位置に形成されているため、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に回動した際には、係合部55A及び55Bと、被係合部25A及び25Bとの係合が解除されることはない。(図9、図10及び図12(A)及び(B)参照)。
【0031】
また、ベース部60の表面であって、前側の幅方向両側には、靴100の爪先部分を固定するストラップ71が取付けられており、後側の幅方向両側には、靴100の足首部分に巻き付けられて踵部分を固定するストラップ72が取付けられている。ストラップ71には、長さ調整具73が取付けられ、ストラップ72には、長さ調整具74及び75が取付けられており、靴100のサイズに合わせてストラップの71及び72の長さを調整可能となっている。
【0032】
なお、着脱部材50は、歩行具本体10から取外された際に、アイゼンとして、独立して使用することができる。
【0033】
次に、本実施の形態にかかる雪上用歩行具1の具体的動作について、図面を参照して説明する。
【0034】
歩行具本体10に着脱部材50が取付けられた状態の雪上用歩行具1を靴100に装着するには、先ず、長さ調整具73〜75により、ストラップ71及び72の長さを各々調整し、靴100の所定位置をストラップ71及び72で固定する。この雪上用歩行具1を装着した状態で、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上(凍結している面を含む場合もある)を歩行すると、着用者の体重を分散させ、且つ雪からの浮力を得ることで、雪中への沈み込みを軽減させて歩行を容易にすることができる。
【0035】
この歩行中は、図12(A)及び(B)に示すように、支持孔56A(56B)を画定する内壁に、被係合部25A(25B)の湾曲面33A及び33B(34A及び34B)が接触して回動するため、体重が靴100の爪先側にかかると、図9及び図10に示すように、爪先側を左側に見て、着脱部材50が支軸21を支点として反時計方向に所定角度で回動する。この時、着脱部材50が所定角度以上で回動しようとすると、ベース部60の裏面がストッパ26A及び26Bに当接し、歩行具本体10が、これ以上回動することが阻止される。したがって、係合部55A及び55Bと、被係合部25A及び25Bとの係合が解除されることがなく、着脱部材50が歩行具本体10から外れることがないと共に、より安全で快適な歩行を行うことができる。
【0036】
また、靴100の踵部分は、図14に示すように、開口部11の後側を超えてデッキ部12上に載置されているため、後側にかかる体重は、主にデッキ部12にかかることになる。このため、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、必要以上に時計方向に回動することを防止することができる。したがって、着脱部材50は、図12(A)及び(B)に示すように、歩行中に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行となる位置まで回動することがなく、歩行具本体10から取外されることはない。
【0037】
また、凍結している面を歩行する場合は、第1のフロントクランポン51、第2のフロントクランポン52、第3のフロントクランポン53A及び53B、ヒールクランポン15、及び係合部55A及び55Bの先端部が、滑り止めとなり、より安全で快適な歩行を行うことができる。
【0038】
次に、歩行具本体10から着脱部材50を取外す際は、先ず、長さ調整具73〜75により、ストラップ71及び72の長さを各々調整し、雪上用歩行具1から靴100を取外す。このように、雪上用歩行具1から靴100を取外すことで、爪先側を左側に見て、着脱部材50が時計方向に任意に回動可能となる。次いで、図11に示すように、爪先側を左側に見て、着脱部材50を時計方向に回転させると、図13(A)に示すように、係合部55A(55B)は、被係合部25A(25B)の短軸と、切欠き58A(58B)を画定する側壁面とが略平行となり、被係合部25A(25B)が、切欠き58A(58B)を介して、支持孔56A(56B)から取外される。(図13(B)参照)。このようにして、着脱部材50は、歩行具本体10から簡単に取外すことができる。
【0039】
ここで、靴100を固定するためのストラップ71及び72は、着脱部材50に取付けられているため、歩行具本体10から取外された着脱部材50をストラップ71及び72によって靴100に装着すれば、アイゼンとして使用することができる。
【0040】
歩行具本体10に着脱部材50を取付けるには、先ず、係合部55A(55B)に形成された切欠き58A(58B)を画定する側壁面と、被係合部25A(25B)の短軸とが略平行になるようにして、切欠き58A(58B)に被係合部25A(25B)を挿入し、次いで、支持孔56A(56B)に挿入すればよい。
【0041】
なお、本実施の形態では、両端をフレーム部13に固定した支軸21によって着脱部材50を回転可能に支持した場合について説明したが、これに限らず、着脱部材50は、歩行具本体10に着脱可能に配設されると共に、所定角度で回転した際に、歩行具本体10との係合を解除して、歩行具本体10から取外すことが可能であれば、片持ちの支軸等、他の部材を用いてもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、係合部55A(55B)と被係合部25A(25B)との係合を、切欠き58A(58B)を介して支持孔56A(56B)に被係合部25A(25B)を挿入することで行い、切欠き58A(58B)を介して支持孔56A(56B)から抜脱することで前記係合を解除する場合について説明したが、これに限らず、着脱部材50を所定角度で回転させた際に、歩行具本体10と着脱部材50との係合及び係合解除を行うことが可能であれば、他の構成を備えていてもよい。
【0043】
そしてまた、本実施の形態では、係合部55A(55B)の先端がクランポンの役割を果たすように構成した場合について説明したが、これに限らず、係合部55A(55B)は、必ずしもクランポンの役割を果たさなくてもよい。
【0044】
さらにまた、本実施の形態では、着脱部材50にストラップ71及び72を取付けることで、歩行具本体10から取外された着脱部材50をアイゼンとして使用可能とした場合について説明したが、これに限らず、ストラップ71及び72は、所望により、歩行具本体10に取付けてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、靴100を固定する固定部材として、ストラップ71及び72を配設した場合について説明したが、これに限らず、固定部材は、靴100を雪上用歩行具1に固定することが可能であれば、他の形状を有していてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図であって、歩行具本体から着脱部材を取外した状態を示す図である。
【図5】図4に示す雪上用歩行具の一部を拡大して示す図である。
【図6】歩行具本体と着脱部材との関係を、図2に示すVI−VI線に沿った断面図として示す模式図である。
【図7】着脱部材の側面図であって、ストラップを取除いた状態の図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具を斜め下方から見た状態の一部を拡大斜視図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具に靴を装着させた状態の側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 雪上用歩行具
10 歩行具本体
11 開口部
12 デッキ部
13 フレーム部
21 支軸
25A、25B 被係合部
26A、26B ストッパ
50 着脱部材
55A、55B 被係合部
60 ベース部
71、72 ストラップ
100 靴
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴等の履物に装着し、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上を歩行するための雪上用歩行具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上を歩いて移動するための雪上用歩行具として、「かんじき」と呼ばれるものが使用されている。このかんじきは、深雪時に着用者の体重を分散させ、且つ雪からの浮力を得ることで、雪中への沈み込みを軽減させて歩行を容易にする歩行具であるが、実際の雪山は深雪のみではなく、凍結した斜面等もあり、このような凍結面を安全に歩行するには、アイゼンに履き替える必要がある。したがって、実際には、かんじきとアイゼンの両方を携帯する必要があり、荷物が増えて面倒であった。
【0003】
そこで、近年では、かんじきよりも雪面の上を楽に歩行することが可能な雪上用歩行具として、「スノーシュー」(西洋かんじき)と呼ばれるものも使用されている。このスノーシューには、着用者が装着した際に雪面に向けられる面(以下、「裏面」という)に、滑り止め用の爪(クランポン)が配設されたものがあり、部分的に凍結状態の場所を通過する際に、例えば、アイゼンに履き替えることなく、スノーシューを靴に装着したままの状態で歩行することができるようになっている。
【0004】
このような雪上用歩行具(スノーシュー)としては、例えば、雪面上を歩行する際に靴に装着する本体部と、前記靴の爪先部分に対応する位置の、前記本体部の雪面側に突出して設けられた第1のクランポンと、前記靴の踵部分に対応する位置の、前記本体部の雪面側に突出して設けられた第2のクランポンと、前記本体部の両側部の雪面側にそれぞれ突出して設けられ、前記第1のクランポンおよび前記第2のクランポンよりも大きな爪部を有する複数の第3のクランポンとを備えたものが紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、靴の靴底よりも大きな面積を有するとともに、金属の一枚板からなるフレーム、該フレームの表面側に前記靴を固定するための固定手段、前記フレームの裏面側から下方に向けて設けられた滑り止め用の爪を備えた雪上用歩行具も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−125712号公報
【特許文献2】特開2003−125808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記クランポンが配設された従来の雪上用歩行具は、クランポンが雪上用歩行具の裏面に固定されており、また、前記裏面とは反対側の面(以下、「表面」という)には、雪上用歩行具に靴を固定するストラップ等も配設されているため、全体的に嵩張る構造となっている。したがって、携帯に不便であり、例えば、左足用と右足用をコンパクトに重ねて携帯したり、収納しておくことも困難である。
【0007】
また、急斜面等が凍結している状況では、従来の雪上用歩行具の本体部(デッキ部分)が滑る要因となるため、スノーシューを装着せずにアイゼン(クランポン)だけで歩行することが一般的である。しかしながら、従来の雪上用歩行具は、クランポンが裏面に固定されているため、クランポンと本体部(デッキ部分)とを分離することができないため、前記雪上用歩行具の他に、別途アイゼンを携帯する必要があり、面倒である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、クランポンが配設された部分を歩行具本体から取外すことができ、コンパクトに携帯したり、収納しておくことが可能であると共に、前記取外した部分をアイゼンとして独立して使用することが可能な雪上用歩行具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、雪の中に履物が埋没するのを防止するための雪上歩行具であって、前記履物の底よりも大きな面積を有すると共に、前記履物を装着した際に、当該履物の爪先側となる領域に開口部が形成されてなる歩行具本体と、前記歩行具本体の開口部内に位置すると共に、前記歩行具本体に着脱可能に配設される着脱部材と、を備えてなり、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面には、略接地方向に突出するクランポンと、前記歩行具本体に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部が形成されてなり、当該係合部は、前記着脱部材が所定角度で回転した際に、当該歩行具本体との係合を解除して、当該着脱部材を前記歩行具本体から取外す雪上用歩行具を提供するものである。
【0010】
この構成を備えた雪上用歩行具は、嵩張りの要因となるクランポンが配設された着脱部材を、歩行具本体から取外すことができるため、歩行具本体を嵩張ることなくコンパクトに携帯したり、収納したりすることができる。したがって、雪上用歩行具を携帯する際に、例えば、右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを重ねても、嵩張ることがなくコンパクトに携帯、収納することができる。また、歩行具本体と着脱部材とを分離することで、雪上用歩行具の重量を分散することができる。したがって、例えば、雪上用歩行具を携帯した状態でスキー等により滑走する際には、重い着脱部材を着用者の体側にし、軽い歩行具本体をザック等の外側に装着することができ、遠心力の影響等を受けることを抑制し、滑走時の安定感を向上することができる。また、取外した着脱部材は、アイゼンとして独立して使用することもできる。したがって、雪上用歩行具の他に別途アイゼンを携帯する必要がなく便利である。なお、雪上用歩行具は、右足用と左足用が同じ形状であってもよいし、それぞれ左右対称な形状であってもよく、この点については、特に限定されるものではない。
【0011】
また、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記歩行具本体が、該歩行具本体の幅方向に対し略水平方向に延びると共に、前記開口部に跨って配設され、且つ前記着脱部材を回動可能に支持する支軸を有し、当該支軸に、前記係合部が回動可能且つ着脱可能に係合する被係合部が形成された構成を有することができる。この構成を備えた雪上用歩行具は、前記着脱部材が、前記支軸を支点として、歩行具本体の爪先側を左側に見て時計方向及び反時計方向に回動することができる。ここで、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記着脱部材が位置する開口部が、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、当該履物の爪先側が位置する領域に形成されており、当該履物の踵側は、前記開口部よりも後側に位置することになる。したがって、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、必要以上に時計方向に回動する(すなわち、着脱部材の踵側が接地面側に必要以上に移動するように、着脱部材が回動してしまう)ことがなく、前記利点に加え、安定した歩行を行うことができる。
【0012】
そしてまた、本発明にかかる雪上用歩行具は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパを、前記歩行具本体に設けることができる。このように構成することで、前記雪上用歩行具に履物を装着した際に、前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、必要以上に反時計方向に回動する(すなわち、着脱部材の爪先側が接地面側に必要以上に移動するように、着脱部材が回動してしまう)ことがなく、前記利点に加え、さらに安定した歩行を行うことができる。また、前記着脱部材が回転しすぎて、当該着脱部材の先端が着用者の脛にぶつかることも防止することができる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる雪上用歩行具は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が、時計方向に回動し、当該着脱部材が時計方向に所定角度で回動した際に、前記係合部と前記被係合部との係合が解除可能となるよう構成することができる。このように構成することで、前記利点に加え、前記着脱部材は、雪上用歩行具に履物が装着されている際には、歩行具本体から取外されることがなく、歩行中に不意に着脱部材が外れることを防止することができる。また、この構成の場合、前記係合部は、前記支軸を回動可能に支持する支持孔と、当該支持孔に連通して形成された切欠きを有してなり、前記被係合部は、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円からなり、当該略長円の短軸は、前記切欠きを画定する側壁間の距離の最小値よりも短く形成されてなり、前記着脱部材が、爪先側を左側に見て、時計方向に所定の回転角度で回動した際に、前記略長円の短軸と前記切欠きを画定する側壁面とが略平行となり、前記被係合部が当該切欠きを介して前記支持孔から取外され、前記係合を解除するよう構成することもできる。
【0014】
また、本発明にかかる雪上用歩行具は、前記着脱部材の前記履物を装着する面に、当該履物を固定する固定部材を配設することができる。このように構成することで、歩行具本体から着脱部材を取外した際に、履物を固定する固定部材も一緒に取外されることになるため、さらに右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを嵩張ることなくコンパクトに携帯したり、収納したりすることができる。また、歩行具本体から取外された着脱部材を、アイゼンとして独立して使用することもできる。
【0015】
そしてまた、前記係合部は、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面から略接地方向に突出形成されたクランポンに形成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる雪上用歩行具は、クランポンが配設された着脱部材を歩行具本体から取外すことができるため、歩行具本体を嵩張ることなくコンパクトに携帯、収納することができる。したがって、例えば、右足用の歩行具本体と、左足用の歩行具本体とを重ねた状態で携帯してスキー等で滑走する場合であっても、滑走の邪魔になることを防止することができる。また、歩行具本体から着脱部材を取外すことで、雪上用歩行具の重量を分散することができ、例えば、雪上用歩行具を携帯した状態でスキー等により滑走する際に、遠心力の影響等を受けることを抑制することができ、滑走時の安定感を向上することができる。さらにまた、取外した着脱部材は、アイゼンとして独立して使用することもできる結果、雪上用歩行具の他に別途アイゼンを携帯する必要がなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる雪上用歩行具について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0018】
なお、雪上用歩行具は、左右の足に装着するため、2つで一対となるが、本実施の形態では、片方の構造を例にとって説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の斜視図、図2は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の平面図、図3は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図、図4は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図であって、歩行具本体から着脱部材を取外した状態を示す図、図5は、図4に示す雪上用歩行具の一部を拡大して示す図、図6は、歩行具本体と着脱部材との関係を、図2に示すVI−VI線に沿った断面図として示す模式図、図7は、着脱部材の側面図であって、ストラップを取除いた状態の図、図8は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図、図9は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図10は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具を斜め下方から見た状態の一部を拡大斜視図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図11は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が時計方向に所定角度で回動した状態を示す図、図12は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図、図13は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図、図14は、本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具に靴を装着させた状態の側面図である。
【0020】
なお、本実施の形態では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、本実施の形態では、雪上用歩行具に履物を装着した際に、当該履物の爪先が向く方向を「前」、踵が向く方向を「後」とし、この前後方向に略垂直な方向を「幅方向」、履物が装着される側を「表」、接地側を「裏」として記載した。そしてまた、「時計方向」、「反時計方向」とは、雪上用歩行具の爪先側を左にして置いた状態での方向として記載した。
【0021】
図1〜図14に示すように、本実施の形態にかかる雪上用歩行具1は、履物としての靴100の底よりも大きなサイズの表裏面を有する歩行具本体10と、歩行具本体10に着脱可能に取付けられる着脱部材50を備えて構成されている。
【0022】
歩行具本体10は、前側に形成された開口部11を有するデッキ部12と、デッキ部12の外周に設けられ、歩行具本体10の外枠を形成するフレーム部13を備えている。デッキ部12に形成された開口部11は、雪上用歩行具1に靴100を装着した際に、靴100の爪先が置かれる位置よりも前側まで開口されている。一方、開口部11の後側は、雪上用歩行具1に靴100を装着した際に、靴100の踵部分が置かれる位置よりも前側に位置しており、したがって、靴100の踵部分は、デッキ部12の表面に載置されることになる。また、デッキ部12の表面の後部には、靴100の踵部分が載置されるヒール載置部14が設けられている。そしてまた、デッキ部12の裏面の後部には、滑り止め用の爪であるヒールクランポン15が設けられている。
【0023】
フレーム部13には、開口部11に跨って幅方向に延びる略円柱状の支軸21が配設されている。この支軸21は、特に図4に示すように、開口部11の前後方向略中央に位置しており、後に詳述する着脱部材50を回転可能に支持するものである。この支軸21の両端には、後に詳述する着脱部材50に形成された係合部55A及び55Bが各々係合するための被係合部25A及び25Bが形成されている。
【0024】
被係合部25A及び25Bは、特に図6、図12及び図13に示すように、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円となっている。すなわち、前記略長円の短軸と略垂直に位置する両側部分が、平面部31A(31B)及び32A(32B)となっており、長軸の両側に位置する面(平面部31A(31B)及び32A(32B)とを結ぶ面)が、湾曲面33A(33B)及び34A(34B)となっている。また、図12(A)に示すように、前記短軸の長さLS(すなわち、平面部31A(31B)と平面部32A(32B)との間の距離)は、後に詳述する係合部55A及び55Bに形成された切欠き58A及び58Bを画定する側壁間の距離の最小値W(図12(A)参照)よりも短く形成されており、長軸の長さLL(すなわち、湾曲面33A(33B)の頂点と湾曲面34A(34B)の頂点との間の距離)は、最小値Wよりも長く形成されている。
【0025】
また、フレーム部13の支軸21が配設された位置よりも前側には、後に詳述する着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパ26A及び26Bが各々配設されている。
【0026】
なお、本実施の形態では、支軸21とストッパ26A及び26Bは、一体的に形成されており、固定ベルト27A及び27Bによってフレーム部13に固定されている。また、これらの固定ベルト27A及び27Bは、デッキ部12にも固定されている。
【0027】
着脱部材50は、開口部11内に収容されるサイズの表裏面を有するベース部60を備えている。ベース部60の裏面の前端には、略接地方向に突出する第1のフロントクランポン51が形成され、後端には、略接地方向に突出する第2のフロントクランポン52が形成されている。また、ベース部60の裏面の後端側には、幅方向両側に第3のフロントクランポン53A及び53Bが形成されている。
【0028】
ベース部60の裏面であって、第1のフロントクランポン51と、第3のフロントクランポン53A及び53Bとの間に位置する幅方向両側には、係合部55A及び55Bが形成されている。これらの係合部55A及び55Bは、略接地方向に突出した状態で配設されており、その先端がクランポンの役割を果たす形状となっている。係合部55A及び55Bの略中央部分には、支軸21の被係合部25A及び25Bが各々挿入される支持孔56A及び56Bが形成されており、これらの支持孔56A及び56Bは、切欠き58A及び58Bが連通形成されている。
【0029】
切欠き58A及び58Bは、これらを画定する側壁間の最小値W(図12(A)参照)が、前述した被係合部25A及び25Bの短軸の長さLS(図12(A)参照)よりも長く形成され、長軸の長さLL(図12(A)参照)よりも短く形成されている。したがって、後に詳述するが、係合部55A及び55Bは、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58Aを画定する側壁面とが略平行となり、前記短軸と切欠き58Bを画定する側壁面とが略平行となった際に、被係合部25A及び25Bが、切欠き58A及び58Bを各々介して、支持孔56A及び56B内に各々挿入される、あるいは、支持孔56A及び56B内から切欠き58A及び58Bを介して各々取外されることになる。(図13(A)及び(B)参照)。
【0030】
なお、切欠き58A及び58Bは、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、時計方向に所定角度で回転した際に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行となる位置に形成されている。(図11及び図13(A)参照)。また、これらの切欠き58A及び58Bは、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に回動し、ストッパ26A及び26Bに当接するまでの間に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行にならない位置に形成されているため、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、反時計方向に回動した際には、係合部55A及び55Bと、被係合部25A及び25Bとの係合が解除されることはない。(図9、図10及び図12(A)及び(B)参照)。
【0031】
また、ベース部60の表面であって、前側の幅方向両側には、靴100の爪先部分を固定するストラップ71が取付けられており、後側の幅方向両側には、靴100の足首部分に巻き付けられて踵部分を固定するストラップ72が取付けられている。ストラップ71には、長さ調整具73が取付けられ、ストラップ72には、長さ調整具74及び75が取付けられており、靴100のサイズに合わせてストラップの71及び72の長さを調整可能となっている。
【0032】
なお、着脱部材50は、歩行具本体10から取外された際に、アイゼンとして、独立して使用することができる。
【0033】
次に、本実施の形態にかかる雪上用歩行具1の具体的動作について、図面を参照して説明する。
【0034】
歩行具本体10に着脱部材50が取付けられた状態の雪上用歩行具1を靴100に装着するには、先ず、長さ調整具73〜75により、ストラップ71及び72の長さを各々調整し、靴100の所定位置をストラップ71及び72で固定する。この雪上用歩行具1を装着した状態で、例えば、冬山の深雪帯のような雪面の上(凍結している面を含む場合もある)を歩行すると、着用者の体重を分散させ、且つ雪からの浮力を得ることで、雪中への沈み込みを軽減させて歩行を容易にすることができる。
【0035】
この歩行中は、図12(A)及び(B)に示すように、支持孔56A(56B)を画定する内壁に、被係合部25A(25B)の湾曲面33A及び33B(34A及び34B)が接触して回動するため、体重が靴100の爪先側にかかると、図9及び図10に示すように、爪先側を左側に見て、着脱部材50が支軸21を支点として反時計方向に所定角度で回動する。この時、着脱部材50が所定角度以上で回動しようとすると、ベース部60の裏面がストッパ26A及び26Bに当接し、歩行具本体10が、これ以上回動することが阻止される。したがって、係合部55A及び55Bと、被係合部25A及び25Bとの係合が解除されることがなく、着脱部材50が歩行具本体10から外れることがないと共に、より安全で快適な歩行を行うことができる。
【0036】
また、靴100の踵部分は、図14に示すように、開口部11の後側を超えてデッキ部12上に載置されているため、後側にかかる体重は、主にデッキ部12にかかることになる。このため、着脱部材50が、爪先側を左側に見て、必要以上に時計方向に回動することを防止することができる。したがって、着脱部材50は、図12(A)及び(B)に示すように、歩行中に、被係合部25A及び25Bの短軸と、切欠き58A及び58Bを画定する側壁面とが略平行となる位置まで回動することがなく、歩行具本体10から取外されることはない。
【0037】
また、凍結している面を歩行する場合は、第1のフロントクランポン51、第2のフロントクランポン52、第3のフロントクランポン53A及び53B、ヒールクランポン15、及び係合部55A及び55Bの先端部が、滑り止めとなり、より安全で快適な歩行を行うことができる。
【0038】
次に、歩行具本体10から着脱部材50を取外す際は、先ず、長さ調整具73〜75により、ストラップ71及び72の長さを各々調整し、雪上用歩行具1から靴100を取外す。このように、雪上用歩行具1から靴100を取外すことで、爪先側を左側に見て、着脱部材50が時計方向に任意に回動可能となる。次いで、図11に示すように、爪先側を左側に見て、着脱部材50を時計方向に回転させると、図13(A)に示すように、係合部55A(55B)は、被係合部25A(25B)の短軸と、切欠き58A(58B)を画定する側壁面とが略平行となり、被係合部25A(25B)が、切欠き58A(58B)を介して、支持孔56A(56B)から取外される。(図13(B)参照)。このようにして、着脱部材50は、歩行具本体10から簡単に取外すことができる。
【0039】
ここで、靴100を固定するためのストラップ71及び72は、着脱部材50に取付けられているため、歩行具本体10から取外された着脱部材50をストラップ71及び72によって靴100に装着すれば、アイゼンとして使用することができる。
【0040】
歩行具本体10に着脱部材50を取付けるには、先ず、係合部55A(55B)に形成された切欠き58A(58B)を画定する側壁面と、被係合部25A(25B)の短軸とが略平行になるようにして、切欠き58A(58B)に被係合部25A(25B)を挿入し、次いで、支持孔56A(56B)に挿入すればよい。
【0041】
なお、本実施の形態では、両端をフレーム部13に固定した支軸21によって着脱部材50を回転可能に支持した場合について説明したが、これに限らず、着脱部材50は、歩行具本体10に着脱可能に配設されると共に、所定角度で回転した際に、歩行具本体10との係合を解除して、歩行具本体10から取外すことが可能であれば、片持ちの支軸等、他の部材を用いてもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、係合部55A(55B)と被係合部25A(25B)との係合を、切欠き58A(58B)を介して支持孔56A(56B)に被係合部25A(25B)を挿入することで行い、切欠き58A(58B)を介して支持孔56A(56B)から抜脱することで前記係合を解除する場合について説明したが、これに限らず、着脱部材50を所定角度で回転させた際に、歩行具本体10と着脱部材50との係合及び係合解除を行うことが可能であれば、他の構成を備えていてもよい。
【0043】
そしてまた、本実施の形態では、係合部55A(55B)の先端がクランポンの役割を果たすように構成した場合について説明したが、これに限らず、係合部55A(55B)は、必ずしもクランポンの役割を果たさなくてもよい。
【0044】
さらにまた、本実施の形態では、着脱部材50にストラップ71及び72を取付けることで、歩行具本体10から取外された着脱部材50をアイゼンとして使用可能とした場合について説明したが、これに限らず、ストラップ71及び72は、所望により、歩行具本体10に取付けてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、靴100を固定する固定部材として、ストラップ71及び72を配設した場合について説明したが、これに限らず、固定部材は、靴100を雪上用歩行具1に固定することが可能であれば、他の形状を有していてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の底面図であって、歩行具本体から着脱部材を取外した状態を示す図である。
【図5】図4に示す雪上用歩行具の一部を拡大して示す図である。
【図6】歩行具本体と着脱部材との関係を、図2に示すVI−VI線に沿った断面図として示す模式図である。
【図7】着脱部材の側面図であって、ストラップを取除いた状態の図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具を斜め下方から見た状態の一部を拡大斜視図であって、着脱部材が反時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の側面図であって、着脱部材が時計方向に所定角度で回動した状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具の係合部と被係合部との関係を模式的に示す側面図である。
【図14】本発明の実施の形態にかかる雪上用歩行具に靴を装着させた状態の側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 雪上用歩行具
10 歩行具本体
11 開口部
12 デッキ部
13 フレーム部
21 支軸
25A、25B 被係合部
26A、26B ストッパ
50 着脱部材
55A、55B 被係合部
60 ベース部
71、72 ストラップ
100 靴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪の中に履物が埋没するのを防止するための雪上歩行具であって、
前記履物の底よりも大きな面積を有すると共に、前記履物を装着した際に、当該履物の爪先側となる領域に開口部が形成されてなる歩行具本体と、
前記歩行具本体の開口部内に位置すると共に、前記歩行具本体に着脱可能に配設される着脱部材と、
を備えてなり、
前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面には、略接地方向に突出するクランポンと、前記歩行具本体に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部が形成されてなり、当該係合部は、前記着脱部材が所定角度で回転した際に、当該歩行具本体との係合を解除して、当該着脱部材を前記歩行具本体から取外す雪上用歩行具。
【請求項2】
前記歩行具本体は、当該歩行具本体の幅方向に対し略水平方向に延びると共に、前記開口部に跨って配設され、且つ前記着脱部材を回動可能に支持する支軸を有し、当該支軸に、前記係合部が回動可能且つ着脱可能に係合する被係合部が形成されてなる請求項1記載の雪上用歩行具。
【請求項3】
前記歩行具本体は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパを有してなる請求項2記載の雪上用歩行具。
【請求項4】
前記着脱部材は、歩行具本体の爪先側を左側に見て、時計方向に回動し、当該着脱部材が時計方向に所定角度で回動した際に、前記係合部と前記被係合部との係合が解除可能となる請求項2または請求項3に記載の雪上用歩行具。
【請求項5】
前記係合部は、前記支軸を回動可能に支持する支持孔と、当該支持孔に連通して形成された切欠きを有してなり、前記被係合部は、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円からなり、当該略長円の短軸は、前記切欠きを画定する側壁間の距離の最小値よりも短く形成されてなり、
前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、時計方向に所定の回転角度で回動した際に、前記略長円の短軸と前記切欠きを画定する側壁面とが略平行となり、前記被係合部が当該切欠きを介して前記支持孔から取外され、前記係合を解除する請求項4記載の雪上用歩行具。
【請求項6】
前記着脱部材の前記履物を装着する面に、当該履物を固定する固定部材が配設されてなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の雪上用歩行具。
【請求項7】
前記係合部は、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面から略接地方向に突出形成されたクランポンに形成されてなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の雪上用歩行具。
【請求項1】
雪の中に履物が埋没するのを防止するための雪上歩行具であって、
前記履物の底よりも大きな面積を有すると共に、前記履物を装着した際に、当該履物の爪先側となる領域に開口部が形成されてなる歩行具本体と、
前記歩行具本体の開口部内に位置すると共に、前記歩行具本体に着脱可能に配設される着脱部材と、
を備えてなり、
前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面には、略接地方向に突出するクランポンと、前記歩行具本体に回動可能且つ着脱可能に係合する係合部が形成されてなり、当該係合部は、前記着脱部材が所定角度で回転した際に、当該歩行具本体との係合を解除して、当該着脱部材を前記歩行具本体から取外す雪上用歩行具。
【請求項2】
前記歩行具本体は、当該歩行具本体の幅方向に対し略水平方向に延びると共に、前記開口部に跨って配設され、且つ前記着脱部材を回動可能に支持する支軸を有し、当該支軸に、前記係合部が回動可能且つ着脱可能に係合する被係合部が形成されてなる請求項1記載の雪上用歩行具。
【請求項3】
前記歩行具本体は、爪先側を左側に見て、前記着脱部材が反時計方向に所定角度以上回動することを阻止するストッパを有してなる請求項2記載の雪上用歩行具。
【請求項4】
前記着脱部材は、歩行具本体の爪先側を左側に見て、時計方向に回動し、当該着脱部材が時計方向に所定角度で回動した際に、前記係合部と前記被係合部との係合が解除可能となる請求項2または請求項3に記載の雪上用歩行具。
【請求項5】
前記係合部は、前記支軸を回動可能に支持する支持孔と、当該支持孔に連通して形成された切欠きを有してなり、前記被係合部は、軸方向に対して略垂直な断面形状が略長円からなり、当該略長円の短軸は、前記切欠きを画定する側壁間の距離の最小値よりも短く形成されてなり、
前記着脱部材が、歩行具本体の爪先側を左側に見て、時計方向に所定の回転角度で回動した際に、前記略長円の短軸と前記切欠きを画定する側壁面とが略平行となり、前記被係合部が当該切欠きを介して前記支持孔から取外され、前記係合を解除する請求項4記載の雪上用歩行具。
【請求項6】
前記着脱部材の前記履物を装着する面に、当該履物を固定する固定部材が配設されてなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の雪上用歩行具。
【請求項7】
前記係合部は、前記着脱部材の前記履物を装着する面とは反対側の面から略接地方向に突出形成されたクランポンに形成されてなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の雪上用歩行具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−168052(P2008−168052A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5875(P2007−5875)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(391008146)株式会社モンベル (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(391008146)株式会社モンベル (19)
【Fターム(参考)】
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