説明

電光表示システム

【課題】表示データ編集装置でアンチエイリアス処理を実行して外字を作成する場合に、書体の種類に関係なく文字本体の大きさをほぼ揃えることが可能な電光表示システムを提供する。
【解決手段】表示データ編集装置1において、編集装置側で持っている標準フォントデータを基にして表示装置2側で発光表示する外字を作成する際に、標準フォントデータからアンチエイリアス処理を行って読み出した多階調のドットパターンを縦横にいったん拡大し、次に、拡大処理前のドットパターンよりも外側に位置する行及び列のドット情報を削除することでドットパターンに含まれる空白行(列)や薄発光ドットを取り除きながら拡大処理前のドットパターンサイズに戻してビットマップフォント化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の発光体をプリント基板上に複数配列し、各発光体を選択的に発光させることで文字、図形、記号、画像等を表示する表示装置と、この表示装置に表示する表示データを作成する表示データ編集装置とを備えた電光表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDをプリント基板上に複数配置し、選択的に点滅駆動することで文字・画像等を発光表示する表示装置が知られており、店先や往来、建物の壁面等に設置され、主に営業案内や集客のためのキャッチフレーズを発光表示するのに利用されている。そこで表示される内容は、下記特許文献1に開示されているように、それ専用に用意された表示情報入力装置や、パソコン等で構成される表示データ編集装置などによって予め作成され、表示データ編集装置から表示装置へデータ転送する方式が多くの場合採用されている。表示データ編集装置で作成されるデータには、大きく分けて、LEDをどのように点滅させるのかを表す表示データと、この表示データをいつどのようなタイミングで表示させるのかを表す表示スケジュールデータとの2種類があり、表示装置は、表示スケジュールデータに従って表示データを読み出すことによって表示動作が行われる。
【0003】
更に詳しくは、表示データの内容には、表示する文字や記号を表すJIS第一水準、第二水準、Unicodeといった標準の文字コード情報や、表示画面を多数のドットデータで表したグラフィック情報が含まれており、表示装置には、表示データに含まれる標準フォントコード情報に対応して所定ドット数(例えば16×16ドットや24×24ドット)の全角文字や半角文字の文字パターンを用意した標準フォントデータが記憶されている。
【特許文献1】特開昭63−66594号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、表示装置に備えている標準フォントデータに無いフォント種類(書体)で表示を行いたい場合には、表示させたい種類の標準フォントデータを編集装置側に用意し、それを基にしていわゆる外字として1文字単位のドットパターンデータを作成するか、あるいは表示する一連の文章全体を1つのドットパターンデータとして作成することで対応している。
【0005】
このように、表示装置側に無い書体のフォントを表示するのに外字機能を用いているのであるが、発光表示する文字に特別な表示効果を与えたい場合にもこの外字機能が利用されている。例えば、文字にアンチエイリアス処理を行う場合である。この種の表示装置では、表示処理上のCPU負荷軽減や内部メモリの容量節減、あるいはコスト削減を図る為、書体やフォントサイズを絞り込んだビットマップフォントを搭載し、そのビットマップフォントに基づいて単階調表示を行う仕様が採用されることがあり、多階調表示機能を備える装置であっても、表示装置を使用するオーナーの業種によっては、減り張りのある視覚効果を優先して単階調による文字表示が行われることがある。その場合にあえて文字を多階調の高品位で表示するとき、外字機能を利用して対応するのである。その具体的な処理は、まず、表示データ編集装置側において、階調表示を行いたい所望のフォントデータからアウトライン情報を読み出し、多階調のドット情報からなるビットマップフォント形式のアンチエイリアスデータを得る。このとき、表示装置側の表示画面構成に応じたドット数でビットマップフォント化することにより、1文字表示あたり16×16ドットや24×24ドットといったドット構成にすることができ、表示装置の表示画面に適合させたドット構成のアンチエイリアスデータに外字フォントコードを付与し外字として扱うのである。
【0006】
こうして作成された外字は、表示装置側に備えている標準フォントデータに基づいた単階調表示の文字と比較して、文字の斜線部に発生する階段状のギザギザいわゆるジャギーが目立たなくなり、滑らかな高品位の文字として表示することができる。しかしながら、アンチエイリアス処理を施す段階で、基となるフォントデータの書体によっては出来上がる文字の大きさに不揃いが発生するという問題を抱えていた。この問題は、基となるフォントデータの中に含まれている文字同士の接触を防ぐ為の空白行に起因するものであり、図5に示すように書体によってはこの空白行の数が異なっている為、空白行が多く含まれているフォントデータではその分文字本体の大きさが小さくなってしまうのである。また、アンチエイリアス処理を施すことで文字本体の輪郭の周縁部分や線の端部にほとんど認識できない程度に薄く発光するドットが含まれることが多く、この薄発光ドットを含めてビットマップフォント化することにより、文字本体の大きさが全体的に小さくなるという事情も重なって、異なる書体間における文字の大きさの違いがより一層目立ってしまうという問題につながっていた。
【0007】
本発明は上記のような問題点に対処してなされたものであり、その課題とするところは、表示データ編集装置でアンチエイリアス処理を実行して外字を作成する場合に、書体の種類に関係なく文字本体の大きさをほぼ揃えることが可能な電光表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数配列したLEDを点滅することで文字や画像等の表示データを表示する表示装置と、該表示装置に表示する表示データを作成する表示データ編集装置とを備えた電光表示システムであって、前記表示装置に、プリント基板上に複数の発光体をドットマトリックス配列して構成する表示部と、該表示部に発光表示する文字を標準フォントデータとして記憶する表示用標準フォント記憶部と、前記表示部に発光表示する外字フォントを外字フォントデータとして記憶する外字フォント記憶部と、前記表示部に配列する各発光体をそれぞれ単階調または多階調で発光駆動する表示駆動部とを備え、前記表示データ編集装置に、標準フォントデータを記憶する標準フォント記憶部と、該標準フォント記憶部に記憶する標準フォントデータを基にして、多階調のドット情報からなるアンチエイリアスデータを読み出してドットパターン情報として展開し、この展開したドットパターンを縦横に拡大するアンチエイリアスデータ展開部と、該アンチエイリアスデータ展開部の処理によって拡大したドットパターンの内の、拡大処理前のドットパターン構成より外側に位置する行及び列のドット情報を削除することにより拡大処理前のドットパターンサイズに戻し、この拡大処理前のサイズに戻したドットパターンに外字フォントコードを付与して外字フォントデータとする外字フォントデータ作成部と、前記標準フォント記憶部から読み出した標準フォントデータおよび前記外字フォントデータ作成部で作成した外字フォントデータを用いて前記表示装置に表示する表示データを作成する表示データ作成部とを備え、表示データ編集装置の外字フォントデータ作成部で作成した外字フォントデータを表示装置に転送し、発光表示用の外字フォントデータとして使用することを特徴とする電光表示システムを提案する。
【0009】
上記提案の電光表示システムは、前記表示データ作成部で作成した表示データに標準フォントデータを含むとき、表示装置は表示用標準フォント記憶部から読み出した標準フォントを単階調で発光表示することが望ましい。
【0010】
また、上記提案の電光表示システムは、前記表示データ作成部で作成した表示データに外字フォントデータを含むとき、表示装置は表示データに含まれる外字フォントデータのドットパターン情報または予め記憶した外字フォントデータに基づいて外字フォントを多階調で発光表示することが望ましい。
【0011】
また、上記提案の電光表示システムは、前記表示データ編集装置の標準フォント記憶部に記憶する標準フォントデータの種類が複数であることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電光表示システムによれば、表示データ編集装置において、編集装置側で持っている標準フォントデータを基にして表示装置側で発光表示する外字を作成する際に、標準フォントデータからアンチエイリアス処理を行って読み出した多階調のドットパターンを縦横に拡大し、次に、その拡大したドットパターンの内の拡大処理前のドットパターンより外側に位置する行及び列のドット情報を削除することで拡大処理前のドットパターンサイズに戻してビットマップフォント化を行う。これにより、アンチエイリアス処理を施した文字本体の輪郭の周縁部分や線の端部に現れるほとんど認識できない程度に薄く発光する薄発光ドットを取り除くと共に、標準フォントデータの書体の違いによって現れる文字接触防止用の空白行を削除して、その分文字本体の大きさを大きくすることができる。従って、書体の種類に関係なく文字の大きさをほぼ同じ大きさに揃えることが可能になる。また、表示装置側のドットマトリックスに不要な空白行を生じさせることが無く、表示画面を最大限に有効活用して視認性に優れた表示を行うことができる。
【0013】
また、表示データ編集装置で作成した表示データに標準フォントコードでの取扱いが可能な標準フォントデータを含むとき、表示装置はその標準フォントを単階調で発光表示するので、表示装置内部で表示処理にかかるCPU負荷が軽減されると共に、内部メモリのメモリ容量に余裕を持たせた状態で表示処理を行うことができ、その結果、表示画面上における表示動作を軽快にすることができる。
【0014】
また、表示データ編集装置で作成した表示データに外字フォントデータを含むとき、表示装置はその外字フォントを多階調で発光表示するので、普段は表示動作の軽快さを最優先して単階調で標準フォントを表示している中にあって、外字フォントをアンチエイリアス効果付きで多階調表示させることができる。これにより、外字フォントの表示品質上の高品位さをより際だたせることが可能になる。
【0015】
また、表示データ編集装置側で外字フォントデータを作成する際の基データとなる標準フォントデータを複数種類備えている為、表示装置オーナーの好みに応じた多彩な種類の外字フォントを高品位に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による電光表示システムの好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0017】
図1は本発明実施例に関わる電光表示システムの全体構成を示すブロック図である。1は表示データ編集装置で、パソコンに表示データ編集用のアプリケーションプログラムをインストールして構成しており、後述する表示装置で表示動作を行うために必要な表示データや表示スケジュールデータを作成する。2は表示装置であり、以下その構成について説明する。3は表示部で、プリント基板上に複数の単色LED(本実施例では黄色)をドットマトリクス状に配列して表示画面を構成する。この表示部には複数の文字を表示したり、マトリックス面を使って画像等を表示することが可能で、図示の例では、24×24ドットのマトリックスで表される全角サイズの文字を横方向に6文字表示可能であり、縦24ドット×横144ドットのマトリックスを構成している。4は表示駆動部であり、後述するCPUより表示制御データを受けて表示画面3に配列したLEDをダイナミック点灯駆動し、マトリックス上に文字・図形・記号・画像等を発光表示する。この表示駆動部4は、個々のLEDを32段階の発光輝度で階調表現することが可能な多階調表示機能を備えている。
【0018】
5はCPUで、メモリ6で記憶するプログラムやデータに従い表示処理手順をこなす。メモリ6は、表示装置全体の動きに関する動作プログラムが記憶される制御プログラム記憶部6aと、個別の標準フォントコードが付与され文字や記号がドットデータで記憶される表示用標準フォント記憶部6bと、前記表示データ編集装置1で作成されて個別の外字フォントコードが付与された外字フォントがドット情報とドット毎の輝度情報で記憶される外字フォント記憶部6cと、表示部3に発光表示する表示データが複数記憶される表示データ記憶部6dと、記憶した表示データに表示タイミングを与える表示スケジュール記憶部6eとを備えている。7はVRAMで、メモリ6の表示データ記憶部6dから読み出した表示データを記憶領域にビット情報として展開し、表示駆動部4に表示制御データを出力する。このVRAMは、表示部3のドットマトリックス構成に対応しており、全角文字1文字分に相当する24×24ドットのマトリックスを基準にして、複数文字分のドットデータを展開可能な記憶領域を備えている。表示データのデータ内容は、標準フォントに対応する標準フォントコード、外字フォントに対応する外字フォントコード、イメージデータに与えられた識別コード等の並びからなるデータ構成であり、表示部3で表示するためには表示画面のLED配列に対応したドットパターン情報に変換する必要がある。そこで、表示用標準フォント記憶部6bから読み出したドットパターンや、外字フォントのドットパターン、イメージデータのドットパターンをVRAM7の記憶領域に展開した後、表示制御データとして出力するのである。
【0019】
8はリアルタイムクロックICであり、CPU5から任意のタイミングで要求を受け、年・日付・曜日・時刻といったカレンダー情報を出力する。9はリモコンで、表示部3付近に設けられたリモコン受信部9a、リモコンインターフェース9bを介して通信を行い、リモコン操作に伴って表示部3に表示されるメニューに従い、表示データの簡易的な作成や変更、表示スケジュールデータの設定やその他各種データの設定などを行う。10はメモリーカードで、PCカードインターフェース10aを介して表示装置に着脱され、表示データ編集装置1で作成した表示データや表示スケジュール、外字フォントデータ、各種データをメモリ6に転送するための記憶媒体として用いられる。11はプロトコルコンバータで、EIA232とTCP/IPとの間のプロトコル変換処理を行い、信号ケーブル12とインターネット網を介して表示データ編集装置1に接続し、上記同様、表示データ編集装置1で作成した表示データや表示スケジュール、外字フォントデータ、各種データをメモリ6へ転送可能にしている。
【0020】
次に表示データ編集装置1の構成について、図2を基にして詳しく説明する。15はパソコンであり、表示データ編集プログラム16(特許請求の範囲に記載の表示データ作成部に相当)と、標準フォント記憶部17と、標準フォントキャッシュ18と、アンチエイリアスデータ展開プログラム20(特許請求の範囲に記載のアンチエイリアスデータ展開部に相当)と、外字フォントデータ作成プログラム21(特許請求の範囲に記載の外字フォントデータ作成部に相当)と、データ記憶領域22と、プロトコルコンバータ11とを備えている。
【0021】
表示データ編集プログラム16は、表示装置2に表示する表示データやそのスケジュールデータを作成するためのアプリケーションプログラムである。このプログラムを起動し、図示しないキーボードやマウスを操作することにより、表示データの新規作成、作成済み表示データの編集、新しい表示スケジュールの付与、表示スケジュール内容の変更などを行うことができる。
【0022】
標準フォント記憶部17には、パソコンのOS(オペレーティングシステム)にインストールされた状態で組み込まれている標準フォントがベクタ情報のスケーラブルフォントとして記憶されている。このベクタ情報形式のデータを表示装置2に適合したビットマップフォント形式にして格納するのが標準フォントキャッシュ18であり、ベクタ情報のスケーラブルフォントに対してラスタライズを行い、縦24×横24ドットの2値情報(単階調)からなるビットマップフォントに変換し、個々のフォントとその標準フォントコードとを一対一で対応させながら格納している。表示データ編集プログラム16によって表示データを作成する際に、キーボードから文字が入力されると、入力された文字に対応する24×24ドットのドット情報が標準フォントキャッシュ18から出力されるのである。なお、標準フォント記憶部17には明朝体・ゴシック体・行書体といったように複数種類のフォントデータが記憶されており、目的や好みに応じて所望の書体を選択することができる。
【0023】
アンチエイリアスデータ展開プログラム20は、標準フォント記憶部17に対して文字のアウトライン情報を要求し、アンチエイリアス処理を実行した24×24ドットの多階調情報からなるビットマップフォントに変換する機能を持つ。この段階では、24×24ドットのドット情報の中に文字本体を構成するドット群(表示対象のドット)と、空白行または列(表示対象のドットが含まれない行または列)とが含まれている。続いて、その24×24ドットの多階調情報からなるビットマップフォントのアンチエイリアスデータを、後述する内部メモリのデータ記憶領域に24×24ドットのドットパターン情報として展開し、次に、展開したドットパターン情報を一旦24×24ドットより大きなドットサイズに拡大する処理を実行する。具体的には、24×24ドットのドットパターン情報に対してエッジ検出を行い、24×24ドットに含まれている文字接触防止用の空白行または列と文字本体とを判別し、空白行または列と文字本体の外周部分に含まれる薄発光ドットとを取り除いた状態で文字本体が24×24ドットのサイズとなるように、標準フォント記憶部17から読み出した元の24×24ドットデータを、削除する空白行または空白列の分と文字本体外周の薄発光ドットの分を加えた大きなサイズ(例えば28×28ドット)に拡大する。
【0024】
外字フォントデータ作成プログラム21は、アンチエイリアスデータ展開プログラム20を実行することで得た拡大ドットパターン情報を、表示部3に配列するドットマトリクスの1文字あたりのドット数である24×24ドットのサイズに戻す処理を実行する。アンチエイリアスデータ展開プログラム20の処理を経て得られるドットパターン情報は、前述の通り、標準フォント記憶部17から読み出した24×24ドットのドットパターン情報の内の文字本体が24×24ドットのサイズとなるように拡大しているため、拡大したことによって文字本体の周囲に存在している不要なドット情報を、ドットパターン情報の外周から削除して24×24ドットのサイズに戻すのである。この処理により、文字本体の周縁や端部に現れる視認性にはほとんど関与しない薄発光ドットが含まれる行または列と、文字本体の周囲に存在していた空白行・空白列とをそれぞれ削除することができ、標準フォント記憶部17から読み出した書体の種類の違いによって発生する空白行数/列数のばらつきを無くすことが可能になる。こうして、文字本体を構成するドット群データを不要ドットを取り除きながら24×24ドットのサイズに戻したデータに対して固有の外字フォントコードを付与し、外字フォントデータとして作成する。作成した外字フォントデータは、表示データ編集プログラム16で作成する表示ソフトの中で1つの独立した文字として使用することが可能であり、また、外字フォントデータそのものを単独で表示装置2の外字フォント記憶部6cに転送することが可能になる。
【0025】
22は内部メモリであり、既に説明したように、アンチエイリアスデータ展開プログラム20の実行時に作業データを展開したり、作成した外字フォントデータを一時的に記憶保持するのに使用される。11はプロトコルコンバータであり、EIA232とTCP/IPとの間のプロトコル変換処理を行い、信号ケーブル12とインターネット網を介して遠方に設置された表示装置に接続する。25はPCカードドライブであり、USBポート等からパソコン15に接続され、メモリーカード10に対するリード/ライトを可能にしている。内部メモリ22のデータ記憶領域に記憶保持した外字フォントデータや表示ソフトは、メモリカード10や信号ケーブル12を介して表示装置側に転送される。
【0026】
次に、図3と図4を基にして本発明実施例の外字フォントデータの作成について更に詳しく説明する。図3は、アンチエイリアスデータ展開プログラム20、外字フォントデータ作成プログラム21、の各プログラムによって実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、標準フォント記憶部17に記憶しているフォントデータの中から表示装置2に表示させたい書体のフォントデータを選択し、選択したフォントデータに関するアンチエイリアス効果付きのアウトライン情報を読み出す(S1)。ここで読み出したアウトライン情報すなわちアンチエイリアスデータの一例が図4(a)である。同図は「MS明朝」で文字「綺」を読み出した例を示しており、図に示すように上部24×24ドットのサイズで読み出したデータの上部には1行の空白行が含まれている。24×24ドットのドットパターン情報に対してエッジ検出処理を行うことで空白行が1行含まれていることを判断し、削除の対象となるこの空白行と、文字本体の周囲に存在している薄発光ドットが含まれる行/列の分を加味して図4(a)に示すアンチエイリアスデータを図4(b)に示すように28×28ドットに拡大する(S2)。この処理により、拡大前には24×24ドットの中に含まれていた空白行と薄発光ドットを含む行/列が、28×28ドットの周囲に存在する上下2行と左右2列の中に含まれることになる。次に、この拡大した28×28ドットの上下2行と左右2列に含まれているドットを削除する(S3)。図4(b)に示すように、「綺」の上下2行と左右2列には空白行と薄発光ドットが存在しているが、これを削除することで、「綺」の文字本体を構成するドット群データは縦24ドット×横24ドットの構成となる。その結果を図4(c)に示す。同図に示すように、文字本体を構成する線要素の端点から薄発光ドットが取り除かれ、比較的高い輝度で発光するドットが端点に現れている。この処理により、24×24ドットの範囲内で文字本体を最大限に大きく表現することが可能になる。次に、この拡大したドット群データを表す24×24ドットのデータに対して、基となった標準フォントコードに由来する固有の外字フォントコードを付与し(S3)、外字フォントデータとして登録する(S5)。
【0027】
次に、表示データ編集プログラム16によって作成する表示データの構成について説明する。表示データは、単独あるいは一連で表示させるテキストデータ(文字、単語、文章、絵記号等)・画像データで構成されており、識別コードが付与されてこの識別コードと対応付けて記憶される。例えば、表示装置の表示部3に「いらっしゃいませ」を標準フォントで単階調表示させたい場合には、「い」「ら」「っ」「し」「ゃ」「い」「ま」「せ」を表す標準フォントコードを順番に並べたテキストデータに対して固有の識別コードを付与する。ここでもし、「いらっしゃいませ」をアンチエイリアス効果付きの多階調データで表示させたい場合には、「い」「ら」「っ」「し」「ゃ」「い」「ま」「せ」の各文字を前述の外字フォントデータとして作成し、各文字に対応する外字フォントコードを順番に並べたテキストデータと、各外字フォントを表現する24×24ドットの多階調情報からなるドットパターン情報とをセットにして表示データ中に含める。また、表示部3の複数文字領域にわたるようなドット画像で静止画やアニメーションを表示する場合には、ひとまとまりのドット画像に画像識別コードを与え、画像識別コードとその中身であるドット画像とをセットにして表示データ中に含める。また、各表示データには、表示データの中身をどのような動きで表示するのかを指定する表示モード情報が付与される。この表示モードにより左右上下へのスクロール、表示画面単位あるいは文字単位での点滅、色替え、回転表示などの表示動作を複数設定することができる。
【0028】
本発明は以上のように構成するものであるが、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で上記実施例の他にも種々の実施が可能である。例えば、実施例では1文字表示あたりのドット構成を24×24ドットとしているが、他のドット構成でも実施可能であることはいうまでもない。また、実施例では標準フォント記憶部から読み出した24×24ドットのアウトライン情報を28×28ドットに拡大し、空白行と薄発光ドットが含まれる行/列を削除することで24×24ドットのサイズに戻すと共に、文字本体を24×24ドットの範囲内で最大限に大きく表現するようにしているが、拡大処理と削除処理の順序を入れ換えても実施可能である。具体的には、標準フォント記憶部から読み出した24×24ドットのドットパターン情報に対してエッジ検出を行い、24×24ドットに含まれている文字接触防止用の空白行または列と文字本体とを判別し、文字本体の上下それぞれ1行と左右それぞれ1列に含まれているドット情報(薄発光ドット)を最初に削除し、次に、空白行または列と薄発光ドットを取り除いて小さなサイズとなったドット群データを本来の大きさである24×24ドットに拡大するようにしても良い。また、実施例では、標準フォント記憶部から読み出した24×24ドットのアウトライン情報を28×28ドットに拡大するようにしているが、拡大する倍率はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明実施例に関わる電光表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】電光表示システムを構成する表示データ編集装置を詳しく示す説明図である。
【図3】外字フォントデータ作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】標準フォント記憶部から読み出したアウトライン情報の内容を示す説明図である。
【図5】書体の違いによる文字の大きさを比較した説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 表示データ編集装置
2 表示装置
3 表示部
4 表示駆動部
5 CPU
6 メモリ
6a 制御プログラム記憶部
6b 表示用標準フォント記憶部
6c 外字フォント記憶部
6d 表示データ記憶部
6e 表示スケジュール記憶部
7 VRAM
8 リアルタイムクロック
9 リモコン
10 メモリカード
12 信号ケーブル
15 パソコン
16 表示データ作成部たる表示データ編集プログラム
17 標準フォント記憶部
18 標準フォントキャッシュ
20 アンチエイリアスデータ展開部たるアンチエイリアスデータ展開プログラム
21 外字フォントデータ作成部たる外字フォントデータ作成プログラム
22 内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配列したLEDを点滅することで文字や画像等の表示データを表示する表示装置と、該表示装置に表示する表示データを作成する表示データ編集装置とを備えた電光表示システムであって、
前記表示装置に、
プリント基板上に複数の発光体をドットマトリックス配列して構成する表示部と、
該表示部に発光表示する文字を標準フォントデータとして記憶する表示用標準フォント記憶部と、
前記表示部に発光表示する外字フォントを外字フォントデータとして記憶する外字フォント記憶部と、
前記表示部に配列する各発光体をそれぞれ単階調または多階調で発光駆動する表示駆動部とを備え、
前記表示データ編集装置に、
標準フォントデータを記憶する標準フォント記憶部と、
該標準フォント記憶部に記憶する標準フォントデータを基にして、多階調のドット情報からなるアンチエイリアスデータを読み出してドットパターン情報として展開し、この展開したドットパターンを縦横に拡大するアンチエイリアスデータ展開部と、
該アンチエイリアスデータ展開部の処理によって拡大したドットパターンの内の、拡大処理前のドットパターン構成より外側に位置する行及び列のドット情報を削除することにより拡大処理前のドットパターンサイズに戻し、この拡大処理前のサイズに戻したドットパターンに外字フォントコードを付与して外字フォントデータとする外字フォントデータ作成部と、
前記標準フォント記憶部から読み出した標準フォントデータおよび前記外字フォントデータ作成部で作成した外字フォントデータを用いて前記表示装置に表示する表示データを作成する表示データ作成部とを備え、
表示データ編集装置の外字フォントデータ作成部で作成した外字フォントデータを表示装置に転送し、発光表示用の外字フォントデータとして使用することを特徴とする電光表示システム。
【請求項2】
前記表示データ作成部で作成した表示データに標準フォントデータを含むとき、表示装置は表示用標準フォント記憶部から読み出した標準フォントを単階調で発光表示することを特徴とする請求項1記載の電光表示システム。
【請求項3】
前記表示データ作成部で作成した表示データに外字フォントデータを含むとき、表示装置は表示データに含まれる外字フォントデータのドットパターン情報または予め記憶した外字フォントデータに基づいて外字フォントを多階調で発光表示することを特徴とする請求項1記載の電光表示システム。
【請求項4】
前記表示データ編集装置の標準フォント記憶部に記憶する標準フォントデータの種類が複数であることを特徴とする請求項1記載の電光表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−265209(P2009−265209A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112063(P2008−112063)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】