説明

電力ケーブルの絶縁劣化診断方法

【課題】測定対象ケーブルの長さ及び長手方向における劣化程度の不均一性の影響を受けにくい電力ケーブルの絶縁劣化診断方法を提供すること。
【解決手段】絶縁劣化診断装置100では、測定対象ケーブル20に対して交流電圧を課電する際に、交流電圧Vacを短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら繰り返し課電し、各交流課電で検出される残留電荷Qのうち残留電荷Qが最大となる交流電圧Vを劣化判定値として用いるようにした。このため、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さの要素を考慮しない劣化判定が可能となり、また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの絶縁劣化診断方法に関し、特に、水トリーによる電力ケーブルの絶縁劣化を診断する絶縁劣化診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CV(Cross-linked polyethyleninsulated polyvinyl-chloride sheathed cable)ケーブルという)等のゴム・プラスチック電力ケーブルの耐電圧寿命特性を決定する主要な絶縁劣化現象の一つとして、水トリー劣化がある。
【0003】
この水トリー劣化は、ゴム・プラスチック電力ケーブルに対して、水が存在する環境下で長期間に亘って交流電圧を課電していると、絶縁体中のボイド、異物、突起等の電界集中部に微小な水ボイド集団が形成されて、これが電界方向に進展して発生する現象である。この水トリーは、その成長とともに絶縁破壊電圧を低下させ、最終的には運転中の電力ケーブルの絶縁破壊事故の原因となる。このため、CVケーブル等の電力ケーブルの絶縁劣化診断においては、水トリー劣化を信頼性高く検出することが重要な課題になっている。
【0004】
そこで、CVケーブル等の電力ケーブルの水トリー劣化を検出する有効な手法として残留電荷法が開発されている。この残留電荷法の手順について、図17を参照して説明する。まず、図17(a)に示すようにケーブルの絶縁体に直流電圧を課電し、次いで、同図(b)に示すように絶縁体の電極間を短絡・接地し、そして、同図(c)に示すように絶縁体に交流電圧等を課電して、この時に現れる直流成分を水トリーによる劣化信号として検出する方法である。
【0005】
この残留電荷法は、電力ケーブルに直流電圧等の課電により絶縁体中に空間電荷を蓄積させた後に、接地して直流印加電圧を取り除き、その後に絶縁体内に拘束された電荷(水トリー中の空間電荷等)を、交流電圧等の課電により放出させ、電荷、または電荷の移動に伴う直流電流を劣化信号として検出器により検出する方法である。
【0006】
また、実際のケーブル線路においては、有害性の高い水トリー以外の箇所、例えば、接続部のゴムとエポキシ等の異種接続材料界面、及び水トリーまでに至らない微小な水ボイド等、絶縁性能に影響を及ぼさない箇所にも、直流課電によって電荷が蓄積し、絶縁劣化診断の精度を低下させる要因となっている。
【0007】
この問題を解決する方法として、「有害な水トリーから発生する残留電荷信号は、交流課電に対する反応が他の成分からの残留電荷信号に比べて非常に早い」という知見に基づいて、図18に示す交流課電方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
この交流課電方法は、交流電圧を所定の電圧まで昇圧後、その電圧を保持することなく、直ちに降圧し、その時に現れる電荷ΔQ〜ΔQを用いて、有害な水トリーから発生する電荷Qを、近似式Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ )により算出する方法である。この交流課電方法を用いることにより、水トリーによる劣化信号と絶縁性能(交流破壊電圧)の相関を向上させて、絶縁劣化診断の精度を向上させている。
【特許文献1】特許第3663286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の知見に基づいた交流課電方法から算出される電荷Q は、ケーブル線路全体の劣化状況を示すものであり、ケーブルが長くなるほど、相対的に大きな値として検出される。このため、実際の劣化判定に際しては、ケーブルの有効長L(新設スパンや、洞道布設スパン等の劣化が存在しにくい箇所を除いた残りの長さ)でQを除算した値Q /Lを用いて劣化判定が行われている。
【0010】
すなわち、ケーブル線路全体における劣化の程度を平均化した劣化信号を判定しているため、図19に示すように、ケーブル線路全体が均一な劣化状態である場合と、不均一な劣化状態である場合とで、劣化診断に用いる値が同一のものとなり、均一劣化状態か、局所的な劣化状態との区別が曖昧になるという問題がある。
【0011】
また、有効長Lの算出に際しては、ケーブルの布設年数や布設状態を記録した線路情報カード等を事前に用意する必要があり、試験前の手順が煩雑であるという問題もある。
【0012】
そこで、本発明は係る問題を解決するため、測定対象ケーブルの長さ及び長手方向における劣化程度の不均一性の影響を受けにくい電力ケーブルの絶縁劣化診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、電力ケーブルに直流電源から直流電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電源から交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、前記交流電圧の課電に際して、交流電圧を短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら所定間隔で繰り返し課電する交流課電工程と、前記各交流課電時の残留電荷を測定し、残留電荷値が最大となる交流電圧を劣化判定値とする残留電荷測定工程と、を有する方法を採る。
【0014】
この方法によれば、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さの要素を無視した劣化判定、つまり、考慮せずに劣化判定が可能となり、また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断を行うことができる。
【0015】
また、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、前記交流課電工程において、前記各ステップの交流電圧の昇降圧時間を一定にする方法を採る。
【0016】
また、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、前記交流課電工程において、前記各ステップのトータルの課電時間を一定にする方法を採る。
【0017】
また、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、前記交流課電工程において、前記交流電圧のピーク値を突印し、前記各ステップのトータルの課電時間を一定にする方法を採る。
【0018】
これらの方法によれば、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さの要素を考慮しない劣化判定が可能となり、また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断を行うことができる。
【0019】
また、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、前記交流課電工程では、前記各ステップ毎に、同ピーク値での交流電圧の昇降圧を連続して3回ずつ繰り返して行い、前記残留電荷測定工程では、前記各ステップにおいて、前記連続して行われた同ピーク値課電による残留電荷の増加分をそれぞれ測定し、第1回目の交流電圧の課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第2回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第3回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、ΔQからΔQ×(ΔQ/ΔQ)を差し引いた電荷Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)を算出し、この算出した前記電荷Qを前記各交流課電時の残留電荷値とする方法を採る。
【0020】
この方法によれば、各ステップ毎の交流課電時の残留電荷値として、各ステップ毎で複数課電される交流電圧により現れる電荷ΔQ、ΔQ、ΔQを用いて、有害な水トリーから発生する電荷QをΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)により算出して各ステップ毎の残留電荷値とする。
【0021】
このように算出されたステップ毎の残留電荷値は、水トリー以外の電荷からなる誤差電荷が除去されたものとなり、これら誤差電荷が取り除かれた残留電荷値のうち、残留電荷値が最大となる交流電圧を劣化判定値として用いることによって、信頼性の高い絶縁劣化診断を行うことができる。
【0022】
よって、測定対象である電力ケーブルに対する課電電圧が高くなり、水トリー以外の誤差電荷が増加する可能性が生じる場合であっても、本方法によれば、測定される残留電荷値には、増加する水トリー以外の誤差電荷が含まれることなく、信頼性の高い絶縁劣化診断を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さの要素を考慮しない劣化判定が可能となり、また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法を適用した一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態1の絶縁劣化診断装置の構成を示す図である。図1において、絶縁劣化診断装置100は、直流電源1と、接地抵抗2と、交流電源3と、切換スイッチ4と、短絡スイッチ5と、検出用コンデンサ6と、交流電圧制御装置7と、直流電圧検出装置8と、から構成される。図中の20は測定対象ケーブルである。
【0026】
直流電源1は、正極側が接地され、負極側が切換スイッチ4の接点4aに接続されており、直流電圧Vdcを出力する。この場合、直流電源1の直流電圧Vdcは負極性としたが、正極性であっても何等問題ない。接地抵抗2は、一端部が接地され、他端部が切換スイッチ4の接点4bに接続されている。交流電源3は、低圧部(図示せず)が検出用コンデンサ6に接続され、高圧部(図示せず)が切換スイッチ4の接点4cに接続され、交流電圧Vacを出力する。
【0027】
切換スイッチ4は、3つの接点4a〜4cと、可動切片4dから構成され、可動切片4dの下流側は測定対象ケーブル20の終端部23に接続されている。切換スイッチ4は、測定対象ケーブル20に直流電圧Vdcを課電する際は可動切片4dを接点4aに接続し、測定対象ケーブル20を接地する際は可動切片4dを接点4bに接続し、測定対象ケーブル20に交流電圧Vacを課電する際は可動切片4dを接点4cに接続する。したがって、切換スイッチ4は、可動切片4dを切り換えることにより、測定対象ケーブル20の終端部23に対して、直流電圧Vdcの課電、接地及び交流電圧Vacの課電を行うことが可能である。
【0028】
短絡スイッチ5は、一端部が接地され、他端部が交流電源3の低圧部と検出用コンデンサ6との接続部に接続されている。短絡スイッチ5は、その接点を閉じることにより検出用コンデンサ6を短絡する。
【0029】
交流電圧制御装置(交流電圧制御部)7は、測定対象ケーブル20に対して交流電源3から交流課電を行う際に、その交流電源3から出力する交流電圧の昇降圧時間とピーク値、及び課電間隔を制御する。具体的には、この交流電圧制御装置7は、測定対象ケーブル20に対する交流電圧の課電に際して、交流電圧を短時間で昇降圧し、かつ、ステップ状にピーク値を上昇させながら所定間隔で繰り返し課電する制御を行う。
【0030】
また、交流電圧制御装置7は、同ピーク値で複数回、連続して交流課電を行うことができるとともに、この複数回の連続した交流課電を行う際に、交流電源3から出力する交流電圧の昇降圧時間及び課電間隔を制御する。なお、交流電圧制御装置7が交流電源3を用いて行う、同ピーク値で連続して行われる交流課電のそれぞれの交流課電を便宜上、同ピーク値課電という。
【0031】
直流電圧検出装置8は、測定対象ケーブル20に対して交流課電を行う際に、検出用コンデンサ6に生ずる直流電圧を検出する。このように直流電圧検出装置8は、検出した直流電圧を用いて、測定対象ケーブル20に対して交流課電を行う際の残留電荷値を測定できる。
【0032】
また、直流電圧検出装置8は、交流課電が同電圧値(同ピーク値)で複数回連続して行われた際(同ピーク値課電時)に、複数回のそれぞれの交流課電(同ピーク値課電)において現れる電荷を用いて、同ピーク値課電で構成するステップ毎の交流課電時の残留電荷値を算出する。
【0033】
例えば、交流電圧制御装置7によって交流電圧を短時間で昇降圧し、且つステップ状にピーク値を上昇させながら所定間隔で繰り返し課電するに際し、ステップ毎に3回、同電圧で交流電圧が課電されるものとする。この場合、直流電圧検出装置8は、各ステップにおける複数の交流電圧課電(同ピーク値課電)毎により現れる電荷を用いて、各ステップ毎、つまり、異なる交流電圧のピーク値毎の残留電荷値を算出する。
【0034】
具体的には、直流電圧検出装置8は、同電圧(同ピーク値)の交流電圧課電毎、つまり、各ステップの交流課電を構成する同ピーク値課電による残留電荷の増加分を測定する。ここで、各ステップにおける測定した残留電荷の増加分について、第1回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第2回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第3回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとする。
【0035】
これら残留電荷の増加分ΔQ,ΔQ,ΔQを用いて、直流電圧検出装置8は、ΔQからΔQ×(ΔQ/ΔQ)を差し引いた電荷Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)を各ステップ時の残留電荷値として算出する。
【0036】
絶縁劣化診断装置100は、直流電圧検出装置8を介して、算出した残留電荷値を用い、これら算出した残留電荷値が最大となる交流電圧を劣化判定値として劣化診断を行う。
【0037】
測定対象ケーブル20は、CVケーブルであり、導体21と、導体21の周囲を覆う絶縁体22及び絶縁体22の周囲を覆う金属遮蔽層24から構成される。また、測定対象ケーブル20の終端部23には、切換スイッチ4からのリード線が接続されている。なお、金属遮蔽層24は接地されている。
【0038】
次に、図1の絶縁劣化診断装置100における測定対象ケーブル20の測定手順について説明する。
【0039】
まず、短絡スイッチ5を短絡状態とし、切換スイッチ4の可動切片4dを接点4aに接続し、直流電源1の直流電圧Vdcを測定対象ケーブル20の終端部23に課電する。次いで、短絡スイッチ5の短絡状態を維持し、切換スイッチ4の可動切片4dを接点4aから接点4bに切り換えて、測定対象ケーブル20の終端部23を接地して、課電した直流印加電圧を取り除く。
【0040】
次いで、短絡スイッチ5を開放状態とし、切換スイッチ4の可動切片4dを接点4bから接点4cに切り換えて、交流電源3の交流電圧Vacを測定対象ケーブル20の終端部23に課電する。この時に、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、検出用コンデンサ6の端子間直流電圧Vsとして直流電圧検出装置8で検出することにより、測定対象ケーブル20の絶縁体22内に拘束された残留電荷Qを測定する。
【0041】
本実施の形態の絶縁劣化診断装置100では交流課電方法に特徴があり、交流課電方法ついて図2及び図3を参照して説明する。
【0042】
図2は、交流電圧Vacを短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら一定間隔で繰り返し課電し、各交流課電で検出される残留電荷Qの変化を示した図である。
【0043】
図2において、まず、交流電圧制御装置7は、交流電圧をV まで昇圧後、電圧を保持せず直ちに降圧する。以後、同様の昇降圧動作をピーク値をV,V,・・・・,V10 をステップ状に上昇させながら、一定の間隔で繰り返し行う。この交流課電により、検出用コンデンサ6により検出される残留電荷をQ(Q,Q,Q,・・・・,Q10)とする。この時、図3に示すように、残留電荷Qが最も大きく現れる電圧値を、劣化判定値として用いる。図3の例では、交流電圧のピーク値をV とした場合に検出された残留電荷Q が最も大きい値であるため、交流電圧値V を劣化判定値として用いる。
【0044】
この交流課電方法を用いることにより、交流課電に対して応答が早い残留電荷の検出が可能になることについて、図4〜図7を参照して説明する。
【0045】
図4及び図5は、劣化が大きい電力ケーブルに対して上記交流課電方法により交流電圧V,V,V,・・・・,V10を課電し、残留電荷Qを検出した場合を示している。図6及び図7は、劣化が小さい電力ケーブルに対して上記交流課電方法により交流電圧V,V,V,・・・・,V10を課電し、残留電荷Qを検出した場合を示している。
【0046】
図4及び図5に示す例では、劣化が大きい電力ケーブルに対して上記交流課電方法により交流電圧を課電した場合は、交流電圧V とした場合に残留電荷Q が最も大きく現れている。また、図6及び図7に示す例では、劣化が小さい電力ケーブルに対して上記交流課電方法により交流電圧を課電した場合は、交流電圧V とした場合に残留電荷Q が最も大きく現れている。
【0047】
これらの結果により、劣化の程度が異なる2種類の電力ケーブルに対して上記交流課電方法により交流電圧を課電すると、劣化の程度が大きい場合は比較的低い交流電圧で残留電荷の最大値が現れることに対し、劣化の程度が小さい場合は比較的高い電圧で残留電荷の最大値が現れている。
【0048】
すなわち、「劣化の程度が大きい電力ケーブルの方が交流電圧に対する反応が早い」ということが言える。言い換えれば、残留電荷の交流電圧に対する応答が、比較的低い電圧で活発に現れるということである。
【0049】
次に、上記交流課電方法を採用することにより電力ケーブルの長さや、長手方向の劣化のバラツキが劣化診断に与える影響が小さくなることについて、図8〜図12を参照して説明する。
【0050】
図8は、ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一である場合の残留電荷Qの測定例を示している。同図において、(a)は劣化状態が均一である長さaの電力ケーブルを示し、(b)は上記交流課電方法による残留電荷の測定結果を示し、(c)は劣化状態が均一である長さ4aの電力ケーブルを示し、(d)は上記交流課電方法による残留電荷の測定結果を示す。
【0051】
この場合、ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さによって残留電荷Qの値は変わるものの、残留電荷Qの最大値が現れる電圧V は不変である。このため、同一の劣化状態であれば、長さの要素を無視した劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断が行える。
【0052】
図9〜図11は、ケーブル線路全体に亘って劣化状態が不均一の場合の残留電荷Qの測定例を示している。
【0053】
図9において、(a)はケーブル線路全体に亘って劣化状態が大きい長さaの電力ケーブルを示し、(b)は上記交流課電方法による残留電荷の測定結果を示す。また、図10において、(a)はケーブル線路全体に亘って劣化状態が小さい長さaの電力ケーブルを示し、(b)は上記交流課電方法による残留電荷の測定結果を示す。
【0054】
図9は、上記図8(a)、(b)と同様の測定結果であり、これに対して、図10(a)に示す劣化状態が小さい同一長さのケーブルの残留電荷Qの最大値は、(b)に示すように比較的高い交流電圧V に現れている。これら図9及び図10に示す長さaで劣化状態が大きい領域と小さい領域が混在するケーブルの例を図11(a)に示す。このケーブルに対して上記交流課電方法による残留電荷の測定結果を同図(b)に示す。
【0055】
この場合、ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、残留電荷Qの最大値は電圧V を課電した時に残留電荷Q として現れており、劣化状態が最も大きい部分に蓄積される残留電荷Qの情報は失われていないことが判る。このため、ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断が行える。
【0056】
以上のように、本実施の形態の絶縁劣化診断装置100では、測定対象ケーブル20に対して交流電圧を課電する際に、交流電圧Vacを短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら繰り返し課電し、各交流課電で検出される残留電荷Qのうち最大の残留電荷Qが現れる交流電圧Vを劣化判定値として用いるようにした。このため、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であれば、長さの要素を考慮しない劣化判定が可能となり、また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない劣化判定が可能となり、より判りやすい劣化診断を行うことができる。
【0057】
したがって、本実施の形態の交流課電方法を従来の絶縁劣化診断装置に適用することにより、測定対象ケーブルの長さ及び長手方向における劣化程度の不均一性の影響を受けにくい電力ケーブルの絶縁劣化診断方法を提供することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態の絶縁劣化診断装置100では、交流課電方法として、交流電圧を短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら一定間隔で繰り返し課電する場合を示したが、この課電パターンに限るものではない。以下に、他の交流課電パターンについて、図12〜図14を参照して説明する。
【0059】
図12は、各ステップの交流電圧の昇降圧速度を一定にした例を示す。図13は、交流電圧の昇降圧を行い、各ステップのトータルの課電時間tを一定にする例を示す。図14は、交流電圧のピーク値を突印し、各ステップのトータルの課電時間tを一定にする例を示す。これらの交流課電方法によっても、各交流課電で検出される残留電荷Qのうち最大の残留電荷Qが現れる交流電圧Vを劣化判定値として用いることができる。
【0060】
なお、本実施の形態の絶縁劣化診断装置100における上述した交流課電方法において、ピーク値が異なる各交流電圧Vの課電、つまり、ステップ毎の交流電圧の課電により測定される残留電荷Qは、上記構成を逸脱しない限りどのように検出されてもよい。
【0061】
例えば、残留電荷Qは、ピーク値が異なる交流電圧課電の各ステップにおいて、交流電圧を零から規定値(V、V、…、V10)まで昇降圧する動作を複数回連続して行い、これら複数回連続して交流課電を行うことにより現れる残留電荷を用いて算出するものであってもよい。
【0062】
すなわち、電力ケーブルに直流電源から直流電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電源から交流電圧を短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら所定間隔で繰り返し課電する交流課電工程において、各ステップ毎に、同ピーク値での交流電圧の昇降圧を連続して3回ずつ繰り返して行う。
【0063】
この交流課電工程に次いで行われる残留電荷測定工程において、各ステップにおいて、連続して行われた同ピーク値課電による残留電荷の増加分をそれぞれ測定し、第1回目の交流電圧の課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第2回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第3回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、ΔQからΔQ×(ΔQ/ΔQ)を差し引いた電荷Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)を算出する。この算出した電荷Qを前記各交流課電時の残留電荷値とし、これらピーク値が異なる交流課電時毎の残留電荷値が、最大となる交流電圧を劣化判定値とする。
【0064】
このような本実施の形態の絶縁劣化診断装置100における交流課電方法について、交流課電方法の別例として図15及び図16を参照して詳細に説明する。
【0065】
図15は、本実施の形態に係る交流課電方法の別例による交流電圧と残留電荷の関係を示す図である。なお、この図15は、図2において交流電圧Vacを短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら一定間隔で繰り返し課電した各交流課電のステップにおいて、同じ交流電圧を複数回(ここでは3回)課電して、検出される残留電荷Qの変化を示した図である。
【0066】
図15において、まず、交流電圧制御装置7は、交流電圧をVまで昇圧後、電圧を保持せず直ちに降圧する。これを複数回、ここでは3回繰り返す。このように同電圧Vで複数回(ここでは、3回)繰り返して行う交流課電V11,V12,V13が、1ステップの交流課電Vを構成している。なお、昇降圧する時間は、劣化とは無関係な残留電荷の緩和時間よりも短い時間などが挙げられる。
【0067】
以後、同様の昇降圧動作及び繰り返し動作をピーク値V,V,・・・・,V10 をステップ状に上昇させながら、それぞれのステップ毎において、つまり、それぞれのピーク値において複数回、ここでは3回ずつの交流電圧の昇降圧(ピーク値課電)を繰り返し行う。具体的には、ピーク値Vにおける複数回の交流電圧の課電V21,V22,V23、ピーク値Vにおける複数回の交流電圧の課電V31,V32,V33、…、ピーク値V10における複数回の交流電圧の課電V101,V102,V103を実施する。このように3回ずつの同じ電圧値での課電(ピーク値課電)を、一定の間隔で繰り返し行い、各ステップ毎に電圧をステップ状に上昇させる。この一定の間隔は、ステップ間の間隔と同じにしてもよい。
【0068】
なお、各ピーク値課電では、交流電圧を零から所定の値まで、劣化部分から発生する残留電荷の緩和時間と同等以上で、かつ劣化とは無関係な残留電荷の緩和時間よりも短い時間(約5秒)で昇圧した後、電圧を保持することなく零まで降下させている。なお交流電圧の昇圧から0までの降下時間は約5〜15秒程度である。
【0069】
このように同ピーク値の交流課電を複数繰り返してステップ毎の交流課電を行うことにより、検出用コンデンサ6により検出されるそれぞれの残留電荷をΔQ11,ΔQ12,ΔQ13,・・・・,ΔQ103とする。
【0070】
例えば、図15では、最初の1ステップ交流課電(ピーク値V)において、複数回行われるステップ内交流電圧(V11、V12、V13)により検出用コンデンサ6で検出される残留電荷は、(ΔQ11、ΔQ12、ΔQ13)となっている。また、2番目のステップ交流課電(ピーク値V)において、複数回行われるステップ内交流電圧(V21、V22、V23)により検出用コンデンサ6で検出される残留電荷は、(ΔQ21,ΔQ22,ΔQ23)となっている。
【0071】
同様に、ピーク値が順に上昇する各ステップ交流課電(ピーク値V,V,V,…,V10)では、それぞれのステップ内交流電圧は、V31、V32、V33,V41、V42、V43,V51、V52、V53,…,V101、V102、V103である。そして、これらステップ内交流電圧により検出用コンデンサ6で検出される残留電荷は、ΔQ31、ΔQ32、ΔQ33,ΔQ41、ΔQ42、ΔQ43,ΔQ51、ΔQ52、ΔQ53,…,ΔQ101、ΔQ102、ΔQ103となっている。
【0072】
このように検出用コンデンサ6において検出された残留電荷(測定されるピーク値課電による残留電荷Qの増加分ΔQ)を用いて、直流電圧検出装置8は、同電圧で交流課電する各ステップにおける残留電荷Qを誤差電荷を除去した状態で算出する。
【0073】
例えば、同電圧Vで複数回(ここでは、3回)交流課電した際に、検出用コンデンサ6により検出される残留電荷(ΔQ11,ΔQ12,ΔQ13)を用いて、直流電圧検出装置8は、Vのときの残留電荷QをΔQ11からΔQ12×(ΔQ12/ΔQ13)を差し引いた電荷Q=ΔQ11−ΔQ12×(ΔQ12/ΔQ13)を算出する。同様に、Vのときの残留電荷値QはΔQ21−ΔQ22×(ΔQ22/ΔQ23)で算出し、Vのときの残留電荷QはΔQ31−ΔQ32×(ΔQ32/ΔQ33)で算出する。また、Vのときの残留電荷QはΔQ41−ΔQ42×(ΔQ42/ΔQ43)で算出する。Vのときの残留電荷QはΔQ51−ΔQ52×(ΔQ52/ΔQ53)で算出し、…、V10のときの残留電荷Q10はΔQ101−ΔQ102×(ΔQ102/ΔQ103)で算出する。
【0074】
なお、この電荷を求める式(Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)は、周知のように、有害性の高い水トリー(長い水トリーまたは内部導電率の高い水トリー)が起源の残留電荷は、それ以外(微小な水トリー、接続部界面、等)の要因が起源の残留電荷に比べて、交流課電に対する応答速度が非常に速く、数秒程度で応答が完了するという性質を有するという知見に基づき導出されている。すなわち、劣化による電荷の応答は速く、誤差要因による電荷は遅く、応答の速い残留電荷成分(劣化信号)のみを抽出しようとするものである。この式を用いた手法により、交流課電に対する応答の速い電荷のみを抽出でき、診断の信頼性が飛躍的に向上する。
【0075】
このように直流電圧検出装置8は、測定した同電圧値(同ピーク値)での交流電圧課電するステップ毎における同ピーク課電毎の残留電荷を用いて、ステップ毎の交流電圧課電による残留電荷値Qとして算出する。この算出した残留電荷値Qの一例を図16に示す。
【0076】
図16は、本実施の形態に係る図15に示す各ステップにおける交流課電時の残留電荷値の変化を示す図である。
【0077】
図16に示すように、残留電荷Qが最も大きく現れる電圧値を、劣化判定値として用いる。図16の例では、図3と同様に、交流電圧のピーク値をVとした場合に検出された残留電荷Q が最も大きい値であるため、交流電圧値Vを劣化判定値として用いる。
【0078】
このように、本実施の形態の絶縁劣化診断装置100を用いた交流課電方法の別例によれば、同電圧を交流課電して、その電圧のピーク値をステップ状に上昇させながら所定間隔で繰り返し課電する。これに加えて、ステップ毎においても複数の交流課電を繰り返し、これらステップ毎の交流課電での残留電荷を用いて、ステップ自体の残留電荷値を算出している。
【0079】
詳細には、直流電圧検出装置8は、検出用コンデンサ6を用いて、同電圧値(同ピーク値、例えばV)で交流課電する交流課電ステップ毎において、第1回目の交流課電前後における残留電荷の増加分ΔQ(例えば、ΔQ11)を測定する。
【0080】
この第1回目の交流課電前後における残留電荷の増加分ΔQを測定した後に、第1回目と全く同様にして第2回目の交流課電(例えば、V12)を行い、第2回目の交流課電前後における残留電荷の増加分(例えば、ΔQ12)を測定する。
【0081】
次いで、第1回目と全く同様にして第3回目の交流課電(例えば、V13)を行い、第3回目の交流課電前後における残留電荷の増加分(例えば、ΔQ13)を測定する。
【0082】
これらの測定完了後、絶縁劣化診断装置100は、直流電圧検出装置8を介して、Q=ΔQ11−ΔQ12×(ΔQ12/ΔQ13)として得られる緩和時間の短い残留電荷Qをステップ自体の残留電荷値として劣化診断に用いる。
【0083】
これにより、電力ケーブルに課電される交流電圧が高くなるにつれて、水トリー以外からの電荷としての誤差電荷が増加する可能性があっても、交流課電ステップ毎に算出される残留電荷値では、誤差電荷は除去されているため、信頼性の高い残留電荷値となっている。
【0084】
つまり、各ステップ毎に算出される残留電荷値では、誤差電荷の影響が著しく低減されている。したがって、電力ケーブル線路全体に亘って劣化状態が均一であっても、長さの要素を考慮せずに劣化判定を信頼性の高い状態で実現することができる。また、電力ケーブルの長手方向で劣化状態にバラツキが存在する場合でも、均一劣化状態のケーブルと大差ない信頼性の高い劣化判定を行うことができるため、より判りやすい信頼性の高い劣化診断を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、測定対象ケーブルの長さ及び長手方向における劣化程度の不均一性の影響を受けにくい電力ケーブルの絶縁劣化診断を実現し、特に、現地線路の絶縁劣化診断に適用して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施の形態に係る絶縁劣化診断装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施の形態に係る交流課電方法による交流電圧と残留電荷の関係を示す図
【図3】本実施の形態に係る図2の各ステップの交流課電時の残留電荷値の変化を示す図
【図4】本実施の形態に係る交流課電方法を劣化が大きい電力ケーブルに適用した場合の交流電圧と残留電荷の関係を示す図
【図5】本実施の形態に係る図4の各ステップの交流課電時の残留電荷値の変化を示す図
【図6】本実施の形態に係る交流課電方法を劣化が小さい電力ケーブルに適用した場合の交流電圧と残留電荷の関係を示す図
【図7】本実施の形態に係る図6の各ステップの交流課電時の残留電荷値の変化を示す図
【図8】本実施の形態に係る(a)は長さaで均一劣化状態の電力ケーブル例を示す図、(b)は(a)の電力ケーブルにステップ状の交流課電を行った場合の残留電荷値の変化を示す図、(c)は長さ4aで均一劣化状態の電力ケーブル例を示す図、(d)は(c)の電力ケーブルにステップ状の交流課電を行った場合の残留電荷値の変化を示す図
【図9】本実施の形態に係る(a)は長さaで劣化状態が大きい電力ケーブル例を示す図、(b)は(a)の電力ケーブルにステップ状の交流課電を行った場合の残留電荷値の変化を示す図
【図10】本実施の形態に係る(a)は長さaで劣化状態が小さい電力ケーブル例を示す図、(b)は(a)の電力ケーブルにステップ状の交流課電を行った場合の残留電荷値の変化を示す図
【図11】本実施の形態に係る(a)は長さ方向の劣化にバラツキがある電力ケーブル例を示す図、(b)は(a)の電力ケーブルにステップ状の交流課電を行った場合の残留電荷値の変化を示す図
【図12】本実施の形態に係る各ステップの交流電圧の昇降圧速度を一定にした例を示す図
【図13】本実施の形態に係る交流電圧の各ステップにおけるトータルの課電時間を一定にする例を示す図
【図14】本実施の形態に係る交流電圧のピーク値を突印して各ステップにおけるトータルの課電時間を一定にする例を示す図
【図15】本実施の形態に係る交流課電方法による交流電圧と残留電荷の関係を示す図
【図16】本実施の形態に係る図15に示す各ステップにおける交流課電時の残留電荷値の変化を示す図
【図17】従来の残留電荷法の手順として、(a)は直流電圧の課電状態を示す図、(b)は接地状態を示す図、(c)は交流電圧の課電状態を示す図
【図18】従来の交流課電方法を示す図
【図19】従来のケーブル線路における均一な劣化状態と不均一な劣化状態の例を示す図
【符号の説明】
【0087】
1 直流電源
2 接地抵抗
3 交流電源
4 切換スイッチ4
4a〜4c 接点
4d 可動切片
5 短絡スイッチ
6 検出用コンデンサ
7 交流電圧制御装置
8 直流電圧検出装置
20 測定対象ケーブル
21 導体
22 絶縁体
23 終端部
24 金属遮蔽層
100 絶縁劣化診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルに直流電源から直流電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電源から交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において、
前記交流電圧の課電に際して、交流電圧を短時間で昇降圧し、かつステップ状にピーク値を上昇させながら所定間隔で繰り返し課電する交流課電工程と、
前記各交流課電時の残留電荷値を測定し、残留電荷値が最大となる交流電圧を劣化判定値とする残留電荷測定工程と、を有することを特徴とする電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
【請求項2】
前記交流課電工程において、前記各ステップの交流電圧の昇降圧時間を一定にすることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
【請求項3】
前記交流課電工程において、前記各ステップのトータルの課電時間を一定にすることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
【請求項4】
前記交流課電工程において、前記交流電圧のピーク値を突印し、前記各ステップのトータルの課電時間を一定にすることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
【請求項5】
前記交流課電工程では、前記各ステップ毎に、同ピーク値での交流電圧の昇降圧を連続して3回ずつ繰り返して行い、
前記残留電荷測定工程では、前記各ステップにおいて、前記連続して行われた同ピーク値課電による残留電荷の増加分をそれぞれ測定し、第1回目の交流電圧の課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第2回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、第3回目の交流電圧課電による残留電荷の増加分をΔQとし、ΔQからΔQ×(ΔQ/ΔQ)を差し引いた電荷Q=ΔQ−ΔQ×(ΔQ/ΔQ)を算出し、この算出した前記電荷Qを前記各交流課電時の残留電荷値とすることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−292462(P2007−292462A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110812(P2006−110812)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(502122521)株式会社エクシム (25)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】