説明

電力デマンド制御装置

【課題】電力供給の遮断に対する公平性を各負荷の間で確保することができる電力デマンド制御装置を提供する。
【解決手段】各負荷の使用電力量、運転時間、目標電力量に対する使用電力量の割合のうちの少なくとも一つを制御パラメータとして所定期間の間隔で集計する集計手段と、期間が始まる際に、稼動させる各負荷の使用電力量の合計値が全体の目標電力量を超えないように、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する各負荷の優先順位を決定する決定手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力デマンド制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力デマンド制御装置は、予め登録されている優先順位に基づいて、電力供給を遮断する各負荷群を選定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−9502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際には優先順位の差がない各負荷群にも電力制御を実施するために優先順位を設定する必要がある。この場合、電力供給を遮断する優先順位を高く設定された各負荷群は、電力供給を遮断する優先順位を低く設定された各負荷群よりも先に電力供給が遮断される。このため、電力供給の遮断に対する公平性が確保されない。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷の間で確保することができる電力デマンド制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力デマンド制御装置は、各負荷の使用電力量、運転時間、目標電力量に対する使用電力量の割合のうちの少なくとも一つを制御パラメータとして所定期間の間隔で集計する集計手段と、期間が始まる際に、稼動させる各負荷の使用電力量の合計値が全体の目標電力量を超えないように、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する各負荷の優先順位を決定する決定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷の間で確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置の制御パラメータの一例を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置により電力供給を遮断する各負荷群の優先順位を決定する方法の一例を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置のブロック図である。
【0011】
図1において、1は各負荷群である。各負荷群1は、空調設備、照明設備、防犯設備等のビルの設備を消費電力等に基づいてグループ化したものである。2は負荷制御手段である。負荷制御手段2は、各負荷群1の動作を制御する機能を備える。3は計測手段である。計測手段3は、各負荷群1の使用電力量、運転時間の積算値、目標電力量に対する使用電力量の割合等を計測する機能を備える。
【0012】
4は時刻監視手段である。時刻監視手段4は、時間・時刻を監視する機能を備える。5はパラメータ入力手段である。パラメータ入力手段5は、所定の操作がなされた際に、電力供給を遮断する各負荷群1の順番を決定する際の制御パラメータを指定する機能を備える。
【0013】
6は演算手段である。演算手段6は、集計手段として、各負荷群1の使用電力量、運転時間の積算値、目標電力量に対する使用電力量の割合等の中から指定された制御パラメータの集計値を所定期間の間隔で演算する機能を備える。演算手段6は、決定手段として、期間が始まる際に、稼動させる各負荷群1の使用電力量の合計値が全体の目標電力量を超えないように、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定する機能を備える。
【0014】
次に、図2を用いて、制御パラメータの一例を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置の制御パラメータの一例を説明するための図である。
【0015】
図2においては、電力供給を遮断する優先順位を付ける各負荷群1として、グループA〜Cが指定される。優先順位を付ける判定条件として、使用電力量が指定される。優先順位を付ける演算タイミングとして、毎日0時が指定される。
【0016】
次に、図3を用いて、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定する方法の一例を説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置により電力供給を遮断する各負荷群の優先順位を決定する方法の一例を説明するための図である。
【0017】
演算手段6は、毎日の0時の演算タイミングにおいて、前日の0時から現時点までのグループA〜Cの使用電力量を集計する。当該集計結果に基づいて、演算手段6は、グループA〜Cに対し、電力供給を遮断する優先順位を決定する。
【0018】
図3においては、グループAの使用電力量は、1000kWである。グループBの使用電力量は、800kWである。グループCの使用電力量は、900kWである。この場合、演算手段6は、グループA、グループC、グループBの順番で電力供給を遮断するように優先順位を決定する。
【0019】
次に、図4を用いて、電力デマンド制御装置の動作を説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における電力デマンド制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
ステップS1では、演算手段6は、指定時刻になったか否かを判定する。例えば、図2の設定がなされている場合、演算手段6は、0時になった否かを判定する。指定時刻になっていない場合は、ステップS1が繰り返される。これに対し、指定時刻になった場合は、ステップS2に進む。
【0021】
ステップS2では、演算手段6は、遮断グループとして指定された各負荷群1に対し、指定された計測値を取得する。例えば、図2の設定の場合、演算手段6は、グループA〜Cに対し、直前の0時から現時点までの使用電力量を取得する。
【0022】
その後、ステップS3に進み、演算手段6は、取得した使用電力量に基づいて、電力供給を遮断する際の優先順位を決定するための演算を開始する。例えば、図3の電力使用量の場合、演算手段6は、グループA、グループC、グループBの順番で電力供給を遮断するように優先順位を決定する。
【0023】
その後、ステップS4に進み、各負荷群1の使用電力量の合計値が所定の目標電力量に近づくと、電力デマンド制御が実施される。具体的には、演算手段6は、決定した優先順位に対応した電力遮断指令を負荷制御手段2に出力する。当該電力遮断指令に基づいて、負荷制御手段2は、各負荷群1への電力供給を順番に遮断する。例えば、図3の電力使用量の場合、グループA、グループC、グループBの順番で、電力供給が遮断される。
【0024】
以上で説明した実施の形態1によれば、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位が決定される。例えば、直前の期間で使用電力量の少ない各負荷群1は、当該期間において、優先的に電力を使用することができる。すなわち、直前の期間に節電へ貢献した利用者のいる領域においては、次の期間で各負荷群1を利用できる可能性が高まる。このため、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷群1の間で自動的に確保することができる。
【0025】
また、演算タイミングは、パラメータ入力手段5で指定される。このため、1時間、1週間等、所望の期間で電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定することができる。
【0026】
なお、各負荷群1において、直前の期間に集計された制御パラメータの差が所定範囲内の場合は、直前の期間の一つ前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定すればよい。この場合、各負荷群1において、直前の期間に集計された制御パラメータの差がほとんどなくても、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定することができる。
【0027】
また、演算手段6は、変更手段として、各負荷群1において、直前の期間に計測された制御パラメータの差が所定範囲内の場合に所定期間を長くしてもよい。この場合、その後の期間において、当該各負荷群1に対し、制御パラメータの集計値の差が付きやすくなる。このため、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷群1の間でより適切に確保することができる。
【0028】
また、制御パラメータを各負荷群1の使用人数で除した値に基づいて、電力供給を遮断する各負荷群1の優先順位を決定してもよい。この場合、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷群1の間でより適切に確保することができる。
【0029】
また、事務の部署、製造の部署、給食の部署等、部署単位で各負荷群1がグループ化してもよい。この場合、各部署の重要度等に応じて、各負荷群1に重み付けをすればよい。例えば、製造の部署の各負荷群1への電力供給が遮断されないように重み付けをすればよい。この場合、電力デマンド制御を実施しても、製造ラインが停止することを防止できる。
【0030】
また、各負荷群1が設置された領域の広さを考慮してもよい。例えば、広い領域に設置された各負荷群1への電力供給が遮断されないように重み付けをすればよい。この場合、領域の広さに応じて、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷群1の間でより適切に確保することができる。
【0031】
また、各負荷群1の空調機の台数を考慮してもよい。例えば、空調機の台数が多い各負荷群1への電力供給が遮断されないように重み付けをすればよい。この場合、空調機の台数に応じて、電力供給の遮断に対する公平性を各負荷群1の間でより適切に確保することができる。
【0032】
また、空調設備等の各負荷を消費電力の設定値に対応付けて記憶した記憶手段を設けてもよい。この場合、演算手段6等により、所定範囲内の消費電力の各負荷をグループ化して、各負荷群1を設定すればよい。この際、演算手段6等により、各負荷群1の中の各負荷に対して、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する優先順位を決定してもよい。この場合、電力供給の遮断に対する公平性を個々の負荷の間でより適切に確保することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 各負荷群
2 負荷制御手段
3 計測手段
4 時刻監視手段
5 パラメータ入力手段
6 演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各負荷の使用電力量、運転時間、目標電力量に対する使用電力量の割合のうちの少なくとも一つを制御パラメータとして所定期間の間隔で集計する集計手段と、
期間が始まる際に、稼動させる各負荷の使用電力量の合計値が全体の目標電力量を超えないように、現時点の期間の直前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する前記各負荷の優先順位を決定する決定手段と、
を備えたことを特徴とする電力デマンド制御装置。
【請求項2】
前記集計手段は、前記各負荷の使用電力量を前記制御パラメータとして前記所定期間の間隔で集計し、
前記決定手段は、期間が始まる際に、前記直前の期間で計測された使用電力量が多い負荷ほど、電力供給を遮断する優先順位を高くすることを特徴とする請求項1記載の電力デマンド制御装置。
【請求項3】
前記集計手段は、入力手段からの指定により、前記所定期間を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力デマンド制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記各負荷において、前記直前の期間に集計された制御パラメータの差が所定範囲内の場合は、前記直前の期間の一つ前の期間に集計された制御パラメータに基づいて、電力供給を遮断する前記各負荷の優先順位を決定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電力デマンド制御装置。
【請求項5】
前記各負荷において、前記直前の期間に集計された制御パラメータの差が所定範囲内の場合は、前記所定期間を長くする変更手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電力デマンド制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70584(P2013−70584A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209355(P2011−209355)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】