説明

電力供給システムの制御方法、及び電力供給システム

【課題】電力系統の需給バランスを安定して維持できるようにする。
【解決手段】低圧配電線4ごとに設けた通信装置20が、他の低圧配電線4に接続している発電機5の出力合計と他の低圧配電線4に接続している負荷6の電力消費量の合計との差である他低圧配電線需給差を他の通信装置20から取得し、自低圧配電線需給差と他低圧配電線需給差とに基づき、自低圧配電線需給差を解消するのに用いる電力の調整量を求めて計測指令装置10に通知し、低圧配電線4に接続する負荷6に付設される計測指令装置10が、自低圧配電線需給差と調整量とに基づき、自身が接続している低圧配電線4に接続している負荷6の制御量である負荷制御量を求め、求めた負荷制御量を自身が接続している低圧配電線4の負荷6の夫々に配分して負荷6の電力消費量を制御するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムの制御方法、及び電力供給システムに関し、とくに電力系統の需給バランスを安定して維持するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクログリッド等における多数の発電機の需給制御方法として、各発電機が系統の周波数と自身の現在出力とを計測し、その計測値と通信回線を通じて取得した他の発電機の現在出力とに基づき地域要求量(AR)を求め、求めた地域要求量(AR)を所定の配分方法に従って各発電機に配分し、各発電機が自身の出力を計算することにより、電力系統の自律的な制御を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変電所に接続する高圧配電線と、高圧配電線に接続する複数の低圧配電線と、低圧配電線の夫々に接続する発電機と、低圧配電線の夫々に接続する負荷とを含む電力系統においては、低圧配電線に太陽光発電機のように出力変動の大きな発電機が接続している場合には、需給バランスを維持するために、出力調整が容易なコージェネレーション発電機(ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、ガスエンジン発電機等)等を用意する必要がある。また太陽光発電機の出力変動によって高圧配電線側の電圧変動が生じ、高圧配電線側で需給調整しろを大きくとる必要がある。また系統事故等により太陽光発電機が一斉に解列した場合には、需給バランスが大きく崩れ、高圧配電線側の潮流に大きな影響が生じる。
【0005】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、電力系統の需給バランスを安定して維持することが可能な電力供給システムの制御方法、及び電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一つは、変電所に接続する高圧配電線と、前記高圧配電線に接続する複数の低圧配電線と、前記低圧配電線の夫々に接続する発電機と、前記低圧配電線の夫々に接続する負荷とを含む電力供給システムの制御方法であって、前記低圧配電線の夫々に、前記発電機の出力を計測する計測装置と、前記負荷の電力消費量を計測する計測指令装置と、前記計測装置及び前記計測指令装置と通信可能に接続する通信装置とを設け、前記通信装置同士を互いに通信可能に接続し、前記計測指令装置の夫々が、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である自低圧配電線需給差を求め、前記通信装置の夫々が、他の前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と他の前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である他低圧配電線需給差を他の前記通信装置から取得し、前記自低圧配電線需給差と前記他低圧配電線需給差とに基づき、前記自低圧配電線需給差を解消するのに用いる電力の調整量を求めて前記計測指令装置に通知し、前記計測指令装置の夫々が、前記自低圧配電線需給差と前記調整量とに基づき、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の制御量である負荷制御量を求め、求めた前記負荷制御量を所定の配分条件に従い、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の夫々に配分し、配分した負荷制御量に従い前記負荷の夫々の電力消費量を制御することとする。
【0007】
本発明によれば、高圧配電線に接続している低圧配電線間で電力を融通し合うことができる。このため、低圧配電線に、例えば太陽光発電機のように出力変動の大きな発電機が接続しているような場合でも、コージェネレーション発電機(ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、ガスエンジン発電機等)等を用意することなく、出力変動を抑制することができる。また本発明によれば、低圧配電線側の出力変動の高圧配電線側への影響が軽減され、太陽光発電機などの発電機の出力変動分の需給調整しろが緩和される。また低圧配電線間で電力を融通し合うことにより、高圧配電線の潮流変動が抑制され、高圧配電線の電圧変動を抑制することができる。
【0008】
また本発明のうちの他の一つは、上記制御方法であって、前記発電機には太陽光発電機が含まれていることとする。
【0009】
また本発明のうちの他の一つは、上記制御方法であって、前記発電機には太陽光発電機が含まれており、前記負荷には蓄電負荷、蓄熱負荷の少なくともいずれかが含まれており、前記太陽光発電機の出力を、前記蓄電負荷又は前記蓄熱負荷の少なくともいずれかで消費することとする。
【0010】
太陽光発電機の出力を蓄電負荷、蓄熱負荷のいずれかで消費することで、太陽光発電機の出力変動の高圧配電線への波及を軽減することができる。また系統事故等により太陽光発電機が一斉に解列した場合には、一般に解列時には蓄電負荷又は蓄熱負荷は運転しないため、太陽光発電機が解列しても需給バランスに影響を与えることがない。
【0011】
また本発明のうちの他の一つは、上記制御方法であって、前記計測指令装置の夫々は、他の前記計測指令装置から他の前記計測指令装置が計測している前記負荷の電力消費量の可変域を示す情報を受信し、前記他の前記計測指令装置が計測している前記負荷の電力消費量が当該負荷の前記可変域の範囲内になるように前記負荷制御量を前記負荷に配分することとする。
【0012】
本発明によれば、計測指令装置は、負荷の電力消費量が可変域の範囲内になるように、負荷制御量を負荷に配分するので、負荷の夫々の特性に応じて負荷制御量を配分することができ、自律的な需給制御を適切に行うことができる。
【0013】
また本発明のうちの他の一つは、上記制御方法であって、前記配分条件が、前記地域要求量を前記発電機の夫々に均等に配分するという条件であることとする。
【0014】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力系統の需給バランスを安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電力供給システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】計測指令装置10を中心とした情報の流れを示す図である。
【図3A】計測装置8のハードウエア構成を示す図である。
【図3B】計測指令装置10のハードウエア構成を示す図である。
【図3C】制御装置13のハードウエア構成を示す図である。
【図4】計測指令装置10の機能を示す図である。
【図5】計測値データベース421に格納されるデータのレコード構成である。
【図6】計測指令装置10が行う処理の概要を示す図である。
【図7】指令値生成処理S700を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に実施形態として説明する電力供給システム1の概略的な構成を示している。同図に示すように、この電力供給システム1は、変電所2に接続される高圧配電線3、高圧配電線3に接続する(高圧配電線3から分岐する)複数の低圧配電線4、低圧配電線4に接続している発電機5(PV1,PV2,・・・)、低圧配電線4に接続している負荷6(L1,L2,・・・)、高圧配電線3と低圧配電線4との間に介在する、変圧器7(Tr1,Tr2,・・・)、発電機5に付設される計測装置8、負荷6に付設される計測指令装置10、及び変圧器7に付設される通信装置20を含んで構成されている。尚、以下の説明において、同じ変圧器7の配下(変圧器7の低圧配電線4側)に接続している発電機5及び負荷6を要素とする集合のことを低圧グループと称する。
【0018】
同じ低圧グループに所属している計測装置8及び計測指令装置10同士は、通信ネットワーク(以下、内部ネットワーク50と称する。)を介して互いに通信可能に接続されている。また各変圧器7に付設される通信装置20同士は、通信ネットワーク(以下、外部ネットワーク60と称する。)を介して互いに通信可能に接続されている。さらに各通信装置20は、夫々が付設されている変圧器7の配下の低圧グループの内部ネットワーク50と通信可能に接続している。尚、内部ネットワーク50及び外部ネットワーク60は、例えばLAN、WAN、インターネット、電力線通信(PLC(Power Line Communication))、専用線(電力系統制御用情報伝送システム(CDT:Cyclic Digital data Transmission equipment)、メタル線、光ファイバ等)等を用いて構成される。
【0019】
発電機5は、例えば、コージェネレーション発電機(ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、ガスエンジン発電機等)に比べて出力変動の大きな、自然エネルギーを利用した発電機(太陽光発電機、水力発電、風力発電機等)である。尚、以下の説明において、複数の発電機3のうち、注目している一の発電機3のことを自機と称し、自機以外の他の発電機3のことを他機と称する場合がある。
【0020】
負荷6は、例えば自然エネルギーを利用した発電機の出力を利用する装置として好適なものが選択される。そのような負荷6として、例えば蓄電負荷(電気自動車のバッテリー、電気自動車等に用いる蓄電池等)や蓄熱負荷(家庭用給湯器や業務用蓄熱式空調等)がある。尚、負荷6の夫々には計測指令装置10によって電力消費量を調節するための電力消費量の制御機構が設けられている。
【0021】
変圧器7は、高圧配電線3から供給される高圧の電力を負荷6の利用に適した電圧に変換する装置であり、例えば柱上変圧器や地中変圧器である。
【0022】
計測装置8は、夫々が付設されている発電機5の出力(以下、発電機出力と称する。)を計測する。計測装置8は、計測した発電機出力を、内部ネットワーク50を介して計測指令装置10及び通信装置20に随時送信(ブロードキャスト)する。
【0023】
計測指令装置10は、夫々が付設されている負荷6の電力消費量を計測する。また計測指令装置10は、計測した電力消費量を、内部ネットワーク50を介して他の計測指令装置10及び通信装置20に随時送信(ブロードキャスト)する。計測指令装置10は、計測装置8から送られてくる発電機出力、他の計測指令装置10から送られてくる電力消費量、及び通信装置20から送られてくる後述の調整量を受信する。
【0024】
また計測指令装置10は、自身が接続している低圧配電線4に接続している発電機5の出力の合計と、自身が接続している低圧配電線4に接続している負荷6の電力消費量の合計との差である自低圧配電線需給差を求める。そして計測指令装置10は、自低圧配電線需給差と調整量とに基づき、自身が接続している低圧配電線4に接続している負荷6の制御量である負荷制御量を求め、求めた負荷制御量を所定の配分条件に従い、自身が接続している低圧配電線4に接続している負荷6の夫々に配分し、配分した負荷制御量に従い負荷6の夫々の電力消費量を制御する。
【0025】
通信装置20は、他の低圧配電線4に接続している発電機5の出力の合計と他の低圧配電線4に接続している負荷6の電力消費量の合計との差である他低圧配電線需給差を他の通信装置20から取得し、自低圧配電線需給差と他低圧配電線需給差とに基づき、自低圧配電線需給差を解消するのに用いる電力の調整量を求め、求めた調整量を内部ネットワーク50を介して計測指令装置10に通知する。尚、通信装置20は、例えば高圧配電線3の潮流の変化が少なくなるように上記調整量を求める。計測指令装置10を中心とした情報の流れを図2に示す。
【0026】
図3Aに計測装置8のハードウエア構成を示している。同図に示すように、計測装置8は、CPU81及びメモリ82と、計測指令装置10や通信装置20と通信するための通信回路83と、発電機5の発電機出力を計測する計測回路84と、を備えている。
【0027】
図3Bに計測指令装置10のハードウエア構成を示している。同図に示すように、計測指令装置10は、CPU111と、RAM・ROM等のメモリ112と、ハードディスク等の記憶装置113と、キーボードやマウス等の入力装置114と、液晶ディスプレイ等の表示装置115と、計測装置8、他の計測指令装置10、及び通信装置20と通信するための通信回路116と、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成され、現在日時等の日時情報(タイムスタンプ)を生成する計時回路117と、負荷6の電力消費量を計測する計測回路118と、指令値に従って負荷6の電力消費量を制御する制御回路119と、を備えている。
【0028】
図3Cに通信装置20のハードウエア構成を示している。同図に示すように、通信装置20は、CPU121及びメモリ122と、計測装置8、計測指令装置10及び他の通信装置20と通信するための通信回路123と、を備えている。
【0029】
図4に計測指令装置10の機能を示している。同図に示すように、計測指令装置10は、電力消費量計測部411、自機情報送信部412、他機情報受信部413、発電機出力取得部414、調整量受信部415、負荷制御量算出部416、フィルタ処理部417、配分処理部418、及び指令値生成部419、を備えている。尚、これらの機能は、計測指令装置10のハードウエアによって、もしくは、計測指令装置10のCPU111が、メモリ112又は記憶装置113に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0030】
また同図に示すように、計測指令装置10は、計測値データベース421を備えている。計測値データベース421は、例えば計測指令装置10において動作するDBMS(Data Base Management System)によって管理される。
【0031】
図4に示した機能のうち、電力消費量計測部411は、負荷6の電力消費量(以下、自機電力消費量と称する。)を計測し、計測した自機電力消費量を計測時刻(タイムスタンプ)に対応づけて計測値データベース421に格納する。
【0032】
自機情報送信部412は、計測した自機電力消費量を、当該計測指令装置10が付設されている自機と同じ低圧グループに所属している他機の計測指令装置10、及び自機が接続している低圧配電線4と高圧配電線3との間に介在している変圧器7に付設されている通信装置20に送信(ブロードキャスト)する。尚、送信する情報には、自機の識別子及び自機の後述する制約条件が付帯する。
【0033】
他機情報受信部413は、他の計測指令装置10から内部ネットワーク50を介して送られてくる電力消費量(以下、他機電力消費量と称する。)を、その計測指令装置10が付設されている発電機5の識別子、及び制約条件とともに受信し、受信した他機電力消費量を、上記識別子、上記制約条件、及びその他機電力消費量の計測時刻(タイムスタンプ)と対応づけて、計測値データベース421に格納する。
【0034】
発電機出力取得部414は、内部ネットワーク50を介して計測装置8から送られてくる発電機出力をその計測装置8が付設されている発電機5の識別子、及び制約条件とともに受信し、受信した発電機出力を、上記識別子、上記制約条件、及びその発電機出力の計測時刻(タイムスタンプ)と対応づけて、計測値データベース421に格納する。
【0035】
調整量受信部415は、内部ネットワーク50を介して通信装置20から送られてくる調整量を受信して記憶する。
【0036】
負荷制御量算出部416は、電力消費量計測部411によって計測された自機電力消費量と、発電機出力取得部414によって取得された発電機出力と、調整量受信部415によって記憶された調整量とを合計した値(以下、負荷制御量と称する。)を算出する。
【0037】
フィルタ処理部417は、負荷制御量算出部416によって求められた負荷制御量について、当該負荷制御量に含まれる極短周期成分を除去する平滑化処理、並びに微動成分を除去する不感帯処理等のフィルタ処理を行う。
【0038】
配分処理部418は、フィルタ処理後の負荷制御量を、所定の配分条件に従い自グループに所属する負荷6に配分する。例えば配分処理部418は、各負荷6に負荷制御量を均等に配分、即ち負荷制御量に1/(自グループに接続している負荷6の総数)を乗算した値を各負荷6に配分する。
【0039】
指令値生成部419は、当該計測指令装置10が付設されている負荷6の電力消費量を配分処理部418によって配分された負荷制御量となるように制御するための指令値を生成し、生成した指令値に従って負荷6の電力消費量を制御する。
【0040】
図5に計測値データベース421に格納されるデータのレコードの構成を示している。同図に示すように、このレコードは、計測値種別4211、識別子4212、計測値4213、取得日時4214、及び制約条件4215の各項目を含む。このうち計測値種別4211には、当該レコードに設定されている計測値が、発電機5の発電機出力であるのか、負荷6の電力消費量であるのかを示す値が設定される。
【0041】
識別子4212には、そのレコードがどの発電機5又は負荷6についてのものであるのかを示す識別子(発電機5又は負荷6ごとに固有に付与される識別子)が設定される。計測値4213には、計測値(発電機出力又は電力消費量)が設定される。取得日時4214には、その計測値の取得日時(タイムスタンプ)が設定される。
【0042】
制約条件4215には、そのレコードが負荷6についてのものである場合に、その負荷6に課せられる制約条件が設定される。尚、制約条件とは、負荷6の制御に関する条件であり、例えば負荷6の電力消費量の制御可能域(可変域)を示す情報(電力消費量の上限値又は電力消費量の下限値)である。
【0043】
図6は計測指令装置10が行う処理(以下、指令値生成処理S700と称する。)の概要を説明する図である。また図7は指令値生成処理S700の詳細を説明するフローチャートである。以下、これらの図とともに、指令値生成処理S700について説明する。
【0044】
図7に示すように、計測指令装置10は、指令値を生成する機会が到来(例えば10分毎)したか否かをリアルタイムに監視している(S711)。上記機会が到来すると(S711:YES)、計測指令装置10の電力消費量計測部411は、自機電力消費量を計測し、計測した自機電力消費量を計測値データベース421に格納する(S712)。
【0045】
また計測指令装置10の他機情報受信部413は、内部ネットワーク50を介して他の計測指令装置10から送られてくる他機電力消費量を受信し、受信した他機電力消費量を計測値データベース421に格納する(S713)。
【0046】
また計測指令装置10の自機情報送信部412は、計測した自機電力消費量を、自機が所属する低圧グループに所属する他の計測指令装置10、及び自機が接続している低圧配電線4と高圧配電線3との間に介在する変圧器7に付設されている通信装置20に送信(ブロードキャスト)する(S714)。
【0047】
次に計測指令装置10の発電機出力取得部414は、内部ネットワーク50を介して計測装置8から送られてくる発電機出力を受信し、受信した発電機出力を計測値データベース421に格納する(S715)。
【0048】
次に計測指令装置10の調整量受信部415は、内部ネットワーク50を介して通信装置20から送られてくる調整量を受信して記憶する(S716)。
【0049】
次に計測指令装置10の負荷制御量算出部416は、電力消費量計測部411によって計測された自機電力消費量と、発電機出力取得部414によって取得された発電機出力と、調整量受信部415によって記憶された調整量とを合計することにより、負荷制御量を算出する(S717)。
【0050】
次に計測指令装置10のフィルタ処理部417は、求められた負荷制御量について、当該負荷制御量に含まれる極短周期成分を除去する平滑化処理、並びに微動成分を除去する不感帯処理等のフィルタ処理を行う(S718)。
【0051】
次に計測指令装置10の配分処理部418は、フィルタ処理後の負荷制御量を、所定の配分条件に従い自グループに所属する負荷6に配分する(S719)。尚、配分条件に従って配分した結果がその負荷6の制約条件を満たさない場合は、制約条件を満たす範囲内で負荷制御量を配分し、残りの負荷制御量は配分可能な他の負荷6に再配分する。
【0052】
次に計測指令装置10の指令値生成部419が、当該計測指令装置10が付設されている負荷6の電力消費量を配分された負荷制御量に制御するための指令値を生成し、生成した指令値に従って負荷6の電力消費量を制御する(S720)。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態の電力供給システム1にあっては、高圧配電線3に接続している低圧配電線4間で電力を融通し合うことができる。このため、低圧配電線4に、例えば、太陽光発電機のように出力変動の大きな発電機が接続しているような場合でも、コージェネレーション発電機(ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、ガスエンジン発電機等)等を用意することなく、出力変動を抑制することができる。また以上の構成によれば、低圧配電線4側の出力変動の高圧配電線3側への影響が軽減され、太陽光発電機などの発電機の出力変動分の需給調整しろが緩和される。また低圧配電線4間で電力を融通し合うことにより、高圧配電線3の潮流変動が抑制され、高圧配電線3の電圧変動を抑制することができる。
【0054】
また太陽光発電機の出力を蓄電負荷、蓄熱負荷のいずれかで消費するようにすることで、太陽光発電機の出力変動の高圧配電線3への波及を軽減することができる。また系統事故等により太陽光発電機が一斉に解列しても、解列中は太陽光発電機の電力を利用していた蓄電負荷又は蓄熱負荷は運転しない。このため、解列による需給バランスへの影響を防ぐことができる。
【0055】
以上に説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 電力供給システム
2 変電所
3 高圧配電線
4 低圧配電線
5 発電機
6 負荷
7 変圧器
8 計測装置
10 計測制御装置
20 通信装置
50 内部ネットワーク
60 外部ネットワーク
411 電力消費量計測部
412 自機情報送信部
413 他機情報受信部
414 発電機出力取得部
415 調整量受信部
416 負荷制御量算出部
417 フィルタ処理部
418 配分処理部
419 指令値生成部
421 計測値データベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所に接続する高圧配電線と、前記高圧配電線に接続する複数の低圧配電線と、前記低圧配電線の夫々に接続する発電機と、前記低圧配電線の夫々に接続する負荷とを含む電力供給システムの制御方法であって、
前記低圧配電線の夫々に、前記発電機の出力を計測する計測装置と、前記負荷の電力消費量を計測する計測指令装置と、前記計測装置及び前記計測指令装置と通信可能に接続する通信装置とを設け、
前記通信装置同士を互いに通信可能に接続し、
前記計測指令装置の夫々が、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である自低圧配電線需給差を求め、
前記通信装置の夫々が、他の前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と他の前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である他低圧配電線需給差を他の前記通信装置から取得し、前記自低圧配電線需給差と前記他低圧配電線需給差とに基づき、前記自低圧配電線需給差を解消するのに用いる電力の調整量を求めて前記計測指令装置に通知し、
前記計測指令装置の夫々が、前記自低圧配電線需給差と前記調整量とに基づき、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の制御量である負荷制御量を求め、求めた前記負荷制御量を所定の配分条件に従い、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の夫々に配分し、配分した負荷制御量に従い前記負荷の夫々の電力消費量を制御する
ことを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給システムの制御方法であって、
前記発電機には太陽光発電機が含まれている
ことを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力供給システムの制御方法であって、
前記発電機には太陽光発電機が含まれており、
前記負荷には蓄電負荷、蓄熱負荷の少なくともいずれかが含まれており、
前記太陽光発電機の出力を、前記蓄電負荷又は前記蓄熱負荷の少なくともいずれかで消費する
ことを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電力供給システムの制御方法であって、
前記計測指令装置の夫々は、
他の前記計測指令装置から他の前記計測指令装置が計測している前記負荷の電力消費量の可変域を示す情報を受信し、
前記他の前記計測指令装置が計測している前記負荷の電力消費量が当該負荷の前記可変域の範囲内になるように前記負荷制御量を前記負荷に配分する
ことを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電力供給システムの制御方法であって、
前記出力可変域を示す情報は、電力消費量の上限値又は電力消費量の下限値のうちの少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の電力供給システムの制御方法であって、
前記配分条件が、前記地域要求量を前記発電機の夫々に均等に配分するという条件であることを特徴とする電力供給システムの制御方法。
【請求項7】
変電所に接続する高圧配電線と、前記高圧配電線に接続する複数の低圧配電線と、前記低圧配電線の夫々に接続する発電機と、前記低圧配電線の夫々に接続する負荷とを含む電力供給システムであって、
前記低圧配電線の夫々に、前記発電機の出力を計測する計測装置と、前記負荷の電力消費量を計測する計測指令装置と、前記計測装置及び前記計測指令装置と通信可能に接続する通信装置とを含み、
前記通信装置同士は互いに通信可能に接続され、
前記計測指令装置の夫々は、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である自低圧配電線需給差を求め、
前記通信装置の夫々は、他の前記低圧配電線に接続している前記発電機の出力の合計と他の前記低圧配電線に接続している前記負荷の電力消費量の合計との差である他低圧配電線需給差を他の前記通信装置から取得し、前記自低圧配電線需給差と前記他低圧配電線需給差とに基づき、前記自低圧配電線需給差を解消するのに用いる電力の調整量を求めて前記計測指令装置に通知し、
前記計測指令装置の夫々は、前記自低圧配電線需給差と前記調整量とに基づき、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の制御量である負荷制御量を求め、求めた前記負荷制御量を所定の配分条件に従い、自身が接続している前記低圧配電線に接続している前記負荷の夫々に配分し、配分した負荷制御量に従い前記負荷の夫々の電力消費量を制御する
ことを特徴とする電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−193644(P2011−193644A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58041(P2010−58041)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】