説明

電力供給システム

【課題】災害などの停電時には、外部の電源装置から電力を供給することができる電力供給システムを提供する。
【解決手段】建物の外壁や街灯のポールに取付けられ、外部電源と接続するケーブルと、直流交流変換器と、電源切換器と、コンセントとを備えた筐体からなり、該筐体の表面と内面に蓄光板を設け、停電による商用電源未供給時に外部電源からの電源供給作業を容易とする。また、蓄光板は、商用電源を使用する蓄光用照明手段をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害支援設備に関し、とくに自然災害や事故の際に生じた停電時に、外部電源(例えば自動車用バッテリー)から電力を供給できる電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や台風などの自然災害による停電時に、商用電力を補う外部電源に関する技術が数多く開示されている。これらは、太陽光や風力を使って発電して蓄電池などに電力を蓄えるものであり、初期の投資に多大の費用を必要とした。
【0003】
そこで、車両の電源端子から供給される直流電流をインバーターで交流に変換して電源タップに供給し、この電源タップから電源供給可能とする電源供給システムが提案されている(特許文献1参照。)。また、蓄光材料を含む塗料によって避難誘導情報が描かれた停電時避難誘導柱もある(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−277979号公報
【特許文献2】特開2008−76577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に提案されている技術は、小売店などの電源確保を目的としており、予め電源の接続が可能な配電盤などの配置が分かっている場合に有効なものであるが、街灯や公園などの公共の施設においては、電源を必要とする配電盤の配置が不特定であり、夜間時の停電の場合には、外部電灯(携帯用ライトなど)がないと電源接続作業ができないという問題があった。また、上記特許文献2に記載された技では、街灯から照射される光だけでは充分な蓄光量を確保できないという問題があった。
【0006】
上記の問題点に鑑み本発明者らは、災害などの停電時には、外部の電源(自動車のバッテリーなど)から電力を供給する際に、容易に電源の必要な配電盤などの位置を発見でき、しかも外部電灯(携帯用ライトなど)がなくても電源接続作業が容易な電力供給システムを提供するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明の電力供給システムは、建物の外壁や街灯のポールに取付けられ、外部電源と接続するケーブルと、直流交流変換器と、電源切換器と、コンセントとを備えた筐体からなり、該筐体の表面と内面に蓄光板を設け、停電による商用電源未供給時に外部電源からの電力供給作業を容易とすることを第一の特徴とする。
【0008】
また、前記外部電源は、自動車などの車両に搭載された発電機若しくは、バッテリーであることを第二の特徴とする。
【0009】
そして、前記蓄光板は、商用電源を使用する蓄光用照明手段をさらに備え、該照明手段によって蓄光することを第三の特徴とする。
【0010】
尚、前記蓄光用照明手段としては、紫外光を含む発光が可能な発光ダイオードが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電力供給システムによれば、建物の外壁や街灯のポールに取付けられ、外部電源と接続するケーブルと、直流交流変換器と、電源切換器と、コンセントとを備えた筐体からなり、災害などの停電による商用電源未供給時に外部電源からの電力供給ができるという効果を有する。
【0012】
そして、外部電源は、自動車などの車両に搭載された発電機若しくは、バッテリーが使用できるという効果を有する。
【0013】
さらに、蓄光板は、商用電源を使用する蓄光用照明手段をさらに備えているため、夜間時の突然の停電であっても、蓄光板からの発光によって外部電灯(携帯用ライトなど)がなくても容易に筐体設置箇所を確認することが可能となり、接続作業ができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電力供給システムの一実施例を示す説明図である。
【図2】図1の断面説明図である。
【図3】蓄光板を示す説明図である。
【図4】図1のシステム系統図である。
【図5】本発明に係る電力供給システムの他の実施例を示す説明図である。
【図6】図5のシステム系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施例を示す図面を参照しながら説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明の電力供給システムの一実施例を示す説明図、図2は図1の断面説明図、図3は蓄光板を示す説明図、図4は図1のシステム系統図、図5は本発明の電力供給システムの他の実施例を示す説明図、図6は図5のシステム系統図である。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の電力供給システムを示す説明図であり、(a)は正面説明図を示し、(b)は側面図を示している。図に示すように、本発明の電力供給システムは、街灯用の支柱1の側面開口部2に開閉可能に取り付けられた蓋状の筐体3と、この筐体3内側に取り付けられた切替開閉器4、DC/ACインバータ5、接続ケーブル6、コンセント7とから構成され、災害などの停電時に後述するバッテリーなどに接続ケーブル6を接続し、DC/ACインバータ5及び切替開閉器4を介して電力を供給可能とする。さらに、筐体3の外面には蓄光板8が取り付けられ。この蓄光板8を蓄光するLED素子9が支柱1内に配置されている。尚、接続ケーブル6は筐体3内側に設けられたケーブル保持部材10に巻きつけられて収容されている。
【0017】
支柱1は、通常の街灯用に使用される金属製筒体であり、その先端部には照明装置(図示せず)が設けられている。そして支柱1の内部には照明装置に接続する配線ケーブル(図示せず)が挿通されており、配線遮断器11と切替開閉器4を介して商用電源と接続し、後述する光センサーによる制御によって照明器具が点灯・消灯する。尚、上記LED素子9は光センサーの制御によって照明器具の点灯と共に商用電源によって点灯し、照明器具の消灯と共に消灯する。
【0018】
図2は図1の断面説明図であり、(a)はA−A線断面説明図を示し、(b)はB−B線断面説明図を示している。図に示すように、筐体3は、支柱1の側面開口部2を覆う金属製の立設部3aと蓋部3bとからなり、支柱1の縦方向一端側に設けられたヒンジ部12によって開閉可能とされ、他端側の止め金具13によって固定される。そして、筐体3の蓋部3b中央には、蓄光板8と対向して窓部14が形成されている。さらに蓋部3bの下部には接続ケーブル6を下方向に引き出し可能な引き出し口15が形成されている。
【0019】
図3は、蓄光板8を示しており、長方形の金属枠16に蓄光材を含有した樹脂を注形して形成されており、その一端面には「非常用電源」等の表示がなされている。この蓄光材は紫外域を含む光によって励起する材料からなり、この蓄光板8を蓄光するLED素子9は発光波長に紫外光成分を含む(例えばInGaNなど)が使用される。
【0020】
図4は、本発明のシステム系統図を示しており、二点差線内が筐体2内に配置される機器構成を示している。図に示すように、通常は商用電源17から交流電力が供給されて、切替開閉器4からブレーカ18、AC/DC変換機19を介して照明器具20を点灯させる。この際センサー21によって太陽光の照度変化に応じて照明器具20の点灯・消灯が制御される。地震などの自然災害による停電時には、商用電源17からの電力供給が止まるため、外部電源装置である(例えばバッテリー22)に接続ケーブル6を接続し、DC/ACインバータ5を介して切替開閉器4と接続する。ここで、切替開閉器4を手動で通常電源側から非常電源側に切り替ることによって照明器具20に電力が供給される。尚、LED素子9はAC/DC変換機19と接続されており、センサー21の制御によって照明器具20と同時に点灯・消灯する。
【0021】
上記構成からなる本発明の電力供給システムは、災害などの停電時には、外部の電源(自動車のバッテリーなど)から電力を供給する際に、容易に電源の必要な配電盤などの位置を発見でき、しかも外部電灯(携帯用ライトなど)がなくても電源接続作業が容易に利用できる。尚、本実施例では、街灯用ポールに設置する場合を例としたが、体育館などの緊急避難場所などの建物に設置することも当然可能となる。
【0022】
上記の構成の電力供給システムの動作を説明すると、地震などの災害による停電が発生し、商用電源17からの電力が供給できない場合には、作業者は「非常用電源」と表示された支柱1の筐体2から接続ケーブル6を引き出して自動車等のバッテリー22と接続を行なう。次に切替開閉器4を手動によって商用電源16との接続からバッテリー21との接続に切替え、バッテリー22の直流電力がDC/ACインバータ5によって直流から交流に変換され、さらにAC/DC変換機19を介して照明器具20が点灯する。
【0023】
上記の操作は、日中に停電が発生した場合での作業を示しており、夜間時の停電の場合においては作業者は「非常用電源」と光る蓄光板を探して、上記の操作を同様に行なう。その際に、筐体の裏側にも窓部を介して蓄光板からの光が得られるため、接続ケーブルの接続作業、切替開閉器の切替などの作業が容易となる。
【0024】
図5及び図6は、本発明の電力供給システムの他の実施例を示しており、とくに建物などの壁に取り付けて使用するボックス型の電力供給システムである。図5(a)は正面図、図5(b)は側面図、図5(c)は内部構成図、図5(d)は図5(a)の開閉扉裏面図である。
【0025】
図に示すように、本発明の電力供給システムは、建物の壁に取り付け可能な筐体30からなり、前部蓋体31がハンドル32の操作によって開閉可能であり、この筐体30内部にはブレーカ33、切替開閉器34、DC/ACインバータ35、コンセント36、LED素子37が取り付けられ、災害などの停電時には蓋体31の裏側に設けられたケーブル保持部材38に巻きつけられた接続ケーブル39を引き出して、外部電源装置と接続を行い、建物内の電気機器への電力を確保する。
【0026】
蓋体31の中央には、蓄光板40が嵌め込まれており、夜間時の停電であってもこの電力供給システムの筐体30の設置場所が確認可能であり、また接続時においても蓄光板からの発光によって接続作業も可能である。
【0027】
図6は本実施例のシステム構成を示しており、接続方法及び動作は上記実施例と同様であり省略する。
【0028】
以上の構成からなる本発明の電力供給システムは、建物の外壁や街灯のポールに取付けられ、外部電源と接続するケーブルと、直流交流変換器と、電源切換器と、コンセントとを備えた筐体からなり、災害などの停電による商用電源未供給時に外部電源からの電力供給することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 支柱
2 側面開口部
3、30 筐体
4、34 切替開閉器
5、35 DC/ACインバータ
6、39 接続ケーブル
7、36 コンセント
8、40 蓄光板
9、37 LED素子
10、38 ケーブル保持部材
11 配線遮断器
12 ヒンジ部
13 止め金具
14 窓部
15 引き出し口
16 金属枠
17 商用電源
18 ブレーカ
19 AC/DC変換機
20 照明器具
21 センサー
22 バッテリー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害支援設備であって、建物の外壁や街灯のポールに取付けられ、外部電源と接続するケーブルと、直流交流変換器と、電源切換器と、コンセントとを備えた筐体からなり、該筐体の表面に蓄光板を設け、停電による商用電源未供給時に外部電源からの電源供給作業を容易とすることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記外部電源は、自動車などの車両に搭載された発電機若しくは、バッテリーであることを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記蓄光板は、商用電源を使用する蓄光用照明手段をさらに備え、該照明手段によって蓄光することを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−103719(P2011−103719A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257345(P2009−257345)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000115360)ヨシモトポール株式会社 (27)
【出願人】(509311252)株式会社共立電商 (4)
【Fターム(参考)】