説明

電力増幅器線形化方法及び装置

【課題】デジタル信号処理(DSP:Digital Signal Process)を利用して電力増幅器を線形化する方法及び装置を提供する。
【解決手段】複数個の歪曲発生源を有する増幅器を効果的に線形化する方法及び装置に関するものである。このために、複数個の歪曲発生源で出力される歪曲成分に対応する逆歪曲信号を発生させることができる複数個の補償方法及び補償器を含むことで、優秀な線形性を伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器を線形化する方法及び装置に関し、特に、複数個の歪曲発生源を有する電力増幅器を効果的に線形化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動通信システムの電力増幅器は、高効率及び高線形性の特性を有しながら信号を増幅させるように要求されている。また、次世代移動通信システムは、使用者に多くの量のデータ(data)を短時間内に送るために複雑な変調(modulation)方式を使用するようになる。
【0003】
したがって、信号のピーク対平均電力比(PAPR;Peak−to−Average Power Ratio)が大きくなるようになる。一般的に、線形的な増幅のために電力増幅器は、信号のピーク対平均電力比以上のバックオフ(back−off)された支点で動作するようになる。
【0004】
しかし、この支点での電力増幅器の効率特性は、よほど低くなる。これは送信機の発熱量を増加させるために、送信機の安定的な動作が保障されないためである。したがって、付加的な冷却システムが要求されるようになる。
【0005】
バックオフされた支点で電力増幅器の効率向上のために、最近、ドハティ増幅器(Doherty Amplifier)が大きい注目を引いている。
【0006】
図1は、一般なドハティ電力増幅器の構成図を示す。
【0007】
図1を参照すると、ドハティ増幅器100は、電力分配器102、入力位相補償部104、キャリア増幅器(Carrier Amplifier)106、ピーキング増幅器(Peaking Amplifier)108、ピーキング増幅器が動作しない時に大きいピーキング出力インピーダンスを作ってくれて、キャリア増幅器の適切なロードモジュレーション現象を起きるようにするオフセットライン(offset line)110、112及び結合器114で構成される。
【0008】
前記電力分配器102は、入力信号を分離して前記キャリア増幅器106と前記ピーキング増幅器108に出力する。前記キャリア増幅器106は、相対的に高い入力直流(Direct Current、以下、「DC」と称する)バイアス(bias)を使用する増幅器である。前記ピーキング増幅器108は、相対的に低い入力DCバイアスを使用する増幅器である。前記キャリア増幅器106と前記ピーキング増幅器108それぞれは、入力信号を設定されている増幅利得に相応するように増幅して前記結合器114に出力する。前記結合器114は前記キャリア増幅器106と前記ピーキング増幅器108の出力信号を結合する。前記入力位相補償部104は、前記オフセットライン110、112と前記結合器114を通じて発生する位相差を補償する。
【0009】
図2aは、理想的な場合と実在的な場合のキャリア増幅器106及びピーキング増幅器108の基本電流成分を示したグラフである。
【0010】
図2aを参照すると、理想的な場合キャリア増幅器106及びピーキング増幅器108の基本電流成分は、入力電圧の増加によって一定な傾きを有することをよく見られる。しかし、実在的な場合において、キャリア増幅器106とピーキング増幅器108は半導体素子であるFET(Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、あるいはBJT(Bipolar Junction Transistor)などで構成されることができるし、前記FET、HEMT、あるいはBJTの場合電流成分は、入力電圧によって二乗形態や指数形態で増加されるようになる。前記電流特性をピーキング増幅器108に適用をするようになったらピーキング増幅器108の基本電流成分は、図2aの実在的な電流特性のようである。
【0011】
図2bは理想的な場合と実在的な場合のキャリア増幅器106及びピーキング増幅器108の基本電圧成分を示したグラフである。
【0012】
図2bを参照すると理想的な場合と実在的な場合のキャリア増幅器106及びピーキング増幅器108の基本電圧成分は、同一であることを確認することができる。これは、基本電圧成分は基本電流成分とキャリア増幅器106及びピーキング増幅器108の出力整合インピーダンスで決定されるが、出力整合インピーダンスは次式に従う。
【0013】
【数1】

【0014】
【数2】

【0015】
【数3】

【0016】
ここで、vinは入力電圧であり、Zcはキャリア増幅器106の出力整合インピーダンスであり、Zpはピーキング増幅器108の出力整合インピーダンスであり、ZLはキャリア増幅器106とピーキング増幅器108の電力が結合される支点での整合インピーダンスであり、ZTは結合器114内のキャリア増幅器106とピーキング増幅器108の間のクォータウエーブ伝送ラインの特性インピーダンスを示す。一般に、ZLはZT/2の関係を有する。また、Icはキャリア増幅器106の入力電流であり、Ipはピーキング増幅器108の入力電流である。
【0017】
前記式を参照すると、たとえ実在的な場合ピーキング増幅器108の基本電流成分が理想的な場合より小さいが、Zc及びZpの大きさが増加されるので、前記図2bのように理想的な場合と実在的な場合の基本電圧成分が同一であることを確認することができる。
【0018】
図3は、理想的な場合と実在的な場合のドハティ増幅器100の入出力電力を示したグラフである。
【0019】
図3を参照すると、理想的な場合ドハティ増幅器100は、線形的な入出力電力関係を有する。しかし、実在的な場合ドハティ増幅器100は、前記図2aに示したところのようにピーキング増幅器108の基本電流成分が減るために、理想的な場合の出力電力大きさより低い出力電力を有するようになるので、結合されたドハティ増幅器100の出力電力は、線形的な関係を有することができなくなって、したがって、望まない歪曲特性を有するようになる。
【0020】
図4は、実在的なドハティ増幅器のメモリー効果(Memory Effect)を示したグラフである。
【0021】
前記メモリー効果は、増幅器の歪曲成分が現在の入力信号だけではなく、過去の入力信号によって影響を受けるようになることを意味する。増幅器のメモリー効果は、ツートン(Two−tone)信号を利用した非線形性測定を通じて調べることができる。増幅器にツートン信号を印加して、同じ出力電力で増幅器の基本波成分と3次歪曲信号をよく見れば、ツートン信号の帯域幅によってお互いに異なる大きさと位相を有する3次歪曲信号をよく見られるが、このような方法を通じてメモリー効果を測定することができる。一般に、メモリー効果は、中間出力電力大きさでたくさん発生して、低い出力電力では増幅器自体で発生させる歪曲成分が小さくて、メモリー効果が多く現われない。そして、高い出力電力大きさでは電力増幅器自体で発生させる歪曲成分が多くてメモリー効果を認知することができない。
【0022】
前記図4を参照すると、ドハティ増幅器は、一般的な増幅器とメモリー効果特性を示すことをよく見られる。これは、前記ドハティ増幅器はキャリア増幅器とピーキング増幅器で構成されて、前記キャリア増幅器とピーキング増幅器はお互いに異なる動作をするために、お互いに異なる歪曲特性を示すためである。
【0023】
前記したところのように、ドハティ増幅器だけではなく、他の電力増幅器は非線形成分を発生させて、出力信号を歪曲させるために信号の品質を落とすようになる。よって、通信システムの線形性要求事項のためには別途の線形化技術が必要になる。線形化技術のうちで、デジタル前置歪曲器は信号をデジタル帯域で処理することで、他の線形化技術に比べて経済性及び拡張可能性が卓越である。
【0024】
図5は、本発明が適用されるデジタル前置歪曲器を含んだドハティ増幅システムの構成図である。
【0025】
図5を参照すると、ドハティ増幅システムはドハティ増幅器100と、デジタル前置歪曲器200と、デジタル前置歪曲器制御器300とDAC(Digital−Analog Converter)400とADC(Analog−Digital Converter)500とアップコンバータ600とダウンコンバータ700を含む。
【0026】
図5に示したドハティ増幅システムの動作を説明すると次のようである。
【0027】
デジタル前置歪曲器200は、最初動作時に初期モードに入って行く。
【0028】
初期モードとは、ドハティ増幅器100の非線形特性及びメモリー効果を測定する動作モードであり、初期モードではドハティ増幅器100の全体動作領域での特性が分かることができる特定の信号を使用するか、または実際通信システムの信号を一定時間の間に使用することができる。前記初期モードで使用する信号を通称して試験信号であると称する。
【0029】
まず、試験信号としてデジタル信号がデジタル前置歪曲器200とデジタル前置歪曲器制御器300に入力される。しかし、初期モードでデジタル前置歪曲器200に入力された信号は、何らの前置歪曲を受けないで通過するようになる。デジタル前置歪曲器200を通過した信号は、DAC400を経ってアナログ信号に変換される。DAC400を経ったアナログ信号は、アップコンバータ600に入力されて高い周波数のアナログ信号に変換されながら、これはドハティ増幅器100に入力されて増幅される。ドハティ増幅器100によって増幅されたアナログ信号は歪曲されて非線形特性及びメモリー効果を有するようになる。ドハティ増幅器100によって増幅された大部分の信号は、空中に伝えて一部は、ダウンコンバータ700によって低い周波数の信号に変換される。ダウンコンバータ700を経った低い周波数のアナログ信号は、ADC500を通じてデジタル信号に変換される。ADC500を経ったデジタル信号は、デジタル前置歪曲器制御器300に入力される。
【0030】
デジタル前置歪曲器制御器300では、前記試験信号と前記ドハティ増幅器100によって歪曲された信号を比べて、前記ドハティ増幅器100によって発生された非線形特性とメモリー効果を感知する。前記デジタル前置歪曲器制御器300は、これを利用して前記ドハティ増幅器100の非線形特性及びメモリー効果を補償するためにデジタル前置歪曲器200の構成値を計算するようになる。
【0031】
参照で、本特許で説明の容易のために、非線形特性は入力される信号の大きさに比例して出力信号の大きさが非線形的に変わる特性(AM−to−AM;Amplitude Modulation−to−Amplitude Modulation)と出力信号の位相が非線形的に変わる特性(AM−to−PM;Amplitude Modulation−to−Phase Modulation)を示す。デジタル前置歪曲器200は、ルックアップテーブル(LUT;Look−up Table)や多項式などでなされる。
【0032】
したがって、デジタル前置歪曲制御器300は、デジタル前置歪曲器200のLUT構成値を提供するか、または多項式の係数を提供する。
【0033】
図6は、従来技術によるデジタル前置歪曲器200の内部構成図を示す。
【0034】
図6を参照すると、従来技術によるデジタル前置歪曲器は、増幅器補償器210で構成される。
【0035】
前記増幅器補償器210は、ドハティ増幅器100の非線形特性のみを補償するか、または非線形特性だけではなく、メモリー効果を補償する。また、前記増幅器補償器210を通過した信号は、図5のDAC400の入力になる。
【0036】
前記増幅器補償器210は、多項式で構成されるか、またはLUTで構成されるか、または多項式とLUTとで構成されることができる。また、前記増幅器補償器210は、ボルテラシリーズ(Volterra Series)、ボルテラシリーズ(Volterra Series)の縮小モデル、ウィーナー(Wiener)モデル、ウィーナー(Wiener)モデルの拡張モデル、ハンマースタイン(Hammerstein)モデル、ハンマースタイン(Hammerstein)の拡張モデルなどが適用されることができる。
【0037】
一般に、線形化される複数個の歪曲発生源を有する増幅器がそれぞれの歪曲発生源から出力される非線形特性及びメモリー効果が同じであったら、前記図6の増幅器補償器210を通じて非線形特性及びメモリー効果を充分に補償することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開2008−199625号公報
【特許文献2】特開2011−151787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかし、ドハティ増幅器のようにお互いに相異な非線形特性及びメモリー効果を有する歪曲発生源で構成された増幅器なら、前記増幅器補償器210のように従来方式の線形化方式に従って線形化するにおいて、線形化改善程度に制約が発生するようになる。
【0040】
前述したところのような問題点を解決するために、本発明の目的は、複数個の歪曲発生源を有する増幅器を効果的に線形化する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明で提案する装置は、複数個の歪曲発生源を有する増幅器を効果的に線形化する装置において、それぞれの歪曲発生源の歪曲特性を補償するための複数個のデジタル前置歪曲補償器と、入力信号の大きさによって複数個のデジタル前置歪曲器のうちで一つの経路を選択してくれる信号分離部と、複数個のデジタル前置歪曲器を通過した前置歪曲された信号を結合してくれる信号結合器を含んで、前記信号分離部の経路選択は、歪曲された信号の非線形特性及びメモリー効果によって決めることを特徴とする。
【0042】
本発明で提案する方法は、複数個の歪曲発生源を有する増幅器を効果的に線形化する方法において、それぞれの歪曲発生源の歪曲特性を補償するための複数個のデジタル前置歪曲補償方法を通じて前置歪曲信号を生成する過程と、入力信号の大きさによって複数個のデジタル前置歪曲器のうちで一つの経路を選択してくれる過程と、複数個のデジタル前置歪曲器を通過した前置歪曲された信号を結合してくれる過程を含んで、前記信号分離過程において経路選択は、歪曲された信号の非線形特性及びメモリー効果によって決めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明で提案される線形化装置は、複数個の歪曲発生源で発生する相異な非線形特性及びメモリー効果を補償するために、それぞれの歪曲発生源の歪曲特性を補償するための複数個のデジタル前置歪曲器を提供することで、前記複数個の歪曲発生源で発生される歪曲信号を効果的に補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】一般的なドハティ増幅器構成図である。
【図2a】理想的な場合と実在的な場合のキャリア増幅器及びピーキング増幅器の基本電流成分を示したグラフである。
【図2b】理想的な場合と実在的な場合のキャリア増幅器及びピーキング増幅器の基本電圧成分を示したグラフである。
【図3】理想的な場合と実在的な場合のドハティ増幅器の入出力電力を示したグラフである。
【図4】実在的なドハティ増幅器のメモリー効果を示したグラフである。
【図5】本発明が適用されるデジタル前置歪曲器を含んだドハティ増幅システムの構成図である。
【図6】従来技術によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【図7a】本発明の第1実施例によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【図7b】本発明の第2実施例によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【図7c】本発明の第3実施例によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【図8a】本発明によるモデリングされたAM/AM特性を示したグラフである。
【図8b】本発明によるモデリングされたAM/PM特性を示したグラフである。
【図9a】本発明による電力増幅器線形化後のスペクトラムを示したグラフである。
【図9b】本発明による電力増幅器線形化後のAM/AM特性を示したグラフである。
【図9c】本発明による電力増幅器線形化後のAM/PM特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。まず、図面のうちで、同一な構成要素または部品はできるだけ同一な参照符号を示していることに留意しなければならない。本発明を説明するにおいて、係わる公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曇らせることがあると判断される場合にはその詳細な説明を略する。
【0046】
本発明の詳細な説明の前で本発明のデジタル前置歪曲器は、複数個の増幅器を通じて増幅をする時、複数個の歪曲発生源から発生する相異な非線形特性及びメモリー効果を補償する時適用可能な発明で、下でドハティ増幅器をその例で説明しようとする。
【0047】
図7aは本発明の第1実施例によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【0048】
図7aを参照すると、前記デジタル前置歪曲器は、信号分離部220と、第1増幅器補償器222と、第2増幅器補償器224と、信号結合部226を含む。
【0049】
前記信号分離部220は、入力信号の大きさを一定臨界値と比べて、第1増幅器補償器222、あるいは第2増幅器補償器224に出力する。すなわち、入力信号の大きさを0から1までであると思ったら、入力信号が0から前記臨界値までは前記信号分離部220は入力信号を前記第1増幅器補償器222に出力して、入力信号が前記臨界値から1までは前記信号分離部220は入力信号を前記第2増幅器補償器224に出力する。ドハティ増幅器を例に挙げようとすると、第1増幅器はキャリア増幅器であり、第2増幅器はピーキング増幅器である。前記臨界値は、前記ピーキング増幅器が理想的に動作される場合に動作を始める時点に相応する入力信号の大きさで設定される。
【0050】
前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224は、前記信号分離部220から入力を受けた信号を利用して、増幅器の歪曲成分を補償するための逆歪曲信号を出力する。この時、前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224は、増幅器の非線形特性だけではなく、メモリー効果を補償するための逆歪曲信号を補償するための補償値を前記図5のデジタル前置歪曲器制御器300を通じて獲得した状態である。
【0051】
前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224は、多項式で構成されるか、またはLUTで構成されるか、または多項式とLUTで構成されることができる。また、前記増幅器補償器210は、ボルテラシリーズ(Volterra Series)、ボルテラシリーズ(Volterra Series)の縮小モデル、ウィーナー(Wiener)モデル、ウィーナー(Wiener)モデルの拡張モデル、ハンマースタイン(Hammerstein)モデル、ハンマースタイン(Hammerstein)の拡張モデルなどが適用されることができる。これだけではなく、前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224は、増幅器の非線形特性及びメモリー効果を補償することができる能力を有した場合ならどのような形態でも本発明の補償器に適用することができることは当業者に自明であると言える。
【0052】
前記信号結合部226は、前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224から出力された逆歪曲信号の入力を受けて図5のDAC400の入力で使用される出力信号を出す。
【0053】
前述したところのように、複数個の歪曲発生源を有する増幅器で、信号の大きさによって歪曲発生信号の寄与度が大きい発生源に合うように補償器を利用することで、効果的に歪曲発生源で発生する歪曲信号を償ってくれることができる。
【0054】
図7bは、本発明の第2実施例によるデジタル前置歪曲器の内部構成図である。
【0055】
図7bを参照すると、前記デジタル前置歪曲器は信号分離部220と、第1増幅器補償器222と、第2増幅器補償器224と、信号結合部226と、増幅器補償器228を含む。
【0056】
前記信号分離部220、前記第1増幅器補償器222、前記第2増幅器補償器224及び前記信号結合部226は図7aでの動作と同一であるので、その詳細な説明は略することにする。
【0057】
前記増幅器補償器228は、前記信号結合部226から出力された第1増幅器補償器222及び第2増幅器補償器224を通じて作られた逆歪曲信号の入力を受けて追加的な増幅器補償信号を出力する。
【0058】
前記増幅器補償器228は、複数個の歪曲発生源で発生された歪曲信号の間の干渉、あるいは臨界値によって発生された逆歪曲信号の間の不連続性などを追加的に補償する。
【0059】
前記増幅器補償器228は、前記第1増幅器補償器222及び前記第2増幅器補償器224と同じく、増幅器の非線形特性及びメモリー効果を補償することができる能力を有した場合ならどのような形態でも本発明の補償器に適用することができることは当業者に自明であると言える。
【0060】
また、前記増幅器補償器228は、前記信号結合器220の後に配置されることもできるが、前記信号分離器220前に配置されることもでき、その機能は上述したところのようである。図7cは上のような構成を示す。
【0061】
図8aは、本発明によるモデリングされたAM/AM特性を示したグラフである。図8bは本発明によるモデリングされたAM/PM特性を示したグラフである。
【0062】
図8aと8bを参照すると、本発明によるモデリング性能が従来技術によるモデリング性能に比べて、増幅器出力に対してさらに優秀な特性を示すことをよく見られる。
【0063】
図9aは、本発明による電力増幅器線形化後のスペクトラムを示したグラフである。図9bは、本発明による電力増幅器線形化後のAM/AM特性を示したグラフである。図9cは、本発明による電力増幅器線形化後のAM/PM特性を示したグラフである。
【0064】
図9aないし図9cを参照すると、本発明による線形化性能が従来技術による線形化性能に比べて増幅器出力に対してさらに優秀な特性を示すことをよく見られる。
【0065】
前述したところのように、複数個の歪曲発生源を有する増幅器の歪曲特性を補償するために、複数個の補償器を利用することで、優秀なモデリング特性を示すことができるし、これによって優秀な線形化結果が出力されることをよく見られる。
【0066】
今まで本発明の実施例に局限して説明したが、本発明の技術が当業者によって容易に変形実施される可能性は自明である。このような変形される実施例は、本発明の特許請求範囲に記載した技術思想に当然含まれるものとして解釈されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明で提案される線形化装置は、複数個の歪曲発生源で発生する相異な非線形特性及びメモリー効果を補償するために、それぞれの歪曲発生源の歪曲特性を補償するための複数個のデジタル前置歪曲器を提供することで、前記複数個の歪曲発生源で発生される歪曲信号を効果的に補償することができる。
【符号の説明】
【0068】
100…ドハティ増幅器、
102…電力分配器、
104…入力位相補償部、
106…キャリア増幅器、
108…ピーキング増幅器、
110、112…オフセットライン、
114…結合器、
200…デジタル前置歪曲器、
220…信号分離部、
222…第1増幅器補償器、
224…第2増幅器補償器、
226…信号結合部、
228…増幅器補償器、
300…デジタル前置歪曲器制御器、
400…DAC、
500…ADC、
600…アップコンバータ、
700…ダウンコンバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の歪曲発生源を有する増幅器を線形化するための装置において、
入力信号の大きさによって信号の経路を選択してくれる信号分離部と、
複数個の補償器と、及び
複数個の補償器の出力信号を結合する信号結合部を含んで、
前記信号分離部は、前記入力信号の大きさと臨界値との大きさの比較を通じて前記複数個の補償器のうちで一つの補償器に出力することを特徴とする線形化装置。
【請求項2】
前記臨界値は、前記複数個の増幅器が動作を始める入力信号の大きさ値で設定されることを特徴とする請求項1に記載の線形化装置。
【請求項3】
前記臨界値は、前記複数個の増幅器が発生歪曲特性の相異さを区分付けることができる入力信号の大きさ値で設定されることを特徴とする請求項1に記載の線形化装置。
【請求項4】
前記複数個の補償器は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の歪曲特性を独立的に償ってくれることを特徴とする請求項1に記載の線形化装置。
【請求項5】
前記複数個の補償器は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の個数と同一であることを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項6】
前記複数個の補償器は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の個数と相異であることを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項7】
前記複数個の補償器は、前記信号分離部と前記信号結合部との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項8】
前記複数個の補償器のうちで一つの補償器が前記信号分離部以前に位置することを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項9】
前記複数個の補償器のうちで一つの補償器が前記信号結合部の次に位置することを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項10】
前記複数個の補償器のうちで二つの補償器が前記信号分離部以前と前記信号結合部の次に位置することを特徴とする請求項4に記載の線形化装置。
【請求項11】
複数個の歪曲発生源を有する増幅器を線形化するための方法において、
入力信号の大きさによって信号の経路を選択してくれる信号分離過程と、
複数個の補償信号を生成する過程と、
複数個の補償信号を結合する過程を含んで、
前記信号分離過程は、前記入力信号の大きさと臨界値との大きさの比較を通じて前記複数個の補償信号を生成する過程のうちで一つの補償信号生成過程で出力することを特徴とする線形化方法。
【請求項12】
前記臨界値は、前記複数個の増幅器が動作を始める入力信号の大きさ値で設定されることを特徴とする請求項11に記載の線形化方法。
【請求項13】
前記臨界値は、前記複数個の増幅器が発生歪曲特性の相異さを区分付けることができる入力信号の大きさ値で設定されることを特徴とする請求項11に記載の線形化方法。
【請求項14】
前記複数個の補償信号を生成する過程は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の歪曲特性に対して独立的に補償信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の線形化方法。
【請求項15】
前記複数個の補償信号を生成する過程は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の個数と同一であることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。
【請求項16】
前記複数個の補償信号を生成する過程は、前記増幅器の複数個の歪曲発生源の個数と相異であることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。
【請求項17】
前記複数個の補償信号を生成する過程は、前記信号分離過程と前記複数個の補償信号を結合する過程との間に遂行されることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。
【請求項18】
前記複数個の補償信号を生成する過程のうちで一つの補償信号を生成する過程が、前記信号分離過程以前に遂行されることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。
【請求項19】
前記複数個の補償信号を生成する過程のうちで一つの補償信号を生成する過程が前記前記複数個の補償信号を結合する過程の次に遂行されることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。
【請求項20】
前記複数個の補償信号を生成する過程のうちで二つの補償信号を生成する過程が前記信号分離過程以前と前記複数個の補償信号を結合する過程の次に遂行されることを特徴とする請求項14に記載の線形化方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【公開番号】特開2012−85295(P2012−85295A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224124(P2011−224124)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(508355493)浦項工科大學校 産學協力團 (14)
【Fターム(参考)】