説明

電力変換器を制御するためのコントローラ

【課題】電力変換器を制御するためのコントローラを提供する。
【解決手段】一実施形態ではコントローラは、第1の比較器と、第2の比較器と、第1および第2の比較器に結合された制御ユニットとを含む。第1の比較器は、電力変換器のエネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生する。第2の比較器は、出力電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生するように動作可能である。制御ユニットは、第1および第2の比較信号に従って電力変換器のスイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能である。エネルギー蓄積要素は、スイッチがターンオンされた場合は電源からエネルギーを蓄積するために電源に結合され、スイッチがターンオフされた場合は蓄積エネルギーを負荷に放出するために電源から切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2009年5月13日に出願した「Converters with Boundary Conduction Mode Control on Output Current」という名称の米国仮出願第61/177745号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
DC-DC電力変換器などのスイッチモード電力変換器は、入力電圧を異なる出力電圧に変換する。スイッチモード電力変換器は、エネルギー蓄積要素を電源に結合し、またはエネルギー蓄積要素を電源から切り離すためのスイッチと、周期的にスイッチをターンオンおよびターンオフするためにスイッチに結合されたコントローラとを含む。エネルギー蓄積要素は、磁界蓄積要素たとえばインダクタ、変圧器、または電界蓄積要素たとえばコンデンサとすることができる。スイッチのデューティサイクルを調整することによって、変換器に移動される電力の大きさを制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮出願第61/177745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、電力変換器たとえばバック変換器内のコントローラは、一定周波数モードまたは一定オフ時間モードにてスイッチをターンオンおよびターンオフする。しかしバック変換器は、変換器の入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化するときは、負荷電流を正しく制御できない場合がある。さらにバック変換器またはフライバック変換器が一定周波数モードまたは一定オフ時間モードにてスイッチをターンオンおよびターンオフすることは、入力電圧が比較的高いときはスイッチング損失の増大およびスイッチの温度上昇を引き起こし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態ではコントローラは、第1の比較器と、第2の比較器と、第1および第2の比較器に結合された制御ユニットとを含む。第1の比較器は、電力変換器のエネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生するように動作可能である。第2の比較器は、出力電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生するように動作可能である。制御ユニットは、第1および第2の比較信号に従って電力変換器のスイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能である。エネルギー蓄積要素は、スイッチがターンオンされた場合は電源からエネルギーを蓄積するために電源に結合され、スイッチがターンオフされた場合は蓄積エネルギーを負荷に放出するために電源から切り離される。
【0006】
他の実施形態ではコントローラは、第1の検出ピンと、第2の検出ピンと、入力ピンと、制御ピンとを含む。第1の検出ピンは、電力変換器のエネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号を受け取るように動作可能である。第2の検出ピンは、出力電流を示す第2の検出信号を受け取るように動作可能である。入力ピンは、電力変換器に供給される電源の入力電圧を受け取るように動作可能である。制御ピンは、スイッチをターンオンおよびターンオフするためにエネルギー蓄積要素に結合されたスイッチに制御信号を送るように動作可能である。動作時にはコントローラは、第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生する。コントローラはさらに、第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生する。さらにコントローラは、第1および第2の比較信号に従って、制御ピンを通じて制御信号をスイッチに対して発生する。
【0007】
他の実施形態では電力変換器は、エネルギー蓄積要素と、エネルギー蓄積要素に結合されたスイッチと、スイッチに結合されたコントローラとを含む。エネルギー蓄積要素は、電源からエネルギーを蓄積し、蓄積エネルギーを負荷に放出するように動作可能である。スイッチは、エネルギー蓄積要素を電源に結合し、エネルギー蓄積要素を電源から切り離すように動作可能である。コントローラは、出力電流を所定の範囲内に制御するために、エネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流に従ってスイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能である。動作時にはコントローラは、出力電流が第1の電流閾値より低く減少する場合はエネルギー蓄積要素を電源に結合するようにスイッチをターンオンし、出力電流が第2の電流閾値より高く増加する場合はエネルギー蓄積要素を電源から切り離すようにスイッチをターンオフする。
【0008】
本主題の実施形態の特徴および利点は、以下の詳細な説明が進むに従い、および同じ番号は同じ部品を示す図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による変換器のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、図1の変換器によって発生される電流の波形を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、変換器を制御するためのコントローラのブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態による変換器のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の変換器によって発生される電流の波形を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、変換器を制御するためのコントローラのブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による、変換器によって行われる動作のフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態による、変換器によって行われる動作のフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態による、変換器の出力電流を制御する方法のフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態による、変換器の出力電流を制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態を詳しく参照する。本発明について、これらの実施形態に関連して説明するが、それらは本発明をこれらの実施形態に限定するものではないことが理解されよう。これに反して本発明は、本発明の趣旨および範囲内に含むことができる代替形態、変更形態、および等価物を包含するものである。
【0011】
さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を得るために数多くの特定の詳細が述べられる。しかし本発明は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが当業者には理解されよう。他の場合において、良く知られた方法、手順、構成要素、および回路は、本発明の態様が不必要に不明瞭にならないように、詳細には述べていない。
【0012】
本発明による実施形態は、電力変換器、および電力変換器を制御するためのコントローラを提供する。コントローラは、変換器内のエネルギー蓄積要素、たとえばインダクタまたは変圧器を通って流れる電流に従って変換器内のスイッチを制御する。一実施形態では、エネルギー蓄積要素を通る電流が第1の閾値まで減少する場合は、コントローラは、エネルギー蓄積要素を電源に結合するようにスイッチをターンオンする。エネルギー蓄積要素を通る電流が第1の閾値より大きな第2の閾値まで増加する場合は、コントローラは、エネルギー蓄積要素を電源から切り離すようにスイッチをターンオフする。エネルギー蓄積要素を通る電流は臨界導通モードにて制御され、すなわちエネルギー蓄積要素を通る電流は、所定の範囲内すなわち少なくとも2つの所定の境界の間となる。有利には、エネルギー蓄積要素を通る電流の平均レベルに等しいレベルを有する、変換器によって電力供給される負荷を通って流れる電流は、入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化する場合でも、ほぼ一定のままとすることができる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による変換器100、たとえばバック変換器のブロック図を示す。変換器100は、電源からエネルギーを蓄積し、蓄積エネルギーを負荷124に放電するためのエネルギー蓄積要素を含む。図1の実施例では、エネルギー蓄積要素はインダクタ110を含む。抵抗器122、インダクタ110、負荷124、スイッチ114、および抵抗器126は、電源と接地の間に直列に結合される。ダイオード112は、抵抗器122、インダクタ110、および負荷124と並列に結合される。コンデンサ118は、インダクタ110を通って負荷124に流れる出力電流IOUTのリップルをフィルタリングするために、負荷124と並列に結合される。したがって、負荷124を通って流れる電流ILは直流となる。スイッチ114は、インダクタ110を電源に電気的に結合し、またはインダクタ110を電源から切り離すために用いられる。スイッチ114がターンオンされたときは、出力電流IOUTは、電源から負荷124へインダクタ110、スイッチ114、および抵抗器126を通って流れる。エネルギーは、一時的にインダクタ110に蓄積することができる。スイッチ114がターンオフされたときは、インダクタ110に蓄積されたエネルギーは、インダクタ110から負荷124に放電される。それにより、負荷124を通って流れる電流ILは、出力電流IOUTの平均レベルに等しいレベルを有する。
【0014】
変換器100はさらに、負荷124を通る電流ILをほぼ一定に保つために、出力電流IOUTを調節するようにスイッチ114を制御するためにスイッチ114に結合されたコントローラ116を含む。一実施形態ではコントローラ116は、ピンZCD、CS、VDD、DRV、COMP、およびGNDを有する集積回路である。ピンZCDは、抵抗器122およびインダクタ110に結合される。入力電圧VINは、ピンVDDを通じてコントローラ116に供給される。図1の実施例では、コントローラ116は、ピンVDDでの入力電圧VINとピンZCDでの電圧VZCDの差を表す検出信号VIN-ZCDを検出することにより、インダクタ110を通る出力電流IOUTを監視する。ピンCOMPに結合された電圧源120は、コントローラ116に電圧閾値VTHR2を供給するために用いられる。ピンCSは、スイッチ114および抵抗器126に結合される。コントローラ116はまた、抵抗器126の両端の電圧V126を表す、ピンCSでの検出信号VCSを検出することにより、インダクタ110を通る出力電流IOUTを監視する。ピンDRVは、スイッチ114に結合される。コントローラ116は、スイッチ114を制御するために、ピンDRVを通じて制御信号SSWをスイッチ114に対して発生する。一実施形態ではコントローラ116は、第1の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオンし、第2の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオフする。ピンGNDは、接地に結合される。
【0015】
動作時には、ピンVDDでの入力電圧VINが起動電圧、たとえば13Vより高い場合は、コントローラ116は動作を開始する。そうでない場合は、コントローラ116はディスエーブルされ、その結果スイッチ114はターンオフされる。コントローラ116がイネーブルされた場合は、コントローラ116は、ピンDRVを通じて第1の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオンする。インダクタ110は、入力電圧VINに結合される。したがって電源から負荷124へ抵抗器126を通って流れる出力電流IOUTは、ゼロから徐々に増加することができ、それにより電圧V126の増加を生じる。エネルギーは、一時的にインダクタ110に蓄積される。
【0016】
スイッチ114がターンオンされたときは、抵抗器122の両端の電圧は、出力電流IOUTとの関連でインダクタ110のヒステリシスのために同時に変化することはできない。したがってコントローラ116は、抵抗器126の両端の電圧V126を表す、ピンCSでの検出信号VCSを検出することによって出力電流IOUTを監視することができる。検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高く増加するときは、これはインダクタ110を通る出力電流IOUTが電流閾値ITHR2より高く増加することを示し、コントローラ116はピンDRVを通じて第2の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオフする。インダクタ110は、電源から切り離される。それにより、インダクタ110に蓄積されたエネルギーは、インダクタ110から負荷124に放電される。出力電流IOUTは、インダクタ110から負荷124へダイオード112および抵抗器122を通って流れ、徐々にゼロまで減少する。
【0017】
スイッチ114がターンオフされたときは、コントローラ116は、ピンVDDでの入力電圧VINとピンZCDでの電圧VZCDの差を表す検出信号VIN-ZCDを検出することにより、出力電流IOUTを監視することができる。検出信号VIN-ZCDが電圧閾値VTHR1、たとえば0.1V未満に減少するときは、これはインダクタ110を通る出力電流IOUTが電流閾値ITHR1、たとえばほぼゼロより低く減少することを示し、コントローラ116は、ピンDRVを通じて第1の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオンする。次いで、電源から負荷124へスイッチ114および抵抗器126を通って流れる出力電流IOUTは徐々に増加し、それにより電圧V126の増加を生じる。本明細書では「ほぼゼロ」とは、スイッチ114がオフのときにインダクタ110を通るリップル電流が比較的小さく、省略することができる限りにおいて、出力電流IOUTがゼロと異なり得ることを意味する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による、図1の変換器100によって発生される出力電流IOUTおよび負荷電流ILの波形を示す。図2に示されるように、出力電流IOUTは周期的に、スイッチ114がターンオンされたときは期間SW_ONの間にゼロから最大値IMAXまで増加し、スイッチ114がターンオフされたときは期間SW_OFFの間に最大値IMAXからほぼゼロまで減少する。電流ILは、期間SW_ONおよびSW_OFFの間、ほぼ一定のままとなる。したがって出力電流IOUTは、たとえば最小値(たとえば、ゼロ)と最大値IMAXの間の所定の範囲内に制御することができる。最大値IMAXは、式(1)によって得られる。
IMAX=V126(MAX)/R126=VTHR1/R126 (1)
R126は、抵抗器126の抵抗値を表す。
【0019】
出力電流IOUTの平均レベルIAVGは、負荷電流ILにほぼ等しく、式(2)によって得られる。
IAVG=IL=0.5×IMAX=0.5×(VTHR1/R126) (2)
【0020】
有利には、インダクタ110を通って流れる出力電流IOUTに従ってスイッチ114のオンおよびオフ状態を制御するように、出力電流IOUTを所定の範囲内に制御することができる。したがって式(2)によれば、負荷124を通って流れる電流ILは、入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化する場合でも、ほぼ一定のままとすることができる。さらに、スイッチ114がターンオンされるときは、スイッチ114を通って流れる出力電流IOUTはほぼゼロであるので、スイッチ114の両端の電圧降下をほぼゼロとすることができる。したがってゼロ電圧スイッチングに準じたスイッチングを達成することができる。それによりスイッチ114のスイッチング損失および温度を低減することができる。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態による、図1のコントローラ116のブロック図を示す。図3について、図1と組み合わせて説明する。一実施形態ではコントローラ116は、直流-直流(DC/DC)変換器、たとえばバック変換器を制御するために用いられる。しかし本発明はそのように限定されず、コントローラ116は他のタイプの変換器、たとえば交流-直流(AC/DC)変換器または直流-交流(DC/AC)変換器にも用いることができる。
【0022】
コントローラ116では、ピンVDDでの電圧VVDDは、過小電圧ロックアウトユニット(under-voltage lockout unit)308を通じて基準およびバイアスユニット310に供給される。電圧VVDDが起動電圧、たとえば13Vより高い場合は、基準およびバイアスユニット310は、電流検出器302、制御ユニット304、および比較器306などの、コントローラ116内の機能ユニットに動作電圧、たとえば5Vを発生することができる。したがってコントローラ116は、イネーブルされる。電圧VVDDが起動電圧より大きくない場合は、過小電圧ロックアウトユニット308は電圧VVDDを阻止することができ、基準およびバイアスユニット310はディスエーブルされる。その結果、コントローラ116はディスエーブルされる。
【0023】
電流検出器302は、ピンVDDでの電圧VINとピンZCDでの電圧VZCDの差を表す検出信号VIN-ZCDを検出することにより、インダクタ110を通る出力電流IOUTを検出するように動作可能である。図3の実施例では電流検出器302は、ピンZCDでの電圧VZCDとピンVDDでの入力電圧VINとを受け取り、電圧VINと電圧VZCDの差を表す検出信号VIN-ZCDを発生するための増幅器314を含む。電圧VINと電圧VZCDの差は、出力電流IOUTに比例する。電流検出器302はさらに、検出信号VIN-ZCDを電圧閾値VTHR1と比較し、信号VIN-ZCDが電圧閾値VTHR1より小さい場合に、(たとえばローレベルを有する)信号SMINを発生するための比較器312を含む。
【0024】
一実施形態では信号VIN-ZCDが電圧閾値VTHR1未満に減少したときは、これは出力電流IOUTが電流閾値ITHR1より低く減少したことを示し、比較器312は信号SMINを制御ユニット304に対して発生する。信号SMINに応答して制御ユニット304は、ピンDRVを通じて第1の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオンする。
【0025】
さらに比較器306は、抵抗器126の両端の電圧V126を表すピンCSでの検出信号VCSを検出することにより、インダクタ110を通る出力電流IOUTを監視する。一実施形態では比較器306は、検出信号VCSを電圧閾値VTHR2と比較し、検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高く増加する場合は、(たとえばハイレベルを有する)信号SMAXを発生する。電圧閾値VTHR2は、ピンCOMPを通じて電圧源、たとえば電圧源120によって供給される。信号SMAXに応答して制御ユニット304は、ピンDRVを通じて第2の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ114をターンオフする。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態による変換器400、たとえばフライバック変換器のブロック図を示す。変換器400は、電源からエネルギーを蓄積し、蓄積エネルギーを負荷424に放電するためのエネルギー蓄積要素を含む。一実施形態ではエネルギー蓄積要素は、一次巻線404と二次巻線410とを有する変圧器T3とすることができる。一次巻線404、スイッチ414、および抵抗器426は、電源と接地の間に直列に結合される。ダイオード412、負荷424、および抵抗器402は、二次巻線410に直列に結合される。コンデンサ418は、二次巻線410から負荷424および抵抗器402に流れる出力電流IOUT2のリップルをフィルタリングするために、負荷424および抵抗器402と並列に結合される。したがって負荷424および抵抗器402を通って流れる電流ILは、直流となる。
【0027】
一実施形態では、スイッチ414がターンオンされたときは、一次巻線404は電源に結合される。したがって、エネルギーを変圧器T3内に蓄積することができる。二次巻線410の両端の電圧は負であるので、ダイオード412は逆バイアスされる。それにより、負荷424を通って流れる電流はない。スイッチ414がターンオフされたときは、一次巻線404は電源から切り離される。この状況では、二次巻線410の両端の電圧は正になる。それにより、ダイオード412は順バイアスされる。その結果として、変圧器T3に蓄積されたエネルギーは、二次巻線410から負荷424へ移動される。出力電流IOUT2は、二次巻線410およびダイオード412を通って負荷424へ流れる。それにより負荷424および抵抗器402を通って流れる電流ILは、出力電流IOUT2の平均レベルに等しいレベルを有する。
【0028】
変換器400はさらに、負荷424を通る電流ILをほぼ一定に保つために、出力電流IOUT2を調節するようにスイッチ414を制御するためにスイッチ414に結合された、コントローラ416を含む。一実施形態ではコントローラ416は、ピンZCD、CS、VDD、DRV、COMP、およびGNDを有する集積回路である。ピンVDDは、抵抗器428を通じて電源に結合することができる。ピンGNDは、接地に結合される。ピンDRVは、スイッチ414に結合される。コントローラ416は、ピンDRVを通じてスイッチ414を制御する。一実施形態ではコントローラ416は、ピンDRVを通じて第1の状態での制御信号SSWをスイッチ414に対して発生してスイッチ414をターンオンし、ピンDRVを通じて第2の状態での制御信号SSWをスイッチ414に対して発生してスイッチ414をターンオフする。さらにピンZCDは、抵抗器422を通じて二次巻線410およびダイオード412に結合される。コントローラ416は、二次巻線410の両端の出力電圧VOUTを表す、ピンZCDでの検出信号VZCDを検出することにより、変圧器T3の二次巻線410を通る出力電流IOUT2を監視する。
【0029】
またピンCSは、スイッチ414および抵抗器426に結合される。ピンCSにて検出される検出信号VCSは、抵抗器426の両端の電圧V426を表す。コントローラ416は、ピンCSでの検出信号VCSを検出することにより、変圧器T3の一次巻線404を通る出力電流IOUT1を監視する。ピンCOMPは、負荷電流ILを示す、抵抗器402の両端の電圧V402を監視するために、負荷424および抵抗器402に結合される。コントローラ416は、ピンCOMPにて検出された電圧V402に基づいて電圧閾値VTHR2を発生する。より具体的には電圧V402が所定の値VPRE、たとえば0.25Vより高く増加するときは、電圧閾値VTHR2はそれに従って減少することができる。電圧V402が所定の値VPREより低く減少するときは、電圧閾値VTHR2はそれに従って増加することができる。電圧V402がほぼゼロの場合は、電圧閾値VTHR2は所定の最大値VMAX、たとえば3.5Vに増加することができる。言い換えれば電圧閾値VTHR2は、電圧V402と所定の値VPREの比較に従って調整することができる。一実施形態では所定の値VPREは、ユーザによって設定することができる。上述のように電圧V402は、負荷電流ILに比例する。それにより電圧閾値VTHR2は、負荷電流ILと所定の値IPREの比較結果に従って調整される。
【0030】
入力電圧が変換器400に供給されるときに、ピンVDDでの電圧VVDDが起動電圧、たとえば13Vより高い場合は、コントローラ416はイネーブルされる。そうでない場合は、コントローラ416はディスエーブルされ、スイッチ414はターンオフされる。コントローラ416がイネーブルされたときは、コントローラ416はピンDRVを通じてスイッチ414をターンオンすることができる。一次巻線404は、電源に結合される。したがって一次巻線404、スイッチ414、および抵抗器426を通って流れる出力電流IOUT1は、ゼロから徐々に増加することができ、抵抗器426の両端の電圧V426は、ゼロから徐々に増加することができる。エネルギーは変圧器T3内に蓄積され、負荷424を通って流れる電流はない。
【0031】
抵抗器402の両端の電圧V402は起動時にはゼロであるので、電圧閾値VTHR2は、所定の最大値VMAXとなる。コントローラ416は、ピンCSでの検出信号VCSを検出することにより、出力電流IOUT1を監視する。電圧V426を表す検出信号VCSが、電圧閾値VTHR2より高く増加するときは、これは出力電流IOUT1が電流閾値ITHR1より高く増加することを示し、コントローラ416は、ピンDRVを通じて第2の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ414をターンオフする。したがって一次巻線404は、電源から切り離される。変圧器T3に蓄積されたエネルギーは、負荷424へ移動される。二次巻線410からダイオード412を通って負荷424および抵抗器402に流れる出力電流IOUT2は、最大値まで増加し、次いで最小値、たとえばほぼゼロまで徐々に減少することができる。
【0032】
スイッチがターンオフされたときは、コントローラ416は、ピンZCDでの検出信号VZCDを検出することにより、出力電流IOUT2を監視する。検出信号VZCDが電圧閾値VTHR1未満に減少するときは、これは出力電流IOUT2が電流閾値ITHR2より低く減少することを示し、コントローラ416は、ピンDRVを通じて第1の状態での制御信号SSWを発生してスイッチ414をターンオンする。一次巻線404は、電源に結合される。それにより一次巻線404を通って流れる出力電流IOUT1は、ゼロから徐々に増加することができる。また、スイッチ414がターンオンされたときは、二次巻線410の両端の電圧は最小値、たとえばほぼゼロまで低下することができる。同様に、一次巻線404の両端の電圧V404も、最小値まで低下することができる。したがって、VINとV404の和にほぼ等しい、スイッチ414のドレイン電圧は、最小値まで低下することができる。したがって、スイッチ414の電力損失および温度を低減することができる。
【0033】
動作時は、電圧V402が所定の値VPREより高く増加する場合は、電圧閾値VTHR2はそれに従って減少することができる。したがってピンCSでの検出信号VCSの最大値は減少することができ、それにより変圧器T3に蓄積されるエネルギーの減少を生じる。その結果、負荷424および抵抗器402を通って流れる電流ILは減少し、それにより電圧V402の減少を生じる。電圧V402が所定の値VPREより低く減少する場合は、電圧閾値VTHR2はそれに従って増加することができる。したがってピンCSでの検出信号VCSの最大値は増加することができ、それにより変圧器T3に蓄積されるエネルギーの増加を生じる。その結果、負荷424および抵抗器402を通って流れる電流ILは増加し、それにより電圧V402の増加を生じる。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態による変換器400によって発生される電流、たとえば一次巻線404を通って流れる出力電流IOUT1、二次巻線410を通って流れる出力電流IOUT2、および負荷424を通って流れる電流ILの波形を示す。
【0035】
図5に示されるように出力電流IOUT1は、スイッチ414がターンオンされたときは期間SW_ONの間、ゼロから最大値まで増加する。出力電流IOUT1は、スイッチ414がターンオフされたときはほぼゼロまで低下し、期間SW_OFFの間は実質的にゼロのままとなる。出力電流IOUT2は、期間SW_ONの間は実質的にゼロのままとなる。出力電流IOUT2は、期間SW_OFFの間は最大値からほぼゼロまで減少する。電流ILは、期間SW_ONおよびSW_OFFの間はほぼ一定のままとなる。電圧V402は、所定の値VPREの近くに制御することができるので、電流ILは、式(3)によって得ることができる値IAVGの近くに制御することができる。
IAVG=VPRE/R402 (3)
R402は、抵抗器402の抵抗値を表す。
【0036】
有利には変換器400は、出力電流IOUT2を所定の範囲内に制御することができる。式(3)によれば、負荷424を通って流れる電流ILは、入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化する場合でも、ほぼ一定のままとすることができる。さらに、電流ILは、抵抗器402の抵抗値を調整することによって調節することができる。図1の変換器100と同様に、スイッチ414がターンオンされたときは、スイッチ414のドレイン電圧は最小値まで低下することができる。したがって、スイッチ414の電力損失および温度を低減することができる。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態による、図4のコントローラ416のブロック図を示す。図3と同じラベルが付けられた要素は同様な機能を有し、ここでは詳細に述べない。図6について、図3および図4と組み合わせて説明する。一実施形態ではコントローラ416は、直流-直流(DC/DC)変換器を制御するために用いられる。しかし、本発明はそのように限定されず、コントローラ416は他のタイプの変換器、たとえば交流-直流(AC/DC)変換器、または直流-交流(DC/AC)変換器にも用いることができる。
【0038】
図6の実施例ではコントローラ416は、ピンZCDでの検出信号VZCDを検出することによって出力電流IOUT2を監視するように、ピンZCDに結合された電流検出器602を含む。一実施形態では電流検出器602は、検出信号VZCDが電圧閾値VTHR1より低く減少する場合に、立下りエッジでトリガされる。それに応答して電流検出器602は、(たとえばローレベルを有する)信号SMINを制御ユニット304に対して発生する。信号SMINに応答して制御ユニット304は、ピンDRVを通じてスイッチ414をターンオンする。
【0039】
コントローラ416はさらに、ピンCOMPでの電圧V402を所定の値VPREと比較し、比較結果に従って電圧閾値VTHR2を発生するための誤差増幅器630を含む。電圧V402が所定の値VPREより高く増加する場合は、電圧閾値VTHR2はそれに従って減少する。電圧V402が所定の値VPREより低く減少する場合は、電圧閾値VTHR2はそれに従って増加する。電圧V402がほぼゼロの場合は、電圧閾値VTHR2は所定の最大値VMAX、たとえば3.5Vまで増加することができる。言い換えれば電圧閾値VTHR2は、電圧V402と所定の値VPREの比較に従って調整することができる。一実施形態では所定の値VPREは、ユーザによって設定することができる。比較器306は、ピンCSでの検出信号VCSを電圧閾値VTHR2と比較し、検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高く増加するときは、(たとえばハイレベルを有する)信号SMAXを制御ユニット304に対して発生する。信号SMAXに応答して制御ユニット304は、スイッチ414をターンオフする。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態による変換器、たとえば図1の変換器100によって行われる動作のフローチャート700である。図7について、図1および図3と組み合わせて説明する。
【0041】
変換器100は、ブロック702で起動する。ブロック704で、コントローラ116に供給される電圧VVDDが、起動電圧VS、たとえば13Vより高い場合は、コントローラ116内の基準およびバイアスユニット310は動作電圧、たとえば5Vを電流検出器302、制御ユニット304、および比較器306などのコントローラ116内の機能ユニットに対して発生する。したがってコントローラ116は、ブロック706で動作を開始する。電圧VVDDが起動電圧VSより低い場合は、コントローラ116はブロック708でディスエーブルされる。
【0042】
ブロック710では、ピンVDDでの入力電圧VINとピンZCDでの電圧VZCDの差を表す検出信号VIN-ZCDが電圧閾値VTHR1、たとえば0.1Vより低くない場合は、スイッチ114はオフのままとなる。検出信号VIN-ZCDが電圧閾値VTHR1より低くなると、電流検出器302は、(たとえばローレベルを有する)信号SMINをコントローラ116内の制御ユニット304に対して発生する。入力電圧VINと電圧VZCDの差は、出力電流IOUTに比例する。信号SMINに応答して制御ユニット304は、ブロック712でピンDRVを通じてスイッチ114をターンオンする。出力電流IOUTは、ゼロから徐々に増加する。
【0043】
ブロック714では、ピンCSでの検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高くない場合は、スイッチ114はオンのままとなる。ピンCSでの検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高く増加すると、比較器306は、(たとえばハイレベルを有する)信号SMAXを制御ユニット304に対して発生する。検出信号VCSは、出力電流IOUTに比例する。信号SMAXに応答して制御ユニット304は、ブロック716でピンDRVを通じてスイッチ114をターンオフする。出力電流IOUTは、最大値からゼロまで徐々に減少する。ブロック716でスイッチ114がターンオフされた後は、フローチャート700はブロック710へ戻る。
【0044】
その結果として、インダクタ110を通って負荷124へ流れる出力電流IOUTは、周期的にゼロから最大値IMAXまで増加し、最大値IMAXからゼロまで減少する。したがって出力電流IOUTは、所定の範囲内に制御することができる。有利には、負荷124を通って流れる電流ILは、入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化する場合でも、ほぼ一定のままとすることができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態による変換器、たとえば図4の変換器400によって行われる動作のフローチャート800である。図8について、図4および図6と組み合わせて説明する。
【0046】
変換器400は、ブロック802で起動する。ブロック804で、コントローラ416に供給される電圧VVDDが、起動電圧VS、たとえば13Vより高い場合は、基準およびバイアスユニット310は動作電圧、たとえば5Vを電流検出器602、制御ユニット304、誤差増幅器630、および比較器306などのコントローラ416内の機能ユニットに対して発生する。したがってコントローラ416は、ブロック806で動作するようにイネーブルされる。電圧VVDDが起動電圧VSより低い場合は、コントローラ416はブロック808でディスエーブルされる。
【0047】
ブロック810では、ピンZCDでの検出信号VZCDが電圧閾値VTHR1、たとえば0.1Vより低くない場合は、スイッチ414はオフのままとなる。検出信号VZCDが電圧閾値VTHR1より低く減少すると、これは出力電流IOUT2が電流閾値ITHR2より低く減少することを示し、電流検出器602は、(たとえばローレベルを有する)信号SMINを制御ユニット304に対して発生する。信号SMINに応答して制御ユニット304は、ブロック812でピンDRVを通じてスイッチ414をターンオンする。一次巻線404を通って流れる出力電流IOUT1は、ゼロから徐々に増加する。二次巻線410の両端の電圧は負であるので、ダイオード412は逆バイアスされる。したがって、二次巻線410を通って負荷424へ流れる電流はない。
【0048】
ブロック814では誤差増幅器630は、抵抗器402の電圧V402を所定の値VPREと比較し、比較結果に従って電圧閾値VTHR2を発生する。ブロック816では誤差増幅器630は、比較結果に従って電圧閾値VTHR2を調整する。電圧V402が所定の値VPREより高く増加する場合は、誤差増幅器630はそれに従って電圧閾値VTHR2を減少する。電圧V402が所定の値VPREより低く減少する場合は、誤差増幅器630はそれに従って電圧閾値VTHR2を増加する。電圧V402がほぼゼロの場合は、電圧閾値VTHR2は所定の最大値VMAX、たとえば3.5Vに設定される。
【0049】
ブロック818では、ピンCSでの検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高くない場合は、スイッチ414はオンのままとなる。ピンCSでの検出信号VCSが電圧閾値VTHR2より高く増加すると、これは変圧器T3の一次巻線404を通る出力電流IOUT1が電流閾値ITHR1より高く増加することを示し、比較器306は、(たとえばハイレベルを有する)信号SMAXを制御ユニット304に対して発生する。検出信号VCSは、一次巻線404を通って流れる出力電流IOUT1に比例する。信号SMAXに応答して制御ユニット304は、ブロック820でピンDRVを通じてスイッチ414をターンオフする。二次巻線410の両端の電圧は正になるので、ダイオード412は順バイアスされる。したがって変圧器T3に蓄積されたエネルギーは、負荷424へ移動することができる。二次巻線410からダイオード412を通って負荷424へ流れる出力電流IOUT2は、最大値まで上昇し、次いでゼロまで徐々に減少する。ブロック820でスイッチ414がターンオフされた後に、フローチャート800はブロック810へ戻る。
【0050】
有利には変換器400は、抵抗器402の電圧V402と所定の値VPREの比較に従って電圧閾値VTHR2を調整することができる。したがって、抵抗器402の電圧V402は所定の値VPREの近くに制御することができ、出力電流IOUT2は所定の範囲内に制御することができる。したがって電流ILは、入力電圧が比較的広い範囲、たとえば85V〜265Vで変化する場合でも、一定のレベルの近くに制御することができる。
【0051】
図9は、本発明の一実施形態による変換器、たとえば図1の変換器100の出力電流を制御する方法のフローチャート900である。図9について、図1と組み合わせて説明する。
【0052】
変換器100がパワーオンされた後にブロック902でスイッチ114は、エネルギー蓄積要素、たとえばインダクタ110を電源に電気的に結合するように、コントローラ、たとえばコントローラ116によってターンオンされる。したがってブロック904で出力電流IOUTは、電源からエネルギー蓄積要素を通って負荷へ流れるように導通され、徐々に増加する。エネルギーは、エネルギー蓄積要素内に蓄積される。
【0053】
ブロック906では、出力電流IOUTが電流閾値ITHR2より高くない場合は、スイッチ114はオンのままとなる。ブロック906で出力電流IOUTが電流閾値ITHR2より高く増加すると、ブロック908でコントローラ116は、エネルギー蓄積要素を電源から切り離すようにスイッチ114をターンオフする。したがってブロック910で出力電流IOUTは、エネルギー蓄積要素から負荷へ流れるように導通され、徐々に減少する。エネルギー蓄積要素に蓄積されたエネルギーは、負荷へ移動される。
【0054】
ブロック912では、出力電流IOUTが電流閾値ITHR1より低くない場合は、スイッチ114はオフのままとなる。ブロック912で、出力電流IOUTが電流閾値ITHR1より低く減少すると、フローチャート900はブロック902へ戻り、コントローラ116は、エネルギー蓄積要素を電源に結合するようにスイッチ114をターンオンする。したがって出力電流IOUTは、エネルギー蓄積要素を通って負荷に流れるように導通され、徐々に増加する。
【0055】
図10は、本発明の一実施形態による変換器、たとえば図4の変換器400の出力電流を制御する方法のフローチャート1000である。図10について、図4と組み合わせて説明する。
【0056】
変換器400がパワーオンされた後にブロック1002でスイッチ414は、エネルギー蓄積要素、たとえば変圧器T3の一次巻線404を電源に電気的に結合するように、コントローラ、たとえばコントローラ416によってターンオンされる。したがってブロック1004で出力電流IOUT1は、一次巻線404を通って流れるように導通される。エネルギーは、変圧器T3内に蓄積される。
【0057】
ブロック1006では電流閾値ITHR1は、負荷424を通って流れる電流ILに基づいて調整される。一実施形態では、電流ILが所定の値IPREより高く増加する場合は、電流閾値ITHR1は減少される。電流ILが所定の値IPREより低く減少する場合は、電流閾値ITHR1は増加される。ブロック1008では、出力電流IOUT1が電流閾値ITHR1より高くない場合は、スイッチ414はオンのままとなる。出力電流IOUT1が電流閾値ITHR1より高く増加すると、ブロック1010でコントローラ416は、一次巻線404を電源から切り離すようにスイッチ414をターンオフする。ブロック1012で出力電流IOUT2は、変圧器T3の二次巻線410から負荷へ流れるように導通され、徐々に減少する。変圧器T3に蓄積されたエネルギーは、負荷へ移動される。ブロック1014では、出力電流IOUT2が電流閾値ITHR2より低くない場合は、スイッチ414はオフのままとなる。出力電流IOUT2が電流閾値ITHR2より低く減少すると、フローチャート1000はブロック1002へ戻り、コントローラ416は、一次巻線404を電源に結合するようにスイッチ414をターンオンする。
【0058】
したがって本発明の実施形態は、電力変換器、および電力変換器を制御するためのコントローラを提供する。コントローラは、電力変換器のエネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生するように動作可能な第1の比較器と、出力電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生するように動作可能な第2の比較器とを含む。コントローラはさらに、第1および第2の比較器に結合され、第1および第2の比較信号に従って電力変換器のスイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能な制御ユニットを含む。コントローラがスイッチをターンオンしたときは、エネルギー蓄積要素は、電源からエネルギーを蓄積するために電源に結合される。コントローラがスイッチをターンオフしたときは、エネルギー蓄積要素は、蓄積エネルギーを負荷に放出するために電源から切り離される。
【0059】
バック変換器用の一実施形態では、エネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号が第1の閾値より低く減少する場合は、コントローラはスイッチをターンオンする。エネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第2の検出信号が第2の閾値より高く増加する場合は、コントローラはスイッチをターンオフする。フライバック変換器用の他の実施形態では、コントローラは、負荷を通って流れる電流に従って第2の閾値を発生し、調整することができる。負荷電流が所定の値より高く増加する場合は、第2の閾値をそれに従って減少することができる。負荷電流が所定の値より低く減少する場合は、第2の閾値をそれに従って増加することができる。
【0060】
また、本発明についてこれらの実施形態に関連して説明したが、それらは本発明をこれらの実施形態に限定するものではなく、様々な他の実施形態、またはこれらの実施形態の変形形態を実施するのに適切となり得ることが理解されよう。
【0061】
上記の説明および図面は、本発明の実施形態を表すが、本発明の原理の趣旨および範囲から逸脱せずに、それらに様々な追加、変更、および置換を行い得ることが理解されよう。当業者には、本発明は、本発明の実施において用いられ、本発明の原理から逸脱せずに特定の環境および動作要件に特に適合された、形状、構造、配置、大きさ、材料、要素、および構成部品その他の、多くの変更形態と共に用い得ることが理解されよう。したがってここで開示された実施形態は、すべての点において例示的なものであって限定的なものではなく、上記の説明に限定されないものと見なされるべきである。
【符号の説明】
【0062】
100 変換器
110 インダクタ
112 ダイオード
114 スイッチ
116 コントローラ
118 コンデンサ
120 電圧源
122 抵抗器
124 負荷
126 抵抗器
302 電流検出器
304 制御ユニット
306 比較器
308 過小電圧ロックアウトユニット
310 基準およびバイアスユニット
312 比較器
314 増幅器
400 変換器
402 抵抗器
404 一次巻線
410 二次巻線
412 ダイオード
414 スイッチ
416 コントローラ
418 コンデンサ
422 抵抗器
424 負荷
426 抵抗器
428 抵抗器
602 電流検出器
630 誤差増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器を制御するためのコントローラであって、
前記電力変換器のエネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生するように動作可能な第1の比較器と、
前記出力電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生するように動作可能な第2の比較器と、
前記第1および第2の比較器に結合され、前記第1および第2の比較信号に従って、前記電力変換器のスイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能な制御ユニットと
を備え、前記エネルギー蓄積要素は、前記スイッチがターンオンされた場合は電源からエネルギーを蓄積するために前記電源に結合され、前記スイッチがターンオフされた場合は蓄積エネルギーを負荷に放出するために前記電源から切り離される、コントローラ。
【請求項2】
前記負荷を通って流れる負荷電流を所定の値と比較し、対応する比較結果に従って前記第2の閾値を発生するように動作可能な誤差増幅器をさらに備える、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記第2の閾値は、前記負荷電流が前記所定の値より高く増加する場合は減少され、前記負荷電流が前記所定の値より低く減少する場合は増加される、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記第1の検出信号が前記第1の閾値より低く減少する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源に結合するように前記スイッチをターンオンし、前記第2の検出信号が前記第2の閾値より高く増加する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源から切り離すように前記スイッチをターンオフする、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積要素が、一次巻線および二次巻線を有する変圧器を含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記一次巻線に結合された前記第1の比較器が、前記一次巻線を通って流れる第1の電流を示す前記第1の検出信号を前記第1の閾値と比較し、前記二次巻線に結合された前記第2の比較器が、前記二次巻線を通って流れる第2の電流を示す前記第2の検出信号を前記第2の閾値と比較する、請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
電力変換器を制御するためのコントローラであって、
前記電力変換器に結合された電源の入力電圧を受け取るように動作可能な入力ピンと、
前記電力変換器のエネルギー蓄積要素に結合された第1の検出ピンであって、前記コントローラは、前記入力ピンと前記第1の検出ピンの信号差を検出することにより、前記エネルギー蓄積要素を通る出力電流を示す第1の検出信号を受け取る、第1の検出ピンと、
前記出力電流を示す第2の検出信号を受け取るように動作可能な第2の検出ピンと、
前記エネルギー蓄積要素に結合されたスイッチをターンオンおよびターンオフするために制御信号を前記スイッチに対して発生するように動作可能な制御ピンと
を備え、前記コントローラは、前記第1の検出信号を第1の閾値と比較して第1の比較信号を発生し、前記コントローラは、前記第2の検出信号を第2の閾値と比較して第2の比較信号を発生し、前記コントローラは、前記第1および第2の比較信号に従って、前記制御ピンを通じて前記制御信号を前記スイッチに対して発生する、コントローラ。
【請求項8】
前記エネルギー蓄積要素は、前記スイッチがターンオンされた場合は、電源からエネルギーを蓄積するために前記電源に結合され、前記スイッチがターンオフされた場合は、蓄積エネルギーを負荷に放出するために前記電源から切り離される、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記エネルギー蓄積要素に結合された負荷を通って流れる負荷電流を所定の値と比較し、対応する比較結果に従って前記第2の閾値を発生するように動作可能な誤差増幅器をさらに備える、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記第2の閾値は、前記負荷電流が前記所定の値より高く増加する場合は減少され、前記負荷電流が前記所定の値より低く減少する場合は増加される、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1の検出信号が前記第1の閾値より低く減少する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源に結合するように前記スイッチをターンオンし、前記第2の検出信号が前記第2の閾値より高く増加する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源から切り離すように前記スイッチをターンオフする、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記エネルギー蓄積要素が、一次巻線および二次巻線を有する変圧器を含む、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記コントローラが、前記一次巻線を通って流れる第1の電流を示す前記第1の検出信号を前記第1の閾値と比較し、前記二次巻線を通って流れる第2の電流を示す前記第2の検出信号を前記第2の閾値と比較する、請求項12に記載のコントローラ。
【請求項14】
電源からエネルギーを蓄積し、蓄積エネルギーを負荷に放出するように動作可能なエネルギー蓄積要素と、
前記エネルギー蓄積要素を前記電源に結合し、前記エネルギー蓄積要素を前記電源から切り離すように動作可能なスイッチと、
前記エネルギー蓄積要素を通って流れる出力電流を所定の範囲内に制御するために、前記出力電流に従って前記スイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能なコントローラと
を備える電力変換器であって、
前記コントローラは、前記出力電流が第1の電流閾値より低く減少する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源に結合するように前記スイッチをターンオンし、前記出力電流が第2の電流閾値より高く増加する場合は、前記エネルギー蓄積要素を前記電源から切り離すように前記スイッチをターンオフする、電力変換器。
【請求項15】
前記エネルギー蓄積要素が前記電源から切り離された場合に、前記エネルギー蓄積要素から前記負荷へ流れる前記出力電流を導通するために、前記エネルギー蓄積要素および前記負荷に結合されたダイオードをさらに備える、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項16】
前記エネルギー蓄積要素が、前記電源と前記負荷の間に結合されたインダクタを含む、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項17】
前記エネルギー蓄積要素が、一次巻線および二次巻線を有する変圧器を含む、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項18】
前記コントローラが、前記一次巻線を通って流れる第1の電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、前記二次巻線を通って流れる第2の電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較する、請求項17に記載の電力変換器。
【請求項19】
前記コントローラが、
前記出力電流を示す第1の検出信号を第1の閾値と比較し、第1の比較信号を発生するように動作可能な第1の比較器と、
前記出力電流を示す第2の検出信号を第2の閾値と比較し、第2の比較信号を発生するように動作可能な第2の比較器と
を備える、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項20】
前記コントローラが、前記第1および第2の比較器に結合され、前記第1および第2の比較信号に従って前記スイッチをターンオンおよびターンオフするように動作可能な制御ユニットをさらに備える、請求項19に記載の電力変換器。
【請求項21】
前記コントローラが、前記負荷を通って流れる負荷電流を所定の値と比較し、対応する比較結果に従って前記第2の電流閾値を発生するように動作可能な誤差増幅器を備える、請求項14に記載の電力変換器。
【請求項22】
前記第2の電流閾値は、前記負荷電流が前記所定の値より高く増加する場合は減少され、前記負荷電流が前記所定の値より低く減少する場合は増加される、請求項21に記載の電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−268678(P2010−268678A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−111085(P2010−111085)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】