電力変換装置および電源システム
【課題】複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることが可能な電力変換装置および電源システムを提供する。
【解決手段】複数相の電源EU,EV,EWの中性点NP1と複数相の負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合された電源システム201における電力変換装置101であって、電源EU,EV,EWから供給される各相の交流電力を変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給するマトリックスコンバータMXと、各電源とマトリックスコンバータMXとの間およびマトリックスコンバータMXと各負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの各負荷への伝達を抑制するフィルタFLX1,FLY1とを備える。
【解決手段】複数相の電源EU,EV,EWの中性点NP1と複数相の負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合された電源システム201における電力変換装置101であって、電源EU,EV,EWから供給される各相の交流電力を変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給するマトリックスコンバータMXと、各電源とマトリックスコンバータMXとの間およびマトリックスコンバータMXと各負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの各負荷への伝達を抑制するフィルタFLX1,FLY1とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置および電源システムに関し、特に、複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給する電力変換装置および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数および振幅が変動する複数相の交流電力から任意の周波数および任意の振幅を有する複数相の交流電圧または交流電流を生成する電源システムが開発されている。
【0003】
このような電源システムでは、一般的に、以下のようなAC−DC−AC間接変換方式が採用されている。すなわち、交流電源からの交流電力を半導体スイッチを用いた整流器により直流電力に変換し、安定した電圧または電流を生成する。これにより、直流部にエネルギーを蓄積する。この直流部からのエネルギーすなわち電力をインバータにより任意の周波数および任意の振幅を有する交流電圧または交流電流に変換する。
【0004】
このようなAC−DC−AC間接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献1には、以下のような構成が開示されている。すなわち、エンジンにより駆動される交流発電機と、整流回路と、インバータとを備える定周波電源において、中性点をグランドに接続した交流発電機の出力を整流して得られる直流電源を3組の単相インバータにより中性点接地型3相4線式交流電源に変換する。この3相4線式交流電源の各相出力が所定の仕様を満足するように、3組の単相インバータを制御する。
【0005】
また、AC−DC−AC間接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献2には、以下のような構成が開示されている。すなわち、交流電源を整流して直流電圧に変換する整流部と、変換された直流電圧をスイッチング素子の導電率を制御することにより交流に変換するインバータとを備えるモータ駆動装置に使用されるノイズフィルタにおいて、モータ駆動装置の入力側ノイズフィルタと、モータ駆動装置の出力側ノイズフィルタとを一体構造にしている。そして、入力側ノイズフィルタは雑音端子電圧低減フィルタであり、出力側ノイズフィルタはコモンモード電流低減フィルタである。雑音端子電圧低減フィルタは、交流電源とモータ駆動装置との間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、モータ駆動装置の入力部とコモン線との間に並列に接続されたコンデンサとを含む。出力側ノイズフィルタは、モータ駆動装置の出力部とモータとの間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、モータとコモン線との間に並列に接続されたコンデンサと、コモンモードチョークコイルに並列に接続された抵抗とを含む。そして、入力側ノイズフィルタのコモンモードチョークコイルおよび出力側ノイズフィルタのコモンモードチョークコイルを共通コア上に設けている。また、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されている。
【0006】
ところで、電源システムが航空機等に組み込まれる場合には、電源システムの小型化が特に要求される。電源システムの小型化を図る技術としては、AC−DC−AC間接変換方式と比べて部品点数が少なくなるAC−AC直接変換方式が知られている(たとえば非特許文献1参照)。このAC−AC直接変換方式では、交流電力を交流電力に直接変換するマトリックスコンバータを用いることにより、任意の周波数および任意の振幅を有する交流電圧または交流電流を生成する。マトリックスコンバータを用いることにより、入力電流の力率を1に制御することができるため、電源システムの小型化を図ることができる。
【0007】
このようなAC−AC直接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献3には、以下のような構成が開示されている。すなわち、マトリックスコンバータの交流電源側に設けられた入力用三相交流リアクトルと、入力用三相交流リアクトルとマトリックスコンバータとの接続点に並列接続された入力用コンデンサからなる受動フィルタと、マトリックスコンバータの出力側に設けられた出力用三相交流リアクトルとを備える。出力用三相交流リアクトルの一端はマトリックスコンバータに接続され、他端は出力用三相コモンモードチョークコイルに接続される。出力用三相コモンモードチョークコイルが有する出力用三相交流リアクトルとは反対側の端子にモータなどの負荷を接続し、かつ出力用三相コモンモードチョークコイルと負荷との接続点に並列に出力用コンデンサを接続する。入力用コンデンサおよび出力用コンデンサはそれぞれの三相分が星型結線でありかつこれらの星型結線の中性点同士を接続線で接続している。
【0008】
また、AC−DC−AC間接変換方式およびAC−AC直接変換方式の両方が適用可能な電力変換装置として、たとえば、特許文献4には、以下のような構成が開示されている。すなわち、インバータおよびマトリクスコンバータ等に代表されるような電力変換装置を用いたモータ駆動装置に使用されるノイズフィルタにおいて、モータ駆動装置の入力側ノイズフィルタと、モータ駆動装置の出力側ノイズフィルタとを一体構造にしている。入力側ノイズフィルタは、電源と電力変換装置との間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、このコモンモードチョークコイルおよび電力変換装置の間に各R、S、T相それぞれに配置された接地用コンデンサと、各R、S、T相間にY結線された複数のコンデンサとを含む。入力側ノイズフィルタにおけるY結線された各コンデンサの中性点に出力側ノイズフィルタのバイパス回路部が接続されている。また、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されている。
【特許文献1】特開平4−331470号公報
【特許文献2】特開2005−130575号公報
【特許文献3】特開2005−295676号公報
【特許文献4】特開2007−68311号公報
【非特許文献1】石田宗秋他著、「入力力率可変正弦波入出力PWM制御サイクロコンバータの波形制御法」、電気学会論文誌、第107巻−D、第2号、pp.239−246、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、AC−AC直接変換方式を採用する電源システムにおいて、複数相の交流電源の中性点の電位が不定である場合、この電源システムに接続される負荷が誤動作する可能性がある。たとえば航空機では負荷である様々な電装品が使用されており、電装品の誤動作が重大な問題につながりかねない。そして、中性点の不定電位は推測不可能であるため、この不定電位による誤動作を制御によって防ぐことは困難である。
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることが可能な電力変換装置および電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力変換装置は、複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給し、かつ複数相の電源の中性点と複数相の負荷の中性点とが共通の安定電位に結合された電源システムにおける電力変換装置であって、複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、複数相の電源とマトリックスコンバータとの間およびマトリックスコンバータと複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える。
【0012】
このような構成により、ノーマルモードノイズに加えて、マトリックスコンバータのスイッチング等に起因して発生するコモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができるため、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給することができる。また、マトリックスコンバータを用いることにより、AC−DC−AC間接変換方式と比べて電力変換装置の小型化を図ることができる。
【0013】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の負荷とマトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む。
【0014】
このような構成により、フィルタが、マトリックスコンバータから伝達されたコモンモードノイズに対してインダクタンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0015】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、マトリックスコンバータおよび対応の相の負荷の接続ノードと、安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む。
【0016】
このような構成により、フィルタが、マトリックスコンバータから伝達されたコモンモードノイズに対してインピーダンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0017】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の電源とマトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む。
【0018】
このような構成により、フィルタが、電源から伝達されたコモンモードノイズに対してインダクタンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0019】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の電源およびマトリックスコンバータの接続ノードと、安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む。
【0020】
このような構成により、フィルタが、電源から伝達されたコモンモードノイズに対してインピーダンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0021】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電源システムは、安定電位に結合された中性点を有する複数相の負荷に電力を供給する電源システムであって、安定電位に結合された中性点を有し、複数相の交流電力を供給する複数相の電源と、複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、複数相の電源とマトリックスコンバータとの間およびマトリックスコンバータと複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた各相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える。
【0022】
このような構成により、ノーマルモードノイズに加えて、マトリックスコンバータのスイッチング等に起因して発生するコモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができるため、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給することができる。また、マトリックスコンバータを用いることにより、AC−DC−AC間接変換方式と比べて電源システムの小型化を図ることができる。
【0023】
この発明のある局面に係わる電力変換装置は、マトリックスコンバータを備える。AC−DC−AC間接変換方式と比べてマトリックスコンバータの優れる点は、以下の(1)〜(4)のとおりである。
【0024】
(1)小型化および軽量化が可能
電力変換装置の入力および出力間に挿入される半導体素子数が少なくて済むので、入力および出力間の電流経路上の半導体素子の損失が低減でき、これにより電力変換装置の損失を低減することができる。従って、ヒートシンクなどに代表される冷却部品を小型軽量化できるので、マトリックスコンバータを適用した電力変換装置はAC−DC−AC間接変換方式と比べて小型軽量化を図ることができる。
【0025】
また、マトリックスコンバータは、入力電流の位相を制御できることが知られている(非特許文献1参照)。従って、入力電圧と同位相になるように入力電流位相を制御した場合、入力力率を1にすることができる。一般的に、AC−DC−AC間接変換方式におけるAC−DC変換方式は、ダイオード整流器を適用する方式およびPWM整流器を適用する方式に大別される。そして、一般的に、ダイオード整流器を適用する方式は、安価で構成が容易であり、かつ高効率であるが、入力力率が比較的悪いという欠点を持っている。また、一般的に、PWM整流器を適用する方式は、マトリックスコンバータと同様に入力力率1を実現することができるが、高価であり、構成が複雑であり、かつ損失が大きいという欠点を持っている。
【0026】
以上のことから、マトリックスコンバータはダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と異なり、力率1を実現することができる。これにより、マトリックスコンバータの入力電源設備容量、たとえば入力電源および発電機などの容量を低減できるため、マトリックスコンバータの入力電源設備の小型化を図ることができる。さらに、マトリックスコンバータは、PWM整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と比べて損失が小さくなる。
【0027】
なお、入力電源設備容量Sは、一般的に、以下の式で表わされる。
S[VA]=P[VA]÷η÷PF
ただし、Pはマトリックスコンバータの出力電力すなわち負荷が要求する電力であり、ηはマトリックスコンバータの効率であり、PFはマトリックスコンバータの入力力率である。
【0028】
さらに、マトリックスコンバータは入力力率を1にすることができる為、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と比べて入力電流を小さくすることができる。これにより、入力電源設備およびマトリックスコンバータ間の配線を細くすることができるため、小型化および軽量化を図ることができる。
【0029】
なお、三相の場合における入力電流Iは、一般的に、以下の式で表わされる。
I[A]=S[VA]÷V[V]÷3
ただし、Vはマトリックスコンバータの入力電圧すなわち入力電源設備の出力電圧である。
【0030】
また、単相の場合における入力電流Iは、一般的に、以下の式で表わされる。
I[A]=S[VA]÷V[V]
航空機においては機器重量が重視され、少しでも軽量化を図ることが重要であり、従って、上記のように配線が少しでも細くなることが好ましく、電力変換装置が少しでも小さくかつ軽くなることが好ましい。
【0031】
(2)長寿命化が可能
マトリックスコンバータは、一般的に直流部を有さないことが知られている(非特許文献1参照)。
【0032】
これに対して、AC−DC−AC間接変換方式では、入力交流電力を一旦直流電力に変換し、再度任意の交流電力を生成する方式であるため、直流部を有する。この直流部では、一般的に容量の大きい電解コンデンサ等を設けることにより、入力交流電力を直流電力に変換している。
【0033】
一般的に、電解コンデンサには寿命があり、抵抗器および半導体素子などの電力変換装置を構成する部品と比べて寿命が短い。電力変換装置の寿命は当該電解コンデンサの寿命と同一視される場合もある。
【0034】
これに対して、マトリックスコンバータは、上記の通り直流部を有さないことから、電解コンデンサが不要である。したがって、長寿命化を図ることができる。
【0035】
なお、一般的な観点から、電力変換装置の寿命が長くなることは、システムに組み込まれた電力変換装置の交換回数が少なくなる場合があるため、好ましい。
【0036】
(3)電力回生機能がある
マトリックスコンバータは、一般的に、エネルギーの伝達方向の制約がない為、負荷で発生したエネルギーを入力側に回生できることが知られている。
【0037】
これに対して、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式では、ダイオード整流器によりエネルギーの伝達方向はある一方向に制限される。
【0038】
なお、一般的に、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式においては、負荷の端部に放電用の抵抗器を設けることにより、負荷で発生したエネルギーを放電する。この場合、負荷のエネルギーを抵抗器の熱に変換するので、負荷のエネルギーは有効に利用されない。更には、放電用の抵抗器を別途設ける必要があり、小型軽量化を妨げる。
【0039】
なお、負荷でエネルギーが発生する例としては、以下のようなものがある。すなわち、電車などを駆動するインバータにおいては、インバータにより電動機を駆動して、この電動機によって電車が走行する。電車の加速時などはインバータを介して、その加速に要するエネルギー相当分を電動機に供給する。そして、電車の減速時において、電動機が発電機のようにエネルギーを発生する。
【0040】
(4)低ノイズ化
AC−DC−AC間接変換方式は、前述の通り直流部を有する。一般的に、インバータは直流部の電圧を受けて、FET(Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などに代表される半導体素子によって、直流部の電圧を当該半導体素子でスイッチングすることにより、任意に設定された出力電圧および出力周波数へ変調する。
【0041】
この場合、直流部の電圧を当該半導体素子のスイッチングによりオン・オフした矩形波電圧が生じる。この矩形波電圧の最大値は、スイッチングサージなどを除き、理想的には直流電圧振幅になる。
【0042】
従って、電圧変動率dv/dtにおいて、dvがマトリックスコンバータに比べて大きく、dtは当該半導体素子の特性によって概ね決定されることから、当該半導体素子の電圧変動率dv/dtは大きくなる。そうすると、当該半導体素子の電圧の変動によって発生するノイズを低減するために、各所にノイズフィルタを挿入する等のノイズ対策が必要になり、電力変換装置が大型かつ高重量になってしまう。
【0043】
これに対して、マトリックスコンバータは、前述の通り直流部を有さない為、FETおよびIGBTなどに代表される半導体素子を用いて、任意に設定された出力電圧および出力周波数に変調する場合に、当該半導体素子の電圧変動率dv/dtは前述のAC−DC−AC間接変換方式と比べて小さくなる。
【0044】
即ち、AC−DC−AC間接変換方式における半導体素子の電圧変動は、直流部の電圧を受けた半導体素子を導通させた場合の半導体素子のオン電圧(一般的に数V)に対してスイッチングすなわちオン・オフを繰り返した形になる。
【0045】
これに対して、マトリックスコンバータは、入力電圧の任意の相の電圧を半導体素子によって変調する為、半導体素子の電圧変動が、入力電圧の任意の相の電圧と半導体素子を導通させた場合の半導体素子のオン電圧(一般的に数V)とをスイッチングによって繰り返す形になる。
【0046】
このため、マトリックスコンバータでは、AC−DC−AC間接変換方式に比べて半導体素子の電圧変動dv/dtを抑制できることから、挿入するノイズフィルタの数量が少なくなり、サイズが小さくなる場合がある。従って、マトリックスコンバータは、AC−DC−AC間接変換方式に比べて小型軽量化を図ることができる。
【0047】
この発明のある局面に係わる電力変換装置は、好ましくは、単相リアクトルを備える。三相リアクトルと比べて単相リアクトルの優れる点は、以下の(1)〜(2)のとおりである。
【0048】
(1)磁気回路の非共通化
三相リアクトルは、後述するように磁気回路が共通である。これに対して、単相リアクトルを各相ごとに設ける構成では、単相リアクトル同士の磁気的結合がない為、下記の優れた点がある。すなわち、三相リアクトルでは、例えば、三相のうちの一相に過大な磁束が発生してコア飽和が発生した場合、コアが共通であるため、三相とも設計値通りのインダクタンス成分が発生しない場合がある。即ち、ある相に発生したコア磁束に関する影響が他の相にも発生する。
【0049】
これに対して、単相リアクトルを各相ごとに設ける構成では、各単相リアクトル間の磁気的結合がない為、他の単相リアクトルに発生したコア磁束に関する影響が他の単相リアクトルには発生しない。
【0050】
したがって、例えば、1つの単相リアクトルに過電流などが発生してコア磁束が飽和した場合、その相は単相リアクトルのインダクタンス値が設計値通りのインダクタンス値ではなくなる。このため、負荷へのノイズを設計通り抑制することができないが、他の相については設計通りノイズを抑制可能である。これにより、負荷の一相分の過電流などの異常に対して、負荷に与えるノイズ等の影響を少なくすることができる。
【0051】
(2)設置場所の自由度改善
三相リアクトルは、三相分が1組のコアおよび3つの巻線などで構成され、一般的に他の部品より大きい。
【0052】
これに対して、単相リアクトルは、単相分が1組のコアおよび1つの巻線などで構成され、三相の場合には単相リアクトルを3つ配置する必要がある。一般的に、単相リアクトルおよび三相リアクトルを同じ仕様に従って設計した場合、三相リアクトルの大きさは1つの単相リアクトルより大きい。但し、一般的には、三相リアクトル1つの体積と単相リアクトル3つの体積とでは、三相リアクトルの方が小さい。
【0053】
当該リアクトル等の配置に関して、一般的には物理的な制約が発生する。即ち、1つの単相リアクトルは1つの三相リアクトルより小さい為、比較的配置の自由度が高い。これに対して、三相リアクトルは1つの単相リアクトルより大きいので、配置可能な場所が限定される場合がある。
【0054】
以上のように、三相リアクトルは3つのリアクトルが一体的に構成されるため、その大きさおよび重さに起因して配置場所に制約が発生する。これに対して、単相リアクトルは、1つのリアクトルが1つの物体として構成されるため、三相リアクトルより一般的に小さく、三相リアクトルと比べて配置の自由度が高い。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0057】
<第1の実施の形態>
[電源システム251および電力変換装置151]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム251の構成を示す図である。
【0058】
図1を参照して、電源システム251は、交流電源EU,EV,EWと、電力変換装置151と、負荷部LUとを備える。電力変換装置151は、入力フィルタFLX2と、出力フィルタFLY2と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX2は、三相リアクトルLITと、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2とを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。出力フィルタFLY2は、三相リアクトルLOTと、コンデンサCOA2,COB2,COC2とを含む。三相リアクトルLOTは、リアクトルLOA2,LOB2,LOC2を含む。マトリックスコンバータMXは、双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3を含む。負荷部LUは、負荷LA,LB,LCを含む。
【0059】
以下、交流電源EU,EV,EWの各々を交流電源Eと称する場合がある。負荷LA,LB,LCの各々を負荷Lと称する場合がある。リアクトルLIU2,LIV2,LIW2の各々をリアクトルLI2と称する場合がある。コンデンサCIU2,CIV2,CIW2の各々をコンデンサCI2と称する場合がある。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2の各々をリアクトルLO2と称する場合がある。コンデンサCOA2,COB2,COC2の各々をコンデンサCO2と称する場合がある。
【0060】
電源システム251は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム251において、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。ここで、安定電位とは、電源システム251における他の部分と比べてインピーダンスが小さく電位変動が微小な部分の電位であり、たとえば航空機のフレームグランドすなわち機体の電位である。ここで、機体は、導電性を有する材質からなる。また、航空機等の大型機に電源システム251が組み込まれる場合には、中性点NP1および中性点NP2の距離が大きくなることから、中性点NP1と機体は、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。中性点NP2と機体も、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。
【0061】
電力変換装置151は、交流電源EU,EV,EWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0062】
入力フィルタFLX2は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU2,CIV2,CIW2はΔ結線されている、すなわち三相リアクトルLITとマトリックスコンバータMXとの間におけるU相,V相,W相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0063】
出力フィルタFLY2は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、三相リアクトルLOTと負荷Lとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0064】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOC2との間に接続されている。
【0065】
双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3の各々は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオードを直列接続した回路を2つ用意し、互いの導通方向が逆向きになるようにこの2つの回路を並列接続した構成である。あるいは、これらの双方向スイッチは、逆耐圧性能を有する2つの逆阻止IGBTが、互いの導通方向が逆向きになるように並列接続されている構成であってもよい。
【0066】
入力フィルタFLX2は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0067】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX2を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY2へ出力する。
【0068】
出力フィルタFLY2は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0069】
ここで、入力フィルタFLX2および出力フィルタFLY2が減衰させるノイズの周波数は、電源システム251の仕様に応じて適宜変更され、たとえば負荷LA,LB,LCへ供給すべき交流電力の周波数より高い周波数である。
【0070】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの構成を示す図である。
【0071】
図2を参照して、三相リアクトルLITは、コアMC1,MC2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU,WV,WWおよび対応のコア部分がそれぞれリアクトルLIU2,LIV2,LIW2に対応している。
【0072】
コアMC1,MC2はE型であり、コアMC1の端部、コアMC2の端部、およびコアMC1の端部とコアMC2の端部との間のギャップが巻線部WU,WV,WWにそれぞれ覆われている。なお、三相リアクトルLITは、コアMC1の端部とコアMC2の端部とが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0073】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【0074】
図3を参照して、三相リアクトルLITは、コアMC1,MC2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU,WV,WWおよび対応のコア部分がそれぞれリアクトルLIU2,LIV2,LIW2に対応している。
【0075】
コアMC1はE型であり、コアMC2はI型である。コアMC1の端部付近が巻線部WU,WV,WWにそれぞれ覆われている。なお、三相リアクトルLITは、コアMC1の端部とコアMC2とが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0076】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【0077】
図4を参照して、三相リアクトルLITは、I型のコアMC1,MC2,MCU1,MCU2,MCV1,MCV2,MCW1,MCW2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCU1,MCU2がリアクトルLIU2に対応している。巻線部WV、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCV1,MCV2がリアクトルLIV2に対応している。巻線部WW、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCW1,MCW2がリアクトルLIW2に対応している。
【0078】
コアMCU1の端部、コアMCU2の端部、およびコアMCU1の端部とコアMCU2の端部との間のギャップが巻線部WUに覆われている。コアMCV1の端部、コアMCV2の端部、およびコアMCV1の端部とコアMCV2の端部との間のギャップが巻線部WVに覆われている。コアMCW1の端部、コアMCW2の端部、およびコアMCW1の端部とコアMCW2の端部との間のギャップが巻線部WWに覆われている。なお、三相リアクトルLITは、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0079】
三相リアクトルLOTの構成は三相リアクトルLITと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0080】
電源システム251では、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2が共通の安定電位SPに結合されている。このような構成により、交流電源EU,EV,EWの電位が不定になることを防ぐことができるため、負荷LA,LB,LCの誤動作を防ぐことができる。
【0081】
また、負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給すべき電力量が異なる場合、平衡状態である負荷LA,LB,LCのいずれかに単相負荷がさらに接続される場合、および負荷LA,LB,LCにそれぞれ接続された単相負荷に供給すべき電力量が異なる場合には、負荷部LUの三相負荷量が不平衡になる。しかしながら、電源システム251では、このような不平衡分の電流を負荷LA,LB,LCの中性点NP2から交流電源EU,EV,EWの中性点NP1へ流すことができる。
【0082】
[電源システム251および電力変換装置151の課題]
一方、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2を安定電位SPに接続すると、交流電源EU,EV,EWからの各相の交流電力の不平衡、入力フィルタFLX2からの各相の出力電圧の不平衡、マトリックスコンバータMXの各スイッチを制御するパルスのデューティの不平衡および負荷LA,LB,LCに供給される各相の交流電力の不平衡により、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間に電流が流れる。そして、マトリックスコンバータMXの各スイッチのスイッチングによって発生する各相のリップル電圧の差異により、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間にスイッチング周波数成分を有する高周波電流が流れる。すなわち、中性点NP2と中性点NP1との間に高周波電流が流れ、この高周波電流によってコモンモードノイズが発生する。
【0083】
なお、本発明の実施の形態において、コモンモードノイズとは、電源システムにおけるU相,V相,W相の各回路で、あるタイミングにおいて電流または電圧の向きが等しいノイズを意味する。コモンモードノイズである各相の電流は負荷LA,LB,LCの中性点NP2において打ち消し合わないため、コモンモードノイズによって中性点NP2およびNP1を介して電流が流れることになる。これに対して、ノーマルモードノイズとは、負荷LA,LB,LCの中性点NP2において打ち消し合うような電流を意味する。
【0084】
図5は、電力変換装置151における三相リアクトルを通して流れる正弦波電流を示す波形図である。図5は、正規化した電流波形を示している。
【0085】
図6は、図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流の向きを示す図である。
【0086】
以下、三相リアクトルLITにおける3つのリアクトルLIU2,LIV2,LIW2について、巻線部WU,WV,WWの巻数が同じであり、巻方向が同じであり、コアMC1,MC2がそれぞれ左右対称であると仮定する。また、コアMC1,MC2間にギャップが存在する場合には、そのギャップ長、ならびにギャップに使用される材質の透磁率等の磁気的、電気的および機械的特性が同一であると仮定する。
【0087】
この場合、図5に示すような三相平衡でかつ歪みのない理想的な正弦波電流を三相リアクトルLITに流すと、時刻AにおいてU相電流IUすなわち巻線部WUを通して流れる電流の振幅は最大の1となり、V相電流IVすなわち巻線部WVを通して流れる電流およびW相電流IWすなわち巻線部WWを通して流れる電流の振幅はそれぞれ−0.5となる。また、時刻Aにおいて、巻線部WU,WV,WWを通して流れる電流の向きは図6に示すようになる。
【0088】
図7は、図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流および磁束の向きを示す図である。
【0089】
図7を参照して、図5に示すような三相平衡でかつ歪みのない理想的な正弦波電流を三相リアクトルLITに流した場合、時刻Aにおいて、リアクトルLIU2に発生する磁束FLUの向きとリアクトルLIV2,LIW2にそれぞれ発生する磁束FLV,FLWの向きとが異なる。このため、巻線部WU,WV,WWはインダクタンス成分を有する。
【0090】
図8は、三相リアクトルにおける高周波電流および磁束の向きを示す図である。
図8を参照して、電力変換装置151においては、前述のようにマトリックスコンバータMXのスイッチング等によってリップル成分を含む正弦波電流が三相リアクトルLITを通して流れる場合がある。すなわち、高周波電流が同一方向すなわち三相リアクトルLITのリアクトルLIU2,LIV2,LIW2から三相リアクトルLITの中性点へ向かって流れる場合がある。
【0091】
このとき、三相リアクトルLITのU相、V相およびW相すなわちリアクトルLIU2,LIV2,LIW2でそれぞれ発生する磁束FLU,FLV,FLWの方向は互いに打ち消し合う方向となる。このため、コアMC1,MC2を通して磁束が流れなくなることから、巻線部WU,WV,WWはこの高周波電流に対してインダクタンス成分を有さない。なお、三相リアクトルLITの各リアクトルを通して流れる正弦波電流の振幅が異なる場合であっても、磁束FLU,FLV,FLWは互いに弱め合うため、巻線部WU,WV,WWのインダクタンス成分は低減される。
【0092】
したがって、電力変換装置151における三相リアクトルLITは、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を持たないため、この高周波電流を低減することは困難である。
【0093】
なお、三相リアクトルLOTについては図5〜図8を用いて説明した三相リアクトルLITの内容と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0094】
さらに、電力変換装置151では、U相、V相およびW相の各相配線間に接続されたコンデンサCIU2,CIV2,CIW2はΔ結線されており、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2の中性点は安定電位SPに接続されていない。このため、入力フィルタFLX2は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有しない。また、電力変換装置151では、A相、B相およびC相の各相配線間に接続されたコンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されており、コンデンサCOA2,COB2,COC2の中性点は安定電位SPに接続されていない。このため、出力フィルタFLY2は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有しない。
【0095】
したがって、電力変換装置151におけるコンデンサCIU2,CIV2,CIW2およびコンデンサCOA2,COB2,COC2は、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して中性点NP1およびNP2を流れる高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができない。ここで、中性点NP1およびNP2間に抵抗を設けて高周波電流を低減する方法が考えられるが、このような構成では、高周波電流の振幅に応じて中性点NP1およびNP2の電位が不安定になってしまう。
【0096】
そして、コモンモードノイズが交流電源EU,EV,EWの入力側へ与えられると、交流電源EU,EV,EWから出力される各相の交流電力波形に歪が生じ、負荷LA,LB,LCの誤動作などの弊害が生じてしまう。
【0097】
また、マトリックスコンバータMXのスイッチングに起因して発生する電流の周波数は、電力変換装置151の入出力周波数すなわち交流電源EU,EV,EWから供給される交流電力の周波数および負荷LA,LB,LCに供給される交流電力の周波数と比べて十分に大きい。すなわち、この高周波電流はマトリックスコンバータMXのスイッチング周波数を有するため、マトリックスコンバータMXのスイッチング制御によって低減させることができない。
【0098】
また、電力変換装置151ではマトリックスコンバータMXを用いているため、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間に流れる電流により、入力電流に歪が生じることから、入力電流力率が悪化する。そうすると、電力変換装置151の入力電力が増加し、電力変換装置151の破損すなわち交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間の配線および入力フィルタFLX2等の回路の焼損が生じる場合がある。
【0099】
一方、マトリックスコンバータを用いない特許文献1および2に記載のAC−DC−AC間接変換方式では、交流電源の中性点および負荷の中性点を共通の安定電位に接続することによって負荷の中性点と交流電源の中性点との間に高周波電流が流れても、直流部におけるコンデンサによってコモンモードノイズが吸収されるため、負荷の誤動作などの弊害は生じない。これに対して、マトリックスコンバータを用いる特許文献3および4に記載のAC−AC直接変換方式では、交流電源の出力変動がそのまま負荷に伝達されてしまう。
【0100】
このため、マトリックスコンバータを用いるAC−AC直接変換方式では、特許文献3および4に記載の構成からも分かるように、交流電源の中性点および負荷の中性点を接続することは、通常は行なわれない。なお、特許文献2および4に記載の構成では、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されているが、「モータのフレーム」は負荷の中性点とはまったく異なるものである。
【0101】
しかしながら、以下で説明する本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201では、電源システム251のように交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2を安定電位SPに接続することにより、推測不可能な中性点の不定電位の発生を防ぐ。そして、これに加えて、中性点NP1および中性点NP2を接続することによって発生する推測可能なコモンモードノイズを抑制するフィルタを設ける。
【0102】
[電源システム201および電力変換装置101]
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201の構成を示す図である。
【0103】
図9を参照して、電源システム201は、交流電源EU,EV,EWと、電力変換装置101と、負荷部LUとを備える。電力変換装置101は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX1は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1と、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1とを含む。出力フィルタFLY1は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1と、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。マトリックスコンバータMXは、双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3を含む。負荷部LUは、負荷LA,LB,LCを含む。
【0104】
以下、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1の各々を単相リアクトルLI1と称する場合がある。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1の各々をコンデンサCI1と称する場合がある。単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の各々を単相リアクトルLO1と称する場合がある。コンデンサCOA1,COB1,COC1の各々をコンデンサCO1と称する場合がある。
【0105】
電源システム201は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム201において、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。ここで、安定電位とは、電源システム201における他の部分と比べてインピーダンスが小さく電位変動が微小な部分の電位であり、たとえば航空機のフレームグランドすなわち機体の電位である。ここで、機体は、導電性を有する材質からなる。また、航空機等の大型機に電源システム201が組み込まれる場合には、中性点NP1および中性点NP2の距離が大きくなることから、中性点NP1と機体は、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。中性点NP2と機体も、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。
【0106】
電力変換装置101は、交流電源EU,EV,EWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0107】
入力フィルタFLX1は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLI1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0108】
出力フィルタFLY1は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLO1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0109】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0110】
入力フィルタFLX1は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0111】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX1を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY1へ出力する。
【0112】
出力フィルタFLY1は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0113】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における各単相リアクトルの構成を示す図である。
【0114】
図10を参照して、単相リアクトルLOA1は、コアMCA1,MCA2と、巻線部WA1,WA2とを含む。単相リアクトルLOB1は、コアMCB1,MCB2と、巻線部WB1,WB2とを含む。単相リアクトルLOC1は、コアMCC1,MCC2と、巻線部WC1,WC2とを含む。
【0115】
コアMCA1,MCA2はコの字型であり、コアMCA1の端部、コアMCA2の端部、およびコアMCA1の端部とコアMCA2の端部との間のギャップが巻線部WA1およびWA2にそれぞれ覆われている。コアMCB1,MCB2はコの字型であり、コアMCB1の端部、コアMCB2の端部、およびコアMCB1の端部とコアMCB2の端部との間のギャップが巻線部WB1およびWB2にそれぞれ覆われている。コアMCC1,MCC2はコの字型であり、コアMCC1の端部、コアMCC2の端部、およびコアMCC1の端部とコアMCC2の端部との間のギャップが巻線部WC1およびWC2にそれぞれ覆われている。
【0116】
ここで、電力変換装置151における三相リアクトルLITではコアが共通すなわち各相のリアクトルで磁路が共通であったが、電力変換装置101における単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1ではコアが別個に設けられており、各相の磁路が別々である。
【0117】
単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の各ギャップの長さはたとえば数mmであり、上記各単相リアクトルの間隔D1およびD2は、各単相リアクトルの磁束が他の単相リアクトルの磁束の影響を受けないようにたとえば数cmの距離に設定される。
【0118】
単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1の構成は単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0119】
また、以下の変形例を含む単相リアクトルの説明では、単相リアクトルLOA1について代表的に説明するが、電力変換装置151における他の単相リアクトルについても同様である。
【0120】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの等価回路図である。
【0121】
図11を参照して、単相リアクトルLOA1の等価回路は、巻線部WA1によって生じるインダクタンスと、巻線部WA2によって生じるインダクタンスとを含む。
【0122】
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【0123】
図12では、図11に示す2つのインダクタンスを並列接続することにより、1つのインダクタンスを有するリアクトルを構成している。
【0124】
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【0125】
図13では、図11に示す2つのインダクタンスを直列接続することにより、1つのインダクタンスを有するリアクトルを構成している。
【0126】
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。図15は、図14に示す単相リアクトルの等価回路図である。
【0127】
図14および図15を参照して、単相リアクトルLO1は、巻線部を1つだけ含む構成であってもよい。すなわち、単相リアクトルLOA1は、図10に示す単相リアクトルLOA1と異なり、コアMCA2を含まない構成である。
【0128】
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【0129】
図16を参照して、単相リアクトルLOA1は、I型のコアMCA1,MCA2,MCA3,MCA4と、巻線部WA1,WA2とを含む。
【0130】
コアMCA3が両端部を除いて巻線部WA1に覆われている。コアMCA4が両端部を除いて巻線部WA2に覆われている。なお、単相リアクトルLOA1は、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0131】
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【0132】
図17を参照して、単相リアクトルLOA1は、I型のコアMCA1,MCA2,MCA3,MCA4,MCA5,MCA6と、巻線部WA1,WA2とを含む。
【0133】
コアMCA3の端部とコアMCA4の端部との間のギャップが巻線部WA1に覆われている。コアMCA5の端部とコアMCA6の端部との間のギャップが巻線部WA2に覆われている。なお、単相リアクトルLOA1は、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0134】
ところで、図2〜図4に示すような三相リアクトルは各相のリアクトルで共通のコアを含むため、単相リアクトルを各相分設ける構成と比べて小型である。このため、通常、電力変換装置151のように三相交流電力を扱う回路においては三相リアクトルが使用される。ここで、三相リアクトルを用いる電力変換装置151において、マトリックスコンバータMXのスイッチング等によって発生するコモンモードノイズを減衰させるために別途コモンモードノイズフィルタを設ける構成が考えられるが、このような構成では、小型化を図ることが困難となる。
【0135】
しかしながら、本発明の実施の形態に係る電力変換装置101では、三相リアクトルの代わりに単相リアクトルを用いる。このような構成により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して発生する高周波電流が各単相リアクトルを通して同一方向に流れる場合であっても、A相、B相およびC相すなわちリアクトルLOA1,LOB1,LOC1で発生する各磁束が互いに打ち消し合うことを防ぐことができる。同様に、U相、V相およびW相すなわちリアクトルLIU1,LIV1,LIW1で発生する磁束FLU,FLV,FLWが互いに打ち消し合うことを防ぐことができる。
【0136】
したがって、電力変換装置101における単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1および単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して発生する同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0137】
さらに、特許文献2〜4に記載の構成では、フィルタとしてコモンモードチョークコイルが用いられているが、コモンモードチョークコイルは、特許文献2の図15にも記載されているように、通常、各相でコアが共通であり、本発明の第1の実施の形態に係る単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1および単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1とはまったく構成が異なる。また、コモンモードチョークコイルはコモンモードノイズに対してのみインダクタンス成分を有するため、ノーマルモードノイズを低減する場合には、コモンモードチョークコイルの他に回路を追加する必要がある。これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1および単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、ノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの両方に対してインダクタンス成分を有するため、回路の小型化を図ることができる。
【0138】
また、電力変換装置101では、U相、V相およびW相の各相配線間に接続されたコンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されており、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1の中性点が安定電位SPに結合されている。このため、入力フィルタFLX1は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。
【0139】
同様に、電力変換装置101では、A相、B相およびC相の各相配線間に接続されたコンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されており、コンデンサCOA1,COB1,COC1の中性点が安定電位SPに結合されている。このため、出力フィルタFLY1は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。
【0140】
したがって、電力変換装置101におけるコンデンサCIU1,CIV1,CIW1およびコンデンサCOA1,COB1,COC1により、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。
【0141】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201では、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0142】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0143】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0144】
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図18を参照して、電源システム202は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置102を備える。電力変換装置102は、入力フィルタFLX3と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX3は、三相リアクトルLITと、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1とを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。
【0145】
入力フィルタFLX3は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相のリアクトルLI2の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0146】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0147】
入力フィルタFLX3は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0148】
入力フィルタFLX3では、入力フィルタFLX1と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX3は、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0149】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0150】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0151】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0152】
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図19を参照して、電源システム203は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置103を備える。電力変換装置103は、入力フィルタFLX2と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。
【0153】
電力変換装置103は、電力変換装置101と異なり、入力フィルタFLX1の代わりに入力フィルタFLX2を含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY1が、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1およびコンデンサCOA1,COB1,COC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してそれぞれインダクタンス成分およびインピーダンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0154】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第3の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0155】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0156】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0157】
図20は、本発明の第4の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図20を参照して、電源システム204は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置104を備える。電力変換装置104は、入力フィルタFLX4と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX4は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1と、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2とを含む。
【0158】
入力フィルタFLX4は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU2,CIU2,CIU2はΔ結線されている、すなわち、三相リアクトルLITとマトリックスコンバータMXとの間におけるU相,V相,W相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0159】
入力フィルタFLX4は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0160】
入力フィルタFLX4では、入力フィルタFLX1と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX4は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0161】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第4の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0162】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0163】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0164】
図21は、本発明の第5の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図21を参照して、電源システム205は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置105を備える。電力変換装置105は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY3と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY3は、三相リアクトルLOTと、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。三相リアクトルLOTは、リアクトルLOA2,LOB2,LOC2を含む。
【0165】
出力フィルタFLY3は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLO1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0166】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOC2との間に接続されている。
【0167】
出力フィルタFLY3は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0168】
出力フィルタFLY3では、出力フィルタFLY1と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY3は、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、出力フィルタFLY1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0169】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第5の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0170】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0171】
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0172】
図22は、本発明の第6の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図22を参照して、電源システム206は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置106を備える。電力変換装置106は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY4と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY4は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1と、コンデンサCOA2,COB2,COC2とを含む。
【0173】
出力フィルタFLY4は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、単相リアクトルLO1と負荷LA,LB,LCとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0174】
出力フィルタFLY4は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0175】
出力フィルタFLY4では、出力フィルタFLY1と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY4は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0176】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第6の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0177】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0178】
<第7の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタおよび出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0179】
図23は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図23を参照して、電源システム207は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置107を備える。電力変換装置107は、入力フィルタFLX5と、出力フィルタFLY5と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX5は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1を含む。出力フィルタFLY5は、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。
【0180】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。
【0181】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の負荷Lの接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0182】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0183】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0184】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX1を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY5へ出力する。
【0185】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0186】
入力フィルタFLX5は、入力フィルタFLX1と異なり、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1を含まない。このような構成であっても、入力フィルタFLX5は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0187】
出力フィルタFLY5は、出力フィルタFLY1と異なり、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1を含まない。このような構成であっても、出力フィルタFLY5は、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、出力フィルタFLY1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0188】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第7の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0189】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0190】
<第8の実施の形態>
本実施の形態は、第7の実施の形態に係る電源システムと比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第7の実施の形態に係る電源システムと同様である。
【0191】
図24は、本発明の第8の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図24を参照して、電源システム208は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システム207と比べて、電力変換装置107の代わりに電力変換装置108を備える。電力変換装置108は、入力フィルタFLX6と、出力フィルタFLY5と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX6は、三相リアクトルLITを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。
【0192】
入力フィルタFLX6は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。
【0193】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードに接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0194】
入力フィルタFLX6は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0195】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0196】
入力フィルタFLX6は、入力フィルタFLX5と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY5が、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX5を用いる電力変換装置107と比べて小型化を図ることができる。
【0197】
その他の構成および動作は第7の実施の形態に係る電源システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第8の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0198】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0199】
<第9の実施の形態>
本実施の形態は、第7の実施の形態に係る電源システムと比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第7の実施の形態に係る電源システムと同様である。
【0200】
図25は、本発明の第9の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図25を参照して、電源システム209は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システム207と比べて、電力変換装置107の代わりに電力変換装置109を備える。電力変換装置109は、入力フィルタFLX5と、出力フィルタFLY6と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY6は、コンデンサCOA2,COB2,COC2を含む。
【0201】
出力フィルタFLY6は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、マトリックスコンバータMXと負荷Lとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0202】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードに接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0203】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0204】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0205】
出力フィルタFLY6では、出力フィルタFLY5と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX5が、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0206】
その他の構成および動作は第7の実施の形態に係る電源システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第9の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0207】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0208】
<第10の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて電源を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0209】
図26は、本発明の第10の実施の形態に係る電源システム210の構成を示す図である。
【0210】
図26を参照して、電源システム210は、発電機MU,MV,MWと、電力変換装置110と、負荷部LUとを備える。発電機MUは、交流電源EUと、インダクタンスLIU3とを含む。発電機MVは、交流電源EVと、インダクタンスLIV3とを含む。発電機MWは、交流電源EWと、インダクタンスLIW3とを含む。電力変換装置107は、入力フィルタFLX7と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX7は、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1を含む。
【0211】
以下、リアクトルLIU3,LIV3,LIW3の各々をリアクトルLI3と称する場合がある。
【0212】
発電機MUの等価回路は、交流電源EUおよびインダクタンスLIU3の直列回路で表わされる。発電機MVの等価回路は、交流電源EVおよびインダクタンスLIV3の直列回路で表わされる。発電機MWの等価回路は、交流電源EWおよびインダクタンスLIW3の直列回路で表わされる。
【0213】
電源システム210は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム210において、発電機MU,MV,MWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。
【0214】
電力変換装置110は、発電機MU,MV,MWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0215】
入力フィルタFLX7は、発電機MU,MV,MWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相のリアクトルLI3の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0216】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0217】
入力フィルタFLX7は、発電機MU,MV,MWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0218】
入力フィルタFLX7は、入力フィルタFLX1と異なり、単相リアクトルLIA1,LIB1,LIC1を含まない。このような構成であっても、入力フィルタFLX7は、コンデンサCIA1,CIB1,CIC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。
【0219】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第10の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0220】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源システム251の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【図5】電力変換装置151における三相リアクトルを通して流れる正弦波電流を示す波形図である。
【図6】図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流の向きを示す図である。
【図7】図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流および磁束の向きを示す図である。
【図8】三相リアクトルにおける高周波電流および磁束の向きを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201の構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における各単相リアクトルの構成を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの等価回路図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図15】図14に示す単相リアクトルの等価回路図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図24】本発明の第8の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図25】本発明の第9の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図26】本発明の第10の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0222】
101〜110,151 電力変換装置、201〜210,251 電源システム、EU,EV,EW 交流電源、LU 負荷部、FLX1〜FLX7 入力フィルタ、FLY1〜FLY6 出力フィルタ、MX マトリックスコンバータ、LIT,LOT 三相リアクトル、CIU1,CIV1,CIW1,CIU2,CIV2,CIW2,COA2,COB2,COC2 コンデンサ、LIU2,LIV2,LIW2,LOA2,LOB2,LOC2 リアクトル、LIU1,LIV1,LIW1,LOA1,LOB1,LOC1 単相リアクトル、LIU3,LIV3,LIW3 インダクタンス、SA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3 双方向スイッチ、LA,LB,LC 負荷、MC1,MC2,MCU1,MCU2,MCV1,MCV2,MCW1,MCW2,MCA1,MCA2,MCB1,MCB2,MCC1,MCC2 コア、WU,WV,WW,WA1,WA2,WB1,WB2,WC1,WC2 巻線部、MU,MV,MW 発電機。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置および電源システムに関し、特に、複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給する電力変換装置および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数および振幅が変動する複数相の交流電力から任意の周波数および任意の振幅を有する複数相の交流電圧または交流電流を生成する電源システムが開発されている。
【0003】
このような電源システムでは、一般的に、以下のようなAC−DC−AC間接変換方式が採用されている。すなわち、交流電源からの交流電力を半導体スイッチを用いた整流器により直流電力に変換し、安定した電圧または電流を生成する。これにより、直流部にエネルギーを蓄積する。この直流部からのエネルギーすなわち電力をインバータにより任意の周波数および任意の振幅を有する交流電圧または交流電流に変換する。
【0004】
このようなAC−DC−AC間接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献1には、以下のような構成が開示されている。すなわち、エンジンにより駆動される交流発電機と、整流回路と、インバータとを備える定周波電源において、中性点をグランドに接続した交流発電機の出力を整流して得られる直流電源を3組の単相インバータにより中性点接地型3相4線式交流電源に変換する。この3相4線式交流電源の各相出力が所定の仕様を満足するように、3組の単相インバータを制御する。
【0005】
また、AC−DC−AC間接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献2には、以下のような構成が開示されている。すなわち、交流電源を整流して直流電圧に変換する整流部と、変換された直流電圧をスイッチング素子の導電率を制御することにより交流に変換するインバータとを備えるモータ駆動装置に使用されるノイズフィルタにおいて、モータ駆動装置の入力側ノイズフィルタと、モータ駆動装置の出力側ノイズフィルタとを一体構造にしている。そして、入力側ノイズフィルタは雑音端子電圧低減フィルタであり、出力側ノイズフィルタはコモンモード電流低減フィルタである。雑音端子電圧低減フィルタは、交流電源とモータ駆動装置との間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、モータ駆動装置の入力部とコモン線との間に並列に接続されたコンデンサとを含む。出力側ノイズフィルタは、モータ駆動装置の出力部とモータとの間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、モータとコモン線との間に並列に接続されたコンデンサと、コモンモードチョークコイルに並列に接続された抵抗とを含む。そして、入力側ノイズフィルタのコモンモードチョークコイルおよび出力側ノイズフィルタのコモンモードチョークコイルを共通コア上に設けている。また、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されている。
【0006】
ところで、電源システムが航空機等に組み込まれる場合には、電源システムの小型化が特に要求される。電源システムの小型化を図る技術としては、AC−DC−AC間接変換方式と比べて部品点数が少なくなるAC−AC直接変換方式が知られている(たとえば非特許文献1参照)。このAC−AC直接変換方式では、交流電力を交流電力に直接変換するマトリックスコンバータを用いることにより、任意の周波数および任意の振幅を有する交流電圧または交流電流を生成する。マトリックスコンバータを用いることにより、入力電流の力率を1に制御することができるため、電源システムの小型化を図ることができる。
【0007】
このようなAC−AC直接変換方式を採用する電力変換装置として、たとえば、特許文献3には、以下のような構成が開示されている。すなわち、マトリックスコンバータの交流電源側に設けられた入力用三相交流リアクトルと、入力用三相交流リアクトルとマトリックスコンバータとの接続点に並列接続された入力用コンデンサからなる受動フィルタと、マトリックスコンバータの出力側に設けられた出力用三相交流リアクトルとを備える。出力用三相交流リアクトルの一端はマトリックスコンバータに接続され、他端は出力用三相コモンモードチョークコイルに接続される。出力用三相コモンモードチョークコイルが有する出力用三相交流リアクトルとは反対側の端子にモータなどの負荷を接続し、かつ出力用三相コモンモードチョークコイルと負荷との接続点に並列に出力用コンデンサを接続する。入力用コンデンサおよび出力用コンデンサはそれぞれの三相分が星型結線でありかつこれらの星型結線の中性点同士を接続線で接続している。
【0008】
また、AC−DC−AC間接変換方式およびAC−AC直接変換方式の両方が適用可能な電力変換装置として、たとえば、特許文献4には、以下のような構成が開示されている。すなわち、インバータおよびマトリクスコンバータ等に代表されるような電力変換装置を用いたモータ駆動装置に使用されるノイズフィルタにおいて、モータ駆動装置の入力側ノイズフィルタと、モータ駆動装置の出力側ノイズフィルタとを一体構造にしている。入力側ノイズフィルタは、電源と電力変換装置との間に直列に接続されたコモンモードチョークコイルと、このコモンモードチョークコイルおよび電力変換装置の間に各R、S、T相それぞれに配置された接地用コンデンサと、各R、S、T相間にY結線された複数のコンデンサとを含む。入力側ノイズフィルタにおけるY結線された各コンデンサの中性点に出力側ノイズフィルタのバイパス回路部が接続されている。また、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されている。
【特許文献1】特開平4−331470号公報
【特許文献2】特開2005−130575号公報
【特許文献3】特開2005−295676号公報
【特許文献4】特開2007−68311号公報
【非特許文献1】石田宗秋他著、「入力力率可変正弦波入出力PWM制御サイクロコンバータの波形制御法」、電気学会論文誌、第107巻−D、第2号、pp.239−246、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、AC−AC直接変換方式を採用する電源システムにおいて、複数相の交流電源の中性点の電位が不定である場合、この電源システムに接続される負荷が誤動作する可能性がある。たとえば航空機では負荷である様々な電装品が使用されており、電装品の誤動作が重大な問題につながりかねない。そして、中性点の不定電位は推測不可能であるため、この不定電位による誤動作を制御によって防ぐことは困難である。
【0010】
それゆえに、本発明の目的は、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることが可能な電力変換装置および電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力変換装置は、複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給し、かつ複数相の電源の中性点と複数相の負荷の中性点とが共通の安定電位に結合された電源システムにおける電力変換装置であって、複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、複数相の電源とマトリックスコンバータとの間およびマトリックスコンバータと複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える。
【0012】
このような構成により、ノーマルモードノイズに加えて、マトリックスコンバータのスイッチング等に起因して発生するコモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができるため、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給することができる。また、マトリックスコンバータを用いることにより、AC−DC−AC間接変換方式と比べて電力変換装置の小型化を図ることができる。
【0013】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の負荷とマトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む。
【0014】
このような構成により、フィルタが、マトリックスコンバータから伝達されたコモンモードノイズに対してインダクタンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0015】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、マトリックスコンバータおよび対応の相の負荷の接続ノードと、安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む。
【0016】
このような構成により、フィルタが、マトリックスコンバータから伝達されたコモンモードノイズに対してインピーダンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0017】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の電源とマトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む。
【0018】
このような構成により、フィルタが、電源から伝達されたコモンモードノイズに対してインダクタンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0019】
好ましくは、フィルタは、各相に対応して設けられ、対応の相の電源およびマトリックスコンバータの接続ノードと、安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む。
【0020】
このような構成により、フィルタが、電源から伝達されたコモンモードノイズに対してインピーダンス成分を有するため、コモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができる。
【0021】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電源システムは、安定電位に結合された中性点を有する複数相の負荷に電力を供給する電源システムであって、安定電位に結合された中性点を有し、複数相の交流電力を供給する複数相の電源と、複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、複数相の電源とマトリックスコンバータとの間およびマトリックスコンバータと複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた各相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える。
【0022】
このような構成により、ノーマルモードノイズに加えて、マトリックスコンバータのスイッチング等に起因して発生するコモンモードノイズが負荷へ伝達されることを防ぐことができるため、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給することができる。また、マトリックスコンバータを用いることにより、AC−DC−AC間接変換方式と比べて電源システムの小型化を図ることができる。
【0023】
この発明のある局面に係わる電力変換装置は、マトリックスコンバータを備える。AC−DC−AC間接変換方式と比べてマトリックスコンバータの優れる点は、以下の(1)〜(4)のとおりである。
【0024】
(1)小型化および軽量化が可能
電力変換装置の入力および出力間に挿入される半導体素子数が少なくて済むので、入力および出力間の電流経路上の半導体素子の損失が低減でき、これにより電力変換装置の損失を低減することができる。従って、ヒートシンクなどに代表される冷却部品を小型軽量化できるので、マトリックスコンバータを適用した電力変換装置はAC−DC−AC間接変換方式と比べて小型軽量化を図ることができる。
【0025】
また、マトリックスコンバータは、入力電流の位相を制御できることが知られている(非特許文献1参照)。従って、入力電圧と同位相になるように入力電流位相を制御した場合、入力力率を1にすることができる。一般的に、AC−DC−AC間接変換方式におけるAC−DC変換方式は、ダイオード整流器を適用する方式およびPWM整流器を適用する方式に大別される。そして、一般的に、ダイオード整流器を適用する方式は、安価で構成が容易であり、かつ高効率であるが、入力力率が比較的悪いという欠点を持っている。また、一般的に、PWM整流器を適用する方式は、マトリックスコンバータと同様に入力力率1を実現することができるが、高価であり、構成が複雑であり、かつ損失が大きいという欠点を持っている。
【0026】
以上のことから、マトリックスコンバータはダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と異なり、力率1を実現することができる。これにより、マトリックスコンバータの入力電源設備容量、たとえば入力電源および発電機などの容量を低減できるため、マトリックスコンバータの入力電源設備の小型化を図ることができる。さらに、マトリックスコンバータは、PWM整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と比べて損失が小さくなる。
【0027】
なお、入力電源設備容量Sは、一般的に、以下の式で表わされる。
S[VA]=P[VA]÷η÷PF
ただし、Pはマトリックスコンバータの出力電力すなわち負荷が要求する電力であり、ηはマトリックスコンバータの効率であり、PFはマトリックスコンバータの入力力率である。
【0028】
さらに、マトリックスコンバータは入力力率を1にすることができる為、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式と比べて入力電流を小さくすることができる。これにより、入力電源設備およびマトリックスコンバータ間の配線を細くすることができるため、小型化および軽量化を図ることができる。
【0029】
なお、三相の場合における入力電流Iは、一般的に、以下の式で表わされる。
I[A]=S[VA]÷V[V]÷3
ただし、Vはマトリックスコンバータの入力電圧すなわち入力電源設備の出力電圧である。
【0030】
また、単相の場合における入力電流Iは、一般的に、以下の式で表わされる。
I[A]=S[VA]÷V[V]
航空機においては機器重量が重視され、少しでも軽量化を図ることが重要であり、従って、上記のように配線が少しでも細くなることが好ましく、電力変換装置が少しでも小さくかつ軽くなることが好ましい。
【0031】
(2)長寿命化が可能
マトリックスコンバータは、一般的に直流部を有さないことが知られている(非特許文献1参照)。
【0032】
これに対して、AC−DC−AC間接変換方式では、入力交流電力を一旦直流電力に変換し、再度任意の交流電力を生成する方式であるため、直流部を有する。この直流部では、一般的に容量の大きい電解コンデンサ等を設けることにより、入力交流電力を直流電力に変換している。
【0033】
一般的に、電解コンデンサには寿命があり、抵抗器および半導体素子などの電力変換装置を構成する部品と比べて寿命が短い。電力変換装置の寿命は当該電解コンデンサの寿命と同一視される場合もある。
【0034】
これに対して、マトリックスコンバータは、上記の通り直流部を有さないことから、電解コンデンサが不要である。したがって、長寿命化を図ることができる。
【0035】
なお、一般的な観点から、電力変換装置の寿命が長くなることは、システムに組み込まれた電力変換装置の交換回数が少なくなる場合があるため、好ましい。
【0036】
(3)電力回生機能がある
マトリックスコンバータは、一般的に、エネルギーの伝達方向の制約がない為、負荷で発生したエネルギーを入力側に回生できることが知られている。
【0037】
これに対して、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式では、ダイオード整流器によりエネルギーの伝達方向はある一方向に制限される。
【0038】
なお、一般的に、ダイオード整流器を適用したAC−DC−AC間接変換方式においては、負荷の端部に放電用の抵抗器を設けることにより、負荷で発生したエネルギーを放電する。この場合、負荷のエネルギーを抵抗器の熱に変換するので、負荷のエネルギーは有効に利用されない。更には、放電用の抵抗器を別途設ける必要があり、小型軽量化を妨げる。
【0039】
なお、負荷でエネルギーが発生する例としては、以下のようなものがある。すなわち、電車などを駆動するインバータにおいては、インバータにより電動機を駆動して、この電動機によって電車が走行する。電車の加速時などはインバータを介して、その加速に要するエネルギー相当分を電動機に供給する。そして、電車の減速時において、電動機が発電機のようにエネルギーを発生する。
【0040】
(4)低ノイズ化
AC−DC−AC間接変換方式は、前述の通り直流部を有する。一般的に、インバータは直流部の電圧を受けて、FET(Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などに代表される半導体素子によって、直流部の電圧を当該半導体素子でスイッチングすることにより、任意に設定された出力電圧および出力周波数へ変調する。
【0041】
この場合、直流部の電圧を当該半導体素子のスイッチングによりオン・オフした矩形波電圧が生じる。この矩形波電圧の最大値は、スイッチングサージなどを除き、理想的には直流電圧振幅になる。
【0042】
従って、電圧変動率dv/dtにおいて、dvがマトリックスコンバータに比べて大きく、dtは当該半導体素子の特性によって概ね決定されることから、当該半導体素子の電圧変動率dv/dtは大きくなる。そうすると、当該半導体素子の電圧の変動によって発生するノイズを低減するために、各所にノイズフィルタを挿入する等のノイズ対策が必要になり、電力変換装置が大型かつ高重量になってしまう。
【0043】
これに対して、マトリックスコンバータは、前述の通り直流部を有さない為、FETおよびIGBTなどに代表される半導体素子を用いて、任意に設定された出力電圧および出力周波数に変調する場合に、当該半導体素子の電圧変動率dv/dtは前述のAC−DC−AC間接変換方式と比べて小さくなる。
【0044】
即ち、AC−DC−AC間接変換方式における半導体素子の電圧変動は、直流部の電圧を受けた半導体素子を導通させた場合の半導体素子のオン電圧(一般的に数V)に対してスイッチングすなわちオン・オフを繰り返した形になる。
【0045】
これに対して、マトリックスコンバータは、入力電圧の任意の相の電圧を半導体素子によって変調する為、半導体素子の電圧変動が、入力電圧の任意の相の電圧と半導体素子を導通させた場合の半導体素子のオン電圧(一般的に数V)とをスイッチングによって繰り返す形になる。
【0046】
このため、マトリックスコンバータでは、AC−DC−AC間接変換方式に比べて半導体素子の電圧変動dv/dtを抑制できることから、挿入するノイズフィルタの数量が少なくなり、サイズが小さくなる場合がある。従って、マトリックスコンバータは、AC−DC−AC間接変換方式に比べて小型軽量化を図ることができる。
【0047】
この発明のある局面に係わる電力変換装置は、好ましくは、単相リアクトルを備える。三相リアクトルと比べて単相リアクトルの優れる点は、以下の(1)〜(2)のとおりである。
【0048】
(1)磁気回路の非共通化
三相リアクトルは、後述するように磁気回路が共通である。これに対して、単相リアクトルを各相ごとに設ける構成では、単相リアクトル同士の磁気的結合がない為、下記の優れた点がある。すなわち、三相リアクトルでは、例えば、三相のうちの一相に過大な磁束が発生してコア飽和が発生した場合、コアが共通であるため、三相とも設計値通りのインダクタンス成分が発生しない場合がある。即ち、ある相に発生したコア磁束に関する影響が他の相にも発生する。
【0049】
これに対して、単相リアクトルを各相ごとに設ける構成では、各単相リアクトル間の磁気的結合がない為、他の単相リアクトルに発生したコア磁束に関する影響が他の単相リアクトルには発生しない。
【0050】
したがって、例えば、1つの単相リアクトルに過電流などが発生してコア磁束が飽和した場合、その相は単相リアクトルのインダクタンス値が設計値通りのインダクタンス値ではなくなる。このため、負荷へのノイズを設計通り抑制することができないが、他の相については設計通りノイズを抑制可能である。これにより、負荷の一相分の過電流などの異常に対して、負荷に与えるノイズ等の影響を少なくすることができる。
【0051】
(2)設置場所の自由度改善
三相リアクトルは、三相分が1組のコアおよび3つの巻線などで構成され、一般的に他の部品より大きい。
【0052】
これに対して、単相リアクトルは、単相分が1組のコアおよび1つの巻線などで構成され、三相の場合には単相リアクトルを3つ配置する必要がある。一般的に、単相リアクトルおよび三相リアクトルを同じ仕様に従って設計した場合、三相リアクトルの大きさは1つの単相リアクトルより大きい。但し、一般的には、三相リアクトル1つの体積と単相リアクトル3つの体積とでは、三相リアクトルの方が小さい。
【0053】
当該リアクトル等の配置に関して、一般的には物理的な制約が発生する。即ち、1つの単相リアクトルは1つの三相リアクトルより小さい為、比較的配置の自由度が高い。これに対して、三相リアクトルは1つの単相リアクトルより大きいので、配置可能な場所が限定される場合がある。
【0054】
以上のように、三相リアクトルは3つのリアクトルが一体的に構成されるため、その大きさおよび重さに起因して配置場所に制約が発生する。これに対して、単相リアクトルは、1つのリアクトルが1つの物体として構成されるため、三相リアクトルより一般的に小さく、三相リアクトルと比べて配置の自由度が高い。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0057】
<第1の実施の形態>
[電源システム251および電力変換装置151]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム251の構成を示す図である。
【0058】
図1を参照して、電源システム251は、交流電源EU,EV,EWと、電力変換装置151と、負荷部LUとを備える。電力変換装置151は、入力フィルタFLX2と、出力フィルタFLY2と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX2は、三相リアクトルLITと、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2とを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。出力フィルタFLY2は、三相リアクトルLOTと、コンデンサCOA2,COB2,COC2とを含む。三相リアクトルLOTは、リアクトルLOA2,LOB2,LOC2を含む。マトリックスコンバータMXは、双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3を含む。負荷部LUは、負荷LA,LB,LCを含む。
【0059】
以下、交流電源EU,EV,EWの各々を交流電源Eと称する場合がある。負荷LA,LB,LCの各々を負荷Lと称する場合がある。リアクトルLIU2,LIV2,LIW2の各々をリアクトルLI2と称する場合がある。コンデンサCIU2,CIV2,CIW2の各々をコンデンサCI2と称する場合がある。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2の各々をリアクトルLO2と称する場合がある。コンデンサCOA2,COB2,COC2の各々をコンデンサCO2と称する場合がある。
【0060】
電源システム251は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム251において、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。ここで、安定電位とは、電源システム251における他の部分と比べてインピーダンスが小さく電位変動が微小な部分の電位であり、たとえば航空機のフレームグランドすなわち機体の電位である。ここで、機体は、導電性を有する材質からなる。また、航空機等の大型機に電源システム251が組み込まれる場合には、中性点NP1および中性点NP2の距離が大きくなることから、中性点NP1と機体は、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。中性点NP2と機体も、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。
【0061】
電力変換装置151は、交流電源EU,EV,EWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0062】
入力フィルタFLX2は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU2,CIV2,CIW2はΔ結線されている、すなわち三相リアクトルLITとマトリックスコンバータMXとの間におけるU相,V相,W相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0063】
出力フィルタFLY2は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、三相リアクトルLOTと負荷Lとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0064】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2とリアクトルLOC2との間に接続されている。
【0065】
双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3の各々は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオードを直列接続した回路を2つ用意し、互いの導通方向が逆向きになるようにこの2つの回路を並列接続した構成である。あるいは、これらの双方向スイッチは、逆耐圧性能を有する2つの逆阻止IGBTが、互いの導通方向が逆向きになるように並列接続されている構成であってもよい。
【0066】
入力フィルタFLX2は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0067】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX2を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY2へ出力する。
【0068】
出力フィルタFLY2は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0069】
ここで、入力フィルタFLX2および出力フィルタFLY2が減衰させるノイズの周波数は、電源システム251の仕様に応じて適宜変更され、たとえば負荷LA,LB,LCへ供給すべき交流電力の周波数より高い周波数である。
【0070】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの構成を示す図である。
【0071】
図2を参照して、三相リアクトルLITは、コアMC1,MC2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU,WV,WWおよび対応のコア部分がそれぞれリアクトルLIU2,LIV2,LIW2に対応している。
【0072】
コアMC1,MC2はE型であり、コアMC1の端部、コアMC2の端部、およびコアMC1の端部とコアMC2の端部との間のギャップが巻線部WU,WV,WWにそれぞれ覆われている。なお、三相リアクトルLITは、コアMC1の端部とコアMC2の端部とが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0073】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【0074】
図3を参照して、三相リアクトルLITは、コアMC1,MC2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU,WV,WWおよび対応のコア部分がそれぞれリアクトルLIU2,LIV2,LIW2に対応している。
【0075】
コアMC1はE型であり、コアMC2はI型である。コアMC1の端部付近が巻線部WU,WV,WWにそれぞれ覆われている。なお、三相リアクトルLITは、コアMC1の端部とコアMC2とが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0076】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【0077】
図4を参照して、三相リアクトルLITは、I型のコアMC1,MC2,MCU1,MCU2,MCV1,MCV2,MCW1,MCW2と、巻線部WU,WV,WWとを含む。巻線部WU、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCU1,MCU2がリアクトルLIU2に対応している。巻線部WV、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCV1,MCV2がリアクトルLIV2に対応している。巻線部WW、コアMC1,MC2の対応部分およびコアMCW1,MCW2がリアクトルLIW2に対応している。
【0078】
コアMCU1の端部、コアMCU2の端部、およびコアMCU1の端部とコアMCU2の端部との間のギャップが巻線部WUに覆われている。コアMCV1の端部、コアMCV2の端部、およびコアMCV1の端部とコアMCV2の端部との間のギャップが巻線部WVに覆われている。コアMCW1の端部、コアMCW2の端部、およびコアMCW1の端部とコアMCW2の端部との間のギャップが巻線部WWに覆われている。なお、三相リアクトルLITは、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0079】
三相リアクトルLOTの構成は三相リアクトルLITと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0080】
電源システム251では、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2が共通の安定電位SPに結合されている。このような構成により、交流電源EU,EV,EWの電位が不定になることを防ぐことができるため、負荷LA,LB,LCの誤動作を防ぐことができる。
【0081】
また、負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給すべき電力量が異なる場合、平衡状態である負荷LA,LB,LCのいずれかに単相負荷がさらに接続される場合、および負荷LA,LB,LCにそれぞれ接続された単相負荷に供給すべき電力量が異なる場合には、負荷部LUの三相負荷量が不平衡になる。しかしながら、電源システム251では、このような不平衡分の電流を負荷LA,LB,LCの中性点NP2から交流電源EU,EV,EWの中性点NP1へ流すことができる。
【0082】
[電源システム251および電力変換装置151の課題]
一方、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2を安定電位SPに接続すると、交流電源EU,EV,EWからの各相の交流電力の不平衡、入力フィルタFLX2からの各相の出力電圧の不平衡、マトリックスコンバータMXの各スイッチを制御するパルスのデューティの不平衡および負荷LA,LB,LCに供給される各相の交流電力の不平衡により、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間に電流が流れる。そして、マトリックスコンバータMXの各スイッチのスイッチングによって発生する各相のリップル電圧の差異により、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間にスイッチング周波数成分を有する高周波電流が流れる。すなわち、中性点NP2と中性点NP1との間に高周波電流が流れ、この高周波電流によってコモンモードノイズが発生する。
【0083】
なお、本発明の実施の形態において、コモンモードノイズとは、電源システムにおけるU相,V相,W相の各回路で、あるタイミングにおいて電流または電圧の向きが等しいノイズを意味する。コモンモードノイズである各相の電流は負荷LA,LB,LCの中性点NP2において打ち消し合わないため、コモンモードノイズによって中性点NP2およびNP1を介して電流が流れることになる。これに対して、ノーマルモードノイズとは、負荷LA,LB,LCの中性点NP2において打ち消し合うような電流を意味する。
【0084】
図5は、電力変換装置151における三相リアクトルを通して流れる正弦波電流を示す波形図である。図5は、正規化した電流波形を示している。
【0085】
図6は、図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流の向きを示す図である。
【0086】
以下、三相リアクトルLITにおける3つのリアクトルLIU2,LIV2,LIW2について、巻線部WU,WV,WWの巻数が同じであり、巻方向が同じであり、コアMC1,MC2がそれぞれ左右対称であると仮定する。また、コアMC1,MC2間にギャップが存在する場合には、そのギャップ長、ならびにギャップに使用される材質の透磁率等の磁気的、電気的および機械的特性が同一であると仮定する。
【0087】
この場合、図5に示すような三相平衡でかつ歪みのない理想的な正弦波電流を三相リアクトルLITに流すと、時刻AにおいてU相電流IUすなわち巻線部WUを通して流れる電流の振幅は最大の1となり、V相電流IVすなわち巻線部WVを通して流れる電流およびW相電流IWすなわち巻線部WWを通して流れる電流の振幅はそれぞれ−0.5となる。また、時刻Aにおいて、巻線部WU,WV,WWを通して流れる電流の向きは図6に示すようになる。
【0088】
図7は、図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流および磁束の向きを示す図である。
【0089】
図7を参照して、図5に示すような三相平衡でかつ歪みのない理想的な正弦波電流を三相リアクトルLITに流した場合、時刻Aにおいて、リアクトルLIU2に発生する磁束FLUの向きとリアクトルLIV2,LIW2にそれぞれ発生する磁束FLV,FLWの向きとが異なる。このため、巻線部WU,WV,WWはインダクタンス成分を有する。
【0090】
図8は、三相リアクトルにおける高周波電流および磁束の向きを示す図である。
図8を参照して、電力変換装置151においては、前述のようにマトリックスコンバータMXのスイッチング等によってリップル成分を含む正弦波電流が三相リアクトルLITを通して流れる場合がある。すなわち、高周波電流が同一方向すなわち三相リアクトルLITのリアクトルLIU2,LIV2,LIW2から三相リアクトルLITの中性点へ向かって流れる場合がある。
【0091】
このとき、三相リアクトルLITのU相、V相およびW相すなわちリアクトルLIU2,LIV2,LIW2でそれぞれ発生する磁束FLU,FLV,FLWの方向は互いに打ち消し合う方向となる。このため、コアMC1,MC2を通して磁束が流れなくなることから、巻線部WU,WV,WWはこの高周波電流に対してインダクタンス成分を有さない。なお、三相リアクトルLITの各リアクトルを通して流れる正弦波電流の振幅が異なる場合であっても、磁束FLU,FLV,FLWは互いに弱め合うため、巻線部WU,WV,WWのインダクタンス成分は低減される。
【0092】
したがって、電力変換装置151における三相リアクトルLITは、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を持たないため、この高周波電流を低減することは困難である。
【0093】
なお、三相リアクトルLOTについては図5〜図8を用いて説明した三相リアクトルLITの内容と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0094】
さらに、電力変換装置151では、U相、V相およびW相の各相配線間に接続されたコンデンサCIU2,CIV2,CIW2はΔ結線されており、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2の中性点は安定電位SPに接続されていない。このため、入力フィルタFLX2は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有しない。また、電力変換装置151では、A相、B相およびC相の各相配線間に接続されたコンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されており、コンデンサCOA2,COB2,COC2の中性点は安定電位SPに接続されていない。このため、出力フィルタFLY2は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有しない。
【0095】
したがって、電力変換装置151におけるコンデンサCIU2,CIV2,CIW2およびコンデンサCOA2,COB2,COC2は、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して中性点NP1およびNP2を流れる高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができない。ここで、中性点NP1およびNP2間に抵抗を設けて高周波電流を低減する方法が考えられるが、このような構成では、高周波電流の振幅に応じて中性点NP1およびNP2の電位が不安定になってしまう。
【0096】
そして、コモンモードノイズが交流電源EU,EV,EWの入力側へ与えられると、交流電源EU,EV,EWから出力される各相の交流電力波形に歪が生じ、負荷LA,LB,LCの誤動作などの弊害が生じてしまう。
【0097】
また、マトリックスコンバータMXのスイッチングに起因して発生する電流の周波数は、電力変換装置151の入出力周波数すなわち交流電源EU,EV,EWから供給される交流電力の周波数および負荷LA,LB,LCに供給される交流電力の周波数と比べて十分に大きい。すなわち、この高周波電流はマトリックスコンバータMXのスイッチング周波数を有するため、マトリックスコンバータMXのスイッチング制御によって低減させることができない。
【0098】
また、電力変換装置151ではマトリックスコンバータMXを用いているため、負荷LA,LB,LCの中性点NP2と交流電源EU,EV,EWの中性点NP1との間に流れる電流により、入力電流に歪が生じることから、入力電流力率が悪化する。そうすると、電力変換装置151の入力電力が増加し、電力変換装置151の破損すなわち交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間の配線および入力フィルタFLX2等の回路の焼損が生じる場合がある。
【0099】
一方、マトリックスコンバータを用いない特許文献1および2に記載のAC−DC−AC間接変換方式では、交流電源の中性点および負荷の中性点を共通の安定電位に接続することによって負荷の中性点と交流電源の中性点との間に高周波電流が流れても、直流部におけるコンデンサによってコモンモードノイズが吸収されるため、負荷の誤動作などの弊害は生じない。これに対して、マトリックスコンバータを用いる特許文献3および4に記載のAC−AC直接変換方式では、交流電源の出力変動がそのまま負荷に伝達されてしまう。
【0100】
このため、マトリックスコンバータを用いるAC−AC直接変換方式では、特許文献3および4に記載の構成からも分かるように、交流電源の中性点および負荷の中性点を接続することは、通常は行なわれない。なお、特許文献2および4に記載の構成では、交流電源の中性点が接地されており、モータのフレームが接地されているが、「モータのフレーム」は負荷の中性点とはまったく異なるものである。
【0101】
しかしながら、以下で説明する本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201では、電源システム251のように交流電源EU,EV,EWの中性点NP1および負荷LA,LB,LCの中性点NP2を安定電位SPに接続することにより、推測不可能な中性点の不定電位の発生を防ぐ。そして、これに加えて、中性点NP1および中性点NP2を接続することによって発生する推測可能なコモンモードノイズを抑制するフィルタを設ける。
【0102】
[電源システム201および電力変換装置101]
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201の構成を示す図である。
【0103】
図9を参照して、電源システム201は、交流電源EU,EV,EWと、電力変換装置101と、負荷部LUとを備える。電力変換装置101は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX1は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1と、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1とを含む。出力フィルタFLY1は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1と、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。マトリックスコンバータMXは、双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3を含む。負荷部LUは、負荷LA,LB,LCを含む。
【0104】
以下、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1の各々を単相リアクトルLI1と称する場合がある。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1の各々をコンデンサCI1と称する場合がある。単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の各々を単相リアクトルLO1と称する場合がある。コンデンサCOA1,COB1,COC1の各々をコンデンサCO1と称する場合がある。
【0105】
電源システム201は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム201において、交流電源EU,EV,EWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。ここで、安定電位とは、電源システム201における他の部分と比べてインピーダンスが小さく電位変動が微小な部分の電位であり、たとえば航空機のフレームグランドすなわち機体の電位である。ここで、機体は、導電性を有する材質からなる。また、航空機等の大型機に電源システム201が組み込まれる場合には、中性点NP1および中性点NP2の距離が大きくなることから、中性点NP1と機体は、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。中性点NP2と機体も、接続経路のインピーダンスが最小となる箇所において接続されることが好ましい。
【0106】
電力変換装置101は、交流電源EU,EV,EWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0107】
入力フィルタFLX1は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLI1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0108】
出力フィルタFLY1は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLO1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0109】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0110】
入力フィルタFLX1は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0111】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX1を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY1へ出力する。
【0112】
出力フィルタFLY1は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0113】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における各単相リアクトルの構成を示す図である。
【0114】
図10を参照して、単相リアクトルLOA1は、コアMCA1,MCA2と、巻線部WA1,WA2とを含む。単相リアクトルLOB1は、コアMCB1,MCB2と、巻線部WB1,WB2とを含む。単相リアクトルLOC1は、コアMCC1,MCC2と、巻線部WC1,WC2とを含む。
【0115】
コアMCA1,MCA2はコの字型であり、コアMCA1の端部、コアMCA2の端部、およびコアMCA1の端部とコアMCA2の端部との間のギャップが巻線部WA1およびWA2にそれぞれ覆われている。コアMCB1,MCB2はコの字型であり、コアMCB1の端部、コアMCB2の端部、およびコアMCB1の端部とコアMCB2の端部との間のギャップが巻線部WB1およびWB2にそれぞれ覆われている。コアMCC1,MCC2はコの字型であり、コアMCC1の端部、コアMCC2の端部、およびコアMCC1の端部とコアMCC2の端部との間のギャップが巻線部WC1およびWC2にそれぞれ覆われている。
【0116】
ここで、電力変換装置151における三相リアクトルLITではコアが共通すなわち各相のリアクトルで磁路が共通であったが、電力変換装置101における単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1ではコアが別個に設けられており、各相の磁路が別々である。
【0117】
単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の各ギャップの長さはたとえば数mmであり、上記各単相リアクトルの間隔D1およびD2は、各単相リアクトルの磁束が他の単相リアクトルの磁束の影響を受けないようにたとえば数cmの距離に設定される。
【0118】
単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1の構成は単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0119】
また、以下の変形例を含む単相リアクトルの説明では、単相リアクトルLOA1について代表的に説明するが、電力変換装置151における他の単相リアクトルについても同様である。
【0120】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの等価回路図である。
【0121】
図11を参照して、単相リアクトルLOA1の等価回路は、巻線部WA1によって生じるインダクタンスと、巻線部WA2によって生じるインダクタンスとを含む。
【0122】
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【0123】
図12では、図11に示す2つのインダクタンスを並列接続することにより、1つのインダクタンスを有するリアクトルを構成している。
【0124】
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【0125】
図13では、図11に示す2つのインダクタンスを直列接続することにより、1つのインダクタンスを有するリアクトルを構成している。
【0126】
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。図15は、図14に示す単相リアクトルの等価回路図である。
【0127】
図14および図15を参照して、単相リアクトルLO1は、巻線部を1つだけ含む構成であってもよい。すなわち、単相リアクトルLOA1は、図10に示す単相リアクトルLOA1と異なり、コアMCA2を含まない構成である。
【0128】
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【0129】
図16を参照して、単相リアクトルLOA1は、I型のコアMCA1,MCA2,MCA3,MCA4と、巻線部WA1,WA2とを含む。
【0130】
コアMCA3が両端部を除いて巻線部WA1に覆われている。コアMCA4が両端部を除いて巻線部WA2に覆われている。なお、単相リアクトルLOA1は、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0131】
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【0132】
図17を参照して、単相リアクトルLOA1は、I型のコアMCA1,MCA2,MCA3,MCA4,MCA5,MCA6と、巻線部WA1,WA2とを含む。
【0133】
コアMCA3の端部とコアMCA4の端部との間のギャップが巻線部WA1に覆われている。コアMCA5の端部とコアMCA6の端部との間のギャップが巻線部WA2に覆われている。なお、単相リアクトルLOA1は、各コアが接触していてギャップが存在しない構成であってもよい。
【0134】
ところで、図2〜図4に示すような三相リアクトルは各相のリアクトルで共通のコアを含むため、単相リアクトルを各相分設ける構成と比べて小型である。このため、通常、電力変換装置151のように三相交流電力を扱う回路においては三相リアクトルが使用される。ここで、三相リアクトルを用いる電力変換装置151において、マトリックスコンバータMXのスイッチング等によって発生するコモンモードノイズを減衰させるために別途コモンモードノイズフィルタを設ける構成が考えられるが、このような構成では、小型化を図ることが困難となる。
【0135】
しかしながら、本発明の実施の形態に係る電力変換装置101では、三相リアクトルの代わりに単相リアクトルを用いる。このような構成により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して発生する高周波電流が各単相リアクトルを通して同一方向に流れる場合であっても、A相、B相およびC相すなわちリアクトルLOA1,LOB1,LOC1で発生する各磁束が互いに打ち消し合うことを防ぐことができる。同様に、U相、V相およびW相すなわちリアクトルLIU1,LIV1,LIW1で発生する磁束FLU,FLV,FLWが互いに打ち消し合うことを防ぐことができる。
【0136】
したがって、電力変換装置101における単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1および単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して発生する同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0137】
さらに、特許文献2〜4に記載の構成では、フィルタとしてコモンモードチョークコイルが用いられているが、コモンモードチョークコイルは、特許文献2の図15にも記載されているように、通常、各相でコアが共通であり、本発明の第1の実施の形態に係る単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1および単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1とはまったく構成が異なる。また、コモンモードチョークコイルはコモンモードノイズに対してのみインダクタンス成分を有するため、ノーマルモードノイズを低減する場合には、コモンモードチョークコイルの他に回路を追加する必要がある。これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1および単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、ノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの両方に対してインダクタンス成分を有するため、回路の小型化を図ることができる。
【0138】
また、電力変換装置101では、U相、V相およびW相の各相配線間に接続されたコンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されており、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1の中性点が安定電位SPに結合されている。このため、入力フィルタFLX1は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。
【0139】
同様に、電力変換装置101では、A相、B相およびC相の各相配線間に接続されたコンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されており、コンデンサCOA1,COB1,COC1の中性点が安定電位SPに結合されている。このため、出力フィルタFLY1は、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。
【0140】
したがって、電力変換装置101におけるコンデンサCIU1,CIV1,CIW1およびコンデンサCOA1,COB1,COC1により、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。
【0141】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201では、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0142】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0143】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0144】
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図18を参照して、電源システム202は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置102を備える。電力変換装置102は、入力フィルタFLX3と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX3は、三相リアクトルLITと、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1とを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。
【0145】
入力フィルタFLX3は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相のリアクトルLI2の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0146】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0147】
入力フィルタFLX3は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0148】
入力フィルタFLX3では、入力フィルタFLX1と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX3は、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0149】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0150】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0151】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0152】
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図19を参照して、電源システム203は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置103を備える。電力変換装置103は、入力フィルタFLX2と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。
【0153】
電力変換装置103は、電力変換装置101と異なり、入力フィルタFLX1の代わりに入力フィルタFLX2を含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY1が、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1およびコンデンサCOA1,COB1,COC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してそれぞれインダクタンス成分およびインピーダンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0154】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第3の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0155】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0156】
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0157】
図20は、本発明の第4の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図20を参照して、電源システム204は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置104を備える。電力変換装置104は、入力フィルタFLX4と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX4は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1と、コンデンサCIU2,CIV2,CIW2とを含む。
【0158】
入力フィルタFLX4は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCIU2,CIU2,CIU2はΔ結線されている、すなわち、三相リアクトルLITとマトリックスコンバータMXとの間におけるU相,V相,W相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0159】
入力フィルタFLX4は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0160】
入力フィルタFLX4では、入力フィルタFLX1と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX4は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0161】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第4の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0162】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0163】
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0164】
図21は、本発明の第5の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図21を参照して、電源システム205は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置105を備える。電力変換装置105は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY3と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY3は、三相リアクトルLOTと、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。三相リアクトルLOTは、リアクトルLOA2,LOB2,LOC2を含む。
【0165】
出力フィルタFLY3は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。リアクトルLOA2,LOB2,LOC2は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の単相リアクトルLO1の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0166】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOA2との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOB2との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とリアクトルLOC2との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とリアクトルLOC2との間に接続されている。
【0167】
出力フィルタFLY3は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0168】
出力フィルタFLY3では、出力フィルタFLY1と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY3は、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、出力フィルタFLY1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0169】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第5の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0170】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0171】
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0172】
図22は、本発明の第6の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図22を参照して、電源システム206は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置106を備える。電力変換装置106は、入力フィルタFLX1と、出力フィルタFLY4と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY4は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1と、コンデンサCOA2,COB2,COC2とを含む。
【0173】
出力フィルタFLY4は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1は、A相,B相,C相に対応して設けられ、対応の相の負荷LとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、単相リアクトルLO1と負荷LA,LB,LCとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0174】
出力フィルタFLY4は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0175】
出力フィルタFLY4では、出力フィルタFLY1と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY4は、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0176】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第6の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0177】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0178】
<第7の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて入力フィルタおよび出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0179】
図23は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図23を参照して、電源システム207は、本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて、電力変換装置101の代わりに電力変換装置107を備える。電力変換装置107は、入力フィルタFLX5と、出力フィルタFLY5と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX5は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1を含む。出力フィルタFLY5は、コンデンサCOA1,COB1,COC1とを含む。
【0180】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。
【0181】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCOA1,COB1,COC1はY結線されている、すなわち、A相,B相,C相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相の負荷Lの接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0182】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0183】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0184】
マトリックスコンバータMXは、外部から受けた制御信号に基づいて双方向スイッチSA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3をそれぞれオン・オフすることにより、入力フィルタFLX1を通過したU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の電圧/電流振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換し、出力フィルタFLY5へ出力する。
【0185】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0186】
入力フィルタFLX5は、入力フィルタFLX1と異なり、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1を含まない。このような構成であっても、入力フィルタFLX5は、単相リアクトルLIU1,LIV1,LIW1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0187】
出力フィルタFLY5は、出力フィルタFLY1と異なり、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1を含まない。このような構成であっても、出力フィルタFLY5は、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、出力フィルタFLY1を用いる電力変換装置101と比べて小型化を図ることができる。
【0188】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第7の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0189】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0190】
<第8の実施の形態>
本実施の形態は、第7の実施の形態に係る電源システムと比べて入力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第7の実施の形態に係る電源システムと同様である。
【0191】
図24は、本発明の第8の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図24を参照して、電源システム208は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システム207と比べて、電力変換装置107の代わりに電力変換装置108を備える。電力変換装置108は、入力フィルタFLX6と、出力フィルタFLY5と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX6は、三相リアクトルLITを含む。三相リアクトルLITは、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2を含む。
【0192】
入力フィルタFLX6は、交流電源EU,EV,EWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、リアクトルLIU2,LIV2,LIW2は、U相,V相,W相に対応して設けられ、対応の相の交流電源EとマトリックスコンバータMXとの間に接続されている。
【0193】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOA1および負荷LAの接続ノードに接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOB1および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW2とコンデンサCOC1および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0194】
入力フィルタFLX6は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0195】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0196】
入力フィルタFLX6は、入力フィルタFLX5と異なり、単相リアクトルの代わりに三相リアクトルを含む。このような構成であっても、出力フィルタFLY5が、コンデンサCOA1,COB1,COC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。また、入力フィルタFLX5を用いる電力変換装置107と比べて小型化を図ることができる。
【0197】
その他の構成および動作は第7の実施の形態に係る電源システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第8の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0198】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0199】
<第9の実施の形態>
本実施の形態は、第7の実施の形態に係る電源システムと比べて出力フィルタの構成を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第7の実施の形態に係る電源システムと同様である。
【0200】
図25は、本発明の第9の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
図25を参照して、電源システム209は、本発明の第7の実施の形態に係る電源システム207と比べて、電力変換装置107の代わりに電力変換装置109を備える。電力変換装置109は、入力フィルタFLX5と、出力フィルタFLY6と、マトリックスコンバータMXとを含む。出力フィルタFLY6は、コンデンサCOA2,COB2,COC2を含む。
【0201】
出力フィルタFLY6は、マトリックスコンバータMXと負荷LA,LB,LCとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCOA2,COB2,COC2はΔ結線されている、すなわち、マトリックスコンバータMXと負荷Lとの間におけるA相,B相,C相の配線間にそれぞれ接続されている。
【0202】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSA3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOA2、コンデンサCOC2および負荷LAの接続ノードに接続されている。双方向スイッチSB1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSB3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOB2、コンデンサCOA2および負荷LBの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC1は、単相リアクトルLIU1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC2は、単相リアクトルLIV1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。双方向スイッチSC3は、単相リアクトルLIW1とコンデンサCOC2、コンデンサCOB2および負荷LCの接続ノードとの間に接続されている。
【0203】
入力フィルタFLX5は、交流電源EU,EV,EWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0204】
出力フィルタFLY5は、マトリックスコンバータMXから受けたA相,B相,C相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力を負荷LA,LB,LCへそれぞれ出力する。
【0205】
出力フィルタFLY6では、出力フィルタFLY5と異なり、Y結線されたコンデンサの代わりにΔ結線されたコンデンサを含む。このような構成であっても、入力フィルタFLX5が、単相リアクトルLOA1,LOB1,LOC1により、マトリックスコンバータMXのスイッチング等に起因して流れる同一方向の高周波電流に対してインダクタンス成分を有するため、この高周波電流を低減することができる。すなわち、負荷Lへ伝達されるコモンモードノイズを低減することができる。
【0206】
その他の構成および動作は第7の実施の形態に係る電源システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第9の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0207】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0208】
<第10の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電源システム201と比べて電源を変更した電源システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様である。
【0209】
図26は、本発明の第10の実施の形態に係る電源システム210の構成を示す図である。
【0210】
図26を参照して、電源システム210は、発電機MU,MV,MWと、電力変換装置110と、負荷部LUとを備える。発電機MUは、交流電源EUと、インダクタンスLIU3とを含む。発電機MVは、交流電源EVと、インダクタンスLIV3とを含む。発電機MWは、交流電源EWと、インダクタンスLIW3とを含む。電力変換装置107は、入力フィルタFLX7と、出力フィルタFLY1と、マトリックスコンバータMXとを含む。入力フィルタFLX7は、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1を含む。
【0211】
以下、リアクトルLIU3,LIV3,LIW3の各々をリアクトルLI3と称する場合がある。
【0212】
発電機MUの等価回路は、交流電源EUおよびインダクタンスLIU3の直列回路で表わされる。発電機MVの等価回路は、交流電源EVおよびインダクタンスLIV3の直列回路で表わされる。発電機MWの等価回路は、交流電源EWおよびインダクタンスLIW3の直列回路で表わされる。
【0213】
電源システム210は、航空機および建設機械等に搭載される。電源システム210において、発電機MU,MV,MWの中性点NP1と負荷LA,LB,LCの中性点NP2とが共通の安定電位SPに結合されている。
【0214】
電力変換装置110は、発電機MU,MV,MWの各々から供給されるU相,V相,W相の交流電力を任意の周波数および任意の振幅を有するA相,B相,C相の交流電力に変換して負荷LA,LB,LCにそれぞれ供給する。
【0215】
入力フィルタFLX7は、発電機MU,MV,MWとマトリックスコンバータMXとの間に設けられている。より詳細には、コンデンサCIU1,CIV1,CIW1はY結線されている、すなわちU相,V相,W相に対応して設けられ、マトリックスコンバータMXおよび対応の相のリアクトルLI3の接続ノードと安定電位SPとの間に接続されている。
【0216】
マトリックスコンバータMXにおいて、双方向スイッチSA1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSA3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOA1との間に接続されている。双方向スイッチSB1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSB3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOB1との間に接続されている。双方向スイッチSC1は、リアクトルLIU3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC2は、リアクトルLIV3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。双方向スイッチSC3は、リアクトルLIW3と単相リアクトルLOC1との間に接続されている。
【0217】
入力フィルタFLX7は、発電機MU,MV,MWからそれぞれ受けたU相,V相,W相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズを減衰させ、減衰後の交流電力をマトリックスコンバータMXへ出力する。
【0218】
入力フィルタFLX7は、入力フィルタFLX1と異なり、単相リアクトルLIA1,LIB1,LIC1を含まない。このような構成であっても、入力フィルタFLX7は、コンデンサCIA1,CIB1,CIC1により、中性点NP1およびNP2に対してインピーダンスを有する。したがって、負荷LA,LB,LCへ伝達される高周波電流すなわちコモンモードノイズを低減することができる。
【0219】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電源システム201と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。したがって、本発明の第10の実施の形態に係る電源システムでは、複数相の電源から供給される交流電力を変換して複数相の負荷に安定して供給し、かつ小型化を図ることができる。
【0220】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源システム251の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置151における三相リアクトルの他の構成を示す図である。
【図5】電力変換装置151における三相リアクトルを通して流れる正弦波電流を示す波形図である。
【図6】図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流の向きを示す図である。
【図7】図5に示す正弦波電流が流れた場合の図2に示す三相リアクトルにおける電流および磁束の向きを示す図である。
【図8】三相リアクトルにおける高周波電流および磁束の向きを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る電源システム201の構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における各単相リアクトルの構成を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの等価回路図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルを並列回路で実現した場合を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図15】図14に示す単相リアクトルの等価回路図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置における単相リアクトルの変形例の構成を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図24】本発明の第8の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図25】本発明の第9の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【図26】本発明の第10の実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0222】
101〜110,151 電力変換装置、201〜210,251 電源システム、EU,EV,EW 交流電源、LU 負荷部、FLX1〜FLX7 入力フィルタ、FLY1〜FLY6 出力フィルタ、MX マトリックスコンバータ、LIT,LOT 三相リアクトル、CIU1,CIV1,CIW1,CIU2,CIV2,CIW2,COA2,COB2,COC2 コンデンサ、LIU2,LIV2,LIW2,LOA2,LOB2,LOC2 リアクトル、LIU1,LIV1,LIW1,LOA1,LOB1,LOC1 単相リアクトル、LIU3,LIV3,LIW3 インダクタンス、SA1,SA2,SA3,SB1,SB2,SB3,SC1,SC2,SC3 双方向スイッチ、LA,LB,LC 負荷、MC1,MC2,MCU1,MCU2,MCV1,MCV2,MCW1,MCW2,MCA1,MCA2,MCB1,MCB2,MCC1,MCC2 コア、WU,WV,WW,WA1,WA2,WB1,WB2,WC1,WC2 巻線部、MU,MV,MW 発電機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給し、かつ前記複数相の電源の中性点と前記複数相の負荷の中性点とが共通の安定電位に結合された電源システムにおける電力変換装置であって、
前記複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して前記複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、
前記複数相の電源と前記マトリックスコンバータとの間および前記マトリックスコンバータと前記複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの前記負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える電力変換装置。
【請求項2】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記負荷と前記マトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、前記マトリックスコンバータおよび対応の相の前記負荷の接続ノードと、前記安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記電源と前記マトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記電源および前記マトリックスコンバータの接続ノードと、前記安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む請求項1から4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
安定電位に結合された中性点を有する複数相の負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記安定電位に結合された中性点を有し、複数相の交流電力を供給する複数相の電源と、
前記複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して前記複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、
前記複数相の電源と前記マトリックスコンバータとの間および前記マトリックスコンバータと前記複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた前記各相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの前記負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える電源システム。
【請求項1】
複数相の電源の各々から供給される各相の交流電力を変換して複数相の負荷にそれぞれ供給し、かつ前記複数相の電源の中性点と前記複数相の負荷の中性点とが共通の安定電位に結合された電源システムにおける電力変換装置であって、
前記複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して前記複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、
前記複数相の電源と前記マトリックスコンバータとの間および前記マトリックスコンバータと前記複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの前記負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える電力変換装置。
【請求項2】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記負荷と前記マトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、前記マトリックスコンバータおよび対応の相の前記負荷の接続ノードと、前記安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記電源と前記マトリックスコンバータとの間に接続された複数の単相リアクトルを含む請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記フィルタは、
各前記相に対応して設けられ、対応の相の前記電源および前記マトリックスコンバータの接続ノードと、前記安定電位との間に接続された複数のコンデンサを含む請求項1から4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
安定電位に結合された中性点を有する複数相の負荷に電力を供給する電源システムであって、
前記安定電位に結合された中性点を有し、複数相の交流電力を供給する複数相の電源と、
前記複数相の電源から供給される各相の交流電力を変換して前記複数相の負荷にそれぞれ供給するマトリックスコンバータと、
前記複数相の電源と前記マトリックスコンバータとの間および前記マトリックスコンバータと前記複数相の負荷との間の少なくとも一方に設けられ、受けた前記各相の交流電力に含まれる所定周波数以上のノーマルモードノイズおよびコモンモードノイズの前記負荷への伝達を抑制するフィルタとを備える電源システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−148333(P2010−148333A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326382(P2008−326382)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月6日〜10日 社団法人電気学会の「The International Conference on Electrical Engineering 2008」および平成20年9月18日〜19日 電気学会東海支部、電子情報通信学会東海支部、情報処理学会東海支部、照明学会東海支部、映像情報メディア学会東海支部、日本音響学会東海支部、電気設備学会中部支部、IEEE名古屋支部の「平成20年度電気関係学会東海支部連合大会」において文書をもって発表
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月6日〜10日 社団法人電気学会の「The International Conference on Electrical Engineering 2008」および平成20年9月18日〜19日 電気学会東海支部、電子情報通信学会東海支部、情報処理学会東海支部、照明学会東海支部、映像情報メディア学会東海支部、日本音響学会東海支部、電気設備学会中部支部、IEEE名古屋支部の「平成20年度電気関係学会東海支部連合大会」において文書をもって発表
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】
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