説明

電力変換装置及びその制御装置

【課題】交流電源と直流電源の両系統に対応した簡単な構成の電力変換装置及びその制御装置を提供すること。
【解決手段】ブリッジ回路を構成する4つのダイオードと、入力側に設定されるブリッジ回路の対角頂点に各カソードが接続された2つのダイオードの各々に並列に接続された2つのスイッチング素子と、を有し、ブリッジ回路の他の対角頂点が出力側に設定されるスイッチング部と、スイッチング部の入力側に設定されるブリッジ回路の対角頂点の一方と入力端子の間に設けられたリアクトルと、スイッチング部と並列に、スイッチング部の出力側に設定されるブリッジ回路の他の対角頂点と接続された平滑コンデンサとを備えた電力変換装置の制御装置は、入力電圧が交流と判定されたとき、2つのスイッチング素子をスイッチング制御し、入力電圧が直流と判定されたとき、2つのスイッチング素子の内、一方をオン状態とし、他方をスイッチング制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源と直流電源の両系統に対応した電力変換装置及びその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、特許文献1の電源装置の回路構成を示す図である。図8に示す電源装置は、災害時の避難場所等に設置される携帯電話機の充電装置として用いられ、ACアダプタがなくても携帯電話機を充電することができる。
【0003】
図8に示した電源装置は、商用交流電源AC100Vのコンセントに差し込まれる電源プラグ21と、直流電源DC12Vに接続されるコネクタ22と、電源変換装置20と、携帯電話機に差し込まれる雄型コネクタ24とを備える。電源変換装置20は、AC/DC回路26と、DC/DC回路27(27a,27b,27c,27d)と、切換スイッチ25とを有する。
【0004】
AC/DC回路26は、例えばスイッチングレギュレータ回路を内蔵し、電源プラグ21より供給される商用交流電源AC100Vを所定の直流電圧DC12Vに変換する。DC/DC回路27は、DC/DCスイッチング電源回路によって構成され、直流電圧DC12Vを携帯電話機に必要な所定の直流電圧、例えば5V系(5.6V、5.8V等)、3V系(3.7V等)の電圧に変換する。切換スイッチ25は、商用交流電源AC100Vと直流電源DC12Vの二系統のいずれかを選択的に用いるためのスイッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−364347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の電源装置が備える電源変換装置20は、商用交流電源AC100Vと直流電源DC12Vの二系統に対応するため、図8に示すように、AC/DC回路26及びDC/DC回路27の2種類の電力変換回路を備え、さらに切換スイッチ25も備える。一般的に部品点数が増すと、装置のコストが上がりサイズも大きくなる。したがって、特許文献1の電源装置のコストは高くサイズも大きいと考えられる。
【0007】
本発明の目的は、交流電源と直流電源の両系統に対応した簡単な構成の電力変換装置及びその制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明の電力変換装置は、ブリッジ回路を構成する4つのダイオード(例えば、実施の形態でのダイオードD1,D2及び還流ダイオード)と、入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点に各カソードが接続された2つのダイオードの各々に並列に接続された2つのスイッチング素子(例えば、実施の形態でのトランジスタS1,S2)と、を有し、前記ブリッジ回路の他の対角頂点が出力側に設定されるスイッチング部(例えば、実施の形態でのスイッチング部100)と、前記スイッチング部の前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の一方と入力端子の間に設けられたリアクトル(例えば、実施の形態でのリアクトルL)と、前記スイッチング部と並列に、前記スイッチング部の前記出力側に設定される前記ブリッジ回路の他の対角頂点と接続された平滑コンデンサ(例えば、実施の形態での平滑コンデンサC)と、前記スイッチング部の2つのスイッチング素子を制御するスイッチング制御部(例えば、実施の形態でのスイッチング制御部203)と、を備え、前記スイッチング制御部は、入力側に直流電圧が印加された際に、前記2つのスイッチング素子の内、一方をオン状態とし、他方をスイッチング制御することを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項2に記載の発明の電力変換装置では、前記スイッチング部の前記出力側に設定される前記ブリッジ回路の他の対角頂点の一方と出力端子の間に設けられたスイッチング素子(例えば、実施の形態でのトランジスタS3)を含む電流出力防止部(例えば、実施の形態での電流出力防止部121)を備えたことを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明の電力変換装置では、前記スイッチング部の出力側に、前記スイッチング部と並列に、スイッチング素子(例えば、実施の形態でのトランジスタS3)を含む降圧部(例えば、実施の形態での降圧部131)を備えたことを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明の制御装置では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置を制御する制御装置(例えば、実施の形態での制御装置200)であって、前記電力変換装置の入力端子に印加される入力電圧が交流か直流かを判定する入力電圧判定部(例えば、実施の形態での入力電圧判定部201)を備え、前記スイッチング制御部は、前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が交流と判定されたとき、前記2つのスイッチング素子をスイッチング制御し、前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が直流と判定されたとき、前記2つのスイッチング素子の内、一方をオン状態とし、他方をスイッチング制御することを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項5に記載の発明の制御装置では、前記入力電圧判定部は、前記入力電圧が直流の場合に当該入力電圧の極性を判定し、前記スイッチング制御部は、前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が直流と判定されたとき、前記電力変換装置のリアクトルが接続された入力端子が正極の場合は、前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の内、前記リアクトルが接続されていない頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をオン状態とし、前記リアクトルが接続された頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をスイッチング制御し、前記リアクトルが接続された入力端子が負極の場合は、前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の内、前記リアクトルが接続された頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をオン状態とし、前記リアクトルが接続されていない頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をスイッチング制御することを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項6に記載の発明の制御装置では、前記スイッチング制御部は、前記入力電圧判定部による前記入力電圧の判定動作中、請求項2に記載の電力変換装置が備えた電流出力防止部が有するスイッチング素子をオフ制御することを特徴としている。
【0014】
さらに、請求項7に記載の発明の制御装置では、前記スイッチング制御部は、請求項3に記載の電力変換装置が備えた降圧部が有するスイッチング素子をスイッチング制御することを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項8に記載の発明の制御装置では、前記入力電圧判定部は、前記入力電圧が交流と判定した後、又は、前記入力電圧が直流と判定して前記入力電圧の極性を判定した後、前記入力電圧が前記入力端子に印加されている間は判定を行わない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜3に記載の発明の電力変換装置及び請求項4〜8に記載の発明の制御装置によれば、電力変換装置が簡単な構成で交流電源と直流電源の両系統に対応することができる。したがって、電力変換装置のコストを低くでき、かつ、サイズダウンも可能である。
また、請求項1〜3に記載の発明の電力変換装置及び請求項5〜8に記載の発明の制御装置によれば、入力電圧の極性の変更に対しても容易に対応可能である。
また、請求項2に記載の発明の電力変換装置及び請求項6に記載の発明の制御装置によれば、入力電圧判定部による入力電圧の判定が終了するまで、出力端子に接続された負荷への電流の出力を防止できる。
また、請求項3に記載の発明の電力変換装置及び請求項7に記載の発明の制御装置によれば、電力変換装置は負荷に応じたレベルの直流電圧を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図
【図2】直流電源の正極が入力端子T1に接続され負極が入力端子T2に接続されたため、スイッチング制御部203がトランジスタS2を常時オン状態とした際の等価回路図
【図3】直流電源の負極が入力端子T1に接続され正極が入力端子T2に接続されたため、スイッチング制御部203がトランジスタS1を常時オン状態とした際の等価回路図
【図4】直流電源の負極が入力端子T1に接続され正極が入力端子T2に接続されたため、スイッチング制御部203がトランジスタS1を常時オン状態とした際の等価回路図
【図5】第1の実施形態の電力変換装置のスイッチング部を制御する制御装置の動作を示すフローチャート
【図6】第2の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図
【図7】第3の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図
【図8】特許文献1の電源装置の回路構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
以下説明する実施形態の電力変換装置では、入力電圧が交流電圧又は直流電圧であり、出力電圧は直流電圧である。電力変換装置の入力側の端子には、例えば、商用交流電圧若しくは電動機又は直流電源が接続される。また、電力変換装置の出力側の端子には、例えば蓄電器が接続される。電力変換装置は、以下説明するように、入力電圧の種類に応じてAC/DC変換又はDC/DC変換を行う。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態の電力変換装置は、リアクトルLと、スイッチング部100と、平滑コンデンサ(以下、単に「コンデンサ」という)Cとを備える。また、当該電力変換装置は、入力電圧Vinを検出する電圧センサ101と、入力電流Iinを検出する電流センサ103と、出力電圧Voutを検出する電圧センサ105とを備える。なお、各センサの検出値を示す信号は、電力変換装置のスイッチング部100を制御する制御装置200に入力される。
【0021】
リアクトルLは、入力端子の一方に接続されたコイルであって、入力電流Iinが流れる。
【0022】
スイッチング部100は、還流ダイオードがそれぞれ並列に接続された2つのトランジスタS1,S2と、トランジスタS1,S2とそれぞれ第1接続部(図1に示す点A)、第2接続部(図1に示す点B)を介して直列に接続されたダイオードD1,D2とを有する。
なお、各トランジスタのコレクタには還流ダイオードのカソードが接続され、エミッタには還流ダイオードのアノードが接続されている。また、トランジスタS1とダイオードD1の組とトランジスタS2とダイオードD2の組は並列に接続されている。
具体的には、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のカソードとが第3接続部(図1に示す点C)を介して接続され、トランジスタS1のエミッタとトランジスタS2のエミッタとが第4接続部(図1に示す点D)を介して接続されている。
また、トランジスタS1とダイオードD1の中点(点A)はリアクトルLを介して入力端子の一方に接続され、トランジスタS2とダイオードD2の中点(点B)は入力端子の他方に接続されている。このように、ダイオードD1,D2と各トランジスタと還流ダイオードの組はブリッジ回路を構成している。
したがって、第1接続部(点A)及び第2接続部(点B)が、スイッチング部100の入力側に設定されるブリッジ回路の対角頂点となる。また、第3接続部(点C)及び第4接続部(点D)が、スイッチング部100の出力側に設定されるブリッジ回路の他の対角頂点となる。
【0023】
コンデンサCは、トランジスタS1とダイオードD1の組及びトランジスタS2とダイオードD2の組と並列に接続されている。コンデンサCは、スイッチング部100の出力電圧を平滑化する。
【0024】
制御装置200は、入力電圧判定部201と、スイッチング制御部203とを有する。入力電圧判定部201は、電圧センサ101が検出した入力電圧Vinが交流か直流かを判定する。また、入力電圧判定部201は、入力電圧Vinが直流の場合に、当該入力電圧Vinの極性を判定する。
【0025】
スイッチング制御部203は、入力電圧判定部201による入力電圧Vinの判定結果に応じて、スイッチング部100のトランジスタS1,S2を制御する。入力電圧判定部201によって入力電圧Vinが交流と判定されたとき、スイッチング制御部203は、各トランジスタのスイッチングを所定のデューティ比でPWM(Pulse Width Modulation)制御又はPFM(Pulse Frequency Modulation)制御する。その結果、本実施形態の電力変換装置は、AC/DC変換器として機能し、直流電圧を出力する。
【0026】
なお、制御装置200には、本実施形態の電力変換装置が出力する目標電力P及び目標出力電圧Voutを示す各値が入力される。制御装置200は、目標出力電圧Voutと電圧センサ105が検出した出力電圧Voutの差、及び目標入力電流(=目標電力P/入力電圧Vin)と電流センサ103が検出した入力電流Iinの差に基づいて、スイッチング制御部203が行うスイッチング制御のデューティ比を決定する。
【0027】
一方、入力電圧判定部201によって入力電圧Vinが直流と判定されたとき、スイッチング制御部203は、一方のトランジスタを常時オン状態とし、かつ、他方のトランジスタのスイッチングを所定のデューティ比でPWM制御する。その結果、スイッチング部100は、入力電圧Vinとは異なるレベルの直流電圧を出力する。なお、入力電圧が直流の場合、スイッチング制御部203が2つのトランジスタS1,S2の内のどちらを常時オン状態とするかについては、入力電圧の極性によって異なる。本実施形態では、スイッチング制御部203は、直流電圧の負極側の入力端子にコレクタが接続されたトランジスタを常時オン状態とする。
【0028】
図2は、直流電源の正極が入力端子T1に接続され負極が入力端子T2に接続されたため、スイッチング制御部203がトランジスタS2を常時オン状態とした際の等価回路図である。図2に示された状態のとき、スイッチング制御部203は、トランジスタS1のスイッチングを所定のデューティ比でPWM制御する。トランジスタS1がオンのとき、入力電流は、リアクトルLとトランジスタS1を流れる。また、トランジスタS1がオフのとき、入力電流は、リアクトルLと、ダイオードD1と、コンデンサC又は出力端子に接続された蓄電器(BATT)等の負荷を流れる。その結果、本実施形態の電力変換装置は、DC/DC変換器として機能し、直流電圧Vinを正方向に昇圧した直流電圧を出力する。
【0029】
図3及び図4は、直流電源の負極が入力端子T1に接続され正極が入力端子T2に接続されたため、スイッチング制御部203がトランジスタS1を常時オン状態とした際の等価回路図である。図3及び図4に示された状態のとき、スイッチング制御部203は、トランジスタS2のスイッチングを所定のデューティ比でPWM制御する。トランジスタS2がオンのとき、入力電流は、トランジスタS2とリアクトルLを流れる。また、トランジスタS2がオフのとき、入力電流は、ダイオードD2と、コンデンサC又は出力端子に接続された蓄電器(BATT)等の負荷と、リアクトルLを流れる。その結果、本実施形態の電力変換装置は、DC/DC変換器として機能し、直流電圧Vinを負方向に昇圧した直流電圧を出力する。
【0030】
図5は、第1の実施形態の電力変換装置のスイッチング部を制御する制御装置の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、制御装置200の入力電圧判定部201は、電圧センサ101からの信号に基づいて、入力端子への電圧の入力の有無を検出する(ステップS101)。ステップS101で電圧の入力が検出されたとき、入力電圧判定部201は、当該入力電圧が交流か直流かを判定する(ステップS103)。入力電圧が交流の場合、スイッチング制御部203は、スイッチング部100のトランジスタS1,S2をスイッチング制御する(ステップS105)。一方、入力電圧が直流の場合、入力電圧判定部201は、当該入力電圧の極性を判定する(ステップS107)。
【0031】
入力電圧の極性が正のとき、スイッチング制御部203は、スイッチング部100のトランジスタS2を常時オン状態とし、トランジスタS1をスイッチング制御する(ステップS109)。一方、入力電圧の極性が負のとき、スイッチング制御部203は、スイッチング部100のトランジスタS1を常時オン状態とし、トランジスタS2をスイッチング制御する(ステップS111)。入力電圧判定部201は、入力端子に電圧が入力されなくなるか、出力端子の電圧が所望電圧に達すると、スイッチング制御部203によるスイッチング部100の制御を停止して、トランジスタS1,S2をオフする(ステップS113)。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の電力変換装置は、制御装置200の制御に従って、入力電圧が交流のときはAC/DC変換器として機能し、入力電圧が直流のときはDC/DC変換器として機能するスイッチング部100を備える。スイッチング部100は、それぞれ2つのトランジスタS1,S2、還流ダイオード及びダイオードD1,D2によって構成されている。このように簡単な構成で交流電源と直流電源の両系統に対応することができる。したがって、電力変換装置のコストを低くでき、かつ、サイズダウンも可能である。また、入力電圧が直流のときは、当該入力電圧の極性が正負いずれであっても、スイッチング部100のトランジスタS1,S2に対する制御内容をそれぞれ逆にすれば良い。このように、入力電圧の極性の変更に対しても容易に対応可能である。
【0033】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図である。第2の実施形態の電力変換装置が第1の実施形態の電力変換装置と異なる点は、コンデンサCの出力側に電流出力防止部121を備えたことである。この点以外は第1の実施形態と同様であり、図6において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。このため、第1実施形態の電力変換装置と同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0034】
電流出力防止部121は、還流ダイオードが並列に接続されたトランジスタS3と、トランジスタS3に直列に接続されたダイオードD3とを有する。なお、トランジスタS3のコレクタには還流ダイオードのカソードが接続され、エミッタには還流ダイオードのアノードが接続されている。また、トランジスタS3とダイオードD3の中点は出力端子の一方に接続され、ダイオードD3のアノードは出力端子の他方に接続されている。
【0035】
本実施形態の制御装置200が有するスイッチング制御部203は、スイッチング部100が有するトランジスタS1,S2の制御に加え、電流出力防止部121が有するトランジスタS3の制御も行う。すなわち、本実施形態のスイッチング制御部203は、入力電圧判定部201による入力電圧Vinの判定動作中はトランジスタS3をオフ制御し、当該判定の終了後にトランジスタS3を常時オン状態とする。なお、入力電圧Vinの判定には、入力電圧Vinが交流か直流かの判定と、入力電圧Vinが直流の場合に行われる当該入力電圧Vinの極性の判定とが含まれる。
【0036】
このように、本実施形態によれば、入力電圧判定部201による入力電圧Vinの判定が終了するまで、出力端子に接続された負荷への電流の出力を防止できる。
【0037】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態の電力変換装置の回路構成と制御装置を示す図である。第3の実施形態の電力変換装置が第1の実施形態の電力変換装置と異なる点は、コンデンサCの出力側に降圧部131を備えたことである。この点以外は第1の実施形態と同様であり、図7において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。このため、第1実施形態の電力変換装置と同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0038】
降圧部131は、還流ダイオードが並列に接続されたトランジスタS3と、トランジスタS3に直列に接続されたダイオードD3と、リアクトルLdと、平滑コンデンサCdとを有する。なお、トランジスタS3のコレクタには還流ダイオードのカソードが接続され、エミッタには還流ダイオードのアノードが接続されている。また、トランジスタS3とダイオードD3の中点はリアクトルLdを介して出力端子の一方に接続され、ダイオードD3のアノードは出力端子の他方に接続されている。平滑コンデンサCdは、出力端子に対して並列に接続されている。
【0039】
本実施形態の制御装置200が有するスイッチング制御部203は、スイッチング部100が有するトランジスタS1,S2の制御に加え、降圧部131が有するトランジスタS3の制御も行う。スイッチング制御部203がトランジスタS3のスイッチングを所定のデューティ比でPWM制御することによって、降圧部131はスイッチング部100の出力電圧を降圧する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、降圧部131がスイッチング部100の出力電圧を降圧する。したがって、特にスイッチング部100がAC/DC変換器として機能した際、スイッチング部100の出力電圧を降圧部131が所望のレベルまで降圧することによって、電力変換装置は負荷に応じたレベルの直流電圧を出力できる。
【0041】
なお、入力電圧判定部201による入力電圧Vinの判定動作中は、降圧部131を構成するトランジスタS3及びダイオードD3を第2の実施形態の電流出力防止部121として利用しても良い。すなわち、制御装置200のスイッチング制御部203は、入力電圧Vinの判定動作中、トランジスタS3をオフ制御する。
【0042】
上記第1〜第3の実施形態の制御装置200は、入力端子に商用交流電源が接続されたとき、入力電圧Vinの周波数(例えば、50Hz、60Hz)を判定する電源周波数判定部(図示せず)を有しても良い。また、バイポーラ型のトランジスタS1〜S3の代わりに、FETやIGBT等のスイッチング素子で構成されていても良い。
【符号の説明】
【0043】
100 スイッチング部
101,105 電圧センサ
103 電流センサ
L,Ld リアクトル
C,Cd 平滑コンデンサ
S1,S2,S3 トランジスタ
D1,D2,D3 ダイオード
200 制御装置
201 入力電圧判定部
203 スイッチング制御部
121 電流出力防止部
131 降圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジ回路を構成する4つのダイオードと、入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点に各カソードが接続された2つのダイオードの各々に並列に接続された2つのスイッチング素子と、を有し、前記ブリッジ回路の他の対角頂点が出力側に設定されるスイッチング部と、
前記スイッチング部の前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の一方と入力端子の間に設けられたリアクトルと、
前記スイッチング部と並列に、前記スイッチング部の前記出力側に設定される前記ブリッジ回路の他の対角頂点と接続された平滑コンデンサと、
前記スイッチング部の2つのスイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、を備え、
前記スイッチング制御部は、入力側に直流電圧が印加された際に、前記2つのスイッチング素子の内、一方をオン状態とし、他方をスイッチング制御することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記スイッチング部の前記出力側に設定される前記ブリッジ回路の他の対角頂点の一方と出力端子の間に設けられたスイッチング素子を含む電流出力防止部を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力変換装置であって、
前記スイッチング部の出力側に、前記スイッチング部と並列に、スイッチング素子を含む降圧部を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置を制御する制御装置であって、
前記電力変換装置の入力端子に印加される入力電圧が交流か直流かを判定する入力電圧判定部を備え、
前記スイッチング制御部は、
前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が交流と判定されたとき、前記2つのスイッチング素子をスイッチング制御し、
前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が直流と判定されたとき、前記2つのスイッチング素子の内、一方をオン状態とし、他方をスイッチング制御することを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置であって、
前記入力電圧判定部は、前記入力電圧が直流の場合に当該入力電圧の極性を判定し、
前記スイッチング制御部は、
前記入力電圧判定部によって前記入力電圧が直流と判定されたとき、
前記電力変換装置のリアクトルが接続された入力端子が正極の場合は、前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の内、前記リアクトルが接続されていない頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をオン状態とし、前記リアクトルが接続された頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をスイッチング制御し、
前記リアクトルが接続された入力端子が負極の場合は、前記入力側に設定される前記ブリッジ回路の対角頂点の内、前記リアクトルが接続された頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をオン状態とし、前記リアクトルが接続されていない頂点にカソードが接続されたダイオードと並列接続されたスイッチング素子をスイッチング制御することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の制御装置であって、
前記スイッチング制御部は、前記入力電圧判定部による前記入力電圧の判定動作中、請求項2に記載の電力変換装置が備えた電流出力防止部が有するスイッチング素子をオフ制御することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の制御装置であって、
前記スイッチング制御部は、請求項3に記載の電力変換装置が備えた降圧部が有するスイッチング素子をスイッチング制御することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
前記入力電圧判定部は、前記入力電圧が交流と判定した後、又は、前記入力電圧が直流と判定して前記入力電圧の極性を判定した後、
前記入力電圧が前記入力端子に印加されている間は判定を行わないことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−250669(P2011−250669A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184158(P2010−184158)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】