説明

電力変換装置

【課題】C−DCコンバータ部とインバータ部との間のノイズの影響を抑制しつつ、特定方向の小型化を実現することができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】一対の主入力端子11とコンデンサ2とインバータ部とDC−DCコンバータ部4とを備えた電力変換装置1。DC−DCコンバータ部4はインバータ部及びコンデンサ2の少なくとも一方に対して高さ方向Zに配置されている。DC−DCコンバータ部4はコンバータ入力端子41を引き出してなる。コンデンサは、主入力端子と接続される一対の第1端子21と、インバータ部と接続される一対の第2端子とを引き出してなる。主入力端子を一端に有する一対の入力バスバー10の他端に設けたバスバー端子12に、コンバータ入力端子と第1端子とが接続されている。コンバータ入力端子は、高さ方向から見たときコンデンサ及びインバータ部よりも主入力端子に近い位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力の電圧を平滑化するコンデンサと、直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ部とを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車には、直流電源の直流電力を駆動用の交流電力に変換するインバータ部と、直流電源の直流電力を降圧して補機用の直流電力に変換するDC−DCコンバータ部とが搭載されている。そして、図11に示すごとく、インバータ部92とDC−DCコンバータ部93とを一体的に構成してひとつの電力変換装置9としたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された電力変換装置9は、インバータ部92とDC−DCコンバータ部93との間に、入力された直流電力の電圧を平滑化するコンデンサ94が配置されている。すなわち、DC−DCコンバータ部93とコンデンサ94とインバータ部92とが積層配置された3層構造の状態で、これらがケース95内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電力変換装置9においては、DC−DCコンバータ部93とコンデンサ94とインバータ部92とが、一つの方向(高さ方向)に積層配置されているため、この高さ方向の寸法を小型化することが困難である。つまり、DC−DCコンバータ部をインバータ部及びコンデンサと一体化することによって電力変換装置が高さ方向に大型化することとなってしまう。その結果、車両への電力変換装置の搭載条件に制約が生じることとなる。
【0006】
また、DC−DCコンバータ部93をインバータ部92と一体化したとき、DC−DCコンバータの入力端子をインバータ部92の入力端子に近い位置に接続すると、インバータ部のスイッチングノイズがDC−DCコンバータ部に入ったり、逆に、DC−DCコンバータ部のスイッチングノイズがインバータ部に入ったりするおそれがある。これにより、DC−DCコンバータ部やインバータ部の正常な動作を妨げるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、DC−DCコンバータ部とインバータ部との間のノイズの影響を抑制しつつ、特定方向の小型化を実現することができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、直流電源と接続される一対の主入力端子と、該主入力端子から入力された直流電力の電圧を平滑化するコンデンサと、直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ部とを備えた電力変換装置であって、
上記DC−DCコンバータ部は、上記インバータ部及び上記コンデンサの少なくとも一方に対して、上記インバータ部と上記コンデンサとの並び方向である縦方向と直交する高さ方向に配置されており、
上記DC−DCコンバータ部は、上記主入力端子と電気的に接続されるコンバータ入力端子を引き出してなり、
上記コンデンサは、上記主入力端子と電気的に接続される一対の第1端子と、上記インバータ部と電気的に接続される一対の第2端子とを引き出してなり、
上記主入力端子を一端に有する一対の入力バスバーの他端に設けたバスバー端子に、上記コンバータ入力端子と上記コンデンサの上記第1端子とが接続されており、
上記コンバータ入力端子は、上記高さ方向から見たとき、上記コンデンサ及び上記インバータ部よりも上記主入力端子に近い位置に配置されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記電力変換装置においては、上記DC−DCコンバータ部が、上記インバータ部及び上記コンデンサの少なくとも一方に対して、上記インバータ部と上記コンデンサとの並び方向である縦方向と直交する高さ方向に配置されている。それゆえ、DC−DCコンバータ部と上記インバータ部と上記コンデンサとが特定方向に積層された3層構造とはならず、電力変換装置の特定方向の寸法を小さくすることができる。つまり、DC−DCコンバータ部をインバータ部及びコンデンサと一体化することによる電力変換装置の特定方向の大型化を防ぐことができる。
【0010】
また、上記入力バスバーのバスバー端子に、上記コンバータ入力端子と上記コンデンサの上記第1端子とが接続されている。つまり、コンバータ入力端子がコンデンサの第2端子ではなく第1端子に接続されている。これにより、DC−DCコンバータ部とインバータ部との間にコンデンサが介在することとなる。それゆえ、インバータ部のスイッチングノイズがDC−DCコンバータ部に入ったり、逆に、DC−DCコンバータ部のスイッチングノイズがインバータ部に入ったりすることを抑制することができる。
【0011】
しかも、上記コンバータ入力端子は、上記高さ方向から見たとき、上記コンデンサ及び上記インバータ部よりも上記主入力端子に近い位置に配置されている。これにより、インバータ部に接続されるコンデンサの第2端子ではなく、それとは異なる第1端子にコンバータ入力端子を接続しやすくなる。そのため、上述の所定の配線を実現するための配線構造を簡潔にすることができる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、DC−DCコンバータ部とインバータ部との間のノイズの影響を抑制しつつ、特定方向の小型化を実現することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、縦方向に垂直な面による電力変換装置の断面図。
【図2】実施例1における、横方向に垂直な面による電力変換装置の断面図であって、図3のA−A線矢視断面相当の図。
【図3】実施例1における、ケースの上方ピースを取り付ける前の状態の電力変換装置の平面図。
【図4】実施例1における、ケースの下方ピースを取り付ける前の状態の電力変換装置の平面図。
【図5】実施例1における、縦方向に垂直な面による主端子台及び中継端子台の断面図。
【図6】実施例1における、入力バスバーの斜視図。
【図7】実施例1における、中継バスバーの斜視図。
【図8】実施例1における、中継端子台の斜視図。
【図9】実施例1における、中継端子台の平面図。
【図10】実施例1における、直流電源の端子を接続した電力変換装置の断面図。
【図11】背景技術における、電力変換装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電力変換装置において、上記インバータ部と上記コンデンサとの並び方向を「縦方向」といい、この縦方向と直交する一つの方向を「高さ方向」として定義しているが、これらは便宜的な定義であり、例えば、上記高さ方向が実際の鉛直方向と一致していなくてもよい。また、後述する「横方向」についても、同様に便宜的に定義した方向である。
【0015】
また、上記電力変換装置は、上記主入力端子と上記バスバー端子とをそれぞれ載置する載置面を、互いに上記高さ方向の反対側に有する主端子台を備えていることが好ましい(請求項2)。この場合には、コンデンサの第1端子、DC−DCコンバータ部のコンバータ入力端子、及び直流電源の端子を、入力バスバーに対してそれぞれ容易に安定して接続することができる。
【0016】
また、上記主端子台は、上記コンデンサに対して、上記縦方向と上記高さ方向との双方に直交する横方向に配置されていることが好ましい(請求項3)。この場合には、電力変換装置が縦方向に大型化することを抑制し、電力変換装置の小型化を容易にすることができる。
【0017】
また、上記電力変換装置は、上記インバータ部から交流電力を出力する出力端子を載置する出力端子台を備え、上記インバータ部に対する上記出力端子台の配置方向は、上記コンデンサに対する上記主端子台の配置方向と同一であることが好ましい(請求項4)。この場合には、電力変換装置内におけるデッドスペースを低減しやすく、特に上記横方向の体格を小さくすることができる。また、主端子台と出力端子台とを電力変換装置における同じ側に配置することができるため、外部機器との接続作業の効率化を図ることができる。
【0018】
また、上記コンバータ入力端子は、一対の中継バスバーを配設してなる中継端子台を介して上記バスバー端子に接続されていることが好ましい(請求項5)。この場合には、上記コンバータ入力端子の配線自由度が高くなると共に、コンバータ入力端子とバスバー端子との接続状態を安定させることができる。
【0019】
また、上記中継端子台は、上記高さ方向に貫通した筒状部を備え、該筒状部は、上記中継バスバーと上記入力バスバーの上記バスバー端子との締結部に向かって開口していることが好ましい(請求項6)。この場合には、上記中継バスバーと上記入力バスバーの上記バスバー端子との締結作業を容易に行うことができる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
上記電力変換装置の実施例につき、図1〜図10を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1〜図4に示すごとく、直流電源と接続される一対の主入力端子11と、該主入力端子11から入力された直流電力の電圧を平滑化するコンデンサ2と、直流電力を交流電力に変換するインバータ部3と、直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ部4とを備えている。
【0021】
本例の電力変換装置1は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される。そして、インバータ部3によって、直流電力を三相交流電力に変換して、三相交流の回転電機を駆動するよう構成することができる。或いは、回転電機において発電した三相交流電力を直流電力に変換して、直流電源に充電できるようにすることもできる。
そして、DC−DCコンバータ部4は、例えば、直流電源の電圧を降圧して、補機用の直流電力を生成するために用いられる。
すなわち、電力変換装置1は、車両に搭載された一つの直流電源(バッテリ)によって、三相交流の回転電機の駆動と、補機の作動とを行えるようにすることができる。
【0022】
図1、図2に示すごとく、DC−DCコンバータ部4は、インバータ部3及びコンデンサ2の少なくとも一方に対して、インバータ部3とコンデンサ2との並び方向である縦方向Xと直交する高さ方向Zに配置されている。本例においては、DC−DCコンバータ部4は、インバータ部3及びコンデンサ2の双方に対して高さ方向Zの位置に配置されている。
【0023】
DC−DCコンバータ部4は、図2に示すごとく、主入力端子11と電気的に接続されるコンバータ入力端子41を引き出してなる。
コンデンサ2は、図4に示すごとく、主入力端子11と電気的に接続される一対の第1端子21と、インバータ部3と電気的に接続される一対の第2端子22とを引き出してなる。一対の第1端子21は、コンデンサ2に内蔵されたコンデンサ素子の一対の電極にそれぞれ電気的に接続され、一対の第2端子22も、コンデンサ素子の一対の電極にそれぞれ電気的に接続されている。
【0024】
そして、図1に示すごとく、主入力端子11を一端に有する一対の入力バスバー10の他端に設けたバスバー端子12に、コンバータ入力端子41とコンデンサ2の第1端子21とが接続されている。
コンバータ入力端子41は、高さ方向Zから見たとき、コンデンサ2及びインバータ部3よりも主入力端子11に近い位置に配置されている。
【0025】
また、電力変換装置1は、主入力端子11とバスバー端子12とをそれぞれ載置する主端子台5を備えている。主端子台5は、樹脂等の絶縁体からなり、図5に示すごとく、主入力端子11とバスバー端子12とをそれぞれ載置する載置面511、512を、互いに高さ方向Zの反対側に有する。すなわち、主端子台5は、高さ方向Zの一方に設けた載置面511に一対の入力バスバー10の主入力端子11を載置し、他方に設けた載置面512に一対の入力バスバー10のバスバー端子12を載置している。また、主端子台5は、縦方向Xと高さ方向Zとの双方に直交する横方向Yの一端であってコンデンサ2と反対側の側面513に、入力バスバー10の中間部13を沿わせている。
【0026】
入力バスバー10は、図6に示すごとく、高さ方向Zに伸びる中間部13と、その上端部と下端部とを直角に同じ方向に屈曲させて形成した主入力端子11及びバスバー端子12とを備えている。主入力端子11及びバスバー端子12は、横方向Yへ平行に伸びている。入力バスバー10は平板状の金属板を屈曲して形成してなる。
また、主入力端子11には、横方向Yに並んで2つの挿通孔が形成されており、そのうちの一方が、直流電源の端子との締結に用いる挿通孔111である。また、バスバー端子12にも縦方向Xに並んで2つの挿通孔が形成されており、そのうちの一方がコンバータ入力端子41との締結に用いる挿通孔121であり、他方がコンデンサ2の第1バスバー21との締結に用いる挿通孔122である。
【0027】
また、図1、図3、図4に示すごとく、主端子台5は、コンデンサ2に対して、横方向Yに配置されている。
また、電力変換装置1は、インバータ部3から交流電力を出力する出力端子16を載置する出力端子台160を備えている。すなわち、インバータ部3から横方向Yに引き出された交流端子32と接続される出力端子16を、樹脂等からなる出力端子台160に載置している。出力端子台160において、出力端子16を三相交流の回転電機の端子と接続できるよう構成してある。
【0028】
そして、インバータ部3に対する出力端子台160の配置方向は、コンデンサ2に対する主端子台5の配置方向と同一である。なお、出力端子台160は、主端子台5と一体化されていてもよい。
また、本例において、出力端子16は6本形成されているが、これらのうちの3本が一つの回転電機における3つの電極に接続され、他の3本が他の一つの回転電機における3つの電極にそれぞれ接続されている。つまり、本例の電力変換装置1は、2つの回転電機をそれぞれ駆動できるよう構成してある。ただし、駆動する回転電機の個数は特に限定されるものではない。
【0029】
また、図5に示すごとく、コンバータ入力端子41は、一対の中継バスバー60を配設してなる中継端子台6を介してバスバー端子12に接続されている。
中継端子台6は、主端子台5に対して、高さ方向Zに並んで配置され、主端子台5におけるバスバー端子12を載置した載置面512に対向するように配置されている。
【0030】
中継端子台6は、高さ方向Zに貫通した筒状部61を備えている。筒状部61は、中継バスバー60と入力バスバー10のバスバー端子12との締結部に向かって開口している。
中継端子台6は樹脂等の絶縁体からなり、図8、図9に示すごとく、筒状部61と共に一対の端子固定部62を備えている。該端子固定部62は、筒状部61と一体的に成形されており、コンバータ入力端子41を中継バスバー60と接続固定する部分である。
【0031】
中継バスバー60は、図7に示すごとく、平板状の金属板を屈曲して形成してなる。そして、中継バスバー60は、入力バスバー10のバスバー端子12と面接触する上方端子部601と、コンバータ入力端子41と面接触する下方端子部602とを有する。上方端子部601と下方端子部602とは、互いに平行であって、高さ方向Zに直交しているが、高さ方向Zの位置は異なる。すなわち、上方端子部601と下方端子部602との間には、高さ方向Zに伸びて両者を連結する連結部603が形成されている。また、上方端子部601における連結部603と反対側からは、連結部603と同じ方向に立設した立設部604が伸びている。また、上方端子部601には、入力バスバー10のバスバー端子12との締結のための挿通孔605が形成され、下方端子部602には、コンバータ入力端子41との締結のための挿通孔606が形成されている。
【0032】
そして、図8、図9に示すごとく、上方端子部601が中継端子台6における筒状部61の主端子台5側の開口部の一部を覆うようにすると共に、下方端子部602を中継端子台6の端子固定部62に配置するようにして、中継バスバー60が中継端子台6に配設されている。一対の中継バスバー60は、中継端子台6における一つの筒状部61にそれぞれの上方端子部601を配置し、中継端子台6における一対の端子固定部62のそれぞれに、それぞれの下方端子部602を配置している。
【0033】
また、中継端子台6における端子固定部62において、中継バスバー60は、ボルト631によって中継端子台6にコンバータ入力端子41と共締めされている。また、中継バスバー60における立設部604には、厚み方向に貫通した係合孔607が形成されている。この係合孔607が、中継端子台6の筒状部61の外側面に設けた係合凸部611と係合している。これによって、中継バスバー60が中継端子台6に固定されている。
【0034】
コンバータ入力端子41は、DC−DCコンバータ部4から引き出されたワイヤー411の一端に固定された環状の端子によって構成されている。ワイヤー411は、可撓性を有する被覆導線によって構成することができる。
また、中継端子台6は、2つのボルト632によって、後述する電力変換装置1のケース14に固定されている。
【0035】
図1〜図4に示すごとく、電力変換装置1は、アルミニウム等の金属製のケース14内に、コンデンサ2、インバータ部3、DC−DCコンバータ部4等の構成部品を収容してなる。
インバータ部3は、スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、これらを冷却するための冷却器とを有する(図示略、上記特許文献1参照)。冷却器は、半導体モジュールをその両面から冷却できるよう構成された複数の冷媒流路を有する。すなわち、複数の半導体モジュールと複数の冷媒流路とが互いに積層されている。この積層方向は縦方向Xであって、インバータ部3とコンデンサ2との並び方向である。各半導体モジュールからは、高さ方向Zの一方でありDC−DCコンバータ部4側へ突出した主電極端子と、その反対側に突出した制御端子とを有する(図示略)。制御端子は、半導体モジュールを制御する制御回路が形成された制御回路基板に接続され、該制御回路基板は、インバータ部3におけるDC−DCコンバータ部4と反対側に配されている(図示略)。
【0036】
ケース14は、図1、図2に示すごとく、インバータ部3及びコンデンサ2を内側に配設する中間ピース141と、中間ピース141に対して高さ方向Zの両側に配された上方ピース142及び下方ピース143とを組み合わせてなる。上方ピース142の内側には、制御回路基板が配置しており、下方ピース143の内側には、DC−DCコンバータ部4が配設されている。中間ケース部141は高さ方向Zの双方が開放されている。
【0037】
ケース14は、高さ方向Zから主入力端子11に向かって開口した上方端子固定用孔144と、横方向Yからから主入力端子11に向かって開口した端子挿入用孔145と、高さ方向Zから中継端子台6に向かって開口した下方端子固定用孔146とを有する。上方端子固定用孔144と端子挿入用孔145とは、ケース14の上方ピース142に形成され、下方端子固定用孔146は、ケース14の下方ピース143に形成されている。
【0038】
電力変換装置1を組み立てるにあたっては、まず、図4に示すごとく、ケース14の中間ピース141の内側に、インバータ部3及びコンデンサ2を配設する。また、入力バスバー10を配設した主端子台5、及び出力端子16を配設した出力端子台160も、ケース14の中間ピース141内に配設する。そして、コンデンサ2の一対の第1端子21を入力バスバー10のバスバー端子12にボルト231にて締結し、コンデンサ2の一対の第2端子22をインバータ部3の一対の直流バスバー31にボルト232にて締結する。
【0039】
一方、ケース14の下方ピース143には、DC−DCコンバータ部4及び中継端子台6を組み付ける(図1、図2参照)。中継端子台6に配設された中継バスバー60には、コンバータ入力端子41を締結しておく。
この状態で、インバータ部3、コンデンサ2、及び主端子台5を内側に配設した中間ピース141と、DC−DCコンバータ部4及び中継端子台6を内側に配設した下方ピース143とを組み合わせる。この状態においては、コンバータ入力端子41と接続された中継バスバー60と入力バスバー10のバスバー端子12とは締結されていない。そこで、下方ピース143に設けられた下方端子固定用孔146からボルト633を挿入して、中継バスバー60の上方端子部601とバスバー端子12とを主端子台5にボルト633によって共締めする。このとき、中継端子台6に設けた筒状部61の内側を通すように、ボルト633及び工具を挿入することができる。
ボルト締結後、下方端子固定用孔146は、樹脂等からなるキャップ147によって塞ぐ。
【0040】
また、下方ピース143を取り付けた側と反対側の中間ピース141の開放部に、上方ピース142を組み付ける。中間ピース141に対する上方ピース142及び下方ピース143の取付順序は特に限定されるものではない。
中間ピース141に上方ピース142を取り付けると、図1に示すごとく、上方ピース142に設けられた上方端子固定用孔144と端子挿入用孔145とが主入力端子11に向かって開口した状態で配置される。
【0041】
この状態の電力変換装置1に対して、直流電源の端子19を主入力端子11に接続するにあたっては、図10に示すごとく、端子挿入用孔145から一対の端子19をケース14内に挿入する。そして、端子19を主入力端子11に重ね合わせ、端子19に設けた挿通孔と主入力端子11に設けた挿通孔111とが重なるように位置合わせする。その後、上方端子固定用孔144からボルト191と工具を挿入し、ボルト191によって端子19と主入力端子11とを共締めして主端子台5に固定する。
次いで、上方端子固定用孔144を蓋部148によって塞ぐ。
以上により、電力変換装置1と直流電源との接続が完了する。
【0042】
なお、出力端子16への回転電機の端子の接続も、主入力端子11への直流電源の端子の接続と同様に行う。また、そのために、端子挿入用孔145及び上方端子固定用孔144に相当する開口部も、ケース14における所定の位置に設けてあるが、これらについては図示を省略した。
【0043】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置1においては、DC−DCコンバータ部4が、インバータ部3及びコンデンサ2に対して、インバータ部3とコンデンサ2との並び方向である縦方向Xと直交する高さ方向Zに配置されている。それゆえ、DC−DCコンバータ部4とインバータ部3とコンデンサ2とが特定方向に積層された3層構造とはならず、電力変換装置1の特定方向の寸法を小さくすることができる。つまり、DC−DCコンバータ部4をインバータ部3及びコンデンサ2と一体化することによる電力変換装置1の特定方向の大型化を防ぐことができる。
【0044】
また、入力バスバー10のバスバー端子12に、コンバータ入力端子41とコンデンサ2の第1端子21とが接続されている。つまり、コンバータ入力端子41がコンデンサ2の第2端子22ではなく第1端子21に接続されている。これにより、DC−DCコンバータ部4とインバータ部3との間にコンデンサ2が介在することとなる。それゆえ、インバータ部3のスイッチングノイズがDC−DCコンバータ部4に入ったり、逆に、DC−DCコンバータ部4のスイッチングノイズがインバータ部3に入ったりすることを抑制することができる。
【0045】
しかも、コンバータ入力端子41は、高さ方向Zから見たとき、コンデンサ2及びインバータ部3よりも主入力端子11に近い位置に配置されている。これにより、インバータ部3に接続されるコンデンサ2の第2端子22ではなく、それとは異なる第1端子21にコンバータ入力端子41を接続しやすくなる。そのため、上述の所定の配線を実現するための配線構造を簡潔にすることができる。
【0046】
また、電力変換装置1は主端子台5を備えているため、コンデンサ2の第1端子21、DC−DCコンバータ部4のコンバータ入力端子41、及び直流電源の端子19を、入力バスバー10に対してそれぞれ容易に安定して接続することができる。
【0047】
また、主端子台5は、コンデンサ2に対して横方向Yに配置されているため、電力変換装置1が縦方向に大型化することを抑制し、電力変換装置1の小型化を容易にすることができる。
また、出力端子台160の配置方向がコンデンサ2に対する主端子台5の配置方向と同一である。そのため、電力変換装置1内におけるデッドスペースを低減しやすく、特に横方向Yの体格を小さくすることができる。また、主端子台5と出力端子台160とを電力変換装置1における同じ側に配置することができるため、外部機器(直流電源及び回転電機)との接続作業の効率化を図ることができる。
【0048】
また、コンバータ入力端子41は、一対の中継バスバー60を配設してなる中継端子台6を介してバスバー端子12に接続されている。これにより、コンバータ入力端子41の配線自由度が高くなると共に、コンバータ入力端子41とバスバー端子12との接続状態を安定させることができる。
【0049】
また、中継端子台6は、高さ方向Zに貫通した筒状部61を備え、該筒状部61は、中継バスバー60と入力バスバー10のバスバー端子12との締結部に向かって開口している。これにより、中継バスバー60とバスバー端子12との締結作業を容易に行うことができる。
【0050】
以上のごとく、本例によれば、DC−DCコンバータ部とインバータ部との間のノイズの影響を抑制しつつ、特定方向の小型化を実現することができる電力変換装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電力変換装置
10 入力バスバー
11 主入力端子
12 バスバー端子
2 コンデンサ
21 第1端子
22 第2端子
3 インバータ部
4 DC−DCコンバータ部
41 コンバータ入力端子
5 主端子台
6 中継端子台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と接続される一対の主入力端子と、該主入力端子から入力された直流電力の電圧を平滑化するコンデンサと、直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ部とを備えた電力変換装置であって、
上記DC−DCコンバータ部は、上記インバータ部及び上記コンデンサの少なくとも一方に対して、上記インバータ部と上記コンデンサとの並び方向である縦方向と直交する高さ方向に配置されており、
上記DC−DCコンバータ部は、上記主入力端子と電気的に接続されるコンバータ入力端子を引き出してなり、
上記コンデンサは、上記主入力端子と電気的に接続される一対の第1端子と、上記インバータ部と電気的に接続される一対の第2端子とを引き出してなり、
上記主入力端子を一端に有する一対の入力バスバーの他端に設けたバスバー端子に、上記コンバータ入力端子と上記コンデンサの上記第1端子とが接続されており、
上記コンバータ入力端子は、上記高さ方向から見たとき、上記コンデンサ及び上記インバータ部よりも上記主入力端子に近い位置に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記主入力端子と上記バスバー端子とをそれぞれ載置する載置面を、互いに上記高さ方向の反対側に有する主端子台を備えていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記主端子台は、上記コンデンサに対して、上記縦方向と上記高さ方向との双方に直交する横方向に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記インバータ部から交流電力を出力する出力端子を載置する出力端子台を備え、上記インバータ部に対する上記出力端子台の配置方向は、上記コンデンサに対する上記主端子台の配置方向と同一であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置において、上記コンバータ入力端子は、一対の中継バスバーを配設してなる中継端子台を介して上記バスバー端子に接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、上記中継端子台は、上記高さ方向に貫通した筒状部を備え、該筒状部は、上記中継バスバーと上記入力バスバーの上記バスバー端子との締結部に向かって開口していることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85320(P2013−85320A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221683(P2011−221683)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】