説明

電力結合器

4方向バイナリ電力結合器の実施形態は、第1の1:1変圧器からなり、これは第1の電力増幅器の出力から受け取った50オーム出力インピーダンスと第2の電力増幅器の出力から受け取った50オーム出力インピーダンスとを結合して、第1の変圧器出力における25オーム第1の変圧器出力インピーダンスを与える。第1の100オーム差分抵抗は第1の電力増幅器出力と第2増幅器出力との間に接続されている。第2の1:1変圧器は、第3の電力増幅器の出力から受け取った50オーム出力インピーダンスと第4の電力増幅器の出力から受け取った50オーム出力インピーダンスとを結合して、第2の変圧器出力における25オーム第2の変圧器出力インピーダンスを与える。第2の100オーム差分抵抗は第3の電力増幅器出力と第4電力増幅器出力との間に接続されている。50オーム差分抵抗は第1の変圧器出力と第2の変圧器出力との間に接続されている。第3の変圧器は、25オーム第1の変圧器出力インピーダンスと25オーム第2の変圧器出力インピーダンスとを結合して、負荷への直接接続に適合する第3の変圧器出力における12.5オーム出力インピーダンスを与える。第2の実施形態は修正されたウィルキンソン電力結合器を与え、これは、等長で等インピーダンス特性を有する四分の1波長同軸伝送ラインからなる。各々の同軸伝送ラインの内側導体の入力端は、関連する電力増幅器の出力から50オーム出力インピーダンスを受け取るように適合されている。各々の同軸伝送ラインの内側導体の出力端は共通の伝送ライン出力接続点へ接続されて、12.5オーム出力インピーダンスを受け取る。各々の同軸伝送ラインの外側導体は接地へ接続されている。各々の同軸伝送ラインについて、50オーム差分抵抗は伝送ラインの内側導体と共通差分抵抗接続点との間に接続されている。共通伝送ライン出力接続点は負荷への直接接続に適合されている。第3の好ましい実施形態は、等長で等インピーダンス特性を有する複数の同軸伝送ラインからなる電力結合器を与える。各々の同軸伝送ラインの内側導体の入力端は関連する電力増幅器からの電力増幅器出力インピーダンスを受け取るように適合されている。各々の同軸伝送ラインの内側導体の出力端は、伝送ライン出力インピーダンスを受け取る共通伝送ライン出力接続点へ接続されている。同軸伝送ラインの各々の外側導体は接地へ接続される。共通伝送ライン出力インピーダンスは負荷へ直接に接続するように適合されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明はレーザーシステムに関するものであり、特に、中間出力拡散冷却COスラブレーザーのためのRF個体電源に用いられるRF電力結合器に関する。
【0002】
発明の背景
幅(W)と長さ(L)を有する二つの矩形電極間の固定分離(D)のために、拡散冷却COスラブレーザーの出力を電極の領域で線形に計ることは良く知られている。電極間の分離Dの最適の値は、ガス圧力、レーザーの波長、二本の電極間で放電を励起させるために用いられる電源のRF周波数により主に定められる。代表的なガス圧力は約50−150トルであり、代表的な波長は約9−11ミクロンであり、代表的な周波数は約8―100MHzである。これら圧力及びRF周波数の範囲のために、電極分離Dは約0.05−0.13インチ(約0.125―0.325センチ)である。これらの圧力、周波数及び電極分離の範囲において、拡散冷却されたCOレーザーを最適に操作するために要求される放電へ印加されるRF電圧は約225ボルトである。
【0003】
良く知られた電圧、電流、電力の関係I=P/Vから、図1に実線直線10によって概略的に図示されるように、電極に印加される定電圧のための放電への電流は、放電へのRF電力と共に線形に増加する。良く知られた電力、電圧、インピーダンスの関係Z=V/Pから、図1に破線曲線12によって図示されるように、放電のインピーダンスは、放電へのRF電力が増大するにつれて、電力の逆数として減少する。
【0004】
レーザーのパラメータに依存して、拡散冷却COレーザー出力の放電のための50オー身のインピーダンスは、代表的には100−150Wで生じる。レーザー効率を10%とすると、このレーザー出力は放電へのRF出力について約1000−1500Wで生じる。このRF出力範囲よりも下では、放電インピーダンスは概ね50オームよりも高く、この出力範囲よりも上では、放電インピーダンスは概ね50オームよりも低い。従って、この二つの状況のために電力を放電へ効果的に結合するように、固体RF電力増幅器、電力結合器、及びインピーダンス整合ネットワークを設計するための試みは、異なったものとなる。
【0005】
一般的に、FMラジオ送信機の場合のように、固体RF電力結合器は、50オーム以上の負荷を駆動するように設計されている。低インピーダンス負荷(即ち、<<50オーム)を駆動する固体RF電力結合器は中間及び高出力拡散冷却COスラブレーザーにむしろ特有である。
【0006】
本発明は、低インピーダンス負荷を駆動するための(即ち、中間出力拡散冷却COスラブレーザー放電を駆動するための)RF固体電力結合器を与える。ここに開示される技術は、放電への電力が増大するにつれて、低インピーダンス・レベルから生じる固体RF電源の電力結合器部分における高電流を取り扱うためのコストの低減ももたらす。固体電力結合器において低インピーダンス出力を実現することは、コスト低減及びレーザー効率向上の目的で、中間乃至高出力拡散冷却COスラブレーザー放電の低インピーダンスを駆動するRF電源における固体デバイスの効率的利用において重要である。レーザー出力が増大するにつれて、レーザー出力が最終的に到達するのは、真空管技術の使用が費用効果のよいレーザー製品を与えるために必要とされるところである。ここに開示された発明の技術が利用されるならば、RF電源のために固体から真空管技術への移行を必要とするレーザー出力レベルは1000Wを越えると考えられている。
【0007】
図2は、拡散冷却COガスレーザーを駆動するために固体RF電源において使われる一般的な従来の試みを概略的に示す。一例として、図2の回路20は、五つの出力増幅器(PA―PA)の各々に四つの300Wトランジスタ(即ち、フィリップスBLF278A)が用いられるならば、6KWの出力のために構成されている。各々の出力増幅器22を構成するのは、プッシュ/プル増幅器形態で配置された二つのトランジスタのセットである。二つのプッシュ/プル増幅器は、バイナリ電力結合器形態で、当技術分野で公知のように、出力増幅器を形成するように配置されている。控えめに回路損失を考慮に入れて、図2に示される試みは、指定されたトランジスタと五つの出力増幅器22により、約500W以上の平均出力を有するCOレーザーを駆動するのに充分である。単一より少ないデューティ・サイクル(C)における操作のパルスモードにおいて出力増幅器22を駆動することは、Cで除した連続波長(CW)平均出力(P)に等しいRFピーク出力(P)を与えることができる。このパルス化の場合には、レーザー放電(Z)のインピーダンスは、より高駆動になることに起因して、CWの場合よりも低い。
【0008】
図2に示される試みは、望ましい周波数(例えば、100MHz)を有するトランジスタ発振器24により開始される。発振器24の出力は、前置増幅器チェーン(PA)26へ与えられ、当技術分野で公知のように、前置増幅器PAの出力が五つの出力増幅器(PA―PA)を最大効率のための非線形操作で駆動するために充分に大きいものとなるようにした。出力増幅器(PA―PA)22の各々への入力は、五つの出力増幅器22の各々から約1200Wの出力RF電力を得るために、等しい増幅及び等相RF信号を有することにより、6000Wの全出力平均電力出力を与える。出力増幅器22の各々の出力は、関連する方向カプラー(DC)28へ与えられ、その設計も当業者には公知である。
方向カプラー(DC−DC)28からの信号は、レーザー放電からの後方散乱出力(BP)のみならず、放電への順方向出力(FP)を測定するために用いられる。
【0009】
図2の回路20の方向カプラー(DC−DC)28からの順方向電力信号FPは、(存在するならば)操作上の問題(例えば、出力増幅器22が等しい出力を出力する)を診断するために、個々の出力増幅器22の出力性能を決定/監視するために用いられる。図2の回路20における方向カプラー(DC−DC)28の収集によって検出されたる後方散乱出力は、電源がレーザー放電(即ち、負荷)にどのくらい良く整合するかを監視するために用いられる。放電が点火してないとき、放電インピーダンスは非常に高く(即ち、放電中は電流が殆ど若しくは全く流れない)、出力の大部分は、大きなインピーダンス不適合のために発振器へ向かって後方へ反射される。後方散乱力(back−scattered power(BP))が大きいとき、大きなBP信号はそれを損傷から保護するために電源を切るのに用いられる。前置点火器は通常は放電(単純化のために図2には示さない)を点火して、それを点火しておき、相当な後方散乱力が生じないようにするのに用いられる。米国特許第5,434,881号(1995年7月18日発行)は、CO拡散冷却スラブレーザーにおける点火器アセンブリの例を開示する。
【0010】
後方反射防止回路を実行する多数の手法があり、これは当業者にはよく知られている。従って、そのような回路は図2には示さない。放電が点火されるとき、インピーダンスは低く、計画的に、RF電源は点火放電インピーダンスに整合して、反射された力が低いか零になるようにされている。
【0011】
図2に更に示すように、方向カプラー(DC−DC)28の各々の出力は対応するインピーダンス整合ネットワーク(IMN−IMN)30へ与えられ、これは出力増幅器22の各々の入力インピーダンスを電力結合器(PC)32のインピーダンスへ整合させるために用いられる。従来技術では、電力結合器32の入力インピーダンスは通常は50オームであるようにされる。インピーダンス整合ネットワーク28によって出力増幅器22、方向カプラー28及び電力結合器32の間でこのインピーダンス整合を達成するための当業者にはよく知られた多数の手段がある。この種の昇圧器へ用いられる一つの従来の試みが米国仮特許出願番号第60/810,538号(2006年6月2日出願,W.S.Robotham JRFredirick W.Hauer,Leon A.Newman);出願番号第60/810,538号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0012】
電力結合器32と、図2の回路20のレーザー放電36の前段に置かれたインピーダンス整合ネットワーク(IMN)34とは、数百ワット及びそれ以上の出力を有する拡散冷却CO拡散冷却スラブレーザーを駆動するRF個体電源の設計において最も困難なアイテムの一つである。というのは、高電流が電力結合器32及び最終的インピーダンス整合ネットワーク(IMN)34へ一緒に到来して離れるためである。市販用途のためには、電力結合器32は、部品点数をコストの削減のために極力に少なくする必要がある。RF固体電源についての従来技術では、電源のコストはレーザー全体のコストの約半分に相当した。本発明は、このコスト比率を低減するための技術を提供する。
【0013】
当業者にとっては、電力結合器(PC)と最終的なインピーダンス整合ネットワーク(IMN)34を設計するために利用できる多数の試みが公知である(例えば、”Microwave Circuit Analysis and Amplifier Design,Chapter S; Samual V.Liao:Prentice Hall, Inc.pp161−192参照)。電力結合器(PC)のための一つの既知の試みは「Wilkinson」電力結合器/デバイダを使うことである。(”An N−Way Hybrid Power Divider”Ernest J.Wilkinson;IRE Transmissions on Microwave Theory and Techniques,January 1960,pp 311−313(及びpp.183−184も参照),Liao出版)他の公知の試みは、Liao出版の174頁の図5−4−1に説明された”バイナリー”電力結合器/デバイダ構造体である。
【0014】
本発明は、上述のWilkinson及びバイナリPC設計に対する変更並びに従来技術に打ち勝つ中間出力拡散冷却COスラブレーザーに関連した低インピーダンス負荷整合に対する効率的な低コスト電力結合器を実現する一つの全く新たな広帯域参照電力結合器設計に基づく二つの電力結合器を提供する。Wilkinson及びバイナリ電力結合器の簡単な説明は本発明の利点の完全な評価のために以下に与えられている。これらの上述の試みは、150−200ワットより低い出力を有する拡散冷却COレーザーの放電インピーダンスに対するRF電源をインピーダンス整合させるのに現在用いられている試みである。これらの低出力レーザーは、高インピーダンス、例えば50オーム周辺であり、上述した中間及び高出力COレーザーによって持つものよりも高いインピーダンスを有する。本発明は、150−200百ワットより高い出力を有する拡散冷却スラブレーザーの放電を駆動する個体RF電力結合器のコストを低減し、従って50オームよりも非常に低い入力インピーダンスを持たせる。本発明の概念は導波又はスラブレーザー形態の低出力COレーザーにも適用可能なことに留意することは重要である。
【0015】
図3は当業者には公知の従来の4方向バイナリの電力結合器40を概略的に示す。図3の例は、等しい振幅と位相を有して50オーム負荷へRF出力を搬送する四つの別々の出力増幅器源(PA−PA)42からの50オーム入力を有する。この例では、四つの出力増幅器42が示されており、その各々は50オーム入力を有し、その出力は上記で参照したトランジスタを用いる従来技術の試みにおける代表的なものである。この配置は100MHzにおける5KWの出力を与える。100オーム抵抗44は、何らかの不均衡出力を消散させるために、増幅器PAと増幅器PAとの出力の間に、及び増幅器PAと増幅器PAとの出力の間に接続されている。これらの抵抗44は当業者には差分抵抗又は平衡抵抗として知られている。出力増幅器PA/PAと出力増幅器PA/PAとの出力は1:1変圧器T及びTによりそれぞれ組み合わされている。変圧器T及びTは、それらの各々の出力においてインピーダンスを25オームへ変換する。50オーム差分抵抗46は変圧器Tの出力と変圧器Tの出力との間で接続されており、1:1昇圧器Tにおける12.5オーム出力インピーダンスを与える。標準的な慣行は、この12.5オームを図3に示される50オーム負荷Zに整合させていた。このインピーダンス整合移行を達成するために一般的に用いられる一つの試みは、12.5オームを50オームへ変換して負荷(Z)48に整合させるために1:2昇圧器Tを用いることである。これらの変圧器と抵抗は高出力デバイスであるので、高価な部品である。
【0016】
図4は従来の4方向Wilkinson結合器50を示し、この場合も代表的には50オーム入出力を有する。この場合、四分の一波長同軸伝送ライン52が用いられ、各々が電力結合器を与えるように50オーム特性インピーダンスを有する。図4に示される同軸伝送ラインの代わりに、しばしばマイクロストリップ伝送線を使用することもできる。同軸伝送ライン52の各々の外側コンダクタの端部は図示のように電気的接地へ取り付けられている。各々の抵抗54の一端は、各々が50オームの値を有し、図示のように四つの同軸伝送ラインの入力内側のコンダクタの一つへ接続されており、各々の抵抗の反対側端部が共通の電気的接続点へ接続されている。これらの抵抗54は差分又は平衡抵抗である。四つの中央コンダクタの各々は、伝送ライン52の各々の端部において、12.50オーム出力インピーダンスを生じる他の共通電気接続点へ接続されている。この従来技術の例では、通常は共通接続点を或る程度離間して位置している50オーム負荷へ接続することが望ましい。これは代表的には、図4に示すように、25オーム特性インピーダンスを有するλ/4長、又は1/4の複数倍の波長同軸ケーブルの使用により達成される。この1/4波長伝送ラインの使用は、この技術を図3の試みに比べて狭帯域にする。平衡抵抗はやはり高価な部品である。
【0017】
図3及び図4に示す電力結合機器の変形例は、放電接続の前方にインピーダンス整合ネットワーク(IMN)を加えて、このIMN部品を調整して、図3又は図4の電力結合器からIMNへ見いだされるインピーダンスが50オームとなるようにすることにより、10ワットと500ワットを越える出力との間に出力を有する拡散冷却COレーザーを駆動でき、且つその駆動に用いられる。このような従来の電力結合器技術の使用は、レーザーヘッドのコストに概ね等しいRF電源のコストをもたらす。本発明はRF電源とレーザーヘッドとの間のこのコスト比を低減する。
【0018】
例えば、図3の電力結合器における出力インピーダンス変圧器Tの省略は、相当なコスト低減をもたらすであろう。更に、変圧器Tの12.5オーム出力の低出力インピーダンスは中間出力レーザーの放電の低入力インピーダンスにより密接に整合する。例えば、500Wレーザーの放電インピーダンスは約6オームに近似する。このより密接するインピーダンスは、電力結合器の12.5オーム出力を放電の6オームインピーダンスへ整合させるのに必要なIMNのコストも低減させる。高出力RF変圧器は高価であり、付加的な出力損失を出力伝送回路にもたらすので、レーザーの壁プラグ効率を低減させる。
【0019】
図4の電力結合器に示される高出力λ/4伝送ラインインピーダンス変圧器も同軸ラインの長さ及び径又はそれを適切に冷却する必要性に起因して同様に付加的な損失及びパッケージングの困難性を与える。電力結合器についての低出力インピーダンスにおける操作は低い回路Qをもたらし、これは結合器出力とレーザー放電との間のインピーダンス整合回路(IMN)における減少された循環電流損失をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は概略的な電流及びインピーダンスの挙動を拡散冷却COレーザーへのRF出力の関数として示すプロットである。
【図2】図2はCO拡散冷却レーザーを駆動するための固体RF電源を示す概略図である。
【図3】図3は従来のバイナリ4方向電力結合器を示す概略図である。
【図4】図4は従来の4方向Wilkinson電力結合器を示す概略図である。
【図5】図5は本発明の実施例による4方向電力結合器を示す概略図である。
【図6】図6は本発明の実施例による4方向Wilkinson電力結合器を示す概略図である。
【図7】図7は本発明によるRF電力結合器の代替的な実施例を示す概略図である。
【図8A】図8Aは本発明による電力結合器のパッケージングを示す斜視図である。
【図8B】図8Bは本発明による電力結合器のパッケージングを示す斜視図である。
【図9】図9は本発明によるCOレーザー放電を駆動する電力結合器を用いるRF電源を示すブロック図である。
【図10】図10は本発明による電力結合器の動作のコンピュータシミュレーション・データを与える図である。
【図11】図11は同軸ケーブル長の関数として図10と同様な状況の下で位相角における変化を示すコンピュータシミュレーション・データを与える図である。
【詳細な説明】
【0021】
図5は、低放電インピーダンスを駆動するためにコスト効果的に用いることができる本発明の概念による修正された4方向バイナリ電力結合器60を示す。図5に示される4方向実施例は、例示としてのみ与えられるのであって、本発明を制限するものとして斟酌すべきではない。当業者は、他の複数の方向のバイナリ電力結合器が本発明の要旨及び目的の範疇にあることを理解するであろう。
【0022】
図3の電力結合器40を本発明の図5の電力結合器60と比較すると、図3の回路から変圧器Tを除去して、図5の回路60を得ていることが示される。即ち、図5に示すように、また図3の回路40のように、電力結合器60は四つの別個の電力増幅源(PA−PA)62(これらは等しい増幅及び位相を有し、RF出力を50オーム負荷へ伝送する)から50オーム入力を受ける。100オーム抵抗64が、出力増幅器PAと出力増幅器PAとの出力の間に、また出力増幅器PAと出力増幅器PAとの間に接続されている。
出力増幅器PA/PA及び出力増幅器PA/PAの出力は、それぞれ1:1比変圧器T及びTにより結合される。変圧器T及びTは、それぞれの出力においてインピーダンスを25オームに変換する。50オーム差分抵抗66が変圧器Tの出力と変圧器Tの出力との間に接続されており、これにより変圧器Tの出力において12.5オームの出力インピーダンスを提供する。これはインピーダンス整合ネットワーク(IMN)68へ直接に供給される12.5オームの出力インピーダンスを有する電力結合器60を与える。インピーダンス整合ネットワークIMNは二つのコンデンサと誘導子のP(Π)ネットワーク、又は当業者には公知の他のインピーダンス整合ネットワークからなるようにすることができる。12.5オームと6.0オームとの間の整合を達成するために少量のインピーダンス調整を必要とするのみなので、IMNは効率的である。電力結合器60の出力をIMNに接続している伝送線がないので、変圧器Tの出力とIMNとの間、及びIMNとレーザー電極との間の接続を短距離でなす必要があることに留意されたい。この短距離接続は如何にして達成できるかの詳細は図8に関連して以下に示す。この修正されたバイナリ電力結合器の設計は、図3に示す従来の設計に勝る少ない部品数及び低コストの利点を有する。
【0023】
図6は本発明の概念による修正された4方向Wilkinson電力結合器70を示し、これは低インピーダンス放電を駆動するのに適する50オーム入力及び12.5オーム出力を有する。図6の設計70を図4の従来の設計50を比べると、電力結合器を負荷へ接続する同軸伝送ライン変圧器が省かれていることが示される。このことは、図6の電力結合器70に12.5オーム出力インピーダンス及び部品数/コスト削減の優位性を与える。
【0024】
図6に示すように、また図4の回路50の場合のように、四つの4分の1波長同軸伝送ライン72が用いられており、その各々は、電力結合を与えるために50オーム特性インピーダンスを有する。同軸伝送ライン72の各々の外側コンダクタの端部は、電気的接地へ取り付けられている。四つの50オーム抵抗74の各々の一端は、四つの同軸伝送ライン72の入力内側コンダクタの一つに接続しており、その各々の抵抗74の他端は、共通の電気的接続点へ接続されている。同軸伝送ライン72の端部において四つの中央コンダクタの各々は、12.5オーム出力インピーダンスを与える共通の電気的接続点へ接続されている。電力結合器70の12.5オーム出力は、図5の設計と同様な方式で、インピーダンス整合ネットワーク(IMN)76へ直接に供給され、次いでレーザー放電へ供給される。電力結合器70の出力とIMNとの間、及びIMNとレーザー電極との間の短距離接続も図8に示すように作成することができる。4分の1波長伝送ライン72は、図6の電力結合器を与え、これは図5に示す電力結合器によって利用可能なものよりも非常に狭い帯域を有する。この試みは図5の電力結合器よりもコストが低い。
【0025】
図7は低インピーダンス拡散冷却スラブレーザー放電を駆動する好ましい電力結合器80を示す。図7の設計80を図5及び図6のPC方式と比べると、この試みがより単純であり、部品数が少ないので、低コストであることが示される。これは、一つの4分の1波長伝送ラインを必要としないので、これも図6の設計よりも広い帯域幅を有する。従って図7の電力結合器80は、単にレーザー放電を駆動するよりも広い適用性を持たねばならない。そのような試みはアンテナを駆動する交信トランスミッタになすことができる。
【0026】
図7に示される電力結合器80を用いるRF電源は、図3又は図4に示されるPCを用いる電源よりもコストが約40%少ないと見積もられる。この非従来型の低コスト広帯域4方向電力結合器は、COレーザー電源に用いられている個体RF増幅器と共に使用するために独特に適用できる。この新たな電力結合器は超パルス400ワットレーザーを駆動するパルス型RF電源に用いることができる。これは、連続波長(CW)又はパルス型COレーザーを駆動するのに用いることができる。
【0027】
この非従来型の電力結合の試みは、製造コストが非常に低いが、図5及び図6の電力結合器よりも個々の増幅器負荷インピーダンスの制御が少ない。試験によって、5方向電力結合器における個々の増幅器負荷インピーダンスの制御が低インピーダンス放電を駆動するのに充分であることが判明している。放電はNが5.0に等しく優良な結果を有するところで駆動された。入力を意図的に不均衡にさせたときの図7の電力結合器80の挙動のコンピュータシミュレーションは、調整がより効率的であることを示した。五つの増幅器のうちの一つの増幅器が意図的に部分的な故障を被るようにされているときに、隣接する増幅器の故障は6000ワットの試作品では起こらないことが実験的に判明している。
【0028】
図7の電力結合器80に電力増幅器(PA−PA)82を持たせて、それらの出力と出力インピーダンスとを代表的には10%以内で整合させて、隣接する電力増幅器に強いられる付加的な散逸及び波形歪を最小化させることは賢明である。インピーダンス整合は最適操作のために通常は全ての電力結合器について実行されるので、これは図7の設計に異例な負担をかけるものではない。
【0029】
図7に示される5方向電力結合器82について、図示のように正しく終了されている合計ノード84によれば、コンピュータシミュレーションは、一つの電力増幅器82の50%出力削減が、他の四つの残りの出力増幅器82に1:3:1内の電圧定在波比(VSWR)で見られる効果的な負荷インピーダンスがもたらされることを示した。これは良く許容できるものであり、高ピークパワートランジスタの低い内部損失によって取り扱える能力がある。
【0030】
実験は、一つの電力増幅器82を構成する四つのトランジスタのうちの一つの完全な故障は、損傷した電力増幅器内の他の三つのトランジスタの各々が出力パワーについて良く整合する限りは、四つの残りの電力増幅器82に2:1内の電圧定在波比(VSWR)で見られる効果的な負荷インピーダンスがもたらされることを示した。
【0031】
図7に示すように、代表的な実施形態は、全ての電力結合器入力についてZo=50オームの伝送ライン86を使用し、全ての伝送ライン86は同じ長さを有する。合計ノードインピーダンスは従ってZo/Nである。N=5については、合計ノードインピーダンスは図7に示すように10オームである。この好ましい電力結合器の試みは、不均衡な増幅器出力を解消するために差分(即ち平衡させる)抵抗を必要としない。五つの伝送ライン86の長さは重要ではないが、上述のように、それらは組み合わせノードにおいて等位相シフトを保つように全て同じ長さにせねばならない。かくして図7の電力結合器80は、図5及び図6の修正された通常の電力結合設計よりも、コスト及び複雑さを相当に低減して実施することができる。
【0032】
図5及び図6に関して上述したように、この好ましいPC実施形態で自然に得られる低出力インピーダンスは、IMNRF入力インピーダンスをCO2レーザー放電とPC出力インピーダンスとの両方に整合させることを容易にする。
【0033】
コスト及びレーザー効率の観点からは、RF電源をレーザー管ハウジングへ直接に取り付けておくことが望ましい。このような装着はレーザーをロボットアームへ直接に装着するために特に望ましい。というのは、度重なる屈曲の下では破断し易いRFセミフレキシブルパワーケーブルを省略できるためである。RF電源をレーザー管ハウジングへ直接に装着することは、図5、図6,及び図7のPC実施例について、電源出力とレーザー放電接続との間の距離が短いことを必要とする(即ち図6及び図7のPCの共通ノードの電気的接続点の間の出力と、電極、光学的共振器のミラー、及びCO:N:Heガス混合体を包含するレーザー包囲体内の電極へのRF接続との間)。電源をレーザー管に装着することの更なる利点は、レーザー管とRF電源との双方の液体冷却がより少ないコストでより容易に促進されて実行されることである。PC出力とレーザー電極との間のこの短いRF接続を実現するための多数の手段がある。
【0034】
図8Aは、ガス混合体、誘導子、電極及び光学的共振器を包含するレーザー管へRF電源を装着する一つの好ましいパッケージング配置の外観を概略的に示す。図8Bは、図5,図6,又は図7の電力結合器の何れかを組み込むRF電源パッケージのより詳細を示す。
これは、500Wレーザーのために好ましい一般的なパッケージングの試みである。図8Aに示すように、電源は、冷却板の片側に搭載された三つのPCB、発振器/駆動回路のための他のPCBの反対側に沿う二つのPCBを有する5枚の出力増幅器印刷回路基板(PCB)を用いる。この6枚目の基板は、図9に示される電力制御及び保護回路サブシステムを包含することもできる。各々の出力増幅器PA基板は、上述のように、指向性カプラーDC及びIMNのみならず、四つのパワートランジスタを有する。
【0035】
上述の発明の実施例において、λ/4テフロン50オーム同軸ケーブルの長さは約20インチ(即ち51cm)であり、;COレーザー管の長さは30cm長である。従って、同軸ケーブルの長さは、各々の印刷回路基板から全ての50オームケーブルの端部を図8Bに示されるIMNボックス内のインピーダンスネットワークへ接続するための共通ノード点へ持っていくのに充分である。使用された好ましいIMN回路は、Pi(Π)構成における二つのキャパシタ/一つの誘導子ネットワークである。他のネットワーク構成、例えばL構成における一つの誘導子/一つのキャパシタネットワークも使用できる。インピーダンス同調調整は、主にキャパシタのボリュームを調節することによってなされる。IMNの出力は、レーザー管ハウジング内の最も近い金属レーザー電極に接続されている。距離「D」で離間されている二本の平行な金属レーザー電極の幅寸法は、レーザー管ハウジング内に垂直に置かれている。平行電極の長さはレーザー管ハウジングの長さに沿って置かれている。反対側のレーザー電極は、電気的接地としての役割を果たすレーザー管ハウジングの金属ハウジングへ接続されている。RF放電を包含するレーザー管の電気接地は、逸れたRF輻射がレーザー管の外側へ逃げることを防ぐ。
【0036】
本発明の図7の実施例は、最も低コストであるが、図5及び図6の試みより平衡保護がより少なく、帯域幅が最も広い。この広い帯域幅特徴は、相当な帯域幅を必要とする用途、例えばアンテナを駆動する交信送信機用途のために注目すべきものである。最適の放電点火RF周波数は、一旦放電が点火されたならば、放電を効率的に操作するために要求される最適RF周波数とは異なることはよく知られている。図7の電力結合器の大きな帯域幅特性は、この異なる周波数特性を取り扱うために魅力的なものとなる。
【0037】
図6の実施例を実施するには図7の実施例よりコストが高くなるが、より良好な平衡保護が提供される。その狭細な帯域幅特性は、最適な点火とCW操作周波数との差異を取り扱うその能力において不利なものとなる。幸いにも、余分な平衡保護は、レーザー放電駆動用途では必要とされない。データは、図7に示される試みが、低インピーダンスCOレーザー放電駆動の意図された用途のための充分な平衡保護よりも多くのものを提供することを示する。
【0038】
図5(即ち、修正されたバイナリPC)の実施例は、数百乃至1キロワットの媒体出力範囲における拡散冷却COスラブレーザーを駆動するために実行するのに最も高価なものである。増大した費用は、その多くが変圧器に関係している。
【0039】
図9は、図7に示される低コストな広帯域幅5方向電力結合器80を用いるRF電源のより完全な図を示す。図9に示すように、固定又は可変の周波数発振器90は、(図2にも示されるように)レーザー放電を駆動するためにRF周波数を設定するために用いられる。
発振器信号は、一連の駆動増幅器92へ与えられて、五つのRF電力増幅器94を駆動するのに充分なレベルへ電力を増大させる。一連の駆動増幅器の出力は、5方向スプリッタ96により、全てが同位相を有する五つの等価な増幅信号へ分割される。このスプリッタ96を実装する当業者には良く知られた多数の方式があるので、単純化のためにスプリッタ96の詳細は与えない。スプリッタ96からの五つの信号は、対応する個々のRF電力増幅器94へ供給される。RF電力増幅器出力の各々は、対応する個別の50オーム同軸ケーブル98へ提供される。全5本のケーブル98は任意の長さを持つが、これらは全て同じ長さにせねばならない。5本のケーブル98の出力は、一つの共通点100に接続している。電力産業で使われる用語に従い、この共通電気接続点100を「ワイヤー−ナッツ」と称する。この共通RF接続点100は、5枚の電力増幅器基板からインピーダンス整合ネットワーク(IMN)まで五本のケーブルから結合RF電力を持ってくるために、図8Bにも概略的に示されている。単純化のために、五本のケーブルは図8Bには図示していない。IMNは図9には図示していない。RF電力センサ102は、当技術分野で公知のように、共通ノード接続点100における電力を監視して、その情報を電力制御及び保護回路サブシステム104へ与えるのに用いることができ、その電力制御及び保護回路サブシステム104も図8A/図8Bの六枚の印刷回路基板のうちの一枚に搭載されている。レーザー管からの出力パワーは検出器で監視され、これも当技術分野では周知である。電力制御及び保護回路サブシステム104は、発振器90から、駆動増幅器92の出力から、方向カプラー(図2に示される)によるRF電力増幅器94の各々から、及び、dc電力を上述のモジュールの各々へ与えるdc電源106から信号を受け取ることもできる。
これは、詳細不明の変化がレーザーの出力パワー又はRF電源の出力パワーで生じた際に、電力制御及び保護回路サブシステム104が較正信号を監視してモジュールへ与えることを可能にする。
【0040】
上述のように、図9はCOレーザーRF電力供給システムの好ましい実施形態における図7の電力結合器を示す。RF増幅器の一つ以上で故障が生じる際に、レーザー放電から起きるRF電力の大きな後方反射のために、保護回路を電力レーザーシステムの停止のために用いてもよいことは当業者には良く知られている。一定レーザー出力パワーを維持して、電力ライン変動又は図9により要約されたシステムを有するRF部品の劣化を補償するために電力制御を用いてもよいことも当業者には良く知られている。
【0041】
図7の電力結合器の入力インピーダンスは、入力ポートの間で起こり得る電力の差異により影響を受けることが理解される。入力インピーダンスは、伝送ライン長によっても影響される。というのは、この差異(非平衡電力)は出力ノードから位相シフトして、入力において現われるようにするためにラインの付加的な長さを通じて戻るためである。ラインの長さは、位相又は大きさの変化を最小にするか、どちらも最大の変化に達しない操作点を設定するように選択してもよい。
【0042】
伝送ライン長の関数としてのこのような変動を図10及び図11に示す。図10及び図11は、図7の5方向電力結合器のコンピュータシミュレーションの結果を示す。プロットは、100MHzにおける結合操作であって、1KWにおける四本の伝送ラインの各々への四つの入力を有し、且つ五本の伝送ラインへの650Wにおける1入力を有する結合操作からのデータを示す。図10は、ライン長(メートルで)が変化すると電源増幅器負荷インピーダンスの大きさの変動を示す。ポート1−4についてのインピーダンスにおけるピークの大きさの変動に対する合計ピーク(即ち、実線曲線)は、ポート5についての38オーム(即ち、点線曲線)と比べると7オームである。この例においては、ポート5は、ポート1−4(即ち各々が1KW)よりも非常に低いパワー(即ち650W)で駆動されて、非平衡は、各ポートが被る有効インピーダンスを変化させる。第5のポートで35%のパワー低減が生じるときに四つのポートが被る入力インピーダンスので、図7の電力結合器は損失を伴わずにこのような非平衡に良く耐えることを意味する。
【0043】
図11は図10についてと同じ周囲環境の下に、ポートが被る位相角度の変化を示す。このプロットにおいて、(+)及び(−)180度は同じ位相角度である。ポート1−4についての合計ピーク対ピ−ク位相変化は、ポート5についての24度(明るい線の曲線)に比べて8度(暗い線の曲線)である。図11により図示された解析は、最小位相差は、1/4波長(100MHzにおいて0.49メートル)及び3/4波長(100MHzにおいて約1.5メートル伝送ライン長)で起こることを示している。最大位相差は1/2波長である。再び、四つのポートで被るこのような小さな位相差は、第5のポートで出力パワーにおける35%低減が生じるとき、図7の電力結合器が損失を伴うことなくこのような非平衡に耐えることを示す。
【0044】
図10及び図11についての同様な結果は、ポート1が1200Wにて245ボルトを出力し、ポート2,4,及び5が1100Wにて234ボルトを出力し、ポート3が1000W出力にて223ボルトを出力する。伝送ライン長の関数としての入力電圧及び電流変動が解析される。この分析は、電力増幅器により発せられた規定の条件下で解析された位相、インピーダンス、電圧及び電流はここでも容認できるものであることを示している。
【0045】
その出力を結合させる電力増幅器は、更なる故障を引き起こすことなく、インピーダンスの変動を許容できるように設計せねばならない。100%よりも低い負荷サイクルにおけるパルスモードでCOレーザーを駆動するのに用いられるRF電源は、一般にこの程度のロバスト性を有する。
【0046】
上述したコンピュータシミュレーションは、図7の電力結合器が、例えば図8及び図9に示されるように、50オームよりも非常に低いインピーダンスを有する中間出力パワー(即ち数百乃至1000W)拡散冷却COスラブレーザーを駆動するRF電源に用いることができる電力増幅器出力の間の非平衡を容認するのに充分に頑強である。図5及び図6に示される電力結合器は優れた非平衡保護を有しているが、そのような保護は図7の実施例のそれよりも高いコストをもたらす。
【0047】
図7の電力結合器は−64dBのトランジスタ増幅器の間のアイソレーションを有し、図6の修正されたウィルキンソン電力結合器はその中心の周波数の−20dB周辺である。この中心周波数は1/4波長伝送ラインの長さにより決定される。トランジスタの間のアイソレーションは中心周波数の両側で迅速に低下する。図7の電力結合器は1/4波長ラインを必要としないので、中心周波数はなく、トランジスタの間のアイソレーションは広い帯域幅に亘って一定にとどまる。トランジスタの間の−6dBアイソレーションは、図6のウィルキンソン結合器の−20dBに比べて小さい。パルスレーザー放電用途の場合、RF電力が所定の低レベルへ落ちるならば、レーザーの作動を停止して、保守をする必要がある。この低レベルはガス圧、前置電離化装置の性能、電極の間の分離、操作温度、ガス混合体における変化等により決定する。一旦にこの低レベルに達するならば、放電を再点火することは困難になるので、他に選択肢はないが、レーザー電源を修理する。図10及び図11に示される解析は、要求されるレーザー放電を駆動する要請を満足する図7の結合器における充分に穏やかな劣化があることを示す。
【0048】
図5、図6及び図7に示される発明は50オーム未満の入力のインピーダンスに限定されるものではないことに再度留意することは重要である。電力増幅器は多くの有益な出力インピーダンスで生産することができ、同軸ケーブル及び変圧器について電力増幅器インピーダンスを整合させる様々な異なるインピーダンスがある。PCサブシステムは、修正されたバイナリ(図5)及びウィルキンソン(図6)結合器のみならず、図7の結合器の利点を採り、数オーム乃至数百オームのインピーダンス、即ちキロワット乃至数十ワット範囲における出力パワーを有するCOレーザーを丁寧に取り扱う。このインピーダンス範囲は多数の手段により適合でき、これは例えば、ポートの数の変更、伝送ラインの特性インピーダンスの変更、昇圧器/降圧比の変更その他である。(図6及び図7についての)同軸ケーブル・インピーダンス及び(図5についての)昇圧比の有効性は、結合器を使用できるインピーダンス範囲限界を設定する。図7の結合器の一般原理は、数ヘルツから短波限界(即ちGHz)へ上げるように操作するシステムに使用することができる。次に広い帯域結合器は図5の実施例である。最も狭い帯域結合器は図6の実施例である。
上記に特定された実施例の幾多の変形例が上述の説明を考慮すれば当業者には自明であることを認識されたい。従って本発明は本明細書に図示及び説明された本発明の特定の実施例及び方法によって限定されるものではない。むしろ、本発明の目的は以下の請求項及びそれらの均等物によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイナリ電力結合器回路であって、
第1の出力増幅器から受け取られる出力と第2の出力増幅器から受け取られる出力とを結合して、第1の変圧器出力を与える第1の変圧器と、
第1の出力増幅器の出力と第2の出力増幅器の出力との間に接続された第1の差分抵抗と、
第3の出力増幅器から受け取られる出力と第4の出力増幅器から受け取られる出力とを結合して、第2の変圧器出力を与える第2の変圧器と、
第3の出力増幅器の出力と第4の出力増幅器の出力との間に接続された第2の差分抵抗と、
第1の変圧器出力と第2の変圧器出力との間に接続された第3の差分抵抗と、
第1の変圧器出力と第2の変圧器出力とを結合して、第3の変圧器出力を直接に負荷へ与える第3の変圧器とを備える回路。
【請求項2】
4方向バイナリ電力結合器回路であって、
第1の出力増幅器の出力から受け取られる50オーム出力インピーダンスと第2の出力増幅器の出力から受け取られる50オーム出力インピーダンスとを結合して、第1の変圧器出力において25オームの第1の変圧器出力インピーダンスを与える第1の1:1変圧器と、
第1の出力増幅器の出力と第2の出力増幅器の出力との間に接続された第1の100オーム差分抵抗と、
第3の出力増幅器の出力から受け取られる50オーム出力インピーダンスと第4の出力増幅器の出力から受け取られる50オーム出力インピーダンスとを結合して、第2の変圧器出力において25オームの第2の変圧器出力インピーダンスを与える第2の1:1変圧器と、
第3の出力増幅器の出力と第4の出力増幅器の出力との間に接続された第2の100オーム差分抵抗と、
第1の変圧器出力と第2の変圧器出力との間に接続された50オーム差分抵抗と、
第3の変圧器であり、25オームの第1の変圧器出力インピーダンスを25オームの第2の変圧器出力インピーダンスへ組み合わせて、第3の変圧器において12.5オーム出力インピーダンスを与え、その第3の変圧器の出力は負荷への直接接続に適合されている第3の変圧器とを備える4方向バイナリ電力結合器。
【請求項3】
請求項2の4方向バイナリ電力結合器において、前記負荷は、レーザーへ出力を与えるインピーダンス整合ネットワークを含む4方向バイナリ電力結合器。
【請求項4】
修正されたウィルキンソン電力結合器であって、
等長及び等特性インピーダンスを有する複数の四分の1波長伝送ラインであり、その各々の伝送ラインは、関連する電力増幅器の出力から出力インピーダンスを受け取るように接続された入力端を有し、各々の伝送ラインは、共通伝送ライン出力接続点へ接続された出力端を更に有する複数の四分の1波長伝送ラインを備え、
各々の伝送ラインについて、差分抵抗が前記伝送ラインの前記入力端と共通差分抵抗接続点との間に接続されており、
前記共通伝送ライン出力接続点は負荷への直接接続に適合されている電力結合器。
【請求項5】
修正された4方向ウィルキンソン電力結合器であって、
等長及び50オーム特性インピーダンスを有する第1、第2、第3、及び第4の四分の一波長同軸伝送ラインを備え、各々の同軸伝送ラインは、入力端及び出力端を有する内側導体と外側導体とを有し、前記内側導体の前記入力端は、関連する電力増幅器の出力から50オーム出力インピーダンスを受け取るように適合されており、前記内側導体の前記出力端は、12.5オーム出力インピーダンスを受け取る共通伝送ライン出力接続点へ接続され、前記外側導体は接地へ接続されており、
各々の同軸伝送ラインについて、50オーム差分抵抗が前記同軸伝送ラインの前記内側導体と共通差分抵抗接続点との間に接続されており、
前記共通伝送ライン出力接続点は負荷への直接接続に適合されている電力結合器。
【請求項6】
請求項5の修正された4方向ウィルキンソン電力結合器であって、前記負荷は、レーザーへ出力インピーダンスを与えるインピーダンス整合ネットワークを含む電力結合器。
【請求項7】
電力結合器であって、
等長及び等特性インピーダンスを有する複数の伝送ラインを備え、その各々の伝送ラインは、関連する電力増幅器の出力から電力増幅器出力インピーダンスを受け取るように接続された入力端と、伝送ライン出力インピーダンスを受け取る共通伝送ライン出力接続点へ接続された出力端とを有し、
前記共通伝送ライン出力接続点は負荷への直接接続に適合されている電力結合器。
【請求項8】
電力結合器であって、
等長及び等特性インピーダンスを有する複数の同軸伝送ラインを備え、その各々の同軸伝送ラインは、関連する電力増幅器から電力増幅器出力インピーダンスを受け取るように適合された入力端と、伝送ライン出力インピーダンスを受け取る共通伝送ライン出力接続点へ接続された出力端とを有し、
前記共通伝送ライン出力接続点は負荷への直接接続に適合されている電力結合器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−521834(P2010−521834A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551659(P2009−551659)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/000908
【国際公開番号】WO2008/105985
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500097197)コヒーレント・インク (13)
【Fターム(参考)】