説明

電力量監視システム

【課題】通信障害等で収集対象の全電力計測ユニットから同一指定時刻の電力量を収集することができない場合がある。
【解決手段】設定周期毎に産業設備の電力量を計測する電力量計測部11及び、同電力量を設定周期毎に記憶するユニット側メモリ部12を備えた電力計測ユニット2と、この電力計測ユニットと通信接続して計測結果として電力量を取得するPC端末3とを有し、PC端末は、電力計測ユニット毎に電力量を取得すると、同電力計測ユニット毎に電力量を記憶するメモリ部25と、記憶中の電力量に基づき、電力計測ユニットの電力量を表示部23に表示させるCPU26とを有し、CPUは、要求コマンドを検出すると、収集対象の各電力計測ユニットと通信接続してユニット側メモリ部に記憶中の同指定時刻の電力量を順次取得し、これら取得した指定時刻の電力量を電力計測ユニット毎にメモリ部25に記憶するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場内の産業設備等の電気設毎に配置され、同電気設備の電力量(電力消費量)を計測する複数の電力計測ユニットと、これら電力計測ユニットと通信接続して各電気設備の電力量を収集する、例えばパソコン等の通信端末とを有し、通信端末のモニタ上で電気設備毎の電力量をモニタ表示する電力量監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような電力量監視システムとしては、一般家庭内の家電機器毎に配置され、同家電機器の電力量を計測する複数のターミナル(電力計測ユニット)と、これらターミナル(電力計測ユニット)と通信接続して各家電機器の電力量を収集する、例えばパソコン等のコントローラとを有し、パソコンのモニタ上で個々の家電機器の現在の電力量や時間毎の電力量の推移等をモニタ表示するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電力量監視システムによれば、家電機器毎に配置されたターミナル(電力計測ユニット)を通じて各家電機器の電力量を収集し、パソコンのモニタ上に家電機器毎の電力量を画面表示するようにしたので、ユーザは、一般家庭内の家電機器の電力量を把握することができる。
【0004】
尚、この特許文献1の電力量監視システムにおいては、一般家庭内の家電機器の電力量を把握するシステムを発明対象としているが、2005年2月に地球温暖化対策のための京都議定書が発効されたことで温室効果ガスの削減目標達成に向けた取り組みが企業側に強く要求され、企業側にとって産業設備の消費電力の削減は重要課題となるため、企業側では、温室効果ガスの削減目標達成の進捗状況を把握するためにも、例えば工場内の産業設備毎に電力量を常時把握できるようにしたシステムが望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−84146号公報(要約書及び図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の電力量監視システムによれば、例えば膨大な電力を消費する工場等の産業設備の電力量を把握するためのシステムを発明対象としているものではないが、ターミナル(電力計測ユニット)毎にリアルタイムに家電機器の電力量を計測し、ターミナル(電力計測ユニット)側はパソコンから要求コマンドを検出すると、同要求コマンドに応じて各家電機器のリアルタイムの電力量をパソコン側に通知するようにしたが、パソコン及びターミナル(電力計測ユニット)間の伝送線にノイズ等の障害が一時的に発生した場合、パソコン側では、要求コマンドに対する家電機器の電力量を取得することができず、例えば1台のターミナル(電力計測ユニット)からの同一指定時刻における家電機器の電力量が取得できなかった場合、全ターミナル(電力計測ユニット)における同一指定時刻での電力量を把握することができないため、殊に膨大な電力量を消費する産業設備の分野においては極めて重要な課題となる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収集対象の全電力計測ユニットにおける同一指定時刻の電力量を通信端末(パソコン)側で確実に収集することができる、産業設備等の電気設備の電力量管理に優れた電力量監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の電力量監視システムは、電電気設備の電力量を計測する電力量計測手段を備えた電力計測ユニットと、この電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットから計測結果として電力量を取得する通信端末とを有し、前記通信端末は、前記電力計測ユニット毎に電力量を取得すると、同電力計測ユニット毎に電力量を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶中の電力量に基づき、前記電力計測ユニットの電力量を表示手段に表示させる制御手段とを有する電力量監視システムであって、前記電力計測ユニットは、前記電力量計測手段にて設定周期毎に同電気設備の電力量を計測すると、この電力量計測手段の電力量を同設定周期毎に順次記憶する電力量記憶手段を有し、前記制御手段は、前記収集対象の各電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットに対して前記設定周期の電力量の取得動作を実行した際に、前記収集対象の電力計測ユニットの内、同電力量が未取得の電力計測ユニットがある場合に、同未取得の電力量の取得動作を行い、この取得動作により取得した電力量を同電力計測ユニット毎に前記記憶手段に記憶するようにした。
【0009】
本発明の電力量監視システムは、前記電力計測ユニット毎の計測結果としての電力量が、同電力計測ユニットを識別する識別符号と、同電力計測ユニットが所属するグループ識別符号とを含み、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶中の前記電力計測ユニットの電力量に基づき、前記グループ識別符号毎に電力量を集計し、同グループ識別符号毎に同集計結果を前記表示手段に表示するようにした。
【0010】
本発明の電力量監視システムは、前記通信端末が、前記電力計測ユニットと通信接続して、同電力計測ユニットの設定周期を設定変更可能にするようにした。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明の電力量監視システムによれば、前記電力量計測手段にて設定周期毎に同産業設備の電力量を計測すると、この電力量計測手段の計測結果としての電力量を同設定周期毎に順次記憶する電力量記憶手段を電力計測ユニット側に備え、通信端末の制御手段は、収集対象の電力計測ユニットに対する指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、前記収集対象の各電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットの電力量記憶手段に記憶中の同指定時刻の電力量を順次取得し、これら取得した指定時刻の電力量を電力計測ユニット毎に前記記憶手段に記憶するようにした、つまり、仮に通信端末及び電力計測ユニット間に一時的な通信障害が発生したとしても、同一指定時刻の電力量は各電力計測ユニット内の電力量記憶手段に記憶されていることから、同電力計測ユニット内の電力量記憶手段に記憶中の同一指定時刻の電力量を通信端末側で収集することができるため、通信端末側で収集対象の全電力計測ユニットの同一指定時刻の電力量を通信端末(パソコン)側で確実に収集することができ、その結果、膨大な電力量を消費する産業設備の電力量管理に大きく寄与することができる。
【0012】
本発明の電力量監視システムによれば、前記指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、前記収集対象の各電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットに対して同指定時刻の電力量の取得動作を実行した後、前記収集対象の電力計測ユニットの内、同電力量が未取得の電力計測ユニットがある場合には、同未取得の電力計測ユニットに対して再度通信接続し、同未取得の電力計測ユニットの電力量記憶手段に記憶中の同指定時刻の電力量を取得し、この取得した指定時刻の電力量を同電力計測ユニット毎に前記記憶手段に記憶するようにしたので、仮に通信端末及び電力計測ユニット間に一時的な通信障害が発生したとしても、再度、通信端末から同電力計測ユニットに通信接続することで、同電力計測ユニット内の電力量記憶手段に記憶中の同一指定時刻の電力量を通信端末側で収集することができるため、通信端末側で収集対象の全電力計測ユニットの同一指定時刻の電力量を通信端末(パソコン)側で確実に収集することができ、その結果、膨大な電力量を消費する産業設備の電力量管理に大きく寄与することができる。
【0013】
本発明の電力量監視システムによれば、前記電力計測ユニット毎の計測結果としての電力量に、同電力計測ユニットを識別する識別符号と、同電力計測ユニットが所属するグループ識別符号とを含み、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶中の前記電力計測ユニットの電力量に基づき、前記グループ識別符号毎に電力量を集計し、同グループ識別符号毎に同集計結果を前記表示手段に表示するようにしたので、通信端末のユーザは、グループ単位での電力量の集計結果を把握することができる。
【0014】
本発明の電力量監視システムによれば、前記通信端末側で前記電力計測ユニットと通信接続して同電力計測ユニットの設定周期を設定変更可能にしたので、通信端末側のユーザは、遠隔操作で電力計測ユニットの設定周期を設定変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電力量監視システムにおける実施の形態を示す産業設備用電力量監視システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に関わるPC端末のメモリ部のテーブル内容を端的に示す説明図である。
【図3】本実施の形態に関わるPC端末の電力量収集処理に関わるCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に関わるPC端末の電力量表示処理に関わるCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態に関わるPC端末の表示部において電力量表示処理に関わる表示内容を端的に示す説明図である。
【図6】本実施の形態に関わるPC端末の表示部において電力計測ユニット単位の表示内容(正常時)を端的に示す説明図である。
【図7】本実施の形態に関わるPC端末の表示部において電力計測ユニット単位の表示内容(目標電力量を超えた時)を端的に示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の電力量監視システムにおける実施の形態を示す産業設備用電力量監視システムについて説明する。図1は本実施の形態を示す産業設備用電力量監視システム内部の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す産業設備用電力量監視システム1は、例えば工場内の産業設備毎に配置され、同産業設備の電力量を設定周期毎に計測する電力計測ユニット2と、産業設備毎に配置された複数の電力計測ユニット2の計測結果である電力量を収集するPC端末3と、電力計測ユニット2及びPC端末3間の通信インタフェースを司る通信変換装置4とを有している。尚、通信変換装置4は、電力計測ユニット2との通信線5A及び、PC端末3との通信線5Bと通信接続すると共に、これら通信線5A及び通信線5Bで通信方式を相互変換するものである。
【0018】
電力計測ユニット2は、産業設備の電力量を設定周期、例えば1時間毎に計測する電力計測部11と、この電力計測部11にて計測した電力量を順次記憶するユニット側メモリ部12と、例えば警報表示等の様々な情報を表示するユニット側表示部13と、例えば警報音等の様々な情報を音響出力するユニット側音響出力部14と、様々な情報、例えば閾値としての目標電力量や設定周期を設定するユニット側設定部15と、通信変換装置4との通信インタフェースを司るユニット側通信インタフェース16と、この電力計測ユニット2全体を制御するユニット側制御部17とを有している。
【0019】
ユニット側制御部17は、設定周期毎に電力計測部11にて電力量を計測し、この計測結果である電力量を設定周期毎にユニット側メモリ部12に順次記憶するものである。尚、ユニット側メモリ部12は、ファーストイン・ラストアウト方式で最大5000個までの電力量を記憶保持するものである。
【0020】
また、電力計測ユニット2は、同電力計測ユニット2を識別するユニット番号と、同電力計測ユニット2の所属するグループ番号とが付与されているものとする。
【0021】
PC端末3は、通信変換装置4との通信インタフェースを司る通信部21と、様々な情報を表示する表示部22と、様々な情報を音響出力する音響出力部23と、様々な設定コマンド等を入力する操作部24と、様々な情報を記憶するメモリ部25と、このPC端末3全体を制御するCPU26とを有し、CPU26は、通信部21の通信制御を司る通信制御部31と、例えば電力計測ユニット2毎に電力量が目標電力量を超えたか否かを判定する閾値判定部32と、このCPU26全体を制御する制御部33とを有している。尚、音響出力部23は、パソコン上の音響出力ドライバを利用して様々な情報を音響出力するものである。
【0022】
CPU26は、操作部24を通じてユニット番号単位で閾値としての目標電力量を設定し、同目標電力量をユニット番号単位でメモリ部25に記憶すると共に、同目標電力量を、通信部21及び通信変換装置4を通じて同ユニット番号の電力計測ユニット2に対して目標電力量を設定変更するものである。
【0023】
CPU26は、操作部24を通じて収集対象の電力計測ユニット2に対する指定時刻の電力量要求コマンドを検出すると、通信部21及び通信変換装置4を通じて収集対象の電力計測ユニット2に順次通信アクセスし、同通信アクセス中の電力計測ユニット2から同指定時刻の電力量を順次取得し、同指定時刻の電力量を同ユニット番号単位でメモリ部25に順次記憶するものである。
【0024】
CPU26は、操作部24を通じて指定時刻の個別電力量一覧表示コマンドを検出すると、メモリ部25に記憶中の同指定時刻の電力量をユニット番号単位で表示部22に表示するものである。
【0025】
さらにCPU26は、閾値判定部32にてユニット番号単位で同指定時刻の電力量が設定中の目標電力量を超えたか否かを判定し、同指定時刻の電力量が設定中の目標電力量を超えたのでなければ、同電力量を通常表示(図5の符号50A参照)するのに対し、電力量が設定中の目標電力量を超えたのであれば、同電力量表示を警告表示(図5の符号50B参照)し、同警告表示と連動して警告音を音響出力部23から音響出力するものである。尚、警告表示は、例えば電力量表示部位を赤色又は黄色に識別表示するものとする。
【0026】
また、電力計測ユニット2の電力量計測タイミングを設定する設定周期は、ユニット側設定部15を通じて設定変更可能であるが、さらに、CPU26は、システム内の電力計測ユニット2と通信接続し、操作部24を通じて電力計測ユニット2の設定周期を設定変更することも可能である。尚、システム内の電力計測ユニット2は、全て同一設定周期であることが望ましい。
【0027】
図2は本実施の形態に関わるPC端末3内のメモリ部25のテーブル内容を端的に示す説明図である。
【0028】
図2に示すメモリ部25は、電力計測ユニット2単位で、同電力計測ユニット2の名称を示すユニット名称25Aと、同電力計測ユニット2を識別するユニット番号25Bと、同電力計測ユニット2の所属するグループを識別するグループ番号25Cと、同電力計測ユニット2の注目度を示す注目度25Dと、同電力計測ユニット2に設定中の閾値を示す目標電力量25Eと、同電力計測ユニット2のグループに設定中の閾値を示すグループ目標電力量25Fと、最新時刻の電力量を示す最新計測値25Gと、最新時刻から1時間前の電力量を示す1時間前計測値25Hと、最新時刻から2時間前の電力量を示す2時間前計測値25I等とを記憶管理するものである。
【0029】
また、メモリ部25には、電力計測ユニット2毎に最新計測値25G、1時間前計測値25H及び2時間前計測値25Iの他に、時刻単位で3時間前〜48時間前の計測値を記憶管理する他に、電力計測ユニット2毎に日単位の累積電力量及び月単位の累積電力量等をも記憶管理しているものとする。
【0030】
また、注目度25Dは、電力計測ユニット2毎に差別化を図るために、例えばA〜Cの3ランクに分類し、C→B→Aの順に注目度が順次高くなるものとする。
【0031】
尚、制御部33は、操作部24を通じてメモリ部25に記憶中のユニット名称25A、ユニット番号25B、グループ番号25C、注目度25D、目標電力量25E及びグループ目標電力量25Fを設定変更可能としている。
【0032】
尚、請求項記載の電力量監視システムは産業設備用電力量監視システム1、電力量計測手段は電力計測部11、電力計測ユニットは電力計測ユニット2、通信端末はPC端末3、記憶手段はメモリ部25、表示手段は表示部22、制御手段はCPU26、電力量記憶手段はユニット側メモリ部12、識別符号はユニット番号25B、グループ識別符号はグループ番号25Cに相当するものである。
【0033】
次に本実施の形態を示す産業設備用電力量監視システム1の動作について説明する。図3は本実施の形態に関わるPC端末3の電力量収集処理に関わるCPU26の処理動作を示すフローチャートである。
【0034】
図3に示す電力量収集処理とは、収集対象の各電力計測ユニット2から指定時刻に関わる電力量をPC端末3側で収集する処理である。
【0035】
図3においてPC端末3のCPU26は、操作部24を通じて各電力計測ユニット2に対する指定時刻の電力量を収集する要求コマンドを検出すると、同指定時刻の電力量収集動作を開始する(ステップS11)。尚、要求コマンドは、操作部24を通じて収集対象の時刻及び電力計測ユニット2を指定して行われるものとする。
【0036】
CPU26の通信制御部31は、電力量収集動作を開始すると、通信部21及び通信変換装置4を通じて、ユニット番号"001"の電力計測ユニット2に対して通信アクセスを実行する(ステップS12)。尚、通信制御部31は、メモリ部25に記憶中のユニット番号25B順序に基づき、電力計測ユニット2への通信アクセスを順次実行するものである。
【0037】
CPU26の制御部33は、現在通信アクセス中の電力計測ユニット2に対してユニット側メモリ部12に記憶中の指定時刻の電力量をタイムアウト時間内に取得したか否かを判定する(ステップS13)。尚、タイムアウト時間は、通信アクセス動作に応じてタイムアウト時間のタイマ動作を開始するものである。
【0038】
制御部33は、ステップS13にて現在通信アクセス中の電力計測ユニット2に対して指定時刻の電力量をタイムアウト時間内に取得すると、同電力量を同電力計測ユニット2のユニット番号25Bに対応付けてメモリ部25に記憶する(ステップS14)。
【0039】
制御部33は、メモリ部25のユニット番号25Bに基づき、現在通信アクセス中の電力計測ユニット2に関わる次のユニット番号25Bの電力計測ユニット2があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0040】
通信制御部31は、次のユニット番号25Bの電力計測ユニット2があると判定されると、次のユニット番号25Bの電力計測ユニット2に対して通信アクセスを実行し(ステップS16)、同通信アクセス中の電力計測ユニット2に対して指定時刻の電力量を取得すべく、ステップS13に移行する。
【0041】
また、制御部33は、ステップS15にて次のユニット番号25Bの電力計測ユニット2がないと判定されると、収集対象の全ての電力計測ユニット2から同指定時刻の電力量の収集動作が完了したか否かを判定する(ステップS17)。
【0042】
制御部33は、収集対象の全ての電力計測ユニット2から電力量収集動作を完了したのであれば、この電力量収集処理の処理動作を終了する。
【0043】
また、制御部33は、ステップS13にて通信アクセス中の電力計測ユニット2から指定時刻の電力量をタイムアウト時間内に取得できなかったのであれば、現在通信アクセス中の電力計測ユニット2に対する電力量の取得動作を中止し、現在通信アクセス中の電力計測ユニット2に関わる次のユニット番号25Bの電力計測ユニット2を検索すべく、ステップS15に移行する。
【0044】
また、通信制御部31は、ステップS17にて収集対象の全ての電力計測ユニット2の同指定時刻の電力量の収集動作が完了したのでなければ、同指定時刻の電力量の未取得の電力計測ユニット2があるものと判断し、同未取得の電力計測ユニット2への通信アクセスを実行する(ステップS18)。尚、未取得の電力計測ユニット18とは、例えばステップS13にてタイムアウト時間内に指定時刻の電力量を取得することができなかった電力計測ユニット2に相当するものである。
【0045】
制御部33は、電力計測ユニット2への通信アクセスを実行すると、この電力計測ユニット2に対してユニット側メモリ12に記憶中の指定時刻の電力量を取得する電力量取得動作を開始し、タイムアウト時間内に同指定時刻の電力量を取得することができたか否かを判定する(ステップS19)。
【0046】
制御部33は、タイムアウト時間内に同指定時刻の電力量を取得することができたのであれば、この電力量を同電力計測ユニット2のユニット番号25Bに対応付けてメモリ部25に記憶することで(ステップS20)、取得対象の全ての電力計測ユニット2の電力量の収集動作が完了したか否かを判定すべく、ステップS17に移行する。
【0047】
また、制御部33は、ステップS19にてタイムアウト時間内に同指定時刻の電力量を取得することができなかった場合にはリトライ動作を実行すべく、ステップS17に移行する。尚、図示せぬが、同リトライ動作を数回実行し、同リトライ回数が所定回数を超える場合には、同電力計測ユニット2への通信異常であると判断して通信異常エラーを表示部22に表示し、電力量表示処理の処理動作を終了するようにしても良い。
【0048】
図3に示す電力量収集処理によれば、電力計測ユニット2内の電力計測部11にて設定周期毎に同産業設備の電力量を計測すると、この電力計測部11の電力量を同設定周期毎に順次記憶するユニット側メモリ部12を電力計測ユニット2側に備え、PC端末3のCPU26は、収集対象の電力計測ユニット2に対する指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、収集対象の各電力計測ユニット2と通信接続して各電力計測ユニット2のユニット側メモリ部12に記憶中の同指定時刻の電力量を順次取得し、これら取得した指定時刻の電力量を電力計測ユニット2毎にメモリ部25に記憶するようにしたので、PC端末3は、収集対象の各電力計測ユニット2から同一指定時刻の電力量を確実に収集することができる。
【0049】
また、図3に示す電力量収集処理によれば、収集対象の電力計測ユニット2に対する指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、収集対象の各電力計測ユニット2と通信接続して各電力計測ユニット2に対して同指定時刻の電力量の収集動作を実行した後、収集対象の電力計測ユニット2の内、同電力量が取得できなかった未取得の電力計測ユニット2がある場合には、同未取得の電力計測ユニット2に対して再度通信接続し、同未取得の電力計測ユニット2のユニット側メモリ部12に記憶中の同指定時刻の電力量を取得し、この取得した指定時刻の電力量を同電力計測ユニット2毎にメモリ部25に記憶するようにしたので、仮にPC端末3及び電力計測ユニット2間に一時的な通信障害が発生したとしてもユニット側メモリ部12に記憶中の同一指定時刻の電力量をPC端末3側で取得することができるため、PC端末3側で取得対象の全電力計測ユニット2の同一指定時刻の電力量をPC端末3側で確実に収集することができる。
【0050】
図4は本実施の形態に関わるPC端末3の電力量表示処理に関わるCPU26の処理動作を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示す電力量表示処理は、PC端末3のメモリ部25に記憶中の電力量に基づいて、電力計測ユニット2毎に指定時刻の電力量を表示し、同電力量が目標電力量を超えた場合には警告表示を表示すると共に、同警告表示と連動して警告音を音響出力する処理である。
【0052】
図4においてCPU26の制御部33は、操作部24を通じて、図5に示す個別電力量一覧表示50を表示する個別電力量一覧表示コマンドを検出すると、表示対象の電力計測ユニット2の指定時刻の電力量及び目標電力量25Eをメモリ部25から読み出し(ステップS31)、同電力量が目標電力量25Eを超えたか否かを判定する(ステップS32)。
【0053】
制御部33は、同電力量が目標電力量25Eを超えたのでなければ、図5に示すように電力量を表示する通常電力表示50Aを表示部22に表示させることで(ステップS33)、同電力計測ユニット2の電力量表示処理に関わる処理動作を終了する。
【0054】
また、制御部33は、ステップS32にて同電力量が目標電力量25Eを超えたのであれば、メモリ部25のメモリ内容を参照して、同電力計測ユニット2に対応する注目度25Dが"A"であるか否かを判定する(ステップS34)。
【0055】
制御部33は、注目度25Dが"A"であると判定されると、注目度"A"に対応する警告表示50Bを表示部22に表示させると共に、同警告表示50Bに連動して同注目度"A"に対応する警告音を音響出力部23から音響出力させることで(ステップS35)、同電力計測ユニット2の電力量表示処理に関わる処理動作を終了する。尚、注目度"A"の警告表示は、例えば電力量表示部位の赤色点灯表示とする。
【0056】
また、制御部33は、ステップS34にて同電力計測ユニット2に対応する注目度25Dが"A"でないと判定されると、同電力計測ユニット2に対応する注目度25Dが"B"であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0057】
制御部33は、注目度25Dが"B"であると判定されると、注目度"B"に対応する警告表示50Bを表示部22に表示させると共に、同警告表示に連動して同注目度"B"に対応する警告音を音響出力部23から音響出力させることで(ステップS37)、同電力計測ユニット2の電力量表示処理に関わる処理動作を終了する。尚、注目度"B"の警告表示は、例えば電力量表示部位の赤色点滅表示とする。
【0058】
制御部33は、ステップS36にて電力計測ユニット2に対応する注目度が"B"でないと判定されると、同電力計測ユニット2に対応する注目度が"C"であると判断し、注目度"C"に対応する警告表示50Bを表示部22に表示させると共に、同警告表示に連動して同注目度"C"に対応する警告音を音響出力部23から音響出力させることで(ステップS38)、同電力計測ユニット2の電力量表示処理に関わる処理動作を終了する。尚、注目度"C"の警告表示は、例えば電力量表示部位の黄色点灯表示とする。
【0059】
尚、電力量表示処理においては、個別電力量一覧表示50において電力計測ユニット2(ユニット番号)毎に指定時刻の電力量が目標電力量を超えたか否かを順次判定し、同判定結果に対応した表示をユニット番号毎に順次実行するものである。
【0060】
図4に示す電力量表示処理によれば、閾値判定部32にて電力計測ユニット2の電力量が目標電力量25Eを超えたと判定されると、同電力計測ユニット2の注目度25Dに対応する警告表示50Bを表示部22に表示させると共に、同警告表示に連動して同注目度25Dに対応する警告音を音響出力部23に音響出力させるようにしたので、ユーザは、電力量が目標電力量を超えた電力計測ユニット2を視覚的及び聴覚的に認識することができると共に、例えば警告表示の色や表示形態、警告音の音色で、電力量が目標電力量を超えた電力計測ユニット2の設置箇所の注目度を認識することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、電力計測ユニット2内の電力計測部11にて設定周期毎に産業設備の電力量を計測すると、この電力計測部11の電力量を同設定周期毎に順次記憶するユニット側メモリ部12を電力計測ユニット2側に備え、PC端末3のCPU26は、指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、収集対象の各電力計測ユニット2と通信接続して各電力計測ユニット2のユニット側メモリ部12に記憶中の同指定時刻の電力量を順次取得し、これら取得した指定時刻の電力量を電力計測ユニット2毎にメモリ部25に記憶すると共に、収集対象の各電力計測ユニット2と通信接続して各電力計測ユニット2に対して同指定時刻の電力量の取得動作を実行した後、前記収集対象の電力計測ユニット2の内、同電力量が取得できなかった未取得の電力計測ユニット2がある場合には、同未取得の電力計測ユニット2に対して再度通信接続し、同未取得の電力計測ユニット2のユニット側メモリ部12に記憶中の同指定時刻の電力量を取得し、この取得した指定時刻の電力量を同電力計測ユニット2毎にメモリ部25に記憶するようにしたので、仮にPC端末3及び電力計測ユニット2間に一時的な通信障害が発生したとしても、電力計測ユニット2毎にユニット側メモリ部12を備えているからこそ、ユニット側メモリ部12に記憶中の同一指定時刻の電力量をPC端末3側で取得することができるため、PC端末3側で収集対象の全電力計測ユニット2の同一指定時刻の電力量をPC端末3側で確実に収集することができ、その結果、膨大な電力量を消費する産業設備の電力量管理に大きく寄与することができる。
【0062】
尚、上記実施の形態においては、操作部24を通じて個別電力量一覧表示コマンドを検出すると、メモリ部25に記憶中の同指定時刻の電力量を図5に示すようにユニット番号単位で表示部22に表示するようにしたが、例えば日報電力量表示コマンドを検出すると、指定対象の電力計測ユニット2の指定日の電力量を時間単位で示す日報電力量表示60を図6及び図7に示すように表示部22に表示するようにしても良く、図6に示す日報電力量表示60は、表示対象の電力計測ユニット2を識別するユニット番号60Aと、目標電力値60Bと、0時〜23時までの棒グラフ状の電力量60Cとを有し、ユーザは、図6においてユニット番号"001"の電力計測ユニット2が0〜18時まで電力量の推移を認識することができると共に、0時から現在の18時までの電力量が目標電力値以下であることも認識することができる。
【0063】
また、図7に示す日報電力量表示60おいては、ユニット番号"002"の電力計測ユニット2における0〜16時までの電力量を表示し、現在の16時の電力量が目標電力量を超えているため、ユニット番号60Aの表示部位を赤色点灯表示している状態を示し、ユーザは、0〜16時までの電力量の推移を認識することができると共に、現在の16時の電力量が目標電力量を超えたことを認識することができる。さらに、ユニット番号60Aの表示部位の赤色点灯状態及び警告音の音響出力に基づき、目標電力量を超えた電力計測ユニット2の注目度が"B"であると認識することができる。
【0064】
また、上記実施の形態においては、操作部24を通じて個別電力量一覧表示コマンドを検出すると、メモリ部25に記憶中の同指定時刻の電力量を、図5に示すようにユニット番号単位で表示部22に表示する実施の形態について説明したが、操作部24を通じて指定時刻のグループ電力量一覧表示コマンドを検出すると、メモリ部25に記憶中の同指定時刻の電力量をグループ単位で集計し、同グループ単位の集計結果をグループ番号単位で表示部22に表示するようにしても良く、この場合、閾値判定部32にてグループ番号単位で同指定時刻の集計結果が設定中のグループ目標電力量25Fを超えたか否かを判定し、集計結果が設定中のグループ目標電力量25Fを超えたのでなければ、同集計結果を通常表示するのに対し、同集計結果が設定中のグループ目標電力量25Fを超えたのであれば、同集計結果の他に警告表示を表示し、同警告表示と連動して警告音を音響出力部23から音響出力するようにしても良く、この場合、ユーザは、グループ単位の電力量がグループ目標電力量25Fを超えたグループを視覚的な警告表示の他に、警告音でも聴覚的に認識することができ、その結果、グループ単位で電力量の上昇に対して迅速に対応することができる。
【0065】
また、グループ番号毎に注目度を設定記憶しておくことで、グループ電力量一覧表示において、グループ番号単位で指定時刻の集計結果がグループ目標電力量を超えた場合、同グループの注目度に対応する警報表示を表示部22に表示させると共に、同警告表示に連動して同注目度に対応する警告音を音響出力部23に音響出力させるようにしても良く、この場合、ユーザは、グループ単位の電力量の集計結果がグループ目標電力量25Fを超えたグループを視覚的及び聴覚的に認識することができると共に、例えば警告表示の色や表示形態、警告音の音色で、電力量がグループ目標電力量を超えたグループの注目度を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の電力量監視システムによれば、電力量計測手段にて設定周期毎に産業設備の電力量を計測すると、この電力量計測手段の計測結果としての電力量を同設定周期毎に順次記憶する電力量記憶手段を電力計測ユニット側に備え、通信端末の制御手段は、収集対象の電力計測ユニットに対する指定時刻の電力量の要求コマンドを検出すると、前記収集対象の各電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットの電力量記憶手段に記憶中の同指定時刻の電力量を順次取得し、これら取得した指定時刻の電力量を電力計測ユニット毎に前記記憶手段に記憶するようにした、つまり、仮に通信端末及び電力計測ユニット間に一時的な通信障害が発生したとしても、同一指定時刻の電力量は各電力計測ユニット内の電力量記憶手段に記憶されていることから、同電力計測ユニット内の電力量記憶手段に記憶中の同一指定時刻の電力量を通信端末側で収集することができるため、通信端末側で収集対象の全電力計測ユニットの同一指定時刻の電力量を通信端末(パソコン)側で確実に収集することができ、膨大な電力量を消費する産業設備等の電気設備の電力量管理に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 産業設備用電力量監視システム(電力量監視システム)
2 電力計測ユニット
3 PC端末(通信端末)
11 電力計測部(電力量計測手段)
12 ユニット側メモリ部(電力量記憶手段)
22 表示部(表示手段)
25 メモリ部(記憶手段)
26 CPU(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電電気設備の電力量を計測する電力量計測手段を備えた電力計測ユニットと、この電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットから計測結果として電力量を取得する通信端末とを有し、前記通信端末は、前記電力計測ユニット毎に電力量を取得すると、同電力計測ユニット毎に電力量を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶中の電力量に基づき、前記電力計測ユニットの電力量を表示手段に表示させる制御手段とを有する電力量監視システムであって、
前記電力計測ユニットは、前記電力量計測手段にて設定周期毎に同電気設備の電力量を計測すると、この電力量計測手段の電力量を同設定周期毎に順次記憶する電力量記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記収集対象の各電力計測ユニットと通信接続して各電力計測ユニットに対して前記設定周期の電力量の取得動作を実行した際に、前記収集対象の電力計測ユニットの内、同電力量が未取得の電力計測ユニットがある場合に、同未取得の電力量の取得動作を行い、この取得動作により取得した電力量を同電力計測ユニット毎に前記記憶手段に記憶するように構成されている、ことを特徴とする電力量監視システム。
【請求項2】
前記電力計測ユニット毎の計測結果としての電力量は、
同電力計測ユニットを識別する識別符号と、同電力計測ユニットが所属するグループ識別符号とを含み、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶中の前記電力計測ユニットの電力量に基づき、前記グループ識別符号毎に電力量を集計し、同グループ識別符号毎に同集計結果を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の電力量監視システム。
【請求項3】
前記通信端末は、
前記電力計測ユニットと通信接続して、同電力計測ユニットの設定周期を設定変更可能にすることを特徴とする請求項1又は2記載の電力量監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−154045(P2011−154045A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103086(P2011−103086)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2005−287688(P2005−287688)の分割
【原出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】