説明

電動土木作業機械のアース装置

【課題】この発明は、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械において、簡易な構造で過酷な振動にも耐えうるアース構造を得ることを課題とするものである。
【解決手段】この発明の電動土木作業機械のアース装置は、弾性絶縁素材の電線保護部材4で保護された電線5を複数本束ねてなる電線束6の内部にアース線7を配設し、前記電線束6の外周にアース端子8の接触片82を被せて取り付け、前記接触片82の一端に接続片81を連設し、この接続片81を前記アース線7に接続し、前記アース端子8が取り付けられた電線束6を電動機のケーシングと導通した内壁を備えた電線挿入口21に嵌挿し、前記電線束6の外周と電線挿入口21の内壁とで前記アース端子8の接触片82を挟み込むようにして構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械のアース構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械はアース構造を備えていないものが多い。
【0003】
より安全性を高めるため、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械にもアース構造を設けておくことが好ましいが、従来のコンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械には組立性、耐振性に優れたアース構造を備えたものが存在しない。
【0004】
一般的なアース構造としては、例えば、特開2001−245462号公報に示されたアース構造のように、電動機のケーシングにアース線をネジ固定により取り付けることが考えられる。
しかしながら、この方法によれば、アースを取り付けるための大幅な構造上の変更を余儀なくされ、小型化、軽量化、取扱容易性の観点からは好ましくない。
また、電動土木作業機械は振動を伴うことが多く、アースの接続をネジ固定とした場合にはネジの緩みが発生して接続不良が生じるおそれがある。これを防止するためにネジ緩み防止剤を使用したり、ネジ固定ではなくアース線を直接溶着することも考えられるが、ネジ緩み防止剤は導電性に劣るためアース接続には適さず、溶着は接続作業に手間がかかる。
【特許文献1】特開2001−245462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械において、簡易な構造で過酷な振動にも耐えうるアース構造を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の電動土木作業機械のアース装置は、弾性絶縁素材の電線保護部材で保護された電線を複数本束ねてなる電線束の内部にアース線を配設し、前記電線束の外周にアース端子の接触片を被せて取り付け、前記接触片の一端に接続片を連設し、この接続片を前記アース線に接続し、前記アース端子が取り付けられた電線束を電動機のケーシングと導通した内壁を備えた電線挿入口に嵌挿し、前記電線束外周と電線挿入口内壁とで前記アース端子の接触片を挟み込むようにして構成されている。
電線保護部材は、弾性樹脂などで被覆されている電線を更に保護するための部材だけでなく、銅線など裸の電線を直接保護する部材も含む概念である。
アース線には銅線などの電線(絶縁体で被覆されていてもいなくともよい)を用い、電線保護部材で保護された複数の電線を束ねた電線束の内部に配設してあればよく、電線束を構成する複数の電線保護部材の間に介在させて配設することが考えられる。
アース端子は、接触片が電線束の外周に被せることのできる形状で、これに接続片が連設され電線束内部でアース線に接続されていればよい。前記接触片は帯状の金属片を環状に形成したものが好ましいが、線材を使用することもできる。また、電線束に嵌ればよいのであって、電線束の外周2/3程度を覆うものでもよい。
電線挿入口は、電動土木作業機械に電力を供給するための電線を挿入するための孔であって、モーターなどの電動機のケーシングと電気的に接続された内壁を備えていればよく、必ずしも機械のボディ自体に設けられている必要はない。
【0007】
アース線とアース端子とは電線束内部に形成された空間内で接続されていればよいが、この接続部を保護するために、アース線とアース端子との接続部を複数の電線保護部材で保持することが好ましい(請求項2)。
【0008】
電線挿入口に嵌挿された電線束の電線挿入口開口側にはゴムリングを取り付けてもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、弾性絶縁素材の電線保護部材で保護された複数本の電線を束ねた電線束の内部にアース線を配設し、この電線束の外周に接続片を被せてアース端子が取り付けられた電線束を電動機のケーシングと導通した内壁を備えた電線挿入口に嵌挿し、電線束外周と電線挿入口内壁とでアース端子接触片を挟み込んであるので、確実にアース端子と電線挿入口内壁とを接触させることができる。すなわち、電線束を構成する電線保護部材は弾性絶縁素材で構成されているので、電線束外周に被せて取り付けられたアース端子の接触片が電線保護部材の弾性力によって電線挿入口内壁側に押圧され、アース端子と電線挿入口内壁とを確実に接触させることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、電線束内部で接続されているアース線とアース端子との接続部は、複数の電線保護部材で保持されているので、接続部は弾性絶縁素材で構成された電線保護部材で保護され、電動土木作業機械の振動などに対する耐久性を向上させることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、電線挿入口に嵌挿された電線束の電線挿入口開口側にはゴムリングを取り付けてあるので、アース線が後方(電源側)へ引っ張られた場合にアース端子接触片の後方への移動がゴムリングで規制され、アース端子接触片と電線挿入口内壁との接触状態が解除されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はこの発明のアース構造を備えたコンクリートバイブレータの概要を示す縦断面図である。
コンクリートバイブレータ本体1はホース継手2を介してホース3と接続されている。ホース3の内部には、ゴムなどの弾性絶縁素材からなる電線保護部材4で保護された電力供給用の電線5が、3本束ねられた電線束6の状態で配設されている。
図2を参照してこの電線束6を説明すると、電線保護部材4は断面略扇形に形成されており、その中心付近には電線5を通すための孔が形成され、この孔には電線5が挿通されている。電線5が挿通された3つの電線保護部材4は同心円状に配設して束ねられ、電線束6を構成している。
電線束6の中心付近に形成された空洞にアース線7が配設され、このアース線7の先端にはアース端子8が接続されている。
【0013】
アース端子8は帯状の弾性電導素材を屈曲させて構成されており、電線束の外周に嵌る接触片82と、この接触片82に連設され隣接する電線保護部材4の間を通って電線束6内部へ延設されたアース線接続片81とを備えている。アース線接続片81の内側にはアース線7が接続されている。このアース線接続部81は、アース線7と接続された状態で周囲の電線保持部材4で弾性的に保持されており、振動などによる断線が防止されている。
アース端子8の接触片82は、電線束6の外周に被せて電線束6に取り付けられている。
【0014】
アース端子8が取り付けられた電線束6は、ホース継手2の電線挿入口21に嵌挿されている。そして、電線挿入口21の内壁はバイブレータ本体に内蔵されたモーター充電部のケーシングと導通されている。
電線保護部材4で保護された複数本の電線5を束ねて構成した電線束6の径は電線挿入口21の内径と同じ径かやや大きな径としてあるが、電線挿入口21の開口部近傍を開口側の径が拡がるようなテーパー状に形成することで、電線束6を電線挿入口21に挿入し易いようにしてある。
嵌挿された電線束6は、嵌挿状態において、電線保護部材4の弾性力が電線束6の外周方向に働いているので、アース端子8の接触片82は電線挿入口21の内壁方向に押圧され、接触片82が電線束6の外周と電線挿入口21の内壁とで挟まれる。
【0015】
前記電線挿入口21に嵌挿された電線束6の電線挿入口開口側にはゴムリング9が取り付けられている。コンクリートバイブレータ本体1とホース3との接続部には取扱時にテンションがかかりやすく、アース線7が後方(電源側)へ引っ張られやすいが、ゴムリング9を取り付けることでアース端子8の後方への移動を規制し、アース端子の接触片82と電線挿入口21内壁との接触状態が保たれるようにしてある。
【0016】
図中符号10は、ホース継手2とホース3とを接続するとともに電線挿入口21への電線束6の嵌挿状態を保つためのホースアダプターである。このホースアダプター10によって電線挿入口21からの電線束6の抜けが防止される。
【0017】
上記構成により、アース端子8の接触片82は帯状であって電線束6の外周に被せて取り付けてあるので、電線挿入口21の内壁との接触面を広くとることができ、また、接触片82は電線保護部材4によって押圧されているので、安定した接触状態を保つことができる。
また、アース線7とアース端子8との接続部は電線束内部で複数の電線保護部材4によって保護されているので、振動などによる断線のおそれもない。
さらには、電線挿入口21に嵌挿された電線束6の電線挿入口開口側に取り付けられたゴムリング9によってアース端子8が後方へ移動することを防止でき、アース端子接触片82と電線挿入口21内壁との接触状態を保ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明は、コンクリートバイブレータなどの電動土木作業機械のアース構造に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明のアース装置を備えたコンクリートバイブレータの概要を示す縦断面図
【図2】同じくアース装置部分の横断面図
【図3】同じくアース端子とゴムリングが取り付けられた電線束を示す図
【符号の説明】
【0020】
1 コンクリートバイブレータ本体
2 ホース継手
21 電線挿入口
3 ホース
4 電線保護部材
5 電線
6 電線束
7 アース線
8 アース端子
81 接続部
82 接触片
9 ゴムリング
10 ホースアダプター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性絶縁素材の電線保護部材で保護された電線を複数本束ねてなる電線束の内部にアース線が配設され、
前記電線束の外周にアース端子の接触片が被せて取り付けられ、
前記接触片の一端に接続片が連設され、この接続片が前記アース線に接続され、
前記アース端子が取り付けられた電線束を電動機のケーシングと導通した内壁を備えた電線挿入口に嵌挿し、前記電線束外周と電線挿入口内壁とで前記アース端子の接触片を挟み込むようにしたことを特徴とする電動土木作業機械のアース装置。
【請求項2】
アース線とアース端子との接続部は、複数の電線保護部材で保持された請求項1記載のアース装置。
【請求項3】
電線挿入口に嵌挿された電線束の電線挿入口開口側にはゴムリングが取り付けられた、請求項1又は2記載のアース装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−213395(P2010−213395A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54492(P2009−54492)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(391040397)エクセン株式会社 (22)
【Fターム(参考)】