説明

電動圧縮機

【課題】振動及び騒音が外部に伝達し難い電動圧縮機を提供する。
【解決手段】電動圧縮機1は、ハウジング7と、ハウジング7内に設けられ、ハウジング7の外部から冷媒を吸入し、圧縮してハウジング7の外部に吐出する圧縮機構3と、ハウジング7内に設けられ、圧縮機構3を作動させるモータ機構5とを備える。ハウジング7は、圧縮機構3及びモータ機構5を内部に固定する第1ハウジング10と、外部への取付部29が形成された第2ハウジング21、22とを有する。第1ハウジング10と第2ハウジング20との間には、防振材31、32が設けられている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の電動圧縮機が開示されている。この電動圧縮機は、ハウジングと、圧縮機構と、モータ機構とを備えている。ハウジングは、コンプレッサハウジング部材、フロントハウジング部材及びリアハウジング部材を有している。コンプレッサハウジング部材は、圧縮機構を内部に固定している。リアハウジング部材は、モータ機構を内部に固定している。
【0003】
フロントハウジング部材には、吸入口が形成されている。リアハウジング部材には、吐出口が形成されている。また、リアハウジング部材等には、外部への取付部が形成されている。圧縮機構は、ハウジングの外部から冷媒を吸入し、圧縮してハウジングの外部に吐出するものである。モータ機構は、圧縮機構を作動させるものである。
【0004】
吸入口及び吐出口はそれぞれ、配管コネクタを介して配管と接続される。吸入口の周縁と配管コネクタとの間には、防振材が介在している。また、吐出口の周縁と配管コネクタとの間にも、防振材が介在している。
【0005】
この電動圧縮機は、防振材により、圧縮機構及びモータ機構からの振動及び騒音が配管を介して外部に伝達することを抑制可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−221969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の電動圧縮機では、圧縮機構及びモータ機構からの振動及び騒音が取付部を介して外部に伝達されてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、振動及び騒音が外部に伝達し難い電動圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電動圧縮機は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの外部から冷媒を吸入し、圧縮して前記ハウジングの外部に吐出する圧縮機構と、前記ハウジング内に設けられ、前記圧縮機構を作動させるモータ機構とを備えた電動圧縮機において、
前記ハウジングは、前記圧縮機構及び前記モータ機構を内部に固定する第1ハウジングと、外部への取付部が形成された第2ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間には、防振材が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の電動圧縮機では、第1ハウジングの内部に圧縮機構及びモータ機構が固定されている。また、第2ハウジングに外部への取付部が形成されている。そして、第1ハウジングと第2ハウジングとの間には、防振材が設けられている。この防振材により、この電動圧縮機は、圧縮機構及びモータ機構からの振動及び騒音が第1ハウジングから第2ハウジングに伝達することを抑制でき、ひいては、第2ハウジングの取付部から外部に振動及び騒音が伝達することを抑制できる。
【0011】
したがって、本発明の電動圧縮機は、振動及び騒音が外部に伝達し難い。
【0012】
また、この電動圧縮機は、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に防振材を設けたので、圧縮機構及びモータ機構の内部、圧縮機構及びモータ機構の第1ハウジングに対する固定構造、及び第2ハウジングに形成された外部への取付部に防振性を持たせる必要がなく、それらの構造を簡素化できる。
【0013】
第2ハウジングには、圧縮機構に冷媒が吸入される吸入口及び圧縮機構から冷媒が吐出される吐出口が形成されていることが好ましい(請求項2)。この場合、この電動圧縮機は、第2ハウジングに吸入口及び吐出口が形成されているので、防振材により、圧縮機構及びモータ機構からの振動及び騒音が第1ハウジングから、第2ハウジングに形成された吸入口及び吐出口を介して外部に伝達することを抑制できる。その結果、この電動圧縮機は、振動及び騒音が外部に一層伝達し難い。
【0014】
上記の場合において、吸入口及び吐出口には、それぞれ外部配管が接続されていることが好ましい。そして、吸入口及び/又は吐出口と外部配管との間には、防振材が設けられていることが好ましい(請求項3)。この場合、第2ハウジングと、外部配管との間においても、防振材により、圧縮機構及びモータ機構からの振動及び騒音が伝達し難い。その結果、この電動圧縮機は、振動及び騒音が外部により一層伝達し難い。
【0015】
第1ハウジングは、一方端が開放されてなる開口縁及び/又は他方端が開放されてなる開口縁を有する筒状とされていることが好ましい。また、第2ハウジングは、第1ハウジングの開口縁と対向配置されていることが好ましい(請求項4)。この場合、第1ハウジングを簡素化できるので、製造コストの低廉化を実現できる。また、第1ハウジングの開口縁に第2ハウジングを対向配置させることは容易であるので、組み付け作業の簡素化も実現できる。
【0016】
上記の場合において、圧縮機構は、第1ハウジングの一方端の近傍に固定されていることが好ましい。また、モータ機構は、第1ハウジングの他方端の近傍に固定されていることが好ましい(請求項5)。この場合、圧縮機構及びモータ機構を第1ハウジングの両端近傍に固定しているので、筒状の第1ハウジングの剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の電動圧縮機が適用される空調装置の模式図である。
【図2】実施例の電動圧縮機の模式断面図である。
【図3】変形例の電動圧縮機の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例)
図1に示すように、実施例の電動圧縮機1は、車両に搭載されて車室内の温度調整を行う空調装置に適用されている。この空調装置は、電動圧縮機1と、方向切替弁91と、外気用熱交換器92と、膨張弁93と、車室用熱交換器94とにより構成されている。
【0020】
図2に示すように、電動圧縮機1は、ハウジング7と、ハウジング7内に設けられた圧縮機構3及びモータ機構5とを備えている。ハウジング7の具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0021】
圧縮機構3は、第1ハウジング10の内壁面10Bに固定された固定スクロール3Aと、固定スクロール3Aに対向配置された可動スクロール3Bとで構成されている。固定スクロール3Aと可動スクロール3Bとは噛合して両者間に圧縮室3Cを形成している。第1ハウジング10内には駆動軸5Aが収容されている。駆動軸5Aは、その先端部(図2の紙面右側)が先端側軸受装置5Bに回転可能に支持され、その後端部(図2の紙面左側)が後端側軸受装置5Cに回転可能に支持されている。先端側軸受装置5Bは、第1ハウジング10の内壁面10Bから径内方向に向けてリブ状に凸設された複数(図2においては2本)の軸受保持部10Gに保持されている。図示は省略するが、本実施例の2本の軸受保持部10Gは、第1ハウジング10の内壁面10Bに対して、図2の紙面手前側及び紙面奥側で離間している。
【0022】
モータ機構5は、圧縮機構3よりも第2ハウジング21側に配置されている。第1ハウジング10の内壁面10Bにはステータ5Dが固定されている。ステータ5Dには、図示しない駆動回路から三相電流が供給されるようになっている。ステータ5Dの内側には駆動軸5Aに固定されたロータ5Eが設けられている。ロータ5Eはステータ5D内でステータ5Dに供給される電流によって回転駆動されるようになっている。駆動軸5A、ステータ5D及びロータ5Eによってモータ機構5が構成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、モータ機構5が回転して圧縮機構3を作動させると、圧縮機構3は、吸入配管95を介してハウジング7の外部から冷媒を吸入し、圧縮する。そして、圧縮機構3は、圧縮した冷媒を吐出配管96を介してハウジング7の外部に吐出する。
【0024】
図1に示すように、方向切替弁91は、吸入配管95及び吐出配管96を介して、電動圧縮機1に接続されている。また、方向切替弁91は、配管97を介して外気用熱交換器92と接続されている。さらに、方向切替弁91は、配管99を介して車室用熱交換器94と接続されている。膨張弁93は、配管98Aを介して外気用熱交換器92と接続されている。また、膨張弁93は、配管98Bを介して車室用熱交換器94と接続されている。
【0025】
車両に搭載された図示しない制御部に制御されて、方向切替弁91が吐出配管96と配管97とを連通させ、吸入配管95と配管99とを連通させると、電動圧縮機1から吐出配管96を介して吐出される冷媒は、図1に示す方向D1に沿って流れる。その一方、方向切替弁91が吐出配管96と配管99とを連通させ、吸入配管95と配管97とを連通させると、電動圧縮機1から吐出配管96を介して吐出される冷媒は、図1に示す方向D2に沿って流れる。
【0026】
外気用熱交換器92、車室用熱交換器94及び膨張弁93は周知の構成であるので、図示及び説明は簡略する。外気用熱交換器92は、外気に対する放熱又は吸熱を行うものである。車室用熱交換器94は、車室内の空気に対する放熱又は吸熱を行うものである。
【0027】
次に電動圧縮機1のハウジング7について詳しく説明する。図2に示すように、ハウジング7は、第1ハウジング10と、第2ハウジング21、22とを有している。第1ハウジング10と第2ハウジング21との間には、防振材31が設けられている。また、第1ハウジング10と第2ハウジング22との間には、防振材32が設けられている。
【0028】
第1ハウジング10は長い筒形状であり、一方端(図2の紙面左側)が開放されてなる開口縁10Fと、他方端(図2の紙面右側)が開放されてなる開口縁10Eとを有している。第2ハウジング21、22はそれぞれ、第1ハウジング10の開口縁10E、10Fと対向配置され、第1ハウジング10を両側から挟むように設けられている。第2ハウジング21は、短い略筒形状とされて、第1ハウジング10側が開放されている一方、第1ハウジング10と反対側が蓋部21Aにより塞がれている。第2ハウジング22も、第2ハウジング21と同様、短い略筒形状とされて、第1ハウジング10側が開放されている一方、第1ハウジング10と反対側が蓋部22Aにより塞がれている。
【0029】
第1ハウジング10及び第2ハウジング21、22は、圧縮機構3及びモータ機構5から発生する振動及び熱や、高温高圧となる冷媒等に対する耐久性を確保するため、鉄材やアルミ材等の金属材料製とすることが好ましい。
【0030】
防振材31、32は、防振性を有する材料、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂、繊維強化樹脂等からなる。本実施例では、防振材31、32は、繊維強化樹脂製であり、環形状とされている。
【0031】
防振材31は、第1ハウジング10の開口縁10Eと、第2ハウジング21の開口縁21Eとの間に設けられている。防振材31は、開口縁10Eと開口縁21Eとを封止しつつ、第1ハウジング10と第2ハウジング21とを接合している。防振材32は、第1ハウジング10の開口縁10Fと、第2ハウジング22の開口縁22Fとの間に設けられている。防振材32も、開口縁10Fと開口縁22Fとを封止しつつ、第1ハウジング10と第2ハウジング22とを接合している。
【0032】
第1ハウジング10及び第2ハウジング21、22の内部には、圧縮機構3及びモータ機構5を密閉状態で収容する密閉空間10Aが区画されている。密閉空間10A内において、圧縮機構3は第1ハウジング10の一方端である開口縁10Fの近傍に固定され、モータ機構5は第1ハウジングの他方端である開口縁10Eの近傍に固定されている。
【0033】
圧縮機構3及びモータ機構5は、焼き嵌め、圧入、ボルト締結と言った周知の固定構造で第1ハウジング10の内壁面10Bに固定されている。このような固定構造は、高い剛性で圧縮機構3及びモータ機構5を固定する半面、圧縮機構3及びモータ機構5の振動及び騒音を減衰し難くなっている。その結果、圧縮機構3及びモータ機構5の振動及び騒音は、第1ハウジング10に伝達され易くなっている。
【0034】
第2ハウジング21の蓋部21Aには、吸入口15が貫設されている。そして、吸入口15には、防振材33を介して、外部配管としての吸入部材50が固定されている。密閉空間10A内において、吸入口15と圧縮機構3との間には、図示しない冷媒供給経路が設けられている。
【0035】
第1ハウジング10と第2ハウジング22との間には、吐出室3Dが区画形成されている。第2ハウジング22の蓋部22Aには、吐出口16が貫設されている。そして、吐出口16には、防振材33を介して、外部配管としての吐出部材60が固定されている。
【0036】
防振材33は、防振材31、32と同様に、防振性を有する材料、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂、繊維強化樹脂等からなる。本実施例では、防振材33は、繊維強化樹脂製の肉厚の筒状体である。
【0037】
第2ハウジング21、22の外壁面21C、22Cにはそれぞれ、径外方向にブロック状に突出する外部への取付部29が形成されている。取付部29には、第1ハウジング10の長手方向と平行な貫通穴29Aが貫設されている。取付部29が取り付けられる車両のフレームやエンジン等の対象物9には、取付部29と係合する複数の係合部8が凸設されている。取付部29が係合部8と係合した状態でボルト9Aが螺入されることにより、電動圧縮機1が対象物9に固定される。取付部29、係合部8及びボルト9Aによる締結構造は、高い剛性で第2ハウジング21、22を対象物9に固定する半面、第2ハウジング21、22から対象物9に伝達される振動及び騒音を減衰し難くなっている。
【0038】
このような構成である実施例の電動圧縮機1が適用された空調装置は、以下のように、車室内の温度調整を行う。
【0039】
図1に示すように、車室内の冷房を行う場合、方向切替弁91は、吐出配管96と配管97とを連通させ、吸入配管95と配管99とを連通させる。そうすると、圧縮機構3により圧縮されて高温高圧となった冷媒は、方向D1に沿って流れて、外気用熱交換器92において外気に対して放熱して液化する。そして、冷媒は、膨張弁93において圧力が下げられる。その後、冷媒は、車室用熱交換器94において車室内の空気に対して吸熱して蒸発する。その結果、車室内の空気が冷却される。そして、冷媒は、配管99、方向切替弁91及び吸入配管95を介して、電動圧縮機1に戻される。
【0040】
その一方、車室内の暖房を行う場合、方向切替弁91は、吐出配管96と配管99とを連通させ、吸入配管95と配管97とを連通させる。そうすると、圧縮機構3により圧縮されて高温高圧となった冷媒は、方向D2に沿って流れて、車室用熱交換器94において車室内の空気に対して放熱して液化する。その結果、車室内の空気が加熱される。その後、冷媒は、膨張弁93において圧力が下げられる。そして、冷媒は、車外気用熱交換器92において外気に対して吸熱して蒸発する。その後、冷媒は、配管97、方向切替弁91及び吸入配管95を介して、電動圧縮機1に戻される。
【0041】
ここで、実施例の電動圧縮機1において、圧縮機構3及びモータ機構5は、第1ハウジング10に対して高い剛性で固定されている。また、取付部29、係合部8及びボルト9Aは、第2ハウジング21、22を対象物9に対して高い剛性で固定している。このため、仮に、第1ハウジング10と第2ハウジング21、22との間で振動及び騒音の伝達を抑制することができない場合、圧縮機構3及びモータ機構5からの振動及び騒音が第1ハウジング10及び第2ハウジング21、22を介して、対象物9まであまり減衰することなく伝達され、ひいては車室内環境の快適性が阻害され易くなる。
【0042】
この点、実施例の電動圧縮機1では、第1ハウジング10と第2ハウジング21との間には防振材31が、第1ハウジング10と第2ハウジング22との間には防振材32がそれぞれ設けられている。この防振材31、32により、この電動圧縮機1は、圧縮機構3及びモータ機構5からの振動及び騒音が第1ハウジング10から第2ハウジング21、22に伝達することを抑制でき、ひいては、第2ハウジング21、22の取付部29から対象部9に振動及び騒音が伝達することを抑制できる。
【0043】
したがって、実施例の電動圧縮機1は、振動及び騒音が外部に伝達し難い。
【0044】
また、この電動圧縮機1は、第1ハウジング10と第2ハウジング21との間には防振材31を、第1ハウジング10と第2ハウジング22との間には防振材32をそれぞれ設けたので、圧縮機構3及びモータ機構5の内部、圧縮機構3及びモータ機構5の第1ハウジング10に対する固定構造、及び第2ハウジング21、22に形成された外部への取付部29に防振性を持たせる必要がなく、それらの構造を簡素化できる。
【0045】
さらに、吸入口15及び吐出口16は、第1ハウジング10ではなく、第2ハウジング21、22にそれぞれ形成されている。このため、この電動圧縮機1は、防振材31、32により、圧縮機構3及びモータ機構5からの振動及び騒音が第1ハウジング10から、第2ハウジング21、22の吸入口15及び吐出口16を介して外部に伝達することを抑制できる。その結果、この電動圧縮機1は、振動及び騒音が外部に一層伝達し難い。
【0046】
また、吸入口15と吸入部材50との間、及び吐出口16と吐出部材60との間にも、防振材33が設けられている。このため、第2ハウジング21、22と、吸入部材50及び吐出部材60との間においても、防振材33により、圧縮機構3及びモータ機構5からの振動及び騒音が伝達し難い。その結果、この電動圧縮機1は、振動及び騒音が外部により一層伝達し難い。
【0047】
さらに、第1ハウジングは、一方端が開放されてなる開口縁10F及び他方端が開放されてなる開口縁10Eを有する筒状とされている。そして、第2ハウジング21は、開口縁10Eと対向配置され、第2ハウジング22は、開口縁10Fと対向配置されている。この構成により、第1ハウジング10を簡素化できるので、製造コストの低廉化を実現できる。また、第1ハウジング10の開口縁10E、10Fに第2ハウジング21、22をそれぞれ対向配置させることは容易であるので、組み付け作業の簡素化も実現できる。
【0048】
また、圧縮機構3は、第1ハウジング10の一方端である開口縁10Fの近傍に固定され、モータ機構5は、第1ハウジング10の他方端である開口縁10Eの近傍に固定されている。この構成により、筒状の第1ハウジング10の剛性を高めることができる。
【0049】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0050】
例えば、第1ハウジング10は両端が開放された筒状に限られず、複数の部材を組み合わせて両端が塞がれた形状としてもよい。また、図3に変形例を示すように、第1ハウジング10は、一方端(図3の紙面左側)のみが開放された形状であってもよい。すなわち、第1ハウジング10の他方端(図3の紙面右側)は、略円盤状の底部10Hにより塞がれている。底部10Hには、開口10Iが貫設され、吸入口15及び開口10Iを介して圧縮機構3に冷媒が吸入される。また、第2ハウジング21は、第1ハウジング10の他方端の縁部10Jに対向配置されている。この場合、他方端が底部10Hにより閉塞されているので、筒状の第1ハウジング10の剛性を高くすることができる。
【0051】
また、取付部29、係合部8及びボルト9Aによる締結構造及び形状は、これに限定されない。電動圧縮機1が第2ハウジング21、22に形成された取付部29によって対象物9に固定できればよい。
【0052】
また、吸入口15と吸入部材50との間、及び吐出口16と吐出部材60との間に防振材33が設けられているが、どちらか一方のみに防振材33を設けてもよいし、防振材33を設けずに吸入口15と吸入部材50と、及び吐出口16と吐出部材60とを直接接続してもよい。
【0053】
また、吸入口15及び/又は吐出口16を第1ハウジング10に設けてもよい。
【0054】
圧縮機構3は、スクロール式に限らず、往復式、ベーン式その他の周知の圧縮方式を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は車両等の空調に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…電動圧縮機
7…ハウジング
3…圧縮機構
5…モータ機構
10…第1ハウジング
29…取付部
21、22…第2ハウジング
31、32、33…防振材
15…吸入口
16…吐出口
50、60…外部配管(50…吸入部材、60…吐出部材)
10E、10F…開口縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの外部から冷媒を吸入し、圧縮して前記ハウジングの外部に吐出する圧縮機構と、前記ハウジング内に設けられ、前記圧縮機構を作動させるモータ機構とを備えた電動圧縮機において、
前記ハウジングは、前記圧縮機構及び前記モータ機構を内部に固定する第1ハウジングと、外部への取付部が形成された第2ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間には、防振材が設けられていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記第2ハウジングには、前記圧縮機構に前記冷媒が吸入される吸入口及び前記圧縮機構から前記冷媒が吐出される吐出口が形成されている請求項1記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記吸入口及び前記吐出口には、それぞれ外部配管が接続され、
前記吸入口及び/又は前記吐出口と前記外部配管との間には、防振材が設けられている請求項2記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記第1ハウジングは、一方端が開放されてなる開口縁及び/又は他方端が開放されてなる開口縁を有する筒状とされ、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの前記開口縁と対向配置されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記圧縮機構は、前記第1ハウジングの前記一方端の近傍に固定され、
前記モータ機構は、前記第1ハウジングの前記他方端の近傍に固定されている請求項4記載の電動圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−211531(P2012−211531A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77020(P2011−77020)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】