電動圧縮機
【課題】電動機と本体ケーシングの隙間の発生や焼嵌め時の冷却のためのタクトの拡大化を防止し、小型・軽量で効率の良い電動圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮部2と、前記圧縮部を駆動する電動機5と、前記圧縮部2と電動機5を内蔵した本体ケーシング1とを備え、圧縮部2と電動機5の固定子とは前記本体ケーシング1の内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため本体ケーシングや固定子および圧縮部に発生する内部応力を緩和する。その結果、本体ケーシングが小型で薄肉になり、電動機や圧縮部の効率を劣化させず信頼性も向上する。
【解決手段】圧縮部2と、前記圧縮部を駆動する電動機5と、前記圧縮部2と電動機5を内蔵した本体ケーシング1とを備え、圧縮部2と電動機5の固定子とは前記本体ケーシング1の内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため本体ケーシングや固定子および圧縮部に発生する内部応力を緩和する。その結果、本体ケーシングが小型で薄肉になり、電動機や圧縮部の効率を劣化させず信頼性も向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両用空気調和装置等の冷媒圧縮機用に用いられる電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動圧縮機はアルミニウム製のシェルに鉄製のモータ固定子を直接焼嵌した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
またモータハウジングを弾性変形させてモータを固定するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。図13は、特許文献2に記載された電動圧縮機におけるステータコアとモータハウジングの固定方法を示すものである。壁に3箇所の膨出部115b、115c、115dを有する非真円のモータハウジング(シェル)115において、前記膨出部115b、115c、115dに外力を加えて締め代部115e,115f,115gを外側に変形させ、前記ステータコア(円柱状電動機固定子)32を挿入後、外力を解除して締め代部115e,115f,115gで固定している。
更には、前記固定子の端面部に固定子およびシェルより熱膨張係数の大きな材料からなる固定部材を径方向に係合すると共に軸方向にはシェルで挟み込んでボルト固定した構造も提案されている。(例えば、特許文献3参照)
図14は特許文献3に記載された従来の電動圧縮機を示すものである。図14に示すように、中空状に形成された圧縮機本体(シェル)101と、圧縮機本体101に吸入された流体を圧縮する圧縮部(図示なし)と、圧縮部を駆動するモータ102と、圧縮機本体101及びモータ102よりも熱膨張係数の高い材質からなり、周方向所定位置にモータ102及び圧縮機本体101の少なくとも一方に係合する係合部を設けた固定部材103を介してモータ102を圧縮機本体101に固定する構造としてある。具体的には圧縮機本体101を101a、102bに分割して前記固定部材103を軸方向から挟み、ボルト104にて固定した構造としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−287585号公報
【特許文献2】特許第4269907号公報
【特許文献3】特開2003−343438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す焼嵌の例ではハウジングを加熱し固定子を挿入、固定した後、ハウジングを冷却する必要があるため、冷却時間をかけたり、強制冷却したりする必要があり、生産効率や設備投資が増大する課題があった。
【0005】
また、特許文献2に示す例では外力変形によって発生する力によりステータコアの積層板が変形してモータの効率が劣化したり、モータハウジング(シェル)が破損したりすることがあり、ハウジングの肉厚を小さく出来にくい課題を有していた。
【0006】
更に、特許文献3の場合には、固定部材103は圧縮機本体101を二分割して挟み込み、ボルトにより締結する必要があるため、締結部が突出すると共に、シール材や複数のボルトが必要になるなどの弊害を有するという課題を有していた。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、圧縮機本体(シェル)の外形拡大やシール
材の必要が無く、かつモータの効率劣化やシェルの厚肉化を防止し、小型・軽量で低コストな電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動圧縮機は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。
【0009】
これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため、本体ケーシングを肉厚化したり、固定子および圧縮部に過大な外力が加わってこれが変形等するのを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電動圧縮機は、本体ケーシングの弾性変形力のみで電動機と圧縮部を本体ケーシングへ固定しているので、焼嵌時の冷却時間の必要性による生産能率減少や設備投資の増大を緩和することが出来る。また、ケーシングの応力を低く抑えることが出来、設計的に肉厚を薄くすることができる為、小型・軽量に出来る。更には、シェルやボルト等の部品点数を増加させることがないなど、低コストの電動圧縮機にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電動圧縮機の軸方向断面図
【図2】本発明の実施の形態1において電動機の固定子を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図3】本発明の実施の形態1における電動機の固定子の本体ケーシングへの固定状態を示す横断面図
【図4】本発明の実施の形態1における電動機の固定子と本体ケーシングの固定状態を示す縦断面図
【図5】本発明の実施の形態1において圧縮部(軸受けホルダー)を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図6】本発明の実施の形態1における圧縮部(軸受けホルダー)の平面図
【図7】本発明の実施の形態1における圧縮部(軸受けホルダー)の本体ケーシングへの固定状態を示す横断面図
【図8】本発明の実施の形態1における電動機と圧縮部(軸受けホルダー)の本体ケーシングへの固定状態を示す縦断面図
【図9】本発明の実施の形態2における電動機の固定子と本体ケーシングの固定状態を示す断面図
【図10】本発明の実施の形態2において圧縮部(軸受けホルダー)を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図11】本発明の実施の形態2における圧縮部(軸受けホルダー)の平面図
【図12】本発明の実施の形態3において電動機の固定子を固定する本体ケーシングの断面図
【図13】従来の電動圧縮機のステータコア(電動機固定子)を固定するモータハウジング(本体ケーシング)の横断面図
【図14】従来の電動圧縮機のモータ(電動機固定子)と圧縮機本体(本体ケーシング)の固定状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため、本体ケーシングや固定子および圧縮部に発生する内部応力を緩和することができ、本体ケーシングを肉厚化したり、固定子および圧縮部に過大な外力が加わってこれが変形等するのを防止することができる。
【0013】
第2の発明は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とを前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分に固定した電動圧縮機であって、前記本体ケーシングの一方の固定断面において外壁側から対向する2つの外力によって当該本体ケーシングを楕円形状に弾性変形させて前記圧縮部または電動機の固定子の一方を挿入し軸方向に位置決め後前記外力を解除して径方向に構成したシメシロ部で固定するとともに、前記圧縮部または電動機の固定子の他方の部品を前記と同様の方法により前記本体ケーシングの他方の断面に固定し、前記一方の断面に作用させる外力の方向に対し他方の断面に作用させる外力の方向が概ね直交する構成としてある。これにより前記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0014】
第3の発明は、前記電動機の固定子の外周に対応する本体ケーシングの内壁には少なくとも前記外力が作用する方向に凹部を形成するとともに、前記固定子が締結される断面の本体ケーシングの内壁には前記外力が作用する方向とは異なる箇所に凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0015】
第4の発明は、前記電動機の固定子の外周に円弧部とDカット形状の凹部を交互に形成し、前記外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲の前記円弧部に対応させて前記本体ケーシングの内壁に凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0016】
第5の発明は、前記電動機の固定子の外周に少なくとも2箇所の円弧部を残し多角形状に凹部を形成するとともに、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲には前記凹部が位置する形態としてある。
【0017】
第6の発明は、圧縮部が固定される断面の本体ケーシングの内壁または圧縮部の外周の少なくとも一方に、外力が作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲において凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0018】
第7の発明は、前記本体ケーシングは前記電動機の固定子より熱膨張係数が大きな金属材料で形成した電動圧縮機としてある。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における電動圧縮機の縦断面図である。図1に示す電動圧縮機は、本体ケーシング1とケーシングカバー1aとで圧縮部2を軸方向に挟み込み固定してある。圧縮部2はスクロール式の構造であり、固定スクロール3に対し、旋回スクロール4は旋回運動を行い、冷媒ガスを外周から中央部に向け圧縮する。前記、旋回スクロール4は電動機5の回転子6に圧入されたシャフト6aにより駆動される。電動機5
の固定子5aと圧縮部2の軸受けホルダー2aは、以下に説明する方法にて前記本体ケーシング1にそれぞれ径方向において位置決め固定される。
【0021】
図2は前記本体ケーシング1の電動機5の前記固定子5aが締結される断面の形状を示す。この本体ケーシング1の内壁はほぼ真円形状14であるが、4箇所に逃げ凹部A7a,7b,7c,7dが形成されている。図2に示すように本体ケーシング1は上下から冶具を介し外壁に外力を作用させると,内壁の真円形状は図中一点鎖線で示すように上下で内壁間距離が短くなり、左右の内壁間距離が拡大した楕円形状15に変形し、斜め45度、135度方向の距離は変化しない。
【0022】
図3は前記本体ケーシング1の内部に前記電動機5の固定子5aが挿入された状態を示す。固定子5aはこの実施例では外周に固定子円弧部9a,9b,9c,9d,9e、9fを等角度で6個所残して、Dカット形状の固定子凹部8a,8b,8c、8d,8e、8fが交互に形成され、1対の固定子凹部8a,8dは前記本体ケーシング1に作用する対向した外力の方向となるよう配置されている。前記本体ケーシング1に形成された4箇所の逃げ凹部7a,7b,7c,7dは、固定子5aを本体ケーシング内壁が楕円状に変形した状態で前述した固定子5aを内部に挿入する際の逃げとなるものである。すなわち、前記固定子5aの前記1対の固定子凹部8a,8dの両端の固定子円弧部9a,9b,9d,9eが本体ケーシング1の内壁と干渉する部分を逃げるために形成されている。
【0023】
以上説明したような形態において、上下から作用している外力を解除すると、本体ハウジング1の内壁は弾性により真円形状に戻ろうとするが、図中左右2点のシメシロ部10a,10bにおいては固定子5aの固定子円弧部の外径寸法を本体ハウジング1の内径寸法に対し0.3〜0.5mmほど大きく設定した為、シメシロ部10a、10bが形成され固定子5aは位置決め固定される。
【0024】
この形態において固定子5aは本体ハウジング1に一応固定されるが、本体ケーシング1のシメシロ部10a、10bが左右2点の為、左右に長軸となる楕円形態が残りながらも固定子5aは本体ケーシング1に位置決め固定される。
【0025】
しかしながら、断面A−Aでは上下方向の物理的規制がない為本体ハウジングがアルミニウム合金の場合、材料強度上、壁内引張り許容応力が鉄より減少することにより本体ハウジングと固定子5aの締結力が圧力、温度上昇により減少しても十分なレベルに設計することが難しくなる。
【0026】
そこで、本発明では図4に示すように、この後同じ本体ケーシング1の固定子5aを固定した断面A−Aの隣の異なる断面B−Bに圧縮部2の軸受けホルダー2aを本体ケーシング1の弾性変形力を使った同様な手法にて位置決め固定している。以下、その構成について説明する。
【0027】
図5は軸受けホルダー2aを本体ケーシング1に位置決め固定するにあたり、本体ケーシング1の軸受けホルダー2aを固定する断面B−Bの外壁に左右から外力を作用させて本体ケーシング1の真円形状14の内壁を左右方向壁間距離が短縮するような楕円形状15に変形させた形態を示している。この場合、本体ケーシング1の内壁には左右に逃げ凹部B11a,11bが形成されており、図6に示すように真円形状で直径が本体ケーシング1の真円部の内径よりシメシロ分大きな軸受けホルダー2aを、外力により楕円状に変形した本体ケーシング1の内部に挿入可能な形状としている。
【0028】
図7は前記軸受けホルダー2aを本体ケーシング1のB−B断面に位置決め固定した状態を示している。この場合、上下の内壁円弧部12a、12bの両端10a、10b、1
0c,10dの4点にてシメシロ部が発生し、本体ケーシング1は上下に長軸楕円形態が残る状態で軸受けホルダー2aを本体ケーシング1に位置決め固定する。
【0029】
図8は本体ケーシング1に電動機5を位置決め固定した後、圧縮部2の軸受けホルダー2aを位置決め固定した状態の縦断面図を示す。このように、対向して作用させる外力の方向を隣の断面に対し概ね直交する方向から作用させる形態にすることにより、同一の本体ケーシング1で固定子5aを固定した隣の断面A−Aにも軸方向連続体として影響を及ぼし、断面B−Bにおいて左右方向に長軸である楕円形状により断面A−Aで単独では上下方向に長軸である楕円形状が十文字形状に変化するような力が作用するため、断面A−Aにおける固定子5aの締結力を増加させる。逆にB−B断面でも同様にA−A断面の変形形状が影響し、単独断面の締め付け力に対し、近接した断面の変形方向の相違による相互作用により強い締結力が得られる形態に変化する。
【0030】
(実施の形態2)
図9〜図11に実施の形態2を示す。図9において、円筒状の固定子5aの外周に設けられた6個の固定子凹部8a,8b,8c,8d,8e,8fのうち本体ハウジング1に作用する上下方向の外力の方向の存在する一対の凹部8a,8dは、外力に対し直交ではなく傾斜して位置決め固定された形態としてある。本体ハウジング1の内壁で固定子が位置決めされる断面A−Aには前記固定子5aにおける固定子円弧部9a,9dに対応した内壁逃げ凹部B7a,7cが形成され、本体ハウジング1の外壁に上下から外力が作用し、内壁が真円形状14から左右に長軸となる楕円形状15に変形しても干渉せず固定子5aを挿入可能としている。この実施例ではシメシロ部は円弧部9b,9c,9d,9fの4箇所に対応した10a,10b,10c,10dとなる。
【0031】
一方、圧縮部2の軸受けホルダー2aが固定される本体ケーシング1の断面B−Bを図10、軸受けホルダー2aの形状を図11に示す。図10において本体ケーシング1の内壁は真円形状とし、図11に示す軸受けホルダー2aの外周の左右には軸受けホルダー凹部13a,13bが形成された形態としている。即ち、本体ケーシング1のB−B断面において左右方向から対向した外力が作用し、本体ハウジング1のB−B断面が真円形状14から一点鎖線で示した上下方向に長軸となる楕円形状15に弾性変形した状態で前記軸受けホルダー2aを挿入した後、本体ケーシング1に作用している左右からの外力を解除すると、シメシロ部10a,10b、10c、10dが形成され位置決め固定される。
【0032】
断面A−Aと断面B−Bの外力の方向は実施例1と同様に概ね直交させた形態として実施例1と同様お互いに軸方向において作用し合い、単独の場合に比べ強い締結力が得られる。
【0033】
(実施の形態3)
図12は実施の形態3を示す。この実施の形態は、円筒状の固定子5aの外周に設けられた6個の固定子凹部9a,9b,9c,9d,9e,9fに加え本体ハウジング1に作用する上下方向の外力の方向に存在する円弧部の存在した場所に、一対の固定子第2凹部16a,16bを新たに形成し,多角形状としてある。この場合、本体ハウジング1のこの断面A−Aの内壁は真円形状14から上下方向の外力により左右方向に長軸となる楕円形状15に弾性変形させ、前述した固定子5aを挿入し、外力を解除して位置決め固定した状態を示す。この形態ではシメシロ部は10a、10b、10c、10dの場所に形成される。
【0034】
この場合にも前述した実施例1,2のように隣接した別断面B−Bにおいて断面A−Aに対し概ね直交させた方向から外力を作用させて軸受けホルダーを位置決め固定することにより同様な効果が得られる。
【0035】
以上、各実施の形態を説明してきたが、近隣の異なる断面に作用する外力の方向に対しその断面に作用する対向した外力が概ね直交していれば効果は同じであることは言うまでもない。
【0036】
更には固定子の外径形状について円弧部を残した等角度配分の正6角形に近い形状の場合で説明したが、少なくとも2箇所の円弧部をシメシロ部として残した不等角度配分形状の擬似多角形形状としても良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本発明にかかる電動圧縮機は、小型・軽量で効率が良く、信頼性に優れた電動機及び圧縮部の本体ケーシングへの固定が可能であり、自動車の空気調和機用電動圧縮機のみならず、小型・軽量が求められるルームエアコンや給湯器用などの家電分野等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 本体ケーシング
2 圧縮部
2a 軸受けホルダー(圧縮部)
5 電動機
5a 固定子
6 回転子
6a シャフト
7a、7b、7c、7d 内壁逃げ凹部A(凹部)
8a、8b、8c、8d、8e、8f 固定子円弧部(円弧部)
9a、9b、9c、9d、9e、9f 固定子凹部(凹部)
10a、10b、10c、10d シメシロ部
11a、11b 内壁逃げ凹部B(凹部)
12a、12b 軸受けホルダー円弧部(円弧部)
13a、13b 軸受けホルダー凹部(凹部)
14 真円形状
15 楕円形状
16a、16b 固定子第2凹部(凹部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両用空気調和装置等の冷媒圧縮機用に用いられる電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動圧縮機はアルミニウム製のシェルに鉄製のモータ固定子を直接焼嵌した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
またモータハウジングを弾性変形させてモータを固定するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。図13は、特許文献2に記載された電動圧縮機におけるステータコアとモータハウジングの固定方法を示すものである。壁に3箇所の膨出部115b、115c、115dを有する非真円のモータハウジング(シェル)115において、前記膨出部115b、115c、115dに外力を加えて締め代部115e,115f,115gを外側に変形させ、前記ステータコア(円柱状電動機固定子)32を挿入後、外力を解除して締め代部115e,115f,115gで固定している。
更には、前記固定子の端面部に固定子およびシェルより熱膨張係数の大きな材料からなる固定部材を径方向に係合すると共に軸方向にはシェルで挟み込んでボルト固定した構造も提案されている。(例えば、特許文献3参照)
図14は特許文献3に記載された従来の電動圧縮機を示すものである。図14に示すように、中空状に形成された圧縮機本体(シェル)101と、圧縮機本体101に吸入された流体を圧縮する圧縮部(図示なし)と、圧縮部を駆動するモータ102と、圧縮機本体101及びモータ102よりも熱膨張係数の高い材質からなり、周方向所定位置にモータ102及び圧縮機本体101の少なくとも一方に係合する係合部を設けた固定部材103を介してモータ102を圧縮機本体101に固定する構造としてある。具体的には圧縮機本体101を101a、102bに分割して前記固定部材103を軸方向から挟み、ボルト104にて固定した構造としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−287585号公報
【特許文献2】特許第4269907号公報
【特許文献3】特開2003−343438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す焼嵌の例ではハウジングを加熱し固定子を挿入、固定した後、ハウジングを冷却する必要があるため、冷却時間をかけたり、強制冷却したりする必要があり、生産効率や設備投資が増大する課題があった。
【0005】
また、特許文献2に示す例では外力変形によって発生する力によりステータコアの積層板が変形してモータの効率が劣化したり、モータハウジング(シェル)が破損したりすることがあり、ハウジングの肉厚を小さく出来にくい課題を有していた。
【0006】
更に、特許文献3の場合には、固定部材103は圧縮機本体101を二分割して挟み込み、ボルトにより締結する必要があるため、締結部が突出すると共に、シール材や複数のボルトが必要になるなどの弊害を有するという課題を有していた。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、圧縮機本体(シェル)の外形拡大やシール
材の必要が無く、かつモータの効率劣化やシェルの厚肉化を防止し、小型・軽量で低コストな電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動圧縮機は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。
【0009】
これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため、本体ケーシングを肉厚化したり、固定子および圧縮部に過大な外力が加わってこれが変形等するのを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電動圧縮機は、本体ケーシングの弾性変形力のみで電動機と圧縮部を本体ケーシングへ固定しているので、焼嵌時の冷却時間の必要性による生産能率減少や設備投資の増大を緩和することが出来る。また、ケーシングの応力を低く抑えることが出来、設計的に肉厚を薄くすることができる為、小型・軽量に出来る。更には、シェルやボルト等の部品点数を増加させることがないなど、低コストの電動圧縮機にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における電動圧縮機の軸方向断面図
【図2】本発明の実施の形態1において電動機の固定子を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図3】本発明の実施の形態1における電動機の固定子の本体ケーシングへの固定状態を示す横断面図
【図4】本発明の実施の形態1における電動機の固定子と本体ケーシングの固定状態を示す縦断面図
【図5】本発明の実施の形態1において圧縮部(軸受けホルダー)を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図6】本発明の実施の形態1における圧縮部(軸受けホルダー)の平面図
【図7】本発明の実施の形態1における圧縮部(軸受けホルダー)の本体ケーシングへの固定状態を示す横断面図
【図8】本発明の実施の形態1における電動機と圧縮部(軸受けホルダー)の本体ケーシングへの固定状態を示す縦断面図
【図9】本発明の実施の形態2における電動機の固定子と本体ケーシングの固定状態を示す断面図
【図10】本発明の実施の形態2において圧縮部(軸受けホルダー)を固定する本体ケーシングの変形状態説明図
【図11】本発明の実施の形態2における圧縮部(軸受けホルダー)の平面図
【図12】本発明の実施の形態3において電動機の固定子を固定する本体ケーシングの断面図
【図13】従来の電動圧縮機のステータコア(電動機固定子)を固定するモータハウジング(本体ケーシング)の横断面図
【図14】従来の電動圧縮機のモータ(電動機固定子)と圧縮機本体(本体ケーシング)の固定状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成としてある。これにより本体ケーシングが三次元的に弾性変形し強い締結力が得られるとともに、本体ケーシングが十文字形状に変形して応力を吸収するため、本体ケーシングや固定子および圧縮部に発生する内部応力を緩和することができ、本体ケーシングを肉厚化したり、固定子および圧縮部に過大な外力が加わってこれが変形等するのを防止することができる。
【0013】
第2の発明は、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とを前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分に固定した電動圧縮機であって、前記本体ケーシングの一方の固定断面において外壁側から対向する2つの外力によって当該本体ケーシングを楕円形状に弾性変形させて前記圧縮部または電動機の固定子の一方を挿入し軸方向に位置決め後前記外力を解除して径方向に構成したシメシロ部で固定するとともに、前記圧縮部または電動機の固定子の他方の部品を前記と同様の方法により前記本体ケーシングの他方の断面に固定し、前記一方の断面に作用させる外力の方向に対し他方の断面に作用させる外力の方向が概ね直交する構成としてある。これにより前記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0014】
第3の発明は、前記電動機の固定子の外周に対応する本体ケーシングの内壁には少なくとも前記外力が作用する方向に凹部を形成するとともに、前記固定子が締結される断面の本体ケーシングの内壁には前記外力が作用する方向とは異なる箇所に凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0015】
第4の発明は、前記電動機の固定子の外周に円弧部とDカット形状の凹部を交互に形成し、前記外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲の前記円弧部に対応させて前記本体ケーシングの内壁に凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0016】
第5の発明は、前記電動機の固定子の外周に少なくとも2箇所の円弧部を残し多角形状に凹部を形成するとともに、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲には前記凹部が位置する形態としてある。
【0017】
第6の発明は、圧縮部が固定される断面の本体ケーシングの内壁または圧縮部の外周の少なくとも一方に、外力が作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲において凹部を形成した電動圧縮機としてある。
【0018】
第7の発明は、前記本体ケーシングは前記電動機の固定子より熱膨張係数が大きな金属材料で形成した電動圧縮機としてある。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における電動圧縮機の縦断面図である。図1に示す電動圧縮機は、本体ケーシング1とケーシングカバー1aとで圧縮部2を軸方向に挟み込み固定してある。圧縮部2はスクロール式の構造であり、固定スクロール3に対し、旋回スクロール4は旋回運動を行い、冷媒ガスを外周から中央部に向け圧縮する。前記、旋回スクロール4は電動機5の回転子6に圧入されたシャフト6aにより駆動される。電動機5
の固定子5aと圧縮部2の軸受けホルダー2aは、以下に説明する方法にて前記本体ケーシング1にそれぞれ径方向において位置決め固定される。
【0021】
図2は前記本体ケーシング1の電動機5の前記固定子5aが締結される断面の形状を示す。この本体ケーシング1の内壁はほぼ真円形状14であるが、4箇所に逃げ凹部A7a,7b,7c,7dが形成されている。図2に示すように本体ケーシング1は上下から冶具を介し外壁に外力を作用させると,内壁の真円形状は図中一点鎖線で示すように上下で内壁間距離が短くなり、左右の内壁間距離が拡大した楕円形状15に変形し、斜め45度、135度方向の距離は変化しない。
【0022】
図3は前記本体ケーシング1の内部に前記電動機5の固定子5aが挿入された状態を示す。固定子5aはこの実施例では外周に固定子円弧部9a,9b,9c,9d,9e、9fを等角度で6個所残して、Dカット形状の固定子凹部8a,8b,8c、8d,8e、8fが交互に形成され、1対の固定子凹部8a,8dは前記本体ケーシング1に作用する対向した外力の方向となるよう配置されている。前記本体ケーシング1に形成された4箇所の逃げ凹部7a,7b,7c,7dは、固定子5aを本体ケーシング内壁が楕円状に変形した状態で前述した固定子5aを内部に挿入する際の逃げとなるものである。すなわち、前記固定子5aの前記1対の固定子凹部8a,8dの両端の固定子円弧部9a,9b,9d,9eが本体ケーシング1の内壁と干渉する部分を逃げるために形成されている。
【0023】
以上説明したような形態において、上下から作用している外力を解除すると、本体ハウジング1の内壁は弾性により真円形状に戻ろうとするが、図中左右2点のシメシロ部10a,10bにおいては固定子5aの固定子円弧部の外径寸法を本体ハウジング1の内径寸法に対し0.3〜0.5mmほど大きく設定した為、シメシロ部10a、10bが形成され固定子5aは位置決め固定される。
【0024】
この形態において固定子5aは本体ハウジング1に一応固定されるが、本体ケーシング1のシメシロ部10a、10bが左右2点の為、左右に長軸となる楕円形態が残りながらも固定子5aは本体ケーシング1に位置決め固定される。
【0025】
しかしながら、断面A−Aでは上下方向の物理的規制がない為本体ハウジングがアルミニウム合金の場合、材料強度上、壁内引張り許容応力が鉄より減少することにより本体ハウジングと固定子5aの締結力が圧力、温度上昇により減少しても十分なレベルに設計することが難しくなる。
【0026】
そこで、本発明では図4に示すように、この後同じ本体ケーシング1の固定子5aを固定した断面A−Aの隣の異なる断面B−Bに圧縮部2の軸受けホルダー2aを本体ケーシング1の弾性変形力を使った同様な手法にて位置決め固定している。以下、その構成について説明する。
【0027】
図5は軸受けホルダー2aを本体ケーシング1に位置決め固定するにあたり、本体ケーシング1の軸受けホルダー2aを固定する断面B−Bの外壁に左右から外力を作用させて本体ケーシング1の真円形状14の内壁を左右方向壁間距離が短縮するような楕円形状15に変形させた形態を示している。この場合、本体ケーシング1の内壁には左右に逃げ凹部B11a,11bが形成されており、図6に示すように真円形状で直径が本体ケーシング1の真円部の内径よりシメシロ分大きな軸受けホルダー2aを、外力により楕円状に変形した本体ケーシング1の内部に挿入可能な形状としている。
【0028】
図7は前記軸受けホルダー2aを本体ケーシング1のB−B断面に位置決め固定した状態を示している。この場合、上下の内壁円弧部12a、12bの両端10a、10b、1
0c,10dの4点にてシメシロ部が発生し、本体ケーシング1は上下に長軸楕円形態が残る状態で軸受けホルダー2aを本体ケーシング1に位置決め固定する。
【0029】
図8は本体ケーシング1に電動機5を位置決め固定した後、圧縮部2の軸受けホルダー2aを位置決め固定した状態の縦断面図を示す。このように、対向して作用させる外力の方向を隣の断面に対し概ね直交する方向から作用させる形態にすることにより、同一の本体ケーシング1で固定子5aを固定した隣の断面A−Aにも軸方向連続体として影響を及ぼし、断面B−Bにおいて左右方向に長軸である楕円形状により断面A−Aで単独では上下方向に長軸である楕円形状が十文字形状に変化するような力が作用するため、断面A−Aにおける固定子5aの締結力を増加させる。逆にB−B断面でも同様にA−A断面の変形形状が影響し、単独断面の締め付け力に対し、近接した断面の変形方向の相違による相互作用により強い締結力が得られる形態に変化する。
【0030】
(実施の形態2)
図9〜図11に実施の形態2を示す。図9において、円筒状の固定子5aの外周に設けられた6個の固定子凹部8a,8b,8c,8d,8e,8fのうち本体ハウジング1に作用する上下方向の外力の方向の存在する一対の凹部8a,8dは、外力に対し直交ではなく傾斜して位置決め固定された形態としてある。本体ハウジング1の内壁で固定子が位置決めされる断面A−Aには前記固定子5aにおける固定子円弧部9a,9dに対応した内壁逃げ凹部B7a,7cが形成され、本体ハウジング1の外壁に上下から外力が作用し、内壁が真円形状14から左右に長軸となる楕円形状15に変形しても干渉せず固定子5aを挿入可能としている。この実施例ではシメシロ部は円弧部9b,9c,9d,9fの4箇所に対応した10a,10b,10c,10dとなる。
【0031】
一方、圧縮部2の軸受けホルダー2aが固定される本体ケーシング1の断面B−Bを図10、軸受けホルダー2aの形状を図11に示す。図10において本体ケーシング1の内壁は真円形状とし、図11に示す軸受けホルダー2aの外周の左右には軸受けホルダー凹部13a,13bが形成された形態としている。即ち、本体ケーシング1のB−B断面において左右方向から対向した外力が作用し、本体ハウジング1のB−B断面が真円形状14から一点鎖線で示した上下方向に長軸となる楕円形状15に弾性変形した状態で前記軸受けホルダー2aを挿入した後、本体ケーシング1に作用している左右からの外力を解除すると、シメシロ部10a,10b、10c、10dが形成され位置決め固定される。
【0032】
断面A−Aと断面B−Bの外力の方向は実施例1と同様に概ね直交させた形態として実施例1と同様お互いに軸方向において作用し合い、単独の場合に比べ強い締結力が得られる。
【0033】
(実施の形態3)
図12は実施の形態3を示す。この実施の形態は、円筒状の固定子5aの外周に設けられた6個の固定子凹部9a,9b,9c,9d,9e,9fに加え本体ハウジング1に作用する上下方向の外力の方向に存在する円弧部の存在した場所に、一対の固定子第2凹部16a,16bを新たに形成し,多角形状としてある。この場合、本体ハウジング1のこの断面A−Aの内壁は真円形状14から上下方向の外力により左右方向に長軸となる楕円形状15に弾性変形させ、前述した固定子5aを挿入し、外力を解除して位置決め固定した状態を示す。この形態ではシメシロ部は10a、10b、10c、10dの場所に形成される。
【0034】
この場合にも前述した実施例1,2のように隣接した別断面B−Bにおいて断面A−Aに対し概ね直交させた方向から外力を作用させて軸受けホルダーを位置決め固定することにより同様な効果が得られる。
【0035】
以上、各実施の形態を説明してきたが、近隣の異なる断面に作用する外力の方向に対しその断面に作用する対向した外力が概ね直交していれば効果は同じであることは言うまでもない。
【0036】
更には固定子の外径形状について円弧部を残した等角度配分の正6角形に近い形状の場合で説明したが、少なくとも2箇所の円弧部をシメシロ部として残した不等角度配分形状の擬似多角形形状としても良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本発明にかかる電動圧縮機は、小型・軽量で効率が良く、信頼性に優れた電動機及び圧縮部の本体ケーシングへの固定が可能であり、自動車の空気調和機用電動圧縮機のみならず、小型・軽量が求められるルームエアコンや給湯器用などの家電分野等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 本体ケーシング
2 圧縮部
2a 軸受けホルダー(圧縮部)
5 電動機
5a 固定子
6 回転子
6a シャフト
7a、7b、7c、7d 内壁逃げ凹部A(凹部)
8a、8b、8c、8d、8e、8f 固定子円弧部(円弧部)
9a、9b、9c、9d、9e、9f 固定子凹部(凹部)
10a、10b、10c、10d シメシロ部
11a、11b 内壁逃げ凹部B(凹部)
12a、12b 軸受けホルダー円弧部(円弧部)
13a、13b 軸受けホルダー凹部(凹部)
14 真円形状
15 楕円形状
16a、16b 固定子第2凹部(凹部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成とした電動圧縮機。
【請求項2】
流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とを前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分に固定した電動圧縮機であって、前記本体ケーシングの一方の固定断面において外壁側から対向する2つの外力によって当該本体ケーシングを楕円形状に弾性変形させて前記圧縮部または電動機の固定子の一方を挿入し軸方向に位置決め後前記外力を解除して径方向に構成したシメシロ部で固定するとともに、前記圧縮部または電動機の固定子の他方の部品を前記と同様の方法により前記本体ケーシングの他方の断面に固定し、前記一方の断面に作用させる外力の方向に対し他方の断面に作用させる外力の方向が概ね直交する構成とした電動圧縮機。
【請求項3】
電動機の固定子の外周に対応する本体ケーシングの内壁には少なくとも外力が作用する方向に凹部を形成するとともに、前記固定子が締結される断面の本体ケーシングの内壁には前記外力が作用する方向とは異なる箇所に凹部を形成した請求項1または2記載の電動圧縮機。
【請求項4】
電動機の固定子の外周に円弧部とDカット形状の凹部を交互に形成し、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲の前記円弧部に対応させて本体ケーシングの内壁に凹部を形成した請求項1または2記載の電動圧縮機。
【請求項5】
電動機の固定子の外周に少なくとも2箇所の円弧部を残し多角形状に凹部を形成するとともに、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲には前記凹部が位置する形態とした請求項3または4記載の電動圧縮機。
【請求項6】
圧縮部が固定される断面の本体ケーシングの内壁または圧縮部の外周の少なくとも一方に、外力が作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲において凹部を形成した構成とした請求項3または4記載の電動圧縮機。
【請求項7】
本体ケーシングは電動機の固定子より熱膨張係数が大きな金属材料からなる第1〜6のいずれか1項記載の電動圧縮機。
【請求項1】
流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とは前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分にシメシロ固定し、当該圧縮部の前記本体ケーシングへのシメシロ固定部と電動圧縮機の固定子のシメシロ固定部とは概ね直交する位置にある構成とした電動圧縮機。
【請求項2】
流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動機と、前記圧縮部と前記電動機を内蔵した本体ケーシングとを備え、前記圧縮部と前記電動機の固定子とを前記本体ケーシングの内壁の隣接した2つの断面部分に固定した電動圧縮機であって、前記本体ケーシングの一方の固定断面において外壁側から対向する2つの外力によって当該本体ケーシングを楕円形状に弾性変形させて前記圧縮部または電動機の固定子の一方を挿入し軸方向に位置決め後前記外力を解除して径方向に構成したシメシロ部で固定するとともに、前記圧縮部または電動機の固定子の他方の部品を前記と同様の方法により前記本体ケーシングの他方の断面に固定し、前記一方の断面に作用させる外力の方向に対し他方の断面に作用させる外力の方向が概ね直交する構成とした電動圧縮機。
【請求項3】
電動機の固定子の外周に対応する本体ケーシングの内壁には少なくとも外力が作用する方向に凹部を形成するとともに、前記固定子が締結される断面の本体ケーシングの内壁には前記外力が作用する方向とは異なる箇所に凹部を形成した請求項1または2記載の電動圧縮機。
【請求項4】
電動機の固定子の外周に円弧部とDカット形状の凹部を交互に形成し、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲の前記円弧部に対応させて本体ケーシングの内壁に凹部を形成した請求項1または2記載の電動圧縮機。
【請求項5】
電動機の固定子の外周に少なくとも2箇所の円弧部を残し多角形状に凹部を形成するとともに、外力の作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲には前記凹部が位置する形態とした請求項3または4記載の電動圧縮機。
【請求項6】
圧縮部が固定される断面の本体ケーシングの内壁または圧縮部の外周の少なくとも一方に、外力が作用する方向に対し少なくとも±45度の範囲において凹部を形成した構成とした請求項3または4記載の電動圧縮機。
【請求項7】
本体ケーシングは電動機の固定子より熱膨張係数が大きな金属材料からなる第1〜6のいずれか1項記載の電動圧縮機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−68187(P2013−68187A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208577(P2011−208577)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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