説明

電動機と一体型の渦巻ポンプ

【課題】 渦巻ポンプの構造を簡潔化し回転安定性向上、省スペース・省コスト、軸封に長期無調整の環状のメカニカルシールを使用且つ取替え方法を簡易化し保守を省力化する。
【解決手段】 ポンプ本体に電動機をフランジ結合し、電動機軸を無接手延長してポンプ軸を形成、ケーシング貫通部に軸封機構を、延長軸に羽根車を配して横軸及び縦軸の渦巻ポンプを構成し、軸封部に鍔付スリーブを配して環状のメカニカルシールを軸端側から挿入し、テーパー軸又は微小段付軸で装着・引抜きを容易にした羽根車を取外し、該スリーブの鍔を掴んでメカニカルシールを一括引抜きして取替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に船舶補機として海水・清水及び潤滑油に使用する渦巻ポンプに係るものであり、なお、陸用一般にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
一般に海水や清水に使用の渦巻ポンプは、横軸姿勢で使用の横軸機では、台付軸受フレームにポンプ本体をフランジ組付けし、電動機と可撓接手で連結し共通台板上に取付けてポンプセットを構成しており、軸封(ポンプ軸のケーシング貫通部の止水)には紐状の含油繊維を軸に巻いて軸受側(反軸端側)から装入するグランドパッキンを使用し、該パッキン挿入・取替及びパッキン押え調整に必要な余長も加わり羽根車軸端までの片持ち軸が長くなるのでポンプセットの全長が大きくなりかなりの設置スペースが必要である。
【0003】
中・小口径(125mm以下の製品例)のポンプセットは、共通台付フレーム(以下、共通基台と呼ぶ)にフランジ組付けした電動機の軸を剛結接手で延長して電動機軸受を利用し、ポンプセットの全長を上記の軸受フレームの軸受部分だけ短縮したものがあるが、軸封は上記と同様に剛結接手側(反軸端側)から装入・調整のため片持ち軸が長い。
【0004】
上述前者の片持ち軸は軸受支間(Bearing Span)の約1.5倍、上述後者は電動機軸受支間とほぼ同等に達し、高速回転(電動機4極機1800rpm、2極機3600rpm)における羽根車の自重や流体振動などに対する安定性や軸受荷重に注意が必要である。
【0005】
縦軸姿勢で使用の縦軸機では、ポンプ本体の上に側面開放の電動機台枠を設けその上に電動機をフランジ組付けするのでポンプセットは上記の共通台板付の横軸機よりは省スペースであるが、ポンプ軸は可撓接手で電動機と連結しポンプ本体側のボールベアリングやカーボン軸受など軸周り構造が複雑になり、或は上記と同様に電動機軸と剛結で長い片持ち軸を持ち、横軸機と同様にグランドパッキン軸封による余長も加わり、高速回転での安定性や軸受荷重に注意が必要である。
【0006】
縦軸機はポンプ本体が平面になりその両端に吸引口と吐出口を持つため、その面間寸法が大きく、吸引側・吐出側に分離配置の弁類とその操作を含めたかなりの設置スペースが必要である。
【0007】
軸封のグランドパッキンは、パッキン押えの締め具合により漏水や動力損失増加を来し易く且つ摩耗し易いため、長期間無調整使用可能なメカニカルシール装着の顧客要求が少なくなく、メカニカルシールは環状のシール部品より成るので、上述の如きポンプ軸構造では該シール取替えにポンプ本体の分解や電動機取外しなどの複雑な重作業を伴う。
【0008】
中・大口径縦軸機では、吸引口・吐出口を軸芯より一方に寄せ、ポンプ本体のボリュート部を縦半割してボリュートカバーを成し、それを取外して横開放・点検・回転部横引出し可能にした製品例があるが、電動機台枠・支脚など形状・構造複雑且つ多種の加工工程を伴い高価であり、横開放スペースが加わり設置スペースが大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の背景技術における諸問題に鑑み、簡潔且つ合理的な構成で以ってポンプセットの寸法を短縮し且つメカニカルシールの如き環状シールの装着・取替を容易にし、ポンプ周りの弁類・配管を含み省コスト・省スペース及び稼働・保守における省力化を期する。
【0010】
[取扱流体] ポンプの取扱流体は水・油など多岐に亘るが、特記の他、水で代表し説明する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[ポンプ構成] ポンプ本体に電動機を直接フランジ組付けし、電動機軸を無接手で延長して水切り部、軸封部及び羽根車部より成るポンプ軸を形成し、ポンプ本体の軸貫通部に鍔付きスリーブを配して軸端側より環状シールを装入する構造の軸封機構を配し、電動機と一体型の渦巻ポンプを構成する。
【0012】
[横軸機] 吐出口付のメインケーシングと軸端側の吸引口付ケーシングカバーを以ってポンプ本体を成し、該ケーシングカバーを開放して羽根車を取外し軸封部の環状シールを取替え可能とし、主に横軸姿勢で使用する電動機と一体型の渦巻ポンプ(以下、特記の他、横軸機と呼ぶ)を構成する。
【0013】
[先発明] 優先権主張の先発明「特願2008−305979」では、共通基台を挟んで電動機とポンプ本体をフランジ組付け且つ電動機軸を該共通基台内に配した剛結接手で延長したポンプ軸を持つ横軸渦巻ポンプにおいて、ポンプ本体の軸貫通部に軸端側からメカニカルシールを装入し、ケーシングカバーに一体の吸引口と吸引弁との間に配した短管を取外してポンプ開放スペースを採り、ケーシングカバーと羽根車を順次取外して、該メカニカルシールを取替可能に軸封機構及び吸引配管を構成する。
【0014】
[縦軸機] 吸引口及び吐出口付のメインケーシングと電動機側の軸封機構付ケーシングカバーを以てポンプ本体を成し、該ケーシングカバーを挟んで電動機をメインケーシングにフランジ組付けし、電動機とケーシングカバー及び羽根車を一括してメインケーシングから取出し、羽根車を取外して軸封部の環状シールを取替え可能とし、主に縦軸姿勢で使用する電動機と一体型の渦巻ポンプ(以下、特記の他、縦軸機と呼ぶ)を構成する。
【0015】
[軸封機構] ポンプ本体の軸貫通部に軸端側から押入れた鍔付スリーブに環状シールを装入し、該スリーブの鍔を掴んで該シールを一括引抜き取替え可能の軸封機構を構成する。
【0016】
[軸受保護・漏水点検] 電動機と軸封部との間の軸に水切鍔を配して電動機軸受を防水し、ポンプ本体の電動機側に複数の水抜き・覗き穴を配して、軸封部からの漏水を排出し且つ漏水状況を点検可能とする。
【0017】
[軸封液] 環状シールの摺動面(シールリングとカーボンリング)を常に湿潤・清浄に保ち且つ空気や塵埃の侵入を防ぐため吐出圧の軸封水(軸封液)を与え、なお、ポンプ吸引水(吸引液)の含有異物状況に応じ細メッシュ(Fine Mesh)の小型フィルタを介する。
【0018】
[羽根車軸部] ポンプ軸の羽根車部はテーパ−軸又は微小段付軸とし且つ羽根車ボス端にスパナ掛りを設け、羽根車の取付・取外しを容易にするのがよい。
【0019】
[横軸機台枠] 横軸機の台枠(Base)は、電動機・ポンプ本体の何れに配してもよいが、ポンプセットの寸法(長さ)・重量の大部分を占める据置型電動機の脚部を利用するのがよく、大型ポンプではポンプ本体に補助台枠を付加するのがよい。
【0020】
ポンプ本体との結合フランジ半径より幾分小さい電動機芯高に鑑み、その差厚の調整板を電動機脚部下に配して故障電動機を支台上で軸端長以上横引き取外し可能とし、その取外し位置において電動機重心が該支台上板内に安全に載るよう設計する。
【0021】
[改良発明] 優先権主張の上述の発明「特願2008−336306及び特願2009−089752」における「電動機と一体型の渦巻ポンプ」(以下、先発明と呼ぶ)の横軸機において、ポンプ本体の下部の軸端側に吸引口を、軸芯と同芯且つ軸端側にケーシングカバーを、該吸引口フランジ外周が該ケーシングカバー外周と干渉しないよう配して改良発明の横軸機を構成する。
【0022】
羽根車の片吸込形・両吸込形の何れも、縦軸機の半径方向の流路を直角エルボー(Elbow)状に軸端側に導き上記の吸引口を構成する。
【0023】
なお、吸引口位置はポンプ本体下部を標準とし、ポンプ設置場所及び配管都合により、ポンプ本体の横や斜下も可能とする。
【発明の効果】
【0024】
上述のように構成した本発明の電動機と一体型の渦巻ポンプは、下記のように頗る大きい効果を齎す。
【0025】
[ポンプセット寸法] ポンプ軸部は主に軸封部及び羽根車部のみで形成され、それらを内包するポンプ本体の軸方向長さは電動機の半分程度のため、ポンプセット全長は従来技術のものより短縮され特に横形機では半減し著しく省スペースになる。
【0026】
[部品節減] 従来技術のポンプ軸の可撓・剛結軸接手、横軸機での台付軸受フレーム及び共通台板或は共通基台、縦軸機での電動機台枠及びカーボン軸受等の特殊軸受が不要になり、その省コストは著しい。
【0027】
[片持軸短縮] 電動機軸の無接手延長で形成したポンプ軸は、電動機標準軸長(JIS規格の「Q」寸法)の1.5〜2倍程度すなわち片持長が電動機内の軸受支間(Bearing Span)の1/2程度且つ従来技術のポンプに比べ1/3〜1/2であり、短縮著しいので流体振動等に対する電動機の負荷側軸受の荷重が軽減され、高速回転(電動機の4極機1800rpm、2極機3600rpm或はインバータ可変速の更に高速)においても高い安定性が得られ、大型の渦巻ポンプにも設計拡張可能である。
【0028】
[容量範囲拡張] 例えば海水ポンプでは、従来技術の渦巻ポンプにおいて、片吸込羽根車の横軸機の口径300mmまでカタログ化された製品例に倣っても、大口径機が必要なバラスト系では載荷数万トン級まで、冷却系ではその倍級の大型船の補機としてそれぞれ充分適用可能であり、改良発明では、従来の縦軸機の製品例の容量と同様に、両吸込羽根車の横軸機でバラスト系・冷却系何れも大口径機を使用する超大型船まで適用範囲を更に拡張可能である。
【0029】
[潤滑油系] 主機関冷却系の潤滑油ポンプ(単段型)では、潤滑油の比重と粘度により中揚程の水ポンプよりも幾らか大きい羽根車と軸動力で以って殆どの船舶に横形機で以って適用可能であり且つ機関下のサンプタンク液面より充分低いポンプ芯(羽根車芯)で、或いは該液面より低く設置した逆止弁を介して直接吸引可能である(ポンプに一旦充油(Priming)すれば該逆止弁で保持される)。
【0030】
渦巻ポンプは遠心力で流体輸送のため摺動部を持たず、一般に油類に使用の歯車ポンプの如き歯面保護を要せず且つ清浄機を経て充油されたサンプタンクからの吸引に微細メッシュ[Fine Mesh]の一次ストレーナは不要(吐出側の自動逆洗型二次ストレーナを経て主機関に供給)、特に重要補機として二重化(常用・予備)の該潤滑油ポンプでは高速回転(1800rpm)で小寸の渦巻ポンプの方が、耐久性・省スペース・省コストに頗る有利である。
【0031】
[保守・点検] 横軸機は、吸引口付ケーシングカバーが横向きのため、ポンプセットと吐出弁・配管及び吸引弁は設置のまますなわち隣接機は運転状態で、吸引口前の短管を取外し奥行が小さい該ケーシングカバー及び羽根車を、改良発明ではケーシングカバーのみを取外して環状シール取替を軽作業で実施可能であり、上述のように羽根車軸部をテーパ軸又は微小段付軸にすれば羽根車の取外し・装着も頗る容易である。
【0032】
[吸引短管] 該短管は、吸引水回転の水理現象及び海水系の青銅製ポンプ本体と異種金属隣接に伴う犠牲管の機能を併せ持つため吸引口に直接結合が普通で、吸引側配管都合により可撓直管、エルボー又は分岐管何れも利用可能であり、フランジ結合を解いて取外しでき、改良発明では該短管は設置のままでケーシングカバーを直接取外し・開放できる。
【0033】
[縦軸機] 縦軸機は一般に主として大型ポンプに適用されるが、機関室やポンプ室では重量品の吊上工具・設備を使用し、ポンプセット全重量の大部分を占める電動機の吊環を利用してケーシングカバー及び羽根車と共に一括吊上げ且つ横転できるので、横軸機と同様に羽根車を取外し環状シールの取替を実施可能である。
【0034】
[改良発明] 改良発明では、ポンプ本体前は完全な空間になり、軽作業でケーシングカバーのみの取外しで開放し、羽根車取外し環状シール取替が更に容易になり、片吸込形羽根車のみならず両吸込羽根車形も横軸機を構成でき、超大型船に使用する大口径・大容量機にも適用範囲を拡張可能である。
【0035】
[片持軸長] 高流量の縦軸機や改良発明の横軸機の両吸込羽根車では、羽根車部の軸長は片吸込羽根車より幾分増し片持軸が長くなるが、その割合は電動機の軸受支間に対しては頗る軽少であり、電動機軸受荷重や高速回転での安定性への影響は僅少である。
【0036】
[軸封点検] 環状部品を持つメカニカルシールは軸封性能・耐久性・信頼性が高く、適正な運転管理により年単位の長期無調整無開放使用が可能であり、平常はポンプケーシングの水抜き・点検穴からの微小漏水の目視点検だけで充分であり、環状シールのために上述の如き羽根車取外し作業を伴っても保守作業省力化に有利である。
【0037】
[内部点検] ケーシングカバーの取外しでポンプ開放し弁類操作正面から羽根車吸引側を、テーパー軸や微小段付き軸で容易に羽根車を取外し軸封部を含むポンプ内部を全て点検できるので、従来技術のボリュート半割横開きの縦型ポンプの如き複雑な構造は不要である。
【0038】
[摩耗・故障] 一般に渦巻ポンプは、摩耗は摺動部を持つ軸封部のみであり、性能・耐久性・信頼性が高い環状シール取替えのインターバル(Interval)が上述のように著しく延伸され、無接触回転の羽根車及び流体に接するケーシング内部は、取水側のストレーナなどを通り抜けた含有異物との摩擦による摩耗は僅少なため、該シール取替えに伴う開放の際に点検すれば充分であり、電動機の封入軸受は給油不要且つ電機部分(絶縁など)の故障の機会は頗る僅少である。
【0039】
[軸封シール一括引抜き] 軸封に使用するメカニカルシールセットは、環状のシールリングとカーボンリング及びバネ機構より成るが、装入状態では内外周の隙間が無く該シール部品の抜出しに有効な手掛かりが無く、電動機側の狭隘な空間から押出し不可能に鑑み、軸端側で鍔付スリーブによる一括引抜きで該シールセットの取替えを可能になる。
【0040】
[水切り・水抜き] メインケーシングの軸封ボス部と電動機フランジとの狭隘な空間において、電動機軸に配した水切り鍔の回転遠心力で軸封部の漏水から電動機軸受を防水し、メインケーシングの外周に設けた複数の水抜き・覗き穴で排水と漏水状況を点検可能とする。
【0041】
[信頼性] 本発明の渦巻ポンプは、ケーシング内に軸封部内装の該シールセット以外の小部品が一切ない簡潔な構造のため、運転・流体振動などで緩脱し羽根車等の回転部や関連機器を損傷する如きトラブルは皆無であり、信頼性は頗る高い。
【0042】
[弁配置] 横軸機は吸引口〜吐出口の間の水平面間寸法が頗る小さく垂直面間寸法が適度に大きいため、両者の弁類位置が干渉することなく軸端側を操作正面としてポンプ周りに集中配置でき、特に吐出側は弁類、配管が縦方向配置になり、電動機と一体化によるポンプセット全長の著しい短縮と相俟って、縦軸機での吸引・吐出の面間寸法で二分される弁類・配管の分割的な配置よりもむしろ省スペースとなる。
【0043】
[空間利用の有利性] 一般に船舶の機関室は、関連発明「特願2009−089751」及び「特願2009−138942」に記載のように、二重底と通路床との高差が載荷トン数5000トン級の中型船でも800mm、8万トン級の大型船では1600mmの例があり、二重底に設置の海水系などのポンプに本発明の渦巻ポンプの横軸機を使用すれば、ポンプセット及び吸引側の弁類・配管は全て通路床下に収まり、バラスト及び消防・ビルジ系では吐出側で弁類・配管は上方向に立体配置となり、機関冷却系では通路床上に冷却器等の関連機器を配置し該ポンプの吐出系に接続して立体複合ユニットも構成可能となるので、機関室の立体的空間の有効利用にも頗る好都合である。
【0044】
なお、横軸機は奥行の小さい舷側の中段縦通桁上に複数並列設置も可能となり、上記の立体複合ユニットと共に、機関室配置について頗る有利である。
【0045】
通路床下に設置の横軸機は、軸端側を弁類の操作正面及び軸封シール取替などの保守に、ポンプ上の空間は吐出弁・管は低く冷却器や二次ストレーナなどの関連機器の設置に、反軸端側は電動機の保守に、それぞれ当てることができポンプセットの短寸と相俟って複合ユニットを省スペースに構成できる。
【0046】
[共通部品] 横軸機・縦軸機とも電動機とその軸端部、軸封部及び羽根車はすべて共通設計部品で構成され、縦軸機の両吸込羽根車でも軸封部は横軸機と共通であり、改良発明の横軸機(単吸引口)では関連発明「特願2009−165327」の横軸機(双吸引口)のメインケーシングの吸引口部以外及びケーシングカバーは共通設計であり、生産管理上及び保守上頗る好都合である。
【0047】
[改良発明の有利性] 改良発明の横軸機においては、吸引管・弁のポンプ芯との高差はむしろ先発明の下向きエルボー使用の場合よりも小さく、ポンプ軸心の設置高を低く抑えることができ、ケーシングカバーの前は全く空間になり、ポンプ開放・点検から軸封シール取替・再組立に至る一連の作業スペースが大きく採れ更に容易になる。
【0048】
[ポンプ台枠] 横軸機のポンプ台枠はポンプ本体・電動機の何れに配してもよいが、大・中口径ポンプでは配管自体が充分な構造強度を持っておりポンプ本体のメインケーシングは配管の一部と見做してよく、ポンプセット寸法(長さ)・重量の大半を占める電動機の標準脚部(Base)を利用する方が耐震安定性及び省コストに有利であり、ポンプ下にも配管スペースがとれるので好都合であり、両吸込羽根車の大口径機の簡単な補助脚板で該ポンプ直上の弁・管の重量支承に供することができる。
【0049】
ポンプ本体に台枠を配すると、ポンプセットの重心が台枠外の重い電動機が片持ち状態になり特に機関振動に対し耐震安定を損なうので、小口径ポンプに限定するのがよい。
【0050】
[標準部品の共用] 電動機は据置型の固定子枠(Stator Frame)とフランジ型の端ブラケット(End Bracket)の混成となるが何れも標準規格生産部品、軸は無接手延長軸端部以外は標準規格設計であり、ポンプ部分は片吸込形・両吸込形とも従来技術の縦軸ポンプのケーシングのボリュート部の設計をベースに吸引口を軸端側に向け、軸端側に開放専用のケーシングカバーを配した他は、シール部品や羽根車は標準設計・生産部品であり、本発明はポンプ技術上の問題はなく充分実現可能である。
【0051】
[ポンプ本体加工] 先発明の横軸機では、ポンプ本体(メインケーシング及びケーシングカバー)の結合フランジ部及び吸引口は同芯旋削加工のみ、吐出口は単独旋削(大口径機では補助脚と同芯旋削)、改良発明の横軸機では、吸引口が異芯旋削の工程が加わるのみ、先発明の縦軸機は吸引口が吐出口と同芯旋削加工、ケーシングは全て同芯旋削加工のため、それぞれ機械加工工程は簡単であり、上述の簡潔なポンプ構成と相俟って省コスト効果は著しい。
【0052】
なお、上記関連発明の双吸引口横軸機は、ポンプ本体が同芯旋削加工は勿論、双吸引口も同芯旋削加工であり、機械加工工程は頗る簡潔である(参考に記載)。
【0053】
[端子箱位置] 電動機の端子箱は軸端から見て左側が標準であるが、5.5kW4P以上では固定子枠が前後対称であり機器配置の必要に応じ右側に設置現場でも容易に組換え可能である。
【0054】
[適用区分] 本発明の電動機一体型の渦巻ポンプは、陸・海とも、(A)先発明の軸心吸引口の片吸込横軸機を低債務・低価額の汎用ポンプとして可搬・据置の一般の諸施設に、(B)改良発明の下部吸引口の片吸込・両吸込横軸機を高債務の標準ポンプとして主要設備に、(C)先発明の縦軸機を従来技術の縦型機の補充用にそれぞれ供し、上述の関連発明の双吸引口横軸機を注排水系(両方向流系)や異系統兼用系に供することができる。
【0055】
船舶においては、(B)下部吸引口横軸機を機関冷却装置の海水・清水・潤滑油の各系統に、(A)小型軸心吸引口横軸機を空調系・雑用系などの諸設備に、別件発明の双吸引口横軸機をビルジ・バラスト管装置にそれぞれ供用を推奨する。
【0056】
[自己吸引機能] 渦巻ポンプは、無水状態では自己吸引(Self Primming)機能を持たないが、水面下の取水管に逆止弁を挿入すれば呼び水を有効に保持でき、ポンプ停止後もケーシング内は充水状態を続け始動次第直ちに自己吸引し送水できる(但し、長時間休止や開放点検による落水状態での無水運転(Dry Running)特にメカニカルシール乾燥状態では止水摺動面が損耗しやすいので注意)。
【0057】
船舶では、関連発明「特願2009−227263」に示すように、二重底上に設置の海水系のポンプは空荷においても常に喫水線下にあり、例えば機関冷却装置に付属の非常吸引・排水において、二重化のポンプユニットでの待機側の予備機も運転中の常用機と共に非常吸引逆止弁の弁体上まで常に充水(呼び水)されており、非常吸引・吐出弁に切替え予備機を始動すれば直ちに自己吸引・排水できるので、従来のポンプ付属の真空ポンプは必須ではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】先発明の渦巻ポンプの横軸機の全体を示す側断面図
【図2】先発明の渦巻ポンプの横軸機の主要部を示す側断面図
【図3】先発明の渦巻ポンプの軸封機構及び水切機構並びに環状シール(メカニカルシール)の装入・取替手順を示す側断面図
【図4】先発明の渦巻ポンプのポンプ台枠付横軸機及び配管の実施例において、(a)は全体側面図、(b)は可撓直管の姿図を示す。
【図5】先発明の渦巻ポンプの電動機台枠付横軸機及び配管の実施例において(a)全体側面図、(b)はは可撓直管の姿図を示す。
【図6】先発明の渦巻ポンプの縦軸機の全体を示す側断面図
【図7】先発明の渦巻ポンプの縦軸機の主要部を示す側断面図
【図8】先発明の渦巻ポンプの縦軸機の環状シール取替に伴う開放吊上げ部分を示す側断面図
【図9】先発明の渦巻ポンプの羽根車軸部の別案として、(a)はテーパ−軸、(b)は微小段付軸を示す。
【図10】改良発明の渦巻ポンプの片吸込型横軸機の全体を示す側断面図
【図11】改良発明の渦巻ポンプの両吸込型横軸機の全体を示す側断面図
【図12】改良発明の渦巻ポンプ周りの関連主要機器を示し、(a)は側面図、(b)は正面図
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明(先発明)の実施の形態を実施例により、図面を参照して説明し、なお、取扱流体(水・油等)は、特記の他、水で代表して記載する。
【実施例1】
【0060】
図1に先発明の実施例の横軸機の全姿及び図2に該ポンプ主要部を示せば、ポンプ本体1と電動機2をメインケーシング3と端ブラケット4のフランジ5とボルト6でフランジ結合し、主として横軸使用の電動機と一体型の渦巻きポンプを成す。
【0061】
[横軸機構成] メインケーシング3は吐出口7と、ケーシングカバー8は吸引口9とそれぞれ一体製作し、ボルト10でメインケーシング3と結合する(結合部のOリングは記載省略)。
【0062】
電動機軸11は無接手延長で設計し水切り部11、軸封部12、羽根車部13及びキー14、羽根車15の固定ナット16のネジ軸端17を持つポンプ軸を形成し、メインケーシング3及びケーシングカバー8にそれぞれライナリング18を配して羽根車15側との微小隙間(0.1mm程度)で羽根車15との無接触シール機能を持たせる。
【0063】
図1において、電動機軸11は軸受33、34により支間Smで支えられ、ポンプ軸部の片持長Spにより羽根車15の自重及び流体振動等の荷重を受け負荷側軸受33に(Sp+Sm)/Spの荷重を及ぼすが、Sp/Sm=1/2程度で従来のポンプより著しく小さい値のため高速回転においても運転は頗る安定であり、なお、管路の水撃(Water Hammer)・空洞(Cavitation)などの異常現象に対しても強い。
【0064】
[軸封機構] 図3に軸封機構を示せば、メインケーシング3の軸封部ボス19には、図3(a)のように鍔付スリーブ20を止り嵌めで押入しOリング21で外周止水する。
【0065】
鍔付スリーブ20の中に、図3(b)のように、環状のシールリング23、Oリング24、カーボンリング25(バネ及びバネ受け金具を含む:詳細図示省略)より成るメカニカルシールセット22を装入する。
【0066】
カーボンリング25は軸12に止り嵌め又はOリング(図示省略)による内周止水で装着する。
【0067】
羽根車軸13にキー14を付けて羽根車15をナット16で押込んで装着し、図3(c)のようにカーボンリング25を全押込みする。
【0068】
[軸封圧力水] メカニカルシールセット22のシールリング23とカーボンリング25との接触摺動部に常に正圧力を与え外部からの空気や異物侵入を防ぎ且つ湿潤に保つため、図1のように吐出口7から軸封水管26を経て軸封用圧力水を与える。
【0069】
軸封用圧力水は、舷外取水の海水の砂などの異物(潤滑油では摩耗金属粉など)の含有状況により細メッシュの小型フィルタ27を配し、該シールセット22の摺動面(23と25との接触面)を保護する。
【0070】
[軸封シール取替] 長期間のポンプ運転でメカニカルシールセット22(特にカーボンリング25)が摩耗し接触面圧力(23と25)が減少し或いは摺動面が損傷して漏水が増し取替えが必要になった時、図3(d)のように特殊工具28をスリーブ20の鍔に掛けボルト29で軸端17を押してメカニカルシールセット22を一括引抜きする。
【0071】
これは、シールリング23及びカーボンリング25の内・外周の隙間が微小で且つOリング付着もあり個別の取外しは頗る難しく且つ軸封部12と電動機1との狭い空間から押出し不可能のため、恰もカートリッジ(Cartridge)の如く該スリーブ20による一括引抜きとしたものである。
【0072】
軸封部ボス19及び軸12と鍔付スリーブ20を清掃の上、該スリーブ20をボス19にOリング21と共に装入し、図3(a)〜(c)に示す上述の手順に従い、新しいメカニカルシールセット22を装入する。
【0073】
[先発明] 先発明「特願2008−305979」の剛結延長軸を持つ横型渦巻ポンプの軸封機構及びポンプ開放・軸封シール取替に係るポンプ構成については前述「発明の概要」で自明につき図示省略する。
【0074】
[ポンプ台枠] 横軸機は、図1に実線の粗い斜線(Hatching)で示すように、メインケーシング3に一体鋳造の台枠43を配すれば、軸11以外は標準生産のフランジ型電動機2と共に工場組立てし、船内の現場でもポンプ本体1とのフランジ組付け位相を反転して端子箱35を左右何れにも変更可能(なお、吊環36はネジ穴37に付替え)且つ電動機2の下にも関連配管の空間が採れ、或は、鎖線の祖斜線で示すように電動機2の標準生産部品の据置型の固定子枠32の脚板44を利用すれば(調整板44tは後述参照)、ポンプセットの大部分の重量を持つ電動機2を据えるので安定且つポンプ本体1が軽量・省コストになり、JIS規格枠番132S(5.5kW4P)以上の電動機では前後対称の該固定子枠32を水平反転して端子箱35左右何れにも変更可能、吐出側配管都合によりポンプ本体1の位相を90度ずらせて吐出口7を横向き可能且つポンプ本体1の下にも関連配管の空間を採ることもできるので、配置設計や施工管理に好都合である。
【0075】
[弁類配置] 図1に示すように、横軸機は水平面間寸法Lhが頗る小さく、垂直面間寸法Lvが適度にあるため、図4、図5に示すように吸引口9と吐出口7の弁類38、39を集中配置でき、ポンプ側の1箇所で弁操作が可能であり、図6に示す縦軸機の面間寸法Lf(=Lvのほぼ2倍)による吸引と吐出の弁類の分割配置(自明のため図示省略)に比べ、電動機と一体型と相俟って総合的な設置スペースはむしろ横軸機の方が有利となり、中段縦通桁など棚状構造の上にも設置可能となり機器配置上頗る好都合である。
【0076】
[吸引短管] ケーシングカバー8の奥行が短く、図4(a)に示すように、吸引口前の短管40(粗い斜線部)を取外せばケーシングカバー8の開放及び羽根車15の取外しメカニカルシールセット22の取替えのスペースが容易に得られる。
【0077】
吸引口9は羽根車15に近接し吸引水回転の水理現象と、海水系では青銅製のポンプ本体1に隣接の犠牲管機能に鑑み、バタフライ弁の如き吸引弁38は短管40を介するのが普通である。
【0078】
吸引口9の短管40は、エルボー40を使用すれば取付・取外しは隣接の弁類・配管に拘束されず容易になり且つ配管スペースも節減でき、周囲状況も含み該シール取替え作業スペース都合により上・下・横曲がり何れのエルボー方向も選択可能、なお、小口径ポンプでは軽量なケーシングカバー8と該エルボー40を一括取外し・取付けもできる。
【0079】
短管40は、直管の場合には図4(b)、図5(b)に示す如き可撓管(ホース49、締めバンド)を使用すれば、隣接の弁類・配管によるフランジ結合の拘束を避け容易に作業でき且つ吸引側の低圧(喫水線など)の下では漏水などのトラブルはない。
【0080】
図4(a)のようにメインケーシング3に台枠43を配したポンプ本体1を支台45に据付け、図5(a)のように電動機の据置型固定子枠32の脚板44を利用して支台46に据付けのそれぞれの場合について、一般に電動機の軸芯高はポンプ本体に比べ低いため、後者の方がポンプセット芯高Hpが低く採れるので、低液面の主機関下サンプタンクからの吸引(逆止弁経由)が必要な潤滑油ポンプに使用及びポンプ本体下スペースの配管にも正面操作の弁類を設置可能で、冷却系やビルジ・バラスト系の海水ポンプに使用に好都合である。
【0081】
横軸機は、二重底47上に設置した場合、図4(a)、図5(a)に示すように、ポンプセット及び吸引側の弁類・配管は全て通路床48の下に収まり且つポンプ本体1の吸引側で環状シール取替えできるので、通路床48の上に冷却器などの関連機器の設置(図示省略)が可能となり、機関室の配置や空間利用上に頗る好都合である
【実施例2】
【0082】
[縦軸機構成] 図6、図7に本発明(先発明)の実施例の縦軸機についてポンプセットの全体姿及び主要部を示せば、ポンプ本体1のメインケーシング3は台枠33及びその左右の吸引口9・吐出口7を一体製作し、ケーシングカバー8を挟んで電動機2の端ブラケット4とフランジ5及びボルト6でフランジ結合し、電動機と一体型の渦巻ポンプの縦軸機を構成する。
【0083】
なお、ケーシングカバー8は予め電動機端ブラケット4のフランジ5にボルト6とは別のボルト10で固定してから該端ブラケット4とメインケーシング3をフランジ結合する。
【0084】
電動機軸11の無接手延長設計による主に軸封部12及び羽根車部13より成るポンプ軸の形成及び羽根車15とメインケーシング3とケーシングカバー8との対向部のライナリング18は実施例1の横軸機のものと全く同一である。
【0085】
[軸封機構] 軸封部12のメカニカルシールセット22の軸封機構は、図3に示す鍔付スリーブ20と共に装入・取替する構成とともに、実施例1の横軸機と全く同一である。
【0086】
後述の該シールセット22の取替えに際し、羽根車15取外し後にケーシングカバー8を取外しながら該シールセットを軸封部12の軸から一括引抜き可能な構造であるが、該軸より著しく大径且つ幾らか重量を持つケーシングカバー8の平行引抜きはかなり難しいので、鍔付スリーブ20で引抜く方が頗る容易且つ安全である。
【0087】
[水切り・漏水点検] 電動機2とケーシングカバー8との間の空間では、軸11に水切鍔30とケーシングカバー8に水抜・点検穴31を設けることは実施例1の横軸機のものと同様であるが、縦軸姿勢に鑑み、ケーシングカバー8に漏水溝42を配して、軸封部からの漏水を滞留なきよう水抜き・覗き穴31に導き漏水状況を点検可能とする。
【0088】
[ポンプ開放] 縦軸機の開放に際しては、電動機2とメインケーシング3とのフランジ結合(フランジ5、ボルト6)を解き、図8に示すように粗斜線のメインケーシング3を残して、電動機2の吊環36を使用しケーシングカバー8及び羽根車15までを一括して、機関室やポンプ室天井構造に設置の吊環と揚重工具で吊上げ、空中横転して軸端横向きとし、実施例1の横軸機と同様にメカニカルシールセット22の取替えが容易に可能である(一般に縦軸機は大型ポンプに適用され重量品となり且つ上方の空間を大きく採っているので揚重設備・工具の使用は容易である)。
【0089】
[羽根車軸部] 実施例1の横軸機、実施例2の縦軸機とも、羽根車部13を図9(a)のようにテーパ−軸又は図9(b)のように微小段付軸(基本軸径部53:do、段付軸径部54:d1>do、それぞれ止り嵌め長さ0.3L、中間遊隙部55:0.4L、嵌め合い押込み・引抜き長は0.3L)に設計し且つ羽根車15のボス端にスパナ掛り51を加工すれば、羽根車15の取付・取外しはテーパ軸では軸端ナット緩脱で直ちに、微小段付軸ではボス長さの30%の引抜き・押込みで済み頗る容易になり、特に横軸機前の空間での環状のメカニカルシールセット22の取替えの一連の作業が更に容易になる(テーパー軸は片吸込形羽根車の中・小口径機に、微小段付軸は両吸込形羽根車の大口径機に適用可)。
【実施例3】
【0090】
[改良発明の構成] 図10に本発明(改良発明)の横軸機の要部を示せば、実施例1として図1及び図2に示す横軸機のポンプ本体1の軸端側に軸芯同芯のケーシングカバー8を、下部に軸端側に向いた吸引口9を配し、エルボー状の流路9Lで軸方向の吸引口に導く。
【0091】
吸引口9の位置は、そのフランジ外周がケーシングカバー8の外周に干渉しないよう相互の中心距離を採り、ポンプ本体1の流路形状は従来の縦型渦巻ポンプに倣い羽根車の片吸込形・両吸込形の両者を可能とし片吸込形横軸機は図10、両吸込形横軸機は図11に示す。
【0092】
[片吸込形] 図10において、片吸込形の羽根車15及びその周りのポンプ本体1のボリュート(Volute)部3v、8vから吐出口7に至る構造は実施例2の図6、図7に同様であり、メインケーシング3は電動機2の端ブラケット4のフランジ5に実施例1の図1、図2と同様に直接フランジ結合し、吸引口9はメインケーシング3とケーシングカバー8が成す吸引流路をエルボー状流路9Lで軸端方向に形成する。
【0093】
[両吸込形] 図11において、両吸込形の羽根車15の前後の吸込口15f、15rに係るボリュート部3v、8vから吐出口7に流路を持ち、吸引口7には羽根車15の両吸込口15f、15rからメインケーシング3及びケーシングカバー8が成す吸引流路をエルボー状流路9Lで軸端方向に形成する。
【0094】
軸封シール部は、片吸込形、両吸込形とも実施例1の図1、図2、図3に同様であり、両吸込形では羽根車15のボス端と軸封シールセット22との間にスリーブ22sを追加する。
【0095】
[台枠] 電動機2の芯高(JIS規格のC寸法)より端ブラケット4のフランジ5(直径はJIS規格のLC寸法)の下縁5fが低いので、その高差(t=LC/2−C)より厚い調整板44Lを脚板44と支台46との間に配し且つ支台板46Pを電動機2の尾端側に延長し、電動機2の重心2Gが支台板46P上に安定するよう軸端長Ls以上横引きし小吊上げ併用で搬出可能とし、故障電動機の取外し・修理後再装着に供する(これは実施例1にも適用)。
【0096】
以上の他は、実施例1の横軸機と同様である。
【0097】
[設置姿] 図12に改良発明の横軸機P1、P2の2台並列設置例を示せば、側面図(a)、正面図(b)において、支台46に据付けた電動機2にフランジ結合のポンプ本体1の下部に配した吸引口9に短管40及び吸引弁38を配し吸引主管56に接続、ポンプ本体1の上部の吐出口7に弁39を配して吐出主管41に接続する。
【0098】
複合ユニットを構成の場合は、無ハンドル型の逆止弁39Cとバタフライ弁39Bを組み合わせて吐出弁39を成し、上部に載せる冷却器57などの関連機器の支枠58の高さを抑え、棚上設置型ユニットの場合はハンドル(点線図示)付の逆止弁39Dを配して吐出主管41に接続する。
【0099】
二重化補機として常用機P1と予備機P2を並列設置の場合は、両機P1、P2とも吸引弁38・吐出弁39Bともに開き、常用機P1運転による吐出圧力で待機の予備機P2の逆止弁39Cの弁体が閉じて予備機P2への逆流を阻止し、吐出主管41を経て支枠58上の冷却器57などに冷却水を供給する。
【0100】
吐出主管41の分岐管41Bはポンプ本体1の下の空所にも配管し、上記の吸引弁38・吐出弁39と同じ操作正面に、弁(図示省略)を付加することもできる。
【0101】
ポンプ本体1の軸端側に軸心同芯に配したケーシングカバー8は単独で開放でき、ケーシングカバー前は全く空間となり、羽根車15の取外し及び軸封シールセット22を内蔵の鍔付きスリーブ20で一括引抜きして取替するに充分なスペースを与える。
【0102】
上記の作業は、図12(a)に示す機関室通路床48からポンプ本体1の前の操作床48Lに降りて実施でき、ポンプ本体1の前は吸引主管56に並行のビルジ管や燃料油管(図示省略)などの配管スペースを採っており、該操作床48Lの幅は充分広い。
【0103】
図12(a)のように、吸引弁38、吐出弁39Bはレバー形が操作容易且つ開閉位置が明白で望ましく、取扱流体が清水・潤滑油などでは短管40を設けず吸引口9に直接吸引弁38を配してもよい。
【0104】
1 ポンプ部分、ポンプ本体 2 電動機、電動機部分
2G 電動機重心
3 メインケーシング 4 電動機の端ブラケット
3v、8v ボリュート部 9L エルボー状吸引流路
5 フランジ 6 ボルト
7 吐出口 8 ケーシングカバー
9 吸引口 10 ボルト
11 電動機軸、ポンプ軸の水切り部 12 ポンプ軸の軸封部
13 ポンプ軸の羽根車部 14 キー
15 羽根車 16 ナット、軸端押え
15f、15r 羽根車の前・後吸込口 15e 羽根車の外周
17 軸端、軸端ネジ部、押えボルト 18 ライナリング
19 軸封部ボス、軸貫通部 20 鍔付スリーブ、スリーブ
21 Oリング 22 メカニカルシールセット
22s スリーブ
23 シールリング 24 Oリング
25 カーボンリング 26 軸封水管
27 フィルタ 28 特殊工具
29 押しボルト 30 水切鍔
31 水抜き穴、点検穴 32 電動機の固定子枠
33 電動機軸受 34 電動機軸受
35 電動機の端子箱 36 電動機の吊環
37 吊環用ネジ穴 38 吸引弁
38H 吸引弁ハンドル
39 アングル弁、アングル逆止弁 40 短管・エルボー
39C 無ハンドル逆止弁 39B 吐出弁、バタフライ弁
39D ハンドル付逆止弁 39H 吐出弁ハンドル
41 配管 42 漏水溝
43 台枠 44 台枠・脚板
44L 調整板 46P 支台板
45 支台 46 支台
47 二重底、甲板 48 通路床
48L 操作床
49 可撓ホース 50 ホース締めバンド
51 スパナ掛り 52 舌付座金
53 基本軸径部 54 段付軸径部
55 遊隙部 56 吸引主管
57 冷却器 58 支枠
Lh 水平面間寸法 Lv 垂直面管寸法
Lf 縦軸機の面間寸法 Sm 軸受支間
Sp 片持長 Hp ポンプ芯高
do 基本軸径 d1 段付軸径
L 羽根車部の軸長 Ls 軸端長、横引き距離
P1 常用機 P2 予備機
D 口径































【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機をポンプ本体に直接フランジ組付けし、電動機軸を無接手延長して水切り部、軸封部及び羽根車部より成るポンプ軸を形成し、ポンプ本体の軸貫通部に軸端側から押入れた鍔付スリーブに環状シールを装入する構造の軸封機構を配して構成した電動機と一体型の渦巻ポンプ。
【請求項2】
メインケーシングの軸端側に吸引口付ケーシングカバーを配し、吸引短管と共に該ケーシングカバーを開放して羽根車を取外し、軸封部の環状シールを取替え可能に構成した、主に横軸姿勢で使用する請求項1の渦巻ポンプ。
【請求項3】
メインケーシングの電動機側に軸封部付ケーシングカバーを配し、該ケーシングカバーを挟んで電動機をメインケーシングにフランジ組付けし、電動機とケーシングカバー及び羽根車を一括してメインケーシングから取外し、羽根車を取外して軸封部の環状シールを取替え可能に構成した、主に縦軸姿勢で使用する請求項1の渦巻きポンプ。
【請求項4】
ポンプ本体の軸端側に軸芯と同芯のケーシングカバーを配し、ポンプ本体内の半径方向の吸引流路をエルボー状に軸端方向の吸引口に導き、該吸引口フランジ外周が該ケーシングカバー外周に干渉しないよう該吸引口と軸芯との中心距離を採り、該ケーシングカバーのみを開放して羽根車を取外し、軸封部の環状シールを取替可能に構成した、主として横軸姿勢で使用する請求項1の渦巻ポンプ。
【請求項5】
ポンプ本体の軸貫通部に軸端側から鍔付スリーブを押入して環状シールを装入し、該スリーブの鍔を掴んで該シールを一括引抜き取替え可能に構成した、請求項1の渦巻ポンプの軸封機構。
【請求項6】
電動機と軸封部との間の軸に水切鍔を、ポンプ本体の電動機側に複数の水抜き・覗き穴をそれぞれ配し、請求項5の軸封機構からの漏水を排出し且つ漏水状況を点検可能に構成した請求項1の渦巻ポンプ。








【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−255616(P2010−255616A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241185(P2009−241185)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(595030206)
【Fターム(参考)】