説明

電動車両用のモータ軸の配線構造

【課題】簡易な構造でステータと結線される配線を保護することができる電動車両用のモータ軸の配線構造を提供する。
【解決手段】ホイール56内に走行用のインホイール型の駆動用モータ58を備え、駆動用モータ58の車軸であるモータ軸50は、その両端が車軸支持部46L、46Rにて回動不能に車体に固定され、ホイール56内でのモータ軸50に固定子110が固定され、ホイール56の内側に回転子112が固定され、モータ軸50内を通して固定子110に結線を行う電動車両用のモータ軸50の配線構造であって、モータ軸50の軸端より内側で、且つ車軸支持部46L、46Rの内側にてモータ軸50に貫通孔144を設け、該貫通孔144を通して固定子110と結線を行うように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ軸に配線を通してステータと結線を行うための電動車両用のモータ軸の配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、インホールモータのステータに結線を行う方法として、下記特許文献1に示すように、車軸(モータ軸)の端部から車軸方向に沿って車軸に中に設けられた孔に配線を通すことで、ステータに結線を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭54−153644公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車軸の端部から配線を出した場合、モータへの配線は高圧配線となるため、人や障害物などとの干渉に対して十分に配慮しなければならず、保護カバーなどの部品点数の増加や高コストになる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でステータと結線される配線の保護及び干渉を少なくすることができる電動車両用のモータ軸の配線構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ホイール(56)内に走行用のインホイール型の駆動用モータ(58)を備え、前記駆動用モータ(58)の車軸であるモータ軸(50)は、その両端が車軸支持部(18L、18R、46L、46R)にて回動不能に車体に固定され、前記ホイール(56)内での前記モータ軸(50)に固定子(110)が固定され、前記ホイール(56)の内側に回転子(112)が固定され、前記モータ軸(50)内を通して前記固定子(110)に結線を行う電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記モータ軸(50)の軸端より内側で、且つ前記車軸支持部(18L、18R、46L、46R)の内側にて前記モータ軸(50)に貫通孔(144)を設け、該貫通孔(144)を通して前記固定子(110)と結線を行うように形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記ホイール(56)は、少なくともタイヤ(100)を保持するリム部(102)を有する本体部(104)と、前記モータ軸(50)の軸方向から前記本体部(104)に取り付けられるサイド部(106R)とを有する分割ホイールであり、前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)の配線入口(150)は、前記サイド部(106R)の外側に設けられており、前記貫通孔(144)の配線出口(152)は、前記サイド部(106R)の内側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記サイド部(106R)と前記モータ軸(50)との間に、前記ホイール(56)を回転可能に支持する回転支持部材(124R)が設けられ、前記回転支持部材(124R)の軸方向外側は、前記サイド部(106R)に形成されたサイド部側突き当て部(126R)に当接され、前記回転支持部材(124R)の軸方向内側は、前記モータ軸(50)に形成されたモータ軸側突き当て部(128R)に当接され、前記モータ軸側突き当て部(128R)は、前記モータ軸(50)の前記回転支持部材(124R)が設けられる場所の径より大きく形成されており、前記配線出口(152)は、前記モータ軸側突き当て部(128R)より内側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記モータ軸(50)の前記配線出口(152)より軸方向内側に前記固定子(110)を固定する固定部(114)が形成されており、前記固定部(114)の径は、前記モータ軸側突き当て部(128R)の径より小さいことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記貫通孔(144)が設けられる側の前記サイド部(106R)とブレーキパネル(154)とで形成される空間内に制動用のブレーキドラム(156)が設けられ、前記ブレーキパネル(154)には、前記固定子(110)と結線される配線(148)が挿入可能な挿入孔(158)が設けられ、前記配線(148)は、前記挿入孔(158)及び前記空間を通して、前記貫通孔(144)に挿入され、前記挿入孔(158)には防水部材(160)が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記車体前方に向かって右側に、前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)を形成するとともに前記ブレーキドラム(156)を設けることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)は、車体前方に向かって右側に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記車軸支持部(46L、46R)は、後輪支持用のスイングアームであることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記車軸支持部(18L、18R)は、前輪支持用のフロントフォークであることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)は、前記車体の上下方向に形成され、前記貫通孔(144)の下側の開口が前記配線入口(150)であり、上側の開口が前記配線出口(152)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜3に記載の発明によれば、モータ軸の軸端より内側で、且つ、車軸支持部の内側に貫通孔を設け、該貫通孔に配線を通すことで、駆動用モータへの高圧配線に対して特別なカバーなどを設ける必要がなく、簡易な構造で運転者等の人や障害物から配線を保護することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、ブレーキパネルに、配線が挿入可能な挿入孔を設け、配線は、挿入孔を通って貫通孔に挿入され、挿入孔に防水部材を設けるようにしたので、駆動用モータ内に水が浸水することを防止することができる。
【0018】
請求項6、7に記載の発明によれば、運転者が殆ど立つことが無い車体前方に向かって右側に貫通孔を設けるようにしたので、高圧配線が運転者に与える影響の発生を抑えることができる。
【0019】
請求項10に記載の発明によれば、貫通孔の配線入口をモータ軸の下側に、貫通孔の配線出口をモータ軸の上側にしたので、雨が降った場合や、電動車両が水没した場合であっても、駆動用モータ内に水が浸水することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施の形態の電動二輪車の側面図である。
【図2】図1のレッグシールドの要部拡大図である。
【図3】図1のIII−III線矢視一部断面図である。
【図4】ブレーキドラムを車体前方に向かって左側に設けたときの図1のIII−III線矢視断面図である。
【図5】第2実施の形態の電動二輪車用のモータ軸の固定構造を説明するための図であり、図1に示すスイングアームの要部拡大図である。
【図6】図6Aは、図1に示すストッパ手段の正面図、図6Bは、図1に示すストッパ手段の背面図、図6Cは、図1に示すストッパ手段の平面図である。
【図7】図6A〜図6Cに示すストッパ手段を図5に示すスイングアームに取り付けて、モータ軸を固定した状態を示す図である。
【図8】図8Aは、第1変形例のスイングアームの要部拡大図であり、図8Bは、第1変形例のストッパ手段の背面図、図8Cは、第1変形例のストッパ手段の平面図である。
【図9】第1変形例のストッパ手段にスイングアームを取り付けて、モータ軸を固定した状態を示す図である。
【図10】図10Aは、第2変形例のスイングアームの要部拡大図であり、図10Bは、第2変形例のストッパ手段の背面図、図10Cは、第2変形例のストッパ手段の平面図である。
【図11】第2変形例のストッパ手段をスイングアームに取り付けて、モータ軸を固定した状態を示す図である。
【図12】第3変形例のスイングアームの要部拡大図である。
【図13】第3変形例のスイングアームにストッパ手段を取り付けて、モータ軸を固定した状態を示す図である。
【図14】第3実施の形態の充電システムの電気的構成を示す図である。
【図15】第1変形例の充電システムの電気的構成を示す図である。
【図16】第2変形例の図14に示す車体側充電コネクタのXVI−XVI線矢視断面の一例を示す図である。
【図17】第2変形例の図14に示す車体側充電コネクタのXVI−XVI線矢視断面の他の例を示す図である。
【図18】第3変形例の図14に示す車体側充電コネクタのXVI−XVI線矢視断面の一例を示す図である。
【図19】第3変形例の図14に示す車体側充電コネクタのXVI−XVI線矢視断面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る電動車両用のモータ軸の配線構造、電動車両用のモータ軸の固定構造、及び充電システムについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0022】
[第1実施の形態]
図1は、電動二輪車(電動車両)10の側面図である。なお、車体の左右に1つずつ設けられる機構乃至構成要素については、左のものの参照符号に「L」を付し、右のものの参照符号に「R」を付す。
【0023】
電動二輪車10のメインフレーム12の上端部には、ステアリングステム14を回動自在に軸支するヘッドパイプ16が結合されている。ステアリングステム14には、前輪WFを回転可能に軸支する一対のフロントフォーク18L、18Rが取り付けられ、前輪WFは、ステアリングステム14の上部に取り付けられたハンドル20によって操舵可能とされている。
【0024】
メインフレーム12の下部には、左右一対のアッパーサイドフレーム22L、22Rが連結され、アッパーサイドフレーム22L、22Rは、そこから斜め下に延びて屈曲した後、後方に延びている。この左右のアッパーサイドフレーム22L、22Rに挟まれるように、12Vの電池モジュールが直列に接続された48Vのバッテリ(電池)24が配設されている。アッパーサイドフレーム22L、22Rには、斜め後方に延びるリアフレーム26L、26Rが連結されている。
【0025】
メインフレーム12の下端部には、車幅方向に延びるロアクロスフロントパイプ28が設けられ、ロアクロスフロントパイプ28の両端には後方且つ水平に延びるダウンサイドフレーム30L、30Rが取り付けられ、ダウンサイドフレーム30L、30Rの後端に、車体の鉛直方向に延びるブラケット32L、32Rが設けられている。ブラケット32L、32Rの上端は、アッパーサイドフレーム22L、22Rに連結され、車幅方向に延びるロアクロスリアパイプ34の両端は、ブラケット32L、32Rの下端に接続されている。ロアクロスリアパイプ34には、車幅方向に離間した2本の脚部36L、36Rを有するセンタスタンド38が取り付けられている。ダウンサイドフレーム30L、30R間を跨るようにクロスブラケット40a、40bが配設され、該クロスブラケット40a、40bは、バッテリ24を支持する。
【0026】
リアフレーム26L、26Rの前部には、スイングアームピボット42が形成されたピボットプレート44L、44Rが取り付けられている。スイングアームピボット42には、後輪WRを支持するスイングアーム(車軸支持部)46L、46Rの前端部が揺動自在に軸支されており、スイングアーム46L、46Rは、アームカバー48L、48Rによって保護されている。スイングアーム46L、46Rの後部には、車軸50が固定され、後輪WRは車軸50によって回転自在に軸支されている。スイングアーム46L、46Rの後方上部には、リアショックユニット52L、52Rによってリアフレーム26L、26Rに吊り下げられている。なお、車軸50は、中実シャフトである。また、スイングアーム46L、46Rの後部には、スイングアーム46L、46Rに固定される車軸50のズレや脱落を防止するためのストッパ手段54L、54Rが設けられている。
【0027】
後輪WRのホイール56内には、電動二輪車10の駆動用のモータ(駆動用モータ)58が設けられている。つまり、駆動用モータ58は、インホイール型のモータである。リアショックユニット52L、52Rの上方には、電力線60を介してバッテリ24から供給される直流電流を3相の交流電流に変換して駆動用モータ58に供給するPDU(パワードライブユニット)62が設けられ、このPDU62から3相の交流電流が駆動用モータ58に供給される。PDU62の後方には、DC−DCコンバータ64が設けられ、DC−DCコンバータ64は、バッテリ24の電圧を、電動二輪車10の駆動用モータ58以外の電装品を駆動するのに必要な電圧に変換する。PDU62の上部に、PDU62、DC−DCコンバータ64の他、各電装品を制御するECU66が設けられている。
【0028】
電動二輪車10のハンドル20の車体前方側には、電動二輪車10を覆う車体カバーの一部としてのフロントカバー68が設けられ、フロントカバー68の上部には、前記電装品の一部である速度計を含むメータユニット70が取り付けられ、ハンドル20の車体前方側には前記電装品の一部である前照灯72が取り付けられている。ヘッドパイプ16の後方側には、フロントカバー68と連なり、電動二輪車10を覆う車両カバーの一部としてのレッグシールド74が設けられている。レッグシールド74は、リアフレーム26L、26Rの上部に設けられたシート76に着座した運転者の脚部前方を覆う。
【0029】
前輪WFの上方にフロントフェンダ78が配設されており、バッテリ24の上部には、レッグシールド74の下部と連なり、且つ、シート76に着座した運転者の足を載せるためのステップフロア80が形成されている。リアフレーム26L、26Rの外方には、車体カバーの一部としてのシートカバー82が設けられており、シートカバー82の上部にシート76が設けられている。シートカバー82の後端部には、前記電装品の一部である尾灯装置84と、リアフェンダ86と、荷台88とが取り付けられている。
【0030】
レッグシールド74の上部左側で電源スイッチ89の反対側には、バッテリ24を充電する充電器と接続するための雌コネクタである車体側充電コネクタ90が設けられており(図2参照)、車体側充電コネクタ90は、車体の斜め下方に向かって設けられている。つまり、車体側充電コネクタ90には、充電器側の雄コネクタの端子が挿入される開口部分を有し、該開口部分の入口が車体の斜め下方に向かって設けられている。電源スイッチ89には、キーが入力される鍵穴を有し、レッグシールド74の上部左側で電源スイッチ89の下方には、該鍵穴を閉鎖可能なシャッターキー91が設けられている。
【0031】
車体側充電コネクタ90には、車体側充電コネクタ90と人間などの外部導体とが接触することにより、該外部導体に電流が流れることを防止するための蓋部92が取り付けられている。バッテリ24は、車体側充電コネクタ90と電力線94で接続されている。
【0032】
これにより、車体側充電コネクタ90は、運転者が着座するシート76前方のレッグシールド74の上部にあるので、前記充電器側の雄コネクタが接続し易いにも関わらず、下向きで蓋付きとすることで不意な接触がないよう配慮もなされている。また、右側の電源スイッチ89は、車両に乗るときに常に操作されるが、左側に車体側充電コネクタ90があるので、電源スイッチ89の操作の邪魔にならず、車体側充電コネクタ90に触れてしまうこともない。
【0033】
図3は、図1のIII−III線矢視一部断面図であり、電動二輪車10用のモータ軸50の配線構造を示す。後輪WRの中心を車軸50が貫通して設けられることで、車軸50が後輪WRを軸支し、両サイドからスイングアーム46L、46Rが車軸を固定している。
【0034】
後輪WRは、ホイール56とタイヤ100とからなり、ホイール56は、タイヤ100を保持するリム部102を有する本体部104と、本体部104の両サイドに軸方向から取り付けられるサイド部106L、106Rとを有する分割ホイールである。本体部104とサイド部106L、106Rとは、ボルト108によって締結される。
【0035】
駆動用モータ58は、ステータである固定子110と、図示しない永久磁石を有するロータである回転子112とを有し、固定子110は、ホイール56内の車軸50にスプライン嵌合されている。つまり、車軸50が駆動用モータ58のモータ軸となる。車軸(以下、モータ軸と呼ぶ)50の固定子110と嵌合する部位を固定部114と呼ぶ。駆動用モータ58の回転子112は、ホイール56の本体部104の内側(リム部102の内側)に固定されている。
【0036】
モータ軸50は、固定部114の両サイドに、サイド部106L、106Rを回転可能に軸支するサイド支持部116L、116Rと、該サイド支持部116L、116Rの外側に設けられた締結部位118L、118Rとを有する。サイド支持部116Rの固定部114側は第1の径の円柱であり、締結部位118R側が第1の径より小さい第2の径の円柱からなる。サイド支持部116Lは、第3の径の円柱からなる。締結部位118L、118Rは、スイングアーム46L、46Rによってモータ軸50を車体側に締結するためのものであり、ネジ山が形成されている。締結部位118L、118Rには、円柱の部材に車体の前後方向及び車幅方向に略平行な一対の締結面が形成されている。参照符号120L、120Rは、上側の締結面を表しており、参照符号122L、122Rは、下側の締結面を表している。
【0037】
サイド部106L、106Rとモータ軸50との間に、ベアリング(回転支持部材)124L、124Rが設けられており、これにより、サイド支持部116L、116Rは、回転可能にモータ軸50を軸支することができるので、ホイール56はモータ軸50に対して回転可能となる。このベアリング124L、124Rは、サイド部106L、106Rに形成された突き当て部(サイド部側突き当て部)126L、126Rと、モータ軸50に形成された突き当て部(モータ軸側突き当て部)128L、128Rとに当接されることで固定される。
【0038】
突き当て部128Lは、固定部114の径とサイド支持部116Lの径との違いによって形成されるので、突き当て部128Lの径は、ベアリング124Lが設けられる場所の径(第3の径)より大きい。突き当て部128Rは、サイド支持部116Rの第1の径の円柱と第2の径の円柱によって形成されるので、突き当て部128Rの径は、第1の径であり、ベアリング124Rが設けられる場所の径(第2の径)より大きい。
【0039】
サイド部106L、106Rとモータ軸50との間には、さらにシール部材130L、130Rが設けられている。シール部材130L、130Rは、サイド部106L、106Rのモータ軸50方向外側に、ベアリング124L、124Rは、サイド部106L、106Rのモータ軸50方向内側に設けられている。
【0040】
サイド支持部116Rと締結部位118Rとで形成された突き当て部132Rに、カラー134Rが当接される。そして、カラー134Rに当接してスイングアーム46Rがモータ軸50の締結部位118Rに設けられ、スイングアーム46Rよりさらに軸方向外側に、ストッパ手段54R、回り止め部136R、ワッシャ138R、ナット(固定部材)140Rが前記の順で設けられている。
【0041】
一方、サイド支持部116Lと締結部位118Lとで形成された突き当て部142に、カラー134Lが当接される。そして、カラー134Lに当接してスイングアーム46Lがモータ軸50の締結部位118Lに設けられ、スイングアーム46Lよりさらに軸方向外側に、ストッパ手段54L、回り止め部136L、ワッシャ138L、ナット(固定部材)140Lが前記の順で設けられている。
【0042】
ナット140L、140Rにより、後輪WR(タイヤ100、ホイール56、駆動用モータ58)がモータ軸50を介して、スイングアーム46L、46Rに取り付けられることで、後輪WRが車体に取り付けられる。ナット140Rを締めたときに、ナット140R及びモータ軸50の突き当て部132間によって、スイングアーム46Rが締め付けられるので、ナット140Rを締めることによって生じる力がホイール56にかかることはない。また、ナット140Lを締めたときに、ナット140L及びモータ軸50の突き当て部142間によって、スイングアーム46Lが締め付けられるので、ナット140Lを締めることによって生じる力がホイール56にかかることはない。
【0043】
車軸50には、車体前方に向かって右側に、固定子110と結線を行うために貫通孔144が形成されている。つまり、モータ軸50の右側には、固定子110のコイル146に電力の供給等を行う配線148を通すための貫通孔144が設けられている。この貫通孔144の配線入口150は、サイド部106Rのモータ軸50方向外側に設けられており、貫通孔144の配線出口152は、サイド部106Rのモータ軸50方向内側に設けられている。詳しく説明すると、配線入口150は、シール部材130Rよりモータ軸50方向外側に設けられており、配線出口152は、突き当て部128Rよりモータ軸50方向内側に設けられている。モータ軸50の貫通孔144は、車体の上下方向(鉛直方向)に設けられ、貫通孔144の下側の開口が配線入口150となり、貫通孔144の上側の開口が配線出口152となる。
【0044】
上側の締結面120L、120Rには、位置確認用の目印が設けられている。これにより、該目印が上側となるようにモータ軸50をセットすることで、貫通孔144の配線出口152が上側となるようにセットすることが可能となり、モータ軸50をスイングアーム46Lに固定する際に、誤ってモータ軸50を固定する方向を間違えることがない。
【0045】
車体前方向かって右側のサイド部106Rには、ブレーキパネル154が設けられ、該サイド部106Rとブレーキパネル154とで形成される空間内には、制動用のブレーキドラム156が設けられる。ブレーキパネル154には、配線148が挿入可能な挿入孔158が設けられており、該挿入孔158には防水部材であるグロメット160が設けられている。配線148は、挿入孔158と、サイド部106Rとブレーキパネル154とで形成される空間とを通って、貫通孔144に挿入され、駆動用モータ58の固定子110に接続される。
【0046】
このように、モータ軸50の軸端より内側で、且つ、スイングアーム46L、46Rの内側に貫通孔144を設け、該貫通孔144に配線148を通すことで、駆動用モータ58への高圧配線に対して特別なカバーなどを設ける必要がなく、簡易な構造で運転者等の人や障害物から配線148を保護することができる。
【0047】
ブレーキパネル154に、配線148が挿入可能な挿入孔158を設け、配線148は、挿入孔158を通って前記貫通孔144に挿入され、挿入孔158にグロメット160を設けるようにしたので、駆動用モータ58内に水が浸水することを防止することができる。
【0048】
車体前方に向かって右側に貫通孔144を設けるようにしたので、運転者が貫通孔144側(右側)に立つことは殆どなく、高圧配線が運転者に与える影響の発生を抑えることができる。なお、日本国内では、車両は左側通行となるので、貫通孔144を車体前方に向かって右側に設けたが、車両が右側通行の場合は、貫通孔144を車体前方に向かって左側に設ける。
【0049】
貫通孔144の配線入口150をモータ軸50の下側に、貫通孔144の配線出口152をモータ軸50の上側にしたので、雨が降った場合や、電動二輪車10が水没した場合であっても、駆動用モータ58内に水が浸水することを防止することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態では、後輪WRのホイール56内に駆動用モータ58を設けるようにしたが、前輪WFのホイール56内に駆動用モータ58を設けてもよい。この場合は、車軸支持部は、フロントフォーク18L、18Rとなる。
【0051】
また、上記実施の形態では、ブレーキドラム156を車体前方に向かって右側に設けるようにしたが、車体前方に向かって左側に設けてもよい。図4は、ブレーキドラム156を車体前方に向かって左側に設けたときの図1のIII−III線矢視断面図である。
【0052】
[第2実施の形態]
次に、電動二輪車10用のモータ軸50の固定構造を説明する。図5は、図1に示すスイングアーム46Lの要部拡大図であり、図6は、図1に示すストッパ手段54Lを示す図である。図6Aは、ストッパ手段54Lの正面図、図6Bは、ストッパ手段54Lの背面図、図6Cは、ストッパ手段54Lの平面図である。
【0053】
モータ軸50の締結部位118Lは、ナット140Lによる車体側への締結を行うためのものであり、上述したように上側の締結面120Lと、下側の締結面122Lとを有する。この締結面120L、122Lは車体の前後方向に平行である。スイングアーム46Lは、アーム部200とエンドピース部202とを有し、エンドピース部202には、締結部位118Lの形状に合わせてモータ軸50の回転(回動)を規制し、車体後方に向かって開放している係合口204が設けられている。係合口204の幅方向の辺206a、206bは、車体前後方向に平行する一対の辺であり、該係合口204に締結部位118Lが挿入されるときに締結面120L、122Lと接触する。締結部位118Lは、締結面120L、122Lを有するので、スイングアーム46Lは、モータ軸50の回転反力を係合口204の辺206a、206bで受け止めることが可能となり、締結部位118Lを締めるナット140Lの締結力を維持することが可能となる。
【0054】
ストッパ手段54Lは、締結部位118Lが挿入される貫通部208と、スイングアーム46Lに設けられた第1嵌合孔210と係合する第1係合部212と、係合口204の車体後方の開放部分と嵌合する嵌合部214とを有する。貫通部208の幅方向の辺216a、216bは、車体前後方向に平行する一対の辺であり、該貫通部208に締結部位118Lが挿入されたときに締結面120L、122Lと接触する。
【0055】
モータ軸50を、スイングアーム46Lの係合口204の後方から挿入した後、このストッパ手段54Lをスイングアーム46Lのエンドピース部202に取り付けることで、モータ軸50のズレや脱落を防止することができる。また、嵌合部214は、ストッパ手段54Lのスイングアーム46Lに対する位置合わせを行うので、正確にストッパ手段54Lをスイングアーム46Lに取り付けることが可能となる。
【0056】
図7は、ストッパ手段54Lをスイングアーム46Lに取り付けて、モータ軸50を固定した状態を示す図である。図7に示すように、モータ軸50の締結部位118Lは、スイングアーム46Lの係合口204及びストッパ手段54Lの貫通部208に挿入されているので、ナット140Lに緩みが生じたとしても、貫通部208によって、モータ軸50の移動が規制されて、モータ軸50がスイングアーム46Lから脱落することを防止することができる。また、貫通部208の大きさをモータ軸50の締結部位118Lと同じ形状とすることで、モータ軸50のズレを防止することができる。
【0057】
このように、モータ軸50をスイングアーム46Lの係合口204の後方から挿入した後、ナット140Lを取り付ける前に、ストッパ手段54Lの第1係合部212をスイングアーム46Lの第1嵌合孔210に係合させながら、貫通部208にモータ軸50を挿入し、嵌合部214を係合口204の車体後方開放部分と嵌合させて、ナット140Lを締めるだけで、モータ軸50がスイングアーム46Lから脱落することがなく、簡易な構造で、モータ軸50が回転(回動)しないように固定することができる。
【0058】
また、締結部位118Lに一対の締結面120L、122Lを設けたので、駆動用モータ58の固定子110が受ける回転反力によってモータ軸50が回転しようとする力を、締結面120L、122Lと接触する係合口204及び貫通部208が有効に受け止めてナット140Lの締結力を維持することができ、仮にナット140Lが緩んだときであっても、廉価でシンプルな構造のストッパ手段54Lで、モータ軸50がスイングアーム46Lから脱落することなく、モータ軸50を固定することができる。
【0059】
[第2実施の形態の変形例]
なお、上記第2実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0060】
(第1変形例)図8Aは、第1変形例のスイングアーム46Lの要部拡大図であり、図8Bは、第1変形例のストッパ手段54Lの背面図、図8Cは、第1変形例のストッパ手段54Lの平面図である。上記第2実施の形態で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0061】
ストッパ手段54Lは、締結部位118Lが挿入される貫通部208と、スイングアーム46Lに設けられた第1嵌合孔210と係合する第1係合部212とを有し、さらに、スイングアーム46Lに設けられた第2嵌合孔220a、220bと係合する第2係合部222a、222bを有する。第1係合部212は、スイングアーム46Lの外側の面から第1嵌合孔210と係合し、第2係合部222a、222bは、スイングアーム46Lの内側の面から第2嵌合孔220a、220bに係合する。この第2係合部222a、222bは、ストッパ手段54Lのスイングアーム46Lに対する位置合わせを行う。
【0062】
まず、モータ軸50をスイングアーム46Lの係合口204の後方から挿入した後、ナット140Lを取り付ける前に、ストッパ手段54Lの第2係合部222a、222bをスイングアーム46Lの第2嵌合孔220a、220bに係合させながら、貫通部208にモータ軸50を挿入し、第1係合部212を第1嵌合孔210に係合させて、ナット140Lを締める。変形例1におけるストッパ手段54Lをスイングアーム46Lに取り付けて、モータ軸50を固定する。この固定した状態を図9に示す。これにより、モータ軸50がスイングアーム46Lから脱落することがないので、簡易な構造で、モータ軸50を固定することができる。
【0063】
(第2変形例)図10Aは、第2変形例のスイングアーム46Lの要部拡大図であり、図10Bは、第2変形例のストッパ手段54Lの背面図、図10Cは、第2変形例のストッパ手段54Lの平面図である。上記第2実施の形態で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0064】
ストッパ手段54Lは、締結部位118Lが挿入される貫通部208と、スイングアーム46Lに設けられた第1嵌合孔210と係合する第1係合部212と、係合口204の車体後方の開放部分と嵌合する嵌合部214と有し、さらに、ストッパ手段54Lをスイングアーム46Lに取り付けたときにモータ軸50方向に延出し、締結部位118Lの締結面120L、122Lと接触する一対の延出部224a、224bを有する。一対の延出部224a、224bは、締結面120L、122Lと略接触する接触面226a、226bを有し、接触面226a、226bは辺216a、216bと同一平面上にある。
【0065】
まず、モータ軸50をスイングアーム46Lの係合口204の後方から挿入した後、ナット140Lを取り付ける前に、ストッパ手段54Lの第1係合部212をスイングアーム46Lの第1嵌合孔210に係合させながら、間に締結部位118Lを挟むように延出部224a、224bを係合口204に挿入することで貫通部208にモータ軸50を挿入し、嵌合部214を係合口204の車体後方開放部分と嵌合させて、ナット140Lを締める。なお、第2変形例における係合口204の開口幅(係合口204の辺206a、206b間の距離)は、締結部位118Lの締結面120L、122L間の厚さより長い。
【0066】
図11は、第2変形例におけるストッパ手段54Lをスイングアーム46Lに取り付けて、モータ軸50を固定した状態を示す図である。図11に示すように、モータ軸50の締結部位118Lは、スイングアーム46Lの係合口204及びストッパ手段54Lの貫通部208に挿入され、一対の延出部224a、224bに挟まれている。このとき、一対の延出部224a、224bの接触面226a、226bは、締結部位118Lの締結面120L、122Lと略接触している状態となる。これにより、上記第2実施の形態における効果に加え、モータ軸50に発生する回転反力を一対の延出部224a、224bで受けることができるので、モータ軸50に発生する回転反力を受ける部分の面圧を低下させることができるとともに、回転反力を受ける部分の剛性を高くすることが可能となる。
【0067】
なお、上記第2実施の形態においては、モータ軸50に発生する回転反力を、係合口204の辺206a、206bと貫通部208の辺216a、216bとで受けていたので、該モータ軸50に発生する回転反力を受ける面積は、スイングアーム46Lの厚み及びストッパ手段54Lの厚みに依存することとなり、厚みが薄くなればなるほど面圧が高くなる。また、モータ軸50に発生する回転反力を受ける部分の剛性を高くするには、スイングアーム46Lのエンドピース部202全体及びストッパ手段54Lの剛性を高くする必要があり、第2変形例に比べ、高コストとなる。
【0068】
(第3変形例)上記第2変形例のスイングアーム46Lのエンドピース部202を以下のように変更してもよい。図12は、第3変形例におけるスイングアーム46Lの要部拡大図である。第3変形例では、第2変形例で示したストッパ手段54Lを用いる。上記第2実施の形態で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0069】
係合口204は、ストッパ手段54Lの一対の延出部224a、224bが嵌合する一対の凹部228a、228bを有する。この一対の凹部228a、228bの深さは、延出部224a、224bの厚さと同じ長さである。
【0070】
図13は、第3変形例におけるスイングアーム46Lにストッパ手段54Lを取り付けて、モータ軸50を固定した状態を示す図である。図13に示すように、モータ軸50の締結部位118Lは、スイングアーム46Lの係合口204及びストッパ手段54Lの貫通部208に挿入され、一対の延出部224a、224bに挟まれている。このとき、一対の延出部224a、224bは、係合口204の凹部228a、228bに嵌合され、一対の延出部224a、224bの接触面226a、226bは、締結部位118Lの締結面120L、122Lと略接触している状態となる。
【0071】
これにより、上記第2実施の形態における効果に加え、モータ軸50に発生する回転反力を一対の延出部224a、224bで受けることができるので、モータ軸50に発生する回転反力を受ける部分の面圧を低下させることができるとともに、回転反力を受ける部分の剛性を高くすることが可能となる。
【0072】
また、係合口204の凹部228a、228bに一対の延出部224a、224bを嵌合させた場合、係合口204の凹部228a、228bが設けられていない辺206a、206bと、一対の延出部224a、224bの接触面226a、226bとは同一平面上にある。したがって、延出部224a、224bがある場所から締結部位118Lがずれた場合であっても、係合口204の辺206a、206bが締結部位118Lの締結面120L、122Lと接触するので、係合口204の辺206a、206bが、モータ軸50に発生する回転反力を受けることができ、ナット140Lの締結力を維持することができる。また、延出部224a、224bを凹部228a、228bに嵌合させるので、ストッパ手段54Lのスイングアーム46Lに対する位置決めが容易になる。
【0073】
なお、上記第2実施の形態及び第1〜3変形例においては、モータ軸50の締結部位118Lの固定を、スイングアーム46Lとストッパ手段54Lとを用いて説明したが、締結部位118Rの固定についても同様なので説明を省略する。つまり、締結部位118Rの固定は、スイングアーム46Lと、ストッパ手段54Lと同様の機能を有するストッパ手段54Rを用いて行うことができる。
【0074】
[第3実施の形態]
次に、図14は、電動二輪車10と充電器250との充電システムの電気的構成を示す図である。電動二輪車10は、バッテリ24と、雌コネクタである車体側充電コネクタ90と、電動二輪車10の電源スイッチ252と、連動スイッチ254とを有し、充電器250は、雄コネクタである充電器側コネクタ256と充電器本体258とを有する。
【0075】
バッテリ24は、12Vの電池モジュールが直列に接続された電池パック260と、電池パック260の+側に接続されたヒューズ262とを有する。電源スイッチ252は、バッテリ24の正極に接続されている。
【0076】
車体側充電コネクタ90には、バッテリ24の正極側に接続される正極入力部264と、バッテリ24の負極側に接続される負極入力部266とを有する。負極入力部266は、第1負極入力部266aと第2負極入力部266bとを有する。連動スイッチ254は、バッテリ24の負極側と第2負極入力部266bとの間に設けられ、電源スイッチ252がオフの時にオンになり、電源スイッチ252がオンの時にオフになる電源スイッチ252と連動するスイッチである。
【0077】
充電器側コネクタ256には、充電器本体258の正極側に接続される正極出力部268と、充電器本体258の負極側に接続される負極出力部270とを有する。正極出力部268は、正極入力部264に接続される第1正極出力部268aと、第2負極入力部266bに接続される第2正極出力部268bとを有する。なお、負極出力部270は、第1負極入力部266aに接続される。
【0078】
第1正極出力部268a及び第2正極出力部268bと充電器本体258の正極側との間には、リレー回路272が設けられている。リレー回路272は、コイル274とリレースイッチ(常開リレースイッチ)276とを有し、第1正極出力部268aと第2正極出力部268bとは、コイル274を介装して接続されており、第1正極出力部268aと充電器本体258の正極側との間にはリレースイッチ276が設けられている。
【0079】
以上のような構成を有する充電システムにおいて、充電器側コネクタ256を車体側充電コネクタ90に接続した状態で、電源スイッチ252をオフにすると、連動スイッチ254がオンになる。連動スイッチ254がオンになると、正極入力部264及び第1正極出力部268aと、第2負極入力部266b及び第2正極出力部268bとを介して、バッテリ24からの電流がコイル274に印加される。つまり、正極入力部264及び第1正極出力部268aを介して電流がコイル274に流れ、第2正極出力部268b及び第2負極入力部266bを介して該流れた電流がバッテリ24に戻る。これにより、コイル274が励磁されてリレースイッチ276がオンになる。リレースイッチ276がオンになることで、充電器本体258からの電力が充電器側コネクタ256及び車体側充電コネクタ90を介してバッテリ24に供給され、バッテリ24が充電される。また、電源スイッチ252がオンになると、連動スイッチ254はオフとなり、コイル274に電流が流れなくなる。したがって、電源スイッチ252がオンになると、リレースイッチ276がオフになり、バッテリ24の充電を行うことはできない。
【0080】
このように、電動二輪車10の電源スイッチ252をオフにしなければ、充電を行うことができないようにしたので、特別な注意を払うことなく充電を行うことができる。また、高価な切換スイッチは不要であり、リレースイッチ276は電圧制御が可能な充電器250側に設けられているので、安価なものを採用することもでき充電システムを二輪車のような廉価な車両に適した安価なシステムとして提供することができる。元々、充電器250側には、耐電圧性の高い部品を備えるので、充電器本体258側に設けられるコイル274は耐電圧性の高い部品となり、車体側に耐電圧性の高い部品を備える必要がなく、安価な充電システムを提供することが出来る。
【0081】
また、車体側充電コネクタ90を雌コネクタとすることで、人の指等の外部導体が、正極入力部264と、第1負極入力部266a又は第2負極入力部266bとに接触し難くなり、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0082】
また、充電器側コネクタ256が、電源スイッチ252がオフになっている車体側充電コネクタ90に接続されなければ、リレースイッチ276がオンになることはないので、充電器側コネクタ256の第1正極出力部268a又は第2正極出力部268bと、負極出力部270とが外部導体と接触した場合であっても、外部導体に電流が流れることはない。
【0083】
[第3実施の形態の変形例]
なお、上記第3実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0084】
(第1変形例)図15は、第1変形例の充電システムの電気的構成を示す図である。なお、上記第3実施の形態で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0085】
第1変形例では、バッテリ24の負極側と第2負極入力部266bとの間に連動スイッチ254を設けるとともに、バッテリ24の負極側と第1負極入力部266aとの間にも連動スイッチ(第2の連動スイッチ)280を設ける。
【0086】
上記第3実施の形態では、正極入力部264とバッテリ24の正極側とが常時接続され、第1負極入力部266aとバッテリ24の負極側とが常時接続された状態にある。したがって、外部導体が正極入力部264及び第1負極入力部266aと接触した場合、外部導体に電流が流れてしまう。
【0087】
しかしながら、第1変形例では、バッテリ24の負極側と第1負極入力部266aとの間にも連動スイッチ280を設けるので、電源スイッチ252がオンの状態時には、バッテリ24の負極側と、第1負極入力部266a及び第2負極入力部266bとは電気的に遮断されているので、外部導体が正極入力部264と、第1負極入力部266a又は第2負極入力部266bとに接触した場合であっても、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0088】
なお、連動スイッチ280を、バッテリ24の正極側と正極入力部264との間に設けるようにしてもよい。この場合であっても、電源スイッチ252がオンの状態時には、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0089】
(第2変形例)図16は、図14に示す車体側充電コネクタ90のXVI−XVI線矢視断面の一例を示す図である。なお、上記第3実施の形態で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0090】
車体側充電コネクタ90は、充電器側コネクタ256の第1正極出力部268a、第2正極出力部268b、及び負極出力部270が挿入可能な第1開口部290、第2開口部292、及び第3開口部294とを有する。
【0091】
車体側充電コネクタ90の正極入力部264は第1開口部290の奥側に、第1負極入力部266aは第3開口部294の奥側に、第2負極入力部266bは第2開口部292の奥側に、それぞれ配置される。
【0092】
第2開口部292及び第3開口部294の入口内付近には、前記外部導体と、第2負極入力部266b及び第1負極入力部266aとの接触を制限する規制部材300a、300bが設けられている。つまり、規制部材300aは、第2開口部292と第2負極入力部266bとの間に設けられ、規制部材300bは、第3開口部294と第1負極入力部266aとの間に設けられる。
【0093】
規制部材300a、300bは、樹脂又は弾性部材(例えば、ゴム)であり、互いに離間して設けられた第1部材302a、302bと第2部材304a、304bとを有する。第1部材302a、302bと第2部材304a、304bとの離間距離は、第2正極出力部268b及び負極出力部270の厚さDより短く、規制部材300a、300bは、第2開口部292、第3開口部294に挿入される第2正極出力部268b、負極出力部270に対して摩擦抵抗を有する。
【0094】
したがって、使用者が意図して、車体側充電コネクタ90に充電器側コネクタ256を接続しない限り、第1正極出力部268a、第2正極出力部268b、及び負極出力部270は、正極入力部264、第2負極入力部266b、及び第1負極入力部266aと接続されないので、車体側充電コネクタ90と充電器側コネクタ256とが接続状態にならない。
【0095】
このように、第2負極入力部266b、第1負極入力部266aと、第2開口部292、第3開口部294との間に規制部材300a、300bを設けるので、外部導体が第1負極入力部266a又は第2負極入力部266bに接触する可能性がさらに減り、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0096】
なお、第2開口部292及び第3開口部294の入口内付近に規制部材300a、300bを設けずに、正極入力部264と第1開口部290との間に(第1開口部290の入口内付近に)、規制部材300(300a又は300b)を設けるようにしてもよい。
【0097】
図17は、図14に示す車体側充電コネクタ90のXVI−XVI線矢視断面の他の例を示す図である。なお、上記図16で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0098】
第2開口部292及び第3開口部294の入口内付近には、前記外部導体と、第2負極入力部266b及び第1負極入力部266aとの接触を制限する規制部材310a、310bが設けられている。つまり、規制部材310aは、第2開口部292と第2負極入力部266bとの間に設けられ、規制部材310bは、第3開口部294と第1負極入力部266aとの間に設けられる。
【0099】
規制部材310a、310bは、バネ部材であり、互いに離間して設けられた第1部材312a、312bと第2部材314a、314bとを有する。第1部材312a、312b及び第2部材314a、314bは、皿バネ等の弾性部材であればよく、金属で構成されていてもよい。第1部材312a、312bと第2部材314a、314bとの離間距離は、第2正極出力部268b及び負極出力部270の厚さDより短く、規制部材310a、310bは、第2開口部292、第3開口部294に挿入される第2正極出力部268b、負極出力部270に対して摩擦抵抗を有する。
【0100】
したがって、使用者が意図して、車体側充電コネクタ90に充電器側コネクタ256を接続しない限り、第1正極出力部268a、第2正極出力部268b、及び負極出力部270は、正極入力部264、第2負極入力部266b、及び第1負極入力部266aと接続されないので、車体側充電コネクタ90と充電器側コネクタ256とが接続状態にならない。なお、規制部材310a、310bが金属等の導電性部材で構成される場合は、規制部材310aと第2負極入力部266bとは非接続であり、規制部材310bと第1負極入力部266aとは非接続である。
【0101】
このように、第2負極入力部266b、第1負極入力部266aと、第2開口部292、第3開口部294との間に規制部材310a、310bを設けるので、外部導体が第1負極入力部266a又は第2負極入力部266bに接触する可能性がさらに減り、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0102】
なお、第2開口部292及び第3開口部294の入口内付近に規制部材310a、310bを設けずに、正極入力部264と第1開口部290との間に(第1開口部290の入口内付近に)、規制部材310(310a又は310b)を設けるようにしてもよい。
【0103】
(第3変形例)第2変形例では、規制部材300aを、第2開口部292及び第2負極入力部266bとの間に、規制部材300bを、第3開口部294及び第1負極入力部266aとの間に設けるようにしたが、第3変形例では、規制部材300cを、第1開口部290と正極入力部264との間に設ける。
【0104】
図18は、第3変形例の図14に示す車体側充電コネクタ90のXVI−XVI線矢視断面の一例を示す図である。なお、図16で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0105】
第1開口部290の入口内付近には、前記外部導体と、正極入力部264との接触を制限する規制部材300cが設けられている。つまり、規制部材300cは、第1開口部290と正極入力部264との間に設けられる。規制部材300cは、樹脂又は弾性部材(例えば、ゴム)であり、互いに離間して設けられた第1部材302cと第2部材304cとを有する。第1部材302cと第2部材304cとの離間距離は、第1正極出力部268aの厚さDより短く、規制部材300cは、第1開口部290に挿入される第1正極出力部268aに対して摩擦抵抗を有する。
【0106】
したがって、使用者が意図して、車体側充電コネクタ90に充電器側コネクタ256を接続しない限り、第1正極出力部268a、第2正極出力部268b、及び負極出力部270は、正極入力部264、第2負極入力部266b、及び第1負極入力部266aと接続されないので、車体側充電コネクタ90と充電器側コネクタ256とが接続状態にならない。
【0107】
このように、正極入力部264と第1開口部290との間に規制部材300cを設けるので、外部導体が正極入力部264に接触する可能性がさらに減り、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0108】
なお、第2開口部292、及び第3開口部294、及び第1開口部290の全ての入口内付近に規制部材300a、300b、300cを設けるようにしてもよい。
【0109】
図19は、第3変形例の図14に示す車体側充電コネクタ90のXVI−XVI線矢視断面の他の例を示す図である。なお、上記図17で示した構成と同様の構成については同一の符号を付す。
【0110】
第1開口部290の入口内付近には、前記外部導体と、正極入力部264との接触を制限する規制部材310cが設けられている。つまり、規制部材310cは、第1開口部290と正極入力部264との間に設けられる。規制部材310cは、バネ部材であり、互いに離間して設けられた第1部材312cと第2部材314cとを有する。第1部材312c及び第2部材314cは、皿バネ等の弾性部材であればよく、金属で構成されていてもよい。第1部材312cと第2部材314cとの離間距離は、第1正極出力部268aの厚さDより短く、規制部材310cは、第1開口部290に挿入される第1正極出力部268aに対して摩擦抵抗を有する。
【0111】
したがって、使用者が意図して、車体側充電コネクタ90に充電器側コネクタ256を接続しない限り、第1正極出力部268a、第2正極出力部268b、及び負極出力部270は、正極入力部264、第2負極入力部266b、及び第1負極入力部266aと接続されないので、車体側充電コネクタ90と充電器側コネクタ256とが接続状態にならない。なお、規制部材310cが金属等の導電性部材で構成される場合は、規制部材310cと正極入力部264とは非接続である。
【0112】
このように、正極入力部264と、第1開口部290との間に規制部材310cを設けるので、外部導体が正極入力部264に接触する可能性がさらに減り、外部導体に電流が流れることを防止することができる。
【0113】
なお、第2開口部292、及び第3開口部294、及び第1開口部290の全ての入口内付近に規制部材310a、310b、310cを設けるようにしてもよい。
【0114】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0115】
10…電動二輪車 18L、18R…フロントフォーク
24…バッテリ 46L、46R…スイングアーム
50…モータ軸(車軸) 54L、54R…ストッパ手段
56…ホイール 58…駆動用モータ
90…車体側充電コネクタ 92…蓋部
100…タイヤ 102…リム部
104…本体部 106L、106R…サイド部
110…固定子 112…回転子
114…固定部 116L、116R…サイド支持部
118L、118R…締結部位 120L、120R、122L、122R…締結面
124L、124R…ベアリング
126L、126R、128L、128R、132、142…突き当て部
140L、140R…ナット 144…貫通孔
146、274…コイル 148…配線
150…配線入口 152…配線出口
154…ブレーキパネル 156…ブレーキドラム
158…挿入孔 160…グロメット
200…アーム部 202…エンドピース部
204…係合口 208…貫通部
210…第1嵌合孔 212…第1係合部
214…嵌合部 220a、220b…第2嵌合孔
222a、222b…第2係合部 224a、224b…延出部
226a、226b…接触面 228a、228b…凹部
250…充電器 252…電源スイッチ
254…連動スイッチ 256…充電器側コネクタ
258…充電器本体 264…正極入力部
266…負極入力部 266a…第1負極入力部
266b…第2負極入力部 268…正極出力部
268a…第1正極出力部 268b…第2正極出力部
270…負極出力部 272…リレー回路
276…リレースイッチ 280…連動スイッチ
290…第1開口部 292…第2開口部
294…第3開口部
300a、300b、300c、310a、310b、310c…規制部材
302a、302b、302c、312a、312b、312c…第1部材
304a、304b、304c、314a、314b、314c…第2部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール(56)内に走行用のインホイール型の駆動用モータ(58)を備え、前記駆動用モータ(58)の車軸であるモータ軸(50)は、その両端が車軸支持部(18L、18R、46L、46R)にて回動不能に車体に固定され、前記ホイール(56)内での前記モータ軸(50)に固定子(110)が固定され、前記ホイール(56)の内側に回転子(112)が固定され、前記モータ軸(50)内を通して前記固定子(110)に結線を行う電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記モータ軸(50)の軸端より内側で、且つ前記車軸支持部(18L、18R、46L、46R)の内側にて前記モータ軸(50)に貫通孔(144)を設け、該貫通孔(144)を通して前記固定子(110)と結線を行うように形成された
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記ホイール(56)は、少なくともタイヤ(100)を保持するリム部(102)を有する本体部(104)と、前記モータ軸(50)の軸方向から前記本体部(104)に取り付けられるサイド部(106R)とを有する分割ホイールであり、
前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)の配線入口(150)は、前記サイド部(106R)の外側に設けられており、前記貫通孔(144)の配線出口(152)は、前記サイド部(106R)の内側に設けられている
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項3】
請求項2に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記サイド部(106R)と前記モータ軸(50)との間に、前記ホイール(56)を回転可能に支持する回転支持部材(124R)が設けられ、
前記回転支持部材(124R)の軸方向外側は、前記サイド部(106R)に形成されたサイド部側突き当て部(126R)に当接され、
前記回転支持部材(124R)の軸方向内側は、前記モータ軸(50)に形成されたモータ軸側突き当て部(128R)に当接され、
前記モータ軸側突き当て部(128R)は、前記モータ軸(50)の前記回転支持部材(124R)が設けられる場所の径より大きく形成されており、
前記配線出口(152)は、前記モータ軸側突き当て部(128R)より内側に設けられている
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記モータ軸(50)の前記配線出口(152)より軸方向内側に前記固定子(110)を固定する固定部(114)が形成されており、前記固定部(114)の径は、前記モータ軸側突き当て部(128R)の径より小さい
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記貫通孔(144)が設けられる側の前記サイド部(106R)とブレーキパネル(154)とで形成される空間内に制動用のブレーキドラム(156)が設けられ、
前記ブレーキパネル(154)には、前記固定子(110)と結線される配線(148)が挿入可能な挿入孔(158)が設けられ、
前記配線(148)は、前記挿入孔(158)及び前記空間を通して、前記貫通孔(144)に挿入され、
前記挿入孔(158)には防水部材(160)が設けられている
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項6】
請求項5に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記車体前方に向かって右側に、前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)を形成するとともに前記ブレーキドラム(156)を設ける
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)は、車体前方に向かって右側に形成されている
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記車軸支持部(46L、46R)は、後輪支持用のスイングアームである
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記車軸支持部(18L、18R)は、前輪支持用のフロントフォークである
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の電動車両用のモータ軸(50)の配線構造であって、
前記モータ軸(50)の前記貫通孔(144)は、前記車体の上下方向に形成され、
前記貫通孔(144)の下側の開口が前記配線入口(150)であり、上側の開口が前記配線出口(152)である
ことを特徴とする電動車両用のモータ軸(50)の配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−206709(P2012−206709A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21443(P2012−21443)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】