説明

電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置

【課題】 インバータ運転時でも、ゲート駆動回路や電源回路のコンデンサを過電圧で破壊してしまう虞がなく、分圧抵抗が小耐電力容量ですむ電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置を提供する。
【解決手段】 直列接続されて主回路を構成する複数のIGBT31と、該IGBT31のゲートにゲート信号を供給するゲート駆動回路32と、IGBT31の端子間に並列接続され主回路からゲート駆動回路32に電力を供給する電源回路33と、該電源回路33に設けられ第1の分圧抵抗34を介して主回路から供給された電力を蓄積するコンデンサ37を備えた制御装置で、電源回路33には、第1の分圧抵抗34とコンデンサ37の間に直列に第2の分圧抵抗35と逆流阻止用ダイオード36が設けられ、かつ第2の分圧抵抗35に並列にスイッチ39が設けられていると共に、コンデンサ37の端子間に並列に過電圧検出器38が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続された電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、電圧駆動型半導体スイッチング素子、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)は、電鉄車両用や産業用のインバータ、無停電電源装置におけるインバータ等の電力変換装置に用いられており、3相交流を直流変換する電力変換装置では、3相のブリッジを構成している6つのアームそれぞれに、通常は主回路を構成するよう複数個が直列に接続されている。そして、各IGBTの制御は、ホトカプラ等を介して入力された制御入力に基づき動作するゲート駆動回路を備えた制御装置によって行われる。
【0003】
こうした電力変換装置におけるIGBTの制御装置には、分圧抵抗を用いてゲート駆動回路の電源を主回路から給電し、回路の小型化を図ったものがある(例えば、非特許文献1参照)。そして、この非特許文献1に示された第1の従来技術のものは、ブリッジの各アームが、図5に示す構成となっている。
【0004】
すなわち、図5において、1は主回路を構成するIGBTであり、2はIGBT1のゲートドライブ回路であり、3,4はIGBT1に並列に設けられたゲートドライブ回路2の電源を構成する直列接続された分圧抵抗とコンデンサである。またゲートドライブ回路2は、信号増幅器5と、コンデンサ4の両極間に接続され電圧を安定化して信号増幅器5に電力を供給する自動電圧調整器(AVR)6とで構成され、信号増幅器5には、図示しない制御信号源からオン、オフの光信号Sが入力端7に入力され、信号増幅器5からは、IGBT1のゲートにゲート信号が出力され、IGBT1のオン、オフの動作が制御される。
【0005】
なお、IGBT1のコレクタとエミッタには、コレクタにカソード、エミッタにアノードを接続するようにしてダイオード8が逆並列に接続されており、さらに、スナバコンデンサ9とスナバ抵抗10を直列接続してなるスナバ回路11が接続されている。また、VgeはIGBT1のゲート、エミッタ間電圧、Vqはエミッタ、コレクタ間電圧(素子電圧)であり、icはコンデンサ4を流れる電流、Vcはコンデンサ4の端子電圧である。
【0006】
そして、ゲートドライブ回路2の電源では、直列接続されたIGBT1の漏れ電流のばらつきによる素子電圧分担不平衡を抑制するために、IGBT1と並列に分圧抵抗3を設け、IGBT1がオフしている期間に流れる電流をコンデンサ4に蓄えて平滑を行い、さらに、AVR6でコンデンサ4に蓄えられたエネルギをゲート駆動に必要な電流、電圧に変換し、ゲートドライブ回路2に供給するようになっている。ゲートドライブ回路2によるIGBT1のゲート駆動には、数W程度の電力を必要とするにすぎないために、分圧抵抗3を通常流れる数10mA程度の電流であっても、IGBT1のゲートを駆動することができる。
【0007】
しかしながら、上記の回路では、次のような問題がある。1つは、インバータでは、パルスオフ時に、個々のIGBT1に中間電圧であるEdc/[(IGBTの直列数)×2]の電圧が印加されるが、このような状態においてもゲートドライブ回路2がIGBT1のゲート駆動に必要な電力を供給可能なように、分圧抵抗3の抵抗値を選定しなければならない。このため、インバータ運転時(IGBT1がスイッチングしている時)には、ゲート駆動に必要な電力以上の電力が分圧抵抗3を介してコンデンサ4に供給されるため、コンデンサ4の端子電圧Vcが上昇し、コンデンサ4やゲートドライブ回路2が過電圧破壊する虞が生じる。
【0008】
こうしたゲートドライブ回路2の電源を構成するコンデンサ4や、ゲートドライブ回路2が過電圧破壊してしまう虞をなくすために、電源のコンデンサ4の端子電圧Vcが破壊電圧に至らないように監視する過電圧検出器を、コンデンサの端子間に設けるようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)。そして、この特許文献1に示された第2の従来技術のものは、同様に、ブリッジの各アームが、図6に示す構成となっている。なお、第1の従来技術と同一部位には同符号を付して示す。
【0009】
すなわち、図6において、12はIGBT1のゲート駆動回路であり、13はIGBT1に並列に設けられたゲート駆動回路12の電源回路で、電源回路13は直列接続された分圧抵抗14、ダイオード15、コンデンサ16と、コンデンサ16の端子間に接続され端子電圧Vc1を監視する過電圧検出器17と、直列接続されているダイオード15とコンデンサ16に対し並列に接続された直列接続状態の放電抵抗18、スイッチ19とにより構成され、スイッチ19は過電圧検出器17によって開閉動作が制御され、常時は開状態になっている。
【0010】
さらに、ゲート駆動回路12は、電源回路13のコンデンサ16の端子電圧Vc1を他の直流電圧に変換するDC/DCコンバータ20から電力の供給を受け、また入力端7には、図示しない制御信号源からオン、オフの光信号Sが入力される。そして、ゲート駆動回路12からは、IGBT1のゲートにゲート信号が出力され、IGBT1のオン、オフの動作が制御される。なお、IGBT1のコレクタ、エミッタ間には、ダイオード8が接続されている。なおまた、VR2は放電抵抗18の端子電圧である。
【0011】
このように構成されたものでは、IGBT1がオフ動作している期間に、分圧抵抗14とダイオード15を介してコンデンサ16が充電される。そして、コンデンサ16に充電された電荷は、DC/DCコンバータ20において、ゲート駆動回路12が行うIGBT1のゲート駆動動作に必要な電流、電圧に変換され、これによってIGBT1のゲート駆動が実行される。また、分圧抵抗14については、直列接続されている各IGBT1のそれぞれの電圧分担を均等にするために必要な電流を流すと共に、インバータがパルスオフしている時にIGBT1に印加される電圧である中間電圧のEdc/[(IGBTの直列数)×2]において、ゲート駆動回路12のゲート駆動動作に必要な電力が供給可能であるような抵抗値に設定される。
【0012】
よって、インバータのパルスオフ時に、分圧抵抗14を介してコンデンサ16に供給される電流Ioffは、
Ioff={ Edc/[(IGBTの直列数)×2−Vc1] }/R1 ‥‥(1)式
但し、Vc1:コンデンサ16の端子電圧
R1 :分圧抵抗14の抵抗値
になる。
【0013】
また、インバータ運転時に、分圧抵抗14を介してコンデンサ16に供給される電流Ionは、
Ion={ Edc/[(IGBTの直列数)−Vc1] }/R1×D ‥‥(2)式
但し、D:IGBTのオン、オフのデューティ比、D=0.5
になる。
【0014】
すなわち、上記(1)式と(2)式とから、インバータ運転時には、パルスオフ時に比べて、約2倍の電流が分圧抵抗14を介してコンデンサ16に供給されることになり、その結果、コンデンサ16の端子電圧Vc1が上昇して過電圧となる。そのため、過電圧検出器17によってコンデンサ16の端子電圧Vc1を監視し、その値が予め設定した設定電圧値Va以上になったら、スイッチ19を閉動作させ、放電抵抗18を回路に投入する。このとき、放電抵抗18の電圧VR2が設定電圧値Va以下となるように放電抵抗18の抵抗値を選んでおくことによって、コンデンサ16への充電は停止する。
【0015】
つまり、放電抵抗18の回路への投入によって充電は停止されると共に、ダイオード15によりコンデンサ16に蓄えられた電荷は放電抵抗18を介して放電することがなく、不必要な充放電が行われない。その後、コンデンサ16の端子電圧Vc1が低下したらスイッチ19を開動作させ、放電抵抗18を開放して再びコンデンサ16の充電を開始する。
【0016】
しかし、上記のような構成では、次のような問題が考えられる。すなわち、コンデンサ16が過電圧になった時にスイッチ19を閉動作させるので、過電圧の抑制の目的は果たすものの、分圧抵抗14にはパルスオフ時の2倍の電流が流れることになり、このため分圧抵抗14の抵抗容量は大きなものでなくてはならず、IGBT1の分圧抵抗としては必要以上の耐電力量を有するものでなければならない回路構成になってしまう。
【0017】
また、図5に示す第1の従来技術においては、直列接続するIGBT1間の電圧を均一化するために、スナバコンデンサ9とスナバ抵抗10とによるスナバ回路11を使用している。こうしたものでは、IGBT1間の電圧を均一化するためスナバ抵抗10の抵抗値を小さくすることや、スナバコンデンサ9の静電容量を大きくすることが行われるが、これらは均一化の役割を果たすものの、一方では回路の大型化、損失の増加という問題が生じる。こうしたスナバ回路11を小型化する問題に対しては、さらに別の提案がある。(例えば、特許文献2参照)。そして、この特許文献2に示された第3の従来技術のものは、直列接続された複数個の電圧駆動型半導体スイッチング素子と、電圧駆動型半導体スイッチング素子の主端子間にそれぞれ並列接続された分圧抵抗回路と、電圧駆動型半導体素子をオンオフするために電圧駆動型半導体スイッチング素子のゲート端子にゲート信号を供給するゲート駆動回路とからなる半導体スイッチ回路において、分圧抵抗回路それぞれの合成抵抗値をゲート信号に基づいて変化させ、簡単な回路で素子間の電圧を均一化するもので、同様に分圧抵抗を有する第2の従来技術の回路にも適用可能である。
【0018】
しかし、第3の従来技術のものでは、分圧抵抗回路の合成抵抗値をゲート信号に基づいて変化させるので、直列接続の電圧駆動型半導体スイッチング素子間にゲート信号によらない電圧アンバランスが生じた場合、電圧駆動型半導体スイッチング素子やこれに並列接続されたダイオードのオフ時の漏れ電流による電圧アンバランスが改善されることはない。
【0019】
以下、第3の従来技術の電圧駆動型半導体スイッチング素子が2つ直列接続されている2レベルインバータの1相分の回路要部を示す図7を用い、ゲート信号によらない電圧アンバランスについて説明する。すなわち、図7において、21a,21bはブリッジの上アームと下アームであり、上アーム21aは、直列接続した2つの電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2によって主回路が構成され、下アーム21bは、同じく直列接続した2つの電圧駆動型半導体スイッチング素子1b1,1b2によって主回路が構成されている。
【0020】
また、22a1,22a2,22b1,22b2は各電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2のゲート駆動回路であり、23a1,23a2,23b1,23b2は各電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2のエミッタ、コレクタ間に並列に接続された分圧抵抗回路を構成する分圧抵抗である。なお、分圧抵抗回路を構成する他の素子は省略してある。さらに、24a1,24a2,24b1,24b2は同じく各エミッタ、コレクタ間に、エミッタにアノード、コレクタにカソードを接続するようにして逆並列に接続されたダイオードであり、Edは電源電圧である。
【0021】
そして、このように構成された回路における各電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2に対するオンオフ指令Sa,Sb、電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2及びダイオード24b1,24b2を流れる負荷電流L、エミッタ、コレクタ間の素子電圧Vqa,Vqbの概略は、図8に示す通りとなっている。また図8において、上アーム21aの電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2が、T1のタイミングでターンオフ動作をする際に、一方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1が他方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a2よりも早いタイミングでオフした時の各部の波形は、図9に示す通りとなる。
【0022】
すなわち、図9において、モードTa1はスイッチング過渡状態の期間を示し、モードTa2はスイッチング過渡状態から定常状態に移行する期間を示していて、各期間の各部の波形を見ると、モードTa1の期間では、一方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1が先にターンオフ動作を開始しても、この開始時点よりΔtの期間の間は、他方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a2は未だオン状態にあることから、一方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1の素子電圧Vqa1のみが上昇し、2つの電圧駆動型半導体素子1a1,1a2間で電圧のアンバランスが生じる。なお、図中のVgea1,Vgea2は、電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2のゲート電圧を示す。
【0023】
また、スイッチング過渡状態を過ぎ定常状態に移行するモードTa2の期間における電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2の素子電流Ica1,Ica2であるテイル電流に差があり、その差が大きく、電流のアンバランスが大きい状態であると、テイル電流が少ない方の一方の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1の素子電圧Vqa1をより上昇させてしまう。
【0024】
さらに、図10は下アーム21bの電圧駆動型半導体スイッチング素子1b1,1b2が、オン状態からオフ状態に移行する際の各部の波形を示すもので、電流は下アーム21b側のダイオード24b1,24b2を流れているので、電圧駆動型半導体スイッチング素子1b1,1b2に対するオンオフ指令Sa,Sbのオフ指令Sbでは電圧駆動型半導体スイッチング素子1b1,1b2の素子電圧Vqb1,Vqb2は上昇せず、上アーム21a側の電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2がオン状態になることによって素子電圧Vqb1,Vqb2は上昇を始める。
【0025】
また、上記と同様に、スイッチング過渡状態の期間をモードTb1とし、スイッチング過渡状態から定常状態に移行する期間をモードTb2としたとき、モードTb2ではダイオード24b1,24b2のダイオード電流Idb1,Idb2であるリカバリテイル電流のアンバランスが大きいと、リカバリテイル電流の少ないダイオード24b1の素子電圧Vqb1をより上昇させてしまう。
【0026】
よって、第3の従来の技術の方式では、分圧抵抗回路の合成抵抗値の変化期間を設定するにあたり、図9では電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2の上下アーム21a,21bのデッドタイム期間td1程度とするのに対し、図9では電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2の上下アーム21a,21bのデッドタイム期間td2に、電流値により変化するリカバリテイル期間(図10のモードTb1)とダイオードの素子特性によるアンバランス制定時間(図10のモードTb2)を考慮した時間をゲート信号に基づいて変化させなければならないので、時間設定が難しく、ゲート信号に基づき変化させた場合は、電圧アンバランスが改善される前に合成抵抗値の変化を停止してしまう可能性がある。
【0027】
さらに、合成抵抗値が電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2のターンオフ期間の途中で高くなることは、電圧駆動型半導体スイッチング素子1a1,1a2,1b1,1b2や、ダイオード24a1,24a2,24b1,24b2の漏れ電流のばらつきによる電圧アンバランスが生じた場合、この時には電圧アンバランスを改善することができない。
【非特許文献1】平成11年電気学会全国大会 発表論文1009 「IGBT変換器用ゲート電源の主回路給電方式」 上田茂太、森和久、伊予谷隆二著
【特許文献1】特開2002−281737号公報
【特許文献2】特開2003−189590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは、直列接続された主回路の電圧駆動型半導体スイッチング素子に並列接続された分圧抵抗、コンデンサを用いて主回路から非絶縁で電力を供給する自己給電式のゲート駆動回路を有する電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置で、電力変換装置等におけるインバータ運転時においても、ゲート駆動回路やその電源回路のコンデンサが過電圧で破壊されてしまう虞がなく、さらに分圧抵抗の耐電力容量が小さくてよい制御装置を提供することにあり、
また、直列接続された主回路の電圧駆動型半導体スイッチング素子に並列な分圧抵抗値を可変としたゲート駆動回路を有する電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置で、時間制約を受けることなく、より確実に半導体スイッチング素子間における素子電圧のアンバランスを抑制することができ、さらに抵抗ロスを低減することができる制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置は、
直列接続されて主回路を構成する複数の電圧駆動型半導体スイッチング素子と、該電圧駆動型半導体スイッチング素子のゲートにゲート信号を供給するゲート駆動回路と、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に並列接続され前記主回路から前記ゲート駆動回路に電力を供給する電源回路と、該電源回路に設けられ第1の分圧抵抗を介して前記主回路から供給された電力を蓄積するコンデンサを備えた電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置において、
前記電源回路には、前記第1の分圧抵抗と前記コンデンサの間に直列に第2の分圧抵抗と逆流阻止用ダイオードが設けられ、かつ前記第2の分圧抵抗に並列にスイッチが設けられていると共に、前記コンデンサの端子間に並列に過電圧検出器が設けられていることを特徴とするものであり、
さらに、前記過電圧検出器が、前記コンデンサの端子電圧が予め設定した所定電圧以上となった時に、前記第2の分圧抵抗を前記電源回路に投入するよう前記スイッチを制御することを特徴とするものであり、
また、直列接続されて主回路を構成する複数の電圧駆動型半導体スイッチング素子と、該電圧駆動型半導体スイッチング素子のゲートにゲート信号を供給するゲート駆動回路と、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に逆並列に接続されたダイオードと、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に並列接続された分圧抵抗回路を備えた電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置において、
前記分圧抵抗回路には、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に、分圧抵抗、直列接続された抵抗及びスイッチ、前記スイッチを制御する過電圧検出器がそれぞれ並列に接続されていることを特徴とするものであり、
さらに、前記過電圧検出器が、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間の電圧が予め設定した所定電圧以上となった時に、前記抵抗を前記分圧抵抗回路に投入するよう前記スイッチを制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、
主回路を直列接続された複数の電圧駆動型半導体スイッチング素子で構成した電力変換装置等でのインバータ運転時においても、半導体スイッチング素子のゲート駆動回路及びその自己給電式に電力供給を受ける電源回路のコンデンサが過電圧で破壊されてしまう虞がなく、さらに電源回路の分圧抵抗の耐電力容量を小さくできる等の効果を奏し、
また、電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置で、時間制約を受けることなく、より確実に半導体スイッチング素子間の素子電圧のアンバランスを抑制することができ、さらに抵抗ロスを低減することができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0032】
先ず第1の実施形態を、図1に示す要部の回路構成図により説明する。なお、図1は3相交流を直流変換する電力変換装置の主回路を構成する3相ブリッジの同様に構成された6つの上下アームの1つにおける回路構成図である。
【0033】
図1において、31は電圧駆動型半導体スイッチング素子の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であり、ブリッジのアームを直列に複数個を接続することによって主回路を構成している。32はIGBT31の制御装置を構成するゲート駆動回路であり、33は、IGBT31のコレクタ、エミッタ間に並列に設けられたゲート駆動回路32の自己給電式に構成した電源回路で、電源回路33は、順に直列接続された第1の分圧抵抗34、第2の分圧抵抗35、第1のダイオード36、コンデンサ37と、コンデンサ37の端子間に接続され端子電圧Vc0を監視する過電圧検出器38と、第2の分圧抵抗35に対して並列に接続されたスイッチ39とにより構成されている。そして、スイッチ39は過電圧検出器38によって開閉動作(オンオフ動作)が制御されるようになっており、常時は閉状態(オン状態)となっている。
【0034】
さらに、ゲート駆動回路32は、電源回路33のコンデンサ37の端子電圧Vc0を他の直流電圧に変換するDC/DCコンバータ40から電力の供給を受け、また入力端41には、図示しない制御信号源からホトカプラを介してオン、オフの光信号Sが入力されるようになっている。そして、ゲート駆動回路32からは、オン、オフの光信号Sに基づくゲート信号がIGBT31のゲートに出力され、IGBT31のオン、オフの動作が制御される。なお、IGBT31のコレクタ、エミッタ間には、コレクタにカソード、エミッタにアノードを接続するようにして逆並列に第2のダイオード42が接続されている。なおまた、Vq0はIGBT31のコレクタ、エミッタ間の素子電圧である。
【0035】
そして、このように構成されたものでは、常時はスイッチ39が閉状態となっているので、第1の分圧抵抗34と第1のダイオード36を介してコンデンサ37が充電される。そして、コンデンサ37に充電された電荷は、DC/DCコンバータ40において、ゲート駆動回路32が行うIGBT31のゲート駆動動作に必要な電流、電圧に変換され、この電流電圧が供給されることによってゲート駆動回路32が作動し、IGBT31のゲート駆動が実行されるようになっている。なお、第1の分圧抵抗34は、アームを構成する直列接続されている各IGBT31のそれぞれの電圧分担を均等にするために必要な電流を流すと共に、インバータがパルスオフしている時にIGBT31に印加される中間電圧で、ゲート駆動回路32のゲート駆動動作に必要な電力が供給可能であるような抵抗値に設定されている。
【0036】
また、過電圧検出器38は、コンデンサ37の端子電圧Vc0を監視し、端子電圧Vc0の値が予め設定した所定のオフ電圧値Vcx以上となったことを検知すると、スイッチ39を開状態(オフ状態)となるように制御する。スイッチ39が開状態になることにより、第2の分圧抵抗35が電源回路33に投入され、電源回路33の分圧抵抗回路は、(第1の分圧抵抗34+第2の分圧抵抗35)を備えることになる。そして、第2の分圧抵抗35の抵抗値を、回路へ投入することによりコンデンサ37の端子電圧Vc0が、前記した所定のオフ電圧値Vcxより低くなるよう選定しておくことによって、コンデンサ37への充電が抑制される。また第1のダイオード36が設けられていることにより、コンデンサ37に充電された電荷の逆流は阻止される。
【0037】
その後、コンデンサ37の端子電圧Vc0が低下し、予め設定した所定のオン電圧値Vcy以下になると、これを過電圧検出器38が検知してスイッチ39を制御し、スイッチ39を閉状態(オン状態)とする。これにより第2の分圧抵抗35は短絡され、電源回路33から切り離された状態となり、再び、第1の分圧抵抗34と第1のダイオード36を介してコンデンサ37への充電が開始される。
【0038】
よって、インバータのパルスオフ時に第1の分圧抵抗34を介してコンデンサ37に供給される電流Ioffは、
Ioff={ Edc/[(IGBTの直列数)×2−Vc0] }/R01
‥‥(3)式
但し、R01 :第1の分圧抵抗34の抵抗値
になり、前記した第2の従来技術で示した(1)式と同形の式となる。
【0039】
一方、インバータ運転時に、(第1の分圧抵抗34+第2の分圧抵抗35)を介してコンデンサ37に供給される電流Ionは、
Ion={ Edc/[(IGBTの直列数)−Vc0] }/(R01+R02)×D
‥‥(4)式
但し、D:IGBTのオン、オフのデューティ比、D=0.5
R02:第2の分圧抵抗35の抵抗値
になる。
【0040】
ここで、計算し易いように、仮に、[Edc/(IGBTの直列数)]>>Vc0とした場合、R01=R02とすれば、インバータ運転時に(第1の分圧抵抗34+第2の分圧抵抗35)を介してコンデンサ37に供給される電流Ionは、パルスオフ時に第1の分圧抵抗34を介してコンデンサ37に供給される電流Ioffと同じになり、コンデンサ37の端子電圧Vc0は、インバータ運転時とパルスオフ時とで同じ電圧となる。
【0041】
また、第1の分圧抵抗34を流れる電流も、パルスオフ時もインバータ運転時も同じであることより、前記した第2の従来技術ではパルスオフ時の約2倍の電流がインバータ運転時に流れていたことからすると、第1の分圧抵抗34の耐電力容量は、従来の1/4でよいことになり、第2の分圧抵抗35の耐電力容量も第1の分圧抵抗34と同じでよいことになる。なお、第2の分圧抵抗35で消費する電流と前記した第2の従来技術における放電抵抗で消費する電流は同じになるので、両者の大きさに変化はなく、結果的には、第1の分圧抵抗34の大きさは、耐電力容量が少なくてすむ分の大きさだけ低減することができる。
【実施例2】
【0042】
次に第2の実施形態を、図2乃至図4により説明する。図2は電圧駆動型半導体スイッチング素子が2つ直列接続されている2レベルインバータの1相分の回路要部を示す回路構成図であり、図3は電圧駆動型半導体スイッチング素子に対するオンオフ指令、負荷電流L、素子電圧の概略を示す図であり、図4は電圧駆動型半導体スイッチング素子が、オン状態からオフ状態に移行する際の各部の波形を示す波形図である。
【0043】
図2乃至図4において、51a,51bはブリッジの上アームと下アームであり、上アーム51aは、直列接続した2つの電圧駆動型半導体スイッチング素子のIGBT31a1,31a2によって主回路が構成され、下アーム51bは、同じく直列接続した2つの電圧駆動型半導体スイッチング素子のIGBT31b1,31b2によって主回路が構成されている。また、52a1,52a2,52b1,52b2は各IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のゲート駆動回路であり、53a1,53a2,53b1,53b2は各IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のエミッタ、コレクタ間に並列に接続された分圧抵抗回路である。
【0044】
各分圧抵抗回路53a1,53a2,53b1,53b2はIGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ、エミッタ間に並列接続された分圧抵抗54a1,54a2,54b1,54b2を備え、また直列接続された例えばトランジスタ等の半導体素子によりなるスイッチ55a1,55a2,55b1,55b2と抵抗56a1,56a2,56b1,56b2を備え、さらにIGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ、エミッタ間の素子電圧Vqa1,Vqa2,Vqb1,Vqb2を検出、監視する過電圧検出器57a1,57a2,57b1,57b2を備えて構成されている。そして、スイッチ55a1,55a2,55b1,55b2は過電圧検出器57a1,57a2,57b1,57b2によって開閉動作(オンオフ動作)が制御されるようになっており、常時は開状態(オフ状態)となっている。
【0045】
また、58a1,58a2,58b1,58b2は、ゲート駆動回路52a1,52a2,52b1,52b2の入力端で、ここに図示しない制御信号源からホトカプラを介してオン、オフの光信号Sが入力されるようになっており、ゲート駆動回路52a1,52a2,52b1,52b2からは、オン、オフの光信号Sに基づくゲート信号がIGBT31a1,31a2,31b1,31b2のゲートに出力され、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のオン、オフの動作が制御される。なお、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ、エミッタ間には、コレクタにカソード、エミッタにアノードを接続するようにして、逆並列にダイオード59a1,59a2,59b1,59b2が接続されている。また、Edは電源電圧である。
【0046】
そして、常時はスイッチ55a1,55a2,55b1,55b2が開状態となっているので、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ、エミッタ間に接続された分圧抵抗回路53a1,53a2,53b1,53b2では、分圧抵抗54a1,54a2,54b1,54b2のみが有効に働くことになる。
【0047】
また、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ、エミッタ間の素子電圧Vqa1,Vqa2,Vqb1,Vqb2を監視している過電圧検出器57a1,57a2,57b1,57b2では、端子電圧57a1,57a2,57b1,57b2の値が予め設定した所定のオン電圧値Vqy以上となったことを検知すると、スイッチ55a1,55a2,55b1,55b2を閉状態(オン状態)となるように制御する。
【0048】
これにより、スイッチ55a1,55a2,55b1,55b2が、開状態から閉状態になることによって、抵抗56a1,56a2,56b1,56b2が分圧抵抗54a1,54a2,54b1,54b2に並列に接続され、分圧抵抗回路53a1,53a2,53b1,53b2の回路抵抗は、分圧抵抗54a1,54a2,54b1,54b2と抵抗56a1,56a2,56b1,56b2を並列に合成したものとなる。なお、過電圧検出器57a1,57a2,57b1,57b2は、端子電圧57a1,57a2,57b1,57b2の値が予め設定した所定のオフ電圧値Vqx以下となったことを検知すると、スイッチ55a1,55a2,55b1,55b2を開状態(オフ状態)となるように制御するようになっている。
【0049】
また、このように構成されたものでは、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2に対するオンオフ指令Sa,Sb、IGBT31a1,31a2,31b1,31b2及びダイオード59a1,59a2,59b1,59b2を流れる負荷電流La,Lb、コレクタ、エミッタ間の素子電圧Vqa1,Vqa2,Vqb1,Vqb2の概略は、図3に示す通りとなっている。
【0050】
そして、このように構成されたものの動作状態を、図4を用いて説明すると、図4は下アーム51b側のIGBT31b1,31b2がオン状態からオフ状態に移行する状態を示している。すなわち、オン状態からオフ状態への移行時、電流は下アーム51b側のダイオード59b1,59b2を流れているので、IGBT31b1,31b2に対するオンオフ指令Sa,Sbのオフ指令SbではIGBT31b1,31b2の素子電圧Vqb1,Vqb2は上昇せず、上アーム51a側のIGBT31a1,31a2がオン状態になることによって素子電圧Vqb1,Vqb2は上昇を始める。なお、図中のVgea1,Vgea2は、IGBT31a1,31a2のゲート電圧を示す。
【0051】
またこの時、スイッチング過渡状態の期間をモードTb1とし、スイッチング過渡状態から定常状態に移行する期間をモードTb2とし、モードTb2で図4に示すようにダイオード59b1,59b2のダイオード電流Idb1,Idb2であるリカバリテイル電流間のアンバランスが大きいと、リカバリテイル電流の少ないダイオード59b1の素子電圧Vqb1がより上昇する、すなわち、IGBT31b1の素子電圧Vqb1がより上昇することになる。
【0052】
そして、この上昇を監視している過電圧検出器57b1で予め設定した所定のオン電圧値Vqy以上となったことを検知すると、スイッチ55b1を閉状態(オン状態)となるように制御する。スイッチ55b1が閉状態になることにより、抵抗56b1が分圧抵抗54b1に並列に接続され、分圧抵抗回路53b1の回路抵抗は、分圧抵抗54b1と抵抗56b1を並列に合成したものとなる。これにより、IGBT31b1の素子電圧Vqb1の上昇が、図4に2点鎖線で示すように上昇せず、実線で示すように抑制され、漸次下降する。
【0053】
一方、IGBT31b2の素子電圧Vqb2は、スイッチ55b1が閉状態になることにより、同じく図4に2点鎖線で示すように下降せず、実線で示すように上昇する。そして、素子電圧Vqb1が所定のオフ電圧値Vqx以下となると、再び過電圧検出器57b1がこれを検知し、スイッチ55b1が開状態になり、抵抗56b1が切り離されて分圧抵抗回路53b1の回路抵抗は分圧抵抗54b1のみとなり、分圧抵抗回路53b1では分圧抵抗54b1が有効に働く。その結果、IGBT31b1の素子電圧Vqb1とIGBT31b2の素子電圧Vqb2の間の差が減少し、電圧のアンバランスが解消する。
【0054】
なお、図示しないが、例えば上アーム51a側のIGBT31a1,31a2がオン状態からオフ状態に移行する際、上アーム51aのIGBT31a1,31a2の一方であるIGBT31a1が、他方のIGBT31a2よりも早いタイミングでオフした時にも、このスイッチング過渡状態では、早いタイミングでオフしたIGBT31a1の素子電圧Vqa1のみが上昇し、2つのIGBT31a1,31a2間で電圧のアンバランスが生じる。また、例えばスイッチング過渡状態を過ぎ定常状態に移行する期間においても、IGBT31a1,31a2の素子電流であるテイル電流に差があり、その差が大きく、電流のアンバランスが大きい状態であると、テイル電流が少ない方のIGBT31a1の素子電圧Vqa1がより上昇する。
【0055】
この上昇を監視している過電圧検出器57a1が、素子電圧Vqa1が所定のオン電圧値Vqy以上となったことを検知すると、スイッチ55a1を閉状態(オン状態)に制御する。これにより、分圧抵抗回路53a1の回路抵抗が、分圧抵抗54a1と抵抗56a1を並列に合成したものとなり、IGBT31a1の素子電圧Vqa1の上昇が抑制され、漸次下降する。
【0056】
一方、IGBT31a2の素子電圧Vqa2は、スイッチ55a1が閉状態になることにより上昇する。そして、素子電圧Vqa1が所定のオフ電圧値Vqx以下となると、過電圧検出器57a1によってスイッチ55a1が開状態になり、分圧抵抗回路53a1の回路抵抗は分圧抵抗54a1のみとなり、分圧抵抗54a1が有効に働く。その結果、IGBT31a1の素子電圧Vqa1とIGBT31a2の素子電圧Vqa2の間の差が減少し、電圧のアンバランスが解消する。
【0057】
以上の通り、分圧抵抗回路53a1,53a2,53b1,53b2をIGBT31a1,31a2,31b1,31b2のコレクタ電圧により動作させることで、時間制約によらない確実な電圧アンバランスの抑制を行うことができる。また過電圧検出器57a1,57a2,57b1,57b2により過電圧の発生を検出することで、対応する分圧抵抗回路の合成抵抗値を変え、直列接続されたIGBT31a1,31a2,31b1,31b2のうちの過電圧を生じたもののみを動作させることで、抵抗によるロスを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す要部の回路構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す要部の回路構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るオンオフ指令、負荷電流、素子電圧の概略を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る下アーム側の電圧駆動型半導体スイッチング素子がオン状態からオフ状態に移行する際の各部の波形を示す波形図である。
【図5】第1の従来技術を示す要部の回路構成図である。
【図6】第2の従来技術を示す要部の回路構成図である。
【図7】第3の従来技術を示す要部の回路構成図である。
【図8】第3の従来技術に係るオンオフ指令、負荷電流、素子電圧の概略を示す図である。
【図9】第3の従来技術に係る上アーム側の電圧駆動型半導体スイッチング素子がオン状態からオフ状態に移行する際の各部の波形を示す波形図である。
【図10】第3の従来技術に係る下アーム側の電圧駆動型半導体スイッチング素子がオン状態からオフ状態に移行する際の各部の波形を示す波形図である。
【符号の説明】
【0059】
31…IGBT(電圧駆動型半導体スイッチング素子)
32…ゲート駆動回路
33…電源回路
34…第1の分圧抵抗
35…第2の分圧抵抗
36…ダイオード
37…コンデンサ
38…過電圧検出器
39…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続されて主回路を構成する複数の電圧駆動型半導体スイッチング素子と、該電圧駆動型半導体スイッチング素子のゲートにゲート信号を供給するゲート駆動回路と、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に並列接続され前記主回路から前記ゲート駆動回路に電力を供給する電源回路と、該電源回路に設けられ第1の分圧抵抗を介して前記主回路から供給された電力を蓄積するコンデンサを備えた電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置において、
前記電源回路には、前記第1の分圧抵抗と前記コンデンサの間に直列に第2の分圧抵抗と逆流阻止用ダイオードが設けられ、かつ前記第2の分圧抵抗に並列にスイッチが設けられていると共に、前記コンデンサの端子間に並列に過電圧検出器が設けられていることを特徴とする電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置。
【請求項2】
前記過電圧検出器が、前記コンデンサの端子電圧が予め設定した所定電圧以上となった時に、前記第2の分圧抵抗を前記電源回路に投入するよう前記スイッチを制御することを特徴とする請求項1記載の電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置。
【請求項3】
直列接続されて主回路を構成する複数の電圧駆動型半導体スイッチング素子と、該電圧駆動型半導体スイッチング素子のゲートにゲート信号を供給するゲート駆動回路と、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に逆並列に接続されたダイオードと、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に並列接続された分圧抵抗回路を備えた電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置において、
前記分圧抵抗回路には、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間に、分圧抵抗、直列接続された抵抗及びスイッチ、前記スイッチを制御する過電圧検出器がそれぞれ並列に接続されていることを特徴とする電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置。
【請求項4】
前記過電圧検出器が、前記電圧駆動型半導体スイッチング素子の端子間の電圧が予め設定した所定電圧以上となった時に、前記抵抗を前記分圧抵抗回路に投入するよう前記スイッチを制御することを特徴とする請求項3記載の電圧駆動型半導体スイッチング素子の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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