説明

電子カメラ及び現像処理プログラム

【課題】 複数のRAWデータに対する現像処理を容易に実行する。
【解決手段】 撮影時に取り込まれる単一色成分の画像信号に対して少なくともA/D変換を施した第1画像データを複数記憶する第1記憶部と、予め設定された撮影場面に対する現像条件を設定可能な設定部と、設定部により設定された現像条件を撮影場面に対応付けて記憶する第2記憶部と、第1画像データが取得されたときの撮影場面を判別する場面判別部と、第1記憶部に記憶された第1画像データのそれぞれに対して、第1画像データから判別された撮影場面に対応した現像条件を用いた現像処理を施す画像処理部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラ及び現像処理プログラムに関し、特にRAW画像データに対する現像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に提供されるデジタルカメラは、撮像素子により被写体光を光電変換することで取得される画像信号に対して、撮影時に設定される撮影条件に基づいた画像処理を自動的に施した後、Jpeg形式などの所定の圧縮形式に基づいた圧縮処理を行うことが一般的である。近年では、撮影により取り込まれた画像信号に対して、上述した画像処理や圧縮処理を施さずに、A/D変換処理のみを施した画像信号(以下、RAW画像データ)を記憶するデジタルカメラも提供されている。このようなデジタルカメラにて取得されるRAW画像データは、例えばPCなどに内蔵される現像ソフトを用いて現像処理されるのが一般的である。また、最近では、RAW画像データに対する現像機能を備えたデジタルカメラも提供されている。このような現像ソフトやデジタルカメラに搭載された現像機能を用いた現像処理を行うことで、撮影時にデジタルカメラ内部で自動的に実行される画像処理よりも、ユーザが好む画像データに仕上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−124599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のRAW画像データに対して現像処理を施す場合には、RAW画像データ毎に、現像処理に用いるパラメータの調整や変更などの処理を行う必要があることから、これらRAW画像データに対する現像処理に手間や時間がかかり面倒である。
【0005】
本発明は、複数のRAWデータに対する現像処理を容易に実行することができるようにした電子カメラ及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の電子カメラは、撮影時に取り込まれる単一色成分の画像信号に対して少なくともA/D変換を施した第1画像データを複数記憶する第1記憶部と、予め設定された撮影場面に対する現像条件を設定可能な設定部と、前記設定部により設定された現像条件を前記撮影場面に対応付けて記憶する第2記憶部と、前記第1画像データが取得されたときの撮影場面を判別する場面判別部と、前記第1記憶部に記憶された第1画像データのそれぞれに対して、該第1画像データから判別された前記撮影場面に対応した現像条件を用いた現像処理を施す画像処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記第1画像データは、前記撮影時の撮影条件を示す撮影情報が付帯されており、前記特定部は、前記第1画像データに付帯された撮影情報を参照することで、該第1画像データが取得されたときの前記撮影場面を判別することが好ましい。
【0008】
また、前記画像処理部は、前記第1画像データに対して、前記現像条件とは異なる条件を用いた現像処理を実行することで第2画像データを生成し、前記場面判別部は、前記第2画像データを解析することで、前記第1画像データが取得されたときの前記撮影場面を判別することが好ましい。
【0009】
また、撮影時に、前記撮影場面を設定操作可能な設定操作部を備え、前記画像処理部は、前記設定操作部により撮影時の撮影場面が設定された第1画像データに対して、該撮影場面に基づいた現像条件を用いた現像処理を施すことが好ましい。
【0010】
また、前記第1記憶部は、前記第1画像データの他に、前記画像処理部により現像処理が施された後の第3画像データを記憶することが好ましい。
【0011】
また、本発明の現像処理プログラムは、撮影時に取り込まれる単一色成分の画像信号に対して少なくともA/D変換を施した中間画像データを複数記憶する第1記憶工程と、予め設定された撮影場面に対する現像条件を設定する設定工程と、前記設定工程により設定された現像条件を前記撮影場面に対応付けて記憶する第2記憶工程と、前記第1画像データが取得されたときの撮影場面を判別する判別工程と、前記第1記憶工程にて記憶された第1画像データのそれぞれに対して、該第1画像データから判別された前記撮影場面に対応した現像条件を用いた現像処理を施す現像処理工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の画像データに対する現像処理を容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラの構成の概略を示すブロック図である
【図2】現像処理に関するメニュー画面の一例を示す図である。
【図3】対象画像設定に関する設定画面の一例を示す図である。
【図4】画像選択画面の一例を示す図である。
【図5】現像設定画面の一例を示す図である。
【図6】パラメータ設定画面の一例を示す図である。
【図7】場面設定画面の一例を示す図である。
【図8】現像処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】撮影シーンを判別する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】現像処理中に撮影シーンが設定されていないRAW画像データに対して現像処理を施す際に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の電子カメラの一例としてデジタルカメラを例に挙げて説明する。図1に示すように、デジタルカメラ10は、撮像光学系15を介して取り込まれる被写体光を撮像素子21により光電変換し、光電変換後の信号電荷を画像信号として出力する。以下では、デジタルカメラ10を用いて画像データを取得する行為を撮影と称し、該撮影時に実行されるデジタルカメラ10の内部の処理を撮像と称して説明する。
【0015】
撮像光学系15は、図示を省略した撮像レンズ、ズームレンズやフォーカスレンズなどを含むレンズ群から構成される。ズームレンズは選択された撮影倍率となるように光軸Lに沿って移動する。フォーカスレンズは被写体像の焦点調節の際に光軸Lに沿って微小移動する。このレンズ群を構成するズームレンズやフォーカスレンズなどは、図示を省略したレンズ駆動機構によって駆動制御される。
【0016】
撮像素子21は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などから構成される。撮像素子21は、撮像光学系15によって取り込まれる被写体光を受光し、受光した光量を信号電荷に変換(光電変換)して、変換した信号電荷を蓄積する。
【0017】
ドライバ22は、撮像素子21を駆動制御する。撮像素子21の駆動制御とは、撮像素子21の各画素に対する信号電荷の蓄積及び蓄積された信号電荷の出力の他に、被写体光を受光する画素と、受光しない画素とを制御する、所謂間引き制御を行うことが挙げられる。なお、間引き制御が行われることで得られる画像データは、後述するLCD38にスルー画像を表示させる際に用いられる。以下、撮像素子21から出力される信号電荷を画像信号と称して説明する。
【0018】
AFE(Analog Front End)回路23は、図示しないAGC回路やCDS回路を含んで構成される。AFE回路23は、入力された画像信号に対してゲインコントロール、雑音除去などのアナログ処理を施す。このアナログ処理が施された画像信号は、DFE回路24に出力される。
【0019】
DFE(Digital Front End)回路24は、AFE回路23によってアナログ処理が施された画像信号をデジタル信号に変換する。符号25は、タイミングジェネレータ(TG)であり、このTG25により、ドライバ22、AFE回路23及びDFE回路24の駆動タイミングが制御される。バッファメモリ31は、DFE回路24によってデジタル化された画像信号を1コマ毎にまとめた画像データが記憶される。
【0020】
例えば画質モードとして「RAW」が設定されている場合には、バッファメモリ31に記憶された画像データは、そのままのRAW形式(非圧縮フォーマット)で記憶媒体37に記憶される。この際、RAW形式の画像データ(以下、RAW画像データ)は、サムネイル画像データやデジタルカメラ10の機種情報や撮影時に設定される撮像条件などの付帯情報を1つの画像ファイルとしてまとめられ、記憶媒体37に記憶される。以下、RAW形式の画像データを用いた画像ファイルをRAW画像ファイルと称して説明する。なお、RAW画像ファイルとして記憶されるサムネイル画像データは、後述する画像処理回路35において、例えば所謂スルー画像データを生成する場合などに用いる画像処理条件を用いた画像処理を、RAW画像データに対して実行することで生成される。
【0021】
画像処理回路35は、バッファメモリ31に記憶された画像データに対して、画像処理を実行する。この画像処理については周知であることから、詳細は記載しないが、例えば色補間処理、ホワイトバランス補正処理、輪郭補償処理、階調変換処理、圧縮伸張処理などが挙げられる。これら画像処理の後、画像処理回路35は、画像処理された画像データに対して、例えばJpeg形式などの圧縮フォーマットにより圧縮処理を施す。この圧縮処理された画像データ(以下、Jpeg画像データ)は、例えばJpeg画像データよりも低品質となるように生成されるサムネイル画像データや、デジタルカメラ10の機種情報や影時に設定される撮像条件などを付帯情報とした画像ファイル(以下、Jpeg画像ファイル)としてまとめられ、メディアスロット36を介して記憶媒体37に記録される。
【0022】
この画像処理回路35は、バッファメモリ31に記憶された画像データの他に、記憶媒体37に記憶されたRAW画像ファイルのRAW画像データに対しても画像処理を行うことが可能である。以下、RAW画像ファイルのRAW画像データに対して実行される画像処理を現像処理と称する。この現像処理は、後述するシーン判別部51により判別された撮影シーンに基づいて実行される。なお、現像処理が施された画像データは、後述する条件設定部52により設定された画像サイズとなるように、例えばJpeg形式による圧縮処理が実行され、Jpeg画像ファイルとして記憶媒体37に記憶される。このJpeg画像ファイルは、該画像ファイルの元になるRAW画像ファイルとは別のファイル名により記憶媒体37に記憶される。
【0023】
LCD38は、表示装置の一形態であって、撮影待機状態時に取り込まれるスルー画像や、撮像時に得られた画像を表示する。また、この他に、LCD38には、デジタルカメラ10の設定を行う際の設定用の画像を表示する。なお、符号39は、LCD38の駆動制御を行う表示制御回路である。
【0024】
CPU41は、内蔵メモリ42に記憶された制御プログラム(図示省略)を実行することで、デジタルカメラ10の各部を統括的に制御する。このCPU41は、バス43を介して、バッファメモリ31、画像処理回路35、メディアスロット36、表示制御回路39及び内蔵メモリ42に接続される。CPU41には、レリーズボタン44、設定操作部45及びシーンモードダイヤル46からの操作信号が入力可能となっている。
【0025】
レリーズボタン44は、撮影時に操作されるボタンである。図示は省略するが、このレリーズボタン44には、半押し操作されたときにオンとなる半押しスイッチと、全押し操作されたときにオンとなる全押しスイッチとが設けられている。例えば半押しスイッチがオンとなるときには、CPU41は、AE処理やAF処理などを実行する。また、全押しスイッチがオンとなると、CPU41は、撮像処理を実行する。
【0026】
設定操作部45は、例えばデジタルカメラ10における各種設定を行う際に操作される。各種設定とは、例えば、例えばデジタルカメラ10に内蔵された時計機能を設定する場合や、撮影時の感度設定(ISO感度の設定)、画像のサイズ設定、或いは画質設定などが挙げられる。例えば画質設定時の項目としては、例えば「FINE」、「NORMAL」、「BASIC」などの他に、「RAW」がある。これら項目のうち、「FINE」、「NORMAL」、「BASIC」は、撮影時にJpeg画像ファイルを記憶媒体37に記憶する際に選択される。これら項目においては、圧縮処理時の圧縮率が異なっている。例えば「FINE」が選択された場合には、圧縮処理時の圧縮率が1/4に設定される。また、「NORMAL」が選択された場合には、圧縮処理時の圧縮率は1/8に設定される。さらに、「BASIC」が選択された場合には、圧縮処理時の圧縮率が1/16に設定される。これにより、各項目が選択されたときに得られる画像データの画質は、「FINE」が良く、「NORMAL」、「BASIC」の順で悪くなる。一方、「RAW」は、撮影時にRAW画像ファイルを記憶媒体37に記憶する際に選択される。
【0027】
シーンモードダイヤル46は、撮影時の撮影場面(以下、撮影シーン)を設定する際に操作される。予め設定される撮影シーンとしては、「オート」、「ポートレート」、「風景」、「夜景」、「スポーツ」、「クローズアップ」、「その他」などが挙げられ、撮影シーンを設定して撮影を行う場合には、これら撮影シーンのうちの一つが選択される。なお、このシーンモードダイヤル46により選択された撮影シーンの情報は、記憶媒体37に記憶される画像ファイルの付帯情報の一つとなる。
【0028】
CPU41は、上述した制御プログラムを実行することで、シーン判別部51、条件設定部52の機能を有している。シーン判別部51は、RAW画像ファイルが取得されたときの撮影シーンを判別する。詳細には、シーン判別部51は、記憶媒体37に格納されたRAW画像ファイルの付帯情報に、撮影時の撮影シーンに関する情報(以下、シーン情報)が含まれているか否かを判別する。例えば付帯情報としてシーン情報が含まれていない場合や、撮影シーンとして「オート」が選択されている場合には、シーン判別部51は、該付帯情報の一部である撮影条件やサムネイル画像データを参照して撮影シーンを判別する。一方、撮影時にシーンモードダイヤル46により選択された撮影シーンに基づくシーン情報がRAW画像ファイルの付帯情報に含まれている場合には、シーン判別部51は、撮影シーンの判別を行わずに、撮影時のシーン情報をそのままシーン判別の結果として適用する。なお、このシーン判別部51による撮影シーンの判別は、記憶媒体37に記憶されるRAW画像ファイルのうち、現像処理が未処理のRAW画像ファイルに対して実行される。
【0029】
条件設定部52は、ユーザが設定操作部45を操作したことを受けて、撮影シーンに対応付けられた現像条件を設定する。これら現像条件は、予め設定された複数の撮影シーンのそれぞれに対応付けて設定される。なお、この設定される現像条件は、撮影シーンと対応付けられたプリセット設定用データ56として内蔵メモリ42に記憶される。なお、現像条件として変更できる項目としては、例えば「仕上がり設定」、「画像サイズ」、「ホワイトバランス」、「露出補正」などがある。
【0030】
内蔵メモリ42は、上述したCPU41が制御プログラムを実行したときに算出される演算子が記憶される他、現像処理に関する設定データ55や、予め設定される撮影シーンと該撮影シーンにおける現像パラメータとが対応付けられたプリセット設定用データ56が記憶される。なお、上述した設定データ55としては、記憶媒体37に記憶されたRAW画像ファイルのうち、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの全てを現像対象とするか、その一部を現像対象とするかの情報、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの一部を現像対象とする場合には、現像対象となるRAW画像ファイルのファイル名の情報が挙げられる。また、この他に、現像処理が未処理となるRAW画像ファイルに対して同一の現像条件で現像処理を施すか、撮影シーン毎に設定された現像条件で現像処理を施すかを示す情報が挙げられる。
【0031】
以下、現像処理の際にLCD38に表示される表示画面について説明する。図2に示すように、RAW画像ファイルの現像処理を行う場合、LCD38には、現像処理のメニュー画面60が表示される。この現像処理に関するメニュー画面60は、例えば「連続RAW現像」からなるタイトル名(図中符号61)の他に、「対象画像設定」の項目62、「現像設定」の項目63、「現像実行」の項目64、「戻る」の項目65などの選択可能な項目が表示される。
【0032】
例えば「対象画像設定」の項目62は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの全てに対して現像処理を実行するか、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの一部に対して現像処理を実行するかを設定する項目である。「現像設定」の項目63は、全画像を同一設定で現像するか、撮影シーン毎に設定して現像するかの選択を設定する項目である。これら「対象画像設定」の項目62及び「現像設定」の項目63には、例えば現在の設定が表示される。なお、「現像実行」の項目64は現像処理を実行する際に、「戻る」の項目65は現像処理に係る処理を中止する項目である。
【0033】
図3は、「対象画像設定」が選択された時にLCD38に表示される画像設定画面の一例である。この画像設定画面70においては、「対象画像設定」のタイトル名(図中符号71)の他に、「全ての画像」の項目72、「画像を選択する」の項目73及び「戻る」の項目74など、選択可能な項目が表示される。例えば、「全ての画像」の項目72は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの全てを対象とする場合に選択される項目である。この「全ての画像」の項目72を選択すると、例えば「全ての画像を現像対象としました」などのコメントが表示された後、図2に示す現像処理のメニュー画面60に切り替わる。このメニュー画面60の表示の際に、例えば対象となる画像として、新たに「全ての画像」を設定した場合には、「対象画像設定」の項目62における現在の設定が、例えば「選択画像」から「全ての画像」に切り替えられる。
【0034】
一方、「画像を選択する」の項目73は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルのうち、現像処理を行うRAW画像ファイルを特定する際に選択される項目である。この項目73を選択すると、現像処理を実行する画像を選択する画像選択画面76に切り替わる(図4参照)。なお、画像選択画面76は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルに基づいた画像がインデックス表示されている。このインデックス表示は、RAW画像ファイルに記憶されたサムネイル画像データを用いればよい。インデックス表示から、対象となる画像を選択すると、画像の選択が終了し、図3に示す現像処理のメニュー画面60に切り替わる。このメニュー画面60の表示の際に、例えば現像処理を行う画像を選択した場合には、「対象画像設定」の項目62における表示が、例えば「全ての画像」から「選択画像」に切り替えられる。なお、画像設定画面70に表示される「戻る」の項目74は、設定された条件を変更しない場合に選択される項目であり、この項目74が選択されるとメニュー画面60に戻る。
【0035】
図2に戻って、現像処理のメニュー画面60に表示される「現像設定」の項目63が選択されると、現像設定画面80に切り替わる(図5参照)。現像設定画面80は、「現像設定」のタイトル名81の他に、「全画像を同一設定で現像」の項目82、「場面毎に設定して現像」の項目83及び「戻る」の項目84など選択可能な項目が表示される。
【0036】
例えば「全画像を同一設定で現像」の項目82は、同一の現像パラメータで現像処理を行う場合に選択される項目である。一方、「場面毎に設定して現像」の項目83は、撮影シーン毎に設定される現像パラメータを用いて現像処理を行う場合に選択される項目である。なお、この場合に表示される「戻る」の項目84は、「現像設定」を行わない場合に選択される項目である。
【0037】
図6は、現像設定画面80において、「全画像を同一設定で現像」の項目82を選択した場合に表示されるパラメータ設定画面90である。このパラメータ設定画面90は、現像処理時に用いる現像条件を設定する際に表示される。このパラメータ設定画面90は、「全画像を同一設定で現像」のタイトル名91の他に、設定可能な現像パラメータとなる「仕上がり設定」の項目92、「画像サイズ」の項目93、「ホワイトバランス」の項目94、「露出補正」の項目95などの設定項目から構成される。なお、「設定終了」の項目96は、現像パラメータの設定を終了する場合に選択され、この「設定終了」の項目96が選択されると、現像処理のメニュー画面60の表示に戻る。なお、このパラメータ設定画面90にて設定された現像条件はプリセット設定用データ56として、内蔵メモリ42に記憶される。
【0038】
図7は、現像設定画面80において、「場面毎に設定して現像」の項目83が選択された場合に表示される場面設定画面100である。この場面設定画面100は、「場面毎に設定して現像」のタイトル名101の他に、撮影シーンである「ポートレート」の項目102、「風景」の項目103、「夜景」の項目104、「近接撮影」の項目105、「スポーツ」の項目106、「その他」の項目107の選択可能な項目が表示される。これら撮影シーンのいずれかの項目が選択されると、その撮影シーンに基づくパラメータ設定画面の表示に切り替わる。
【0039】
この場合のパラメータ設定画面は、図6と同様の構成からなり、上述した現像パラメータを項目毎に設定することが可能である。なお、撮影シーン毎のパラメータを設定するときに表示されるパラメータ設定画面には「設定終了」の項目が有り、この「設定終了」の項目を選択すると、パラメータ設定画面から、個別パラメータ設定画面100に切り替わる。つまり、「場面毎に設定して現像」の項目が選択された場合には、各撮影シーン毎の現像条件を撮影シーン毎に設定することができる。これら撮影シーン毎に設定される現像パラメータは、撮影シーン毎に、プリセット設定用データ56として内蔵メモリ42に記憶される。なお、個別パラメータ設定画面100における「設定終了」の項目108を選択すると、現像処理のメニュー画面60に戻る。
【0040】
次に、RAW画像ファイルの現像処理及び現像設定に係る処理の手順を図8及び図9に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローチャートは、現像実行の項目が選択された場合に実行される。以下、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの全てに対して現像処理を行う場合について説明する。
【0041】
ステップS201は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルがあるか否かを判定する処理である。CPU41は、記憶媒体37に記憶された全てのRAW画像ファイルの付帯情報を参照する。例えば、現像処理の履歴を示す情報が全てのRAW画像ファイルの付帯情報に含まれている場合には、CPU41は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルはないと判定する。この場合、ステップS201の処理はNoとなり、RAW画像ファイルの現像処理が終了する。一方、現像処理の履歴を示す情報が、いずれかのRAW画像ファイルの付帯情報に含まれていない場合には、CPU41は、未処理のRAW画像ファイルがあると判定する。この場合、ステップS201の処理はYesとなり、ステップS202に進む。このとき、CPU41は、現像処理の履歴を示す情報が付帯情報に含まれていない、つまり、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの一覧を示す一覧データを生成する。なお、この一覧データは例えば内蔵メモリ42に記録される。
【0042】
ステップS202は、中止要求があるか否かを判定する処理である。例えば撮影シーンを判別する処理からRAW画像ファイルの現像処理を中止する場合に、設定操作部45によって中止要求の旨を示す操作が実行される。この中止要求の旨を示す操作に基づいた信号がCPU41に入力されたときに、CPU41は中止要求があると判定する。この場合、ステップS202の判定がYesとなり、RAW画像ファイルの現像処理が終了する。一方、中止要求の旨を示す操作に基づいた信号がCPU41に入力されていない場合には、CPU41は、中止要求がないと判定する。この場合、ステップS202の判定がNoとなり、ステップS203に進む。
【0043】
ステップS203は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルを読み出す処理である。ステップS201の処理を実行することによって、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの一覧を示す一覧データが生成されることから、CPU41は、一覧データを参照して、現像処理が未処理のRAW画像ファイルを読み出す。
【0044】
ステップS204は、撮影シーン毎の現像処理を実行するか否かを設定する処理である。CPU41は、内蔵メモリ42に記憶された設定データ55を読み出すことで、ステップS204の判定を実行する。例えば設定データ55に撮影シーン毎に設定された現像条件を用いて現像処理を施す旨の情報があれば、CPU41はステップS204の判定処理をYesとする。この場合、ステップS205に進む。一方、設定データ55に同一の現像条件で現像処理を施す旨の情報があれば、CPU41はステップS204の判定処理をNoとする。この場合、ステップS210に進む。
【0045】
ステップS205は、シーンモードを用いた撮影で得られたRAW画像ファイルであるか否かを判定する処理である。記憶媒体37に記憶されるRAW画像ファイルには、撮影時の撮影条件を示す情報が付帯情報として付帯されている。CPU41は、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの付帯情報を読み出し、シーンモードを用いた撮影である旨を示す情報が記憶されているか否かを判定する。「オート」以外のシーンモードを用いた撮影である旨を示す情報が記憶されている場合には、CPU41は、このステップS205の処理をYesと判定する。この場合、ステップS206に進む。一方、シーンモードを用いた撮影である旨を示す情報が記憶されていない場合や、シーンモードで「オート」を選択して撮影を行った旨を示す情報が記憶されている場合には、CPU41は、このステップS205の処理をNoと判定する。この場合、ステップS215の撮影シーンを判別する処理に進む。なお、このステップS215の処理については、後述する。
【0046】
ステップS206は、撮影時のシーンモードを現像時の撮影シーンとして設定する処理である。CPU41は、RAW画像ファイルの付帯情報に、現像処理時に用いる撮影シーンとして、撮影時に選択されたシーンモードが用いられた旨の情報を付与する。
【0047】
ステップS207は、設定された撮影シーンに対応する現像条件を用いた現像処理を行う処理である。なお、内蔵メモリ42には、各撮影シーンに対する現像パラメータは、プリセット設定用データ56として記憶されているので、CPU41は、設定された撮影シーンに基づく現像パラメータを読み出し、画像処理回路35に出力する。また、同時に、記憶媒体37に記憶されたRAW画像ファイルから、RAW画像データを読み出し、バッファメモリ31に書き込む。画像処理回路35は、バッファメモリ31に書き込まれたRAW画像データを読み出し、該RAW画像データに対する現像処理を実行する。これにより、設定された現像条件を用いた現像処理が施されたJpeg形式の画像データが生成される。
【0048】
ステップS208は、Jpeg画像ファイルを記録する処理である。CPU41は、RAW画像ファイルに付帯される付帯情報を読み出し、読み出した付帯情報に、現像処理された日時、現像処理時に用いた撮影シーンなどの情報をまとめた新たな付帯情報を生成する。そして、CPU41は、ステップS207にて生成されたJpeg画像データと付帯情報とを1つにまとめたJpeg画像ファイルを記憶媒体37に書き込む。同時に、CPU41は、生成されたJpeg画像ファイルの元になるRAW画像ファイルの付帯情報に、現像処理されたことを示す情報を付与する。なお、このステップS208の処理が終了すると、ステップS201に戻る。
【0049】
上述したS204の処理において、撮影シーン毎の現像処理を実行しない場合には、ステップS210に進む。ステップS210は、同一の現像条件を用いた現像処理を実行する処理である。CPU41は、内蔵メモリ42に記憶されたプリセット設定用データ56を参照して、同一の設定で現像処理を施す場合の現像条件を読み出す。この読み出した現像条件に出力される。同時に、CPU41は、記憶媒体37に記憶されたRAW画像ファイルからRAW画像データを読み出し、バッファメモリ31に書き込む。画像処理回路35は、バッファメモリ31に書き込まれたRAW画像データを読み出し、該RAW画像データに対する現像処理を実行する。この現像処理に併せて、現像処理後の画像データが設定パラメータにより設定された画像サイズとなるように圧縮処理を施したJpeg形式の画像データを生成する。この処理の後、ステップS208の処理が実行される。なお、このJpeg形式の画像データは、RAW画像ファイルの付帯情報と同一の情報を付帯情報としたJpeg画像ファイルとして記憶媒体37に書き込まれる。なお、このJpeg画像ファイルのファイル名としては、該Jpeg画像ファイルの基になるRAW画像ファイルのファイル名とは異なるファイル名となる。
【0050】
なお、上述したステップS208の処理が実行された後、ステップS201に戻る。つまり、現像処理が未処理のRAW画像ファイルが複数記憶されている場合には、ステップS201〜ステップS208(ステップS210、及びステップS215の処理も含む)の処理が、現像処理が未処理のRAW画像ファイルの全てに対して実行される。
【0051】
以下、撮影シーンを判別する処理について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図9に示すフローチャートは、撮影シーンを判別する処理の一例を示したものであり、これに限定されるものではない。
【0052】
ステップS301は、所定サイズ以上となる顔があるか否かを検出する処理である。CPU41は、対象となるRAW画像ファイルからサムネイル画像データを読み出す。そして、読み出したサムネイル画像データを用いて顔検出を実行する。なお、顔検出については周知であることから、ここではその詳細を省略する。サムネイル画像データから顔が検出されると、検出された顔の領域に含まれる画素のアドレスを特定する。そして、CPU41は、例えばサムネイル画像データの全画素に対する顔の領域に含まれる画素の比率を算出する。この比率が予め設定された値以上となるときに、CPU41は、所定サイズ以上となる顔があると判定する。この場合、ステップS301の判定がYesとなり、ステップS302に進む。一方、上記比率が、予め設定された値未満となる場合には、CPU41は、所定サイズ以上となる顔がないと判定する。この場合、ステップS301の判定がNoとなり、ステップS303に進む。
【0053】
ステップS302は、撮影シーンを「ポートレート」に設定する処理である。ステップS301において、所定サイズ以上となる顔があると判定されている。つまり、このような画像は、ポートレート撮影に近い撮影条件で撮影されていると推測されるので、CPU41は、このような画像に対する撮影シーンとして、「ポートレート」を設定する。
【0054】
ステップS301において、CPU41が所定サイズ以上となる顔がないと判定された場合には、ステップS303に進む。
【0055】
ステップS303は、所定サイズ以上の面積からなる青空があるか否かを判定する処理である。CPU41は、図示は省略したが、青空として認識できる青色の範囲は予め統計等により求められることから、サムネイル画像データの各画素の色情報を参照して、青空として認識できる青色の範囲に含まれる画素の数を求める。そして、CPU41は、サムネイル画像データの全画素に対する、青空として認識できる青色の範囲に含まれる画素の数の比率を求める。この比率が予め設定された値以上となるときには、CPU41は、所定サイズ以上の面積からなる青空があると判定する。この場合、ステップS303の処理がYesとなり、ステップS304に進む。一方、上述した比率が予め設定された値未満となるときには、CPU41は、所定サイズ以上の面積からなる青空がないと判定する。この場合、ステップS303の処理がNoとなり、ステップS305に進む。
【0056】
ステップS304は、撮影シーンを「風景」に設定する処理である。ステップS303において、サムネイル画像データの全画素に対する、青空として認識できる青色の範囲に含まれる画素の数の比率が予め設定された値以上であると判定されている。つまり、このような画像は、風景撮影に近い撮影条件で撮影されていると推測されるので、CPU41は、このような画像に対する撮影シーンとして、「風景」を設定する。なお、風景撮影の場合には、上述した青空だけでなく、山や海などを撮影する場合もあることから、撮影シーン「風景」であるか否かを判定するときには、青空の領域が所定サイズ以上であるか否かの他に、山や海の領域が所定サイズ以上であるか否かも判定してもよい。
【0057】
ステップS303において、CPU41が所定サイズ以上の面積からなる青空がないと判定された場合には、ステップS305に進む。
【0058】
ステップS305は、シャッタースピードが低速で、画像内の輝度が所定値以下であるか否かを判定する処理である。CPU41は、対象となるRAW画像ファイルの付帯情報から、撮影条件を読み出し、撮影時に設定されたシャッタースピードが基準速度以下であるか否かを判定する。なお、基準速度とは、予めシーンモードで「夜景」が選択された時に使用されるシャッター速度の最速値を基準速度とすればよい。そして、撮影時に設定されたシャッタースピードが基準速度以下であると判定した場合に、CPU41は、撮影時のシャッタースピードが低速であると判定する。
【0059】
撮影時のシャッタースピードが低速であると判定した後、CPU41は、サムネイル画像データから得られる輝度値が、所定値以下であるか否かを判定する。なお、この判定は、サムネイル画像データの各画素の画素値から輝度値を算出し、その平均値が所定値以下であるか否かを判定する他に、サムネイル画像データに含まれる画素のうち、輝度値が所定値以下となる画素の個数を求め、この画素の個数が所定数以上となるか否かを判定すればよい。CPU41により、サムネイル画像から得られる輝度値が所定値以下であると判定した場合には、このステップS305の判定がYesとなり、ステップS306に進む。
【0060】
一方、CPU41により、シャッタースピードが低速でないと判定された場合、又はシャッタースピードは低速であるが、画像内の輝度が所定値を超えると判定された場合には、ステップS305の判定がNoとなり、ステップS307に進む。
【0061】
ステップS306は、撮影シーンを「夜景」に設定する処理である。ステップS305において、撮影時のシャッタースピードが低速であり、サムネイル画像から得られる輝度値が所定値以下であると判定されている。つまり、夜景を撮影する場合には、撮像光学系15から取り込まれる被写体光の輝度が低いことから、シャッタースピードが低速、つまり露光時間(撮像素子21における電荷蓄積時間)が長く設定されていると推定されるので、CPU41は、このような画像に対する撮影シーンとして、「夜景」を設定する。
【0062】
ステップS305において、撮影時のシャッタースピードが低速であり、サムネイル画像から得られる輝度値が所定値以下であると判定されない場合には、ステップS307に進む。
【0063】
ステップS307は、近距離での撮影であるか否かを判定する処理である。CPU41は、対象となるRAW画像ファイルの付帯情報から、撮像光学系15の位置情報を読み出す。上述したように、撮像光学系15は複数のレンズから構成されており、撮影時には、各レンズの位置が特定されている。CPU41は、撮像光学系15の位置情報に基づいて、被写体までの距離を算出する。そして、CPU41は、算出された距離が近接撮影となるときの被写体までの距離の範囲内であるか否かを判定する。CPU41により算出された距離が近接撮影となるときの被写体までの距離の範囲内である場合には、CPU41は、近距離での撮影であると判定する。この場合ステップS307の判定がYesとなり、ステップS308に進む。一方、CPU41により算出された距離が近接撮影となるときの被写体までの距離の範囲から外れると判定した場合には、CPU41は、近距離での撮影ではないと判定する。この場合ステップS307の判定がNoとなり、ステップS309に進む。
【0064】
ステップS308は、撮影シーンを「近接撮影」に設定する処理である。ステップS307において、CPU41により算出された距離が近接撮影となるときの被写体までの距離の範囲内であると判定されていることから、このような場合には、CPU41は、撮影シーンを「近接撮影」に設定する。
【0065】
ステップS309は、シャッタースピードが所定値以上となるか否かを判定する処理である。CPU41は、対象となるRAW画像ファイルの付帯情報から、撮影時のシャッタースピードを読み出す。そして、CPU41は、読み出したシャッタースピードが予め設定された所定値以上であるか否かを判定する。例えば読み出したシャッタースピードが予め設定された所定値以上であると判定されると、CPU41は、このステップS309の判定をYesとし、ステップS310に進む。一方、例えば読み出したシャッタースピードが予め設定された所定値未満であると判定されると、CPU41は、このステップS309の判定をNoとし、ステップS311に進む。
【0066】
ステップS310は、撮影シーンを「スポーツ」に設定する処理である。例えば、動きのある被写体を撮影する場合、シャッタースピードを低速にすると、被写体がぶれてしまい、鮮鋭な画像を取得することができない。このため、動きのある被写体を撮影する場合には、例えば動いている被写体の速度に合わせるなど、撮影時のシャッタースピードを高速に設定して撮影している。このため、シャッタースピードが高速であれば、言い換えれば、予め設定された所定値以上であれば、動きのある被写体を撮影したと推定できる。これにより、CPU41は、このような画像に対する撮影シーンとして、「スポーツ」を設定する。
【0067】
ステップS311は、撮影シーンを「その他」に設定する処理である。このステップS311の判定に進んだ場合には、上述したステップS301、ステップS303、ステップS305、ステップS307及びステップS309の判定で、それぞれNoとなる場合、つまり、いずれの条件にも当てはまらない場合であることから、このような画像に対する撮影シーンとして、CPU41は、「その他」を設定する。
【0068】
なお、各RAW画像ファイルに対して撮影シーンが判別されると、判別された撮影シーンの情報が、対象となるRAW画像ファイルの付帯情報に書き込まれる。ステップS207では、これら撮影シーンが判別されたRAW画像ファイルに対して、撮影シーンに基づく現像条件で現像処理が施される。
【0069】
このようにして、撮影時にシーンモードを利用して撮影を行った場合には、撮影シーンモードに基づいた現像処理が実行され、また、撮影シーンモードを使用しない撮影であっても自動的に撮影シーンを判定して、判定された撮影シーンに基づいた現像処理が実行される。これによれば、ユーザが個々のRAW画像ファイルを参照しながら、最適となる現像条件を設定した上で現像処理を実行させる手間を省くことができる。
【0070】
なお、本実施形態では、現像処理を実行する際に、記憶媒体37に記憶されたRAW画像ファイルに対する撮影シーンを判別し、判別された撮影モードに対応付けられた現像条件で現像処理を実行しているが、RAW画像ファイルに対して実行される撮影モードの判別を行うタイミングとしては、現像処理が実行されたタイミングに限定されるものではない。例えば、RAW画像ファイルとしてまとめられるサムネイル画像データを生成したときに、生成されたサムネイル画像データや、撮影時の撮影条件を利用して、撮影時の撮影シーンを特定しておき、この特定された撮影シーンをRAW画像ファイルの付帯情報として記録することも可能である。
【0071】
本実施形態では、現像処理が未処理のRAW画像ファイルに対する現像処理時に、RAW画像ファイルの撮影シーンを、予め設定される撮影シーンのいずれかから判別しているが、中には予め設定される撮影シーンのいずれかに該当しない場合には、その旨を報知することも可能である。図10に示すように、撮影シーンのいずれかに該当しないときには、LCD38には、ユーザに撮影シーンを選択させる画面(以下、シーン選択画面)120を表示させることも可能である。例えばシーン選択画面120は、「適当な撮影シーンが見つかりません」とのコメント121や、例えば「おまかせ現像」の項目122や「撮影シーン選択」の項目123の他に、該当する画像124を表示する。例えば「おまかせ現像」の項目122が選択された場合には、CPU41は、最も近似する撮影シーンを選択する。一方、「撮影シーン選択」の項目123が選択された場合には、図示は省略するが、設定される撮影シーンの一覧が表示され、その撮影シーンの一覧から、ユーザによる設定操作部45の操作により撮影シーンを選択させればよい。
【0072】
本実施形態では、デジタルカメラの例を取り上げているが、これに限定される必要はなく、例えばカメラ機能を有する携帯型電話機や携帯型端末機等に、本発明を適用することが可能である。また、この他に、図1のシーン判別部51、条件設定部52及び画像処理回路35の機能や、図8及び図9のフローチャートの処理を実行可能なコンピュータであっても良い。さらに、図1のシーン判別部51、条件設定部52及び画像処理回路35の機能や、図8及び図9のフローチャートの処理を実行可能なプログラムであってもよい。このようなプログラムの場合、例えばメモリカード、光学ディスク、磁気ディスクなどの、コンピュータにて読み取り可能な記憶媒体にプログラムを記憶されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0073】
10…デジタルカメラ、35…画像処理回路、37…記憶媒体、41…CPU、42…内蔵メモリ、45…設定操作部、46…シーンモードダイヤル、51…シーン判別部、52…条件設定部、55…設定データ、56…プリセット設定用データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影時に取り込まれる単一色成分の画像信号に対して少なくともA/D変換を施した第1画像データを複数記憶する第1記憶部と、
予め設定された撮影場面に対する現像条件を設定可能な設定部と、
前記設定部により設定された現像条件を前記撮影場面に対応付けて記憶する第2記憶部と、
前記第1画像データが取得されたときの撮影場面を判別する場面判別部と、
前記第1記憶部に記憶された第1画像データのそれぞれに対して、該第1画像データから判別された前記撮影場面に対応した現像条件を用いた現像処理を施す画像処理部と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記第1画像データは、前記撮影時の撮影条件を示す撮影情報が付帯されており、
前記特定部は、前記第1画像データに付帯された撮影情報を参照することで、該第1画像データが取得されたときの前記撮影場面を判別することを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記画像処理部は、前記第1画像データに対して、前記現像条件とは異なる条件を用いた現像処理を実行することで第2画像データを生成し、
前記場面判別部は、前記第2画像データを解析することで、前記第1画像データが取得されたときの前記撮影場面を判別することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
撮影時に、前記撮影場面を設定操作可能な設定操作部を備え、
前記画像処理部は、前記設定操作部により撮影時の撮影場面が設定された第1画像データに対して、該撮影場面に基づいた現像条件を用いた現像処理を施すことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記第1記憶部は、前記第1画像データの他に、前記画像処理部により現像処理が施された後の第3画像データを記憶することを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
撮影時に取り込まれる単一色成分の画像信号に対して少なくともA/D変換を施した中間画像データを複数記憶する第1記憶工程と、
予め設定された撮影場面に対する現像条件を設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された現像条件を前記撮影場面に対応付けて記憶する第2記憶工程と、
前記第1画像データが取得されたときの撮影場面を判別する判別工程と、
前記第1記憶工程にて記憶された第1画像データのそれぞれに対して、該第1画像データから判別された前記撮影場面に対応した現像条件を用いた現像処理を施す現像処理工程と、
を備えたことを特徴とする現像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−259050(P2010−259050A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38482(P2010−38482)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】