説明

電子カメラ

【課題】全体画像上において、ユーザの所望するトリミング画像を取得可能にする。
【解決手段】電子カメラは、複数の画素が行列状に配置された、被写体の像を撮像して画像信号を出力する撮像素子と、画像信号を入力して、記録媒体への記録を伴わない画像を表示する表示手段と、表示手段により画像が表示されているときに、画像上における任意の一部領域を第1領域として設定する操作を受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けられた第1領域に対応する位置に配置された画素から記録媒体へ記録するための画像信号を読み出す読出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像された全体画像の一部領域をトリミングして再生表示するカメラが知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−176136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、全体画像上におけるトリミングされる一部領域の位置が固定されているので、ユーザの所望するトリミング画像が得られないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明による電子カメラは、複数の画素が行列状に配置された、被写体の像を撮像して画像信号を出力する撮像素子と、画像信号を入力して、記録媒体への記録を伴わない画像を表示する表示手段と、表示手段により画像が表示されているときに、画像上における任意の一部領域を第1領域として設定する操作を受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けられた第1領域に対応する位置に配置された画素から記録媒体へ記録するための画像信号を読み出す読出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示手段に画像が表示されているときに、画像上の任意の一部領域に対応する位置に配置された画素から画像信号を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による実施の形態におけるデジタルカメラの要部構成を説明するブロック図
【図2】切り出し領域設定のためのメニュー画面の一例を示す図
【図3】アスペクト比固定の場合の領域指定操作を説明する図
【図4】アスペクト比フリーの場合の領域指定操作を説明する図
【図5】切り出し領域に対応する画像を液晶表示器に表示した場合の一例を示す図
【図6】実施の形態によるデジタルカメラのライブビュー表示中の処理を説明するフローチャート
【図7】実施の形態によるデジタルカメラのライブビュー表示中の処理を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明による一実施の形態におけるカメラを説明する。図1はデジタルカメラ1の要部構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、撮影レンズL1、撮像素子101、制御回路102、LCD駆動回路103、液晶表示器104、タッチパネル105、操作部106、およびメモリカードインタフェース107を備えている。
【0009】
撮像素子101は、行列状に多数配列された画素を有するX−Yアドレス型の光電変換素子である。撮像素子101は、後述する制御回路102の制御に応じて駆動して撮影レンズL1を通して入力される被写体像を撮像し、撮像して得た画像信号を制御回路102へ出力する。本実施の形態において、撮像素子101は、走査ラインごとに順次シャッタを切る方式(いわゆるローリングシャッタ方式)により駆動される。また、撮像素子101は、後述するように制御回路102により制御され、全画素のうち、ユーザの操作に応じた任意の一部領域(切り出し領域)に含まれる画素から画素信号を出力可能に構成されている。
【0010】
制御回路102は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有し、制御プログラムに基づいて、デジタルカメラ1の各構成要素を制御したり、各種のデータ処理を実行する演算回路である。制御プログラムは、制御回路102内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。制御回路102は、画像処理部102a、画像圧縮部102bを機能的に備える。画像処理部102aは、撮像素子101から入力した画像信号をデジタル画像信号に変換し、そのデジタル画像信号に対して種々の画像処理を施して画像データを生成する。また、画像処理部102aは、メモリカード108に記録されている画像データに基づいて、後述する液晶表示器104に表示するための表示画像データを生成する。画像圧縮部102bは、画像処理部102aにより生成された画像データに対してJPEGなどの所定の方式により圧縮処理を行い、EXIFなどの形式でメモリカード108へ記録する。また、制御回路102は、撮像素子101から得られた画像信号に基づいて被写体輝度を測定し、絞り値や露光時間等を決定する。
【0011】
LCD駆動回路103は、制御回路102の命令に基づいて液晶表示器104を駆動する回路である。液晶表示器104はアスペクト比が、たとえば縦3:横4の液晶表示パネルである。液晶表示器104は、撮像素子101で撮像した画像をリアルタイムに表示するライブビュー表示とともに、メモリカード108に記録されている画像データに基づいて画像処理部102aで作成された表示画像データに対応する画像の表示を行う。また、液晶表示器104は、画像ファイルに関連する各種情報(シャッタ速度、絞り値、ISO感度、ファイル名など)の表示を行う。また、液晶表示器104は、タッチパネル105または操作部106の操作に基づき、デジタルカメラ1の各種設定のためのメニュー画面の表示を行う。メニュー画面上から設定可能な内容として、後述するライブビュー表示中の画像、すなわち記録媒体への記録を伴わない画像表示中における切り出し領域設定が含まれる。
【0012】
液晶表示器104にはタッチパネル105が設けられている。ユーザが液晶表示器104の表面を指で押圧することによって、タッチパネル105はデジタルカメラ1を操作するための操作信号を出力する。タッチパネル105は、表示範囲上に格子状に区切られた微細な入力領域を有しており、ユーザがこのタッチパネル105上を指やタッチペンで押圧すると押圧位置にある入力領域がオンされる。タッチパネル105は、オンされた入力領域のタッチパネル105上における位置を特定する情報、例えば座標値をタッチパネル105の操作信号として制御回路102へ出力する。本実施の形態においては、タッチパネル105は、ユーザによる後述する切り出し領域を指定する操作を受け付けて、切り出し領域(たとえば矩形領域)を規定する位置(たとえば2つの頂点)の座標値を制御回路102へ出力する。
【0013】
操作部106は使用者によって操作される種々の操作部材に対応して設けられた種々のスイッチを含み、操作部材の操作に応じた操作信号を制御回路102へ出力する。操作部材は、たとえばレリーズボタンや、上記のメニュー画面を表示させるためのメニューボタンや、各種の設定等を選択操作する時に操作される十字キー、十字キーにより選択された設定等を決定するための決定ボタン、撮影モードと再生モードとの間でデジタルカメラ1の動作を切替えるモード切替ボタン等を含む。また、操作部106により、撮像モードとして静止画撮影モードや動画撮影モード、上記ライブビュー表示を行うためのライブビューモードの設定が可能である。
【0014】
メモリカードインタフェース107は、メモリカード108が着脱可能なインタフェースである。メモリカードインタフェース107は、制御回路102の制御に基づいて、画像ファイルをメモリカード108に書き込んだり、メモリカード108に記録されている画像ファイルを読み出すインタフェース回路である。メモリカード108はコンパクトフラッシュ(登録商標)やSDカードなどの半導体メモリカードである。
【0015】
本実施の形態におけるデジタルカメラ1の動作について説明する。以下、ライブビューモードにおける切り出し領域指定のための操作(領域指定操作)と、領域指定操作に応じた撮像素子101への読出領域設定処理とを中心に説明する。
【0016】
ライブビュー表示中にユーザによる操作部106のメニューボタンが操作されると、制御回路102は、LCD駆動回路103を介して液晶表示器104にメニュー画面を表示させる。メニュー画面に含まれる切り出し領域設定が選択されると、制御回路102は、図2(a)に示す「画角切り出し設定」画面を液晶表示器104に表示させる。図2(a)に示すように、本実施の形態においては、ユーザは切り出し領域を次の2つの方法により指定可能とする。
1.アスペクト比固定
2.アスペクト比フリー
【0017】
以下、切り出し領域を指定する操作(領域指定操作)を上記の「アスペクト比固定」および「アスペクト比フリー」の2つの方法にわけて説明する。
−アスペクト比固定−
ユーザが予め設定されているアスペクト比のうち所望するアスペクト比を選択することにより、制御回路102は選択されたアスペクト比に基づいて、切り出し領域を設定する。図2(b)に示すように、本実施の形態のデジタルカメラ1においては、アスペクト比として、たとえば「4:3」、「3:2」、「1:1」および「16:9」のうち一つが選択可能に構成されている。図2(b)の「アスペクト比選択」画面は、ユーザが図2(a)の「画角切り出し設定」画面のうち「アスペクト比固定」を選択すると液晶表示器104に表示される。この選択は、ユーザが操作部106の十字キーおよび決定ボタンを操作する、もしくはタッチパネル105を操作することにより行われる。
【0018】
アスペクト比の選択が行われると、制御回路102は、液晶表示器104に図2(c)に示す「切り出し部中心位置」画面を液晶表示器104に表示させる。「中央固定」は後述するように、領域指定操作によりユーザにより指定された切り出し領域の中心位置を、液晶表示器104にライブビュー表示中の画像の中心位置と一致させる場合にユーザにより選択される。「フリー」は領域指定操作によりユーザにより指定された切り出し領域の中心位置を、液晶表示器104にライブビュー表示中の画像の中心位置と一致させる必要がない場合にユーザにより選択される。なお、この選択は、ユーザが操作部106の十字キーおよび決定ボタンを操作する、もしくはタッチパネル105を操作することにより行われる。
【0019】
切り出し領域の中心位置の選択が行われると、制御回路102は、液晶表示器104にライブビュー表示を行わせる。ユーザは、このライブビュー表示中の画像(ライブビュー画像)上から領域指定操作を行う。アスペクト比固定の場合、ユーザは切り出しを所望する矩形領域のたとえば左側の短辺となる2つの点をタッチパネル105を押圧操作する。その結果、ユーザは切り出し領域を指定することができる。図3(a)に示すライブビュー画像上において、ユーザが、切り出し領域の左上端となる位置P1(図3(b))を押圧すると、タッチパネル105は、押圧された位置P1の座標値(x1、y1)を示す操作信号を制御回路102へ出力する。
【0020】
次に、図3(b)に示すように、ユーザが切り出し領域の左下端となる位置P2を押圧すると、タッチパネル105は、押圧された位置P2の座標値(x2、y2)を示す操作信号を制御回路102へ出力する。操作信号が入力されると、制御回路102は、2点の座標値(x1、y1)、(x2、y2)を用いて、2点間の距離、すなわち切り出し領域の短辺の長さを算出する。
【0021】
そして、制御回路102は、算出した切り出し後の画像の短辺の長さと、上述した「アスペクト比選択」画面で選択されたアスペクト比とに基づいて、図3(b)に示す位置P3の座標値(x3、y3)を算出する。算出された短辺の長さ、すなわち2点の座標値(x1、y1)、(x2、y2)の間の距離をmとし、選択されたアスペクト比が「4:3」とすると、制御回路102は、長辺の長さを(m×4/3)として算出する。制御回路102は、算出した長辺の長さを用いて、位置P3のx座標の値x3(=x1+m×4/3)を算出する。
【0022】
図2(c)に示す「切り出し部中心位置」画面において「フリー」が選択された場合には、制御回路102は、上述した位置P2およびP3の座標値、すなわち切り出し領域の対角となる2点の座標値を切り出し領域情報として図示しないメモリに格納する。また、「切り出し部中心位置」画面において「中央固定」が選択された場合には、制御回路102は、切り出し領域の中央となる位置を液晶表示器104にライブビュー画像の中心位置に一致させる。この場合、制御回路102は、位置P2およびP3の座標値の中点C1を算出し、中点C1の座標値(xc1、yc1)(xc1=(x2+x3)/2、yc1=(y2+y3)/2)とライブビュー画像の中心位置C0(x0、y0)との差分を算出する。そして、制御回路102は、位置P2およびP3の座標値に算出された差分を加算して、位置P2およびP3の座標値を補正する。制御回路102は、上記の補正された位置P2およびP3の座標値を切り出し領域情報として図示しないメモリに格納する。
【0023】
なお、ユーザのタッチパネル105の押圧操作により位置P1およびP2が指定されると、制御回路102は、図3(c)に示すように、LCD駆動回路103を介して、ライブビュー表示中の画像の全領域のうち切り出し領域を含まない領域を、たとえば灰色等を重畳して色表示させる。また、制御回路102は、色表示された領域に情報表示領域Yを重畳表示させる。この情報表示領域Yには、後述する撮影に関する情報が表示される。
【0024】
−アスペクト比フリー−
ユーザが液晶表示器104にライブビュー画像を確認しながら、切り出し領域の対角となる2点(左上端と右下端、または左下端と右上端)をタッチパネル105を押圧操作により指定すると、制御回路102は押圧操作に応じた切り出し領域を設定する。以下、詳細に説明する。
【0025】
図2(a)に示す「画角切り出し設定」画面のうち「アスペクト比フリー」がユーザにより選択されると、制御回路102は、図2(c)に示す「切り出し部中心位置」画面を液晶表示器104に表示させる。「切り出し部中心位置」画面における「中央固定」と「フリー」については、上述したアスペクト比固定の場合と同様である。切り出し領域の中心位置の選択が行われると、制御回路102は、液晶表示器104にライブビュー表示を行わせる。ユーザは、このライブビュー画像上から領域指定操作を行う。アスペクト比フリーの場合、上述したように、ユーザは切り出し領域の対角となる2点をタッチパネル105を操作する。その結果、ユーザは切り出し領域を指定することができる。図4(a)に示すように、ユーザが、切り出し領域の左上端となる位置P4を押圧すると、タッチパネル105は、押圧された位置P4の座標値(x4、y4)を示す操作信号を制御回路102へ出力する。
【0026】
次に、ユーザが切り出し領域の右下端となる位置P5を押圧すると、タッチパネル105は、押圧された位置P5の座標値(x5、y5)を示す操作信号を制御回路102へ出力する。上述した「切り出し部中心位置」画面において「フリー」が選択された場合には、制御回路102は、2点の座標値(x4、y4)、(x5、y5)を切り出し領域情報として図示しないメモリに格納する。
【0027】
また、「切り出し部中心位置」画面において「中央固定」が選択された場合には、制御回路102は、アスペクト比固定の場合と同様に、切り出し領域の中央となる位置を液晶表示器104にライブビュー画像の中心位置に一致させる。この場合、制御回路102は、位置P4およびP5の座標値の中点C2を算出し、中点C2の座標値(xc2、yc2)(xc2=(x4+x5)/2、yc2=(y4+y5)/2)とライブビュー画像の中心位置C0(x0、y0)との差分を算出する。そして、制御回路102は、位置P4およびP5の座標値に算出された差分を加算して、位置P4およびP5の座標値を補正する。制御回路102は、上記の補正された位置P4およびP5の座標値を切り出し領域情報として図示しないメモリに格納する。
【0028】
なお、ユーザのタッチパネル105の押圧操作により位置P4およびP5が指定されると、制御回路102は、図4(b)に示すように、LCD駆動回路103を介して、ライブビュー表示中の画像の全領域のうち切り出し領域を含まない領域を、たとえば灰色等を重畳して色表示させる。また、制御回路102は、色表示された領域に情報表示領域Yを重畳表示させる。情報表示領域Yには、後述する撮影に関する情報が重畳して表示される。
【0029】
アスペクト比固定もしくはアスペクト比フリーの場合において、ユーザが上述したようにして切り出し領域の領域指定操作を行うと、制御回路102は、指定された切り出し領域に基づいた撮影に関する情報を算出する。そして、制御回路102は、液晶表示器104に表示中の画像のうち、上述した色表示された領域に算出した撮影に関する情報を重畳して表示させる。本実施の形態においては、撮影に関する情報として、以下の情報がある。
1.指定領域に対応する画角に含まれる画素数
2.指定領域に対応する画素から画像信号を読み出して静止画を生成する場合のコマ速、もしくは動画を生成する場合のフレームレート
3.指定領域に含まれる画像を35mm換算した場合の焦点距離
【0030】
アスペクト比固定もしくはアスペクト比フリーの場合において、ユーザが上述したようにして切り出し領域の領域指定操作をした後、ユーザが操作部106のたとえば決定ボタンを操作すると、操作部106は、領域決定を示す決定信号を制御回路102に出力する。決定信号を入力すると、制御回路102は、領域指定操作により指定された領域を切り出し領域として設定することにより読出領域設定処理を行う。すなわち、制御回路102は、図示しないメモリに格納された切り出し領域情報に基づいて、撮像素子101を構成する全画素のうち画像信号を読み出す画素を設定する。この場合、制御回路102は、切り出し領域情報としてメモリに格納された座標値を撮像素子101上の画素位置に換算する。そして、制御回路102は、撮像素子101を制御して、換算した画素位置で規定される領域に含まれる画素から画像信号を出力させる。
【0031】
画像処理部102aは、切り出し領域に対応する画素から出力された画像信号に対して上述した画像処理を施して画像データを生成する。そして、制御回路102は、生成された画像データをLCD駆動回路103に出力して、液晶表示器104にライブビュー画像として表示させる。さらに、図4(c)に示すように、制御回路102は、決定信号を入力すると、液晶表示器104において灰色等の色表示された領域を黒色表示に変更する。
【0032】
上述した切り出し領域に対応するライブビュー画像が液晶表示器104に表示されているときに、ユーザにより操作部106の決定ボタンが操作されると、制御回路102は、切り出し領域に対応するライブビュー画像の中心位置を液晶表示器104の中心位置に一致させて表示させる。すなわち、上述した「切り出し部中心位置」画面において「フリー」が選択された状態で設定された切り出し領域に対応するライブビュー画像の中心位置が、液晶表示器104の中心に表示される。この結果、図4(c)のように表示されていたライブビュー画像は、液晶表示器104上において図5(a)に示すように表示される。
【0033】
また、上記の切り出し領域に対応するライブビュー画像が液晶表示器104に表示されているときに、ユーザによる操作に応じて操作部106から全領域表示を指示する全表示信号が出力されると、制御回路102は、表示中のライブビュー画像を液晶表示器104の全領域に表示させる。すなわち、制御回路104は、画像処理部102aにより生成された画像データに基づいて液晶表示器104の大きさに換算した表示用データを生成する。そして、制御回路102は生成した表示用データをLCD駆動回路103に出力して、表示用画像データに対応するライブビュー画像を液晶表示器104に表示させる。なお、この場合、制御回路102は、図5(b)に示すように、液晶表示器104のたとえば下端部の所定領域Xに上述した撮影に関する情報を表示させる。
【0034】
なお、アスペクト比固定もしくはアスペクト比フリーの場合において、ユーザが上述したようにして切り出し領域の領域指定操作をした後、ユーザが操作部106のたとえばメニューボタンを操作すると、操作部106は、指定された切り出し領域をキャンセルする取消信号を制御回路102に出力する。取消信号を入力すると、制御回路102は、メモリに格納した切り出し領域情報を消去し、再度領域指定操作が可能となるように、液晶表示器104にライブビュー表示を行わせる。すなわち、液晶表示器104には、撮像素子101の全画素から出力される画像信号に対応する画像が表示される。
【0035】
図6、図7のフローチャートを参照しながら、デジタルカメラ1によるライブビューモードにおける動作を説明する。図6、図7の処理を行うプログラムは制御回路102内の図示しないメモリに格納されており、操作部106によりライブビューモードが設定されたことを示す信号を入力すると制御回路102により起動され、実行される。
【0036】
ステップS101では、撮像素子101から入力した画像信号に基づいて生成した画像データをLCD駆動回路103に出力し、液晶表示器104に画像データに対応するライブビュー画像を表示させてステップS102へ進む。なお、ライブビューモードにおいては、たとえば30fpsでライブビュー画像が更新されるものとする。ステップS102においては、操作部106が操作されて液晶表示器104に表示されたメニュー画面の中から、「画角切り出し設定」が選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部106もしくはタッチパネル105の操作により「画角切り出し設定」が選択された場合は、ステップS102が肯定判定されてステップS103へ進む。「画角切り出し設定」が選択されていない場合は、ステップS102が否定判定されてステップS101へ戻る。
【0037】
ステップS103においては、図2(a)に示す「画角切り出し設定」画面を液晶表示器104に表示させてステップS104へ進む。ステップS104においては、「アスペクト比固定」が選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部106もしくはタッチパネル105の操作により「アスペクト比固定」が選択された場合は、ステップS104が肯定判定されてステップS105へ進む。「アスペクト比固定」が選択されていない場合には、ステップS104が否定判定されて、後述するステップS112へ進む。
【0038】
ステップS105においては、図2(b)に示す「アスペクト比選択」画面を液晶表示器104に表示させてステップS106へ進む。ステップS106においては、アスペクト比が選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部106もしくはタッチパネル105の操作によりアスペクト比が選択された場合は、ステップS106が肯定判定されてステップS107へ進む。アスペクト比が選択されていない場合には、ステップS106が否定判定されて、当該判定処理を繰り返す。
【0039】
ステップS107においては、図2(c)に示す「切り出し部中心位置」画面を液晶表示器104に表示させてステップS108へ進む。ステップS108においては、切り出し領域の中心位置が選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部106もしくはタッチパネル105の操作により「フリー」もしくは「中央固定」のいずれかが選択された場合は、ステップS108が肯定判定されてステップS109へ進む。「フリー」および「中央固定」のいずれもが選択されていない場合には、ステップS108が否定判定されて当該判定処理を繰り返す。
【0040】
ステップS109においては、ステップS101と同様にライブビュー画像を液晶表示器104に表示させてステップS110へ進む。ステップS110においては、領域指定操作により切り出し領域の左上端位置が指定されたか否かを判定する。タッチパネル105から操作信号を入力した場合は、ステップS110が肯定判定されてステップS111へ進む。タッチパネル105から操作信号を入力しない場合は、ステップS110が否定判定されて当該判定処理を繰り返す。
【0041】
ステップS111においては、領域指定操作により切り出し領域の左下端位置が指定されたか否かを判定する。タッチパネル105から操作信号を入力した場合は、ステップS111が肯定判定されてステップS118へ進む。タッチパネル105から操作信号を入力しない場合は、ステップS111が否定判定されて当該判定処理を繰り返す。
【0042】
上述したステップS104が否定判定されるとステップS112へ進み、「アスペクト比フリー」が選択されたか否かを判定する。ユーザによる操作部106もしくはタッチパネル105の操作により「アスペクト比フリー」が選択された場合は、ステップS112が肯定判定されてステップS113へ進む。「アスペクト比フリー」が選択されていない場合いには、ステップS104が否定判定されてステップS103へ戻る。ステップS113(「切り出し部中心位置」画面表示)〜ステップS115(ライブビュー画像表示)までの各処理は、ステップS107(「切り出し部中心位置」画面表示)〜ステップS109(ライブビュー画像表示)の各処理と同様である。
【0043】
ステップS116においては、領域指定操作により切り出し領域の左上端位置が指定されたか否かを判定する。タッチパネル105から操作信号を入力した場合は、ステップS116が肯定判定されてステップS117へ進む。タッチパネル105から操作信号を入力しない場合は、ステップS116が否定判定されて当該判定処理を繰り返す。
【0044】
ステップS117においては、領域指定操作により切り出し領域の右下端位置が指定されたか否かを判定する。タッチパネル105から操作信号を入力した場合は、ステップS117が肯定判定されてステップS118へ進む。タッチパネル105から操作信号を入力しない場合は、ステップS117が否定判定されて当該判定処理を繰り返す。
【0045】
ステップS118においては、切り出し領域情報を図示しないメモリに格納してステップS119へ進む。ステップS119においては、領域指定操作により指定された切り出し領域に基づく各種情報を用いて、上述した撮影に関する情報を算出してステップS120へ進む。ステップS120では、液晶表示器104において領域指定操作により指定された領域以外の領域を灰色等の所定色表示をする。そして、色表示された領域に(すなわち切り出し領域以外の領域上に)、ステップS119において算出された撮影に関する情報を重畳表示させて図7に示すステップS121へ進む。
【0046】
ステップS121においては、領域指定操作により指定された切り出し領域を決定するための決定操作が行われたか否かを判定する。操作部106から決定信号を入力した場合は、ステップS121が肯定判定されてステップS122へ進む。決定信号を入力しない場合は、ステップS121が否定判定されて後述するステップS131へ進む。
【0047】
ステップS122においては、撮像素子101を制御して、切り出し領域情報に基づいて、全画素のうち切り出し領域に対応する領域に含まれる画素から画像信号を出力させてステップS123へ進む。ステップS123においては、ステップS122において出力された画像信号に基づいて表示用画像データを生成してLCD駆動回路103へ出力する。すなわち、切り出し領域に対応するライブビュー画像を液晶表示器104に表示させる。さらに、液晶表示器104においてライブビュー画像が表示されていない領域を黒色等の所定色表示をしてステップS124へ進む。
【0048】
ステップS124においては、レリーズ半押し操作が行われたか否かを判定する。操作部106から半押し操作信号を入力した場合は、ステップS124が肯定判定されてステップS125へ進む。半押し操作信号を入力しない場合は、ステップS124が否定判定されて後述するステップS132へ進む。ステップS125においては、ステップS122において出力された画像信号に基づいて、公知の焦点検出演算および露出演算を行ってステップS126へ進む。
【0049】
ステップS126においては、レリーズ全押し操作が行われたか否かを判定する。操作部106から全押し操作信号を入力した場合は、ステップS126が肯定判定されてステップS127へ進む。全押し操作信号を入力しない場合は、ステップS126が否定判定されてステップS130へ進む。ステップS127においては、ステップS125で算出された露光演算の結果に基づいて撮像素子101を露光してステップS128へ進む。
【0050】
ステップS128においては、ステップS122と同様に撮像素子101を制御して、切り出し領域情報に基づいて、全画素のうち切り出し領域に対応する領域に含まれる画素から画像信号を出力させる。そして、画像処理部102aは、入力した画像信号を用いて画像データを生成してステップS129へ進む。ステップS129においては、圧縮部102bはステップS128で生成した画像データに所定の圧縮処理(たとえばJPEG圧縮)を施す。そして、制御回路102は、圧縮処理が施された画像データをメモリカードインタフェース107を介してメモリカード108に記録して処理を終了する。
【0051】
ステップS126が否定判定されるとステップS130へ進み、レリーズ半押し操作が解除されたか否かを判定する。半押し操作が解除された場合、すなわち操作部106から半押し操作信号を入力しない場合は、ステップS130が肯定判定されてステップS124へ戻る。半押し操作が解除されていない場合、すなわち操作部106から半押し操作信号を入力している場合は、ステップS120が否定判定されてステップS126へ戻る。
【0052】
ステップS121が否定判定されるとステップS131へ進み、領域指定操作により指定された領域をキャンセルする操作が行われたか否かを判定する。操作部106から取消信号を入力した場合は、ステップS131が肯定判定されてステップS101へ戻る。取消信号を入力しない場合は、ステップS131が否定判定されてステップS121へ戻る。
【0053】
ステップS124が否定判定されると、ライブビュー画像を液晶表示器104の全領域に表示するための操作が行われたか否かを判定する。操作部106から全表示信号を入力した場合は、ステップS132が肯定判定されてステップS133へ進む。全表示信号を入力しない場合は、ステップS132が否定判定されてステップS124へ戻る。ステップS133においては、表示中のライブビュー画像を液晶表示器104の全領域に表示させる。さらに、図5に示すように、液晶表示器104のたとえば下端部の所定領域Xに上述した撮影に関する情報を表示させてステップS124へ戻る。
【0054】
以上で説明した実施の形態によるデジタルカメラによれば、以下の作用効果が得られる。
(1)撮像素子101は、複数の画素が行列状に配置し、被写体の像を撮像して画像信号を出力するようにし、液晶表示器104は、入力した画像信号に基づいて、メモリカード108への記録を伴わない画像をライブビュー画像として表示するようにした。ライブビュー画像が表示されているときに、タッチパネル105は、ライブビュー画像上における任意の一部領域を切り出し領域として設定する操作を受け付けるようにした。そして、制御回路102は、タッチパネル105により受け付けられた切り出し領域に対応する位置に配置された画素からメモリカード108へ記録するための画像信号を読み出すようにした。したがって、ユーザはライブビュー画像を確認しながら所望の切り出し領域を設定できるので利便性が向上する。また、撮像素子101の全画素のうち切り出し領域に対応する領域に含まれる画素から画像信号を出力してライブビュー画像、およびメモリカード108に記録するための画像が生成されるので、全画素から画像信号を出力させる場合と比べて処理時間を短縮できる。
【0055】
(2)液晶表示器104は、切り出し領域に対応するライブビュー画像が表示された領域とは異なる領域に、ライブビュー画像とは異なる態様、たとえば所定色(たとえば灰色や黒等)表示をするようにした。したがって、ユーザが切り出し領域として指定もしくは設定した領域を確認する際の視認性を向上できる。
【0056】
(3)液晶表示器104は、上述した所定色表示された領域に、撮影に関する情報を重畳して表示するようにした。したがって、ユーザは切り出し領域に関する各種の情報を確認して、切り出し領域を再度設定し直すかといった判断が容易にできるので、利便性が向上する。また、切り出し領域に重畳しない位置に、切り出し領域に関する各種の情報が表示されるので、切り出し領域のライブビュー画像と切り出し領域に関する各種の情報とが視認性を損なうことなく表示できる。
【0057】
以上で説明した実施の形態によるデジタルカメラを、以下のように変形できる。
(1)撮影に関する情報は、ローリング歪みの発生の有無を含むようにしてもよい。ローリング歪みは、撮像素子101がローリングシャッタ方式により撮像を行うことにより被写体に発生する歪みのことである。ローリング歪みは、画像の上部に対応する画素の電荷蓄積開始時刻と画像の下部に対応する画素の電荷蓄積開始時刻との差によって生じる。すなわち、同一被写体において露光開始時刻が異なる位置が発生するので、取得された画像上で被写体に歪みが生じる。このようなローリング歪みは、垂直方向(縦方向)にエッジを持つ被写体が高速で水平方向に移動する動体被写体の場合に特に顕著に発生する。
【0058】
画像処理部102aは、切り出し領域に対応する領域内の画素から出力された画像信号に基づいて、切り出し領域内における動体被写体の大きさ、すなわち動体被写体が占有する領域を検出する。そして、画像処理部102aは、公知の技術を用いて動体被写体の動きベクトルを検出し、検出した動体被写体の動きベクトルに基づいて、動体被写体が動く速さを算出する。そして、制御回路102は、画像処理部102aにより算出された動体被写体の動く速さや、ライブビューモードや動画モードにおけるフレームレート等が所定の条件を満たす場合に、ローリング歪みが発生すると判定する。なお、この所定の条件は、予め実験等に基づいて決定され、図示しないメモリ等に記録されているものとする。一般的には、フレームレートが60fpsを超える場合は、ローリング歪みによる被写体への影響は少ない。そして、制御回路102は、LCD駆動回路103を介して、液晶表示器104に判定の結果を表示させればよい。なお、制御回路102は、ローリング歪みの発生の有無として「○」、「×」等のマークを表示させてもよい。
【0059】
(2)タッチパネル105により切り出し領域の領域指定操作を行うものに代えて、たとえば操作部106を用いて領域指定操作を行うようにしてもよい。この場合、制御回路102は、液晶表示器104にカーソルを表示させる。そして、ユーザは、操作部106に含まれる、たとえば十字キーを操作することによりカーソルを液晶表示器104上の所望の位置へ動かし、決定ボタンを操作することにより領域指定操作を行えばよい。このとき、制御回路102は、ユーザによる十字キーの操作方向と操作量とに応じて液晶表示器104におけるカーソルの移動方向と移動量とを算出し、移動方向と移動量とを液晶表示器104における座標値に換算する。そして、制御回路102は、LCD駆動回路103を介して、液晶表示器104に算出した座標値に対応する位置にカーソルを表示させる。ユーザにより決定ボタンが操作されると、操作部106は操作信号を制御回路102へ出力する。制御回路102は、操作部106から操作信号を入力したときに算出されている座標値を、切り出し領域を規定する点として決定すればよい。
【0060】
また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。説明に用いた実施の形態および変形例は、それぞれを適宜組合わせて構成しても構わない。
【符号の説明】
【0061】
1 デジタルカメラ、 101 撮像素子、
102 制御回路、 102a 画像処理部、
104 液晶表示器、 105 タッチパネル、
106 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に配置された、被写体の像を撮像して画像信号を出力する撮像素子と、
前記画像信号を入力して、記録媒体への記録を伴わない画像を表示する表示手段と、
前記表示手段により前記画像が表示されているときに、前記画像上における任意の一部領域を第1領域として設定する操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた前記第1領域に対応する位置に配置された前記画素から前記記録媒体へ記録するための前記画像信号を読み出す読出手段とを備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記表示手段は、前記画像上において前記第1領域とは異なる第2領域に、前記画像とは異なる態様の表示をすることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記表示手段は、前記第2領域を所定色表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子カメラにおいて、
前記表示手段は、撮影に関する情報を表示するための第3領域を前記第2領域に重畳して表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項4に記載の電子カメラにおいて、
前記撮像素子は、ローリングシャッタ方式により行単位で前記画像信号を出力し、
前記ローリングシャッタ方式に起因して、前記画像上の前記被写体に発生する歪みの有無を判定する判定手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記判定手段による判定の結果を前記第3領域に表示することを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
前記受付手段は、タッチパネルにより構成されることを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−78055(P2011−78055A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230302(P2009−230302)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】