電子カメラ
【構成】光学/撮像系12Lは、瞬間的に光を発生するストロボ38に割り当てられ、高品質の生画像データを出力する。一方、光学/撮像系12Rは、継続的に光を発生するビデオライト40に割り当てられ、低品質の生画像データを出力する。ストロボ38および光学/撮像系12Lはカメラ筐体CB1によって一体的に保持され、ビデオライト40および光学/撮像系12RはモジュールMD1によって一体的に保持される。モジュールMD1およびカメラ筐体CB1は軸AX_Sの周り方向に回動可能なようにシャフトSH_LおよびSH_Rによって互いに結合され、モジュールMD1およびカメラ筐体CB1の相対姿勢は軸AX_Sを基準として変化する。
【効果】光学/撮像系12Lおよび12Rから出力される生画像データの表現の多様化が図られる。
【効果】光学/撮像系12Lおよび12Rから出力される生画像データの表現の多様化が図られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に複数の撮像系を備える、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、複数の光学系の各々は、被写体光を集光して結像面に光学像を形成する。複数の撮像素子は、複数の光学系にそれぞれ割り当てられる。映像表示手段は、複数の撮像素子からそれぞれ出力された複数の映像に基づく立体画像を表示する。記録手段は、同じ複数の映像に基づく立体映像を記録する。ここで、複数の撮像素子は、受光面の長手方向と水平方向が略一致する第1の位置と、受光面の長手方向と鉛直方向が略一致する第2の位置との間で遷移する。これによって、複眼カメラ装置においても、いわゆる縦位置での撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−224820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、出力映像の品質が複数の撮像素子の間で相違することはなく、出力映像の表現の多様化に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、電子画像の表現の多様性を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、互いに異なる態様で発光する複数の発光手段(38, 40)、複数の発光手段にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する複数の撮像手段(12L, 12R)、互いに対応する発光手段および撮像手段を各々が一体的に保持する複数の保持部材(MD1, CB1)、および複数の保持部材の相対姿勢が可変となる態様で複数の保持部材を互いに結合する結合部材(SH_L, SH_R)を備える。
【0007】
好ましくは、結合部材は複数の保持部材の各々が既定軸(AX_S)の回り方向に回動可能なように複数の保持部材を保持する。
【0008】
好ましくは、既定の相対姿勢において複数の撮像手段がそれぞれ捉える複数の視野は水平方向において部分的に重複するように同じ垂直位置に並ぶ。
【0009】
好ましくは、複数の撮像手段からそれぞれ出力された複数の電子画像を互いに関連付ける関連付け手段(S45)がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、複数の発光手段は、瞬間的に光を発生する第1発生手段(38)、および継続的に光を発生する第2発生手段(40)を含み、複数の撮像手段は、第1発生手段に対応しかつ第1画質の電子画像を出力する第1撮像手段(12L)、および第2発生手段に対応しかつ第2画質の電子画像を出力する第2撮像手段(12R)を含む。
【0011】
好ましくは、互いに異なる態様でシーンを捉える複数の撮像モードを複数の撮像手段にそれぞれ割り当てる割り当て手段(S5~S7)、複数の撮像モードの中から所望の撮像モードを選択する選択手段(S19, S35)、および複数の撮像手段のうち選択手段によって選択された撮像モードに対応する撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段(S23, S41)がさらに備えられる。
【0012】
或る局面では、複数の撮像モードと複数の撮像手段との対応関係をユーザ操作に応じて変更する変更手段(S9)、およびシーンの明るさが基準以下のとき変更手段の変更処理を制限する制限手段(S3)がさらに備えられる。
【0013】
他の局面では、複数の撮像モードは、シーンを継続的に捉える動画撮像モード、およびシーンを瞬間的に捉える静止画撮像モードを含む。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、発光態様は複数の発光手段の間で相違し、出力画像の品質は複数の撮像系の間で相違する。互いに対応する発光手段および撮像系は共通の保持部材によって一体的に保持され、複数の保持部材は相対姿勢が可変となる態様で互いに結合される。これによって、撮像系から出力される電子画像の表現の多様化が図られる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例の外観を示す分解斜視図である。
【図4】図2実施例の外観を示す斜視図である。
【図5】図2実施例によって捉えられるシーンの一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用される光学/撮像系の構成の一例を示す図解図である。
【図7】撮像面における評価エリアEVAの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】この発明の他の実施例の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0018】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。複数の発光手段1,1,…は、互いに異なる態様で発光する。複数の撮像系2,2,…は、複数の発光手段1,1,…にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する。複数の保持部材3,3,…は、互いに対応する発光手段1および撮像系2を各々が一体的に保持する。結合部材4は、複数の保持部材3,3,…の相対姿勢が可変となる態様で複数の保持部材3,3,…を互いに結合する。
【0019】
このように、発光態様は複数の発光手段1,1,…の間で相違し、出力画像の品質は複数の撮像系2,2,…の間で相違する。互いに対応する発光手段1および撮像系2は共通の保持部材3によって一体的に保持され、複数の保持部材3,3,…は相対姿勢が可変となる態様で互いに結合される。これによって、撮像系2から出力される電子画像の表現の多様化が図られる。
[実施例]
【0020】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、共通のシーンを捉える光学/撮像系12Lおよび12Rを含む。電源が投入されると、CPU34によって実行される撮像タスクの下で、光学/撮像系12Lおよび12Rが起動される。光学/撮像系12Lおよび12Rのいずれも、SG(Signal Generator)18から周期的に出力される垂直同期信号Vsyncに応答して、シーンを表す生画像データを繰り返し出力する。
【0021】
図3および図4に示すように、ディジタルカメラ10は、カメラ筐体CB1とモジュールMD1とによって形成される。カメラ筐体CB1の上面中央は前後方向の全域にわたって凹み、こうして形成された凹部DT1の左内側面S_Lcbおよび右内側面S_Rcbは平坦でかつ互いに対向する。また、左内側面S_Lcbの略中央には左方向に延びる円形の孔HL_Lが形成され、内側面S_Rcbの略中央にも右方向に延びる円形の孔HL_Rが形成される。
【0022】
モジュールMD1は、カメラ筐体CB1の凹部DT1に嵌合する形状およびサイズを有し、左内側面S_Lcbに正対する左外側面S_Lmdと右内側面S_Rcbに正対する右外側面S_Rmdとを有する。ただし、モジュールDT1の前面および後面の各々と下面とを結ぶ角部は丸く削られる。したがって、モジュールDT1を左右方向から眺めたときモジュールDT1の下部輪郭はU字をなす。
【0023】
モジュールMD1にはまた、左外側面S_Lmdの略中央から左方向に突出するシャフトSH_Lが設けられ、右外側面S_Rmdの略中央から右方向に突出するシャフトSH_Rが設けられる。シャフトSH_Lの外径は孔HL_Lの内径よりも僅かに小さく、シャフトSH_Rの外径もまた孔HL_Rの内径よりも僅かに小さい。
【0024】
モジュールMD1は、シャフトSH_Lを孔HL_Lに挿入し、シャフトSH_Rを孔HL_Rに挿入することで、カメラ筐体CB1に装着される。こうして装着されたモジュールMD1はシャフトSH_LおよびSH_Rの中心軸AX_Sの周り方向に回動可能で、モジュールMD1およびカメラ筐体CB1の相対姿勢は中心軸AX_Sを基準として0°〜180°の範囲で可変となる。
【0025】
光学/撮像系12Lおよびストロボ38はカメラ筐体CB1の前面の左側やや上部に固定的に設けられ、光学/撮像系12Rおよびストロボ40はモジュールMD1の前面に固定的に設けられる。つまり、ストロボ38および光学/撮像系12LはモジュールMD1によって一体化され、ビデオライト40および光学/撮像系12Rはカメラ筐体CB1によって一体化される。以下では、光学/撮像系12Rの方向が光学/撮像系12Lの方向と一致する姿勢を“基準姿勢”と定義する。
【0026】
図4に示すように、光学/撮像系12Lおよび12Rはそれぞれ光軸AX_LおよびAX_Rを有する。基準姿勢において、カメラ筐体CB1の底面から光軸AX_Rまでの距離(=H_R)はカメラ筐体CB1の底面から光軸AX_Lまでの距離(=H_L)と一致し、水平方向における光軸AX_LおよびAX_Rの間隔(=W1)は人間の両目の間隔を考慮して6cm程度に設定される。
【0027】
したがって、カメラ筐体CB1の前方に図5に示すシーンが広がっている状態でモジュールMD1を基準姿勢に設定したとき、光学/撮像系12Lは左側視野VF_Lに属するシーンを捉える一方、光学/撮像系12Rは右側視野VF_Rに属するシーンを捉える。光学/撮像系12Lおよび12Rはカメラ筐体CB1において互いに同じ高さに設けられるため、視野VF_LおよびVF_Rの水平位置は僅かにずれるものの、視野VF_LおよびVF_Rの垂直位置は互いに一致する。
【0028】
図2に戻って、光学/撮像系12Lから出力された生画像データは信号処理回路14Lに与えられ、光学/撮像系12Rから出力された生画像データは信号処理回路14Rに与えられる。信号処理回路14Lおよび14Rの各々は、与えられた生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの処理を施し、YUV形式の画像データをメモリ制御回路20を通してSDRAM22に書き込む。
【0029】
光学/撮像系12Lおよび12Rの一方は動画撮像モードに対応し、光学/撮像系12Lおよび12Rの他方は静止画撮像モードに対応する。以下では、動画撮像モードに対応する光学/撮像系を“光学/撮像系MV”と定義し、静止画撮像モードに対応する光学/撮像系を“光学/撮像系STL”と定義する。
【0030】
電源が投入された当初、CPU34は、撮像タスクと並列する設定制御タスクの下で、光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を初期化する。光学/撮像系12Lは“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rは“光学/撮像系MV”として設定される。初期化が完了すると、光学/撮像系12Lおよび12Rによって捉えられるシーンの照度が後述する輝度評価値に基づいて算出され、算出された照度の大きさに応じて異なる要領で光学/撮像系12Lおよび12Rの役割が設定される。
【0031】
ストロボ38には発光/非発光を制御するための基準値REF1が割り当てられ、ビデオライト40には点灯/消灯を制御するための基準値REF2が割り当てられる。ここで、基準値REF1は基準値REF2よりも大きい。
【0032】
光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか、或いは光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であれば、ストロボ38および/またはビデオライト40が必要であるとして、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。また、現時点でビデオライト40が点灯中である場合も、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。
【0033】
これに対して、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1を上回り、光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2を上回り、そしてビデオライト40が消灯中であれば、ストロボ38およびビデオライト40のいずれも必要ではないとして、撮像設定スイッチ36swの操作に応答して光学/撮像系12Lおよび12Rの役割が切り換えられる。
【0034】
具体的には、撮像設定スイッチ36swが“ST1”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。一方、撮像設定スイッチ36swが“ST2”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系MV”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系STL”として設定される。
【0035】
SDRAM22において、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表す画像データは動画エリア22mvに格納される一方、光学/撮像系STLで捉えられたシーンを表す画像データは静止画エリア22stlに格納される。LCDドライバ24は、動画エリア22mvに格納された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ26を駆動する。この結果、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0036】
図6を参照して、光学/撮像系12Lは、レンズドライバ124L,絞りドライバ125Lおよびセンサドライバ126Lによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ121L,絞り機構122Lおよび撮像装置123Lを有する。左側視野VF_Lを表す光学像は、フォーカスレンズ121Lおよび絞り機構122Lを経由して撮像装置123Lの撮像面に照射される。
【0037】
同様に、光学/撮像系12Rは、レンズドライバ124R,絞りドライバ125Rおよびセンサドライバ126Rによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ121R,絞り機構122Rおよび撮像装置123Rを有する。右側視野VF_Rを表す光学像は、フォーカスレンズ121Rおよび絞り機構122Rを経由して撮像装置123Rの撮像面に照射される。
【0038】
センサドライバ126Lは、SG18から与えられた垂直同期信号Vsyncに応答して撮像装置123Lの撮像面を露光し、これによって生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。センサドライバ126Rも、SG18から与えられた垂直同期信号Vsyncに応答して撮像装置123Rの撮像面を露光し、これによって生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。この結果、読み出された電荷に基づく生画像データが、撮像装置123Lおよび123Rの各々から出力される。
【0039】
なお、光学/撮像系12Rの性能は、光学/撮像系12Lの性能よりも低い。具体的には、フォーカスレンズ121Rの光学的な性能はフォーカスレンズ121Lの光学的な性能よりも低く、撮像装置123Rの出力性能もまた撮像装置123Rの出力性能よりも低い。したがって、光学/撮像系12Rからは、光学/撮像系12Lから出力される生画像データの品質よりも劣化した品質を有する生画像データが出力される。
【0040】
撮像装置123Lおよび123Rの各々の撮像面には、評価エリアEVAが図7に示す要領で割り当てられる。図2に示すAE/AF評価回路16Lは、光学/撮像系12Lで捉えられたシーンの明るさおよび鮮鋭度をそれぞれ示す輝度評価値およびフォーカス評価値を、信号処理回路14Lによって生成されたYUV形式の画像データのうち評価エリアEVAに属する一部の画像データに基づいて繰り返し作成する。
【0041】
同様に、AE/AF評価回路16Rは、光学/撮像系12Rで捉えられたシーンの明るさおよび鮮鋭度をそれぞれ示す輝度評価値およびフォーカス評価値を、信号処理回路14Rによって生成されたYUV形式の画像データのうち評価エリアEVAに属する一部の画像データに基づいて繰り返し作成する。
【0042】
モジュールMD1が基準姿勢を示すとき、CPU34は、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力された輝度評価値を参照輝度評価値として指定し、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力されたフォーカス評価値を参照フォーカス評価値として指定する。
【0043】
これに対して、モジュールMD1が基準姿勢と異なる姿勢を示すとき、CPU34は、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値のみを参照輝度評価値として指定し、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力されたフォーカス評価値のみを参照フォーカス評価値として指定する。
【0044】
参照輝度評価値および参照フォーカス評価値の指定が完了すると、CPU34は、参照輝度評価値に基づく動画用AE処理を撮像タスクの下で実行し、適正EV値を定義する絞り量および露光時間を算出する。絞り量は、基準姿勢に対応して絞りドライバ125Lおよび125Rの両方に設定され、基準姿勢と異なる姿勢に対応して光学/撮像系MVの絞りドライバにのみ設定される。露光時間も、基準姿勢に対応してセンサドライバ126Lおよび126Rの両方に設定され、基準姿勢と異なる姿勢に対応して光学/撮像系MVのセンサドライバ126にのみ設定される。
【0045】
この結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの輝度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの輝度が適正に調整される。
【0046】
CPU34はまた、参照フォーカス評価値に基づく動画用AF処理を撮像タスクの下で実行する。CPU34は、基準姿勢においてフォーカスレンズ121Lおよび121Rの両方を合焦点が存在する方向に移動させ、基準姿勢と異なる姿勢においてフォーカスレンズ121Rのみを合焦点が存在する方向に移動させる。
【0047】
この結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整される。
【0048】
キー入力装置36に設けられたムービボタン36mvが操作されると、CPU34は、動画撮像モードが選択されたとみなし、動画記録処理の実行を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。メモリI/F28は、新規の動画ファイルを記録媒体30に作成し(作成した動画ファイルはオープンされる)、SDRAM22の動画エリア22mvに格納された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データをオープン状態の動画ファイルに収める。
【0049】
ムービボタン36mvが再度操作されると、CPU34は、動画撮像モードの選択が解除されたとみなし、動画記録処理の停止を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。メモリI/F28は、動画エリア22mvからの画像データの読み出しを終了し、オープン状態の動画ファイルをクローズする。これによって、所望のシーンを継続的に表す動画像がファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0050】
キー入力装置36に設けられたシャッタボタン36shの操作は、このような動画記録処理の実行/中断に関わらず撮像タスクの下で受け付けられる。CPU34は、シャッタボタン36shが半押しされたとき、光学/撮像系STLに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値およびフォーカス評価値に基づく静止画用AE処理および静止画用AF処理を撮像タスクの下で実行する。
【0051】
静止画用AE処理の結果、最適EV値を定義する絞り量および露光時間が算出される。算出された絞り量は光学/撮像系STLに設けられた絞りドライバに設定され、算出された露光時間は光学/撮像系STLに設けられたセンサドライバに設定される。これによって、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの輝度が最適値に調整される。
【0052】
また、静止画用AF処理の結果、光学/撮像系STLに設けられたフォーカスレンズが合焦点に配置される。これによって、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの鮮鋭度が最適値に調整される。
【0053】
なお、モジュールMD1が基準姿勢を示すときは、静止画用AE処理および静止画用AF処理が実行される前に動画用AE処理および動画用AF処理が繰り返し実行される。このため、静止画用AE処理および静止画用AF処理の態様は、モジュールMD1の姿勢によって異なる。特に、フォーカスレンズは、基準姿勢と異なる姿勢においてレンズ可動範囲の全域において移動する一方、基準姿勢において合焦点の近傍でのみ移動する。
【0054】
シャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、静止画撮像モードが選択されたとみなし、撮像タスクの下で静止画取り込み処理を実行する。この結果、静止画エリア22stlに格納された最新の1フレームの画像データが退避エリア22svに退避される。CPU34は続いて、静止画記録処理の実行を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。
【0055】
メモリI/F28は、新規の静止画ファイルを記録媒体30に作成し(作成した静止画ファイルはオープンされる)、退避エリア22svに退避された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データをオープン状態の静止画ファイルに収める。画像データの格納が完了すると、メモリI/F28はオープン状態の静止画ファイルをクローズする。これによって、所望のシーンを瞬間的に表す静止画像がファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0056】
動画記録処理の途中で静止画記録処理が実行されたとき、CPU34は、動画記録処理によって作成された動画ファイルと静止画記録処理によって作成された静止画ファイルとの間でリンクを形成する。具体的には、CPU34は、動画ファイルのファイル名が静止画ファイルのヘッダに記述し、静止画ファイルのファイル名が動画ファイルのファイル名に記述する。これによって、共通のシーンを表す動画像および静止画像を並列状態ないし合成状態して再生するなど、再生画像の表現の多様性が向上する。
【0057】
CPU34はまた、設定制御タスクおよび撮像タスクと並列する発光制御タスクの下で、シャッタボタン36shの全押し時点でのストロボ38の発光/非発光と、動画記録処理の実行中におけるビデオライト40の点灯/消灯とを制御する。制御にあたっては、AE/AF評価回路16Lおよび16Rからの輝度評価値に基づいて算出された照度が参照される。
【0058】
ストロボ38は、照度が基準値REF1以下のとき発光される一方、照度が基準値REF1を上回るとき非発光とされる。また、ビデオライト40は、照度が基準値REF2以下であるとき点灯される一方、照度が基準値REF2を上回るとき消灯される。これによって、動画ファイルおよび静止画ファイルの各々に収められた画像データの品質が向上する。
【0059】
CPU34は、図8に示す設定制御タスク,図9〜図11に示す撮像タスク,および図12に示す発光制御タスクを、マルチタスクOSの制御の下で並列的に実行する。
【0060】
図8を参照して、ステップS1では光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を初期化する。光学/撮像系12Lは“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rは“光学/撮像系MV”として設定される。
【0061】
ステップS3では、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか否かをAE/AF評価回路16Lから出力された輝度評価値に基づいて判別し、光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であるか否かをAE/AF評価回路16Rから出力された輝度評価値に基づいて判別する。
【0062】
光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか、或いは光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であれば、ステップS3でYESと判別し、ステップS5に進む。これに対して、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1を上回り、かつ光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2を上回れば、ステップS3でNOと判別し、ステップS8に進む。
【0063】
ステップS8ではビデオライト40が点灯中であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS5に進む一方、判別結果がNOであればステップS9に進む。
【0064】
ステップS5では光学/撮像系12Lを“光学/撮像系STL”として設定し、ステップS7では光学/撮像系12Rを“光学/撮像系MV”として設定する。設定が完了すると、ステップS3に戻る。ステップS9では、撮像設定スイッチ36swの状態に従って光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を設定する。設定が完了すると、ステップS3に戻る。
【0065】
ステップS9の処理の結果、撮像設定スイッチ36swが“ST1”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。撮像設定スイッチ36swが“ST2”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系MV”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系STL”として設定される。
【0066】
図9を参照して、ステップS11では光学/撮像系MVおよびSTLを起動する。この結果、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表す画像データがSDRAM22の動画エリア22mvに書き込まれ、光学/撮像系STLで捉えられたシーンを表す画像データがSDRAM22の静止画エリア22stlに書き込まれ、そして動画エリア22mvに格納された画像データに基づくスルー画像がLCDモニタ26に表示される。
【0067】
ステップS13では、モジュールMD1の姿勢に応じて異なる態様で参照輝度評価値および参照フォーカス評価値を決定する。基準姿勢では、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力された輝度評価値が参照輝度評価値として指定され、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力されたフォーカス評価値が参照フォーカス評価値として指定する。これに対して、基準姿勢と異なる姿勢では、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値のみが参照輝度評価値として指定され、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力されたフォーカス評価値のみが参照フォーカス評価値として指定される。
【0068】
ステップS15では参照輝度評価値に基づく動画用AE処理を実行し、ステップS17では参照フォーカス評価値に基づく動画用AF処理を実行する。ステップS15の処理の結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの両方から出力される画像データの輝度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの輝度が適正に調整される。また、ステップS17の処理の結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整される。
【0069】
ステップS19ではムービボタン36mvが操作されたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS21に進む。ステップS21では動画処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がYESであれば動画撮像モードが選択されたものとみなしてステップS23で動画記録処理を開始する一方、判別結果がNOであれば動画撮像モードの選択が解除されたものとみなしてステップS25で動画記録処理を中止する。ステップS23またはS25の処理が完了すると、ステップS13に戻る。
【0070】
ステップS23およびS25の処理の結果、ムービボタン36mvの1回目の操作から2回目の操作までの期間に動画エリアMVに取り込まれた画像データが動画ファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0071】
ステップS19の判別結果がNOであれば、シャッタボタン36shが半押しされたか否かをステップS27で判別する。判別結果がNOであればステップS13に戻り、判別結果がYESであればステップS29に進む。ステップS29ではモジュールMD1の姿勢を参照してAE処理態様およびAF処理態様を決定し、ステップS31およびS33では決定された態様で静止画用AE処理および静止画用AF処理を実行する。この結果、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの輝度および鮮鋭度が最適値に調整される。
【0072】
ステップS35ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS37ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS37の判別結果がYESであれば、ステップS13に戻る。ステップS35の判別結果がYESであれば、静止画撮像モードが選択されたものとみなしてステップS39に進む。
【0073】
ステップS39では静止画取り込み処理を実行し、ステップS41では静止画記録処理を実行する。ステップS39の処理の結果、静止画エリア22stlに格納された最新の1フレームの画像データが退避エリア22svに退避される。また、ステップS41の処理の結果、退避された画像データを収めた静止画ファイルが記録媒体30に記録される。
【0074】
ステップS43では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS13に戻る一方、判別結果がYESであればステップS45の処理を経てステップS13に戻る。ステップS45では、動画記録処理によって作成された動画ファイルと静止画記録処理によって作成された静止画ファイルとの間でリンクを形成するべく、動画ファイルのファイル名が静止画ファイルのヘッダに記述し、静止画ファイルのファイル名が動画ファイルのファイル名に記述する。
【0075】
図11を参照して、ステップS51では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、ステップS53では照度が基準値REF2以下であるか否かをAE/AF評価回路16Lおよび16Rから出力された輝度評価値に基づいて判別する。ステップS51の判別結果およびステップS53の判別結果のいずれもがYESであれば、ステップS55でビデオライト40を点灯する。これに対して、ステップS51の判別結果またはステップS53の判別結果がNOであれば、ステップS57でビデオライト40を消灯する。
【0076】
ステップS55またはS57の処理が完了すると、シャッタボタン36shが全押しされたか否かをステップS59で判別し、照度が基準値REF1以下であるか否かをステップS61で判別する。いずれか一方の判別結果がNOであればそのままステップS51に戻る一方、両方の判別結果がYESであればステップS63でストロボ38を発光させてからステップS51に戻る。
【0077】
以上の説明から分かるように、光学/撮像系12Lは、瞬間的に光を発生するストロボ38に割り当てられ、高品質の生画像データを出力する。一方、光学/撮像系12Rは、継続的に光を発生するビデオライト40に割り当てられ、低品質の生画像データを出力する。ストロボ38および光学/撮像系12Lはカメラ筐体CB1によって一体的に保持され、ビデオライト40および光学/撮像系12RはモジュールMD1によって一体的に保持される。モジュールMD1およびカメラ筐体CB1は軸AX_Sの周り方向に回動可能なようにシャフトSH_LおよびSH_Rによって互いに結合され、モジュールMD1およびカメラ筐体CB1の相対姿勢は軸AX_Sを基準として変化する。
【0078】
このように、発光態様はストロボ38およびビデオライト40の間で相違し、生画像データの品質は光学/撮像系12Lおよび12Rの間で相違する。ストロボ40および光学/撮像系12Lはカメラ筐体CB1によって保持され、ビデオライト40および光学/撮像系12RはモジュールMD1によって保持され、そしてモジュールMD1およびカメラ筐体CB1は軸AX_Sを基準の回り方向に回動可能にシャフトSH_LおよびSH_Rによって結合される。これによって、光学/撮像系12Lおよび12Rから出力される生画像データの表現の多様化が図られる。
【0079】
なお、この実施例では、モジュールMD1は、左右方向に延びる軸AX_Sの周り方向に回転する。しかし、図13に示すように、光学/撮像系12Rおよびビデオライト40を光軸AX_Rの周り方向に90°回転させてモジュールMD1に取り付け、上下方向に延びる軸AX_Sの周り方向に回動可能なようにモジュールMD1をカメラ筐体CB1の右側に装着するようにしてもよい(このとき、光学/撮像系12Rの高さは光学/撮像系12Lの高さと一致させる)。これによって、光学/撮像系12Lおよび12Rを利用した立体撮影やパノラマ撮影が可能になる。
【0080】
ただし、立体撮影およびパノラマ撮影のいずれにおいても、共通の画素数および感度を有するL側画像データおよびR側画像データを同時に取得する必要がある。さらに、立体撮影の場合は被写体距離を考慮してモジュールMD1の回転角度を調整する必要があり、パノラマ撮影の場合は取得したL側画像データおよびR側画像データを共通視野を“のりしろ”として互いに結合する必要がある。
【0081】
なお、モジュールMD1を図4に示すように装着する場合、およびモジュールMD1を図13に示すように装着する場合のいずれにおいても、モジュールMD1を円筒状に形成し、モジュールMD1を基準姿勢から180°回転させることで、いわゆる自分撮りが可能になる。
【0082】
また、この実施例では、単一のモジュールMD1をカメラ筐体CB1に装着するようにしているが、光学/撮像系を各々が有する複数のモジュールをカメラ筐体CB1に装着するようにしてもよい。これによって、3つ以上の視野を同時に捉えることができる。
【0083】
さらに、この実施例では、シャッタボタン36shの操作に応答して静止画取り込み処理および静止画記録処理を実行するようにしているが、撮影者の表情を検出する機能を設け、撮影者の表情が既定の表情を示したときに静止画取り込み処理および静止画記録処理を実行するようにしてもよい。
【0084】
また、この実施例では、動画記録処理の途中で静止画記録処理が実行されたとき、静止画ファイルと動画ファイルとの間でリンクを形成するようにしている。こうして関連付けられた2つの画像の再生態様としては、静止画像上で動画像を再生するいわゆるピクチャインピクチャ再生などが考えられる。
【符号の説明】
【0085】
10 …ディジタルカメラ
12L,12R …光学/撮像系
14L,14R …信号処理回路
34 …CPU
38 …ストロボ
40 …ビデオライト
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に複数の撮像系を備える、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、複数の光学系の各々は、被写体光を集光して結像面に光学像を形成する。複数の撮像素子は、複数の光学系にそれぞれ割り当てられる。映像表示手段は、複数の撮像素子からそれぞれ出力された複数の映像に基づく立体画像を表示する。記録手段は、同じ複数の映像に基づく立体映像を記録する。ここで、複数の撮像素子は、受光面の長手方向と水平方向が略一致する第1の位置と、受光面の長手方向と鉛直方向が略一致する第2の位置との間で遷移する。これによって、複眼カメラ装置においても、いわゆる縦位置での撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−224820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、出力映像の品質が複数の撮像素子の間で相違することはなく、出力映像の表現の多様化に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、電子画像の表現の多様性を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、互いに異なる態様で発光する複数の発光手段(38, 40)、複数の発光手段にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する複数の撮像手段(12L, 12R)、互いに対応する発光手段および撮像手段を各々が一体的に保持する複数の保持部材(MD1, CB1)、および複数の保持部材の相対姿勢が可変となる態様で複数の保持部材を互いに結合する結合部材(SH_L, SH_R)を備える。
【0007】
好ましくは、結合部材は複数の保持部材の各々が既定軸(AX_S)の回り方向に回動可能なように複数の保持部材を保持する。
【0008】
好ましくは、既定の相対姿勢において複数の撮像手段がそれぞれ捉える複数の視野は水平方向において部分的に重複するように同じ垂直位置に並ぶ。
【0009】
好ましくは、複数の撮像手段からそれぞれ出力された複数の電子画像を互いに関連付ける関連付け手段(S45)がさらに備えられる。
【0010】
好ましくは、複数の発光手段は、瞬間的に光を発生する第1発生手段(38)、および継続的に光を発生する第2発生手段(40)を含み、複数の撮像手段は、第1発生手段に対応しかつ第1画質の電子画像を出力する第1撮像手段(12L)、および第2発生手段に対応しかつ第2画質の電子画像を出力する第2撮像手段(12R)を含む。
【0011】
好ましくは、互いに異なる態様でシーンを捉える複数の撮像モードを複数の撮像手段にそれぞれ割り当てる割り当て手段(S5~S7)、複数の撮像モードの中から所望の撮像モードを選択する選択手段(S19, S35)、および複数の撮像手段のうち選択手段によって選択された撮像モードに対応する撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段(S23, S41)がさらに備えられる。
【0012】
或る局面では、複数の撮像モードと複数の撮像手段との対応関係をユーザ操作に応じて変更する変更手段(S9)、およびシーンの明るさが基準以下のとき変更手段の変更処理を制限する制限手段(S3)がさらに備えられる。
【0013】
他の局面では、複数の撮像モードは、シーンを継続的に捉える動画撮像モード、およびシーンを瞬間的に捉える静止画撮像モードを含む。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、発光態様は複数の発光手段の間で相違し、出力画像の品質は複数の撮像系の間で相違する。互いに対応する発光手段および撮像系は共通の保持部材によって一体的に保持され、複数の保持部材は相対姿勢が可変となる態様で互いに結合される。これによって、撮像系から出力される電子画像の表現の多様化が図られる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例の外観を示す分解斜視図である。
【図4】図2実施例の外観を示す斜視図である。
【図5】図2実施例によって捉えられるシーンの一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用される光学/撮像系の構成の一例を示す図解図である。
【図7】撮像面における評価エリアEVAの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】この発明の他の実施例の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0018】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。複数の発光手段1,1,…は、互いに異なる態様で発光する。複数の撮像系2,2,…は、複数の発光手段1,1,…にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する。複数の保持部材3,3,…は、互いに対応する発光手段1および撮像系2を各々が一体的に保持する。結合部材4は、複数の保持部材3,3,…の相対姿勢が可変となる態様で複数の保持部材3,3,…を互いに結合する。
【0019】
このように、発光態様は複数の発光手段1,1,…の間で相違し、出力画像の品質は複数の撮像系2,2,…の間で相違する。互いに対応する発光手段1および撮像系2は共通の保持部材3によって一体的に保持され、複数の保持部材3,3,…は相対姿勢が可変となる態様で互いに結合される。これによって、撮像系2から出力される電子画像の表現の多様化が図られる。
[実施例]
【0020】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、共通のシーンを捉える光学/撮像系12Lおよび12Rを含む。電源が投入されると、CPU34によって実行される撮像タスクの下で、光学/撮像系12Lおよび12Rが起動される。光学/撮像系12Lおよび12Rのいずれも、SG(Signal Generator)18から周期的に出力される垂直同期信号Vsyncに応答して、シーンを表す生画像データを繰り返し出力する。
【0021】
図3および図4に示すように、ディジタルカメラ10は、カメラ筐体CB1とモジュールMD1とによって形成される。カメラ筐体CB1の上面中央は前後方向の全域にわたって凹み、こうして形成された凹部DT1の左内側面S_Lcbおよび右内側面S_Rcbは平坦でかつ互いに対向する。また、左内側面S_Lcbの略中央には左方向に延びる円形の孔HL_Lが形成され、内側面S_Rcbの略中央にも右方向に延びる円形の孔HL_Rが形成される。
【0022】
モジュールMD1は、カメラ筐体CB1の凹部DT1に嵌合する形状およびサイズを有し、左内側面S_Lcbに正対する左外側面S_Lmdと右内側面S_Rcbに正対する右外側面S_Rmdとを有する。ただし、モジュールDT1の前面および後面の各々と下面とを結ぶ角部は丸く削られる。したがって、モジュールDT1を左右方向から眺めたときモジュールDT1の下部輪郭はU字をなす。
【0023】
モジュールMD1にはまた、左外側面S_Lmdの略中央から左方向に突出するシャフトSH_Lが設けられ、右外側面S_Rmdの略中央から右方向に突出するシャフトSH_Rが設けられる。シャフトSH_Lの外径は孔HL_Lの内径よりも僅かに小さく、シャフトSH_Rの外径もまた孔HL_Rの内径よりも僅かに小さい。
【0024】
モジュールMD1は、シャフトSH_Lを孔HL_Lに挿入し、シャフトSH_Rを孔HL_Rに挿入することで、カメラ筐体CB1に装着される。こうして装着されたモジュールMD1はシャフトSH_LおよびSH_Rの中心軸AX_Sの周り方向に回動可能で、モジュールMD1およびカメラ筐体CB1の相対姿勢は中心軸AX_Sを基準として0°〜180°の範囲で可変となる。
【0025】
光学/撮像系12Lおよびストロボ38はカメラ筐体CB1の前面の左側やや上部に固定的に設けられ、光学/撮像系12Rおよびストロボ40はモジュールMD1の前面に固定的に設けられる。つまり、ストロボ38および光学/撮像系12LはモジュールMD1によって一体化され、ビデオライト40および光学/撮像系12Rはカメラ筐体CB1によって一体化される。以下では、光学/撮像系12Rの方向が光学/撮像系12Lの方向と一致する姿勢を“基準姿勢”と定義する。
【0026】
図4に示すように、光学/撮像系12Lおよび12Rはそれぞれ光軸AX_LおよびAX_Rを有する。基準姿勢において、カメラ筐体CB1の底面から光軸AX_Rまでの距離(=H_R)はカメラ筐体CB1の底面から光軸AX_Lまでの距離(=H_L)と一致し、水平方向における光軸AX_LおよびAX_Rの間隔(=W1)は人間の両目の間隔を考慮して6cm程度に設定される。
【0027】
したがって、カメラ筐体CB1の前方に図5に示すシーンが広がっている状態でモジュールMD1を基準姿勢に設定したとき、光学/撮像系12Lは左側視野VF_Lに属するシーンを捉える一方、光学/撮像系12Rは右側視野VF_Rに属するシーンを捉える。光学/撮像系12Lおよび12Rはカメラ筐体CB1において互いに同じ高さに設けられるため、視野VF_LおよびVF_Rの水平位置は僅かにずれるものの、視野VF_LおよびVF_Rの垂直位置は互いに一致する。
【0028】
図2に戻って、光学/撮像系12Lから出力された生画像データは信号処理回路14Lに与えられ、光学/撮像系12Rから出力された生画像データは信号処理回路14Rに与えられる。信号処理回路14Lおよび14Rの各々は、与えられた生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの処理を施し、YUV形式の画像データをメモリ制御回路20を通してSDRAM22に書き込む。
【0029】
光学/撮像系12Lおよび12Rの一方は動画撮像モードに対応し、光学/撮像系12Lおよび12Rの他方は静止画撮像モードに対応する。以下では、動画撮像モードに対応する光学/撮像系を“光学/撮像系MV”と定義し、静止画撮像モードに対応する光学/撮像系を“光学/撮像系STL”と定義する。
【0030】
電源が投入された当初、CPU34は、撮像タスクと並列する設定制御タスクの下で、光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を初期化する。光学/撮像系12Lは“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rは“光学/撮像系MV”として設定される。初期化が完了すると、光学/撮像系12Lおよび12Rによって捉えられるシーンの照度が後述する輝度評価値に基づいて算出され、算出された照度の大きさに応じて異なる要領で光学/撮像系12Lおよび12Rの役割が設定される。
【0031】
ストロボ38には発光/非発光を制御するための基準値REF1が割り当てられ、ビデオライト40には点灯/消灯を制御するための基準値REF2が割り当てられる。ここで、基準値REF1は基準値REF2よりも大きい。
【0032】
光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか、或いは光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であれば、ストロボ38および/またはビデオライト40が必要であるとして、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。また、現時点でビデオライト40が点灯中である場合も、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。
【0033】
これに対して、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1を上回り、光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2を上回り、そしてビデオライト40が消灯中であれば、ストロボ38およびビデオライト40のいずれも必要ではないとして、撮像設定スイッチ36swの操作に応答して光学/撮像系12Lおよび12Rの役割が切り換えられる。
【0034】
具体的には、撮像設定スイッチ36swが“ST1”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。一方、撮像設定スイッチ36swが“ST2”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系MV”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系STL”として設定される。
【0035】
SDRAM22において、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表す画像データは動画エリア22mvに格納される一方、光学/撮像系STLで捉えられたシーンを表す画像データは静止画エリア22stlに格納される。LCDドライバ24は、動画エリア22mvに格納された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ26を駆動する。この結果、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0036】
図6を参照して、光学/撮像系12Lは、レンズドライバ124L,絞りドライバ125Lおよびセンサドライバ126Lによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ121L,絞り機構122Lおよび撮像装置123Lを有する。左側視野VF_Lを表す光学像は、フォーカスレンズ121Lおよび絞り機構122Lを経由して撮像装置123Lの撮像面に照射される。
【0037】
同様に、光学/撮像系12Rは、レンズドライバ124R,絞りドライバ125Rおよびセンサドライバ126Rによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ121R,絞り機構122Rおよび撮像装置123Rを有する。右側視野VF_Rを表す光学像は、フォーカスレンズ121Rおよび絞り機構122Rを経由して撮像装置123Rの撮像面に照射される。
【0038】
センサドライバ126Lは、SG18から与えられた垂直同期信号Vsyncに応答して撮像装置123Lの撮像面を露光し、これによって生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。センサドライバ126Rも、SG18から与えられた垂直同期信号Vsyncに応答して撮像装置123Rの撮像面を露光し、これによって生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。この結果、読み出された電荷に基づく生画像データが、撮像装置123Lおよび123Rの各々から出力される。
【0039】
なお、光学/撮像系12Rの性能は、光学/撮像系12Lの性能よりも低い。具体的には、フォーカスレンズ121Rの光学的な性能はフォーカスレンズ121Lの光学的な性能よりも低く、撮像装置123Rの出力性能もまた撮像装置123Rの出力性能よりも低い。したがって、光学/撮像系12Rからは、光学/撮像系12Lから出力される生画像データの品質よりも劣化した品質を有する生画像データが出力される。
【0040】
撮像装置123Lおよび123Rの各々の撮像面には、評価エリアEVAが図7に示す要領で割り当てられる。図2に示すAE/AF評価回路16Lは、光学/撮像系12Lで捉えられたシーンの明るさおよび鮮鋭度をそれぞれ示す輝度評価値およびフォーカス評価値を、信号処理回路14Lによって生成されたYUV形式の画像データのうち評価エリアEVAに属する一部の画像データに基づいて繰り返し作成する。
【0041】
同様に、AE/AF評価回路16Rは、光学/撮像系12Rで捉えられたシーンの明るさおよび鮮鋭度をそれぞれ示す輝度評価値およびフォーカス評価値を、信号処理回路14Rによって生成されたYUV形式の画像データのうち評価エリアEVAに属する一部の画像データに基づいて繰り返し作成する。
【0042】
モジュールMD1が基準姿勢を示すとき、CPU34は、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力された輝度評価値を参照輝度評価値として指定し、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力されたフォーカス評価値を参照フォーカス評価値として指定する。
【0043】
これに対して、モジュールMD1が基準姿勢と異なる姿勢を示すとき、CPU34は、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値のみを参照輝度評価値として指定し、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力されたフォーカス評価値のみを参照フォーカス評価値として指定する。
【0044】
参照輝度評価値および参照フォーカス評価値の指定が完了すると、CPU34は、参照輝度評価値に基づく動画用AE処理を撮像タスクの下で実行し、適正EV値を定義する絞り量および露光時間を算出する。絞り量は、基準姿勢に対応して絞りドライバ125Lおよび125Rの両方に設定され、基準姿勢と異なる姿勢に対応して光学/撮像系MVの絞りドライバにのみ設定される。露光時間も、基準姿勢に対応してセンサドライバ126Lおよび126Rの両方に設定され、基準姿勢と異なる姿勢に対応して光学/撮像系MVのセンサドライバ126にのみ設定される。
【0045】
この結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの輝度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの輝度が適正に調整される。
【0046】
CPU34はまた、参照フォーカス評価値に基づく動画用AF処理を撮像タスクの下で実行する。CPU34は、基準姿勢においてフォーカスレンズ121Lおよび121Rの両方を合焦点が存在する方向に移動させ、基準姿勢と異なる姿勢においてフォーカスレンズ121Rのみを合焦点が存在する方向に移動させる。
【0047】
この結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整される。
【0048】
キー入力装置36に設けられたムービボタン36mvが操作されると、CPU34は、動画撮像モードが選択されたとみなし、動画記録処理の実行を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。メモリI/F28は、新規の動画ファイルを記録媒体30に作成し(作成した動画ファイルはオープンされる)、SDRAM22の動画エリア22mvに格納された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データをオープン状態の動画ファイルに収める。
【0049】
ムービボタン36mvが再度操作されると、CPU34は、動画撮像モードの選択が解除されたとみなし、動画記録処理の停止を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。メモリI/F28は、動画エリア22mvからの画像データの読み出しを終了し、オープン状態の動画ファイルをクローズする。これによって、所望のシーンを継続的に表す動画像がファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0050】
キー入力装置36に設けられたシャッタボタン36shの操作は、このような動画記録処理の実行/中断に関わらず撮像タスクの下で受け付けられる。CPU34は、シャッタボタン36shが半押しされたとき、光学/撮像系STLに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値およびフォーカス評価値に基づく静止画用AE処理および静止画用AF処理を撮像タスクの下で実行する。
【0051】
静止画用AE処理の結果、最適EV値を定義する絞り量および露光時間が算出される。算出された絞り量は光学/撮像系STLに設けられた絞りドライバに設定され、算出された露光時間は光学/撮像系STLに設けられたセンサドライバに設定される。これによって、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの輝度が最適値に調整される。
【0052】
また、静止画用AF処理の結果、光学/撮像系STLに設けられたフォーカスレンズが合焦点に配置される。これによって、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの鮮鋭度が最適値に調整される。
【0053】
なお、モジュールMD1が基準姿勢を示すときは、静止画用AE処理および静止画用AF処理が実行される前に動画用AE処理および動画用AF処理が繰り返し実行される。このため、静止画用AE処理および静止画用AF処理の態様は、モジュールMD1の姿勢によって異なる。特に、フォーカスレンズは、基準姿勢と異なる姿勢においてレンズ可動範囲の全域において移動する一方、基準姿勢において合焦点の近傍でのみ移動する。
【0054】
シャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、静止画撮像モードが選択されたとみなし、撮像タスクの下で静止画取り込み処理を実行する。この結果、静止画エリア22stlに格納された最新の1フレームの画像データが退避エリア22svに退避される。CPU34は続いて、静止画記録処理の実行を撮像タスクの下でメモリI/F28に命令する。
【0055】
メモリI/F28は、新規の静止画ファイルを記録媒体30に作成し(作成した静止画ファイルはオープンされる)、退避エリア22svに退避された画像データをメモリ制御回路20を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データをオープン状態の静止画ファイルに収める。画像データの格納が完了すると、メモリI/F28はオープン状態の静止画ファイルをクローズする。これによって、所望のシーンを瞬間的に表す静止画像がファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0056】
動画記録処理の途中で静止画記録処理が実行されたとき、CPU34は、動画記録処理によって作成された動画ファイルと静止画記録処理によって作成された静止画ファイルとの間でリンクを形成する。具体的には、CPU34は、動画ファイルのファイル名が静止画ファイルのヘッダに記述し、静止画ファイルのファイル名が動画ファイルのファイル名に記述する。これによって、共通のシーンを表す動画像および静止画像を並列状態ないし合成状態して再生するなど、再生画像の表現の多様性が向上する。
【0057】
CPU34はまた、設定制御タスクおよび撮像タスクと並列する発光制御タスクの下で、シャッタボタン36shの全押し時点でのストロボ38の発光/非発光と、動画記録処理の実行中におけるビデオライト40の点灯/消灯とを制御する。制御にあたっては、AE/AF評価回路16Lおよび16Rからの輝度評価値に基づいて算出された照度が参照される。
【0058】
ストロボ38は、照度が基準値REF1以下のとき発光される一方、照度が基準値REF1を上回るとき非発光とされる。また、ビデオライト40は、照度が基準値REF2以下であるとき点灯される一方、照度が基準値REF2を上回るとき消灯される。これによって、動画ファイルおよび静止画ファイルの各々に収められた画像データの品質が向上する。
【0059】
CPU34は、図8に示す設定制御タスク,図9〜図11に示す撮像タスク,および図12に示す発光制御タスクを、マルチタスクOSの制御の下で並列的に実行する。
【0060】
図8を参照して、ステップS1では光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を初期化する。光学/撮像系12Lは“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rは“光学/撮像系MV”として設定される。
【0061】
ステップS3では、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか否かをAE/AF評価回路16Lから出力された輝度評価値に基づいて判別し、光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であるか否かをAE/AF評価回路16Rから出力された輝度評価値に基づいて判別する。
【0062】
光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1以下であるか、或いは光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2以下であれば、ステップS3でYESと判別し、ステップS5に進む。これに対して、光学/撮像系12Lによって捉えられたシーンの照度が基準値REF1を上回り、かつ光学/撮像系12Rによって捉えられたシーンの照度が基準値REF2を上回れば、ステップS3でNOと判別し、ステップS8に進む。
【0063】
ステップS8ではビデオライト40が点灯中であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS5に進む一方、判別結果がNOであればステップS9に進む。
【0064】
ステップS5では光学/撮像系12Lを“光学/撮像系STL”として設定し、ステップS7では光学/撮像系12Rを“光学/撮像系MV”として設定する。設定が完了すると、ステップS3に戻る。ステップS9では、撮像設定スイッチ36swの状態に従って光学/撮像系12Lおよび12Rの役割を設定する。設定が完了すると、ステップS3に戻る。
【0065】
ステップS9の処理の結果、撮像設定スイッチ36swが“ST1”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系STL”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系MV”として設定される。撮像設定スイッチ36swが“ST2”に設定されていれば、光学/撮像系12Lが“光学/撮像系MV”として設定され、光学/撮像系12Rが“光学/撮像系STL”として設定される。
【0066】
図9を参照して、ステップS11では光学/撮像系MVおよびSTLを起動する。この結果、光学/撮像系MVで捉えられたシーンを表す画像データがSDRAM22の動画エリア22mvに書き込まれ、光学/撮像系STLで捉えられたシーンを表す画像データがSDRAM22の静止画エリア22stlに書き込まれ、そして動画エリア22mvに格納された画像データに基づくスルー画像がLCDモニタ26に表示される。
【0067】
ステップS13では、モジュールMD1の姿勢に応じて異なる態様で参照輝度評価値および参照フォーカス評価値を決定する。基準姿勢では、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力された輝度評価値が参照輝度評価値として指定され、AE/AF評価回路16Lおよび16Rの両方から出力されたフォーカス評価値が参照フォーカス評価値として指定する。これに対して、基準姿勢と異なる姿勢では、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力された輝度評価値のみが参照輝度評価値として指定され、光学/撮像系MVに対応するAE/AF評価回路から出力されたフォーカス評価値のみが参照フォーカス評価値として指定される。
【0068】
ステップS15では参照輝度評価値に基づく動画用AE処理を実行し、ステップS17では参照フォーカス評価値に基づく動画用AF処理を実行する。ステップS15の処理の結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの両方から出力される画像データの輝度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの輝度が適正に調整される。また、ステップS17の処理の結果、基準姿勢では信号処理回路14Lおよび14Rの各々から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整され、基準姿勢と異なる姿勢では光学/撮像系MVに対応する信号処理回路から出力される画像データの鮮鋭度が適正に調整される。
【0069】
ステップS19ではムービボタン36mvが操作されたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS21に進む。ステップS21では動画処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がYESであれば動画撮像モードが選択されたものとみなしてステップS23で動画記録処理を開始する一方、判別結果がNOであれば動画撮像モードの選択が解除されたものとみなしてステップS25で動画記録処理を中止する。ステップS23またはS25の処理が完了すると、ステップS13に戻る。
【0070】
ステップS23およびS25の処理の結果、ムービボタン36mvの1回目の操作から2回目の操作までの期間に動画エリアMVに取り込まれた画像データが動画ファイル形式で記録媒体30に記録される。
【0071】
ステップS19の判別結果がNOであれば、シャッタボタン36shが半押しされたか否かをステップS27で判別する。判別結果がNOであればステップS13に戻り、判別結果がYESであればステップS29に進む。ステップS29ではモジュールMD1の姿勢を参照してAE処理態様およびAF処理態様を決定し、ステップS31およびS33では決定された態様で静止画用AE処理および静止画用AF処理を実行する。この結果、光学/撮像系STLの出力に基づく画像データの輝度および鮮鋭度が最適値に調整される。
【0072】
ステップS35ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS37ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS37の判別結果がYESであれば、ステップS13に戻る。ステップS35の判別結果がYESであれば、静止画撮像モードが選択されたものとみなしてステップS39に進む。
【0073】
ステップS39では静止画取り込み処理を実行し、ステップS41では静止画記録処理を実行する。ステップS39の処理の結果、静止画エリア22stlに格納された最新の1フレームの画像データが退避エリア22svに退避される。また、ステップS41の処理の結果、退避された画像データを収めた静止画ファイルが記録媒体30に記録される。
【0074】
ステップS43では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS13に戻る一方、判別結果がYESであればステップS45の処理を経てステップS13に戻る。ステップS45では、動画記録処理によって作成された動画ファイルと静止画記録処理によって作成された静止画ファイルとの間でリンクを形成するべく、動画ファイルのファイル名が静止画ファイルのヘッダに記述し、静止画ファイルのファイル名が動画ファイルのファイル名に記述する。
【0075】
図11を参照して、ステップS51では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、ステップS53では照度が基準値REF2以下であるか否かをAE/AF評価回路16Lおよび16Rから出力された輝度評価値に基づいて判別する。ステップS51の判別結果およびステップS53の判別結果のいずれもがYESであれば、ステップS55でビデオライト40を点灯する。これに対して、ステップS51の判別結果またはステップS53の判別結果がNOであれば、ステップS57でビデオライト40を消灯する。
【0076】
ステップS55またはS57の処理が完了すると、シャッタボタン36shが全押しされたか否かをステップS59で判別し、照度が基準値REF1以下であるか否かをステップS61で判別する。いずれか一方の判別結果がNOであればそのままステップS51に戻る一方、両方の判別結果がYESであればステップS63でストロボ38を発光させてからステップS51に戻る。
【0077】
以上の説明から分かるように、光学/撮像系12Lは、瞬間的に光を発生するストロボ38に割り当てられ、高品質の生画像データを出力する。一方、光学/撮像系12Rは、継続的に光を発生するビデオライト40に割り当てられ、低品質の生画像データを出力する。ストロボ38および光学/撮像系12Lはカメラ筐体CB1によって一体的に保持され、ビデオライト40および光学/撮像系12RはモジュールMD1によって一体的に保持される。モジュールMD1およびカメラ筐体CB1は軸AX_Sの周り方向に回動可能なようにシャフトSH_LおよびSH_Rによって互いに結合され、モジュールMD1およびカメラ筐体CB1の相対姿勢は軸AX_Sを基準として変化する。
【0078】
このように、発光態様はストロボ38およびビデオライト40の間で相違し、生画像データの品質は光学/撮像系12Lおよび12Rの間で相違する。ストロボ40および光学/撮像系12Lはカメラ筐体CB1によって保持され、ビデオライト40および光学/撮像系12RはモジュールMD1によって保持され、そしてモジュールMD1およびカメラ筐体CB1は軸AX_Sを基準の回り方向に回動可能にシャフトSH_LおよびSH_Rによって結合される。これによって、光学/撮像系12Lおよび12Rから出力される生画像データの表現の多様化が図られる。
【0079】
なお、この実施例では、モジュールMD1は、左右方向に延びる軸AX_Sの周り方向に回転する。しかし、図13に示すように、光学/撮像系12Rおよびビデオライト40を光軸AX_Rの周り方向に90°回転させてモジュールMD1に取り付け、上下方向に延びる軸AX_Sの周り方向に回動可能なようにモジュールMD1をカメラ筐体CB1の右側に装着するようにしてもよい(このとき、光学/撮像系12Rの高さは光学/撮像系12Lの高さと一致させる)。これによって、光学/撮像系12Lおよび12Rを利用した立体撮影やパノラマ撮影が可能になる。
【0080】
ただし、立体撮影およびパノラマ撮影のいずれにおいても、共通の画素数および感度を有するL側画像データおよびR側画像データを同時に取得する必要がある。さらに、立体撮影の場合は被写体距離を考慮してモジュールMD1の回転角度を調整する必要があり、パノラマ撮影の場合は取得したL側画像データおよびR側画像データを共通視野を“のりしろ”として互いに結合する必要がある。
【0081】
なお、モジュールMD1を図4に示すように装着する場合、およびモジュールMD1を図13に示すように装着する場合のいずれにおいても、モジュールMD1を円筒状に形成し、モジュールMD1を基準姿勢から180°回転させることで、いわゆる自分撮りが可能になる。
【0082】
また、この実施例では、単一のモジュールMD1をカメラ筐体CB1に装着するようにしているが、光学/撮像系を各々が有する複数のモジュールをカメラ筐体CB1に装着するようにしてもよい。これによって、3つ以上の視野を同時に捉えることができる。
【0083】
さらに、この実施例では、シャッタボタン36shの操作に応答して静止画取り込み処理および静止画記録処理を実行するようにしているが、撮影者の表情を検出する機能を設け、撮影者の表情が既定の表情を示したときに静止画取り込み処理および静止画記録処理を実行するようにしてもよい。
【0084】
また、この実施例では、動画記録処理の途中で静止画記録処理が実行されたとき、静止画ファイルと動画ファイルとの間でリンクを形成するようにしている。こうして関連付けられた2つの画像の再生態様としては、静止画像上で動画像を再生するいわゆるピクチャインピクチャ再生などが考えられる。
【符号の説明】
【0085】
10 …ディジタルカメラ
12L,12R …光学/撮像系
14L,14R …信号処理回路
34 …CPU
38 …ストロボ
40 …ビデオライト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる態様で発光する複数の発光手段、
前記複数の発光手段にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する複数の撮像手段、
互いに対応する発光手段および撮像手段を各々が一体的に保持する複数の保持部材、および
前記複数の保持部材の相対姿勢が可変となる態様で前記複数の保持部材を互いに結合する結合部材を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記結合部材は前記複数の保持部材の各々が既定軸の回り方向に回動可能なように前記複数の保持部材を保持する、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
既定の相対姿勢において前記複数の撮像手段がそれぞれ捉える複数の視野は水平方向において部分的に重複するように同じ垂直位置に並ぶ、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記複数の撮像手段からそれぞれ出力された複数の電子画像を互いに関連付ける関連付け手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記複数の発光手段は、瞬間的に光を発生する第1発生手段、および継続的に光を発生する第2発生手段を含み、
前記複数の撮像手段は、前記第1発生手段に対応しかつ第1画質の電子画像を出力する第1撮像手段、および前記第2発生手段に対応しかつ第2画質の電子画像を出力する第2撮像手段を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
互いに異なる態様でシーンを捉える複数の撮像モードを前記複数の撮像手段にそれぞれ割り当てる割り当て手段、
前記複数の撮像モードの中から所望の撮像モードを選択する選択手段、および
前記複数の撮像手段のうち前記選択手段によって選択された撮像モードに対応する撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記複数の撮像モードと前記複数の撮像手段との対応関係をユーザ操作に応じて変更する変更手段、および
前記シーンの明るさが基準以下のとき前記変更手段の変更処理を制限する制限手段をさらに備える、請求項6記載の電子カメラ。
【請求項8】
前記複数の撮像モードは、前記シーンを継続的に捉える動画撮像モード、および前記シーンを瞬間的に捉える静止画撮像モードを含む、請求項6または7記載の電子カメラ。
【請求項1】
互いに異なる態様で発光する複数の発光手段、
前記複数の発光手段にそれぞれ対応しかつ互いに異なる品質を各々が有する複数の電子画像をそれぞれ出力する複数の撮像手段、
互いに対応する発光手段および撮像手段を各々が一体的に保持する複数の保持部材、および
前記複数の保持部材の相対姿勢が可変となる態様で前記複数の保持部材を互いに結合する結合部材を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記結合部材は前記複数の保持部材の各々が既定軸の回り方向に回動可能なように前記複数の保持部材を保持する、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
既定の相対姿勢において前記複数の撮像手段がそれぞれ捉える複数の視野は水平方向において部分的に重複するように同じ垂直位置に並ぶ、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記複数の撮像手段からそれぞれ出力された複数の電子画像を互いに関連付ける関連付け手段をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記複数の発光手段は、瞬間的に光を発生する第1発生手段、および継続的に光を発生する第2発生手段を含み、
前記複数の撮像手段は、前記第1発生手段に対応しかつ第1画質の電子画像を出力する第1撮像手段、および前記第2発生手段に対応しかつ第2画質の電子画像を出力する第2撮像手段を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
互いに異なる態様でシーンを捉える複数の撮像モードを前記複数の撮像手段にそれぞれ割り当てる割り当て手段、
前記複数の撮像モードの中から所望の撮像モードを選択する選択手段、および
前記複数の撮像手段のうち前記選択手段によって選択された撮像モードに対応する撮像手段から出力された電子画像を記録する記録手段をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記複数の撮像モードと前記複数の撮像手段との対応関係をユーザ操作に応じて変更する変更手段、および
前記シーンの明るさが基準以下のとき前記変更手段の変更処理を制限する制限手段をさらに備える、請求項6記載の電子カメラ。
【請求項8】
前記複数の撮像モードは、前記シーンを継続的に捉える動画撮像モード、および前記シーンを瞬間的に捉える静止画撮像モードを含む、請求項6または7記載の電子カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−227896(P2012−227896A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96489(P2011−96489)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]