電子カメラ
【課題】フラッシュ光が眼鏡に写り込まない画像を作成する。
【解決手段】レリーズボタンの半押し操作に応答して被写体を撮像して画像データを取り込み、取り込んだ画像データに基づいて被写体が眼鏡の着用をしているか否かを検出する。眼鏡を着用していることを検出した場合、レリーズボタンの全押し操作に応答して、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを時系列に実行する。フラッシュ撮影により得られる画像データ66に対して、非フラッシュ撮影により得られる画像データ76のうちの眼鏡画像領域の一部、又は全部の切り出し画像65を合成した合成画像データ67を作る。合成画像データ67をメモリカードに記録する。
【解決手段】レリーズボタンの半押し操作に応答して被写体を撮像して画像データを取り込み、取り込んだ画像データに基づいて被写体が眼鏡の着用をしているか否かを検出する。眼鏡を着用していることを検出した場合、レリーズボタンの全押し操作に応答して、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを時系列に実行する。フラッシュ撮影により得られる画像データ66に対して、非フラッシュ撮影により得られる画像データ76のうちの眼鏡画像領域の一部、又は全部の切り出し画像65を合成した合成画像データ67を作る。合成画像データ67をメモリカードに記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵フラッシュ、又は外付けフラッシュを利用してフラッシュ撮影を行うことができる電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているコンパクトな電子カメラの多くは、被写体に向けてフラッシュ光(閃光)を照射するフラッシュを内蔵している。フラッシュ内蔵の電子カメラには、被写体距離とレンズのF値(絞り値)とに基づいて光量を決定し、その光量で被写体に対しフラッシュ光を事前に発光(プリ発光)させ、被写体を反射した光の量に基づいて、例えば本撮影時のフラッシュ光の発光量や、発光時間等を制御しているものが多い。
【0003】
ところで、ポートレート撮影や証明写真用の撮影をする場合、その人物が眼鏡をかけていると、フラッシュ光が眼鏡のレンズに反射して写り込むことが多くある。このようになると、顔画像に眼鏡の反射光が重畳されるため、見苦しい画像になり、また、証明写真としては使用できない場合がある。そこで、フラッシュ光を調光して眼鏡への写り込みを少なくした自動写真作成装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−311992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フラッシュ光が眼鏡に反射して写り込む現象は、人物の顔の向きや顔に対する眼鏡の装着角度、度数に応じたレンズの曲率等によって様々な生じ方をする。したがって、前述したようにフラッシュ光の光量を制御するだけでは、眼鏡の反射光の写り込みを完全に防止することができない。そこで、人物に対して斜めの位置から撮影をしたり、多少下あごをひいてもらってやや下向きのポーズをとってもらうこと等でフラッシュ光の写り込みを完全に防いでいた。このようなカメラ位置やポーズ等を変えての撮影は、知識のない者や、時間に余裕がない撮影の場合には難しい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フラッシュ光が眼鏡に写り込まない画像を作成することができる電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を例示する電子カメラの一態様は、被写体を撮像して画像データを取り込む撮像手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて前記眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段と、を備えたものである。保存用又は表示用の画像データとしては、外部に露呈するLCD等の表示部に表示するための、又は内蔵するメモリ等の記録部や着脱自在に取り付けられるカードメモリに記録するための最終的な画像データである。
【0008】
眼鏡検出手段としては、画像データに基づいて顔画像領域を検出する顔画像検出手段と、顔画像領域内で眼鏡の画像領域を検出する眼鏡画像領域検出手段と、で構成してもよい。 眼鏡画像領域検出手段としては、顔画像領域内で閾値より高い輝度値を眼鏡の画像領域として検出する高輝度検出手段、又は顔画像領域内に存在する閉塞領域を眼鏡の画像領域として検出する閉塞領域検出手段としてもよい。
【0009】
眼鏡検出手段が眼鏡の存在を検出する画像データは、レリーズボタンの半押し操作等に相当する撮影準備動作の指示に応答して取り込んだ画像データとするのが好適であり、また、画像作成手段が保存用又は表示用の画像データを作成する基の画像データは、レリーズボタンの全押し操作等に相当する撮影動作の指示に応答して取り込んだ画像データとするのが好適である。
【0010】
画像作成手段としては、眼鏡の着用を検出することに応答して、照明光の発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値よりも上げて本撮影を実行して得られた画像データを最終的な画像データとするようにしてもよい。
【0011】
また、画像作成手段としては、照明光を発光して撮影をする照明撮影と照明光の発光を止めて撮影をする非照明撮影、又はその逆を順に実行し、照明撮影により得られる画像データに対して非照明撮影により得られる画像データのうちの眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成するようにしてもよい。
【0012】
さらに、画像作成手段としては、照明の光量を変えて照明撮影を時系列的に実行し、光量の多い照明撮影により得られる画像データに対して光量の少ない照明撮影により得られる画像データのうちの眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成するようにしてもよい。
【0013】
さらにまた、画像作成手段としては、撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を示す画像領域のうちの照明光による反射領域をぼかす、又は目立たなくする画像処理を施すようにして最終的な画像データを作成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子カメラによれば、画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、眼鏡の照明光による反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段とを備えたから、眼鏡のフラッシュ光による反射光の写り込みを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の電子カメラを示す前方側斜視図である。
【図2】図1で説明した電子変カメラを示す背面側斜視図である。
【図3】図1で説明した電子カメラの電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図4】図1で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図5】フラッシュプリ発光を行う第2実施形態の電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図6】フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを行って合成画像を作る第3実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図7】図6で説明した電子カメラで合成画像を作る手順を概略的に説明する説明図である。
【図8】図6で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図9】フラッシュ光量を変えてフラッシュ撮影を行う第4実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図10】差分画像を切り出して合成する第5実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図11】図10で説明した電子カメラで合成画像を作る手順を概略的に説明する説明図である。
【図12】眼鏡画像領域内の高輝度領域を目立たなくするように画像処理により補正する第6実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図13】図12で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
本発明の一態様を例示する電子カメラ10は、撮影モードとして眼鏡反射防止モードをもっており、眼鏡反射防止モードを選択した場合には、顔画像領域に眼鏡画像領域が存在するか否かを検出し、存在すると判断した場合には、フラッシュ発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値(設定値)よりも上げて撮影を行う。
【0017】
電子カメラ10は、図1に示すように、ボディ前面に撮影レンズ11を保持するレンズ鏡胴12が組み込まれており、レンズ鏡胴12の右上にはフラッシュ発光窓13が、また左上には測光窓14がそれぞれ設けられている。ボディ15の上面には、レリーズボタン16、電源スイッチ17、及びモードダイヤル18が設けられており、側面には、メモリカードが着脱自在に装填されるメモリカードスロットを覆う蓋19が設けられている。
【0018】
電子カメラ10の背面には、図2に示すように、液晶表示部(LCD)20、及び操作部21が設けられている。LCD20は、撮影した画像やスルー画像、ISO感度等を予め設定するメニュー画面等を表示する。操作部21は、ズーム操作ボタン22、LCD20にメニュー画面を表示させるメニューボタン23、及びメニュー画面内でカーソルなどを移動させる十字キー24等から構成される。なお、十字キー24には、選択内容を決定する際に操作する決定キーが中央に配されている。
【0019】
モードダイヤル18は、静止画撮影を行う静止画撮影モード、撮影した画像をLCD20に表示する再生モード、及び眼鏡反射防止モードを択一的に選択する。なお、モードダイヤル18の代わりに、LCD20に撮影モードの一覧表を表示し、操作部21の操作によりその中から択一的に選択するようにしてもよい。
【0020】
図3に示すように、電子カメラ10の撮影レンズ11にはレンズ移動用モータ26が接続されており、絞り兼用のレンズシャッタ27には絞り切り替え用モータ28が接続されている。これらのモータ26,28は、ステッピングモータからなり、CPU29に接続されたドライバ30,31から送信される駆動パルスにより動作制御され、レリーズボタン16の半押し操作に伴う撮影準備処理を行う。
【0021】
レンズ移動用モータ26は、ズーム操作ボタン22の操作に連動して、撮影レンズ11のズームレンズをワイド側、あるいはテレ側にスライド自在に移動させる。また、被写体距離やズームレンズの変倍に応じて撮影レンズ11のフォーカスレンズを移動させ、撮影条件が最適となるように焦点調整を行う。絞り切り替え用モータ28は、絞り兼用のレンズシャッタ27を適正露出になるように決められた時間だけ開くとともに、その間のシャッタの開口径を適正露出になるように決められた絞り値に維持する。
【0022】
フラッシュ発光部32は、フラッシュ発光窓13の奥に設けられている。フラッシュ制御部33によりフラッシュの発光、及び停止が制御される。
【0023】
測光部34は、被写体を反射する光を測光し、A/D変換器35を介してCPU29に被写体輝度の情報として送る。CPU29は、被写体輝度とレンズ合焦位置との情報に基づいて、その時点で設定されているISO感度に対してシャッヤ速度と絞り値とを算出する。フラッシュ撮影の場合には、CPU29は、測光部34から得られる受光量が適正値に達した時点でフラッシュ制御部33を制御してフラッシュ発光を停止させる。
【0024】
撮影レンズ11により結像する被写体像は、CCD36により撮像(光電変換)される。CCD36には、CPU29によって制御されるTG(タイミングジェネレータ)37が接続されている。CCD36は、TG37から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度(電荷蓄積時間)が決定される。ここで、本実施形態の電子カメラ10では、レンズシャッタ27(機械式シャッタ)の開閉で露出が決定されるようになっている。なお、CCD36の代わりに、CMOSを用いてもよい。
【0025】
CCD36から出力された撮像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)40に入力され、CCD36の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR,G,Bの画像データとして出力される。CDS40から出力された画像データは、増幅器(AMP)41で増幅され、A/D変換器(A/D)42でデジタルの画像データに変換される。ISO感度は、CPU29が増幅器41の利得率(アンプの動作倍率)に指示を与えることで設定される。
【0026】
画像入力コントローラ43は、バス44を介してCPU29に接続され、CPU29の制御命令に応じてCCD36、CDS40、AMP41、及びA/D42を制御する。A/D42から出力された画像データは、SDRAM45に一旦格納され、LCDドライバ46を介してスルー画像としてLCD20に表示される。LCDドライバ46は、LCD20の画像表示制御を行う。
【0027】
画像信号処理回路47は、SDRAM45から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM45に格納する。
【0028】
CPU29には、前述のレリーズボタン6、操作部21の他に、EEPROM52が接続されている。EEPROM52には、各種制御用のプログラムや設定情報などが記録されている。CPU29は、これらの情報をEEPROM52から作業用メモリであるSDRAM45に読み出して、各種処理を実行する。
【0029】
バス44には、顔画像検出回路53、AF検出回路54、及び眼鏡画像検出回路55がそれぞれ接続されている。顔画像検出回路53は、レリーズボタン16の半押し操作応答して、SDRAM45から画像データを読み出して、画像データに対してテンプレートマッチング法等を用いて顔画像領域を検出する。AF検出回路54に顔画像領域の検出結果を送信する。顔画像は、頭部や、髪の毛までまるごとある領域で検出される。これにより、顔画像の領域には、眼鏡が確実に含まれる。
【0030】
AF検出回路54は、顔画像領域に対して、明暗差(コントラスト)を検出し、検出結果をCPU29に送る。CPU29は、AF検出回路54から得られる明暗差(コントラスト)を確認しながら撮影レンズ11を移動させ、明暗差が大きくなる合焦位置に撮影レンズ11を移動させてAF動作を行う。
【0031】
眼鏡画像検出回路55は、顔画像領域内で閉塞領域(輪郭が環状に閉じている領域)を検出し、検出した場合には、閉塞領域と顔のパーツとの位置関係や大きさに基づいて閉塞領域が眼鏡であるか否かを判定し、判定結果をCPU29に送る。CPU29は、顔画像領域に眼鏡画像が存在することを認識すると、フラッシュ発光の禁止、かつISO感度を上げる制御を行う。
【0032】
YC変換処理回路56は、レリーズボタン16の全押し操作に応答して、画像信号処理回路47で各種処理が施された画像データをSDRAM45から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換する。圧縮伸長処理回路57は、この変換された画像データに対して、所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す。圧縮された画像データは、メディアコントローラ58を経由してメモリカード59に記録される。
【0033】
次に上記構成の作用を、図4を参照しながら説明する。
【0034】
電源スイッチ17をオンすると、撮影レンズ11、及びCCD36を通じて画像信号が連続的に取り込まれる。取り込んだ画像信号は、デジタルに変換され、変換した画像データは、画像信号処理回路47で各種画像処理を施してからスルー画像としてLCDドライバ46を介してLCD20に表示される。
【0035】
このとき、AF検出回路54、及びCPU29は、撮影レンズ11を大まかなピッチで移動させて画面中央の位置にある被写体にピントが合うように各部を制御し、また、CPU29は、測光部34から得られる被写体輝度に応じた開口径になるように絞り兼用のレンズシャッタ27を制御する。
【0036】
モードダイヤル18を操作して撮影モードを眼鏡反射防止モードに選択する。ISO感度は、予め決められている。レリーズボタン16は、周知のように、2段階押しのスイッチとなっている。
【0037】
LCD20に写るスルー画像を見ながらフレーミングをして構図を決め、レリーズボタン16を全ストロークの約半分まで押圧する操作(半押し操作)をすると(S−1)、この半押し操作に応答してAE、及びAF等の撮影準備動作が行われる(S−2)。
【0038】
CPU29は、半押し操作に応答して測光部34で測光した結果、被写体輝度が予め決めた閾値よりも低い場合、低輝度被写体として認識する(S−3)。低輝度被写体の場合、CPU29は、シャッタ速度を手ぶれ限界の下限値、及び絞りを開放に設定し、フラッシュ発光を行うように制御する。
【0039】
また、顔画像検出回路53は、半押し操作に応答して取り込んだ画像データ、すなわち画像信号処理回路47での画像処理を施した後にSDRAM45に記憶され、SDRAM45から読み出した画像データに基づいて顔画像領域を検出する(S−4)。
【0040】
眼鏡画像検出回路55には、顔画像領域に写る被写体が眼鏡を着用しているか否かを検出し(S−5)、顔画像領域に眼鏡画像が存在すると判断した場合には、その旨の情報をCPU29に送る。CPU29は、眼鏡画像が存在することに応答して、フラッシュ発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた設定値よりも上げて撮影を行うよう制御する(S−6)。
【0041】
半押し操作の状態からそのままレリーズボタン16をストロークの全部押圧する操作(全押し操作)をすると(S−7)、CPU29は、AF検出回路54と協働し、全押し操作時に得られる画像データに基づいて検出した顔画像領域に対して、撮影レンズ11を移動させながら明暗差(コントラスト)の大きな合焦位置を探して、その合焦位置に撮影レンズ11を合わせる制御を行う(S−8)。その後、CPU29は、フラッシュ発光を禁止して撮像し(S−9)、取り込んだ1画面分(1フレーム分)の撮像信号を、ISO感度を上げて画像データに変換し、変換した画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した後の画像データをメモリカード59に記録するように制御する(S−10)。ここで、ISO感度を上げた値は、フラッシュ光量分を補うISO感度値を増感した値となる。なお、合焦動作は、レリーズボタン16の半押し操作に応答して行うようにしてもよい。
【0042】
ところで、前述した眼鏡画像領域検出(S−5)の判断で、眼鏡画像が顔画像領域に存在しないと判断した場合には、フラッシュ撮影を行う。つまり、レリーズボタン16を全押し操作し(S−11)、そして、合焦動作(S−12)をした後に、CPU29がフラッシュ制御部33を駆動してフラッシュ発光を実行する(S−13)。CPU29は、被写体を反射したフラッシュ光量を測光部34で測定し、適正露出になったらフラッシュ制御部33を制御してフラッシュ発光を停止させる(フラッシュ撮影(S−14))。そして、フラッシュ発光時に取り込んだ画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した画像データをメモリカード59に記録する(S−15)。
【0043】
また、測光した結果、高輝度被写体と判定した場合には、眼鏡画像領域の検出をしない。つまり、顔画像領域検出(S−16)をした後に、レリーズボタン16の全押し操作(S−17)に応答して合焦動作を行い(S−18)、その後、撮像を行い(非フラッシュ撮影(S−19))、取り込んだ画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した画像データをメモリカード59に記録する(S−20)。
【0044】
[第2実施形態]
上記実施形態の電子カメラ10では、外部に設けた測光部34で被写体の反射光を測光する外部測光タイプとして説明しているが、第2実施形態では、代わりにCCD36から取り込んだ画像データに基づいて測光するようにしてもよい。この場合には、図1で説明した測光窓14、及び図3で説明した測光部34や、A/D35を省略する。
【0045】
第2実施形態の電子カメラでは、フラッシュ発光を行う場合、撮影直前に弱い光でフラッシュをプリ(予備)発光し、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光量を制御する。
【0046】
つまり、図3で説明したバス44にはAE回路が接続されている。AE回路は、レリーズボタン16の半押し操作に応答して取り込んだ画像データに対して被写体輝度を測定し、CPU29に測定結果を送信する。CPU29は、この情報に基づいて、適正露出量となるように絞り値、及びシャッタ速度を決める。
【0047】
また、この実施形態での眼鏡画像検出回路は、図3で説明したものとは異なり、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で、予め決めた閾値よりも高い輝度値を検出した場合、眼鏡が存在すると判定し、その旨の情報をCPU29に送る。つまり第2実施形態では、プリ発光をして眼鏡のレンズでフラッシュ光が反射する場合、前記レンズで反射する範囲が周囲よりも高輝度になることを利用して顔画像領域内の眼鏡画像の有無を検出する構成としている。
【0048】
第2実施形態の構成の作用は、図5に示すように、レリーズボタン16の半押し操作後に低輝度被写体と判定した場合、フラッシュプリ発光を行い(S−21)、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光を制御する。また、プリ発光した時に取り込んだ画像データに対して顔画像領域を検出し(S−4)、その後、前述したように顔画像領域内に高輝度領域を眼鏡画像領域として検出する(S−22)。その後は、第1実施形態と同じ構成であるので、図4で説明したと同じS(ステップ)番号を図5に付与して、ここでは詳しい説明を省略する。
【0049】
[第3実施形態]
ところで、上記各実施形態では、眼鏡の存在を検出した場合にISO感度を上げて撮影を行うため、画像データにノイズが生じ、画質が大きく低下するおそれがある。そこで、第3実施形態の電子カメラでは、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを順に実行し、非フラッシュ撮影で得られる画像データに対して眼鏡領域画像を切り出し、切り出した眼鏡領域画像をフラッシュ撮影で得られる画像データに位置合わせして合成し、合成した画像データを最終的な画像データとしてメモリカード59に記録する。
【0050】
電子カメラ60は、図6に示すように、バス44に画像合成処理部61が接続されている。画像合成処理部61は、明るさ補正部62、眼鏡画像領域切出し部63、及び合成部64とで構成される。
【0051】
明るさ補正部62は、二つの画像データの明るさを揃える補正を行う。眼鏡画像領域切出し部63は、図7に示すように、非フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域76に基づいて、眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像領域であると検出された閉塞領域65を切り出す。閉塞領域65は、眼鏡のレンズの画像領域となるため、一対切り出される。合成部64は、切り出した閉塞領域65の画像をフラッシュ撮影で得られる画像データ66に位置合わせして合成して合成画像データ67を作る。
【0052】
なお、図6では、図3で説明したブロック図の要部を示しており、図3で説明したものと同じ部材には同符号を付与して、ここでの詳しい説明を省略する。
【0053】
第3実施形態での電子カメラ60は、図8に示すように、レリーズボタン16を半押し操作をして(S−1)、低輝度被写体の場合にフラッシュプリ発光を行い(S−21)、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光量を制御する。その後、顔画像領域内に眼鏡画像領域が存在するか否かを検出し(S−5)、眼鏡画像が存在する場合には、CPU29がフラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを連続して実行するよう制御する(S−23)。
【0054】
つまり、CPU29は、レリーズボタン16の全押し操作に応答して(S−7)、合焦動作後(S−8)、フラッシュプリ発光時に得られたフラッシュ発光量に基づいてフラッシュ撮影を行い(S−24)、得られた画像データを図3で説明した画像信号処理回路47で各種画像処理を施した後にSDRAM45にいったん記憶し(S−25)、その後、引き続き非フラッシュ撮影を行い(S−26)、得られた画像データを画像信号処理回路47で各種画像処理を施した後にSDRAM45に記憶する(S−27)。
【0055】
なお、非フラッシュ撮影を先に行ってもよい。また、時系列に取り込んだ2つの画像データをSDRAM45に順に記憶し、記憶した後に2つの画像データを画像信号処理回路47に順に読み出して、ここで各種画像処理を施した後に、再びSDRAM45に格納してもよい。
【0056】
その後、画像合成処理部61は、SDRAM45から画像信号処理回路47で処理済みの二つの画像データをそれぞれ読み出す。明るさ補正部62は、二つの画像データの明るさを略同じになるように合わせる補正をする(S−28)。なお、明るさ補正は、暗い画像データ(非フラッシュ撮影時の画像データ)を、基準とする明るい画像データ(フラッシュ撮影時の画像データ)に合わせるように行うのが好適である。
【0057】
その後、眼鏡画像領域切出し部63は、非フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域76から閉塞領域65を切り出す(S−29)。そして、合成部64は、切り出した閉塞領域65の画像をフラッシュ撮影の画像データ66に位置合わせして合成して合成画像データ67を作る(S−30)。CPU29は、画像合成処理部61で作った合成画像データを最終的な画像データとしてメモリカード59に記録するように制御する(S−31)。
【0058】
[第4実施形態]
第4実施形態の電子カメラでは、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを実行する代わりに、フラッシュ光量を変えてフラッシュ撮影を時系列的に行う実施形態である。最初の撮影は、フラッシュプリ発光時に得られる画像データに基づいて設定されるフラッシュ発光量に設定してフラッシュ撮影(適正光量フラッシュ撮影)を行い、2回目のフラッシュ撮影(減光フラッシュ撮影)では、前記適正光量から減らした光量で行う。
【0059】
この場合、第1実施形態で説明したように、眼鏡画像検出回路55は、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で閉塞領域を検出し、検出した場合には、閉塞領域と顔のパーツとの位置関係や大きさに基づいて閉塞領域が眼鏡であるか否かを判定し、判定結果をCPU29に送る。CPU29は、顔画像領域に眼鏡画像が存在することを認識すると、図9に示すように、適正光量でのフラッシュ撮影を行った後に(S−32)、光量を下げてフラッシュ撮影を行う(S−33)。
【0060】
その後は、第5実施形態と同様に、画像合成処理部を構成する明るさ補正部で、適正光量フラッシュ撮影で得られる画像データと、減光フラッシュ撮影で得られる画像データとの明るさを揃える補正を行う。眼鏡画像領域切出し部は、減光フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域に基づいて眼鏡画像検出回路で眼鏡であると検出された閉塞領域を切り出す。閉塞領域は、眼鏡のレンズの画像領域となるため、一対切り出される。合成部は、切り出した画像を最大光量フラッシュ撮影で得られる画像データに位置合わせして合成して合成画像データを作る。
【0061】
なお、外付けフラッシュなどでは、被写体距離とレンズのF値との何れか一方、又は両方に応じてフラッシュ光量を決めるフラッシュ制御が知られている。この場合には、被写体距離とレンズのF値との何れか一方、又は両方に応じて決めた適正光量と、それよりも減らした光量とでフラッシュ撮影を行えばよい。また、減光フラッシュ撮影では、フラッシュ光量の低下分を補うためにISO感度を上げてもよい。
【0062】
[第5実施形態]
また、画像合成処理部としては、二つの画像データの差分画像を切り出し、切り出した差分画像を基準とするフラッシュ撮影時の画像データに合成するように構成してもよい。この場合の画像合成処理部68としては、図10に示すように、明るさ補正部62、差分画像切出し部69、及び合成部70とで構成すればよい。差分画像切出し部69は、図10に示すように、明るさ補正部62で明るさが揃えられた二つの画像データのうちのフラッシュ撮影時に得られる画像データ71を基準に、非フラッシュ撮影時に得られた画像データ72との差分画像73を切り出す。差分画像73には、フラッシュ光で反射する眼鏡のレンズの画像領域に対して差分となる、反射していない眼鏡のレンズの画像領域が少なくとも含まれているはずである。したがって、合成部70で差分画像73をフラッシュ撮影時に得られる画像データ71に位置合わせした後に合成して合成画像データ74を作成することで、眼鏡でのテカリを防止した画像データを記録することができる。
【0063】
[第6実施形態]
第6実施形態では、フラッシュ撮影を行い、得られた画像データのうちの眼鏡画像領域にある高輝度領域を、フラッシュ光が反射する画像領域であると見なして画像補正する例である。図12に示すように、バス44には、高輝度領域補正部75が接続されている。眼鏡画像検出回路55は、図3で説明したと同じ構成、すなわち、閉塞領域を眼鏡画像領域として検出する。高輝度領域補正部75は、眼鏡画像領域内に、予め決めた閾値よりも高い高輝度領域があるか否かを検出し、高輝度領域を検出した場合には、検出した高輝度領域を画像処理よりぼかす(反射を少なくする)補正を行う。
【0064】
高輝度領域の画像処理の補正としては、高輝度領域を背景推定色で塗りつぶすようにしてもよい。高輝度領域を背景推定色で塗りつぶす段階として、高輝度部位の各画素を4近傍画素の加重平均値に置き換え、この処理を選択した領域が無くなるまでフィードバックして背景推定色で塗りつぶす。
【0065】
また、他には、高輝度領域に対して、該高輝度領域内での最大明度を抑制する補正を行ってもよい。例えば、ガウシアンフィルタなどの二次元フィルタを作用させて、いわゆるぼかし補正を行う。この場合、ガウシアンフィルタに、中心からの距離が遠くなるほど小さな値となるように重み係数を設定しておけば、自然な感じで画像をぼかすことができる。また、別の例としては、高輝度領域を目立たなくすることでもよい。例えば、高輝度領域内の明度を閾値明度まで引き下げた後、平滑化フィルタを作用させてもよい。平滑化フィルタとしては、もちろんガウシアンフィルタを用いることもできる。
【0066】
図13に示すように、レリーズボタン16の全押し操作を行った後に(S−7)、合焦動作後(S−8)、フラッシュ撮影を行う(S−34)。このとき取り込んだ画像データは、顔画像検出回路53で顔画像領域が検出され、眼鏡画像検出回路55で顔画像領域内に眼鏡画像領域が検出される。高輝度領域補正部75は、眼鏡画像検出回路55で検出した眼鏡画像領域内に高輝度領域が存在するか否かを検出する(S−35)。存在すると判断した場合には、高輝度領域を画像処理によりぼかす、又は目立たなくする等の補正をする(S−36)。そして、補正をした画像データを最終的な画像データとして記録する(S−37)。ところで、眼鏡画像領域内で高輝度領域が無いと判断した場合には(S−35)、高輝度領域の補正は行われない。
【0067】
なお、眼鏡画像検出回路55としては、レリーズボタン16の半押し操作に応答してフラッシュプリ発光により取り込んだ画像データに基づいて、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で閾値よりも高い輝度値の領域を眼鏡画像領域として検出してもよい。
【0068】
上記各実施形態では、眼鏡反射防止モードを選ぶことで眼鏡反射を防止する画像を作成しているが、モードを選ぶことなく、通常撮影やフラッシュ撮影時でも眼鏡画像領域を検出することで眼鏡反射を防止する画像データを作成するようにしてもよい。
【0069】
上記各実施形態では、半押し操作、つまり撮影準備動作の指示に応答して眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像を検出しているが、全押し操作、つまり撮影動作の指示に応答して眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像を検出してもよい。
【0070】
上記各実施形態では、眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように作成した画像データを、メモリカード59に記録する保存用の画像データとしているが、本発明ではこれに限らす、LCD20にスルー画像として表示するための表示用の画像データとしてもよい。
【0071】
上記各実施形態では、本発明を電子カメラに採用した例として説明しているが、本発明ではこれに限らず、静止画記録を行うことができるカメラ付き携帯電話やビデオカメラ、あるいはカメラ付きスマートフォン等、携帯電話と携帯情報端末(PDA)を融合させた電子機器等にも採用することができるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
10 電子カメラ
16 レリーズボタン
11 撮影レンズ
36 CCD
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵フラッシュ、又は外付けフラッシュを利用してフラッシュ撮影を行うことができる電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているコンパクトな電子カメラの多くは、被写体に向けてフラッシュ光(閃光)を照射するフラッシュを内蔵している。フラッシュ内蔵の電子カメラには、被写体距離とレンズのF値(絞り値)とに基づいて光量を決定し、その光量で被写体に対しフラッシュ光を事前に発光(プリ発光)させ、被写体を反射した光の量に基づいて、例えば本撮影時のフラッシュ光の発光量や、発光時間等を制御しているものが多い。
【0003】
ところで、ポートレート撮影や証明写真用の撮影をする場合、その人物が眼鏡をかけていると、フラッシュ光が眼鏡のレンズに反射して写り込むことが多くある。このようになると、顔画像に眼鏡の反射光が重畳されるため、見苦しい画像になり、また、証明写真としては使用できない場合がある。そこで、フラッシュ光を調光して眼鏡への写り込みを少なくした自動写真作成装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−311992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フラッシュ光が眼鏡に反射して写り込む現象は、人物の顔の向きや顔に対する眼鏡の装着角度、度数に応じたレンズの曲率等によって様々な生じ方をする。したがって、前述したようにフラッシュ光の光量を制御するだけでは、眼鏡の反射光の写り込みを完全に防止することができない。そこで、人物に対して斜めの位置から撮影をしたり、多少下あごをひいてもらってやや下向きのポーズをとってもらうこと等でフラッシュ光の写り込みを完全に防いでいた。このようなカメラ位置やポーズ等を変えての撮影は、知識のない者や、時間に余裕がない撮影の場合には難しい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フラッシュ光が眼鏡に写り込まない画像を作成することができる電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を例示する電子カメラの一態様は、被写体を撮像して画像データを取り込む撮像手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて前記眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段と、を備えたものである。保存用又は表示用の画像データとしては、外部に露呈するLCD等の表示部に表示するための、又は内蔵するメモリ等の記録部や着脱自在に取り付けられるカードメモリに記録するための最終的な画像データである。
【0008】
眼鏡検出手段としては、画像データに基づいて顔画像領域を検出する顔画像検出手段と、顔画像領域内で眼鏡の画像領域を検出する眼鏡画像領域検出手段と、で構成してもよい。 眼鏡画像領域検出手段としては、顔画像領域内で閾値より高い輝度値を眼鏡の画像領域として検出する高輝度検出手段、又は顔画像領域内に存在する閉塞領域を眼鏡の画像領域として検出する閉塞領域検出手段としてもよい。
【0009】
眼鏡検出手段が眼鏡の存在を検出する画像データは、レリーズボタンの半押し操作等に相当する撮影準備動作の指示に応答して取り込んだ画像データとするのが好適であり、また、画像作成手段が保存用又は表示用の画像データを作成する基の画像データは、レリーズボタンの全押し操作等に相当する撮影動作の指示に応答して取り込んだ画像データとするのが好適である。
【0010】
画像作成手段としては、眼鏡の着用を検出することに応答して、照明光の発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値よりも上げて本撮影を実行して得られた画像データを最終的な画像データとするようにしてもよい。
【0011】
また、画像作成手段としては、照明光を発光して撮影をする照明撮影と照明光の発光を止めて撮影をする非照明撮影、又はその逆を順に実行し、照明撮影により得られる画像データに対して非照明撮影により得られる画像データのうちの眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成するようにしてもよい。
【0012】
さらに、画像作成手段としては、照明の光量を変えて照明撮影を時系列的に実行し、光量の多い照明撮影により得られる画像データに対して光量の少ない照明撮影により得られる画像データのうちの眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成するようにしてもよい。
【0013】
さらにまた、画像作成手段としては、撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を示す画像領域のうちの照明光による反射領域をぼかす、又は目立たなくする画像処理を施すようにして最終的な画像データを作成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子カメラによれば、画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、眼鏡の照明光による反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段とを備えたから、眼鏡のフラッシュ光による反射光の写り込みを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の電子カメラを示す前方側斜視図である。
【図2】図1で説明した電子変カメラを示す背面側斜視図である。
【図3】図1で説明した電子カメラの電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図4】図1で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図5】フラッシュプリ発光を行う第2実施形態の電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図6】フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを行って合成画像を作る第3実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図7】図6で説明した電子カメラで合成画像を作る手順を概略的に説明する説明図である。
【図8】図6で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【図9】フラッシュ光量を変えてフラッシュ撮影を行う第4実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図10】差分画像を切り出して合成する第5実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図11】図10で説明した電子カメラで合成画像を作る手順を概略的に説明する説明図である。
【図12】眼鏡画像領域内の高輝度領域を目立たなくするように画像処理により補正する第6実施形態の電子カメラの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図13】図12で説明した電子カメラの動作手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
本発明の一態様を例示する電子カメラ10は、撮影モードとして眼鏡反射防止モードをもっており、眼鏡反射防止モードを選択した場合には、顔画像領域に眼鏡画像領域が存在するか否かを検出し、存在すると判断した場合には、フラッシュ発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値(設定値)よりも上げて撮影を行う。
【0017】
電子カメラ10は、図1に示すように、ボディ前面に撮影レンズ11を保持するレンズ鏡胴12が組み込まれており、レンズ鏡胴12の右上にはフラッシュ発光窓13が、また左上には測光窓14がそれぞれ設けられている。ボディ15の上面には、レリーズボタン16、電源スイッチ17、及びモードダイヤル18が設けられており、側面には、メモリカードが着脱自在に装填されるメモリカードスロットを覆う蓋19が設けられている。
【0018】
電子カメラ10の背面には、図2に示すように、液晶表示部(LCD)20、及び操作部21が設けられている。LCD20は、撮影した画像やスルー画像、ISO感度等を予め設定するメニュー画面等を表示する。操作部21は、ズーム操作ボタン22、LCD20にメニュー画面を表示させるメニューボタン23、及びメニュー画面内でカーソルなどを移動させる十字キー24等から構成される。なお、十字キー24には、選択内容を決定する際に操作する決定キーが中央に配されている。
【0019】
モードダイヤル18は、静止画撮影を行う静止画撮影モード、撮影した画像をLCD20に表示する再生モード、及び眼鏡反射防止モードを択一的に選択する。なお、モードダイヤル18の代わりに、LCD20に撮影モードの一覧表を表示し、操作部21の操作によりその中から択一的に選択するようにしてもよい。
【0020】
図3に示すように、電子カメラ10の撮影レンズ11にはレンズ移動用モータ26が接続されており、絞り兼用のレンズシャッタ27には絞り切り替え用モータ28が接続されている。これらのモータ26,28は、ステッピングモータからなり、CPU29に接続されたドライバ30,31から送信される駆動パルスにより動作制御され、レリーズボタン16の半押し操作に伴う撮影準備処理を行う。
【0021】
レンズ移動用モータ26は、ズーム操作ボタン22の操作に連動して、撮影レンズ11のズームレンズをワイド側、あるいはテレ側にスライド自在に移動させる。また、被写体距離やズームレンズの変倍に応じて撮影レンズ11のフォーカスレンズを移動させ、撮影条件が最適となるように焦点調整を行う。絞り切り替え用モータ28は、絞り兼用のレンズシャッタ27を適正露出になるように決められた時間だけ開くとともに、その間のシャッタの開口径を適正露出になるように決められた絞り値に維持する。
【0022】
フラッシュ発光部32は、フラッシュ発光窓13の奥に設けられている。フラッシュ制御部33によりフラッシュの発光、及び停止が制御される。
【0023】
測光部34は、被写体を反射する光を測光し、A/D変換器35を介してCPU29に被写体輝度の情報として送る。CPU29は、被写体輝度とレンズ合焦位置との情報に基づいて、その時点で設定されているISO感度に対してシャッヤ速度と絞り値とを算出する。フラッシュ撮影の場合には、CPU29は、測光部34から得られる受光量が適正値に達した時点でフラッシュ制御部33を制御してフラッシュ発光を停止させる。
【0024】
撮影レンズ11により結像する被写体像は、CCD36により撮像(光電変換)される。CCD36には、CPU29によって制御されるTG(タイミングジェネレータ)37が接続されている。CCD36は、TG37から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度(電荷蓄積時間)が決定される。ここで、本実施形態の電子カメラ10では、レンズシャッタ27(機械式シャッタ)の開閉で露出が決定されるようになっている。なお、CCD36の代わりに、CMOSを用いてもよい。
【0025】
CCD36から出力された撮像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)40に入力され、CCD36の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR,G,Bの画像データとして出力される。CDS40から出力された画像データは、増幅器(AMP)41で増幅され、A/D変換器(A/D)42でデジタルの画像データに変換される。ISO感度は、CPU29が増幅器41の利得率(アンプの動作倍率)に指示を与えることで設定される。
【0026】
画像入力コントローラ43は、バス44を介してCPU29に接続され、CPU29の制御命令に応じてCCD36、CDS40、AMP41、及びA/D42を制御する。A/D42から出力された画像データは、SDRAM45に一旦格納され、LCDドライバ46を介してスルー画像としてLCD20に表示される。LCDドライバ46は、LCD20の画像表示制御を行う。
【0027】
画像信号処理回路47は、SDRAM45から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM45に格納する。
【0028】
CPU29には、前述のレリーズボタン6、操作部21の他に、EEPROM52が接続されている。EEPROM52には、各種制御用のプログラムや設定情報などが記録されている。CPU29は、これらの情報をEEPROM52から作業用メモリであるSDRAM45に読み出して、各種処理を実行する。
【0029】
バス44には、顔画像検出回路53、AF検出回路54、及び眼鏡画像検出回路55がそれぞれ接続されている。顔画像検出回路53は、レリーズボタン16の半押し操作応答して、SDRAM45から画像データを読み出して、画像データに対してテンプレートマッチング法等を用いて顔画像領域を検出する。AF検出回路54に顔画像領域の検出結果を送信する。顔画像は、頭部や、髪の毛までまるごとある領域で検出される。これにより、顔画像の領域には、眼鏡が確実に含まれる。
【0030】
AF検出回路54は、顔画像領域に対して、明暗差(コントラスト)を検出し、検出結果をCPU29に送る。CPU29は、AF検出回路54から得られる明暗差(コントラスト)を確認しながら撮影レンズ11を移動させ、明暗差が大きくなる合焦位置に撮影レンズ11を移動させてAF動作を行う。
【0031】
眼鏡画像検出回路55は、顔画像領域内で閉塞領域(輪郭が環状に閉じている領域)を検出し、検出した場合には、閉塞領域と顔のパーツとの位置関係や大きさに基づいて閉塞領域が眼鏡であるか否かを判定し、判定結果をCPU29に送る。CPU29は、顔画像領域に眼鏡画像が存在することを認識すると、フラッシュ発光の禁止、かつISO感度を上げる制御を行う。
【0032】
YC変換処理回路56は、レリーズボタン16の全押し操作に応答して、画像信号処理回路47で各種処理が施された画像データをSDRAM45から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換する。圧縮伸長処理回路57は、この変換された画像データに対して、所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す。圧縮された画像データは、メディアコントローラ58を経由してメモリカード59に記録される。
【0033】
次に上記構成の作用を、図4を参照しながら説明する。
【0034】
電源スイッチ17をオンすると、撮影レンズ11、及びCCD36を通じて画像信号が連続的に取り込まれる。取り込んだ画像信号は、デジタルに変換され、変換した画像データは、画像信号処理回路47で各種画像処理を施してからスルー画像としてLCDドライバ46を介してLCD20に表示される。
【0035】
このとき、AF検出回路54、及びCPU29は、撮影レンズ11を大まかなピッチで移動させて画面中央の位置にある被写体にピントが合うように各部を制御し、また、CPU29は、測光部34から得られる被写体輝度に応じた開口径になるように絞り兼用のレンズシャッタ27を制御する。
【0036】
モードダイヤル18を操作して撮影モードを眼鏡反射防止モードに選択する。ISO感度は、予め決められている。レリーズボタン16は、周知のように、2段階押しのスイッチとなっている。
【0037】
LCD20に写るスルー画像を見ながらフレーミングをして構図を決め、レリーズボタン16を全ストロークの約半分まで押圧する操作(半押し操作)をすると(S−1)、この半押し操作に応答してAE、及びAF等の撮影準備動作が行われる(S−2)。
【0038】
CPU29は、半押し操作に応答して測光部34で測光した結果、被写体輝度が予め決めた閾値よりも低い場合、低輝度被写体として認識する(S−3)。低輝度被写体の場合、CPU29は、シャッタ速度を手ぶれ限界の下限値、及び絞りを開放に設定し、フラッシュ発光を行うように制御する。
【0039】
また、顔画像検出回路53は、半押し操作に応答して取り込んだ画像データ、すなわち画像信号処理回路47での画像処理を施した後にSDRAM45に記憶され、SDRAM45から読み出した画像データに基づいて顔画像領域を検出する(S−4)。
【0040】
眼鏡画像検出回路55には、顔画像領域に写る被写体が眼鏡を着用しているか否かを検出し(S−5)、顔画像領域に眼鏡画像が存在すると判断した場合には、その旨の情報をCPU29に送る。CPU29は、眼鏡画像が存在することに応答して、フラッシュ発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた設定値よりも上げて撮影を行うよう制御する(S−6)。
【0041】
半押し操作の状態からそのままレリーズボタン16をストロークの全部押圧する操作(全押し操作)をすると(S−7)、CPU29は、AF検出回路54と協働し、全押し操作時に得られる画像データに基づいて検出した顔画像領域に対して、撮影レンズ11を移動させながら明暗差(コントラスト)の大きな合焦位置を探して、その合焦位置に撮影レンズ11を合わせる制御を行う(S−8)。その後、CPU29は、フラッシュ発光を禁止して撮像し(S−9)、取り込んだ1画面分(1フレーム分)の撮像信号を、ISO感度を上げて画像データに変換し、変換した画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した後の画像データをメモリカード59に記録するように制御する(S−10)。ここで、ISO感度を上げた値は、フラッシュ光量分を補うISO感度値を増感した値となる。なお、合焦動作は、レリーズボタン16の半押し操作に応答して行うようにしてもよい。
【0042】
ところで、前述した眼鏡画像領域検出(S−5)の判断で、眼鏡画像が顔画像領域に存在しないと判断した場合には、フラッシュ撮影を行う。つまり、レリーズボタン16を全押し操作し(S−11)、そして、合焦動作(S−12)をした後に、CPU29がフラッシュ制御部33を駆動してフラッシュ発光を実行する(S−13)。CPU29は、被写体を反射したフラッシュ光量を測光部34で測定し、適正露出になったらフラッシュ制御部33を制御してフラッシュ発光を停止させる(フラッシュ撮影(S−14))。そして、フラッシュ発光時に取り込んだ画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した画像データをメモリカード59に記録する(S−15)。
【0043】
また、測光した結果、高輝度被写体と判定した場合には、眼鏡画像領域の検出をしない。つまり、顔画像領域検出(S−16)をした後に、レリーズボタン16の全押し操作(S−17)に応答して合焦動作を行い(S−18)、その後、撮像を行い(非フラッシュ撮影(S−19))、取り込んだ画像データに対してYC変換処理回路56でのYC変換処理、及び圧縮伸長処理回路57での圧縮処理を順に施した画像データをメモリカード59に記録する(S−20)。
【0044】
[第2実施形態]
上記実施形態の電子カメラ10では、外部に設けた測光部34で被写体の反射光を測光する外部測光タイプとして説明しているが、第2実施形態では、代わりにCCD36から取り込んだ画像データに基づいて測光するようにしてもよい。この場合には、図1で説明した測光窓14、及び図3で説明した測光部34や、A/D35を省略する。
【0045】
第2実施形態の電子カメラでは、フラッシュ発光を行う場合、撮影直前に弱い光でフラッシュをプリ(予備)発光し、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光量を制御する。
【0046】
つまり、図3で説明したバス44にはAE回路が接続されている。AE回路は、レリーズボタン16の半押し操作に応答して取り込んだ画像データに対して被写体輝度を測定し、CPU29に測定結果を送信する。CPU29は、この情報に基づいて、適正露出量となるように絞り値、及びシャッタ速度を決める。
【0047】
また、この実施形態での眼鏡画像検出回路は、図3で説明したものとは異なり、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で、予め決めた閾値よりも高い輝度値を検出した場合、眼鏡が存在すると判定し、その旨の情報をCPU29に送る。つまり第2実施形態では、プリ発光をして眼鏡のレンズでフラッシュ光が反射する場合、前記レンズで反射する範囲が周囲よりも高輝度になることを利用して顔画像領域内の眼鏡画像の有無を検出する構成としている。
【0048】
第2実施形態の構成の作用は、図5に示すように、レリーズボタン16の半押し操作後に低輝度被写体と判定した場合、フラッシュプリ発光を行い(S−21)、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光を制御する。また、プリ発光した時に取り込んだ画像データに対して顔画像領域を検出し(S−4)、その後、前述したように顔画像領域内に高輝度領域を眼鏡画像領域として検出する(S−22)。その後は、第1実施形態と同じ構成であるので、図4で説明したと同じS(ステップ)番号を図5に付与して、ここでは詳しい説明を省略する。
【0049】
[第3実施形態]
ところで、上記各実施形態では、眼鏡の存在を検出した場合にISO感度を上げて撮影を行うため、画像データにノイズが生じ、画質が大きく低下するおそれがある。そこで、第3実施形態の電子カメラでは、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを順に実行し、非フラッシュ撮影で得られる画像データに対して眼鏡領域画像を切り出し、切り出した眼鏡領域画像をフラッシュ撮影で得られる画像データに位置合わせして合成し、合成した画像データを最終的な画像データとしてメモリカード59に記録する。
【0050】
電子カメラ60は、図6に示すように、バス44に画像合成処理部61が接続されている。画像合成処理部61は、明るさ補正部62、眼鏡画像領域切出し部63、及び合成部64とで構成される。
【0051】
明るさ補正部62は、二つの画像データの明るさを揃える補正を行う。眼鏡画像領域切出し部63は、図7に示すように、非フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域76に基づいて、眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像領域であると検出された閉塞領域65を切り出す。閉塞領域65は、眼鏡のレンズの画像領域となるため、一対切り出される。合成部64は、切り出した閉塞領域65の画像をフラッシュ撮影で得られる画像データ66に位置合わせして合成して合成画像データ67を作る。
【0052】
なお、図6では、図3で説明したブロック図の要部を示しており、図3で説明したものと同じ部材には同符号を付与して、ここでの詳しい説明を省略する。
【0053】
第3実施形態での電子カメラ60は、図8に示すように、レリーズボタン16を半押し操作をして(S−1)、低輝度被写体の場合にフラッシュプリ発光を行い(S−21)、その時点にCCD36から取り込んだ画像データに基づいて、本撮影でのフラッシュ発光量を制御する。その後、顔画像領域内に眼鏡画像領域が存在するか否かを検出し(S−5)、眼鏡画像が存在する場合には、CPU29がフラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを連続して実行するよう制御する(S−23)。
【0054】
つまり、CPU29は、レリーズボタン16の全押し操作に応答して(S−7)、合焦動作後(S−8)、フラッシュプリ発光時に得られたフラッシュ発光量に基づいてフラッシュ撮影を行い(S−24)、得られた画像データを図3で説明した画像信号処理回路47で各種画像処理を施した後にSDRAM45にいったん記憶し(S−25)、その後、引き続き非フラッシュ撮影を行い(S−26)、得られた画像データを画像信号処理回路47で各種画像処理を施した後にSDRAM45に記憶する(S−27)。
【0055】
なお、非フラッシュ撮影を先に行ってもよい。また、時系列に取り込んだ2つの画像データをSDRAM45に順に記憶し、記憶した後に2つの画像データを画像信号処理回路47に順に読み出して、ここで各種画像処理を施した後に、再びSDRAM45に格納してもよい。
【0056】
その後、画像合成処理部61は、SDRAM45から画像信号処理回路47で処理済みの二つの画像データをそれぞれ読み出す。明るさ補正部62は、二つの画像データの明るさを略同じになるように合わせる補正をする(S−28)。なお、明るさ補正は、暗い画像データ(非フラッシュ撮影時の画像データ)を、基準とする明るい画像データ(フラッシュ撮影時の画像データ)に合わせるように行うのが好適である。
【0057】
その後、眼鏡画像領域切出し部63は、非フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域76から閉塞領域65を切り出す(S−29)。そして、合成部64は、切り出した閉塞領域65の画像をフラッシュ撮影の画像データ66に位置合わせして合成して合成画像データ67を作る(S−30)。CPU29は、画像合成処理部61で作った合成画像データを最終的な画像データとしてメモリカード59に記録するように制御する(S−31)。
【0058】
[第4実施形態]
第4実施形態の電子カメラでは、フラッシュ撮影と非フラッシュ撮影とを実行する代わりに、フラッシュ光量を変えてフラッシュ撮影を時系列的に行う実施形態である。最初の撮影は、フラッシュプリ発光時に得られる画像データに基づいて設定されるフラッシュ発光量に設定してフラッシュ撮影(適正光量フラッシュ撮影)を行い、2回目のフラッシュ撮影(減光フラッシュ撮影)では、前記適正光量から減らした光量で行う。
【0059】
この場合、第1実施形態で説明したように、眼鏡画像検出回路55は、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で閉塞領域を検出し、検出した場合には、閉塞領域と顔のパーツとの位置関係や大きさに基づいて閉塞領域が眼鏡であるか否かを判定し、判定結果をCPU29に送る。CPU29は、顔画像領域に眼鏡画像が存在することを認識すると、図9に示すように、適正光量でのフラッシュ撮影を行った後に(S−32)、光量を下げてフラッシュ撮影を行う(S−33)。
【0060】
その後は、第5実施形態と同様に、画像合成処理部を構成する明るさ補正部で、適正光量フラッシュ撮影で得られる画像データと、減光フラッシュ撮影で得られる画像データとの明るさを揃える補正を行う。眼鏡画像領域切出し部は、減光フラッシュ撮影で得られる画像データのうちの顔画像領域に基づいて眼鏡画像検出回路で眼鏡であると検出された閉塞領域を切り出す。閉塞領域は、眼鏡のレンズの画像領域となるため、一対切り出される。合成部は、切り出した画像を最大光量フラッシュ撮影で得られる画像データに位置合わせして合成して合成画像データを作る。
【0061】
なお、外付けフラッシュなどでは、被写体距離とレンズのF値との何れか一方、又は両方に応じてフラッシュ光量を決めるフラッシュ制御が知られている。この場合には、被写体距離とレンズのF値との何れか一方、又は両方に応じて決めた適正光量と、それよりも減らした光量とでフラッシュ撮影を行えばよい。また、減光フラッシュ撮影では、フラッシュ光量の低下分を補うためにISO感度を上げてもよい。
【0062】
[第5実施形態]
また、画像合成処理部としては、二つの画像データの差分画像を切り出し、切り出した差分画像を基準とするフラッシュ撮影時の画像データに合成するように構成してもよい。この場合の画像合成処理部68としては、図10に示すように、明るさ補正部62、差分画像切出し部69、及び合成部70とで構成すればよい。差分画像切出し部69は、図10に示すように、明るさ補正部62で明るさが揃えられた二つの画像データのうちのフラッシュ撮影時に得られる画像データ71を基準に、非フラッシュ撮影時に得られた画像データ72との差分画像73を切り出す。差分画像73には、フラッシュ光で反射する眼鏡のレンズの画像領域に対して差分となる、反射していない眼鏡のレンズの画像領域が少なくとも含まれているはずである。したがって、合成部70で差分画像73をフラッシュ撮影時に得られる画像データ71に位置合わせした後に合成して合成画像データ74を作成することで、眼鏡でのテカリを防止した画像データを記録することができる。
【0063】
[第6実施形態]
第6実施形態では、フラッシュ撮影を行い、得られた画像データのうちの眼鏡画像領域にある高輝度領域を、フラッシュ光が反射する画像領域であると見なして画像補正する例である。図12に示すように、バス44には、高輝度領域補正部75が接続されている。眼鏡画像検出回路55は、図3で説明したと同じ構成、すなわち、閉塞領域を眼鏡画像領域として検出する。高輝度領域補正部75は、眼鏡画像領域内に、予め決めた閾値よりも高い高輝度領域があるか否かを検出し、高輝度領域を検出した場合には、検出した高輝度領域を画像処理よりぼかす(反射を少なくする)補正を行う。
【0064】
高輝度領域の画像処理の補正としては、高輝度領域を背景推定色で塗りつぶすようにしてもよい。高輝度領域を背景推定色で塗りつぶす段階として、高輝度部位の各画素を4近傍画素の加重平均値に置き換え、この処理を選択した領域が無くなるまでフィードバックして背景推定色で塗りつぶす。
【0065】
また、他には、高輝度領域に対して、該高輝度領域内での最大明度を抑制する補正を行ってもよい。例えば、ガウシアンフィルタなどの二次元フィルタを作用させて、いわゆるぼかし補正を行う。この場合、ガウシアンフィルタに、中心からの距離が遠くなるほど小さな値となるように重み係数を設定しておけば、自然な感じで画像をぼかすことができる。また、別の例としては、高輝度領域を目立たなくすることでもよい。例えば、高輝度領域内の明度を閾値明度まで引き下げた後、平滑化フィルタを作用させてもよい。平滑化フィルタとしては、もちろんガウシアンフィルタを用いることもできる。
【0066】
図13に示すように、レリーズボタン16の全押し操作を行った後に(S−7)、合焦動作後(S−8)、フラッシュ撮影を行う(S−34)。このとき取り込んだ画像データは、顔画像検出回路53で顔画像領域が検出され、眼鏡画像検出回路55で顔画像領域内に眼鏡画像領域が検出される。高輝度領域補正部75は、眼鏡画像検出回路55で検出した眼鏡画像領域内に高輝度領域が存在するか否かを検出する(S−35)。存在すると判断した場合には、高輝度領域を画像処理によりぼかす、又は目立たなくする等の補正をする(S−36)。そして、補正をした画像データを最終的な画像データとして記録する(S−37)。ところで、眼鏡画像領域内で高輝度領域が無いと判断した場合には(S−35)、高輝度領域の補正は行われない。
【0067】
なお、眼鏡画像検出回路55としては、レリーズボタン16の半押し操作に応答してフラッシュプリ発光により取り込んだ画像データに基づいて、顔画像検出回路53で検出した顔画像領域内で閾値よりも高い輝度値の領域を眼鏡画像領域として検出してもよい。
【0068】
上記各実施形態では、眼鏡反射防止モードを選ぶことで眼鏡反射を防止する画像を作成しているが、モードを選ぶことなく、通常撮影やフラッシュ撮影時でも眼鏡画像領域を検出することで眼鏡反射を防止する画像データを作成するようにしてもよい。
【0069】
上記各実施形態では、半押し操作、つまり撮影準備動作の指示に応答して眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像を検出しているが、全押し操作、つまり撮影動作の指示に応答して眼鏡画像検出回路55で眼鏡画像を検出してもよい。
【0070】
上記各実施形態では、眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように作成した画像データを、メモリカード59に記録する保存用の画像データとしているが、本発明ではこれに限らす、LCD20にスルー画像として表示するための表示用の画像データとしてもよい。
【0071】
上記各実施形態では、本発明を電子カメラに採用した例として説明しているが、本発明ではこれに限らず、静止画記録を行うことができるカメラ付き携帯電話やビデオカメラ、あるいはカメラ付きスマートフォン等、携帯電話と携帯情報端末(PDA)を融合させた電子機器等にも採用することができるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
10 電子カメラ
16 レリーズボタン
11 撮影レンズ
36 CCD
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを取り込む撮像手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて前記眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段と、を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡検出手段は、前記画像データに基づいて顔画像領域を検出する顔画像検出手段と、前記顔画像領域内で眼鏡の画像領域を検出する眼鏡画像検出手段と、で構成されていることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡画像検出手段は、前記顔画像領域内で閾値より高い輝度値を眼鏡の画像領域として検出する、又は前記顔画像領域内に存在する閉塞領域を眼鏡の画像領域として検出することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡検出手段が眼鏡の存在を検出する画像データは、撮影準備動作の指示に応答して取り込んだ画像データであり、
前記画像作成手段が保存用又は表示用の画像データを作成する基の画像データは撮影動作の指示に応答して取り込んだ画像データである、
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、前記眼鏡の存在を検出することに応答して、照明光の発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値よりも上げて本撮影を実行して得られた画像データを保存用又は表示用の画像データとすることを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、照明光を発光して撮影をする照明撮影と照明光の発光を禁止して撮影をする非照明撮影、又はその逆を順に実行し、前記照明撮影により得られる画像データに対して、前記非照明撮影により得られる画像データのうちの前記眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成することを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、照明の光量を変えて照明撮影を順に実行し、前記光量の多い照明撮影により得られる画像データに対して、前記光量の少ない照明撮影により得られる画像データのうちの前記眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成することを特徴とする電子カメラ。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を示す画像領域のうちの照明光による反射領域をぼかす、又は目立たなくする画像処理を施すことを特徴とする電子カメラ。
【請求項1】
被写体を撮像して画像データを取り込む撮像手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を検出する眼鏡検出手段と、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて前記眼鏡に生じる照明光の反射を防ぐように保存用又は表示用の画像データを作成する画像作成手段と、を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡検出手段は、前記画像データに基づいて顔画像領域を検出する顔画像検出手段と、前記顔画像領域内で眼鏡の画像領域を検出する眼鏡画像検出手段と、で構成されていることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡画像検出手段は、前記顔画像領域内で閾値より高い輝度値を眼鏡の画像領域として検出する、又は前記顔画像領域内に存在する閉塞領域を眼鏡の画像領域として検出することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記眼鏡検出手段が眼鏡の存在を検出する画像データは、撮影準備動作の指示に応答して取り込んだ画像データであり、
前記画像作成手段が保存用又は表示用の画像データを作成する基の画像データは撮影動作の指示に応答して取り込んだ画像データである、
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、前記眼鏡の存在を検出することに応答して、照明光の発光を禁止し、かつISO感度を予め決めた値よりも上げて本撮影を実行して得られた画像データを保存用又は表示用の画像データとすることを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、照明光を発光して撮影をする照明撮影と照明光の発光を禁止して撮影をする非照明撮影、又はその逆を順に実行し、前記照明撮影により得られる画像データに対して、前記非照明撮影により得られる画像データのうちの前記眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成することを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、照明の光量を変えて照明撮影を順に実行し、前記光量の多い照明撮影により得られる画像データに対して、前記光量の少ない照明撮影により得られる画像データのうちの前記眼鏡の画像領域の一部、又は全部を合成することを特徴とする電子カメラ。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像作成手段は、前記撮像手段で取り込んだ画像データに基づいて眼鏡の存在を示す画像領域のうちの照明光による反射領域をぼかす、又は目立たなくする画像処理を施すことを特徴とする電子カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−5325(P2013−5325A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136269(P2011−136269)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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