説明

電子スチルカメラ

【課題】電子スチルカメラの電源オン後、速やかに撮影位置を撮影画像と対にして記憶することが可能な電子スチルカメラを提供すること。
【解決手段】撮影位置を撮影画像と対にして記憶する電子スチルカメラであって、GPS衛星からの測位データにより現在位置を計算する測位ユニット16と、使用者による電子スチルカメラの本体の携帯の有無を検知する携帯検知部21とを備え、携帯検知部21により電子スチルカメラの使用者による携帯が検知されている時に測位ユニット16による計算を許可するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スチルカメラに関し、特に、GPS衛星からの情報を基に撮影位置を記憶する機能を有する電子スチルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)では、天空を周回する少なくとも3個のGPS衛星からの航法データ(軌道データ)から、その位置を算出し、この交点から受信位置を求めている。この場合、GPS衛星に搭載している原子時計と、地上のGPS受信装置内との時計との誤差を未知数として、次の(式1)の4元連立2次方程式を解いて、その受信位置を算出している。
{(X−X+(Y−Y+(Z−Z1/2=(C×r'
{(X−X+(Y−Y+(Z−Z1/2=(C×r' (式1)
{(X−X+(Y−Y+(Z−Z1/2=(C×r'
{(X−X+(Y−Y+(Z−Z1/2=(C×r'
ここで、(X,Y,Z)はGPS衛星の位置であり、r'はr+dtで定義された伝搬時間であり、rは真の伝搬時間であり、dtは時刻ズレ(誤差)であり、(X,Y,Z)は受信位置であり、Cは光速である。
【0003】
この(式1)は線形でないため簡単に解くことができない。そこで未知数を受信位置の仮定位置(近似値)と補正量との和で表し、式をその補正量について展開する。更に、補正量は微小であると仮定し、2次以降の補正量を省略して次の(式2)に示すように線形化する。
【数1】

【0004】
ここで、αは仮定位置から見たGPS衛星への視線の方向余弦の各座標成分を示し、(Xe,Ye,Ze)は受信位置と仮定位置との差を示し、Δrはr−r'で定義されており、rは仮定位置とGPS衛星との距離を示し、r'は伝搬時間から求めた受信位置とGPS衛星の距離である。
【0005】
この(式2)を(Xe,Ye,Ze,Te)について解き、求めた値から、仮定位置を補正することにより受信位置を求めている。このような測位計算は一定時間毎に行い、通常、前回の測位計算で求めた受信位置を、次の繰り返し計算の仮受信位置として用いる。
【0006】
図4は、上述のようなGPS機能を搭載した従来例の電子スチルカメラの構成例を示すブロック図である。
【0007】
図4において制御部11は、電子スチルカメラのシーケンスを制御する制御部である。制御部11は、操作部12のスイッチ(SW)部122の電源スイッチがオンされたことを検知して電源オンし動作を開始する。操作部12は、LCD等の表示デバイスからなる表示部121と電源スイッチ等の各種スイッチからなるSW部122から構成されている。
【0008】
撮像部13は、被写体からの入力光をCCD等の撮像素子により撮像し、これによって得られた画像データを、制御部11を介して記憶部14に記憶させる。記憶部14には、画像データとその画像データが撮影された位置情報とが関連付けて記憶される。この記憶部14は、例えばFlashROM等の不揮発メモリで構成される。
【0009】
測位ユニット16は、GPS受信部161と、アンテナ162と、測位計算部163とから構成される。GPS受信部161は、GPS衛星からの測位用電波を、アンテナ162を介して受信して測位用データを出力する。測位計算部163は、GPS受信部161からの測位用データと記憶部14の仮受信位置データとにより測位計算を実行し、計算された測位データを記憶部14に記憶させると共に仮受信位置データを更新する。
【0010】
なお、制御部11、操作部12、撮像部13、記憶部14、測位ユニット16は、図示しない電源部より電源が供給される。
【0011】
このような従来例の電子スチルカメラにおいて、電源スイッチがオフされている状態では、低消費電力を図るため、GPS受信部161及び測位計算部163を含む測位ユニット16への電源の供給がオフされている。そして、電源スイッチがオンの後にGPS受信部161及び測位計算部163に電源の供給がなされて動作を開始し、測位計算を実行する。
【特許文献1】特開平8−36043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、電子スチルカメラを使用する際に、使用者は、電子スチルカメラの電源をオフした状態で所望の撮影ポイントまで携帯する。そして、撮影ポイントに到着した時点で電源をオンして撮影を実施し、撮影終了後には再び電源をオフした状態で携帯する。このような使用を想定すると、電源がオンされたときの電子スチルカメラの立ち上がり時間を早くし、撮影を短時間で完了できることが、電子スチルカメラの操作性を向上し、シャッタチャンスを逃さないための重要な機能要因となる。
【0013】
ここで、上記したような電子スチルカメラの場合、電子スチルカメラの電源オフの時における電子スチルカメラの移動により、電子スチルカメラの現在位置と前回の電源オン時に計算した仮受信位置とが大きく離れてしまった場合、測位計算の繰り返し計算において計算の収束に時間がかかり、電源オン時の操作性を損なうおそれがある。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、電子スチルカメラの電源オン後、速やかに撮影位置を撮影画像と対にして記憶することが可能な電子スチルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による電子スチルカメラは、撮影位置を撮影画像と対にして記憶する電子スチルカメラであって、GPS衛星からの測位データにより現在位置を計算する測位ユニットと、使用者による前記電子スチルカメラの本体の携帯の有無を検知する携帯検知部と、前記携帯検知部により該電子スチルカメラの前記使用者による携帯が検知されている時、前記測位ユニットによる計算を許可する動作制御部とを具備することを特徴とする。
【0016】
この第1の態様によれば、電子スチルカメラの携帯状態が携帯検知部によって検知されている間は測位ユニットによる測位計算が実行され、現在位置が最新の測位データに更新されるので、電源オンの立ち上がり時間内に測位データを確定することができ、速やかに撮影位置を撮影画像と対にして記憶することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子スチルカメラの電源オン後、速やかに撮影位置を撮影画像と対にして記憶することが可能な電子スチルカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子スチルカメラの構成例を示すブロック図である。図1に示す電子スチルカメラは、制御部11と、操作部12と、撮像部13と、記憶部14と、電源部15と、測位ユニット16と、電源部17と、携帯検知部21とから構成されている。
【0019】
制御部11は、図1に示す電子スチルカメラのシーケンス制御を行う制御部である。ここで、制御部11は、使用者による電子スチルカメラの電源オン操作を受けて起動し、各種シーケンス制御を開始するように構成されている。
【0020】
操作部12は、表示部121と、スイッチ(SW)部122とから構成されている。表示部121は、例えばLCD等の表示デバイスから構成され、使用者によって撮影された画像(撮影画像)等の各種画像の表示が行われる。SW部122は、本電子スチルカメラの電源をオンするための電源スイッチや、本電子スチルカメラによる撮影動作を実行するためのレリーズスイッチ等の複数のスイッチから構成されている。制御部11は、使用者によるSW部122の操作を受けて、それに応じたシーケンス制御を実行する。
【0021】
撮像部13は、図示しない被写体からの入力光をCCD等の撮像素子により撮像して画像データを取得する。撮像部13で取得された画像データは、制御部11を介して記憶部14に記憶される。記憶部14は、撮像部13から入力された画像データと、この画像データが撮影された位置(撮影位置)とを対にして記憶する。この記憶部14は、例えばFlashROM等の不揮発性メモリで構成されている。
【0022】
測位ユニット16は、GPS受信部161と、アンテナ162と、測位計算部163とから構成されている。GPS受信部161は、図示しないGPS衛星からの測位用電波を、アンテナ162を介して受信して処理し、これによって得られた測位用データを測位計算部163に出力する。測位計算部163は、仮受信位置データ(前回の測位計算実行時の測位データ)を記憶している記憶部163aを有し、GPS受信部161から出力された測位用データと記憶部163aの仮受信位置データとにより測位計算を実行し、計算された測位データを記憶部163aに記憶させると共に、仮受信位置データを更新する。
【0023】
携帯検知部及び動作許可部としての携帯検知部21は、加速度センサ又は振動センサにより構成され、本電子スチルカメラの振動状態等によって本電子スチルカメラが使用者により携帯されているか否かを検知する。ここで、本電子スチルカメラの携帯を検知した場合には、その旨を測位計算部16に報知する。
【0024】
電源部15は操作部12の電源SWの操作を受けて図1に示す制御部11、操作部12、撮像部13、記憶部14に電源を供給する。電源部17は操作部12の電源SWの操作状態によらずに常に携帯検知部21に電源を供給する。
【0025】
次に、本一実施形態に係る電子スチルカメラの動作を、図2及び図3に従って説明する。
図2は、本一実施形態に係る電子スチルカメラによる測位計算のシーケンスについて示すフローチャートである。本電子スチルカメラにバッテリが装着されると、電源部17から携帯検知部21に電源が供給される。これにより携帯検知部21において、停止検知タイマ211のカウントが開始されると共に、本電子スチルカメラの携帯状態が検知されたか否かが判定される(ステップS31)。
【0026】
ステップS31の判定において、本電子スチルカメラの携帯状態が検知された場合には、ステップS32に分岐して、停止検知タイマ211のカウント値がクリアされた後、測位ユニット16の動作が許可される(ステップS32)。その後に、測位ユニット16に電源が供給される(ステップS33)。電源が供給されると、GPS受信部161では、GPS衛星から測位計算のための測位用電波の受信が開始され、測位用データが測位計算部163に出力される。測位計算部163では、GPS受信部161から出力された測位用データと記憶部163aに記憶されている仮受信位置データとに基づき、測位計算が実行される(ステップS34)。測位計算の実行後、得られた測位データが記憶部163aに記憶される(ステップS35)。この後、処理がステップS31に戻る。
【0027】
一方、ステップS31の判定において、本電子スチルカメラの携帯状態が検知されなかった場合には、ステップS36に分岐して、停止検知タイマ211が所定時間をカウントしてタイムアップしたか否かが判定される(ステップS36)。ステップS36の判定において、停止検知タイマ211がタイムアップしていない場合には、処理がステップS31に戻る。一方、ステップS36の判定において、停止検知タイマ211がタイムアップした場合には、現在、電子スチルカメラが保管状態にあると判定される。この場合には、停止検知タイマ211のカウント値がクリアされた後、測位ユニット16の動作が停止状態とされる(ステップS37)。その後に、測位ユニット16の電源がオフされる(ステップS38)。この後、処理がステップS31に戻る。
【0028】
図3は、本一実施形態に係る電子スチルカメラの撮影動作のシーケンスを示すフローチャートである。本電子スチルカメラにバッテリが装着されると、操作部12が動作して、SW部122の電源SWがオンされたか否かが判定される(ステップS41)。ステップS41の判定において、電源SWがオン状態である場合には、制御部11、操作部12、撮像部13、及び記憶部14といった各機能ブロックに電源が供給される(ステップS42)。
【0029】
次に、SW部122のレリーズSWがオンされたか否かが判定される(ステップS43)。ステップS43の判定において、レリーズSWがオンされていない場合には、処理がステップS43からステップS47に分岐する。一方、ステップS43の判定において、レリーズSWがオンされた場合には、ステップS43からステップS44に分岐して、撮影処理が実行され(ステップS44)、この撮影処理によって得られた画像データは記憶部14に記憶される(ステップS45)。
【0030】
次に、測位計算部163の記憶部163aに記憶されている測位データが読み出され、この読み出された測位データが、ステップS44の撮影処理において得られた画像データに関連付けされた撮影位置データとして記憶部14に記憶される(ステップS46)。ここで、撮影位置データを記憶させる前に、再度測位計算を実行しても良い。
【0031】
ステップS43の判定において、レリーズSWがオンされていない場合、又はステップS46の後、SW部122の電源SWがオフされたか否かが判定される(ステップS47)。ステップS47の判定において、電源SWがオフされていない場合は、処理がステップS43に戻る。一方、ステップS47の判定において、電源SWがオフされた場合には、ステップS47からステップS48に分岐して、制御部11、操作部12、撮像部13、及び記憶部14の電源がオフされ(ステップS48)、ステップS41に戻る。
【0032】
以上説明したように、本一実施形態では、電子スチルカメラの電源がオンされていなくとも、携帯検知部21の電源はオンされるようになっており、携帯検知部21によって本電子スチルカメラの携帯が検知されている間は、測位ユニット16の電源がオンとなり、測位計算が行われる。これにより、電子スチルカメラの電源オンの時点で仮受信位置と実際の受信位置とが大きく離れることがなく、測位計算の処理時間を短縮することができる。したがって、電子スチルカメラの電源オンの後、速やかに画像データを撮影位置と対にして記憶することが可能となる。
【0033】
また、電子スチルカメラの携帯が所定時間検知されない場合には、測位ユニット16の電源がオフとなるので省電力化が図れる。
【0034】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0035】
更に、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子スチルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子スチルカメラによる測位計算のシーケンスについて示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子スチルカメラの撮影動作のシーケンスを示すフローチャートである。
【図4】従来例の電子スチルカメラの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
11…制御部、12…操作部、13…撮像部、14…記憶部、15,17…電源、16…測位ユニット、21…携帯検知部、121…表示部、122…スイッチ部(SW部)、161…GPS受信部、162…アンテナ、163…測位計算部、163a…記憶部、211…停止検知タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影位置を撮影画像と対にして記憶する電子スチルカメラであって、
GPS衛星からの測位データにより現在位置を計算する測位ユニットと、
使用者による前記電子スチルカメラの本体の携帯の有無を検知する携帯検知部と、
前記携帯検知部により該電子スチルカメラの前記使用者による携帯が検知されている時、前記測位ユニットによる計算を許可する動作制御部と、
を具備することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項2】
前記携帯検知部により使用者による携帯が所定時間に亘り検出されないとき、前記動作制御部は、前記測位ユニットへの電源の供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の電子スチルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−221696(P2007−221696A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42782(P2006−42782)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】