説明

電子ペン及びスキャナ並びにそれらに用いられるプログラム

【課題】利用者の所望する経路の距離情報を提供する電子ペン及びスキャナ並びにそれらに用いられるプログラムを提供する。
【解決手段】利用者が電子ペン1で、専用紙20上の地図エリア100をなぞると、電子ペン1は、電子ペン1でなぞった経路(軌跡)に沿って時系列順位を有する位置座標を演算し、さらに、区間分けして補間関数を求め、各補間関数の線積分値の積算値と縮尺値に基づいて、地図エリア100になぞられた経路における地表上の距離を演算し、スピーカ10で報知する。このように、電子ペン1は、利用者の所望する経路における地表上の距離を演算して音声等により利用者に報知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンにより電子ペン用媒体等に印刷された地図上の距離情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto 社が開発した「アノトペン(Anoto pen )」が知られている(特許文献1参照)。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙と共に使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献2)。
【0003】
本出願人は、Anoto 社の技術に見られるような電子ペンを用い、地図が印刷されている上記専用紙上で、利用者が上記電子ペンで出発地と目的地とを指定すると、出発地から目的地までの経路と、当該経路の距離情報を提供する地理的情報提供システムを提案している(特許文献3参照)。また、本出願人の提案以前においても、建設現場や測量会社、地図会社において、図面から長さ等を求める場面が多くあるため、デジタイザによる座標入力装置を用い、スタイラスペンによってパネルをヒットして座標値を入力することで、例えば建築図面における長さを求める技術が提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−153612号公報
【特許文献3】特開2004−46424号公報
【特許文献4】特公平3−50283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の地理的情報提供システムでは、出発地の緯度経度情報と目的地の緯度経度情報とに基づいて、出発地から目的地までの最短直線経路を算出している。従って、この地理的情報提供システムは、最短直線経路以外の経路の距離情報を算出しないため、必ずしも利用者の所望の経路に関する距離情報を提供することができないという問題点があった。上記のデジタイザによる座標入力装置も同様に、単にスタイラスペンによってパネルをヒットして入力された座標値間の長さを求めるにとどまるものであった。
【0006】
そこで本発明は、利用者の所望する経路の距離情報を提供する電子ペン及びスキャナ並びにそれらに用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子ペンは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を求める距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、利用者が電子ペンにより媒体に記入すると、接触検出手段が電子ペン自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、補間関数による補間の適用を可能とするため、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を演算する。したがって、利用者が電子ペンで媒体に記入すると、電子ペン自体が、その記入された筆跡下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、筆跡に応じた距離を演算するため、利用者の所望する筆跡に応じた距離を精度よく演算することができる。
【0009】
また、本発明に係る電子ペンは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を求める距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、利用者が電子ペンにより媒体に記入すると、接触検出手段が電子ペン自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、補間関数による補間の適用を可能とするため、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けし、なお且つ、滑らかな曲線で筆跡を再現性よく補間するため、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を演算する。したがって、利用者が電子ペンで媒体に記入すると、電子ペン自体が、その記入された筆跡下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、筆跡に応じた距離を演算するため、利用者の所望する筆跡の距離を精度よく演算することができる。
【0011】
または、本発明に係る電子ペンは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、利用者が電子ペンにより媒体の地図エリアに記入すると、接触検出手段が電子ペン自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、補間関数による補間の適用を可能とするため、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する。したがって、利用者が実際の距離を知りたい経路を地図エリア上に電子ペンで記入すると、電子ペン自体が、その記入された経路下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、記入された経路に対応する地表上の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0013】
または、本発明に係る電子ペンは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、利用者が電子ペンにより媒体の地図エリアに記入すると、接触検出手段が電子ペン自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように、区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する。したがって、利用者が実際の距離を知りたい経路を地図エリア上に電子ペンで記入すると、電子ペン自体が、その記入された経路下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、記入された経路に対応する地表上の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0015】
さらに、上記電子ペンにおいて、補間関数は、スプライン関数又はラグランジュ関数であることを特徴とする。この場合、電子ペンは、位置座標間を滑らかな曲線で結んだ距離を演算することができる。
【0016】
さらに、上記電子ペンにおいて、距離演算手段によって演算された距離を報知する報知手段を備えるとよい。これにより、利用者は、距離演算手段によって演算された距離を認識することができる。
【0017】
さらに、上記電子ペンにおいて、前記地図エリアを識別するコード化パターンアドレスと、前記地図エリアの縮尺値とを対応付けた縮尺情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記距離演算手段は、筆跡に応じた距離と、前記記憶手段から読み取られた、前記地図エリアにおけるコード化パターンアドレスに対応付けられた縮尺値とに基づいて、地表上の距離を演算することを特徴とする。この場合、電子ペンは、記憶手段に記憶された縮尺情報を参照して、地表上の距離を演算することができる。
【0018】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段として前記電子ペンを機能させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記電子ペンによる筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段として前記電子ペンを機能させることを特徴とする。
【0020】
あるいは、本発明に係るプログラムは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、前記媒体の接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記電子ペンによる筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記電子ペンを機能させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るプログラムは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、前記媒体の接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記電子ペンによる筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記電子ペンを機能させることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るスキャナは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間後に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本スキャナの構成によれば、利用者がスキャナを媒体上で移動させると、接触検出手段がスキャナ自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する。したがって、利用者がスキャナを媒体上で移動させると、スキャナ自体が、その移動軌跡下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、移動した軌跡の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0024】
また、本発明に係るスキャナは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
本スキャナの構成によれば、利用者がスキャナを媒体上で移動させると、接触検出手段がスキャナ自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する。したがって、利用者がスキャナを媒体上で移動させると、スキャナ自体が、その移動軌跡下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、移動した軌跡の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0026】
また、本発明に係るスキャナは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、利用者がスキャナを媒体の地図エリア上で移動させると、接触検出手段がスキャナ自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する。したがって、利用者が実際の距離を知りたい経路の地図エリア上でスキャナを移動させると、スキャナ自体が、その移動経路下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、移動による軌跡で表される経路に対応する地表上の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0028】
また、本発明に係るスキャナは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、利用者がスキャナを媒体の地図エリア上で移動させると、接触検出手段がスキャナ自身による媒体への接触状態を検出する。位置座標演算手段は、接触検出手段によって接触状態が検出されている間、媒体に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する。さらに、距離演算手段は、位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する。したがって、利用者が地表上の距離を知りたい経路の地図エリア上でスキャナを移動させると、スキャナ自体が、その移動経路下に印刷されているコード化パターンを局所的に撮像して位置座標を演算し、その位置座標に基づいて、移動による軌跡で表される経路に対応する地表上の距離を演算するため、利用者の所望する経路の距離を精度よく演算することができる。
【0030】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記スキャナが前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段として前記スキャナを機能させることを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段として前記スキャナを機能させることを特徴とする。
【0032】
または、本発明に係るプログラムは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記スキャナを機能させることを特徴とする。
【0033】
または、本発明に係るプログラムは、地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記スキャナを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る電子ペン及びスキャナ並びにそれらに用いられるプログラムによれば、利用者の操作に応じて、地図エリア等の媒体上に記入等をした際に、当該記入等による軌跡の位置座標を演算しつつ軌跡の距離を演算する。この際、電子ペンやスキャナで取得した離散的な位置座標を補間することによって、実際に描いた軌跡に近づけ、より正確に道のりを求めることができる。これにより、電子ペンやスキャナは、利用者の所望の経路に関する距離を精度よく演算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は電子ペン1の使用形態を示す説明図である。専用紙20には、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。電子ペン1は、通常のインクペンと同様のペン先部6を備えており、利用者が通常のインクペンと同様にペン先部6によって専用紙20に文字や絵柄などを書くと、電子ペン1は、ペン先部6の移動した軌跡(筆跡)に沿って、専用紙20に印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、専用紙20におけるその局所位置の座標を演算し、その座標データともに、電子ペン1を識別する電子ペン識別ID、筆記された時刻情報(タイムスタンプ)等を関連付ける。
【0037】
[専用紙]
まず、専用紙20について説明する。専用紙20は、用紙にドットパターンが印刷され、さらにその上に罫線や記入枠、地図などの図案や項目、文言、イラスト等が印刷されたものである。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、図案等は、カーボンを含まない通常のインキにより印刷される。ドットパターンと図案等とは用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に印刷してもよい。
【0038】
図2に本実施形態で使用する地図等が印刷された専用紙20の例を示す。図2に示す専用紙20は、地図を表示する地図エリア100を有する。ドットパターンは、専用紙20のほぼ全面に印刷されており、その上に地図の図柄、建物名称等の文字、地図記号等がカーボンを含まない通常のインキにより印刷されている。利用者はドットパターンを意識することなく、電子ペン1を用いてこの地図エリア100に出発地から目的地までの所望の経路を記入する。
【0039】
[ドットパターン]
続いて、ドットパターンについて説明する。電子ペン1によって読み取られるドットパターンは、上述のアノト技術を採用している。図3は、専用紙20に印刷されるドットパターンのドットの位置とそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点:格子点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換される。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ドットパターンは、専用紙20における位置座標が決定されるよう構成されている。
【0040】
図4(a)は、専用紙20における、ある局所部のドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、専用紙20上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36(=6×6)個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその専用紙20上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0041】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体7の内部に、プロセッサ8、メモリ9、スピーカ10、データ通信ユニット11、バッテリー12、LED13、CMOSカメラ14、クロック15、圧力センサ16、及びインクカートリッジ17を備える。インクカートリッジ17の先端は、ペン先部6となっており、利用者は、電子ペン1のペン先部6を専用紙20に当接させながら経路や文字、絵柄を描くことができる。
【0042】
LED13とCMOSカメラ14は、電子ペン1のペン先部6付近に取り付けられており、筐体7におけるLED13及びCMOSカメラ14と対向する部分には、開口部18が形成されている。LED13は、専用紙20上のペン先部6近傍(領域19:図1参照)に向けて赤外線を照明する。領域19は、ペン先部6が専用紙20に接触する位置とはわずかにずれている。カメラ14は、LED13によって照明された領域19内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ8に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED13によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、カメラ14の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。したがって、たとえ撮影領域に罫線や枠などが印刷されてあったとしても、罫線や枠などのインクには、カーボンが含まれていないため、ドットパターンを認識することができる。なお、カメラ14による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、カメラ14の撮影は毎秒75回行われる。
【0043】
バッテリー12は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。圧力センサ16は、利用者が電子ペン1により専用紙20上に文字などを書く際にペン先部6に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ8へ供給する。
【0044】
プロセッサ8は、圧力センサ16から与えられる筆圧データに基づいて、LED13及びカメラ14のスイッチのオン/オフを切換える。即ち、利用者が電子ペン1で専用紙20上に文字などを書くと、ペン先部6には筆圧がかかり、圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ8は、利用者が記入を開始したと判定して、LED13及びカメラ14を作動させる。
【0045】
プロセッサ8は、利用者の記入が行われる間、カメラ14によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストローク(筆跡)の専用紙20上におけるX,Y座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ8は、カメラ14によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。そしてプロセッサ8は、クロック15から発信される現在時刻(タイムスタンプ)、筆圧データ及びX,Y座標データとを関連付ける。なお、専用紙20における6×6のドットパターンは、その専用紙20内で重複することはないため、利用者が電子ペン1で必要事項を記入すると、記入された位置が専用紙20のどの位置に当たるかを、プロセッサ8による座標演算により特定することができる。また、プロセッサ8は、地図エリア100が印刷された専用紙20の頁ごと或いは種類ごとに設定されているドットパターンアドレスをドットパタンの配列から演算する。座標データには、利用者が電子ペン1を用いて記入した時刻情報(タイムスタンプ)が関連付けられており、座標データは、経時的な情報を有し、時系列順に配列される。
【0046】
メモリ9には、電子ペン1を識別するための電子ペン識別IDが記憶されており、また、プロセッサ11によって演算される座標データが時刻情報(タイムスタンプ)と共に時系列順に配列されて記憶されていく。スピーカ10は、プロセッサ8によって指示された内容を音声で出力する。
【0047】
ここで、電子ペン1が有する機能について図6を参照して説明する。図6は、電子ペン1の主要な構成を示す機能ブロック図である。電子ペン1は、取得したX,Y座標データに基づいて、専用アプリケーションを実行することで所定の処理を行う。
【0048】
図6に示すように、電子ペン1は、機能的には、情報記憶手段58、接触検出手段60、位置座標演算手段61、アドレス取得手段62、距離演算手段63、データ通信手段64、及び報知手段65を備える。情報記憶手段58は、物理的には、ROMやRAMといったメモリ12によって構成され、接触検出手段60は、ペン先部6が専用紙20に接触していることを検出するための圧力センサ16、プロセッサ8等によって構成される。また、位置座標演算手段61及びアドレス取得手段62は、カメラ14、メモリ9及びプロセッサ8等によって構成される。距離演算手段63は、プロセッサ8等によって構成される。そして、データ通信手段64は、データ通信ユニット11によって構成され、報知手段65は、プロセッサ8及びスピーカ10によって構成される。
【0049】
情報記憶手段58は、ドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)で特定される地図エリア100に印刷された地図の縮尺値を、そのドットパターンアドレスに対応付けた縮尺情報として記憶している。また、情報記憶手段58は、位置座標演算手段61が演算した座標データや、距離演算手段63によって演算された距離等を記憶する。
【0050】
接触検出手段60は、圧力センサ16で検出された筆圧が所定値以上であることを条件として、電子ペン1のペン先部6が専用紙20に接触した状態であることを検出し、位置座標演算手段61及びアドレス取得手段62に伝送する。位置座標演算手段61は、接触検出手段60によってペン先部6が専用紙20に接触している状態であると検出されている間、すなわち、電子ペン1が専用紙20の地図エリア100に接触を開始して経路等が記入され、地図エリア100から離れるまでの間、カメラ14によって局所的にペン先部6付近のドットパターンを撮像し続け(1秒間に75回)、その画像データに基づいて専用紙20上でのX,Y座標データを連続的に演算し続け、距離演算手段63に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶する。
【0051】
アドレス取得手段62は、電子ペン1が地図エリア100へ接触したことを接触検出手段60が検出した際に、ドットパターンの画像データに基づいて、専用紙20の種類毎ないし頁毎に設定されるドットパターンアドレスを求め、距離演算手段63に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶させる。
【0052】
距離演算手段63は、ペン先部6の専用紙20への接触状態が接触検出手段60によって検出されている間、ペン先部6が地図エリア100に接触した位置(ペン・ダウン位置)から離脱する位置(ペン・アップ位置)までの、電子ペン1で専用紙20の地図エリア100になぞられる経路に沿って演算された複数の座標データに基づいて、経路(筆跡)の長さを演算し、さらに、その長さから地表上の距離(道のり)を演算し、情報記憶手段58に記憶させる。すなわち、距離演算手段63は、位置座標演算手段61によって連続的に演算される複数の位置座標を用いて、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置までの間に記入された筆跡の長さLを演算する。
【0053】
より具体的には、距離演算手段63は、位置座標演算手段61によって演算された、時系列的な順位を有する複数の離散的な位置座標データの座標点に対して、スプライン補間或いはラグランジュ補間を適用可能とするため、X座標の単調増加又は単調減少が連続するよう区間分けし、なおかつ、滑らかな曲線となるように補間関数を適用するため、連続する三つの座標点のなす角が閾値未満の座標点においても区間の境界として区間分けを行い、各区間で補間を適用して補間関数を求める。そのうえで、距離演算手段63は、各区間の補間関数の線積分値を演算し、その積分値を積算することで精度よく筆跡の長さLを求める。
【0054】
それと合わせて、距離演算手段63は、アドレス取得手段62によって求められたドットパターンアドレスに基づいて、情報記憶手段58に記憶された縮尺情報を参照して、そのドットパターンアドレスに対応した縮尺値cを読み取る。そして、距離演算手段63は、上述のように演算した筆跡の長さLと縮尺値cとから、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置に至るまでの地表上の距離(道のり)Dを演算する。なお、情報記憶手段58に記憶された縮尺情報は、地図における単位長さ当たりの地表上の距離(地図1cmは、地表の○kmに相当)であってもよいし、縮尺割合(1:25000、1/25000)であってもよい。
【0055】
ここで、地表上の距離(道のり)Dを求めるために、地図上の長さに対して、縮尺情報に基づいて掛けるべき倍率をsとすれば、
D = L × s
となり、例えば、縮尺率c=1/25000とすれば、
D = L × s = L × 1/c
となる。
【0056】
すなわち、距離演算手段63は、接触検出手段60の検出情報、位置座標演算手段61による座標データ及びアドレス取得手段62によるドットパターンアドレス情報によって、ペン先部6の離脱が認識された時点で、ペン・ダウン位置からペン・アップ位置まで電子ペン1で地図エリア100がなぞられた筆跡に応じた地表上の距離(道のり)Dを演算し、報知手段65(スピーカ10)に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶する。
【0057】
距離演算手段63は、演算した地表上の距離(道のり)Dを、報知手段65(スピーカ10)に音声で報知させる。報知手段65による案内メッセージ例としては「出発地から目的地までの道のりは、○○kmです。」である。
【0058】
なお、報知手段65は、距離演算手段63によって演算された地表上の距離(道のり)Dを別の端末装置で表示させるために、距離Dの情報をデータ通信手段64によって端末装置へ送信するように構成してもよい。
【0059】
電子ペン1は、ストローク処理用の専用アプリケーションがインストールされることにより、上述の各手段が構成される。
【0060】
[専用アプリケーション]
次に、専用アプリケーション(プログラム)55について図7を参照して説明する。図7は、専用アプリケーション55のモジュール構成を示す。専用アプリケーション55は、電子ペン1で専用紙20になぞられる経路に沿って演算される座標データに基づいて所定の処理を実行するものであって、ダウンロード等により予め電子ペン1にインストールされている。
【0061】
図7に示すように、専用アプリケーション55は、接触検出モジュール300、情報記憶モジュール301、位置座標演算モジュール302、アドレス取得モジュール303、距離演算モジュール304、報知モジュール305、及びデータ通信モジュール306を有する。
【0062】
接触検出モジュール300は、電子ペン1のペン先部6が専用紙20に対して接触状態であることを、圧力センサ16で検出された筆圧が所定値以上であることを条件として検出し、位置座標演算手段61及びアドレス取得手段62に伝送する機能を有し、電子ペン1に接触検出手段60を構成させるモジュールである。
【0063】
情報記憶モジュール301は、地図エリア100を特定するためのドットパターンアドレスとその地図エリア100の縮尺値とを対応付けた縮尺情報をメモリ9に記憶させる機能を有するほか、位置座標演算手段61が演算した座標データや、距離演算手段63によって演算された筆跡の長さや地表上の距離(道のり)等をメモリ9に記憶させる機能を有し、電子ペン1に情報記憶手段58を構成させるモジュールである。
【0064】
位置座標演算モジュール302は、接触検出手段60によってペン先部6が専用紙20に接触している状態であると検出されている間、カメラ14によって局所的にペン先部6付近のドットパターンを撮像し続け、それで得られた画像データに基づいてX,Y座標データを連続的に演算し続け、距離演算手段63に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶する機能を有しており、電子ペン1に位置座標演算手段61を構成させるモジュールである。
【0065】
アドレス取得モジュール303は、電子ペン1が地図エリア100へ接触したことを接触検出手段60が検出した際に、ドットパターンの画像データに基づいて、専用紙20の地図エリア100が印刷された頁毎ないし種類毎に設定されるドットパターンアドレスを求め、距離演算手段63に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶する機能を有し、電子ペン1にアドレス取得手段62を構成させるモジュールである。
【0066】
距離演算モジュール304は、ペン先部6が地図エリア100に接触した位置(ペン・ダウン位置)から離脱する位置(ペン・アップ位置)まで電子ペン1で地図エリア100になぞられる経路に沿って得られた時系列順位を有する座標データを区間分けして区間毎に補間関数を求め、各補間関数の線積分値を積算することで筆跡の長さを演算し、さらに、地表上の距離(道のり)Dを演算して、報知手段65に伝送するほか、情報記憶手段58に記憶させる機能を有し、電子ペン1に距離演算手段63を構成させるモジュールである。
【0067】
報知モジュール305は、距離演算手段63によって演算された地表上の距離(道のり)Dをスピーカ10に音声で報知させる機能を有し、電子ペン1に報知手段65を構成させるモジュールである。なお、報知モジュール305を設ける代わりに、距離演算手段63によって演算された地表上の距離(道のり)Dを別の端末装置で表示させるために、距離Dの情報をデータ通信手段64によって端末装置へ送信させてもよい。
【0068】
データ通信モジュール306は、端末装置等を介して専用アプリケーション55をダウンロードしたり、距離演算手段63によって演算された地表上の距離Dを別の端末装置で表示したりする等のために、端末装置とデータの送受信を行う機能を有し、電子ペン1にデータ通信手段64を構成させるモジュールである。
【0069】
[距離演算システムによる距離演算フロー]
次に、本実施形態の距離演算システムにより行われる距離演算フローについて図8及び図9を参照して説明する。図8は、電子ペン1でなぞられた筆跡のある専用紙20を示す図である。図9は、電子ペン1における距離演算のフローチャートである。
【0070】
ここで、本実施形態における距離演算とは、利用者が電子ペン1を専用紙20の地図エリア100に接触させてから離脱させるまでの間に、なぞった経路における地表上の距離(道のり)Dを算出し、その結果を通知する処理である。
【0071】
図8に示すように、利用者は、電子ペン1のペン先部6により、専用紙20の地図エリア100上の出発地(接触開始点)701を指定する(ペン・ダウン)。すると、接触検出手段60は、圧力センサ16で検出された筆圧が所定値以上となったことで、電子ペン1のペン先部6が専用紙20に接触したことを検出し、位置座標演算手段61及びアドレス取得手段62に伝送する。そして、利用者が地図エリア100上の通過点702A,702B,702C,702D,…を通って目的地(離脱点)703まで電子ペン1でなぞり、離脱点703で電子ペン1を専用紙20から離す(ペン・アップ)まで、接触検出手段60は、電子ペン1の接触を検出し続け、位置座標演算手段61及びアドレス取得手段62に伝送し続けることとなる。
【0072】
そして、ペン・ダウンからペン・アップまでの間、位置座標演算手段61は、カメラ14によって接触開始点701からドットパターンの撮像を開始し、専用紙20上での局所的なX,Y座標データ(位置座標)の演算を続け、距離演算手段63に伝送する。それとともに、アドレス取得手段62は、ドットパターンの画像データからドットパターンアドレスを求め、距離演算手段63に伝送する(ステップS101)。
【0073】
利用者が電子ペン1を地図エリア100から離脱させ、接触検出手段60によってペン・アップが認識される(ステップS102)と、距離演算手段63は、X,Y座標データに基づいて地図エリア100上の筆跡の長さを演算する(ステップS103〜ステップS106)。具体的には、複数の座標データを、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けし(ステップS103)、次いで連続する三つの座標点でなす角を求めて、その角度が閾値(90度)未満となる座標点でさらに区間分けする(ステップS104)。そして、各区間に対して、スプライン関数或いはラグランジュ関数等の補間関数を適用し、補間関数を求める(ステップS105)。続いて、各区間でその補間関数の線積分値を求め、さらに各積分値を積算して筆跡の長さLを求める(ステップ106)。さらに距離演算手段63は、ドットパターンアドレスに基づいて、情報記憶手段58に記憶された縮尺情報を参照してそのドットパターンアドレスに対応した縮尺値cを読得り、筆跡の長さLと縮尺値cとから、地表上の距離(道のり)Dを演算する(ステップS107)。
【0074】
なお、通常、ドットパターンアドレスは専用紙20の種類ないし頁毎に同一であり、ステップS2のアドレス取得手段62により求められるドットパターンアドレスは変わらないため、ドットパターンアドレスを求めるのは最初の1回のみでもよいし、繰り返しドットパターンアドレスを求めて、何らかの原因によりドットパターンアドレスが変わった場合は距離演算手段63に伝送することとしてもよい。また、ドットパターンアドレスが変わらない限り、距離演算手段63が縮尺情報を参照して縮尺値を取得するのは、最初の1回のみでよい。
【0075】
この方法では、電子ペン1が地図エリア100から離れた後で、得られた座標データと縮尺値に基づいて地表上の距離(道のり)Dを演算することになる。そして、報知手段65は、距離演算手段63が演算して確定した接触開始点701から離脱点703までの地表上の距離(道のり)Dをスピーカ10に音声で通知させる(ステップS108)。これにより、距離演算を終了する。
【0076】
このように、利用者が電子ペン1を所望の経路に沿って地図エリア100上でなぞると、それに応じて、電子ペン1は、なぞられた経路に沿って複数の位置座標を演算し、当該位置座標に基づいて、地図上の経路における地表上の距離(道のり)Dを、スピーカ10を介して出力することができる。
【0077】
ここで、ステップS103〜ステップS106の処理における距離演算手段63の距離演算の詳細について図10〜図13を参照しながら説明する。ここで、座標データの座標点は、図10に示すように、時系列順でt(0),t(1),…とする。
【0078】
まず、時系列順の複数の座標データを、X座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けする(ステップS103)。図11に示すように、t(0)〜t(5)でX座標が単調増加、t(5)〜t(11) でX座標が単調減少、t(11) 〜でX座標が単調増加であるので、座標点t(5),t(11)を区間分けの境界とする。
【0079】
次に、図12に示すように、座標点t(0),t(1),…t(k-2),t(k-1),t(k),t(k+1),…に対して、連続する三つの座標点によってなす角θ(1),…θ(k-1),θ(k),θ(k+1),θ(k+2),…(180度より小さい方の角)を求める。これらのなす角θ(1),…θ(k-1),θ(k),θ(k+1),θ(k+2),…のうち、閾値90度未満である角の頂角に当たる座標点を抽出し、区間分けの境界とする(ステップS104)。ここでは、座標点t(15),t(19)でのなす角が90度未満であるため、座標点t(15),t(19) が抽出され、これらが区間分けの境界とされる。なお、この閾値角度は適宜変えてよい。
【0080】
よって、座標点t(0)〜t(5), t(5)〜t(11), t(11)〜(15), t(15) 〜(19), t(19) 〜に区間分けされる。この区間分けされた各区間を、図13に示すように、
D(0):t(0)〜t(5)
D(1):t(5)〜t(11)
D(2):t(11) 〜(15)
D(3):t(15) 〜(19)
D(4):t(19) 〜
とする。
【0081】
そして、各区間ごとにスプライン補間を施す(ステップS105)。各区間D(m) に、区間内にある座標点を用いて、スプライン補間をかけ、図13に示すように、得られたスプライン関数をF0(x), F1(x), …, Fm-1(x),Fm(x),Fm+1(x),…とする。
【0082】
すると、なぞった軌跡の長さLは、
Xmax(m):区間D(m)におけるX座標の最大値
Xmin(m):区間D(m)におけるX座標の最小値
mmax:区間を分けたときのmの最大値
とすれば、次式で表される。
【数1】

【0083】
このようにして、各区間で補間関数を用いて線積分し、各積分値を積算することで、実際に描いた軌跡に近づいたより正確な道のりが得られる。なお、補間関数は、スプライン補間のほか、ラグランジュ補間など様々な補間関数が適用可能である。
【0084】
<第2実施形態>
次に、図14を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態とは区間分けの方法が異なるが、それ以外は第1実施形態と同様である。図14は図9のフローチャートにおけるステップS103〜ステップS104で行う区間分けの変形例を示すフローチャートである。第2実施形態では、位置座標演算手段61によって演算された位置座標の時系列のデータにおいて、X座標の単調増加又は単調減少が連続するという観点と、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないという観点の両方から同時に判断して区間分けする。
【0085】
図9のステップS102から、図14に示すように、座標データの区間分けのためのnに初期値0(n=0)を付与する(ステップS201)。そして、連続する三つの座標点t(n),t(n+1),t(n+2)のX座標(n=0とする)が単調増加又は単調減少かを判断し(ステップS202)、イエスの場合は、座標点t(n),t(n+1),t(n+2)のなす角を求め(ステップS203)、その角度が閾値未満か否かを判断し(ステップS204)、イエスの場合は、座標点t(n+1)を区間の境界とする(ステップS205)。一方、ステップS202において、連続する三つの座標点t(n),t(n+1),t(n+2)のX座標が、単調増加でも単調減少でもない場合(ノー)は、増減傾向が変化しているため、ステップS205に進み、座標点t(n+1)を区間の境界とする。
【0086】
また、ステップS204において、なす角が閾値未満ではなかった場合(ノー)と、ステップS205を経た場合のいずれの場合も、座標点t(n+2)が終点か否かを判断し(ステップS206)、イエスの場合は図9のステップS105に進み、ノーの場合は、nを1だけインクリメントさせて(ステップS207:n=n++)、区間分けの妥当性を判断する対象の連続する三点を、時系列的に一つ後送りし、ステップS202〜206の手順を繰り返して行う。この手順により時系列順の座標点の最後まで処理を繰り返した後、図9のステップS105に進む。この方法により、X座標の単調増加又は単調減少が連続し、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならない区間分けを同時に判断して処理することができる。
【0087】
[本電子ペンシステムによる作用効果]
この電子ペン1を利用したシステムによれば、利用者が電子ペン1で、地図エリア100をなぞると、電子ペン1は、電子ペン1で地図エリア100をなぞった経路に沿ってドットパターンをカメラ14によって撮像していき、その都度、位置座標演算手段61によって、時系列順に離散的な位置座標データを連続して演算していく。そして、電子ペン1は、距離演算手段63によって、時系列的な順位を有する座標データの座標点に対して、スプライン補間やラグランジュ補間を適用するため、時系列順にX座標の単調増加又は単調減少が連続するよう区間分けし、なおかつ、連続する三つの座標点のなす角が閾値未満の座標点においても区間の境界とすることで、適用する補間関数により、滑らかな曲線で筆跡を再現する。そのうえで、距離演算手段63は、各区間の補間関数の線積分を演算して、積分値を積算することで精度よく筆跡の長さLを求め、さらに縮尺値cを参照して地表上の距離(道のり)Dを算出し、スピーカ10に距離Dを音声で報知させる。このように、電子ペン1は、利用者の所望する経路に関する距離を演算して、音声等により利用者に報知することができる。これにより出発地から目的地までに複数の経路がある場合にも、利用者はこの電子ペン1を利用したシステムによって、簡単に経路毎の距離を知ることができ、経路の選択等に役立てられる。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0089】
上記実施形態では、電子ペンとして電子ペン1を適用したが、インクカートリッジの付いていないペン型スキャナを電子ペンの代わりに適用しても良い。ペン型スキャナは通常、ペン先やインクカートリッジを有さないが、上記実施形態の接触検出手段60と同等の機能を実現する、上記実施形態の電子ペン1のペン先部6と同様の物理的機構を設ければよい。或いは、ペン型スキャナに電源オン・オフによってカメラによる撮像を開始・終了させることとして、上記実施形態の位置座標演算手段61と同様の位置座標演算により、有意な座標データが得られた時点の位置座標を接触開始点701、所定時間以上、有意なデータが得られなくなった直前の時点の位置座標を離脱点703とするよう、上記実施形態を変形させてもよい。また、上記実施形態と同様に各種の変形が可能である。
【0090】
上記実施形態では、ドットパターンアドレスに縮尺値を対応付けて縮尺情報としているが、その代わりに例えば、地図エリア100のエリアIDと、ドットパターン上における地図エリア100の位置座標を示す座標データと、その地図エリア100の縮尺値とを対応付けて縮尺情報としてもよい。この場合、距離演算手段63は、アドレス取得手段62により求められたドットパターンアドレスに代え、位置座標演算手段61が演算した座標データに基づいて、情報記憶手段58に記憶された縮尺情報を参照して、その座標データに対応した縮尺値を取得する。これにより座標データからエリアIDを特定して縮尺値を取得することができるため、同じ専用紙20上に縮尺率の異なる複数の地図エリアが印刷されている場合にも、地図エリア毎に地表上の距離Dを演算することができる。
【0091】
上記実施形態では、位置座標演算手段61が、所定の間隔で通過点位置座標を演算し、メモリ12に保持していたが、位置座標演算手段61が通過点位置座標を演算した結果、直前の通過点位置座標等と同一座標値である場合は、取得した通過点位置座標をメモリ12に保持しないようにしても良い。この場合、電子ペン1が軌跡の距離を算出するために、不要な座標値を保存してしまうことを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、電子ペン用媒体から構成される、登山用の地図、タウンマップ等の地図アプリケーション、建築見取り図、設計図面等の建築アプリケーション、ゴールまでに辿った経路の最短距離を競う迷路クイズ等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す説明図である。
【図2】本実施形態で使用する専用紙の一例を示す平面図である。
【図3】専用紙に印刷されたドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図4】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す説明図である。
【図5】実施形態における電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】電子ペンの主要な構成を示す機能ブロック図である。
【図7】実施形態における専用アプリケーションのモジュール構成図である。
【図8】実施形態における電子ペンでなぞられた筆跡のある専用紙を示す図である。
【図9】電子ペンにおける距離演算のフローチャートである。
【図10】距離演算手段で行う演算処理の第1段階の説明図である。
【図11】距離演算手段で行う演算処理の第2段階の説明図である。
【図12】距離演算手段で行う演算処理の第3段階の説明図である。
【図13】距離演算手段で行う演算処理の第4段階の説明図である。
【図14】図9のフローチャートにおけるステップS103〜ステップS104で行う区間分けの変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1…電子ペン、6…ペン先部、7…筐体7、8…プロセッサ、9…メモリ、10…スピーカ、11…データ通信ユニット、12…バッテリー、13…LED、14…CMOSカメラ、16…圧力センサ、17…インクカートリッジ、18…開口部、19…領域、20…専用紙(電子ペン用媒体)、22…クロック、55…専用アプリケーション、58…情報記憶手段、60…接触検出手段、61…位置座標演算手段、62…アドレス取得手段、63…距離演算手段、64…デーや通信手段、65…報知手段、80…電子ペン、100…地図エリア、701…接触開始点、703…離脱点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段とを備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項3】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項4】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上の筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項5】
前記補間関数は、スプライン関数又はラグランジュ関数であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電子ペン。
【請求項6】
さらに、前記距離演算手段によって演算された前記距離を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電子ペン。
【請求項7】
前記地図エリアを識別するコード化パターンアドレスと、前記地図エリアの縮尺値とを対応付けた縮尺情報を記憶する記憶手段をさらに備え、 前記距離演算手段は、筆跡に応じた距離と、前記記憶手段から読み取られた、前記地図エリアにおけるコード化パターンアドレスに対応付けられた縮尺値とに基づいて、地表上の距離を演算することを特徴とする請求項3又は4に記載の電子ペン。
【請求項8】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記電子ペンによる筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段
として前記電子ペンを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記電子ペンによる筆跡に応じた距離を演算する距離演算手段
として前記電子ペンを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、
前記媒体の接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段として前記電子ペンを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取る電子ペンにより実行されるプログラムであって、
前記媒体の接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて筆跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段
として前記電子ペンを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項13】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項14】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項15】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段と、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段と
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項16】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて前記スキャナが前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段
として前記スキャナを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
コード化パターンが印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記媒体上を移動した軌跡に応じた距離を演算する距離演算手段
として前記スキャナを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段
として前記スキャナを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
地図エリアとコード化パターンとが重ねて印刷された媒体を読み取るスキャナにより実行されるプログラムであって、
前記媒体への接触状態を検出する接触検出手段、
前記接触検出手段によって接触状態が検出されている間、前記コード化パターンを局所的に撮像して、その位置座標を演算する位置座標演算手段、
前記位置座標演算手段によって演算された複数の位置座標を、時系列順でX座標の単調増加又は単調減少が連続するように、且つ、連続する三点のなす角が閾値角度未満とならないように区間分けしたうえで、区間毎に補間関数で補間をかけ、各補間関数の線積分値に基づいて、前記スキャナが前記地図エリア上を移動した軌跡に対応する地表上の距離を演算する距離演算手段
として前記スキャナを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−9287(P2009−9287A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168994(P2007−168994)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】