説明

電子マネー処理装置

【課題】障害発生時に、係員が容易に原因を確認することが可能な電子マネー処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子マネー処理装置は、記録媒体からの電子マネー情報に基づいて処理を行う主制御部と、入力部と表示部とからなる操作表示部と、障害情報を記憶する記憶部とを備え、前記主制御部は、障害発生時に前記表示部に表示させるとともに、前記操作入力部を所定時間操作することで詳細表示に切り替えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー情報が記録されたICカード等の記録媒体を用いた電子マネー処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードあるいは携帯電話等の記録媒体に電子マネー情報(貨幣価値情報)を記録しておき、この記録媒体に記録された電子マネーを用いて商品の購入、サービスの提供に関する決済を行う電子決済処理システムが普及している。この電子マネー情報は、例えば、電子マネーの入金機では、電子マネーカードに入金処理を行いカードに入金後の残高の書き込みを行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、このような機器における故障などの障害発生時には、前面の扉を開け、電子マネーの入金機では、通常、前面の扉を開け、内部の操作にて原因を追及していた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−36466号公報
【特許文献2】特開平8−235419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術に記載のように、故障などの障害が発生すると、扉開放用の鍵を準備し、扉を開けて内容を確認することが通常であり、作業手順が面倒であり、係員にとって大きな負担となっていた。
また、鍵は、特定の管理者のみに権限があることが多く、管理者不在の場合には、確認すら行えないという状況になる。
本発明は、上記の点に鑑み、障害発生時に係員が容易に対応可能とする電子マネー処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電子マネー処理装置は、記録媒体からの電子マネー情報に基づいて処理を行う主制御部と、入力部と表示部とからなる操作表示部と、障害情報を記憶する記憶部とを備え、前記主制御部は、障害発生時に前記表示部に表示させるとともに、前記操作入力部を所定時間操作することで詳細表示に切り替えるようにしたことを特徴とする。
前記操作表示部は、タッチパネルからなり、障害発生時にタッチパネルを所定操作することにより詳細表示に切り替えるようにし、また、準備中表示を表示部にし、タッチパネルを所定操作することにより詳細表示に切り替えるようにしたことを特徴とする。
さらに所定操作とは、例えば、長押し、2度押しなど特殊操作であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る電子マネー処理装置によれば、障害発生時に前記表示部に表示させるとともに、前記操作入力部を所定時間操作することで詳細表示に切り替えるようにしたことにより、係員は簡単な操作で障害原因を確認するこことが可能となる。
また、表示切替は、所定操作、例えば長押しなどを条件とすることで、利用者が触っても、安易に画面が切り替わることがなく、悪戯防止にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電子マネー処理装置として、電子マネーチャージ機に適用した場合の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である電子決済処理システムを適用した電子マネーチャージ機10の外観を示す斜視図であり、その構成を説明する。
図1に示すように、電子マネーチャージ機10には、本体キャビネット11と、本体キャビネット11の前面開口を閉塞する前面扉12とを備え、本体キャビネット11と前面扉12との間には、施錠手段13が設けられており、順に説明する。
前面扉12には、表示部21及び入力部22とからなる操作部20、マネーカード・携帯電話セット部23、クレジットカード・デビットカード挿入口24、レシート発行口25、紙幣挿入口26及び紙幣返却口27が設けられている。
表示部21は、利用者に操作を案内するとともに、電子マネー残高やチャージ額(入金額)の表示等、取引に必要な情報や、障害発生時の障害情報を表示するものであり、この表示部21は、例えば液晶表示装置(LCD)または有機ELパネル等の薄型ディスプレイから構成されている。
入力部22は、決済情報を入力するためのもので、表示部21のディスプレイと一体に構成されるタッチパネルにより構成されており、利用者は、例えば表示部21の操作画面に表示されたテンキーにタッチすることによりチャージ金額の入力を行い、また、操作画面に表示されたレシート発行ボタンにタッチすることにより、決済情報が記録されたレシートの発行を要求し、さらに、係員が操作画面をタッチすることにより所定の画面に切り替わる。
【0007】
マネーカード・携帯電話セット部23は、利用者が提示したマネーカードMCあるいは携帯電話PHとの間で識別情報及び残高情報を送受信するためのものである。ここで、マネーカードMCあるいは携帯電話PHを提示するとは、マネーカードMCあるいは携帯電話PHをマネーカード・携帯電話セット部23に載置する、かざす、あるいは、挿入することを意味している。本実施の形態では、図1に示すように、マネーカードMCあるいは携帯電話PHをマネーカード・携帯電話セット部23に載置する形態としている。
クレジットカード・デビットカード挿入口24は、利用者がクレジットカードCCあるいはデビットカードDCを挿入するための開口であり、このクレジットカード・デビットカード挿入口24から挿入されたクレジットカードCCあるいはデビットカードDCの識別情報は、磁気カード用のリーダライタ部32(図2参照)を介して、後述する主制御部50によって読み出される。ここで、クレジットカードCCの識別情報とはクレジットカード番号であり、デビットカードDCの識別情報とは口座番号である。
レシート発行口25は、発行されたレシートを利用者が受け取るための開口であり、本体キャビネット11内部に設置されたプリンタ33と連通させてある。プリンタ33は、レシート及びメンテナンス用の帳票を発行するものであり、ロール紙(図示せず)とロール紙を切断するカッタ(図示せず)を有している。
【0008】
紙幣挿入口26は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口26を通じて挿入された紙幣は、紙幣識別機41(図2参照)において、その金種が識別された後、紙幣識別機41の内部に収容されることになる。紙幣返却口27は、紙幣識別機41から払い出された釣札(紙幣)を利用者に受け渡すための開口である。
次に、図2は、電子マネーチャージ機のブロック図であり、図2に示すように、上述した表示部21、入力部22、リーダライタ部31、磁気カードリーダライタ部32、プリンタ33、紙幣識別機41は、全体の制御を統括する主制御部50に接続されている。この主制御部50は、障害情報、レシート情報等の各種データを記憶する記憶部50aを備えている。
また、主制御部50には、通信部42が接続されている。通信部42は、専用線、ネットワーク(LAN)、あるいは広域ネットワーク(WAN)を介して、図示しないクレジット会社のクレジットサーバ、銀行のデビットサーバ、電子マネー運営会社の電子マネーサーバに接続されている。
上記構成を有する電子マネーチャージ機10は、クレジットサーバあるいはデビットサーバへ認証要求を送信可能であって、かつ電子マネーサーバからチャージ指令を受信可能である。一方、電子マネーチャージ機10が電子マネーサーバからチャージ指令を受信した場合には、チャージ指令を復号化し、このチャージ指令に基づいてマネーカードMCあるいは携帯電話MPを照合した後に電子マネーをチャージする。
【0009】
次に、電子マネーチャージ機10の主制御部50が実行するチャージ処理とレシート発行処理の一連の流れについて簡単に説明する。なお、ここではクレジットチャージを例に説明する。
電子マネーチャージ機10が待機状態にある場合に、利用者によって表示部21の操作画面に表示された「クレジットチャージ」ボタンが選択されると、主制御部50は、マネーカードMCのセットを要求する表示(例えば、「マネーカードをセットしてください。」との表示)を操作画面に表示する。マネーカード・携帯電話セット部23にマネーカードMCがセットされると、主制御部50は、リーダライタ部31を通じてマネーカードMCからID番号と残高情報の読み出しを行い、操作画面にチャージ残高を表示するとともに、電子マネーのチャージ金額を入力するための表示(例えばテンキー)を行う。
利用者によってチャージ金額が入力されると、チャージ金額が確定し、主制御部50は操作画面にチャージ金額とチャージ後の残高を表示する。次いで、主制御部50は、クレジットカードの挿入を要求する表示(例えば、「クレジットカードを挿入してください。」との表示)を操作画面に表示する。ここで、利用者によってクレジットカードCCがクレジットカード挿入口24から挿入されると、主制御部50は、操作画面に暗証番号の入力を要求する表示(例えば、「暗証番号を入力してください。」との表示)を行う。利用者によって暗証番号が入力されると、主制御部50はクレジットサーバに認証を要求する。
【0010】
クレジットサーバによって決済可能と判断された場合には、電子マネーサーバにチャージ要求が送信され、マネーカードMCが正当であると判断された場合には、電子マネーチャージ機10の主制御部50にチャージ指令が送信される。
次に、主制御部50は、マネーカード・携帯電話セット部23にセットされているマネーカードMCからID番号を再度読み取る。そして、再度読み取ったID番号(チャージ指令が通知された時に読み取った識別情報)と、記憶されているID番号(認証要求時に読み取った識別情報)とが一致する場合に、主制御部50は、このチャージ要求に基づいて、リーダライタ部31を介してチャージ額に相当する電子マネー情報をマネーカードMCに書き込むとともに、取引年月日、マネーカードMCのID番号、チャージ金額、残高等からなるレシートデータを作成する。
その後、チャージが終了すると、主制御部50は、レシート発行が可能である旨の表示(例えば「レシートが必要な場合にはレシート発行ボタンを押して下さい」)を操作画面に表示する。次いで、所定時間内にレシート発行ボタンが選択(タッチ)された場合には、主制御部50は、レシート発行ランプ37を点滅させ、レシートデータをプリンタ33によって印字出力させ、レシート発行口25からレシートを発行するとともに、レシートデータを記憶部に格納する。この後、レシート発行ランプ37を消灯させ、チャージ処理及びレシート発行処理を終了させる。
【0011】
一方、表示部21にレシート発行ボタンを表示させた後、所定時間が経過してもレシート発行ボタンが選択(タッチ)されなかった場合には、主制御部50はレシート発行ランプ37を消灯させて、レシートを発行することなく、処理を終了する。
次に、本実施の形態による電子マネーチャージ機の障害発生時の表示例について図3,図4の表示部に表示される表示画面の一例を示す図を参照して説明する。
すなわち、図3に示すように、電子マネーチャージ機10において、障害が発生すると、主制御部50は、表示部21に「準備中 ただ今お取扱いできません」と表示させる。
この状態において、係員が表示部21(入力部22)の表示画面の文字を長押しすると、図4に示すように表示部21の表示画面をポップアップさせて、例えば、「ID:1001 プリンタ用紙切れです」と障害の詳細を表示させる。
このように、操作表示部の表示部21(入力部22)の表示を長押しすることで、障害発生時の詳細表示を表示できるようにして、係員による障害原因の調査を容易とする。
なお、表示の切り替えを所定時間の長押しにて切り替えるようにしたが、このほか、2度押しなど、通常操作とは異なる押し方で切り替えるようにしてもよい。
また、障害情報も上記例のみではなく、種々の障害情報に対応できるものである。
【0012】
さらに、上述した実施の形態では、本発明の障害表示を電子マネーチャージ機に適用したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態である電子決済処理システムを適用した電子マネーチャージ機の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態である電子マネーチャージ機のブロック図である。
【図3】図1に示した表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【図4】図1に示した表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
10 電子マネーチャージ機
20 操作部
21 表示部
22 入力部
23 マネーカード・携帯電話セット部
24 クレジットカード・デビッドカード挿入口
25 レシート発行口
31 リーダライタ部
32 磁気カードリーダライタ部
33 プリンタ
37 レシート発行ランプ
50 主制御部
50a 記憶部
CC クレジットカード
DC デビットカード
MC マネーカード
PH 携帯電話


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体からの電子マネー情報に基づいて処理を行う制御部と、入力部と表示部とからなる操作表示部と、障害情報を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、障害発生時に前記表示部に表示させるとともに、前記操作表示部を所定時間操作することで詳細表示に切り替えるようにしたことを特徴とする電子マネー処理装置。
【請求項2】
前記操作表示部は、タッチパネルからなり、障害発生時にタッチパネルを所定操作することにより詳細表示に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー処理装置。
【請求項3】
準備中表示を表示部にし、タッチパネルを所定操作することにより詳細表示に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の電子マネー処理装置。
【請求項4】
前記所定操作は、一定時間長押することを特徴とする請求項2または3に記載の電子マネー処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−15738(P2009−15738A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179167(P2007−179167)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】