説明

電子マネー決済装置

【課題】顧客が利用したい電子マネーの種類を、より早く、簡単に選択可能とし、使い勝手の向上をはかる。
【解決手段】決済に用いる電子マネーの種類を顧客に選択させる操作部と、この選択部により選択操作される毎に決済可能な電子マネーの種類を順次切り替え、対応する決済処理プログラムを実行して決済処理を行う制御部13とを備えた電子マネー決済装置であって、制御部13は、決済に使用される電子マネーの種類毎の利用頻度を監視して第1の利用頻度順位情報(記憶部12の作業データ記憶領域12bに記憶)を生成し、操作部2が操作されたときの電子マネーの種類を、第1の利用頻度順位情報にしたがい切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の電子マネーを決済可能な電子マネー決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機等の無人機には、非接触ICカードや携帯電話機等の記憶端末に保持された電子マネーを決済する電子マネー決済装置が搭載されている。このような電子マネー決済装置は、例えば、自動販売機が内蔵する主制御部に接続され、主制御部から金額情報を含む決済指令を受信すると、電子マネーを保持した記憶端末と通信を行い、所望の決済処理を実行する。
【0003】
このような電子マネー決済装置には、例えば、Edy(登録商標)、WAON(登録商標),nanaco(登録商標)等、種類が異なる複数の電子マネーを決済することが出来るものがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、上記した種類の異なる複数の電子マネーを決済することが出来る電子マネー決済装置のカードかざし部が開示されている。図8は、特許文献1に開示された従来の電子マネー決済装置のかざし部の斜視図である。また、図9は、図8に示す電子マネー決済装置10を自動販売機100に搭載した状態を示す図である。
【0005】
図8の電子マネー決済装置10のかざし部には、前面に非接触ICカード等の電子マネー媒体と通信をするためのアンテナが配設された検出部40を備え、その上方には、3個の電子マネー選択釦20が設けられている。3個の電子マネー選択釦20は、電子マネーの種類を選択する釦である。3個の電子マネー選択釦20の上方には液晶ディスプレイからなる表示部30が設けられており、この表示部30には、操作案内や決済する電子マネーの名称(種類)や使用者が所有する電子マネーの残高等の情報が表示される。
【0006】
また、検出部40のLED(Light Emitted Diode)からなる発光部50が略放射状に設けられており、この4個の発光部50は、商品を購入する際に点灯又は点滅し、顧客が所持する非接触ICカードを検出部40の位置に誘導する。また、前面パネルの右下に状態表示ランプ60が設けられている。この状態表示ランプ60は、発光する色の種類を変え、これらを点灯又は点滅することで、使用者や管理者に対して稼動状態を知らせることができる。
【0007】
このような電子マネー決済装置10は、3個の電子マネー選択釦20にそれぞれ1つの種類の異なる電子マネーを割り当て、電子マネーの種類を顧客により直接選択可能なように設定されている。この電子マネー選択釦20が押されると、装置内の記憶部に記憶された種類別の電子マネーを決済するアプリケーションプログラムが起動され、決済可能な状態になる。また、利用できる電子マネーの種類が4以上の場合は、1個の電子マネー選択釦に複数の種類の電子マネーを割り当て、釦を押す度に電子マネーの種類を切り替えるように設定されていた。このとき、電子マネー選択釦により切り替えられる電子マネーの順番は初期に設定された順番になっている。
【0008】
なお、上記した複数の電子マネーを決済出来る電子マネー決済装置10は、例えば、特許文献2に開示されているように、決済する電子マネーの種類に対応する複数の電子マネー決済プログラム(アプリケーションプログラム)が予め電子マネー決済装置10の記憶部に記憶されており、電子マネー選択釦の押下により選択された電子マネーのプログラムが起動されることによって決済が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】意匠登録1391865号公報
【特許文献2】特開2006−301780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一般に、電子マネー決済装置の電子マネー選択釦の数よりも利用出来る電子マネーの種類が多い場合、顧客は、一個の電子マネー選択釦を繰り返し押す操作が必要であるため煩わしく、また、電子マネー選択釦を繰り返し操作するのに時間を要するため、使い勝手が悪かった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、顧客が利用したい電子マネーの種類を、より早く、簡単に選択可能とし、使い勝手の向上をはかった電子マネー決済装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、電子マネー記憶媒体と非接触で通信が可能な非接触リーダライタと、電子マネー記憶媒体に記憶されている複数の電子マネーによるサービスに対応した複数の決済処理プログラムを記憶した記憶部と、決済に用いる電子マネーの種類を顧客に選択させる操作部と、この選択部により選択操作される毎に決済可能な電子マネーの種類を順次切り替え、対応する決済処理プログラムを実行して決済処理を行う制御部とを備えた電子マネー決済装置であって、制御部は、決済に使用される電子マネーの種類毎の利用頻度を監視して第1の利用頻度順位情報を生成し、操作部が操作されたときの電子マネーの種類を、第1の利用頻度順位情報にしたがい切り替えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、制御部により、操作部が操作されたときに切り替わる電子マネーの種類が利用頻度の高い電子マネーの種類が優先的に切り替わるように制御される。したがって、利用頻度の高い電子マネーを所持している顧客ほど電子マネーの種類を選択操作する回数が減少し、利用したい電子マネーの種類をより早く、簡単に選択可能になり、このため、使い勝手が向上する。
【0014】
制御部は、非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、生成された第1の利用頻度順位情報の中で検出された電子マネーの種類についてのみ切り替えるように制御してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、生成された第1の利用頻度順位情報の中で検出された電子マネーの種類に限定され切り替わることにより、顧客が所持していない電子マネーの選択操作が回避されるため、一層の使い勝手向上がはかれる。
【0016】
制御部は、非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、検出された電子マネーの種類に限定して第2の利用頻度順位情報を生成し、操作部が操作されたときの電子マネーの種類を、第2の利用頻度順位情報にしたがい切り替えるように制御してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、検出された電子マネーの種類に限定して生成された第2の利用頻度順位情報にしたがい電子マネーの種類が切り替わることにより、顧客が所持していない電子マネーの選択操作が回避されるため、一層の使い勝手向上がはかれる。
【0018】
制御部は、非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、更に検出されるそれぞれの電子マネーの残高情報に基づき決済が可能な電子マネーの種類を判別し、決済が可能と判別された電子マネーの種類に限定して第3の利用頻度順位情報を生成し、操作部が操作されたときの電子マネーの種類を、第3の利用頻度順位情報にしたがい切り替えるように制御してもよい。
【0019】
かかる構成によれば、生成された第3の利用頻度順位情報に基づき決済が可能と判別された電子マネーの種類に限定して切り替わることにより、決済できない無駄な電子マネーの選択操作が回避されるため一層の使い勝手の向上がはかれる。
【0020】
制御部は、決済に使用される電子マネーの種類毎の利用頻度を監視し、生成される第1、第2、第3の利用頻度順位情報を所定の期間毎に更新するように制御してもよい。
【0021】
かかる構成によれば、利用頻度順位情報が所定の期間毎に更新されるため、顧客は、最新の利用頻度順位情報にしたがい、利用したい電子マネーの種類をより早く簡単に選択可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子マネー決済装置によれば、顧客が利用したい電子マネーの種類を、より早く、簡単に選択可能になるため、使い勝手の向上がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電子マネー決済装置の外観構造を示す図である。
【図2】本発明に係る電子マネー決済装置の実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の基本動作を示すフローチャートである。
【図4】図3における電子マネー決定処理の詳細手順を示す図である。
【図5】図4の続きを示すフローチャートである。
【図6】図3における「電子決済」処理細手順の詳細を示す図である。
【図7】図3における「利用頻度順位情報更新」処理手順の詳細を示す図である。
【図8】従来の電子マネー決済装置の外観構造を示す図である。
【図9】従来の電子マネー決済装置を自動販売機へ搭載した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、漆付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
【0025】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る電子マネー決済装置の外観構造を示す図である。図1によれば、電子マネー決済装置1のかざし部には、前面に、非接触ICカード等の電子マネー記憶媒体(図2の7)と通信をするためのアンテナが配設された検出部4を備え、その上方には、1個の電子マネー選択釦2が設けられている。この電子マネー選択釦2は、電子マネーの種類を選択する釦である。この電子マネー選択釦2の上方には液晶ディスプレイからなる表示部3が設けられており、この表示部3には、操作案内や決済する電子マネーの名称(種類)や使用者が所有する電子マネーの残高等の情報が表示される。
【0026】
また、検出部4のLEDからなる発光部5が略放射状に設けられており、この4個の発光部5は、商品を購入する際に点灯又は点滅し、顧客が所持する非接触ICカードを検出部4の位置に誘導する。また、前面パネルの右下に状態表示ランプ6が設けられている。この状態表示ランプ6は、発光する色の種類を変え、これらを点灯又は点滅することで、使用者や管理者に対し、電子マネー決済装置1の稼動状態を知らせることができる。
【0027】
このような電子マネー決済装置1は、1個の電子マネー選択釦2に複数の種類の電子マネーを割り当て、釦を押す度に電子マネーの種類を切り替えるように設定されている。この電子マネー選択釦2が押されると、装置内の記憶部(図2の15参照)に記憶された種類別の電子マネーを決済するアプリケーションプログラムが起動され、決済可能な状態になる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る電子マネー決済装置の構成を示すブロック図である。ここに示す電子マネー決済装置1は、タイプA、タイプB、タイプC、タイプD、タイプEの5種類の電子マネーの決済が可能な装置である。電子マネー決済装置1は、図1に示した電子マネー選択釦2と、表示部3の他に、非接触リーダライタ部11と、記憶部12と、制御部13と、通信部14とを含み、構成される。
【0029】
非接触リーダライタ部11は、非接触ICカードや携帯電話機等に内蔵される非接触ICチップ等、電子マネー記憶媒体7が、電子マネー決済装置1のかざし部にかざされると、電子マネー記憶媒体7は、電子マネー決済装置1(制御部13)との間で通信を行ない、電子マネー記憶媒体7に記憶された電子的価値情報である電子マネーの値を書き換える。このため、非接触リーダライタ部11は、アンテナ111と、通信モジュール112と、インタフェース(I/F)回路113とにより構成される。
【0030】
周知のように、アンテナ111は、電子マネー記憶媒体7との間で電力およびデータを非接触で伝播させ、通信モジュール112は、電子マネー記憶媒体7をアクセスしてデータをリードライトするための変復調回路であり、I/F回路113は、電子マネー記憶媒体7と制御部13との間を伝播するデータのインタフェースを担う。
【0031】
記憶部12には、アプリケーション記憶領域12aと、作業データ記憶領域14bとが割り当てられ、これら記憶領域12a、12bのそれぞれには、プログラム乃至各種データが記憶される。具体的に、アプリケーション記憶領域12aには、上記した5種類の電子マネーを決済するための、タイプA〜タイプEのそれぞれのアプリケーションプログラムが記憶されている。また、作業データ記憶領域12bには、制御部13により生成される、決済履歴情報120、および利用頻度順位情報121が記憶される。ここで、決済履歴情報120とは、電子マネー決済装置1で利用可能な電子マネー毎の決済数(実績値)であり、利用頻度順位情報121とは、決済数の多い順に電子マネーの種類を並べ替えた順番情報のことである。
【0032】
制御部13は、不図示の自動販売機の主制御部と接続されており、主制御部から金額情報を含む決済要求を受信すると電子マネーの決済処理を実行する。また、不図示の外部に設置された電子マネー管理サーバとは、通信部14、および不図示の通信回線を経由して接続されている。制御部13は、記憶部12のアプリケーション記憶領域12aに記憶された各電子マネーのアプリケーションプログラムを起動することにより、以下に説明する決済処理を実行する。ここで、制御部13が一度に起動できるアプリケーションプログラムは一つである。したがって、例えば、タイプAのアプリケーションプログラムを起動した状態では、タイプAの電子マネーのみを検出できるようになり、タイプAの電子マネーのみ決済できる。換言すれば、タイプAのアプリケーションプログラムの起動時には、タイプB〜タイプEのアプリケーションプログラムを検出できないし、決済も出来ない。
【0033】
制御部13は、決済に使用される電子マネーの種類毎の利用頻度を監視して利用頻度順位情報121を生成し、操作部としての電子マネー選択釦2が操作されたときの電子マネーの種類を、生成された利用頻度順位情報121にしたがい切り替える制御も行う。すなわち、制御部13は、決済に使用される電子マネーの種類毎の決済数を、決済の都度、計数して監視することにより、記憶部12の作業データ記憶領域12bに記憶される決済数を利用履歴情報120として更新し、決済数の多い順に電子マネーの種類を並べ替えた利用頻度順位情報121を生成して作業データ記憶領域12bの所定の領域に記憶する。
【0034】
なお、電子マネー選択釦2は、決済に用いる電子マネーの種類を顧客に選択させる操作部として機能し、ここでは、電子マネー選択釦2を押す毎に、5種類の電子マネーのアプリケーションプログラムが切り替わる。また、液晶ディスプレイからなる表示部3は、起動中の電子マネーのタイプを表示する他、案内等を表示する。
【0035】
(実施形態の動作)
図2に示す本実施形態に係る電子マネー決済装置1の動作について、図3〜図7のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0036】
まず、図3のフローチャートで示す基本動作手順から説明する。本実施形態に係る電子マネー決済装置1(制御部13)は、自動販売機の主制御からの決済指令を持つ待機状態にあるものとして説明する。図3において、電子マネー決済装置1が外部から代金情報を含む決済指令を受信すると(ステップS10“YES)、制御部13は、決済に用いる電子マネー決定処理を実行する(ステップS20)。電子マネー決定処理の詳細は、図4、図5を参照して後述する。
【0037】
ステップS20で電子マネーの種類が決定されると、制御部13は、電子マネーの決済処理を実行し(ステップS30)、決済した電子マネーの決済処理の実行履歴(決済回数)を電子マネーの種類別に計数して監視を行い、電子マネー選択釦3を押した時に切り替わる、電子マネー決済装置1で利用可能な電子マネーの種類の順番を決定するための利用頻度順位更新処理を実行して待機状態に戻る(ステップS40)。各処理ステップの詳細はいずれも後述する。
【0038】
図4、図5のフローチャートを参照しながら、図3に示したステップS20の「電子マネー決定処理」について詳細に説明する。
【0039】
本実施形態に係る電子マネー決済装置1は、自動販売機の主制御部から決済指令を受信することにより動作する。まず、制御部13は、タイマーT1をスタートさせる(ステップS201)。タイマーT1が動いている間、顧客は、電子マネー決済装置1の操作や決済を実行することができる。次に、制御部13は、タイプAからタイプEの電子マネーのアプリケーションプログラムを所定の時間毎に順次起動し、タイプAからタイプEの全ての種類の電子マネーの何れをも検出できる状態に設定する(ステップS202)。ここで、電子マネー選択釦2を押した時に切り替わる電子マネー決済装置1で利用可能な電子マネーの種類の順番、所謂、利用頻度順位情報は、デフォルトで設定されているものを使用する。
【0040】
ここで、電子マネー選択釦2が押下されると(ステップS203“YES”)、制御部13は、記憶部12の作業データ記憶領域12bにデフォルトで設定されている利用頻度順位情報121にしたがい最優先の電子マネーに対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS204)。このとき、起動されるアプリケーションプログラムの種類は表示部3に表示される。次に、制御部13は、起動中のアプリケーションプログラムで決済可能な電子マネーを検出すると(ステップS205“YES”)、タイマーT1をリセットして(ステップS212)、次に決済する電子マネーの種類を決定する(ステップS213)。
【0041】
一方ステップS205の「電子マネー検出処理」で、決済可能な電子マネーを検出できなかった場合(ステップS205“NO”)、制御部13は、電子マネー選択釦2が押下されたか否かを判定する(ステップS206)。ここで電子マネーの選択釦2が押下された場合(ステップS206“YES”)、制御部13は、記憶部12の作業データ記憶領域12bの利用頻度順位情報121に記憶された電子マネーの順番に基づき、次に優先すべき電子マネーのアプリケーションプログラムを起動する(ステップS207)。
【0042】
このアプリケーションプログラムの起動後、あるいはステップS206の「電子マネー選択釦の押下判定処理」で、電子マネー選択釦2の押下が検出されなかった場合(ステップS206“NO”)、制御部13は、タイマーT1が満了(タイムアウト)したか否かを判定する(ステップS208)。ここで、タイムアウトを検出すると(ステップS208“YES”)、制御部13は、タイマーT1をリセットして(ステップS209)、代金未受理であると決定し(ステップS210)、この代金未受理の結果を、自動販売機の主制御部へ通知して待機状態に戻る(ステップS211)。なお、制御部13と自動販売機の主制御部との通信は、有線の通信回線により、例えば、JVMA/VCCS通信仕様に準拠して行われる。
【0043】
一方、ステップS208の「タイマー満了判定処理」で、タイマーT1が未だタイムアウトしていない場合は(ステップS208“NO”)、ステップS205の「決済可能な電子マネー検知処理」に戻る。
【0044】
このように、本実施形態に係る電子マネー決済装置1によれば、制御部13は、ステップS201〜S213の処理を実行することにより、電子マネー記憶媒体7が、かざし部にかざされていない状態で、電子マネー選択釦2が押下された場合に、記憶部12の作業データ記憶領域12bに利用頻度順位情報121として記憶された第1の利用頻度順位情報に基づき、決済する電子マネーの種類を切り替え、対応するアプリケーションプログラムを都度起動するための制御を実行する。このため、電子マネー選択釦2が操作されたときに切り替わる電子マネーの種類が、利用頻度の高い電子マネーの種類が優先的に切り替わるように制御される。したがって、利用頻度の高い電子マネーを所持している顧客ほど電子マネーの種類を選択操作する回数が減少し、利用したい電子マネーの種類をより早く、簡単に選択可能になり、このため使い勝手が向上し、顧客に利便性を提供することができる。
【0045】
一方、ステップ203の「電子マネー選択押下判定処理」で、電子マネー選択釦2が押下されていないと判定された場合(ステップS203“NO)、主制御部13は、顧客が電子マネー決済装置1のかざし部に電子マネー記憶媒体7をかざしたことによる電子マネーを検出したか否かを判定する(図5のステップS214)。ここで、顧客が、電子マネー選択釦2を押す前に電子マネー記憶媒体7をかざしたことによりその電子マネーが検出された場合(ステップS214”YES“)、制御部13は、引き続き検出された電子マネーが複数種類あるか否かを判定する(ステップS215)。ここで、複数種類の電子マネーが検出されなかった場合(ステップS215”NO“)、すなわち、1種類の電子マネーのみ検出された場合は、ステップS212の「タイマーT1リセット処理」へ進む。
【0046】
なお、ステップS214の「電子マネー検出処理」で、電子マネーが検出されなかった場合(ステップS214“NO”)、制御部13は、タイマーT1が満了したか否かを判定する(ステップS226)。ここで、タイムアウトを検出すると(ステップS226“YES”)、制御部13は、タイマーT1をリセットして(ステップS227)、代金未受理であると決定し(ステップS228)、この代金未受理の結果を、自動販売機の主制御部へ通知して待機状態に戻る(ステップS229)。
【0047】
一方、ステップS215の「複数の電子マネー検出処理」で複数の電子マネーが検出された場合(ステップS215“YES”)、制御部13は、決済数に基づく電子マネーの決済履歴から、先に検出された電子マネーの種類に限定して第2の利用頻度順位を決定する(ステップS216)。
【0048】
続いて制御部13は、電子マネー選択釦2が押下されたか否かを判定し(ステップS217)、電子マネー選択釦3が押下されたことを検出すると(ステップS217“YES”)、制御部13は、ステップS216の「利用頻度順位再決定処理」で決定され、記憶部12の作業データ記憶領域12bに利用頻度順位情報121として記憶された第2の利用頻度順位情報に基づき、最優先の電子マネーから対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS218)。電子マネー選択釦3の押下が検出されなかった場合(ステップ217“NO”)は、ステップ230の「タイマー満了判定処理」に進む。
【0049】
次に、制御部13は、タイムアウトを検出すると(ステップS230“YES”)、タイマーT1をリセットして(ステップS231)、代金未受理であると決定し(ステップS232)、この代金未受理の結果を、自動販売機の主制御部へ通知して待機状態に戻る(ステップS233)。
【0050】
制御部13は、ステップS218の「最優先のアプリ起動処理」の後、決済可能な電子マネーを検出すると(ステップS219“YES”)、図4のステップS212の「タイマーT1リセット処理」に進む。一方、決済可能な電子マネーが検出されなかった場合(ステップS219“NO”)、制御部13は、引き続き、電子マネー選択釦2の押下判定を行い(ステップS220)、電子マネー選択釦2が押下されたことを検出すると(ステップS220“YES”)、ステップS216の「利用頻度順位再決定処理」で決定され、記憶部12の作業データ記憶領域12bに利用頻度順位情報121として記憶された第2の利用頻度順位情報に基づき、次に優先される電子マネーに対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS221)。
【0051】
上記のアプリケーションプログラム起動後、又はステップS220の「電子マネー選択釦押下判定処理」で、電子マネー選択釦2の押下が検出されなかった場合(ステップS220“NO”)、制御部13は、タイマーT1の満了判定を行なう(ステップS222)。ここで、タイムアウトを検出すると(ステップS222“YES”)、制御部13は、タイマーT1をリセットして(ステップS223)、代金未受理であると決定し(ステップS224)、この代金未受理の結果を、自動販売機の主制御部へ通知して待機状態に戻る(ステップS225)。
【0052】
このように、電子マネー決済装置1が自動販売機の主制御部から決済指令を受信した状態で、複数種類の異なる電子マネーを読み取った場合、換言すれば、複数の電子マネー記憶媒体7が重ねてかざされた場合や、複数の電子マネーを保持する携帯電話がかざされた場合に、制御部13は、ステップS214〜S233を実行する。このとき、読み取った電子マネーの種類中で決済数が多い利用頻度情報に基づき第2の利用頻度順位情報を生成して記憶部12の作業データ記憶領域12bに記憶し、この第2の利用頻度順位情報に基づき、電子マネー選択釦2が押下されたときに電子マネーの種類を切り替え、都度、対応するアプリケーションプログラムの起動を制御する。したがって、検出された電子マネーの種類に限定して生成された第2の利用頻度順位情報にしたがい電子マネーの種類が切り替われ、このことにより、顧客が所持していない電子マネーの選択操作が回避されるため、一層の使い勝手向上がはかれ、顧客に利便性を提供することができる。
【0053】
なお、ステップS216の「利用頻度順位情報再決定処理」において、制御部13は、決済数に基づく電子マネーの決済履歴から、先に検出された電子マネーの種類に限定して第2の利用頻度順位を決定したが、図4のステップS207で処理された、決済数に基づく電子マネーの決済履歴から生成される第1の利用頻度順位情報の中で検出された電子マネーの種類についてのみ限定してよい。この場合も上記同様、生成された第1の利用頻度順位情報の中で検出された電子マネーの種類に限定され切り替わることにより、顧客が所持していない電子マネーの選択操作が回避されるため、一層、使い勝手の向上がはかれる。
【0054】
また、制御部13が、読み取った電子マネーの種類の中で決済可能な残高を有する電子マネーに限定して、決済履歴から第3の利用頻度順位情報を生成して記憶部12の作業データ記憶領域12bに利用頻度順位情報121として記憶し、記憶された第3の利用頻度順位情報が示す順番に基づき、電子マネー選択釦2が押下されたときに電子マネーの種類を切り替えるようにアプリケーションプログラムの起動を制御してもよい。この場合、生成された第3の利用頻度順位情報に基づき決済が可能と判別された電子マネーの種類に限定して順番が切り替わることにより、決済できない無駄な電子マネーの選択操作が回避されるため、一層の使い勝手の向上がはかれ、顧客に利便性を提供できる。
【0055】
次に、図6のフローチャートを参照しながら、図3に示すステップS30の「電子決済処理」について詳細な説明を行う。
【0056】
図6において、制御部13は、まず、起動したアプリケーションプログラムにしたがい、電子マネー記憶媒体7に記憶された電子マネーから代金を差し引く決済処理を実行する(ステップS301)。そしてその処理が完了すると(ステップS302“YES”)、決済が完了したことを自動販売機の主制御部へ通知して処理を終了する(ステップS303)。
【0057】
決済処理が実行出来なかった場合(ステップS302“NO”)、制御部13は、決済処理を停止して(ステップS304)、代金が受理出来なかったことを自動販売機の主制御部へ通知して処理を終了する(ステップS303)。
【0058】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、図3のステップS40の「利用頻度順位情報更新処理」について詳細説明を行う。ここでは、2つ例示し、図7(a)(b)として、それぞれ示している。
【0059】
図7(a)によれば、図6に示す「電子決済処理」が終了すると、制御部13は、その決済に使用された電子マネーに割り付けられたカウンタを+1加算し(ステップS401)、都度、記憶部12の作業データ記憶領域12bに割り当て記憶されている利用履歴情報120を更新する(ステップS401)。ここで、「カウンタ」とは、本実施形態に係る電子マネー決済装置1で決済可能な電子マネー毎、決済の履歴を監視するために割り付けられるカウンタであり、このカウンタによってカウントされる値が利用履歴情報として示される決済数である。
【0060】
次に、制御部13は、電子マネーの種類毎その決済数を比較し、決済数が多い順に電子マネーの種類を並べ替えて利用頻度順位情報121を生成し(ステップS403)、記憶部12の作業データ記憶領域12bに記憶して待機状態に戻る。なお、この利用頻度順位情報には、決済可能な電子マネーの種類のうち、決済数が多い順に並べられた第1の利用頻度順位情報、非接触リーダライタ1部11で検出された種類が異なる複数の電子マネーに限定して決済数が多い順に並べられた第2の利用頻度順位情報、電子マネーの残高情報に基づき決済が可能な電子マネーに限定して決済数が多い順に並べられた第3の利用頻度順位情報があることは上記したとおりであって、そのいずれを使用してもよい。
【0061】
図7(b)は、所定の期間毎に利用頻度順位情報121を更新する手順を示す。ここでは、一週間を単位に利用頻度順位情報を更新するものとする。図7(b)において、まず、決済処理が終了すると、その決済に使用された電子マネーに割り付けられたカウンタを+1加算し(ステップS411)、都度、記憶部12の作業データ記憶領域12bに割り当て記憶されている利用履歴情報120を更新する(ステップS412)。
【0062】
次に、制御部13は、タイマーにより更新設定時間である1週間が経過したか否かを判定する(ステップS413)。ここで、1週間経過が判定されると(ステップS413“YES”)、制御部13は、電子マネーの種類毎その決済数を比較し、決済数が多い順に電子マネーの種類を並べ替えて利用頻度順位情報121を生成し(ステップS414)、記憶部12の作業データ記憶領域12bに記憶して待機状態に戻る。未だ1週間経過していなければ(ステップS414“NO”)、単に利用履歴情報120を更新しただけで処理を終了する。
【0063】
(実施形態の効果)
以上説明のように、本実施形態に係る電子マネー決済装置1によれば、第1の利用頻度履歴情報にしたがい、電子マネー選択釦2が押下されたときに切り替わる電子マネーの種類が利用頻度の高い電子マネーの種類が優先的に切り替わるように制御されるため、利用頻度の高い電子マネーを所持している顧客ほど電子マネーの種類を選択操作する回数が減少し、利用したい電子マネーの種類をより早く、簡単に選択可能になり、このため、使い勝手が向上する。
【0064】
また、非接触リーダライタ部11により種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、その種類に限定して生成される第2の利用履歴順位情報により、又は検出されるそれぞれの電子マネーの残高情報に基づき決済が可能な電子マネーに限定して生成される第3の利用履歴順位情報にしたがい切り替え制御することで、顧客が所持していない、あるいは無効な電子マネーの選択操作が回避されるため、一層、使い勝手の向上がはかれる。
【0065】
また、決済に使用される電子マネーの種類毎の利用頻度を監視し、生成される第1、第2、第3の利用頻度順位情報を所定の期間毎に更新するように制御してすることで、利用頻度順位情報が所定の期間毎に更新されるため、顧客は、最新の利用頻度順位情報にしたがい、利用したい電子マネーの種類をより早く簡単に選択可能になる。
【0066】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0067】
1・・電子マネー決済装置、2・・電子マネー選択釦(操作部)、3・・表示部、4・・検出部、5・・発光部、6・・状態表示ランプ、11・・非接触リーダライタ部、12・・記憶部、13・・制御部、14・・通信部、12a・・アプリケーション記憶領域、12b・・作業データ記憶領域、120・・決済履歴情報、121・・利用頻度順位情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー記憶媒体と非接触で通信が可能な非接触リーダライタと、前記電子マネー記憶媒体に記憶されている複数の電子マネーによるサービスに対応した複数の決済処理プログラムを記憶した記憶部と、決済に用いる電子マネーの種類を顧客に選択させる操作部と、この選択部により選択操作される毎に決済可能な電子マネーの種類を順次切り替え、対応する決済処理プログラムを実行して決済処理を行う制御部とを備えた電子マネー決済装置であって、
前記制御部は、
前記決済に使用される前記電子マネーの種類毎の利用頻度を監視して第1の利用頻度順位情報を生成し、前記操作部が操作されたときの前記電子マネーの種類を、前記第1の利用頻度順位情報にしたがい切り替えることを特徴とする電子マネー決済装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、前記生成された第1の利用頻度順位情報の中で前記検出された電子マネーの種類についてのみ切り替えることを特徴とする請求項1記載の電子マネー決済装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、前記検出された電子マネーの種類に限定して第2の利用頻度順位情報を生成し、前記操作部が操作されたときの前記電子マネーの種類を、前記第2の利用頻度順位情報にしたがい切り替えることを特徴とする請求項1記載の電子マネー決済装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記非接触リーダライタにより種類の異なる複数の電子マネーが検出された場合、更に検出されるそれぞれの電子マネーの残高情報に基づき決済が可能な電子マネーの種類を判別し、前記決済が可能と判別された電子マネーの種類に限定して第3の利用頻度順位情報を生成し、前記操作部が操作されたときの前記電子マネーの種類を、前記第3の利用頻度順位情報にしたがい切り替えることを特徴とする請求項1記載の電子マネー決済装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記決済に使用される前記電子マネーの種類毎の利用頻度を監視し、前記生成される前記第1、前記第2、前記第3の利用頻度順位情報を所定の期間毎に更新することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電子マネー決済装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133566(P2012−133566A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284823(P2010−284823)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】