説明

電子メール作成装置

【課題】 受信者の使用する端末やサービスに応じて、送信者側のメール作成環境を変化させ、発信者の意図した文章を受信者に送信する。
【解決手段】 送信先の名前、アドレス、入力フォーム、文字テーブル、受信側端末が受信可能な最大文字数、メールの種別が記憶されたアドレスリストを表示部4に表示する。アドレスが選択されたら、対応する入力フォーム、文字テーブル、最大文字数をバッファメモリ11に読み出し、入力フィールド作成部12は、入力フォームに従ってメール本文を入力するための入力フィールドを作成し表示部4に表示する。メール作成部13は、入力された文字が、文字テーブルに存在するか否かを判定し、最大文字数まで、入力フィールド内に描画し表示する。メール送信指示を受けた後、メール送信部17は、アドレスリストのメール種別を参照し、作成されたメールをメール種別に応じて信号変換し、モデム5を介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークに接続された情報端末に適用され、インターネットメール、ショートメールなどの電子メールを作成する電子メール作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子メールシステムでは、電子メールのメール本文は、宛先に関わらず作成された文書が、そのまま受信者の端末やメールボックスに送られる構成となっている。このため、受信者がモバイル端末やメール対応携帯電話等で受信したメールを読む際には、メール発信者の意図しない箇所で改行されたり、読めない文字が混在して意味が通じないことがあった。また、例えば、記号を組み合わせて作成した絵文字等を表示する場合には、受信者の使用する端末の1行に表示可能な文字数の制限等により発信者の意図したとおりに表示されるとは限らなかった。これに対し、特開平5−153159号公報において、メール発信者が意識せずにメール用文書を作成しても、宛先側でサポートしているボディ形式に自動的に変換するシステムが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平5−153159号公報記載の電子メールの宛先別ボディ変換システムでは、自動的にメール本体を異機種の情報処理機器間で受け取り可能な形式のボディに変換するだけであり、メール受信者の画面表示サイズ等は一切考慮されておらず、メール発信者の意図しない箇所で改行されたりする問題が残っている。特に、記号を組み合わせた「絵文字」などを表現する際には、絵文字が再生されず、元の意味を失うおそれがある。本発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、例えば受信者の使用する端末やサービスに応じて、送信者側のメール作成環境を変化させ、発信者の意図した文章を受信者に送信することができる電子メール作成装置を提供することを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の電子メール作成装置は、送信したい本文を入力する手段と、表示サイズの異なる複数の入力フォームを記憶する入力フォーム記憶手段と、電子メールの作成時に前記入力フォーム記憶手段に記憶された入力フォームにより前記本文を電子メールとして作成する手段と、該作成手段により作成された電子メールを表示する表示手段を備え、受信者の端末に応じた入力フォームを発信者に提供し、自分の意図した通りに表示した本文を確認した上で受信者に送信することができるようにしたものである。さらに、本発明の電子メール作成装置は、前記電子メールの送信先アドレスと前記入力フォームを対応付けて記憶するアドレス記憶手段を備え、発信者が受信側のメール環境を指定しなくても、受信側端末に応じた入力フォームを使用することができるようにしたものである。さらに、本発明の電子メール作成装置は、各受信側端末が表示できる文字の文字テーブルを格納した文字テーブル記憶手段を備え、電子メール作成時に前記文字テーブルに含まれない文字の入力を禁止し、受信側端末が表示できない文字の送信を防ぐようにしたものである。さらに、本発明の電子メール作成装置は、前記電子メールの送信先アドレスと前記文字テーブルを対応付けて記憶するアドレス記憶手段を備え、発信者が受信側のメール環境を指定しなくても受信側端末に応じた文字テーブルを使用することができるようにしたものである。さらに、本発明の電子メール作成装置は、各受信側端末が受信可能な最大文字数を格納した最大文字数記憶手段を備え、メール作成時に最大文字数記憶手段に格納された文字数を超える入力を禁止することにより、受信側端末が受信できないメールの送信を防ぐようにしたものである。さらに、本発明の電子メール作成装置は、前記電子メールの送信先アドレスと前記最大文字数を関連付けて記憶するアドレス記憶手段を備え、発信者が受信側のメール環境を指定しなくても受信側端末に応じた最大文字数を使用することができるようにしたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の電子メール作成装置の一実施例を示すブロック図である。1は、フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブなどで構成される外部記憶装置であり、受信側端末に応じて用意された複数のメール本文の入力フォームを格納する入力フォームテーブル1a、受信側端末が表示可能な複数の文字のリストを格納した文字テーブル1b、送信先のアドレス、名前、アドレスに対応する入力フォーム、アドレスに対応する文字テーブル、受信側端末が受信可能な最大文字数、メールの種別を対応させて記憶するアドレスリスト1cから構成される。
【0006】2は、ROM、EEROMからなるメモリーカード、ハードディスク、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−ROM等で構成した記憶媒体からなる外部メディアである。3は、キーボード、マウス等で構成され、アドレスの選択、本文の入力、送信などを指示する入力部である。
【0007】4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PD)などで構成され、作成したメール本文と送信先のアドレス等を入力フォームに合わせて表示する表示部である。5は、ネットワークと接続し、電子メールを送信するモデムである。また、ショートメッセージをトーン信号によって発信することが可能である。10は、メール作成コントローラであり、CPU、ROM、RAM、インターフェースからなるコンピュータで構成される。
【0008】メール作成コントローラ10のうち、11は、外部記憶装置から読み出したデータや処理に必要な変数を格納するバッファメモリである。12は、バッファメモリ11に読み出された入力フォームに応じた入力フィールドを作成する入力フィールド作成部である。13は、入力フィールド作成部12で作成された入力フィールドに表示するためのメール本文を作成するメール作成部である。14は、作成されたメールを描画するための描画部、15は、描画部14で描画されたメールを画像情報として格納するビデオRAMである。16は、ビデオRAM15に格納された画像情報を、表示部4が表示可能な所定の電気信号に変換する映像変換部である。
【0009】17は、作成されたメールを、メール種別に応じて送信指示するメール送信部、18は、メール送信部17で送信指示されたメールを、モデム5を経由してSMTPプロトコルによって送信するSMTP送信部、19は、メール送信部17で送信指示されたメールをトーン発信可能な数字列に変換するコード変換部、20は、コード変換部19で変換されたメールを、モデム5を経由してトーン発信によって発信するトーン発信部である。
【0010】本発明において、表示サイズの異なる複数の入力フォームを選択させ、入力手段より得たメール本文を画面に表示させる制御プログラムを、ROM、EEROMからなるメモリーカード、ハードディスク、フロッピーディスク、CD−ROM等で構成した記憶媒体に記憶させ、汎用の制御プログラムとして構成してコンピュータに読み取らせ、コンピュータをメール作成装置として機能させてもよいことはいうまでもない。
【0011】図2は、本実施例のアドレスリストの一例を示す図である。アドレスリストには、送信先の名前、アドレス、アドレスに対応する入力フォーム、アドレスに対応する文字テーブル、受信側端末が受信可能な最大文字数、メールの種別を対応させて記憶されている。アドレスとは、本実施例では、インターネットメールなどの電子メールアドレスもしくは、送信先にショートメッセージ受付センター経由でメッセージを送信するためのショートメッセージ発信センター(各ショートメッセージサービス毎に異なる)の電話番号である。最大文字数については、0と記されているものは、制限がないことを表す。メール種別は、本実施例では、ショートメールとEメールの2種類とする。もちろん、これにより、本発明で利用可能なメール種別を限定するものではない。
【0012】図3は、本実施例の入力フォームテーブルの一例を示す図である。入力フォームテーブルには、受信側端末が表示可能な1行当たりの文字数、行数が格納されており、その格納された入力フォームにより、メール本文作成時の入力フィールドを作成する。使用する入力フォームは、アドレスリストに格納された入力フォームNO.で指定される。図4は、受信側端末が表示可能な文字テーブルの例である。受信側端末で表示可能な文字全てが格納されている。この表に含まれない文字の入力を禁止することで、受信側端末で表示できない文字を送信することを防ぐ。また、文字は、縦の列の数字と横の列の数字の組み合わせで数字化される。例えば、図4の文字テーブルの例では「ム」は42であり、[U」は71であり、「6」は06である。文字テーブルは、受信側端末の環境に応じて、文字テーブル1から文字テーブルn(nは任意)まで複数存在する。
【0013】図5〜図7は、本発明の本実施例に係るメール作成コントローラの処理手順を示すフローチャート図である。以下、これらの図を参照して本実施例のメール作成コントローラの動作を説明する。先ず、図5のフローチャート部分の動作を説明する。メール作成装置起動時、アドレスリスト1cからNO.、名前、送信先のアドレスをバッファメモリ11に読み出す(ステップS101)。そして、読み出したNO.、名前、送信先のアドレスを一覧にして画面に表示する(ステップS102)。次に、ユーザがアドレスを選択するのを待ち(ステップS103、S104)、アドレスが選択されたら、入力フォームテーブル1aから選択されたアドレスに対する入力フォームをバッファメモリ11に読み出す(ステップS105)。入力フィールド作成部12は、バッファメモリ11に読み出された入力フォームを基に、メール本文を入力するための入力フィールドを作成し(ステップS106)、画面に表示する(ステップS107)。次に、選択されたアドレスに対応する文字テーブル1bをバッファメモリ11に読み出す(ステップS108)。選択されたアドレスを変数Adに格納し(ステップS109)、さらに、アドレスに対応する最大文字数をアドレスリスト1cから読み出し、変数C_MAXに格納し、文字カウンタのカウント値Cを0にする(ステップS110)。ステップS110終了後は、図6のステップS201に進む。
【0014】次に、図6のフローチャート部分の動作について説明する。ユーザからの入力を待ち(ステップS201)、入力がメール送信指示か否かが判定され(ステップS202)、YESの場合、図7のステップS301に進み、NOの場合、ステップS203に進む。ステップS203では、メール作成中止指示であるか否かが判定され、YESの場合、メール作成装置の動作を終了し、NOの場合、ステップS204に進む。ステップS204では、文字削除指示があるか否かが判定され、YESの場合、ステップS205に進み、文字カウンタのカウント値Cが0か否かが判定され、C=0であれば(ステップS205でYES)、何もせずにステップS201に戻る。また、文字カウンタのカウント値C≠0であれば(ステップS205でNO)、文字カウンタのカウント値Cの値を1減らし(ステップS206)、文字列Textから最後尾の1文字を削除し(ステップS207)、画面を再描画する(ステップS208)。ステップS208終了後は、ステップS201に戻る。そして、ステップ204で、NOの場合、文字カウンタのカウント値Cと先に格納した変数C_MAXの値を比べ(ステップS209)、C≧C_MAXの時(入力した文字の文字数が最大文字数を超えるとき、ステップS209でNO)、何もせずステップS201に戻る。また、C<C_MAXの時(ステップS209でYES)、入力された文字が文字テーブルにあるか否かを調べ(ステップS210)、ない場合(ステップS210でNO)、何もせずにステップS201に戻る。入力された文字が文字テーブルにある場合(ステップS210でYES)、文字カウンタCのカウント値を1増やし、文字列Textの最後尾に入力した文字を追加し(ステップS212)、再描画する(ステップS213)。ステップS213終了後は、ステップS201に戻る。
【0015】次いで、図7のフローチャート部分について説明する。ユーザからメール送信指示を受けた後(図6R>6のステップS202でYES)、アドレスリストのメール種別を参照する(ステップS301)。メール種別がショートメールであった場合(ステップS302でYES)、文字列Textを、バッファメモリ11に格納された文字テーブルを基に、数字列Numに変換する(ステップS303)。次に、アドレスAdに格納されたショートメッセージ発信センターの電話番号に電話をかけ(ステップS304)、接続後、トーン信号で数字列Numを送信する(ステップS305)。ステップS305終了後は、メール作成装置の動作を終了する。ステップS302において、メール種別がEメールであった場合(ステップS302でNO)、メールのToフィールド(宛先を表すフィールド)にアドレスAdを設定し(ステップS306)、ネットワーク上のSMTPサーバに接続し(ステップS307)、SMTPプロトコルでメールを送信する(ステップS308)。ステップS308終了後は、メール作成装置の動作を終了する。図8は、本実施例における入力フィールド及びメール本文の入力例を示す図である。図8(A)は、図2のアドレスリストのNO.1の例であり、図8(B)は図2のアドレスリストのNO.3の例であり、実線で囲まれた領域が入力フィールドを示している。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、受信者の使用する端末やサービスに応じて送信者側のメール作成環境を変化させ、発信者の意図した文章を受信者に送信することができるので、受信者は、発信者の書いた文章が見にくくなったり、文字が欠けたり、文字化けしたりして、文章の意図が伝わらなかったりすることなくメールを読むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子メール作成装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電子メール作成装置に用いられるアドレスリストの例を示す図である。
【図3】本発明の電子メール作成装置に用いられる入力フォームテーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の電子メール作成装置に用いられる文字テーブルの例を示す図である。
【図5】本発明の電子メール作成装置のメール作成コントローラの処理手順を示すフローチャート図である。
【図6】図5に続くメール作成コントローラの処理手順を示すフローチャート図である。
【図7】図6に続くメール作成コントローラの処理手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の電子メール作成装置の入力フィールド及びメール本文の入力例である。
【符号の説明】
1…外部記憶装置、1a…入力フォームテーブル、1b…文字テーブル、1c…アドレスリスト、2…外部メディア、3…入力部、4…表示部、5…モデム、10…メール作成コントローラ、11…バッファメモリ、12…入力フィールド作成部、13…メール作成部、14…描画部、15…ビデオRAM、16…映像変換部、17…メール送信部、18…SMTP送信部、19…コード変換部、20…トーン発信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 送信したい本文を入力する手段と、表示サイズの異なる複数の入力フォームを記憶する入力フォーム記憶手段と、電子メール作成時に前記入力フォーム記憶手段に記憶された入力フォームにより前記本文を電子メールとして作成する手段と、該作成手段により作成された電子メールを表示する表示手段を備えたことを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項2】 請求項1記載の電子メール作成装置において、さらに前記電子メールの送信先アドレスと前記入力フォームを対応付けて記憶するアドレス記憶手段を備えたことを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項3】 請求項1記載の電子メール作成装置において、さらに各受信側端末が表示できる複数の文字テーブルを格納した文字テーブル記憶手段を備え、電子メール作成時に前記文字テーブルに含まれない文字の入力を禁止することを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項4】 請求項3記載の電子メール作成装置において、さらに前記電子メールの送信先アドレスと前記文字テーブルを対応付けて記憶するアドレス記憶手段を備えたことを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項5】 請求項1記載の電子メール作成装置において、さらに各受信側端末が受信可能な最大文字数を格納した最大文字数記憶手段を備え、電子メール作成時に前記最大文字数記憶手段に格納された最大文字数を超える入力を禁止することを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項6】 請求項5記載の電子メール作成装置において、さらに前記電子メールの送信先アドレスと前記最大文字数を関連付けて記憶するアドレス記憶手段を備えたことを特徴とする電子メール作成装置。
【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子メール作成装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−101105(P2001−101105A)
【公開日】平成13年4月13日(2001.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−282941
【出願日】平成11年10月4日(1999.10.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】