説明

電子写真式印刷装置

【課題】
ベルト状感光体が反りを生じた状態で絶縁性部材に接触しても、感光体ベルトの破損を低減可能で、高信頼性、高印刷品質であり、印刷コストが低い電子写真式印刷装置を提供することことが課題である。
【解決手段】
張架設置されたベルト状感光体と、前記ベルト状感光体を静帯電させるためにその周囲に配置されたコロトロン、またはスコロトロンを有する電子写真式印刷装置において、前記ベルト状感光体の端部と前記コロトロン、または前記スコロトロンの間に、繊維状である絶縁性部材を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機などの電子写真装置に用いられる、ベルト状感光体を帯電させる為に用いられる電子写真式印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト状感光体を使用した従来の電子写真式印刷装置の例を図6、図7、図8、図9に示す。図6は全体概略構成図、図7はスコロトロン式帯電器の断面図(図6中のA−A断面図)、図8はコロトロン式転写器の断面図(図6中のB−B断面図)、図8はコロトロン式除電器の断面図(図6中のC−C断面図)である。
【0003】
図6において、ベルト状感光体1は、ベルト駆動ローラ2とテンションローラ3によって張架されており、ベルト駆動ローラ2を回転させることによってベルト状感光体1は移動する。この電子写真式印刷装置において、印刷は次のように行われる。スコロトロン式帯電器4のワイヤ5には、−8〜−4kvの電圧が印加されており、グリッド6には−1000〜−300vの電圧が印加されている。ベルト状感光体1の端部と対向する部分には絶縁性部材19が配置されている。このような電圧が印加されたスコロトロン式帯電器4がベルト状感光体1に負の電荷を付与することによって、ベルト状感光体1は負の電位に帯電し、次にLEDプリントヘッド7が、印刷データに従ってベルト状感光体1に光を照射し、光が照射された部分の電荷が除去され、ベルト状感光体1に潜像が形成される。現像装置8は負に帯電したトナー9を潜像が形成された部分に付着させて現像する。コロトロン式転写器10のワイヤ11には、+4〜+8kvの電圧が印加されており、このような電圧を印加されたコロトロン式転写器10は、搬送装置12、定着装置14によって搬送される連続紙13に正の電荷を付与し、連続紙13が正の電位に帯電するとベルト状感光体1上のトナー9は連続紙13から静電気力で引きつけられ、連続紙13に転写される。また、ベルト状感光体1の端部と対向する部分には絶縁性部材20が配置されている。連続紙13に転写されたトナー9は、定着装置14によって連続紙13に定着される。一方、転写後のベルト状感光体1と転写後に残ったトナー9は、コロトロン式除電器15とLEDアレイ16が照射する光によって除電され、転写後に残ったトナー9は、清掃装置17によって清掃される。コロトロン式除電器15のワイヤ18には、AC3〜6kvの電圧が印加されている。ベルト状感光体1の端部と対向する部分には絶縁性部材21が配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−228224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベルト状感光体1は、ポリエチレンテフタレートやポリイミドなどのプラスチック製ベルト上に、有機感光体などの感光体層が形成された構造になっている。このベルト状感光体を製造する場合、感光体を塗布した後、感光体を乾燥させる必要があるが、乾燥した後、感光体は収縮するため、ベルト状感光体1はその端部が反ってしまう。ベルト状感光体1を複数のローラによって張架すると、張架しない場合に比べて反りは少なくなるが、それでもベルト状感光体1の中央部に比べて端部は、0.5〜10mm反ってしまう。図7〜9に示すように、このようなベルト状感光体1を使用した場合、スコロトロン式帯電器4、コロトロン式転写器10、コロトロン式除電器15は、ベルト状感光体1周囲に配置されているため、ベルト状感光体1の端部がスコロトロン式帯電器4のグリッド6やコロトロン式転写器10のワイヤ11、コロトロン式除電器15のワイヤ18に接触したり、コロトロン式転写器10のワイヤ11、コロトロン式除電器15のワイヤ18とベルト状感光体1の設定した距離、グリッド6とベルト状感光体1の設定した距離より近づいてしまう。火花放電を生じてしまうと、電機部品の破損やノイズによる印刷の劣化が生じてしまう。このような、火花放電を防ぐ手段として、ベルト状感光体1とコロトロンおよびスコロトロンとの間に厚さが0.1〜2mmの板状の絶縁性部材19および20および21がそれぞれ配置されている。
【0006】
絶縁性部材19、20、21の材質が硬いと、ベルト状感光体1の端部が絶縁性部材19、20、21に接触した際に、ベルト状感光体1に傷を生じてしまい、ベルト状感光体1の感光体層の剥離により帯電ができなくなるという不具合が発生した。また、剥離した感光体層が印刷物に付着し、印刷品質が劣化するという不具合が生じる。また、さらに印刷を続けた場合、ベルト状感光体1自体が破損し、ベルト状感光体1を交換することにより印刷コストが高くなるという不具合が生じる。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消し、信頼性が高く、高印刷品質であり、印刷コストが低い、電子写真式印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ベルト状感光体の端部とコロトロン、またはスコロトロンの間に、繊維状の絶縁性部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ベルト状感光体1の端部の反りを繊維状の絶縁性部材によって押さえるため、ベルト状感光体の端部がコロトロンやスコロトロンに接触することによる火花放電を防止出来、かつベルト状感光体の端部の損傷を防止できるので、信頼性が高く、かつ印刷品質が良好で、印刷コストが低い電子写真式印刷装置を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明を、実施例で説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明からなる電子写真式印刷装置を図1〜5に示す。図1は全体概略構成図、図2はスコロトロン式帯電器の断面図(図1中のA−A断面図)、図3はコロトロン式転写器の断面図(図1中のB−B断面図)、図4はコロトロン式除電器の断面図(図1中のC−C断面図)、図5は帯電器の斜視図である。図1の電子写真式印刷装置の基本構成と印刷動作は、図6の従来の電子写真式印刷装置と同じである。本発明の実施例で従来の電子写真式印刷装置と異なる点を、図2〜5を用いて説明する。
【0012】
図2において、ベルト状感光体1の端部とスコロトロン式帯電器4のグリッド6の間には、絶縁性部材22が配置されている。
【0013】
図3において、ベルト状感光体1の端部とコロトロン式転写器10のワイヤ11の間には、繊維状の絶縁性部材23配置されている。
【0014】
図4において、ベルト状感光体1の端部とコロトロン式除電器15のワイヤ18の間には、繊維状の絶縁性部材24が配置されている。
【0015】
このように、ベルト状感光体1の端部とグリッド6、ワイヤ11、18の間に、繊維状の絶縁性部材を配置することにより、ベルト状感光体1の端部がグリッド6、ワイヤ11、18に接触したり、近接することがなくなるため、火花放電が発生しなり、電気部品が壊れたり、印刷が停止するという不具合が発生しない信頼性の高い印刷装置を得ることが出来る。また、絶縁性部材22および23および24が繊維状であるのでベルト状感光体1に接触していても、ベルト状感光体1へ傷を生じることが無く、長寿命になり、印刷コストが低くなる。繊維状の絶縁部材としては、アクリルやポリエステル、ナイロン、ポリウレタンを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の電子写真式印刷装置の全体概略構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真式印刷装置の帯電器の断面を示す図である。
【図3】本発明の電子写真式印刷装置の転写器の断面を示す図である。
【図4】本発明の電子写真式印刷装置の除電器の断面を示す図である。
【図5】本発明の電子写真式印刷装置の帯電器の斜視図である。
【図6】従来の電子写真式印刷装置の全体概略構成を示す図である。
【図7】従来の電子写真式印刷装置の帯電器の断面を示す図である。
【図8】従来の電子写真式印刷装置の転写器の断面を示す図である。
【図9】従来の電子写真式印刷装置の除電器の断面を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1はベルト状感光体、2はベルト駆動ローラ、3はテンションローラ、4はスコロトロン式帯電器、5はワイヤ、6はグリッド、7はLEDプリントヘッド、8は現像装置、9はトナー、10はコロトロン式転写器、11はワイヤ、12は搬送装置、13は連続紙、14は定着装置、15はコロトロン式除電器、16はLEDアレイ、17は清掃装置、18はワイヤ、19〜21は絶縁性部材、22〜24は繊維状の絶縁性部材である。
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
張架設置されたベルト状感光体と、前記ベルト状感光体を静帯電させるためにその周囲に配置されたコロトロン、またはスコロトロンを有する電子写真式印刷装置において、前記ベルト状感光体の端部と前記コロトロン、または前記スコロトロンの間に、繊維状である絶縁性部材を配置したことを特徴とする電子写真式印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−215356(P2006−215356A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29196(P2005−29196)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】