説明

電子写真式印刷装置

【課題】装置の大型化、複雑化を招くことなく、簡単な構成で用紙幅方向の印刷幅補正が可能な電子写真式印刷装置を提供する。
【解決手段】LEDを用紙幅方向に複数個配置して同時に複数のビーム光を発振することが可能なLEDアレイ1と、そのLEDアレイ1から発振されたビーム光により感光し潜像を形成する感光体7を備えた電子写真式印刷装置において、前記LEDアレイ1と感光体7の間に、結像位置を同一面に保ったままレンズ全体の光学倍率を連続的に変化させることが可能なズームレンズ群2を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真式印刷装置に係り、特にLEDを用紙幅方向に複数個配置して同時に複数のビーム光を発振することが可能なLEDアレイと、そのLEDアレイから発振されたビーム光により感光し潜像を形成する感光体を備えた電子写真式印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式印刷装置は、光源により感光ドラム上に形成された潜像に、トナーを付着させて現像し、更にトナーを用紙に転写する。用紙に転写されたトナーは、熱や圧力で用紙上に定着した後に出力される。
【0003】
近年印刷スピードの高速化に伴い、短期間での定着が要求されるため、定着部での発熱量の増大が不可欠である。結果として、高温で加熱された用紙は、含水率が低下し、用紙の送り、幅方向両方で縮みが発生する。
【0004】
2台の印刷装置を配置し、前段の第1印刷装置で用紙の第一面(表面)に印刷を行い、その第1印刷装置から排出された用紙を反転装置で表裏反転させた後、用紙を後段の第2印刷装置に送り込み、その第2印刷装置で用紙の第二の面(裏面)に印刷を行うようにした印刷システムが提案され実用化されている。
【0005】
この印刷システムにおいて、少なくとも第1印刷装置が電子写真方式を用いて画像を形成するタイプの印刷装置である場合、用紙上に転写された画像を用紙に定着させるための加熱工程が必須となる。この定着工程での熱作用により、第2印刷装置に送り込まれる用紙は、当初の状態よりも熱収縮してしまうという現象が生じる。用紙が収縮すると、表面印刷時と、裏面印刷時にサイズが異なるため、見苦しい印刷物が生成されてしまう。
【0006】
この熱収縮量は、用紙の厚み、サイズ及び含水率等により異なるため、予測は困難である。このような熱収縮による印刷位置を補正する例として、特開2006−76736号公報に記載されているような提案がある。
【0007】
この提案は、用紙の各頁の予め指定された位置に位置合わせマークを形成して、この位置合わせマークを第2印刷装置のセンサで検知し、検出信号と送り信号を同期するように制御するという方式である。この提案で用紙送り方向の補正は可能となるが、用紙幅方向の補正については考慮されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、装置の大型化、複雑化を招くことなく、簡単な構成で用紙幅方向の印刷幅補正が可能な電子写真式印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、LEDを用紙幅方向に複数個配置して同時に複数のビーム光を発振することが可能なLEDアレイと、そのLEDアレイから発振されたビーム光により感光し潜像を形成する感光体を備えた電子写真式印刷装置において、前記LEDアレイと感光体の間に、結像位置を同一面に保ったままレンズ全体の光学倍率を連続的に変化させることが可能なズームレンズ群を配置したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記ズームレンズ群は、そのズームレンズ群の光学倍率を連続的に変化させることが可能な駆動機構に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第3の手段は前記第2の手段において、前記駆動機構は、用紙幅を検出するセンサと制御装置を有し、前記センサにより検出された用紙幅に合わせて、前記制御装置から発せられる信号を受けて、ズームレンズ群の光学倍率を変化させる機能を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、用紙端を検知するセンサに繋がった駆動装置により、ズームレンズの光学倍率を調整し、LEDアレイから発せられるビーム間隔を拡大、縮小させる事によって、装置の大型化、複雑化を招くこと無く簡単な構成で、用紙両面の印刷幅を補正することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を図とともに説明する。図1は、本発明の実施形態に係る第2印刷装置の一部概略構成図である。
【0014】
図示していないが2台の電子写真式印刷装置を配置し、例えば前段の第1印刷装置で用紙の第一面(表面)に印刷を行い、その第1印刷装置から排出された用紙を反転装置で表裏反転させた後、用紙を後段の第2印刷装置に送り込み、その第2印刷装置で用紙の第二の面(裏面)に印刷を行うようにした印刷システムになっている。
【0015】
図1に示すように、LED(図示せず)を用紙幅方向に複数個配置して同時に複数のビーム光を発振することが可能なLEDアレイ1から出力された複数のビーム光1aは、ズームレンズ群2を経由して、表面が一様に帯電された感光ドラム7上に露光して記録すべき情報に応じた静電潜像を形成する。
【0016】
前記ズームレンズ群2は、そのズームレンズ群2の光学倍率を連続的に変化させることが可能な駆動機構3に取り付けられている。
【0017】
連続紙からなる用紙4の用紙幅方向の両端部には用紙送り用の透孔が連続して規則正しく形成されており、本実施形態ではこの透孔を位置合わせマークとして利用する。図に示すように感光ドラム7の用紙搬送方向上流側には、用紙4の幅方向の両端と対応する位置にフォトセンサ等の用紙端位置検出センサ5,5が配置されている。
【0018】
この用紙端位置検出センサ5,5によって検出された用紙4の用紙端位置信号は、制御装置6に送信される。制御装置6は、受信した位置信号を基に必要な光学倍率を算出し、駆動機構3に制御信号を出力する。駆動機構3はこの制御信号に従い、ズームレンズ群2の光学倍率を変化させる。これによりLEDアレイ1より発せられた複数のビーム光1a間距離は、ズームレンズ2により印刷幅に合わせて拡大、縮小されるため、裏表両面の印刷幅の補正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る電子写真式印刷装置の一部概略構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1はLEDアレイ、1aはビーム光、2はズームレンズ群、3は駆動機構、
4は用紙、5はフォトセンサ、6は制御装置、7は感光ドラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを用紙幅方向に複数個配置して同時に複数のビーム光を発振することが可能なLEDアレイと、そのLEDアレイから発振されたビーム光により感光し潜像を形成する感光体を備えた電子写真式印刷装置において、前記LEDアレイと感光体の間に、結像位置を同一面に保ったままレンズ全体の光学倍率を連続的に変化させることが可能なズームレンズ群を配置したことを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子写真式印刷装置において、前記ズームレンズ群は、そのズームレンズ群の光学倍率を連続的に変化させることが可能な駆動機構に取り付けられていることを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の電子写真式印刷装置において、前記駆動機構は、用紙幅を検出するセンサと制御装置を有し、前記センサにより検出された用紙幅に合わせて、前記制御装置から発せられる信号を受けて、ズームレンズ群の光学倍率を変化させる機能を有することを特徴とする電子写真式印刷装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−126567(P2008−126567A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315663(P2006−315663)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】