説明

電子写真捺染用トナー及び電子写真捺染用液体現像剤並びにそれらを用いる電子写真捺染方法

【課題】 金色又は銀色で画像濃度が高く、高解像の画像が得られる電子写真捺染用トナー及び液体現像剤並びにその電子写真捺染方法を提供することであり、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない電子写真捺染方法を提供すること。
【解決手段】 着色剤を分散させてなり、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用トナー。
また、体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に、着色剤を分散させたトナー粒子を分散させてなり、電子写真方式により捺染布に直接捺染する電子写真捺染法に用いる液体現像剤であって、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用液体現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による捺染用トナー、及び捺染用液体現像剤、並びにそれらを用いる電子写真捺染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
捺染法は、糸、編織物、二次製品等色々な形態の繊維品に適用され、版形式及び機械操作によって凹版を用いるローラ捺染、孔版によるスクリーン、型紙捺染が主流である。スクリーン捺染には手工捺染、半自動スクリーン捺染機、自動走行スクリーン捺染機による捺染、フラット型及びロータリー式自動スクリーン捺染機による捺染などがある。しかし、ローラ捺染は、金属ローラに図柄を彫刻する工程が煩雑でローラの取り扱い等も大変であり、スクリーン捺染は、スクリーンの製造に時間がかかり、捺染作業に手間がかかる等の問題があった。また、ロータリー式スクリーン捺染もスクリーンの製作、ローラの彫刻等に時間がかかる等の問題があった。このように従来からの捺染法はその製作工程が煩雑で、出来上がりまで長期間費やされるため、簡便な捺染法が望まれていた。
【0003】
近年、従来の彫刻製版工程を省略し、短期間で製作が可能なインクジェットを用いた捺染方法(特許文献1、2)が提案されている。特に蛍光色素を用いたものは、特許文献3、4、5などに提案されている。しかし、インクジェットによる捺染方式は、濃度を上げることができない、捺染していくうちに濃度が変化してしまう等の欠点があった。
【0004】
これらの問題を解決するため、電子写真方式を用いた捺染方法が最近開発されている(例えば、特許文献6,7)。この方法は、感光体上に静電潜像を形成し、トナーを付着させ、これを布類に転写し、熱によりトナーを定着させるものである。しかし、この特許文献6、7の電子写真方式による捺染方法は乾式トナーを用いたものであり、トナー層厚が厚いため、肌触りが良くない、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣る、等の問題があった。
【0005】
液体トナーを用いた電子写真方式による捺染法は、特許文献8、9等に提案されている。これは、昇華染料を用いた液体トナーをイオン流により現像し、図柄を転写物に印刷し、これを布類に重ね合せ昇華熱転写するものである。この方法は、肌触り等も自然で、簡便な方法であるが、カラーの場合、2色目に重ねた濃度が出にくい、耐洗濯性に劣る等の欠点があった。また、布の裏面までトナーが染込まず、両面捺染する必要があった。加えて作業が煩雑で、布に転写後、不要になった紙(転写物)がムダになるなどの問題があった。
【0006】
また、金属光沢を与えるものとして、筆記具用インクとしては特許文献10、インクジェット用としては、特許文献11にそれぞれ提案されている。トナー用としては、特許文献12、13、14などに提案されており、ブロンズ粉やアルミ粉を用いたトナーは周知であるが、大半は紙等の印刷用に用いられるものである。また捺染用に用いられる金属光沢インクは帯電特性、トナー特性を持たないインクである。
【0007】
【特許文献1】特開平10−195776号公報
【特許文献2】特許第2995135号公報
【特許文献3】特開2003−96340号公報
【特許文献4】特開平7−278482号公報
【特許文献5】特開平8−226083号公報
【特許文献6】特開平5−27474号公報
【特許文献7】特開平5−33275号公報
【特許文献8】特開平9−73198号公報
【特許文献9】特開平10−239916号公報
【特許文献10】特許第3161161号公報
【特許文献11】特開2001−2605281号公報
【特許文献12】特開2003−207941号公報
【特許文献13】特公平06−73027号公報
【特許文献14】特開平09−160298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、金色又は銀色で画像濃度が高く、高解像の画像が得られる電子写真捺染用トナー、及び電子写真捺染用液体現像剤、並びにその電子写真捺染方法を提供することである。また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない電子写真捺染方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、本発明の(1)「着色剤を分散させてなり、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用トナー」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(2)「体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に、着色剤を分散させたトナー粒子を分散させてなり、電子写真方式により捺染布に直接捺染する電子写真捺染法に用いる液体現像剤であって、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用液体現像剤」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(3)「前記ブロンズ粉の主成分が銅と亜鉛であり、銅50〜95wt%、亜鉛5〜50wt%であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤」、
(4)「前記ブロンズ粉が主成分として銅及び亜鉛を含有し、それ以外にアルミニウム、金、銀、鉛、ニッケル、錫、白金、鉄、マンガン、ジルコニアの少なくとも1種を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤」、
(5)「前記ブロンズ粉、アルミ粉がフレーク状であり、平均粒径が0.1〜18μm、厚さが0.1〜1.5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤」、
(6)「前記ブロンズ粉、アルミ粉が黄色系染料及び/又は蛍光染料を含有していることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤」、
(7)「前記黄色系染料、蛍光染料の含有率が前記ブロンズ粉又はアルミ粉の1〜10wt%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤」、
(8)「前記捺染トナーは樹脂成分を含有し、該樹脂の少なくとも一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂であることを特徴とする前記第(1)乃至第(7)項の何れかに記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤」、
(9)「前記アルカリ可溶性又は水溶性樹脂はその酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする前記第(8)に記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤」、
(10)「前記ブロンズ粉、アルミ粉が、フミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下に水溶性樹脂を用いて混練又はフラッシング処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(11)「前記担体液が、沸点100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(10)項の何れかに記載の電子写真捺染用液体現像剤」、
(12)「前記液体現像剤中のトナー粒子の平均粒径が0.1〜20μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の電子写真捺染用液体現像剤」により達成される。
また、上記課題は、本発明の(13)「前記第(1)項乃至第(12)項の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤を用いて静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、形成された画像を被捺染材に転写させることを特徴とする電子写真捺染方法」、
(14)「感光体上の静電潜像を現像し、中間転写体にトナー像を一次転写後、画像を被捺染材に二次転写することを特徴とする前記第(13)項に記載の電子写真捺染方法」、
(15)「前記二次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする前記第(14)項に記載の電子写真捺染方法」、
(16)「感光体上の静電潜像を現像する際に現像ローラを用い、前記担体液に溶剤を用い、しかも感光体の線速に対してトナーで現像するための該現像ローラの線速が1.2〜6倍であり、かつ過剰溶剤を除去するスクイズローラを用い、しかもその線速が感光体線速の1.2〜4倍であることを特徴とする前記第(13)項乃至第(15)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(17)「前記感光体がタンデム型に配置され、ベルト上に貼りつけた布に像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする前記第(13)項乃至第(16)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子写真捺染用トナー及び電子写真捺染用液体現像剤は、電子写真方式によりダイレクトに捺染するプロセスに用いられるものであり、この方式で金属光沢を出すことができ、捺染の風合、金属分散性、オンデマンド性を解決できる新規なものである。
即ち、本発明の請求項1の電子写真捺染用トナーにより、電子写真方式で着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有するため、オンデマンド性に優れた画像濃度の高い金属光沢色の捺染が可能になる。
また、請求項2の電子写真捺染用液体現像剤により、該液体現像剤で現像を行なうため、請求項1の効果に加えて更に濃度、解像性、転写性において優れる。
また、請求項3の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、前記ブロンズ粉の主成分が銅と亜鉛であり、銅50〜95wt%、亜鉛5〜50wt%の比率で配合されているため、高品質の金属光沢画像を提供できる。
また、請求項4の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、前記ブロンズ粉に、アルミニウム、金、銀、鉛、ニッケル、錫、白金等の金属が含まれるため、酸化防止性、金属光沢性のある高品質の金属光沢画像を提供できる。
また、請求項5の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、ブロンズ粉、アルミ粉がフレーク状であり、平均粒径が0.1〜18μm、平均厚さが0.1〜1.5μmであるため金属光沢性のある高品質の金属光沢画像を提供できる。
また、請求項6の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、黄色系染料、蛍光染料が混合されているため、金属光沢性のある高品質の金属光沢画像を提供できる。
また、請求項7の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、前記黄色系染料、蛍光染料が1〜10wt%混合されているため、金属光沢性のある高品質の金属光沢画像を提供できる。
また、請求項8の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤は、樹脂成分を含有し、該樹脂の少なくとも一部にアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂が含有されているため、風合の良好な高品質の画像を提供できる。
また、請求項9の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであるため、高品質な画像を提供できる。
また、請求項10の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤により、前記着色剤がフミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下に混練又はフラッシング処理されているため、高品質の画像を提供できる。
また、請求項11の電子写真捺染用液体現像剤により、前記担体液が、沸点100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であるため、洗浄工程での問題がなく、高品質の画像を提供できる。
また、請求項12の電子写真捺染用液体現像剤は、そのトナー粒子の平均粒径が0.1〜20μmであるため、高品質の画像を提供できる。
【0011】
また、本発明の請求項13の電子写真捺染方法により、静電潜像を感光体に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を形成させるため、平滑性の悪い布への転写性が良好である。
また、請求項14の電子写真捺染方法により、静電潜像を感光体に現像後、一次転写で中間転写体にトナー像転写後、被記録捺染材に二次転写で画像を形成させるため、平滑性の悪い布への転写性が良好である。
また、請求項15の電子写真捺染方法により、前記二次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むため、請求項14の効果に加えて更に転写性が良好である。
また、請求項16の電子写真捺染方法により、現像行程において感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、スクイズローラの線速が1.2〜4倍であるため、高品質の画像が得られる。
また、請求項17の電子写真捺染方法により、タンデム型に感光体を配置し、ベルト上に貼りつけた布に画像を転写するため、高速で高画質のフルカラー捺染が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、着色剤を分散させたトナー粒子を、電子写真方式により捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、トナー粒子に使用する着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用トナーに関するものである。また特に体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に、トナー粒子を分散させたことを特徴とする電子写真捺染用液体現像剤に関するものである。そして捺染用電子写真装置において、該トナー又は液体現像剤を用いて捺染することにより、高品質の捺染が得られる。
【0013】
(着色剤)
ブロンズ粉は金色捺染用、アルミ粉は銀色捺染用に用いる。
ブロンズ粉は銅と亜鉛を主成分とした合金粉末であり、その配合比によって色が異なる。亜鉛の配合比が増えるに従い銅赤色から黄金色に変化する。亜鉛の比率が35wt%以上になると次第に赤味を帯び55wt%以上になると淡紅灰色から銀白色になる傾向にある。
ブロンズ粉の代表的な組成は銅90wt%、亜鉛10wt%の赤金と呼ばれる5号色、銅75wt%、亜鉛25wt%の青金と呼ばれる7号色である。
良好な金色を出すためには銅50〜95wt%、亜鉛5〜50wt%の比率で配合することが望ましい。
銅、亜鉛の他にアルミニウムを0.3〜1wt%添加するとブロンズ粉の酸化防止になり経時による変色が起こり難くなる。また、必要に応じて金、銀、鉛、ニッケル、錫、白金、鉄、マンガン、ジルコニア等の金属を加えることで、金属光沢感が高まり高品質な金色光沢捺染が得られる。
【0014】
アルミ粉は銀、ニッケル、白金等の金属を加えることにより金属光沢感が高まり高品質な銀色光沢捺染が得られる。
また、ブロンズ粉、アルミ粉に黄色染料や蛍光染料などを混合することにより金属光沢性を更に高めることもできる。
使用できる黄色染料、蛍光染料は布種によっても選択する必要があるが、Disperse Yellow5、Disperse Yellow54、Disperse Yellow56、Disperse Yellow60、Disperse Yellow64、Disperse Yellow160、Disperse Orange13、Disperse Orange30、Disperse Orange13、Solvent Orange5、Solvent Orange45、Reactive Yellow 2、Reactive Orange 13、Direct Yellow44、Direct Orange26、Acid Yellow38、Basic Yellow11、 Basic Yellow28、Basic Yellow40、Basic Yellow51、Basic Orange 22、Basic Orange 30、Fluorescent Brightening Agent54、Fluorescent Brightening Agent135、Fluorescent Brightening Agent162、Fluorescent Brightening Agent260などがある。
これらの黄色染料、蛍光染料の含有率は、ブロンズ粉又はアルミ粉の1〜10wt%が好ましい。
【0015】
ブロンズ粉、アルミ粉はフレーク状であるほうが金属光沢性は高く、平均粒径0.1〜18μm、厚さは0.1〜1.5μmが好ましい。更に望ましくは、平均粒径0.5〜7μm、厚さは0.1〜1.0μmが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると金属同士の連続性が低下し、光沢性が低下する。平均粒径が18μmを超えた場合はトナー粒径も大きくしなければならないため、解像性が低下したり、分散安定性が低下する。
【0016】
ブロンズ粉の代表的な製造方法であるスタンプミルによる製造方法を次に説明する。
【0017】
(溶解鋳造)
原料の銅と亜鉛等の金属を所定の割合に混合し、溶解する。溶湯を小るつぼの底の細孔から滴下し、鉄板ベルトまたは回転円板上で円盤状形状にする。粉砕用原料としては、この他にインゴットの切削片、圧延板、噴霧粉などが粉砕工程にあわせて使用される。
【0018】
(粉砕)
ブロンズ粉を製造する粉砕機としてはスタンプミルが多く用いられているが、ボールミル、アジテータミルなども工程中で使用する。粉砕工程は粗粉砕、中粉砕、微粉砕の3段階に分けられる。原料から薄片にする粗粉砕用のスタンプミルは重い杵で落下距離の大きいものを使用する。均一に良く延ばすためには粗粉砕用のスタンプミルで粉砕を続けるのではなく、軽い落下距離の小さい微粉砕用スタンプミルを使用する。粉砕中には粉の流動を助け、粉相互の凝集を防ぐためにステアリン酸やパルミチン酸などの飽和脂肪酸を粉砕助剤として使用することができる。粉砕助剤の添加量、添加時期がブロンズ粉の品質や生産性に大きく影響する。また粉砕中の熱や湿度もブロンズ粉の品質に影響を与えるので温度や湿度に注意して粉砕する必要がある。
【0019】
ブロンズ粉の配合例は
No.1 銅90wt%、亜鉛10wt%
No.2 銅75wt%、亜鉛24wt%、アルミニウム1wt%
No.3 銅75wt%、亜鉛15wt%、錫5wt%、金5wt%
No.4 銅70wt%、亜鉛15wt%、銀10wt%、アルミニウム5wt%
No.5 銅65wt%、亜鉛25wt%、錫3wt%、銀5wt%、
アルミニウム2wt%
【0020】
アルミニウム粉の配合例は
No.6 アルミニウム98wt%、ニッケル2wt%
No.7 アルミニウム95wt%、銀5wt%
No.8 アルミニウム90wt%、ニッケル5wt%、銀5wt%
などがある。
【0021】
本発明の液体現像剤に使用される担体液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率のものを用いる。例えば、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、エクソール100/140、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(以上エクソンモービル社製)(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコン)、SH200、SH344(東レシリコン)、TSF451(東芝シリコン)などがある。
【0022】
沸点は100〜350℃が望ましい。100℃未満であると転写前に溶媒が揮発しやすく転写性向上の効果が低減したり、臭気、安全性の点や、揮発溶剤蒸気が作業者にとって好ましくない。350℃を超えたものでは、溶剤が揮発しにくく、発色工程で溶剤が除去できず発色特性に問題が生じる。350℃以下であれば、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0023】
また、本発明に併用することが好ましい分散用の樹脂としては
【0024】
【化1】

(式中、RはHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
で表わされるビニルモノマーAと
【0025】
【化2】


(式中、RはHまたはCHを、R2は炭素数が1〜4のアルキル基を表わす。)
で表わされるビニルモノマー、及びビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンより選ばれるモノマーBの各一種ずつもしくは、数種の共重合体や、グラフト共重合体が挙げられる。
【0026】
また、本発明のトナー又は液体現像剤は、樹脂の一部にはアルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させると、発色、水洗工程でトナー中の樹脂が溶解し、布から脱離するため、風合の良好な捺染布が得られる。
発色水洗工程では、100℃前後でスチーミング後、0.1〜2wt%程度のアルカリで処理する場合があり、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させないと、樹脂分が残り、風合を劣化させる原因となるが、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させることにより、発色水洗工程で樹脂が離脱し、風合の良好な捺染が得られる。
【0027】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂としては、水溶性メラミン樹脂、水溶性ロジン変性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、キトサン等がある。
商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
【0028】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂は、その酸価は0〜2000mg/KOHであることが望ましく、2000mg/KOHより高いと帯電性に問題が生じ、現像特性が低下したり経時安定性が低下する。
【0029】
特に、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂と金属粉をフラッシング処理した場合は画像面で優れた現像剤が得られる。
ここでフラッシング処理とは、金属粉を水に溶かした含水液に、更に樹脂分散媒を加え、フラッシャーと呼ばれるニーダー中で良く混合し、金属粉のまわりに存在する水を後から添加される樹脂分散媒によって置換する処理をいう。
この操作により取出される水を排出し、樹脂溶液中に金属粉が分散された状態とし乾燥させて、溶剤を除去し、得られた塊を粉砕することにより金属/樹脂混合物の粉末が得られる。
フラッシングする際の金属粉と樹脂の割合は、樹脂100重量部に対して金属粉10〜60重量部が適当である。フラッシング処理には、フミン酸、フミン酸塩(Na塩、NH塩など)またはニトロフミン酸等のフミン酸誘導体の存在下に行なうのが特に有利である。これら添加されるフミン酸類の量は、金属粉含水液の0.1〜30wt%程度が適当である。
フミン酸、フミン酸塩、フミン酸誘導体の構造はスフェロコロイド状で各種芳香環が架橋結合し、複雑な構造を形成している。これらの骨格に各種の側鎖や活性基が結合している。活性基の主なものはカルボキシル基およびフェノール基である。構造式としては、C78525(COOH)8(OH)7(CO)2、C484410(COOH)8(OH)6(CO)4(NH23(NOH)等がある。これらの効果としては、金属紛、着色剤、樹脂の分散を高めることである。
【0030】
本発明の乾式トナーの平均粒径は3〜20μmが望ましく、3μm未満ではチリが生じ、20μmを超えると色彩、解像性が悪くなる場合がある。また液体現像剤のトナー粒子の平均粒径は0.1〜20μmが望ましく、0.1μm未満では、充分な濃度が得られない場合やニジミが発生しやすくなる場合があり、20μmを超えると、色彩、解像性、分散安定性が悪くなる場合がある。本発明におけるトナー粒子とは金属粉と樹脂からなるものである。
【0031】
本発明の転写圧は、図1に示す装置の場合は軽い接触で転写させるため、0.1kg/cm以下が適性である。
図2に示す装置は転写ローラで圧力をかけるため、0.1〜3kg/cmが好ましい。0.1kg/cm未満では転写性が低下し、3kg/cmを超えると感光体や感光体軸に負担がかかり装置の耐久性に影響がでる。
図3に示す装置では、二次転写圧は0.1〜20kg/cmが好ましい。中間転写部材があるため転写圧を上げても装置の耐久性には余裕度が出るが、転写溶媒が減少するため転写圧を高める必要があったり、溶媒を吹きかけたりする必要が生じる。なお、一次転写圧は0.1〜3kg/cmが好ましい。
感光体に現像後、転写ローラで0.1〜3kg/cmをかけ転写した場合、平滑性の悪い被転写体の場合でも転写性が向上し濃度の高い画像が得られる。
【0032】
また、中間転写体を用いて転写する場合も、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。中間転写体は体積抵抗1×10〜1×1010Ω・cm、望ましくは1×10〜1×10Ω・cmが良好である。抵抗が低すぎたり、高すぎたりすると転写性が低下する。材質はシリコーンゴムやヒドリンゴムが好ましく、表面にフッソコート層のような離型層があることが好ましい。しかし、中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、二次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。
【0033】
中間転写体上のトナー層の固形分が25wt%以上になる場合は、溶媒吹き付けを行なったほうが転写性は向上する。固形分は中間転写ローラ上からサンプリングしたトナーを加熱減量試験法で求めることができる。
吹き付ける溶媒の種類は担体液に用いる溶媒と同一のものが良好である。
吹き付け方法は噴霧法が最も良好であるがコーティングローラによる塗布も可能である。
吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm程度が良好である。
【0034】
また、捺染の場合、濃度を向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。スクイズにより、スクイズ後の感光体上トナー層の固形分が10〜30wt%程度になるようにすることが望ましい。スクイズが甘すぎると液ダレ、地汚れ、画像流れが生じ易くなる。スクイズ過剰になると必要なトナー層まで掻き落としてしまい濃度が下がったり、転写に必要な溶媒量が減少し転写性が低下したりする傾向にある。
【0035】
現像ローラの線速は感光体の1.2〜6倍が好ましい。現像ローラの線速が感光体線速の1.2倍未満であると現像に必要な液だまりが形成されないため、現像されない場所ができたり、液ダレが生じたりする。6倍を超えると液の掻き落とし力が高まり、画像が薄くなったりする。
また、スクイズローラの線速は感光体線速の1.2〜4倍が好ましい。スクイズローラの線速が1.2倍未満ではスクイズ効果が少なく液ダレや地汚れが起き易くなり、4倍を超えるとスクイズ効果が強すぎ濃度低下、転写不良につながる。
【0036】
本発明は、電子写真捺染用トナーである乾式トナーにおいても有効である。特開平5−27474号公報に記載の技術は、柔軟な樹脂を用いることにより風合を向上させているが限界がある。本発明は水溶性の樹脂を用いることにより、洗浄工程で樹脂そのものを除去することで本来の捺染の風合を確保できる。
使用する樹脂は、乾式トナーの場合は保存性の点から軟化点70〜170℃が望ましい。湿式トナーの場合は−20〜120℃が望ましい。
【0037】
次に、図1〜図4に基づいて、本発明の電子写真捺染方法において用いる装置について具体的に説明する。
図1は、本発明の電子写真捺染方法のための装置の一例である。帯電電圧付与部材により、感光体に電荷を与え、露光により非画像部の電荷を消去する。感光体はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体等が使用できる。感光体の表面電位は、400V〜1600Vの範囲が良好である。感光体の電荷の残っている潜像を現像ローラから供給される例えば液体現像剤により現像し、スクイズローラで余剰の現像液(液体現像剤)を除去し、転写電圧付与部剤によりトナーの電荷と逆電荷の電圧をかけ被捺染布に転写させる。
現像ローラは感光体と順方向に回転し、スクイズローラは逆方向に回転させ、感光体に対する線速は、現像ローラが1.2倍〜6倍、スクイズローラの線速は1.2倍〜4倍が効果的である。
現像ローラと感光体のギャップは50〜250μm、現像ローラとスクイズローラのギャップは30〜150μmが良好である。転写電圧は500〜4000Vの範囲が良好である。
布に転写されずに感光体に残ったトナーをクリーニングブレード、クリーニングローラで除去後、感光体を除電する。
また、画像部の電荷を消去し非画像部の電荷を残す現像方式でも同様に画像形成できる。
【0038】
図2は、図1の転写電圧付与部材をチャージャー方式からローラ方式にした装置の例である。チャージャー方式に比べ転写時の圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。転写圧は0.1〜3kg/cmが良好である。
【0039】
図3は、図2の装置に中間転写部材を追加した装置の例である。図2の装置よりもさらに高い転写圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。二次転写圧は0.1〜20kg/cmが良好である。なお、一次転写圧は0.1〜3kg/cmが良好である。ただ、中間転写部材への一次転写時にトナー中の溶媒成分が少なくなり、中間転写部材から布への二次転写に必要な溶媒量が少なくなる場合があるため、二次転写前に中間転写部材に溶媒を吹きかける工程を追加すると効果的である。
【0040】
図4は、感光体をタンデム型に配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー捺染を行なう装置の一例である。
【0041】
図5に示すように、図1、2、3、4の電子写真方式の装置で被捺染材である布に転写させた後、乾燥、蒸し工程、発色、洗浄工程、加工工程をラインで流すことも可能である。例えば分散染料を用いた捺染では乾燥、蒸し工程では約130℃で高圧染着するHP法や、約190℃の高温で染着するHT法が通常用いられる。染着後、アルカリ、界面活性材などによるソーピングで樹脂分を除去、洗浄する。従来の有版捺染の場合は、布に過剰な捺染インクが付着しているため、ソーピング、洗浄工程で廃液が多く環境上問題も大きかった。また、インクジェット捺染の場合は、事前に布に前処理を行なっておく必要があり、布前処理工程に時間がかかったり、経時で布が変色したりする問題があった。これに対し本発明は、必要十分な染料をダイレクトに布に捺染を行なうため、捺染工程が簡便になるだけでなく、環境上にも大きな利点がある。
【0042】
図1〜4の装置において転写する布(被捺染材)の搬送には、布の延びやしわなどの変形が起こらないように工夫することが望ましい。本発明に最も適した布搬送方法は、布搬送ベルト上に布を貼りつけて搬送する方式である。布の貼りつけは搬送ベルト上に感圧接着剤等をあらかじめコーティングすることで行なうことができる。
【0043】
電子写真捺染用トナーは、着色剤、樹脂、帯電制御剤を混合し、ブスコニーダなどの混練機で混練後、粗粉砕、微粉砕し所定の粒径になるように粗紛、微紛をカットして得られる。
また、着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い濃縮トナーを調製し、これを本発明の担体液中に分散させることにより、電子写真捺染用液体現像剤である現像液を得ることができる。
【0044】
被捺染材は、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、コットン、麻、ナイロン、絹、レーヨン、羊毛など繊維からなる布地が使用できる。
また、金属紛と一緒に用いる黄色染料、蛍光染料は、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロンなどの合成繊維からなる布地の場合は分散染料が、アクリルの場合は塩基性染料、コットン、麻等のセルロース系布地の場合は反応性染料、直接染料が、ナイロン、レーヨンなどの布地は直接染料は、絹、羊毛などの布地は酸性染料が、それぞれ望ましい。
【実施例】
【0045】
次に本発明を実施例に基づいて説明する。なお「部」及び「%」はいずれの重量基準である。
【0046】
(実施例1)
配合例1のブロンズ粉(銅90%、亜鉛10%) 50部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
110部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 60部
水溶性樹脂 ポバール(PVA)(クラレ) 60部
アイソパーH 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH 1Lを混合した現像剤により図1の装置(0.1kg/cm以下で調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0047】
(実施例2)
配合例4のブロンズ粉 (銅70%、亜鉛15%、銀10%、
アルミニウム5%) 20部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)
(ニュクレル)(三井・デュポン) 40部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 70部
荷電制御剤(サリチル酸誘導体の金属錯体) 2部
をブスコニーダで混練、冷却後パルペライザーで粗粉砕しジェットミルで粉砕後分級し平均粒径7.9μmの乾式トナーを得た。布を紙に張り付け、このトナーを用いリコー乾式プリンタImagioで電子写真捺染を行なった。
【0048】
(実施例3)
配合例2のブロンズ粉 (銅75%、亜鉛24%、アルミニウム1%) 50部
DisperseYellow160 1部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 20部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 80部
ニトロフミン酸 3部
を、ニーダ混練、フラッシング処理した。
上記フラッシング混練物 70部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
100部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(ナフテン酸マンガン) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH 1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0049】
(実施例4)
配合例6のアルミ粉(アルミニウム98%、ニッケル2%) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 25部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 80部
ニトロフミン酸 3部
を、ニーダ混練、フラッシング処理した。
上記フラッシング混練物 70部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
100部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(オクチル酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH 1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0050】
(実施例5)
実施例3の分散媒をアイソパーHからシリコーンオイル(KF−96 2cst)に変えた以外は全て実施例2と同様にして濃縮トナーを作成した。
この濃縮トナー100gとシリコーンオイル(KF−96 2cst)1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0051】
(実施例6)
配合例7のアルミ粉(アルミニウム95%、銀5%) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)
(ニュクレル)(三井・デュポン) 5部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 95部
を、混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーM 1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0052】
(実施例7)
配合例5のブロンズ粉(銅65%、亜鉛25%、錫3%、銀5%、
アルミニウム2%) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂アイオノマー)
(ハイミラン)(三井・デュポン) 95部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 5部
を、混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)
共重合体のアイソパーH20%溶液 120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとエクソールD30 1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0053】
実施例1〜7の捺染布をスチーミング、ソーピングなどそれぞれの繊維に適切な後処理を行なった。染着処理は次のように行なった。実施例1〜5、7〜11、比較例1、2はプリントされた布地を130℃、蒸気0.2Mpaの環境に30分間入れ、洗剤で良く洗浄し、捺染サンプルを作成した。実施例6は2%の珪酸ソーダをプリント面に塗布した後、20時間放置し2%濃度のアニオン系界面活性剤を用い80℃で5分ソーピング処理を行ないサンプルを作成した。後記する評価を行ない、その結果を表1に示す。
また、チャージ転写(転写圧0.1kg/cm以下)の図1の装置、中間転写体を取り付けた図3の装置(0.1〜20kg/cmで調整された二次転写圧)で実施例3のトナーを用いて捺染を行なった実施例8、9、更に実施例3のトナーを用いて二次転写前に中間転写ローラ上の画像にアイソパーHを0.3mg/cm吹きかけた実施例10を同様に評価した。その結果を表1に示す。実施例10は、転写率が上がり画像濃度が向上した。
【0054】
(実施例11)
配合例2のブロンズ粉(銅75%、亜鉛24%、アルミニウム1%) 50部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 20部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 80部
ニトロフミン酸 3部
を、ニーダ混練した。
上記ニーダ混練物 70部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
100部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置(0.1〜3kg/cmで調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0055】
(比較例1)
ディスパースイエロー54 35部
ディスパースレッド152 5部
ソルベントレッド168 10部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
110部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)(エバフレックス)
(三井・デュポン) 120部
アイソパーH 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図1の装置(0.1kg/cm以下に調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0056】
(比較例2)
銅粉 50部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/
グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体の
アイソパーH20%溶液 110部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 120部
アイソパーH 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図1の装置(0.1kg/cm以下に調整された転写圧)で電子写真捺染を行なった。
【0057】
実施例11、及び比較例1,2の捺染布について、実施例1〜10と同様に評価し、その結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
評価方法及び評価基準を下記に示す。
・画像濃度は金属光沢用カラーテクノシステムJX888により測定した。
・地汚れは地汚れ段階見本布による5段階評価を行なった。
5:最良、1:最悪
・風合は風合段階見本布による下記の5段階評価を行なった。
5:布のみと同程度の柔らかさ
4:柔らかい、
3:中程度
2:やや硬い
1:硬い
・トナーの平均粒径は島津製作所SA−CP3により測定した。
・解像性は、段階見本による5段階評価を行なった。
5:最良、1:最悪
・転写率はテープ剥離法による濃度から、下記式により算出した。
【0060】
【数1】


・金属光沢性は目視により評価を行なった。
○:印刷レベルの金属光沢性
△:僅かに金属光沢が認められる
×:金属光沢なし
・光沢度は光沢度計により測定を行なった。
【0061】
上記表1に示す結果より明らかなとおり、本発明の電子写真捺染用トナー、または電子写真捺染用液体現像剤を用い、本発明の電子写真捺染方法で、布に捺染することにより、地汚れがなく、風合もよく、転写率が高く、画像濃度が高く、高解像で、しかも金属光沢性のある捺染布が得られた。
【0062】
即ち、実施例1〜11のものは、比較例1,2のものに比べて諸特性に優れていることが分かる。
具体的には、実施例1は樹脂をボールミルで分散しながら着色剤に吸着させているため、濃度的にはあまり高くでない(樹脂に包まれていない裸の着色剤が存在するため帯電性の点でもあまりよくない。)。この点、樹脂と着色剤を予めフラッシング処理し、黄色系染料が含有されている実施例3は濃帯電性、濃度の点でも良好である。実施例5は分散媒がシリコーンオイルのため、分散性が低下し(粒径が大きくなり)、実施例3の脂肪族炭化水素よりも、濃度が低くなる。実施例6は水溶性樹脂が95%のため風合は良好であるが濃度的には低下する。実施例7は水溶性樹脂が5%と少ないため濃度は高いが風合は低下する。実施例11はニーダ混練で黄色系染料が含有されていないため濃度、光沢性がやや落ちる。
規定量の水溶性樹脂をブレンドした樹脂によりフラッシング処理し、黄色系、蛍光染料を適量含有させ、脂肪族炭化水素溶媒で分散した液体トナーが品質的に良好である。
非水溶性樹脂と水溶性樹脂との比率は9/1〜1/9、望ましくは5/5〜2/8が好ましい。
比較例1の現像剤は有機顔料の配合で金色を出しているため金属光沢性が低い。
比較例2の現像剤は本発明以外の金属粉を使用しているため金属光沢性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の電子写真捺染方法のための装置の一例を示した図である。
【図2】図1の転写電圧付与部材をチャージャ方式からローラ方式にした装置の例を示した図である。
【図3】図2の装置に中間転写部材を追加した装置の例を示した図である。
【図4】感光体をタンデム型に配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー電子写真捺染を行なう装置の一例を示した図である。
【図5】電子写真方式による捺染工程を表わしたチャート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を分散させてなり、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用トナー。
【請求項2】
体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に、着色剤を分散させたトナー粒子を分散させてなり、電子写真方式により捺染布に直接捺染する電子写真捺染法に用いる液体現像剤であって、該着色剤としてブロンズ粉又はアルミ粉を含有することを特徴とする電子写真捺染用液体現像剤。
【請求項3】
前記ブロンズ粉の主成分が銅と亜鉛であり、銅50〜95wt%、亜鉛5〜50wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項4】
前記ブロンズ粉が主成分として銅及び亜鉛を含有し、それ以外にアルミニウム、金、銀、鉛、ニッケル、錫、白金、鉄、マンガン、ジルコニアの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項5】
前記ブロンズ粉、アルミ粉がフレーク状であり、平均粒径が0.1〜18μm、厚さが0.1〜1.5μmであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項6】
前記ブロンズ粉、アルミ粉が黄色系染料及び/又は蛍光染料を含有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項7】
前記黄色系染料、蛍光染料の含有率が前記ブロンズ粉又はアルミ粉の1〜10wt%であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項8】
前記捺染トナーは樹脂成分を含有し、該樹脂の少なくとも一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項9】
前記アルカリ可溶性又は水溶性樹脂はその酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする請求項8に記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項10】
前記ブロンズ粉、アルミ粉が、フミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下に水溶性樹脂を用いて混練又はフラッシング処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の電子写真液体捺染用トナー又は液体現像剤。
【請求項11】
前記担体液が、沸点100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする請求項2乃至10の何れかに記載の電子写真捺染用液体現像剤。
【請求項12】
前記液体現像剤中のトナー粒子の平均粒径が0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の電子写真捺染用液体現像剤。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかに記載の電子写真捺染用トナー又は液体現像剤を用いて静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、形成された画像を被捺染材に転写させることを特徴とする電子写真捺染方法。
【請求項14】
感光体上の静電潜像を現像し、中間転写体にトナー像を一次転写後、画像を被捺染材に二次転写することを特徴とする請求項13に記載の電子写真捺染方法。
【請求項15】
前記二次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の電子写真捺染方法。
【請求項16】
感光体上の静電潜像を現像する際に現像ローラを用い、前記担体液に溶剤を用い、しかも感光体の線速に対してトナーで現像するための該現像ローラの線速が1.2〜6倍であり、かつ過剰溶剤を除去するスクイズローラを用い、しかもその線速が感光体線速の1.2〜4倍であることを特徴とする請求項13乃至15の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項17】
前記感光体がタンデム型に配置され、ベルト上に貼りつけた布に像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする請求項13乃至16の何れかに記載の電子写真捺染方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−39442(P2006−39442A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222867(P2004−222867)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】