説明

電子写真画像形成方法

【課題】トナーのチリの発生を抑制し、これにより、画像ノイズの発生の抑制された、高い画質の可視画像を形成することのできる電子写真画像形成方法を提供すること。
【解決手段】電子写真画像形成方法は、一様に帯電された静電潜像担持体表面をスポット光により露光することによって当該静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、当該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって反転現像方式で現像してトナー像を形成するトナー像形成工程と、当該トナー像形成工程において形成されたトナー像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を得る定着画像形成工程とを含み、前記静電潜像担持体上に形成される静電潜像を構成する潜像スポットの径が16〜36μmであり、前記トナーとして、個数基準のメディアン径(D50)が16〜40μmのものを用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によって可視画像を形成する電子写真画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって可視画像を形成する電子写真画像形成方法においては、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するためのトナーとして、種々のものが提案されており(例えば特許文献1〜特許文献3参照。)、形成される可視画像の高画質化が図られてきている。
而して、電子写真画像形成方法は、近年、オンデマンド印刷と称される印刷分野にも用いられてきており、特にこのような印刷分野においては、高精細な写真画像を形成することも要求されているのだが、電子写真画像形成方法によって可視画像を形成した場合には、当該可視画像に画像ノイズが生じてしまう、という問題がある。このような画像ノイズの発生に対して、トナーの小粒径化によって対応をすることが検討されている。
【0003】
しかしながら、画像ノイズが、主として、トナーによって現像されたトナー像を画像支持体に転写する転写過程において、当該画像支持体の表面におけるトナー像の転写された部分以外の領域に飛散して付着したトナーのチリに起因する粒状性のノイズよりなるものであり、小粒径のトナーを用いて可視画像を形成することによっては、転写過程において画像支持体に付着するチリが小さくて目立たなくなるのみであり、従って当該画像支持体の表面を拡大して確認した場合には多量のチリの存在が確認される、すなわち、トナーを小粒径化することによっては、チリの発生自体を抑制することができない、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−323654号公報
【特許文献2】特開平7−301947号公報
【特許文献3】特開平8−190220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、トナーのチリの発生を抑制し、これにより、画像ノイズの発生の抑制された、高い画質の可視画像を形成することのできる電子写真画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子写真画像形成方法は、一様に帯電された静電潜像担持体表面をスポット光により露光することによって当該静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、当該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって反転現像方式で現像してトナー像を形成するトナー像形成工程と、当該トナー像形成工程において形成されたトナー像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を得る定着画像形成工程とを含む電子写真画像形成方法であって、
前記静電潜像担持体上に形成される静電潜像を構成する潜像スポットの径が16〜36μmであり、
前記トナーとして、個数基準のメディアン径(D50)が16〜40μmのものを用いることを特徴とする。
【0007】
本発明の電子写真画像形成方法においては、前記潜像スポットの径と前記トナーの個数基準のメディアン径(D50)との比(潜像スポットの径/個数基準のメディアン径(D50))が0.9〜1.1であることが好ましい。
【0008】
本発明の電子写真画像形成方法においては、前記トナーは、個数基準の粒度分布における変動係数であるCV値が2〜20%であることが好ましい。
【0009】
本発明の電子写真画像形成方法においては、前記定着手段によって定着画像が形成されて排出された直後の画像支持体の表面温度が45〜75℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子写真画像形成方法によれば、静電潜像担持体上に形成される静電潜像を構成する潜像スポットの径を特定の大きさとすると共に、この潜像スポットの径と同等の粒径を有するトナーを選択的に用いることにより、静電潜像を構成する潜像スポットの多くにおいて一の潜像スポットが一のトナーによって現像されることとなり、しかもトナーの粒径が比較的大径とされることから、トナーによって現像されたトナー像を画像支持体に転写する過程において、高い転写率が得られ、それに伴って画像支持体の表面におけるトナー像の転写された部分以外の領域に、トナーが飛散して付着することを抑制することができるため、トナーのチリが付着することを抑制することができ、これにより、トナーのチリの発生に起因する画像ノイズの発生の抑制された、高い画質の可視画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子写真画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の電子写真画像形成方法は、一様に帯電された静電潜像担持体表面をスポット光により露光することによって当該静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、当該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって反転現像方式で現像してトナー像を形成するトナー像形成工程と、当該トナー像形成工程において形成されたトナー像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を得る定着画像形成工程とを経ることにより、画像支持体上にトナー像が定着された定着画像を可視画像として得る方法である。
【0013】
この本発明の電子写真画像形成方法においては、例えば図1に示すような画像形成装置が用いられる。
この画像形成装置は、円筒状の基体の外周面上に導電層および有機感光体(OPC)よりなる光導電体層が形成され、図示しない駆動源からの動力により時計方向に回転される静電潜像担持体である感光体ドラム10と、当該感光体ドラム10の表面に一様な電位を与える帯電手段11と、一様に帯電された感光体ドラム10の表面上に画像データに基づいて露光を行い、露光部分の電位を低下させることによって静電潜像を形成させる露光手段12と、回転する現像スリーブ131を備え、この上に保持されたトナーを感光体ドラム10の表面に搬送し、これにより感光体ドラム10の表面において静電潜像をトナーによって反転現像方式によって現像する現像手段13と、感光体ドラム10の表面において静電潜像がトナーによって現像されることによって形成されたトナー像を画像支持体P上に転写させる転写手段14と、トナー像の転写された画像支持体Pを除電作用によって感光体ドラム10から分離させる分離手段16と、加熱ローラ17Aおよび加圧ローラ17Bを備え、トナー像を画像形成支持体Pに加熱加圧定着する定着手段17とを有する構成とされている。
【0014】
このような画像形成装置においては、先ず、帯電手段11によって感光体ドラム10の表面が一様に帯電され(帯電過程)、この露光手段12によって帯電された感光体ドラム10上に、露光手段12により、露光光源からのスポット光を、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム10の回転軸と平行に走査させ、これにより像露光することによって静電潜像が形成され(露光過程)、感光体ドラム10に形成された静電潜像が現像手段13によって搬送されたトナーによって現像され(現像過程)、このようにして、帯電過程、露光過程および現像過程をこの順に経るトナー像形成工程において、感光体ドラム10上にトナー像が形成される。
次いで、トナー像形成工程において感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、タイミングを合わせて搬送される画像支持体P上に転写手段14により転写され、分離手段16によって感光体ドラム10から分離され(転写過程)、このようにして得られたトナー像の転写された画像支持体Pが、定着手段17において定着され(定着過程)、このようにして、転写過程および定着過程をこの順に経る定着画像形成工程において、定着画像が形成される、すなわち可視画像が形成されることとなる。
【0015】
そして、本発明の電子写真画像形成方法においては、トナー像形成工程の静電潜像担持体上に静電潜像を形成する過程(露光過程)において、静電潜像担持体上に形成される静電潜像の潜像スポットの径が16〜36μmとされる。
【0016】
本発明において、「潜像スポットの径」とは、静電潜像担持体上に形成される静電潜像における潜像スポット(ドット)の大きさを示すものであり、静電潜像担持体の表面に露光光源からスポット光が照射されることによって形成される一のスポット光の露光領域(被照射領域)において、露光強度の最大値の1/10以上の露光強度を有する部分よりなる潜像スポットの静電潜像担持体の軸方向の最大長を示す。
具体的には、例えば潜像スポットが楕円形状である場合において、その潜像スポットの径は、静電潜像担持体の軸方向と垂直な方向、すなわち静電潜像担持体の周方向に伸びる2本の平行な線分によって当該楕円形状の潜像スポットを挟んだ状態における当該2本の線分間の距離によって示される。
【0017】
ここに、露光光源としては、例えば半導体レーザーを備えた走査光学系装置、LEDアレイなどを用いることができ、スポット光の波長は350〜780nmとされる。
【0018】
潜像スポットの径の測定は、静電潜像の形成に用いる露光光源からのスポット光を、当該露光光源が静止した状態において、この露光光源から静電潜像を形成すべき静電潜像担持体と同じ距離だけ離間した位置に設けた、当該静電潜像担持体と同様の表面形状を有する受光素子に照射することによって行われる。
【0019】
さらに、定着画像形成過程の画像支持体上に転写されたトナー像を定着させる定着過程においては、定着手段によって定着画像が形成されて排出された直後の画像支持体の表面温度(以下、「画像支持体の定着表面温度」ともいう。)が45〜75℃であることが好ましい。
この画像支持体の定着表面温度とは、画像形成装置における定着手段から排出された時点における画像支持体のトナー像の定着された、すなわち定着画像の形成された面の温度であり、非接触温度計によって測定される温度である。
【0020】
画像支持体の定着表面温度が上記の範囲にあることにより、用いるトナーの構成材として離型剤を用いずともオフセット現象が発生することがない、という利点がある。
【0021】
また、定着過程においては、定着速度が低速〜中速、具体的には、80〜200mm/分であることが好ましく、また定着圧力が150〜200KPaであることが好ましい。
ここに、定着速度とは、画像形成装置における定着手段を構成する加熱ローラと加圧ロローラとによって形成されるニップ部を、画像支持体が通過する速度である。また定着圧力とは、加熱ローラと加圧ローラとよりなるニップ部において画像支持体に加えられる圧力である。
【0022】
〔トナー〕
本発明の電子写真画像形成方法に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなり、当該トナー粒子が特定の粒径を有するものである。
【0023】
〔トナーの粒径〕
本発明に係るトナーは、その粒径が個数基準のメディアン径(D50)で16〜40μmであることが必要とされるが、好ましくは16〜30μmであり、特に好ましくは21〜30μmである。
個数基準のメディアン径が上記の範囲にあることにより、トナーによって現像すべき静電潜像担持体上の静電潜像の潜像スポットの径と同等の粒径を有するものとなり、この潜像スポットの径との関係から、極めて高い転写効率が得られることとなることから、トナーのチリの発生が抑制されるため、ハーフトーンの画質が向上し、細線やドット画像などの画質が向上する。
【0024】
トナーの個数基準のメディアン径は、個数粒度分布におけるメディアン径であり、「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナーの分散液を調製し、このトナーの分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、個数積算分率の大きい方から50%の粒子径を個数基準のメディアン径とする。
【0025】
また、このトナーの個数基準のメディアン径は、転写過程および現像過程におけるトナーのチリの発生を抑制する観点から、トナーによって現像すべき静電潜像担持体上の静電潜像の潜像スポットの径との関係において、その比(潜像スポットの径/個数基準のメディアン径)が0.9〜1.1であることが好ましい。
【0026】
〔CV値〕
本発明に係るトナーにおいては、比(潜像スポットの径/個数基準のメディアン径)を制御する観点から、個数基準の粒度分布における変動係数であるCV値が2〜20%であることが好ましく、特に好ましくは5〜15%である。
この個数基準の粒度分布における変動係数(CV値)とは、トナーの粒度分布における分散度を個数基準で示すものであり、下記の数式(1)によって算出されるものであり、このCV値が小さくなるほど粒度分布がシャープであることを示し、従ってトナーの大きさが揃っていることを意味する。
【0027】
数式(1):
CV値(%)=個数粒度分布における標準偏差/個数粒度分布におけるメディアン径(D50)×100
【0028】
CV値が上記の範囲にあることにより、トナーの大きさが揃った状態となって微細なドット画像や細線をより高精度で再現することが可能となり、また可視画像として写真画像を形成した場合においては、印刷インクによって作成された画像レベルと同等あるいはそれ以上の高画質を得ることができる。
ここに、本発明に係るトナーにおいては、CV値が20%を超える場合には、形成される可視画像が画像レベルの低いものとなるおそれがある。一方、CV値が2%未満である場合には、本発明の効果(トナーのチリの発生の抑制効果)を得ることはできるが、その生産性が著しく低下してしまう。
【0029】
〔トナーの平均円形度〕
本発明に係るトナーは、転写効率の向上の観点から、下記数式(T)で示される平均円形度Tが0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。平均円形度が小さくなるほど形成される可視画像が画質の低いものとなるおそれがある
この平均円形度は、例えば「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
【0030】
数式(T):
平均円形度T=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
【0031】
〔軟化点温度〕
本発明に係るトナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上であって120℃以下であることが好ましい。
軟化点温度を上記の範囲とすることにより、定着温度が低温の低温定着を弊害を伴うことなく行なうことができるため、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を行なうことが可能となる。
また、定着過程において加えられる熱によって生じる弊害を低減させることができ、その結果、着色剤に大きな負担をかけることなく画像を形成することができるため、形成される可視画像に、より広く安定した色再現性を得ることができる。
なお、トナーの軟化点温度は、例えば(1)樹脂を得るための重合性単量体の種類や組成比を調節すること、(2)静電荷像現像用トナーの製造工程において、例えば樹脂を得る過程に連鎖移動剤を用い、その種類や使用量により、樹脂の分子量を調整すること、(3)離型剤などの構成材料の種類や使用量を調節すること、などによって制御することができる。
【0032】
トナーの軟化点温度は、例えば「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、軟化点温度測定対象のトナーにより、高さ10mmの円柱形状体を形成し、この円柱形状体を、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーによって1.96×10Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより、プランジャーからの降下量と温度との関係を示す軟化流動曲線を得ることによって測定され、降下量5mmにおける温度が軟化点温度とされる。
【0033】
〔結着樹脂〕
本発明に係るトナーを構成する結着樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂を用いることができる。
トナーが粉砕法などによって製造される場合には、例えばスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などを用いることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーが懸濁重合法、乳化重合法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂を得るための重合性単量体として、公知の種々の重合性単量体を用いることができ、重合性単量体としては、例えばビニル系単量体などが挙げられ、またイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。また、重合性単量体として多官能性ビニル系単量体を用いることによっては、架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
【0034】
〔着色剤〕
本発明に係るトナーを構成する着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
また、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0035】
以上の着色剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、着色剤の含有量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
【0036】
着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが好ましく用いることができる。
【0037】
本発明に係るトナーは、必要に応じて、磁性粉、荷電制御剤および離型剤などの内添剤を含有するものとすることができる。
【0038】
〔磁性粉〕
磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを用いることができる。
磁性粉の含有量は、結着樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部である。
【0039】
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
具体的には、正帯電制御剤としては、例えば「ニグロシンベースEX」(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、「第4級アンモニウム塩P−51」(オリエント化学工業社製)、「コピーチャージPX VP435」(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、および「PLZ1001」(四国化成工業社製)等のイミダゾール化合物などが挙げられる。
また、負帯電制御剤としては、例えば、「ボントロンS−22」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンS−34」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−81」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−84」(オリエント化学工業社製)、「スピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等の金属錯体、チオインジゴ系顔料、「コピーチャージNX VP434」(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩、「ボントロンE−89」(オリエント化学工業社製)等のカリックスアレーン化合物、「LR147」(日本カーリット社製)等のホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボン等のフッ素化合物などが挙げられる。負帯電制御剤として用いられる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有するものが挙げられる。
【0040】
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0041】
〔離型剤〕
本発明の電子写真画像形成方法においては、画像支持体の定着表面温度を制御することによって離型剤を用いることなく、オフセット現象の発生を抑制することができるが、本発明に係るトナーにおいては、下記のようなワックスを離型剤として補助的に用いることができる。
ワックスとしては、特に低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、または酸化型のポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスを好適に用いることができる。
【0042】
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
【0043】
〔外添剤〕
本発明の電子写真画像形成方法においては、転写過程において高い転写率が得られるという観点からは、外添剤を用いる必要性がない、あるいは小さいものではあるが、本発明に係るトナーにおいては、外添剤を補助的に用いることができる。
【0044】
外添剤の具体例としては、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これら無機微粒子は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
【0045】
外添剤を構成する無機粒子は、一次粒子径が30nm以下のものであることが好ましい。
無機粒子よりなる外添剤が上記の粒径を有するものであることにより、トナーが、画像形成時において外添剤の遊離が生じにくいものとなる。
【0046】
外添剤の添加量は、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0047】
〔トナーの製造方法〕
本発明に係るトナーを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、混練、粉砕および分級工程を経ることによってトナーを得る粉砕法、重合性単量体を重合させると共に形状や大きさを制御しながら粒子形成を行う、いわゆる重合法(具体的には、例えば懸濁重合法、乳化重合法、ポリエステル分子伸長法など)その他の公知の方法などを挙げることができる。
【0048】
〔現像剤〕
本発明に係るトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄等の強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛等の合金、フェライトおよびマグネタイト等の強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散したバインダー型キャリアなどを用いることもできる。コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0049】
キャリアの粒径は、その個数基準のメディアン径がトナーの個数基準のメディアン径の0.8〜5倍であることが好ましい。
具体的には、12〜120μmであることが好ましく、さらに好ましくは12〜50μmである。
【0050】
キャリアの個数基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0051】
〔画像支持体〕
本発明の電子写真画像形成方法に使用される画像支持体としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
以上の本発明の電子写真画像形成方法によれば、静電潜像担持体上に形成される静電潜像を構成する潜像スポットの径を特定の大きさとすると共に、この潜像スポット径と同等の粒径を有するトナーを選択的に用いることにより、静電潜像を構成する潜像スポットの多くにおいて一の潜像スポットが一のトナーによって現像されることとなり、しかもトナーの粒径が比較的大径とされることから、トナーによって現像されたトナー像を画像支持体に転写する過程において、高い転写率が得られ、それに伴って画像支持体の表面におけるトナー像の転写された部分以外の領域に、トナーが飛散して付着することを抑制することができるため、トナーのチリの発生に起因する画像ノイズの発生の抑制された、高い画質の可視画像を形成することができる。
【0053】
以上、本発明の電子写真画像形成方法の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
〔トナーの製造例1〕
(1)結着樹脂粒子分散液の調製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン系界面活性剤(C1021(OCH2 CH2 2 SO3 Na)4質量部と、イオン交換水3040質量部とを投入して界面活性剤水溶液を調製し、この界面活性剤水溶液に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系の温度を75℃に昇温させた後、スチレン624質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、メタクリル酸56質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下後、75℃で2時間にわたって加熱撹拌することによって重合を行うことにより、結着樹脂粒子の分散液(以下、「樹脂粒子分散液(1)」ともいう。)を調製した。
【0056】
(2)着色剤分散液の調製
界面活性剤「ダウファクス 2A−1」(ダウケミカル社製)7.0質量部をイオン交換水に撹拌溶解し、この界面活性剤水溶液に、カーボンブラック20質量部を徐々に添加し、「SCミル」(三菱鉱山社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(1)」ともいう。)を調製した。
ここに、着色剤分散液(1)中の着色剤粒子(カーボンブラック粒子)は、体積基準のメディアン径が200nmであった。この体積基準のメディアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)、1.002(20℃)、および測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行う測定条件によって測定したものである。
【0057】
(3)トナー粒子の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂粒子分散液(1)420.7質量部(固形分換算)と、イオン交換水900質量部と、着色剤分散液(1)200質量部とを仕込んで撹拌し、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を、撹拌下、30℃で10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温し、65℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、個数基準のメディアン径が21μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより融着を継続させることにより、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液において、トナー粒子の平均円形度を、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定したところ、0.940であった。
【0058】
このようにして生成されたトナー粒子の分散液を、8℃/分の速度で30℃まで冷却した後、濾過して45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、トナー粒子(以下、「トナー粒子(1)」ともいう。)を得た。
【0059】
(4)外添剤の添加
得られたトナー粒子(1)に対して、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ粒子(平均一次粒子径:12nm)0.6質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン粒子(平均一次粒子径:24nm)0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用い、撹拌羽根の周速40m/秒、処理温度25℃の条件で混合することによって外添剤を添加し、トナー(以下、「トナー(1)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(1)について、個数基準のメディアン径を前述の手法によって測定したところ、21μmであった。
また、トナー(1)について、CV値を前述の手法によって測定したところ、16%であり、平均円形度を前述の手法によって測定したところ、0.940であった。
【0060】
〔トナーの製造例2〜11および比較用トナーの製造例1〜6〕
トナーの製造例1におけるトナー粒子の作製の工程において、粒子成長反応を、最終的に得られるトナーの目的とする粒径に応じたタイミングで停止させたこと、および得られたトナー粒子に外添剤を添加しなかったこと以外は当該トナーの製造例1と同様の手法によって、トナー(2)〜(11)および比較用トナー(1)〜(6)を得た。
得られたトナー(1)〜(11)および比較用トナー(1)〜(6)各々について、トナーの製造例1と同様の手法により、個数基準のディアン径、CV値および平均円形度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0061】
〔現像剤の作製例1〜11および比較用現像剤1〜6〕
得られたトナー(1)〜(11)および比較用トナー(1)〜(6)の各々と、表1に示す個数基準のメディアン径を有する、シリコーン樹脂を被覆したフェライトキャリアを、トナーの濃度が8質量%になるように混合することにより、現像剤(1)〜(11)および比較用現像剤(1)〜(6)を製造した。
【0062】
【表1】

【0063】
表1において、トナーの粒径とは、個数基準のメディアン径を示し、キャリアの粒径とは、個数基準のメディアン径を示す。
【0064】
<実施例1〜11、比較例1〜6>
電子写真式カラー画像装置「bizhub C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)と、この電子写真式カラー画像装置における露光手段を構成する半導体レーザーよりなる露光光源からの光を制御するために、表2に示すアパーチャー径を有する治具とを用意した。用意した治具(表2に示すアパーチャー径を有する治具)によれば、その設計上、電子写真式カラー画像装置「bizhub C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)における露光光源としての半導体レーザーに装着することにより、当該露光光源からのレーザー光(スポット光)のスポット径が絞られ、その結果、感光体(静電潜像担持体)上にレーザー光が照射されることによって形成されることとなる静電潜像の潜像スポットの径が当該アパーチャー径と同一の径を有するものとなる、すなわち、アパーチャー径に対応した潜像スポットの径を得ることができる。
【0065】
画像形成装置として、表2に示すアパーチャー径を有する治具を装着した電子写真式カラー画像装置「bizhub C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用い、また、現像剤として、現像剤(1)〜(11)および比較用現像剤(1)〜(6)を用いることにより、露光手段によって2ドット・オン(潜像スポットが同時に2個形成される状態)、2ドット・オフの周期により露光を繰り返し、このようにして、2本の直線が平行に形成された黒色のライン画像を可視画像として形成した。
ここに、この可視画像を形成するための画像形成条件は、画像形成装置においては反転現像方式および非接触現像方式が採用されており、また、定着速度は100mm/分、定着圧力は180KPa、画像支持体の定着表面温度(非接触温度計によって測定された定着手段から排出された時点における画像支持体のトナー像の定着された面の温度)は60℃であった。
【0066】
ライン画像を得た後に、画像形成装置において、静電潜像担持体上にトナーのチリの付着がないことを確認すると共に、得られたライン画像について、光学顕微鏡によって90倍の倍率に拡大し、0.70mm×0.46mmの領域中の2本の直線に挟まれた部に存在する黒点数を確認した。
ここに、黒点の数が10個未満である場合において、実用上問題のない画質の可視画像が得られるとして合格と評価する。
【0067】
【表2】

【0068】
また、現像剤(1)〜現像剤(11)を用いた黒色のライン画像の可視画像の形成中においては、当該現像剤(1)〜現像剤(11)を構成するトナー(1)〜トナー(11)が離型剤が含有されていないものではあるが、オフセット現象は生じなかった。
【符号の説明】
【0069】
10 感光体ドラム
11 帯電手段
12 露光手段
13 現像手段
131 現像スリーブ
14 転写手段
16 分離手段
17 定着手段
17A 加熱ローラ
17B 加圧ローラ
P 画像支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一様に帯電された静電潜像担持体表面をスポット光により露光することによって当該静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、当該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーによって反転現像方式で現像してトナー像を形成するトナー像形成工程と、当該トナー像形成工程において形成されたトナー像を画像支持体に転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を得る定着画像形成工程とを含む電子写真画像形成方法であって、
前記静電潜像担持体上に形成される静電潜像を構成する潜像スポットの径が16〜36μmであり、
前記トナーとして、個数基準のメディアン径(D50)が16〜40μmのものを用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
【請求項2】
前記潜像スポットの径と前記トナーの個数基準のメディアン径(D50)との比(潜像スポットの径/個数基準のメディアン径(D50))が0.9〜1.1であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーは、個数基準の粒度分布における変動係数であるCV値が2〜20%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真画像形成方法。
【請求項4】
前記定着手段によって定着画像が形成されて排出された直後の画像支持体の表面温度が45〜75℃であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真画像形成方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−180163(P2011−180163A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41257(P2010−41257)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】