説明

電子学習システム及び電子システム

【課題】教材作りにインタラクティブに参加することで学習意欲が促進される電子学習システムを提供する。
【解決手段】電子記録媒体12又は電子ネットワーク11を介して提示された初期学習情報をコンピュータに取込み学習者の操作に従い取込んだ初期学習情報を用いて初期学習ストーリーを展開するストーリー実行手段4と、学習者又は操作者の操作情報及び反応情報を記憶しそれらの情報と初期学習情報とから初期学習ストーリーとは異なる学習ストーリーに変化させてストーリー実行手段による実行を可能にするストーリー変化手段8とを備え、コンピュータに取込まれた初期学習情報を含む電子学習情報中の電子学習教材と学習者又は操作者とがコンピュータ上で相互に情報を交換しながら学習ストーリーを学習者の目的に合致させていくためのインタラクティブ機能5を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ又はコンピュータシステム上で操作者のスキルや能力の向上を図る電子学習システム及び電子システムに関し、詳しくは、学習者や操作者が教材造りや教育プログラムにインタラクティブに参加しながら学習・操作することによって、学力や知識を身に付けることができる電子学習システム及び電子システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、子供から一般人向けまでコンピュータを利用した各種の学習教材が多用されている。例えば、そうした流れに沿って教育の低年齢化が進み、特許文献1に開示の「文字学習器」のような、幼児向けの学習支援型の装置等が開発されている。
図13は、文字学習器の構成図であって、幼児が任意の文字キー102a〜102eを押すと、音声合成ICや増幅器、スピーカ等で構成される発音部110より、押されたキーに対応する文字を発音する。同時に、シーケンス制御部106はキーボード102からのキー情報に基づいて文字データの記憶部160の文字データにアクセスし、表示部109にその書き順に従って文字を表示するものである。
【0003】
また、特許文献2の「学習教材の販売方法及び学習装置」には、一般の研修講座の例が開示されている。図14は、その学習教材の販売方法及び学習装置の構成図であり、ここでは学習者は、学習装置202の配信要求手段207により通信ネットワーク203を介して配信装置201の学習サーバにアクセスすると、学習装置202のディスブレイには、小学校コース、高校、大学の各受験コース、単語コース、国家試験コース、趣味・教養コース等の種々のコースが表示され、学習者がコースと教材を選択して支払い処理を済ませると、選択した教材が通信ネットワーク203を介して学習装置202宛に電子メールで配信される。学習装置202は配信された学習教材を所定の周期で反復復習する手段204と、学習成果の目標値を設定する手段205と、学習成果を演算する手段206とを備え、反復復習を繰り返して学習成果が設定された目標値を超えると、再度、教材の配信を要求して次の教材により反復復習を繰り返すものである。
【0004】
【特許文献1】特開平9−212072号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−251126号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、先生が黒板や紙上で手本を示しながら教示していた文字の書き方を電子的な方法に置き換えただけであって、手本を示して、幼児の方はそれを見ながら何度も練習・学習を繰り返すという、従来の勉強理念に基づく勉強方法の中身についてはあまり変わっていない。
特許文献2の従来技術でも、そうした傾向は一般人を対象とした学習教材でも例外ではなく、学習者が教材を取り寄せて、反復復習を繰返し学習するという、学習の方法・理念は旧来の学習方法と変わりはなく、学習者がインタラクティブに参加して学習意欲を促進できるようなシステムではないので、コンピュータ上で展開される学習教材としては効率の悪い方法であるという問題があった。
こうした傾向を改善する方法としては、例えば、幼児等の学習の場合、学習は大人の社会における遊びと対比して言う勉強とは異なり、遊び感覚とは切り離せないものなので、先ず、学習者の幼児が興味を持つようなストーリーを創作し、その中で抵抗感無く学習して行けるような2元構成のインタラクティブな展開が望ましく、そのようなストーリーを構成する要素としては、最近では幼児を対象とする学習テーマとしても関心が高まっている宇宙、自然、生命等のテーマが一例として挙げられるが、宇宙科学の分野で一般公開されているデータベースの資料は、天体や星座等の画像を羅列して説明を添付している百科事典風の無味乾燥なものが多く、興味のあるストーリーとしては使用できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、幼児向けだけでなく一般まで対象とした教材造りや教育プログラムにユーザー自身がインタラクティブに参加しながら学習できるようにして、創作と学習という2元構成のストーリーにより学習意欲の促進及び知識の習得ができ、時間の経過と共に動的なバージョンアップも可能な電子学習システムを提供することを目的とする。
また、学習者のための学習のみならず、操作者のスキルや能力の向上、興味の反映がなされる各種のプログラミングシステムに適用可能な電子システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、学習者がコンピュータ又はコンピュータシステム上で学ぶための電子学習システムであって、電子記録媒体又は通信手段によって提示された初期学習情報をコンピュータに取込み学習者の操作に従い取込んだ該初期学習情報を用いて初期学習ストーリーを展開するストーリー実行手段と、学習者又は操作者の操作情報や反応情報を記憶しそれらの情報と前記初期学習情報とから初期学習ストーリーとは異なる学習ストーリーに変化させて前記ストーリー実行手段による実行を可能にするストーリー変化手段と、を備え、電子記録媒体又は通信手段によってコンピュータに取込まれた前記初期学習情報を含む電子学習情報中の電子学習教材と学習者又は操作者とがコンピュータ上で相互に情報交換しながら学習ストーリーを学習者の目的に合致させていくためのインタラクティブ機能を有することを特徴とする。
請求項2に記載の前記ストーリー実行手段は、前記学習ストーリーを解釈・実行するエンジンであって、学習者又は操作者とインタラクティブに情報の授受を行い前記ストーリー変化手段と一体化して前記学習ストーリーを実行し展開することを特徴とする。
請求項3に記載の前記初期学習情報は、電子学習教材提供者側が事前に用意した情報であり、シーンを記述するシーンスクリプト及び学習ストーリーを記述するストーリースクリプト等のストーリープログラムを含むことを特徴とする。
請求項4に記載の前記ストーリー変化手段は、前記初期学習ストーリーに対する前記操作情報や反応情報を記憶しデータベース化して学習者個々人の情報を前記エンジン内に持たせる機能と、これらの情報に基づいて前記エンジンで個々人に合った適切なストーリーやストーリーの流れを解析して導き出し実行する機能と、学習者又は操作者の操作中に条件分岐ポインタを変更して学習ストーリーを切換える機能と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の前記初期学習ストーリーは、電子学習教材提供者側が事前に用意した前記初期学習情報と該初期学習情報を用いて事前に用意される学習ストーリーとからなることを特徴とする。
請求項6に記載の前記電子記録媒体は、少なくともCD、DVD、MO、MT、又はフラッシュメモリの何れかであって、前記電子学習教材と学習者又は操作者とがコンピュータ上で相互に情報交換しながら学習ストーリーを展開するためのインタラクティブ機能を有する学習プログラムを含む電子学習情報を記録した記録媒体であることを特徴とする。
請求項7に記載の前記通信手段は、ファイル情報を授受するためのホームページ上又は電子メール等のオンラインによる情報提供手段であることを特徴とする。
請求項8に記載の前記操作情報は、学習者又は操作者が意思、興味等に従いマウス等の入力手段により入力する操作情報と、前記学習者又は操作者が用意した画像、音声等のオリジナル情報を前記電子学習教材にストーリー情報として追加する操作情報と、前記学習者又は操作者が各編集機能を用いて主ストーリーの一部(ショートストーリー)を製作して学習ストーリーに追加・変更・修正を加える操作情報と、を含むことを特徴とする。
請求項9に記載の前記反応情報は、クイズ、質問に対する回答情報と、様々な学習ストーリー中に提示される情報へのアクセスと、マイク、圧力センサ、キーボードのタイプ速度、マウスのクリック速度及びカメラによる反応チェック等のセンシング情報により得られる学習者の応答強度と、を含むことを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、学習者又は操作者が主ストーリーの一部(ショートストーリー)をシーンスクリプトに展開できる手段と、該シーンスクリプトで記述される独自のショートストーリーを既存の主ストーリーの中に挿入したり追加したり既存のシーンと入れ替えたりすることでエンジンの実行手段において通常のシーンと同様に実行可能とする手段と、をさらに備え、学習者又は操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、学習者又は操作者がシーンのひとつ又は一部としてクイズシーンを定義できる手段と、該クイズシーンをエンジンの実行手段に取り込み実行する手段、とをさらに備え、既存の主ストーリーを学習者又は操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、コンピュータ又はコンピュータシステム上で電子ストーリーを実行するエンジンにおいて、電子情報として与えられた初期ストーリーをエンジンに取り込む取り込み手段と、電子情報化されたストーリーを実行するストーリー実行手段と、操作者の操作情報や反応情報を記憶しそれらの情報を用いて初期ストーリーとは異なる新規内容を含むストーリーに変化させて前記ストーリー実行手段による実行を可能にするストーリー変化手段と、を備え、初期ストーリーをその実行状況情報やストーリー実行時の参加者や操作者の反応情報や操作情報に応じてストーリーを目的に合わせて変化させて実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする。
請求項13に記載の前記ストーリー変化手段は、様々な情報からストーリー変化させるための知的認識・解析・判断機能と、ストーリーの実行状況やストーリー実行時の参加者や操作者の反応に応じて自動的にストーリーを変化させる知能処理機能と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンピュータシステム上で展開される初期学習ストーリーに対する学習者の操作情報、反応情報を取込み、インタラクティプな操作により初期学習ストーリーに修正・追加を行うストーリー変化手段と、ストーリー変化手段と一体化してプログラムを解釈・実行し学習ストーリーを展開するエンジン部分の核となるストーリー実行手段とを備えているので、幼児から一般まで含めた学習者は、ストーリー変化手段を統括してインタラクティブな学習ストーリーの展開を主導するインタラクティブ機能(エンジン)により、教材造りや教育プログラムに参加しながら学習し、また、創作と学習という2元構成のストーリーを楽しみながら学習意欲を向上させることにより、高度な知識も抵抗感無く身に付くという効果がある。
また、本電子学習システムの電子学習教材、或いは本電子システムによる成果物が時間の経過と共に動的に進化して自動的にバージョンアップされるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例による電子学習システムの構成図である。
図1において、1はコンピュータシステムにより構成されたサーバ業務を中心とする電子学習教材センターである。2は電子学習教材センター1内のWebサーバであり、電子学習教材センター1と各学習者端末(A、B、…、n)7、9、10とをインターネット(通信ネットワーク11)により接続し、FTPサーバ(図示せず)による両者間のファイル転送等を管理する。3はメールによる教材配信、応答用等のメールサーバである。4はストーリー実行手段であって、電子学習教材を構成する学習ストーリーを解釈・実行するエンジンブロックの一部であり、学習者端末(A、B、…、n)7、9、10のストーリー変化手段8と連携・一体化して学習ストーリーを展開する。5はインタラクティブエンジン(インタラクティブ機能・手段)であって、ストーリー実行手段4、ストーリー変化手段8を統括して学習者、操作者と電子学習教材との間で相互に情報交換しながら学習ストーリーを学習者の目的に合致させる処理やストーリーの実行管理処理を行う。6はデータベースであって、初期学習ストーリー、編集後の学習ストーリー、学習者のオリジナルショートストーリー、絵本、クイズ等が登録・保存・蓄積される。7、9、10は複数からなる学習者端末(A、B、…、n)を示しており、それぞれWebブラウザを内蔵して初期学習ストーリーを学習者又は操作者との間でインタラクティブに変更処理するストーリー変化手段8を有している。11はインターネット等の通信ネットワークであって、電子学習教材センター1と学習者端末7、9、10とをWebブラウザを介して接続する。12はCD(Compact Disc)、DVD(Digital Vresatile Disc)、MO(Magneto Optical disk)、MT(Magnetic Tape)、フラッシュメモリ等のパッケージメモリによる電子記録媒体であって、学習ストーリー及びプログラムを記録する可搬性電子記録媒体であり、学習者端末(A、B、…、n)7、9、10に初期学習ストーリーを含む電子学習教材をロード・インストールできるようにしたり、作成した学習ストーリーを保存したりするために用意されたもので、通信ネットワーク11に代わって電子学習教材センター1と各学習者端末(A、B、…、n)7、9、10との間のデータやプログラムのやりとりを、持ち運び可能な形態で行えるようにしたものである。尚、学習者B端末9も、学習者n端末10も、内部は学習者A端末7と同一構成のコンピュータ端末である。
【0010】
図1は、ネットワークシステムを利用した本発明の一実施例であるが、電子学習教材センター1と学習者端末7、9、10等を一体化し、データベース6、ストーリー実行手段4、ストーリー変化手段8等を、ひとつのコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ)上でインタラクティブ機能を有する統合的インタラクティブエンジン5として構築してもよい。この場合、電子学習教材センター1内のWebサーバ2、メールサーバ3は必ずしも必要ではない。また、通信手段(通信ネットワーク11)の代わりに、コンピュータ上のメモリやディスク、MO(電子記録媒体12)等の記憶手段を介して学習ストーリーやそのデータを保存したり、必要な情報を共有情報としてその記憶手段上で共有したりしてもよい。即ち、家庭のパーソナルコンピュータや、学校や塾、学習センター等の教育施設に設備されたパーソナルコンピュータが、各個人の情報やデータベース及び電子学習をサポートするためのエンジンシステムを備えたスタンドアローンタイプの学習者端末となる。この場合、電子記憶媒体12として提供される学習ストーリー情報やそのデータと、ストーリー実行のためのエンジンプログラム及びデータが、学習者が学習を開始するために用意されたその時点での初期情報となる。
【0011】
また、上記の様なスタンドアローンタイプの構成においても、インターネット等の外部との通信手段をコンピュータ上に設けることで、別に設けた電子学習教材センターとリンクし最新の情報やデータの配信を受けたり、必要に応じて電子学習教材センターのデータベースにアクセスし目的の情報やデータを学習者自身のコンピュータ内に取り込んで学習環境を調整したり、最新のエンジンシステムやそれに関連した情報やデータをアップデートしてインストールしたり、電子学習教材センターと交信して操作方法や学習環境等に関する情報を得たりして、学習者自身のコンピュータやコンピュータシステム内の情報やデータを最新の状態又は目的に合った好みの状態に保つ機能を備えることができる。これもひとつのインタラクティブ機能とみなすことができる。
【0012】
またさらに、電子媒体手段(電子記録媒体12)は、必ずしも常に学習者の情報を最新の状態に書き換えて格納しておく必要はない。一時的に、コンピュータ内部のメモリシステムやハードディスク等に必要な情報やデータをダウンロードしておき、その上で各個人の情報を含めて管理し、学習者や操作者の意思で、学習ストーリーや教材内の情報がある程度目的に合った状態になったり、ハードディスク等の記憶システムが不足したりした時に、DVD、CD、MO等の大容量の電子記憶媒体12に、コンピュータ内の記憶システムから必要な情報をセーブするという使い方も可能である。即ち、学習状況や進歩状況、システム状況等にあわせて適宜、その時点での必要な学習教材システムの情報を電子記憶媒体12に記憶することで学習ストーリーの変化を柔軟に管理して、楽しくマイ学習ストーリーを構築しながら学習を進めていくことが可能である。
【0013】
次に、上記構成による学習ストーリーの処理について説明する。
先ず、ストーリー変化手段8の操作について詳述する。ストーリー変化手段8は、学習者又は操作者(親、先生、保護者等)による操作情報、及び学習過程におけるその反応情報を取込むことにより得られ、操作情報は以下の3項目で定義される。
(a)学習者又は操作者が意思や興味等に従いマウス等のクリックにより入力する操作情報。
(b)学習者又は操作者が用意した画像や音声等のオリジナル情報を電子学習教材(学習ストーリー)に対してストーリー情報として追加する操作情報。
(c)エンジンの機能のひとつとして備えている各種エディット(編集)機能を用いて学習者又は操作者がオリジナルの学習ストーリーの一部(ショートストーリー)を制作して、電子学習教材の学習ストーリーに追加・変更・修正を加える操作情報。
尚、ショートストーリーには、クイズエディタで制作したオリジナルクイズ、学習者又は操作者のオリジナルの画像、音声、音楽等を用いて、ストーリーエディタ又はシーンエディタで制作・編集したオリジナルシーンストーリー(ストーリーは幾つかのシーンで構成され、シーンはショートストーリーと言うこともできる)、オリジナルの電子絵本(絵と文字が順番に出てくる)や電子紙芝居等(絵と音声が順番に出てくる)も含まれる。即ち、オリジナルのシーンやストーリーとして学習者及び操作者が制作し用意した情報は全て操作情報に含まれるものとする。
【0014】
一方、反応情報としては、次の3項目に定義される。
(d)クイズや質問に対する回答情報(回答者のレベルを判断できる)。
(e)様々な学習ストーリーの中に提示される情報へのアクセス(アクセスの優先順位やアクセス対象のジャンルの偏り情報等から学習者の興味を判断できる)。
(f)学習者の応答強度(学習者の興奮度や応答速度等から、その興味のレベルを判断できる。例えば、マイクや圧力センサの出力、キーボードのタイプ速度、マウスのクリック速度、カメラによる学習者の反応チェック等をセンシング情報とする)。
以上の操作情報及び反応情報を、ストーリー変化手段8は、データベース6に情報として記憶・蓄積することでデータベース化(知識ベース化)し、学習者個々人の情報をエンジン(電子学習教材センター1内)内部に持たせる機能と、これらの情報に基づいてエンジンで解釈・実行できる状態にコンパイルする機能と、或いは学習者の操作中に直接的に条件分岐ポインタを変更してストーリーを切換える(電子学習教材センター1内のエンジンに切換えさせる)機能とを有している。
【0015】
尚、ストーリー実行手段4、ストーリー変化手段8、及びインタラクティブエンジン5は、それぞれの機能が重複している部分もあるが、大略の役割分担については、電子学習教材センター1(サーバ側と言うこともできる)側のエンジンによる機能としてのストーリー実行手段4及びインタラクティブ機能5が主であり、ストーリー変化手段8は、学習者の操作情報及び反応情報の取込み機能が主な部分なので、図1に示す実施例では学習者端末7、9、10側に配置している。
【0016】
ストーリー変化手段8の機能には、その他にも取込んだ操作情報及び反応情報を、通信ネットワーク11を介しデータベース6に記憶・保存してデータベース化(知識ベース化)し、学習者個々人の情報を電子学習教材センター1内のエンジン内部に持たせる機能や、学習ストーリーの切換え機能、又は、シーンやショートストーリーの作成及びそのアップロードと登録機能等も併せ持っており、これらは、データベース6内に学習者毎の登録領域を確保して、ストーリーエデイタファイルをダウンロードして作成したショートストーリーをアップロードして登録すると言ったアプリケーションプログラムの領域であるので、これは学習者端末側の機能というよりは、ストーリー変化手段8と連携して一体化した電子学習教材センター1側のストーリー実行手段4の機能範囲とも考えられる。そしてWebコントロール管理等も含め、ストーリー実行手段4とストーリー変化手段8を連結・統括してインタラクティブ機能を実現するメインプログラムの管轄がインタラクティブエンジン5の領域と言うこともできる。また、これらの機能を上述のサーバ−クライアントシステムに代わり電子記録媒体12を使用してPC(コンピュータ装置)内で前述した様なスタンドアローン的に実現するシステムの場合も基本的には変わらない。
【0017】
本発明の電子学習システムにおけるインタラクティブ機能のひとつとして、学習者又は操作者が、ショートストーリーをシーンスクリプトに展開できる手段(例えば後述のストーリーエディタやシーンエディタ)を設けると共に、そのシーンスクリプトで記述される独自のショートストーリーを、既存の主ストーリーの中に挿入又は追加したり、既存のシーンと入れ替えたり、一部変更(例えばパラメータだけ変更)したりすることで、エンジンの実行手段に、通常のシーンと同様に実行可能とする手段を設けており、学習者や操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・実行可能な機能を備えている。
また、上記インタラクティブ機能のひとつの具体例として、学習者や操作者が、シーンのひとつ又は一部としてお好みシーンを定義できる編集手段(例えば後述のクイズエディタにより作成したクイズシーン等)を設けると共に、そのお好みシーンをエンジンの実行手段に取り込み、解釈・実行を可能にする手段を設けることによって、既存の主ストーリーを学習者や操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・追加・実行可能な機能を備えている。
【0018】
お好みシーンの編集手段(a)、及び、解釈・実行可能な状態でのエンジンへの取り込み・実行手段(b)は、例を挙げると下記のとおりである。
(a)お母さんや幼児でもシーンの編集が容易にできる様に、シーン(ショートストーリー)編集用の対話型画面エディタを用意する。例えば、お好みの画像を複数選択し、それぞれにお話(セリフ)を入力して複数のカット場面(サブシーン)を製作する。セリフは、画面エディタの指示に従って表示される文字列(例えば「あいうえお50音表」)から文字を選択しながら入力するようにしても良いし、同じく画面エディタの指示に従ってマイクを使って音声入力するようにしても良い。
用意した複数の画像とセリフからなる各カット場面をお話の流れの順番に並べて登録し、操作者からのマウスクリック入力に従ってその順番に各カット場面を表示していくようにして、絵本のようなシーンを編集しておく。そのとき、セリフは、文字表示でも良いし、その文字表示を音声合成によるコンピュータ音声で読み上げても良いし、お母さんや幼児がマイクで入力した音声で読み上げるようにしても良い。また、そのシーンをストーリーのどの場面に挿入・追加するかも画面エディタで指示に従って指定できるようにしておいても良い。そして、すべての指定が終了したら完了ボタンを押してお好みシーン(この場合は絵本シーン)の編集を完了する。
(b)画面エディタで編集された(a)の絵本シーンは、シーンの編集が完了すると自動的にシーンスクリプトに変換される。シーンスクリプトは、本発明のインタラクティブエンジンでそのまま解釈実行できる状態にコンパイルした後解釈・実行されるか、又はインタプリタ方式で直接解釈実行される。そして、そのシーンをストーリーのどの場面に挿入・追加するかも上記(a)に示した様に画面エディタ上で指示しておくようにすれば、ストーリー上のその位置に挿入・追加される。
いずれにしても、エンジンの理解できる状態のスクリプトファイルにシーンが変換・編集されて目的の位置に挿入・追加され、ストーリーの実行時にその絵本シーンの場面に至ったときにストーリーの一部として実行される。
本例の絵本シーンの例では、その絵本シーンに至ると、操作者からのマウスクリックに応答して各カット場面がひとつずつ実行され、全てのカット場面が終了するとそのお好みシーンを終了して本来の本編のシーンに戻り、引き続き残りのストーリーが展開されていく。
【0019】
ストーリー製作者や操作者等のユーザーによって編集されたお好みシーン等の追加・修正シーンの解釈・実行は、エンジンの解釈手段がインタプリタ方式であれば、編集後に自動製作されたシーンスクリプトの各命令ステートメントを、エンジンがストーリーを実行する時に、逐次直接解釈しながら実行していくことになる。エンジンがコンパイラ方式であれば、シーンスクリプトに事前にコンパイル処理をかけて事前の必要な解釈処理を実施し、シーンスクリプトをエンジンが直接実行可能な状態のコード情報即ちオブジェクトコードに変換する(これをオブジェクトコードシーンスクリプトと呼んでいる)。
これらの処理方式は、ユーザーによって編集されたお好みシーン等のシーンスクリプトに限らず、本発明のインタラクティブエンジンで扱うストーリーをプログラムしていくための多くのスクリプトに対して共通している。また、シーンスクリプト等のエンジンのユーザーが直接関わる可能性のあるスクリプトをテキスト形式等で記述して汎用ファイルとして構成・管理できるようにしておけば、汎用のテキストエディタ等を使ってストーリー製作者や操作者等のユーザーがストーリーやシーンのスクリプトを直接編集することによりストーリーやシーンをプログラムすることができ、汎用性と自由度が高くなる。
【0020】
もちろん、シーンスクリプトを始めとするストーリーをプログラムするためのスクリプトは、エンジン特有のコード形式でそのまま記述したり、エンジン特有のコード形式に展開(中間コードや専用コード)されたりするように設計しても差し支えない。その場合、エンジンは、エンジンが提供する編集機能(エディタ機能)によってのみその中身を編集することができる専用的なストーリープログラム製作環境により提供され、使用するユーザーにとって、汎用性と自由度が失われる反面、色々な面で処理が高速であったり、操作やプログラミングが簡単であったり等の恩恵が得られる可能性がある。このうち、操作性については、前述したお好みシーン編集用エディタ等に代表されるような対話型画面エディタをエンジン機能のひとつとして用意し、ストーリーやシーンの編集結果をスクリプトに自動変換して実行可能状態できるストーリーの編集・解釈・実行のためのインタラクティブ機能を提供しておけば、汎用ファイル形式のスクリプト記述方式でも全く問題ないと言える。
【0021】
この様なストーリー製作者や操作者等のユーザーによって編集されるユーザーお好みシーン等の編集機能及び解釈・実行機能は、前述の(a)、(b)に示した例のように、シーンスクリプト等のストーリーを記述するファイルを自動生成するようにしてストーリーを直接的に変更する方式にしておけば、エンジンの他のストーリー編集・記述機能を統一的に提供できると共に整合性の点でも有利であり、全体のストーリーを目的に合わせて編集していくに当たっての自由度が高く柔軟かつ汎用的な構造を提供できる。しかし、専用的ではあるが、より簡単にひとつの目的に対応したインタラクティブ機能(例えば、お好みシーンとして絵本シーンを製作することに限定した編集・実行機能)を、エンジン内の機能ソフト(ファンクション)のひとつとして、スクリプト(シーンやストーリースクリプト)から呼び出せるようにファンクション命令化して、準備しても差し支えない。この場合、編集機能(a)と解釈・実行機能(b)をひとつ又は別々のファンクション命令としてエンジン内に対応する機能ソフトを準備し、シーンスクリプト等のスクリプト内にそのファンクション命令を記述可能なように構成する。即ちユーザーは、他のストーリー記述用の命令と同様にその専用ファンクション命令をスクリプトの中で使用して、シーン等のストーリーを記述し構成していくことができる。もし、この様に専用にファンクション化されたお好みシーン等を、ストーリーの中の1シーンとして或いはシーン内の1サブシーン(カット場面)として対話型の画面エディタ等でストーリー中に自由に挿入・追加したければ、その専用ファンクション命令を、後述するストーリースクリプトにて管理したり、エンジン内にストーリースクリプトに相当する管理データとストーリー管理機能を機能ソフトとして設けて管理(この場合は直接ユーザーが命令を操作できない場合も有り得る)したりする等の方法を採れば良い。
【0022】
さらに、ひとつ又は複数のシーンから構成されるストーリーも、シーン(ショートストーリーとみなすことができる)同様ストーリースクリプトによって記述される。ストーリースクリプトは、テキストファイル等の汎用ファイルとして定義可能なようにしておく等、シーンスクリプトと基本的に同様の形式及び実行形態を採ることも可能であり、その場合、エンジン上でのストーリースクリプトに対する扱いや処理方式(インタプリタやコンパイラの処理方式)も基本的にシーンスクリプトと同様に実施することができる。この場合、構造上、シーンスクリプトは、ストーリースクリプトの下位階層に位置するプログラムとみなすことができ、メインルーチンであるストーリースクリプトから見たサブルーチンと考えてよい。そして、対話型のシーン編集用エディタ(前述したお好みシーン製作用対話型エディタ等)と同様の考え方で、ストーリー管理用の対話型画面エディタ(例えば、ストーリー内の各シーンがどのようなリンク状態(結合状態)になっているか管理及び表示し、シーンの入れ替え、挿入・追加・削除、シーンの流れの変更・分岐指定等の編集が可能な対話型画面のストーリーエディタ)を用意し、シーンをどのように構成してストーリーを組み立てるかを、ユーザーが画面上で編集できる機能をエンジン内に持たせるか或いはエンジン機能とリンクできるようにシステム構築しておけば、目的に合わせて全体ストーリーを編集して変化させることが可能なインタラクティブ機能を提供できる。また、ストーリーの編集を行うタイミングとしては、上記シーンの編集手段(a)で指定したお好みシーン等の挿入情報(シーンをストーリーのどの場面に挿入・追加するかという情報)とリンクして、自動的にストーリースクリプトを変更し、ストーリー管理する機能をエンジン内に備えておいても良いし、適宜ストーリー管理用の対話型画面エディタを呼び出して、ユーザーが製作したお好みシーンも含め、全体のシーンの編集が可能(現状の各シーンのリンク状態を確認することや、シーンの入れ替え、挿入・追加・削除、シーンの流れの変更・分岐指定等を行う)となる様に構成しておいても良い。
【0023】
また別のストーリースクリプトの形式として、その実態はエンジン内のプログラマブルな機能ソフトのひとつとして持つようにし、ストーリー製作者や操作者等のユーザーに対してはシーンスクリプトしか直接的には見えないように構成することもできる。この場合、エンジン内のストーリースクリプトは、各シーンがどのように結合されているか記憶してその構成を管理しており、ストーリー製作者や操作者等のユーザーからはストーリースクリプトは直接的には見えず、指定されたとおりシーンスクリプト間が直結されている様に見える。さらに、シーンスクリプト内に直接別のシーンにリンクできる様なリンク命令を記述できるように、エンジンにそのリンク命令処理(ジャンプ命令処理)機能を備えて、そのリンク命令を管理することによりエンジン内にストーリースクリプトを構築するようにしても良い。
【0024】
シーンスクリプトやストーリースクリプト等のストーリーを記述するスクリプトをテキスト形式等の汎用ファイルとして用意する場合、そのスクリプトファイル内のストーリーを構成するための各命令ステートメント(各命令がエンジン内の目的の動作を処理する機能ソフトに対応していると考えてよい)を直接編集することにより、ストーリーを変化させることもできるし、ストーリーを1からプログラムすることもできる。
例えば、ストーリースクリプトの中の各シーン(これらの実態はシーンスクリプトで記述され、命令ステートメントにより関数化されて、ストーリースクリプト上では外部にあるサブルーチン即ちファンクション・コールのように定義されているものとする)を呼び出す命令ステートメントを編集することを考えると、あるシーンを呼び出す命令ステートメントを除去すればそのシーンがなくなり、代わりにお好みシーンとして定義したオリジナルシーンを呼び出す命令ステートメントをその部分に追加すれば、旧シーンの変わりにそのオリジナルシーンが追加されるというように、削除・追加の編集が可能である。
【0025】
また、旧シーンはそのままにしておき、その上に分岐ポインタを設ける命令ステートメントを追加し、さらにその直後の旧シーンとの間に、オリジナルシーンを挿入する命令ステートメントを追加して、追加した分岐ポインタの条件を決められたマウスクリック操作に対応させて、クリックAがあればオリジナルシーンを実行してから旧シーンを続けて実行する、クリックBがあればオリジナルシーンを飛ばして従来どおり旧シーンを直接実行する、というように、分岐条件を含めた分岐ポインタの設定を、ストーリースクリプトを直接編集することにより指定してストーリーの流れをプログラムすることができる。
このようなストーリーの編集を、対話型の画面エディタで簡単に処理できるようにしたインタラクティブ編集機能がストーリーエディタであり、ユーザーによって指定されたストーリーの構成を、ユーザーの代わりにストーリーエディタがスクリプト内の命令ステートメントを編集することで自動的にストーリースクリプトに反映する機能も含んでいる。
【0026】
本実施形態では、学習ストーリーの構造例として、5、6歳児を対象とした月旅行をテーマとする学習ストーリーを具体例に挙げて、以下詳細に説明する(但し、電子学習教材は幼児用に限定するものではない)。
図2は、本発明の学習ストーリーの構成を示す流れ図である。
図2は、ストーリーの基本構成を示し、コンピュータ端末の画面上で月旅行を楽しみながら、数字遊びによる計算や、文字遊びによる読み方の勉強、クイズ形式の各種の勉強等を行う学習ストーリーの基本構造例を示すものであり、全体の学習ストーリーは複数のシーン(ショートストーリー)から構成され、大別して6つのシーンで構成される。つまり、イントロダクションでは、各種のゲーム、クイズ等のルール説明が行われる(シーン1、以降S1と略す)。
カウントダウン形式の数字遊び(S2)、加える形式の数字遊び(S4)。文字遊び(これは何?)(S3)、文字遊び(ことばあつめ)(S5)、Yes/Noクイズ(S6)。の6つのシーンで1ストーリーが構成されている。
【0027】
シーンの具体例については後述するが、シーンは、複数の画像(動画も含む)(P)、音楽(MU)、ナレーションや会話等の音声(N)、そして、それらを論理結合する論理命令からなり、P、MU、Nに関する操作も操作命令として準備されている。ストーリー制作者はこれらの命令セットを用いてシーンを記述し、シーンスクリプトファイルを制作する。センター1のエンジンは、このファイルを解釈し実行する。ストーリーもシーン同様にストーリー制作者がストーリースクリプトファイルを制作し、エンジンによりこのストーリースクリプトファイルを解釈し、実行してストーリーを展開する。エンジン内にはシーンを記述するための命令セットとストーリーを記述するための命令を一体化して持たせ、ひとつのエディタでストーリーとシーンの区別なくスクリプトを制作できるように構成してもよい。この場合、ストーリーとシーンは全体の学習ストーリー中の単に階層構造の親と子の関係に過ぎなくなる。
【0028】
インタラクティブのための別のより具体的なエディット機能のひとつの例としてクイズエディタがある。画面上で対話形式により、パラメータで条件設定するだけで、数字遊び、文字遊びのシーンがクイズ形式で制作できる。エディット機能ファイルはWebブラウザでダウンロードするか、又は、電子記録媒体12により提供する。クイズエディタで製作されたクイズシーンは、エンジン内のクイズプログラムルーチン(機能ソフトウェアのひとつとしてスクリプト内でファンクションとして呼び出すことができる)にクイズエディタで編集され指定された機能が登録されるように実行オブジェクトの実態を構成しても良いし、シーンスクリプトのひとつとして実行オブジェクトの実態を構成しても良い。
その他、前述のお好みシーン製作のための編集機能及び解釈・実行機能と同様の考え方で、さらに汎用的なストーリー製作手段として、一般学習者、操作者に対して簡単にストーリー又はショートストーリーを制作できる様にストーリーエディタ又はシーンエディタを提供する。一般の学習者又は操作者はこれらのエディタを利用して、好きな画像、音楽、音声、テキスト、論理等を画面のエディタ上で組み合わせ、簡単なショートストーリーを制作してオリジナルシーンとして登録できる。シーンとして登録すると自動的にシーンスクリプトが生成される。また、前述したストーリーエディタを用い、画面上で対話形式により、学習ストーリー中におけるシーンの流れの切れ目で条件分岐ポインタを切換えることで、自由にオリジナルシーンを挿入したり、ストーリーの流れを変更したりすることができる。例えば、ストーリーの変更を登録すると、ストーリースクリプトが自動的に修正される。こうしたストーリーエディタ、シーンエディタも通信ネットワーク11を介したタウンロード、或いは電子記録媒体12の形態で提供される。
【0029】
次に、図2に例示した各シーンS1〜S6におけるそれぞれのシーンの詳細について具体的に説明する。
図3は、図2に示すシーン1(S1)のイントロダクションの処理の流れ図である。シーン1に限らず、各シーンはひとつ又は、複数のサブシーン(カット場面とも呼んでいる)からなり、各サブシーンは、基本的に画面の絵(P:静止画、M:動画、Q:クイズ画面等の対話型操作画面)の変化に対応して切り替わっている。例えば図3では、P1、P2、P3、P4の4つの静止画からなる4つのサブシーン(カット場面)で構成されている。
シーン1(S1)のイントロダクションは、月旅行を兼ねた数計算、文字の読取り等の、学習スケジュールの導入部分であって、S1→S2→S3→S4→S5→S6、の連続シーンで月旅行ストーリーが展開されるもので、画面上での月旅行に平行して数字、文字の学習スケジュールが進行する構成である。
【0030】
シーン1のイントロダクションの構成要素としては、静止画P、動画M、ナレーションN、音楽MU、及び論理命令からなり、イントロダクションではルール説明を行い、行先(今回は月旅行)によってロケット等の宇宙船や宇宙服の色や形を部品として操作者の意思で選ぶことができ、行先(例えば、月、火星等)毎に設けられたドアを幾つか用意して進んで行く、というような演出等が加えられる。また、ロケットや宇宙船を様々な形や色の種々の部品に分解しておき、操作者が自分の意思で部品を選んでロケットの組み立て作業を行うイベント処理(組み立て工場等を模擬したエディタを用意してロケットのキャラクタをデザインさせるシーンを製作出来る様にする)を入れたインタラクティブ的な演出を加えても良い。さらに、ロケットや宇宙船、宇宙服等の部品そのものを操作者が色々デザイン出来る様な演出を加えることも、学習者自身の意思や考えがストーリーに反映できるので幼児等の学習者の興味を掻き立てる有効なインタラクティブ操作と言える。
【0031】
図3において、学習者A端末7の表示画面上にイントロダクションのスタート画面として、静止画像Pによる、地球P1、ロケットP2、人工衛星P3が順番に表示される。
操作手順として、先ず、スタート画面のクリック受付画面(図示せず)で、学習者がマウスクリックしない「OFF」の場合はそのまま画面が動かず、「ON2」クリックによって、P1:地球、P2:ロケット、P3:人工衛星、が約10秒間ずつ順繰りに表示され、その間音楽MU1が流れ、P1〜P3に対応したナレーションN1〜N3が行われる。又、「ON1」クリックの場合は、開始画面P4に進む。この間のルール説明がナレーションN4により行われる。
【0032】
次に、「ON1」クリックによる開始画面P4は、絵柄としては星が輝く画面として、5枚位の星の絵を0.5秒単位で繰り返し表示する。この間、次のシーンへのクリック動作が可能なように操作ボタンも表示される。ここで音楽はMU2に切り替わり、ナレーションN5でルール説明が行われる。(尚、この開始画面では、学習者が男の子であれば女の子のパートナー、女の子であれば男の子のパート尚選び、一緒に行動する。パートナーは日本語を話す外国人の子であり、何かアクションを起こした時々に、たまに英語で会話(主として単語)をするので、自然と耳から英語に親しむことができる。ナレーション等も、その外国人のパートナーの子供にさせる。パートナーはアニメーションキャラクタ等でもよい)。
続いて、開始画面P4のクリック受付画面で、「ON1」をクリックすれば、シーン2(S2)の数字遊びへ進む、「ON2」をクリックすれば、シーン3(S3)文字遊びに移る。
【0033】
次に、シーン2(S2)の処理に進む。
図4は、図2に示すシーン2(S2)の数字遊びの処理の流れ図である。
シーン2は、旅行テーマ中の「ロケット発射、地球を飛び立つ」段階で、構成要素は、静止画P、動画M、ナレーションN、音楽MU、にクイズエディタによるクイズQが加わっている。
先ず、図3のイントロダクションS1のクリック受付画面で「ON1」をクリックすると、シーン2(S2)に進み、図4に示す表示画面P1が表示される。P1の画面構成は、ロケット(H2Aロケット)が発射されるシーンの静止画とクイズボタンが表示される。同時に音楽MU1が流れ、ナレーションN1が行われる。
続いて、クリック受付画面で、「ON1」をクリックするとロケット発射シーンの動画M1に進み、「ON2」をクリックすると数字クイズエディタに進む。
【0034】
数字クイズエディタは、数を数えるクイズ、数を加えるクイズ、数を減らすクイズ、で構成されている。各機能は以下の通りである。
(1)数を数えるクイズ:100までの数字の中、予め指定した(お母さん等が登録画面で文字を登録)、10個の数字をランダムに表示する。
この数字をクリックすると、その数字が発音される(英語、日本語で)。
クリックした数字を順番に並べる。(別の場所に表示させる)。指示した通りの順番で指定できたらOKを発音して、次へ進み、間違いだったら、ERROR(エラー)と発音して戻る。
(2)数を加えるクイズ:予め用意された画像からひとつずつランダムに表示(画像はお母さん等が登録して置く)。
条件1と合ったらカウントupして表示する。
条件2と合ったらカウントupして表示する。
条件1と条件2と両方を合わせた数を答えさせる(クリックして選ばせる)。答えが合ったらOK、駄目ならERRORを出す。
(3)数を減らすクイズ:適当な数の画像を出し、その中から条件に合わない画像を選ばせる。
画像を選ぶとカウントアップし、全て選んだところで「おしまい」ボタンをクリックする。選んだ画像の数が合ったらOK、ERRORの場合は、選んでいないものがあるか、多すぎるかを知らせる。
【0035】
一方、クリック受付画面で、「ON1」をクリックすると、動画M1として、ロケット(H2Aロケット)が発射されるシーンが、メディアプレーヤーを並列に呼び出されて再生表示される。同時にナレーションN2によるゲーム説明が流れる。次に、画像P1のクリックボタン部分がクイズエリアに変わって、カウントダウンクイズQ1を実行する。音楽はMU2に変わり、ナレーションN3によりゲームの説明が行なわれる。
続く画像の変化は、画像P2によりロケットの切り離しシーンが、約15秒間表示される。
続いて、画像P3として、地球が遠ざかるシーンが、約15秒間表示され、その間、音楽MU3が流される。
【0036】
次に、シーン3(S3)について説明する。
図5に示すように、図3のS1で「ON2」をクリックした場合は、図4と同様に画面P1が表示され、クリック受付画面で「ON1」をクリックすると動画M1が現れる。この部分は図4と同じ処理となるので、重複する説明を省略する。
一方、「ON2」をクリックすると、文字クイズエディタに進む。
文字クイズエディタは、画像の言葉(名前)を当てるクイズと、ことばから画像を当てるクイズ、の2つで構成され、各機能は以下のようになる。
(1)画像の言葉を当てるクイズ:予め用意された月関連等の画像からいくつかの画像を選択する(画像はお母さん等が登録して置く)。
選択した画像についてその名前(例として、月)を入力する。「あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら、わ」の10文字が表示され、それぞれをクリックすると「あ、い、う、え、お、か、き、く、け、こ」と出てくるので、その中から文字をクリックして選択する。答えが、画像の名前(ことば)に合っていたらOK、間違っていたらエラーとする。
(2)ことばから画像を当てるクイズ:予め用意された名前から、その言葉を表す画像を選ぶ。
選んだ画像が合っていればOK、間違っていればエラーとする。
【0037】
次に、シーン4(S4)について説明する。
図6は、図2に示すシーン4(S4)の数字遊び(加える)の処理の流れ図である。S4の旅行テーマは「月に到着し、周回する」段階であり、先ず、画面P1が表示される。この場合の表示画面P1は、小さくうつった月の画像、にクイズボタンが表示される。この間、音楽MU1が流れ、画像P1に月が表示されているので、ナレーションN1で月の説明を行う。
ここでクリック受付画面により、「ON1」をクリックすると、動画M1として、月の回りに探査衛星が周回して、月に着陸するシーンを、メディアプレーヤーを並列に呼び出して再生表示する。ナレーションN2によりゲームの説明を流す。
次に、クイズQ1として、画像P1の、小さく写った月の画像のところに、月に関係する画像と地球に関係する画像を10個程度順番に表示する(関係のない画像も入れる)。
地球に関する画像は(1)、月は(2)、どちらでもなければ(3)、をクリックし、それが正解ならば簡単な画像の説明をナレーションN3で実行する。間違えた時はエラー音を出す。
最後に月と地球の画像数の合計を入力して正解なら次に進む。次に、画像P2として、いよいよ月が近付いてくるシーンを表示し、画像P3として、ロケットで打ち上げた衛星が月を周回するシーンを表示する。この間、音楽はMU2を流し続ける。
一方、クリック受付画面で「ON2」をクリックすれば、文字クイズエディタへ跳ぶ。
【0038】
次に、シーン5(S5)の説明に移る。
図7は、図2に示すシーン5(S5)の文字遊び(ことばあつめ)の処理の流れ図である。
図7のS5は、表示画面P1と、クリック受付画面で「ON1」をクリックした場合に進む動画M1の表示内容とが、前のS4と同じである。
但し、M1以降の処理から異なり、クイズQ1として、宇宙に関する言葉を集める。10個のことばをひとつずつ表示し、宇宙に関係するかどうかを当てるクイズを実行する。(クイズエディタで登録したクイズ)。この間、音楽はMU2に切換える。
続いて、画像P2として、クイズQ1で使用した宇宙に関係する画像に新しくお話しをつける。画像は複数選択できて、独自の絵本のようなものが作成できる。(お母さん等と一緒に文字を入れることができ、マイクでナレーションを入れることもできる。)この間、音楽はMU3に切換え、ナレーションN3で絵本の説明を行う。
続いて、画像P2でさらに月が近付いてくるシーンを、画像P3でロケットにより打ち上げた衛星が月を周回するシーンを、図6のS4と同様に表示する。
【0039】
一方、クリック受付画面で「ON2」をクリックした場合は、文字クイズエディタへ跳び、文字クイズエディタでは、お母さん等が用意した画像の登録と、言葉の登録が可能となっている。
ことばが宇宙に関係するものであれば、はい。違う場合は、いいえ、を選択して、答えが合っていれば、その言葉の説明と画像を表示する。
【0040】
次に、シーン6(S6)のYes/Noクイズについて説明する。
図8は、図2に示すシーン6(S6)のYes/Noクイズの処理の流れ図である。
最初に、画像P1として、月の画像と地球の画像を並べて表示する。音楽MU1を流す。
次に、クイズQ1として、月は地球より大きいか小さいか、Yes/Noクイズを行う。以降、クイズQ1〜Q5までのYes/Noクイズについては、正解なら10点加算して表示し、正解でも不正解でも説明をナレーションする。ここではナレーションN1によりクイズQ1の結果を流している。(尚、この例でのクイズのレベルは5、6才の子供を基本としている)。
次に、画像P2として、月の画像と地球の画像を並べて表示する。音楽はMU2に切換える。
クイズQ2として、太陽と月では、地球に距離が近いのは太陽か月か、というクイズを出題する。正解なら10点を加算し、回答結果をナレーションN2により流す。
続いて、画像P3として、月と地球の別の写真を表示する。音楽はMU3に切換える。
クイズQ3として、地球は青い星である、を出題し、正解なら10点を加算して回答結果をナレーションN3で流す。
【0041】
次に、画像P4として、月の表面の拡大写真を表示する。同時に音楽はMU4に切換える。
クイズQ4として、月の表面の大きな穴は、隕石がぶっつかった跡である。Yes/Noを問い、正解なら10点加算し、回答結果をナレーションN4により流す。
続いて、画像P5として、月に光が当たって半月になっている写真を表示する。
クイズQ5として、月の明るい部分は太陽の光が当たっている、を出題し、正解したら10点を加算して回答結果をナレーションN5により流す。
次に、画像P6として、月旅行におけるロケットの軌跡の写真を表示し、正解得点数を表示する。
答えが合っていれば、クリック受付画面で「進む」をクリックして次に進む。
次に、画像P7では、地球が大きくなってくるシーンを、約30秒表示する。
最後に画像P8として、地球の自然の美しい写真、を約30秒間表示し、月を周回して無事に地球に帰還したイメージを伝える。
【0042】
以上、月旅行をコンテンツとした数字遊び、文字遊びの学習ストーリーの例を説明したが、これに限定されるものではなく、その他にも学習ストーリーの具体例としては、例えば、男の子が興味を持つ対象コンテンツとしては、ロケット、人工衛星の他に、太陽電池パネル、スペースシャトルや惑星探査機(ローバー、ボイジャー等)の機械物とその構造、太陽と太陽系の惑星、隕石(隕石の動きやスピード感)、宇宙飛行士(スペースシャトルでの船内生活や船外活動)等に興味が向き、女の子の場合は、男の子とは大分異なり、恐らく宇宙から見た青い地球や地球で育つ植物・花の美しさや、宇宙の銀河星雲、星座(誕生月、占い等ファンタジックで美しいもの)により興味を示すと思われるので、学習ストーリー用のコンテンツは、男の子用、女の子用に別けて考えてもよいし、また、男の子は女の子を、女の子は男の子をパートナーに選び行動するようにして、基本的にはこれらを一体化した方式としても良く、また、親や先生が選択的に興味の方向へ誘導するような操作を可能にしておいてもよい。
また、学習アイテムについても、数字遊び、文字遊びに限定するものではなく、英語を始め他の語学教育等に援用可能であり、生徒、学生等を対象とした教材の場合は、各種の学習科目等に亘る電子学習教材に、また、一般社会人を対象にした教材では、各種の教育支援システム等に援用が可能である。
【0043】
上記に挙げたクイズエディタを用いることで、学習者に適したオリジナルクイズシーンをユーザーサイド(先生、親、学習者自身等)で製作してストーリー内に追加・修正し、学習者の興味や能力を引き出すインタラクティブ学習が可能となる。その他に、インタラクティブ機能を生かしたより効果的な学習方法として、既に述べた様なお好みシーンを作成・編集する対話型画面エディタを用いた絵本シーンや紙芝居シーン等のお話し作りをストーリーの中に組み込み、学習者に興味がある事項を主題としたお話し作りを盛り込むことで学習者の興味を引き出すことも考えられる。
具体的には、図鑑等で学習者が学習した事項やそれを基に学習者自身で思い描いた場面や将来の夢、遠足に行った時の場面や休日に行楽に出かけたときの楽しい場面、或いは得意分野で他の人に知らせたいことの紹介等を、学習者が主人公になり絵本等のお話しにしてストーリーの中に組み込み、ストーリーを学習者に対して興味深いものに変化させていく。
【0044】
また、学習者がその時最も興味を持っている題材、例えば、電車や機関車のお話、飛行機や船のお話、宇宙やロケットのお話等、学習者各自異なる興味対象をメインストーリーの中の一部に加えて各学習者オリジナルのストーリーに仕立てることにより、学習効果を飛躍的に高めることができる。従来トップダウン的に課題が与えられ、それに対して興味が有る・無いに関わらず作文や感想文等を書かせると言ったような、教える側の都合だけできめた半強制的かつ画一的な学習方法に比べ、例えば、興味の対象そのもので構成されたオリジナル絵本に自分でお話(説明文)をつけていくことが出来るインタラクティブ学習を盛り込んでおけば、学習者は自ら進んで自分の言葉で文章を考えお話を作成していくであろうし、親や先生と共に校正・添削を行いながら実施すれば、学習者は無理なく高い文章力や文字力をごく自然な形で身につけることができる。
【0045】
前述した本発明のお好みシーンを作成・編集するインタラクティブ機能を応用した幼稚園での学習ストーリーの提供例と学習方法の例及びその効果を下記に示す。
(A)既に例として示した月を題材にした宇宙旅行のストーリーを初期学習ストーリーとし、それに関連する情報として、先生が、宇宙に関する映像を集めた映像ライブラリと、地球や地球の自然に関する映像を集めた映像ライブラリとを用意し、本発明のインタラクティブエンジンのライブラリに登録しておく。
(B)学習者である幼児を、宇宙に興味を持つ幼児のグループと地球及び地球の自然に興味を持つグループとの2つのグループに分ける。グループ分けは、初期学習ストーリーにより学習させてみて様子を観察したり、個々の幼児にヒヤリングを実施したりして幼児の希望や適正、興味の対象等を探りながら実施する。本発明のエンジンの上でストーリーを学習すると、エンジンのデータベースに学習者の反応や、学習の習得度、興味の方向性を示すデータを残すことも可能なので、それを見ながらグループ分けを実施しても良い。
(C)先生は、エンジンのお好みシーンを作成・編集するエディット機能を用いて、2つのグリープに対応した初期の映像を学習上の重要な観点も盛り込んだ形でそれぞれ選択しておき、絵本のように並べてオリジナルシーンを製作しておく。但し、先生の声による簡単な解説(マイクによるアナウンス)は各カット場面に対して付けておくが、絵本のための文章によるお話は付けないでおく。そして、宇宙の絵本シーンは、月旅行を終了した直後、即ち、シーン6(S6)のP6とP7の間に、お好みシーンを呼び出すファンクション命令(ファンクション・コール)を挿入することによりサブシーンとして追加しておき、地球及び地球の自然の絵本シーンは、シーン6(S6)のP8−1〜10にて美しい地球の自然が映し出された後の、次のシーン7(S7)として追加・登録しておく。この様に、学習ストーリーに自然に馴染む形でお好みシーンを追加していけば学習対象や目的の連続性も保て、興味が発散することも少ない。
(D)各グループの各幼児は、先生達によってオリジナルの課題をお好みシーンとして盛り込まれた新しい月旅行の学習ストーリーを受け取り、各自のパソコンにより学習を開始する。追加されたお好みシーンに到達すると、一通り、絵本シーンの画像が流れ先生の声による解説が終了すると、お好みシーン編集用の対話型画面エディタが開き、自由に画像の入れ替えや、「あいうえお50音表」をマウスクリックすることによって絵本のためのお話しを入力することが出来るようになる。
幼児たちは先生やグループ内の他の幼児たちと会話をしながら、各カット場面の絵や写真に対してお話しを付けていくことで、それぞれ各人のオリジナル絵本を完成していく。各カット場面の絵や写真も、前述した映像ライブラリから入手(ドラッグ&ドロップ等により入手)して幼児が気に入ったものに自由に変更しても良いことにしておく。また、図鑑の絵や写真、オリジナル写真等を幼児と親が一緒にデジタルカメラで撮影して自宅から画像データとして持って来させ、映像ライブラリに登録して使用してもよい。
この様に、親にも何らかの形で学習に参加してもらい、各幼児オリジナルの画像等のデータを作成しオリジナルライブラリとしてエンジンに登録していくことで、学習ストーリーに対して親近感を持たせることにより幼児の興味をさらに高めて、学習効果向上に直結させることができる。例えば、自分で撮影したデジタルカメラの映像や、自分自身の姿を貼り付けたオリジナル画像等が画面に現れるだけでも幼児は興奮し、高い興味を示す。
(E)各幼児は、自分なりにアレンジした絵本シーンの各カット場面を構成する絵や写真等の映像に対してお話しを文章で入力した後、それをエンジンの音声合成出力機能を用いてパソコンに喋らせることもできる。幼児は自分のお話しをパソコンが喋るだけでも興奮し、さらに高い興味を示す。先生も交えてグループ内の幼児間で自分のオリジナル絵本シーンを見せ合って相互に学習したり、パソコンで絵本シーンを実行しながらパソコンにお話しを喋らせて皆で聞きながら質問や感想を話し合ったりするとさらに学習効果が得られると考えられる。
また、2つのグループ間で発表形式にて、一番人気の高いオリジナル絵本を発表しあったり、グループ内のオリジナル絵本を融合してひとつの大きな絵本を作り発表しあったり、全員がオリジナル絵本を発表してコンテストを実施する等、幼児のやる気を引き出す企画は色々考えられる。先生や親も、各幼児の絵本シーンに対して、後から編集してコメントや質問等のカット場面を追加する等変化を加えることで、本発明のインタラクティブエンジンを介して各幼児と個性や感性を尊重しながら会話し、学習を望ましい方向に自然に誘導していくことができる。
従って、これまでの先生と学習者との間で相互に十分な情報のやり取りを行いながら進めるインタラクティブ学習に比較して、本方式ではインタラクティブエンジンが学習者の興味や自発性を十分引き出しつつ学習者と密に情報交換や対話を行いながら学習を導いていく役割を果たすため、常に先生が学習者と対面して対話しその様子や反応を見ながら学習を進める必要性も少なくなり、教える側の効率も向上すると考えられる。
【0046】
今回の学習ストーリーでは月旅行のコンテンツのみ示したが、これに付随して、例えば、男の子用の学習ストーリーのコンテンツ補充として、宇宙旅行シーンについて、次のようなリストアップも考えられる。
(1)ロケットを作ろう→「ロケットとは」、「ロケットの構造」、「ロケットの組み立て現場」、「人工衛星って何?(人工衛星の機能と構造)」
(2)宇宙とは→「宇宙の始まり」、「太陽ってなに?」、「私たちの住んでいる地球」、「地球の仲間の惑星たち」
(3)宇宙飛行士になろう→「宇宙へ行くには」、「宇宙飛行士の訓練」、「宇宙船(スペースシャトル)での生活や活動」
(4)目指せ火星→「火星人っているの?」、「火星探査機」、「火星はなぜ赤い?」、「火星のそばを通過だ!」
(5)目指せ木星→「隕石だ(小惑星帯に突入した)」、「隕石って何?」、「木星にも輪があるぞ」、「でかいぞ木星」
(6)次は土星だ→「大きな土星の輪」、「輪の正体は何?」、「木星と土星は兄弟」、「土星を一周して地球に帰る」、
と言うような宇宙旅行コンテンツの補充・拡張等も考えられる。
【0047】
その他にも、システム側で宇宙船クリストファー号(仮称)を創出して、子供にクリストファー号の乗組員になって貰い、画面中の船長等のキャラクタに、「君は宇宙船クリストファー号の乗組員だ!」と参加を呼び掛けさせる、等としてもよい。
学習ストーリーもクイズだけではなく、乗組員には様々なミッションを用意して、この場合のミッションは、ミッション選択→成功・失敗という遷移を辿るような内容ではなく、あくまでもゲーム感覚で自由に遊んだ結果として、ミッションが達成されるという形をとるようにし、ミッションが達成されると、勲章(バッジ風のもの)が獲得できるようにする。例えば、「軌道上から冬の星座を観察したら」、その星座の名前のバッジが獲得できたりする。バッジはミッションや達成度(階級)に応じて、その色・形は様々な形にすることができる、と言ったバリエーションも追加することができる。
【0048】
次に、電子記録媒体12としてDVDを製作する場合の具体的な実施形態の一例について説明する。
図9は、図1に示す電子学習システムに用いる電子記録媒体製作システムの構成図である。
図10は、図9に示す教材提示手段の処理のフローチャートである。
図11は、図9に示す教材参加・完成手段のフローチャートである。
図9において、21は教材提示手段で、コンピュータシステムにより構築される本発明の電子学習システムにおいて、実際に教材用の電子記録媒体12(この実施例ではDVDを用いる)を製作する電子学習教材センター1側に設けられた(図1では図示せず:一部重複又は兼用する機能あり)学習ストーリーを記述・提示してDVD23を製作する部分であり、ストーリーエディタ・コンパイラ(或いはインタプリタでも良い)とも呼ぶことができる部分である。教材提示手段21では、国内外の宇宙航空関連事業団体や放送局等の教材用コンテンツを用いてプロトタイプの初期教材DVDに収録する基本部分の初期学習ストーリーを作成し、次に説明する教材参加・完成手段2によって、幼児たちの反応をインタラクティブに取り入れ最終版の学習ストーリーのDVDを製作する。
【0049】
22は教材参加・完成手段であって、教材提示手段21が電子学習教材センター1側であったのに対して、こちらはユーザーとしての学習者端末側の処理ブロックであって、教材提示手段21から提示されたプロトタイプの初期教材DVDのシーンを観賞しながら学習ストーリーを展開し、各種の独創的な反応を幼児達の操作によりインタラクティブに発生させることによって、最終版のDVDの製作完成に参加するもので、シーンエディタ・エグゼキュータと呼ぶこともできる。
23はDVDであって、教材提示手段21により製作した基本的な教材部分のみを収録した初期教材DVD(プロトタイプ)を幼児たちに提示し、教材参加・完成手段22により幼児たちの生の反応を更に取込み、編集・収録することによって最終的なDVDを製作する。24は教材収集・選択手段であって、各国の宇宙航空関連事業団体から得た各種の宇宙情報や、放送局の各種科学番組、幼児番組等の既成のコンテンツ等を用いて、各種の宇宙科学教材用等のコンテンツを収集し、目的に応じて整理・選択する。
【0050】
25は学習ストーリー作成手段であって、教材収集・選択手段24によって集められた宇宙航空情報や科学番組等の各種コンテンツを使用し、基本的な学習ストーリーの部分として幼児向けの教材を編集して作成し、作業を快適に行うために高速アクセス可能なRAM(Random Access Memory)28に一時格納する処理を行う。また、後にシーンストック手段(後述する)によって画像データベースに格納された幼児が印象深いと感じた各種取込シーン及び幼児の感想文や創作絵等を読出して、最終版のDVDを編集し作成する。
26はDVD製作手段であって、RAM28に格納してある学習ストーリーの画像、音声、テキスト等のデータを、DVDの互換性フォーマットUDF(Universal Disk Format)に変換して、レーザ書き込みによりディスク面にピットパターンを形成してプロトタイプのDVD23を製作する。(また、後で幼児の各種反応を反映・追加した最終版DVDを製作する)。
27はデータベースであって、収集した教材用コンテンツ、各種履歴データ等を格納するデータベースである。
【0051】
29は学習者端末側の教材参加・完成手段22(図1では図示せず:一部重複又は兼用する機能あり)の中のDVD再生手段で、例えば、幼稚園児各自が使用するPC(パーソナルコンピュータ)のDVD再生装置や教室の大型ディスプレイに表示するためのプロジェクタ等を含むものとする。
30はシーン取込手段であって、幼児がDVD観賞中に印象深いシーンが表示された場合にマウスを操作することで、印象に残ったシーンを静止画等のデータとして取込むものであり、補助的にカメラ、マイクを取付けて幼児の動作や発する音声を記録する。例えば、幼稚園の年長さん(小学校入学直前のクラス)は全員マウス操作が可能かもしれないが、2才、3才、4才と言った年少クラスでは無理な子もいるので、カメラ(両手を挙げたり、立ち上がったり興奮度を表す動作)、マイク(驚きの大声等)のデータをスイッチ代わりに併用する。
【0052】
31はシーンストック手段であって、シーン取込手段30によって取込まれた印象深いシーンを時系列にデータベース27に履歴データとして格納する。32は学習者創作手段であって、プロトタイプの初期教材DVDを観賞した感想文や、マウスクリックで取込まれた印象深いシーン等を基に描かれた各自の創作画や、幼児が作ったクイズ等をコンテンツとしてデータベース27に格納すると共に、最終版DVDの各シーンや各ストーリーに反映させる。
【0053】
次に、図10のフローチャートを参照して各処理について説明する。
先ず、電子教材学習センター1に設けられた教材提示手段21は、宇宙・自然・生命等を主題とする幼児用科学教育教材として、国内外の宇宙航空関連事業団体や放送局等の教材用コンテンツを収集し(S201)、データベース27に収録する(S202)。
ここで教材用コンテンツは、宇宙関連情報に限定するものではなく他の情報も含まれることは勿論であるが、説明を簡単にするために、この実施例では宇宙航空関連の情報ジャンルを選択し、これを教材コンテンツとして用いて幼児向け宇宙科学教育用の学習ストーリーを作成し、教育版DVDを製作するまでの手順を、DVD作成処理の代表例として説明するものとする。
【0054】
選択したコンテンツ(この実施例では宇宙航空関連情報)を基に編集した基本的なストーリーのみで構成するプロトタイプの初期教材DVDを作成するための初期編集モードか、それともプロトタイプの初期DVDを幼児に見せて、幼児各自の反応を探り、その反応を最終DVDの製作に取込み、反映させるための最終版編集モードか、を判断する(S203)。
S203の判断が、初期編集モードの場合は、データベース27より編集対象となる所定数の教材用コンテンツを読出しRAM28に格納する(S204)。
学習ストーリー作成手段25は、読出した教材用コンテンツ(この場合、宇宙航空関連情報)を基に基本となる初期学習ストーリーを編集・構築する(S205)。
電子学習教材センター1側の処理としては、学習者端末7側で提示するものと同様なメニュー画面を用意し、例えば、画面中央のプレビュー画面に表示される宇宙船(又は、宇宙センター等)の各部屋(地球と月、私達の太陽系、宇宙のしくみ、ロケット…等)の扉をクリックすると、階層構造の各詳細情報へリンクするように製作担当者が操作することで、ストーリー全体を構築するものである。
【0055】
このようにして、宇宙航空等のコンテンツを用いて学習ストーリーが作成されたら、初期教材DVD23(プロトタイプ)の記録製作を行う(S206)。
DVD23の製作には、RAM28を利用して高速な作業領域を確保し、DVD編集ソフトを用いた、画像、音声、テキスト各データの編集作業を行って、汎用フォーマットUDF(Universal Disk Format)のデータ形式でピット記録を行う。
尚、編集用ソフトとしては限定するものではないが、例えば、ShowBiz(登録商標)、MyDVD(登録商標)等を使用することができる。
【0056】
次に、図11を参照して幼稚園児、幼児等の反応に関する学習者端末側の処理を説明する。
ここでは、上述の電子学習教材センター1側で製作したプロトタイプの初期教材DVDを幼稚園児、幼児と親、先生達に見せてその反応情報を取込み、第3者参加型の最終版を再度編集して製作するための反応情報取込処理を行う。DVD鑑賞者の反応情報取込方法はマウス入力が基本操作であるが、PCに装着したマイクによる発声の収録、カメラによる動作の収録が併用できるようにする。
先ず、幼稚園等で幼児用が操作するPCや、全員で見られる大型スクリーンに投影するためのプロジェクタ等により、DVD再生ソフトによって、先に製作したプロトタイプの初期教材DVD23に記録された情報を再生する(S301)。
【0057】
再生中、鑑賞者の反応をマウス入力、カメラ・マイク等による監視を開始して(S302)、マウス入力があったか、或いは、マウス操作が正確にできない年少組等の場合は、カメラ・マイクの出力が一定のしきい値を超えたか、を判断する(S303)。マウス入力やカメラ・マイク出力のしきい値変動等がなければ監視を繰り返し続行する。ここで、カメラ・マイク出力のしきい値検出に代わり、マイクの出力音声が所定のパターンを検出したか、カメラの出力画像が所定のパターンを検出したか、等としてもよい。
マウス入力が検出されたか、カメラの画像データの変動幅や、マイクの音量出力がしきい値を超えたら、DVD23に記録された当該シーンを取込む(S304)。取込んだシーンは静止画でも、一定時間内の動画でも可能である。
このようなインタラクティブ操作は画面上の人形や擬人化した動物等のアニメーションキャラクタの操作案内や操作指示に従って行い、より幼児に親しみやすいものとしている。
【0058】
こうして取込んだ幼児の反応が大きかった順に取込シーンをデータベース27に履歴データとしてストックする(S305)。
DVD画像の中から印象深いとされてストックされたシーンを基に、幼児個々に感想文や創作画を作成する(S306)。
これらの幼児の創作にあたっては、幼児個々の名札を付けたシーン蓄積箱をソフトウェア上で仮想的に設置し、幼児はシーン蓄積箱を開けて中のシーンを取出し自由に繋いだり、親子共同で創作したりすることによって、幼児だけのオリジナル絵本を創作しプリントアウト等もできるようにする。例えば、「太陽系の惑星間を自由にロケット旅行ができて、どの星でも人間が生活できて滞在できる」といった内容の自由な夢の世界が展開されるものであり、こうした幼児の創作に親や先生が補足説明を加えると言った方法で、学習・宇宙科学知識の拡充を図る。
【0059】
また、シーン蓄積箱にはクイズ袋も設けて、幼児が創作の段階で、例えば、太陽系の星の絵を描いたり感想作文を書いたりした時に、自分の疑問をクイズの形式で「地球は太陽系の中で太陽から何番目の惑星でしょうか?」等と書き残させる。これに親や先生の回答を書き加える。
あるいは、「宇宙船スペースシャトルは、下の乗り物のどれに似ているでしょうか?a自動車、bグライダー、cヘリコプター」等の質問に対して、bのグライダーに一番似ている、という正解を親や先生が付け加える。
こうしたクイズはクイズ袋の機能により、クイズと回答とは切り離して学習ストーリーの任意の箇所に挿入すれば、他のお友達が学習ストーリーを見た時に封筒を開けてクイズを実行することができるので、クイズを作ったり、回答を考えたりすることで科学知識が高まる。
以上のような幼児の反応、感想文、創作画、それらに対する親や先生の回答・解説の添え書きは、全て履歴データとして時系列にデータベース27に収録される。
【0060】
再度、図10のフローチャートに戻って、システム側による幼児の反応をフィードバックした最終版DVD23の製作について説明する。
先ず、S203で、プロトタイプのDVD製作についての初期編集モードか、の判断で、初期編集モードではなく、最終版の編集モードの場合は、データベース27より幼児たちのストックシーン、感想文、創作画、クイズ、添え書き等を読出す(S207)。
読出したシーン、感想文等を学習ストーリーに反映させ、例えば、「私たちの太陽系」等の各項目について、初期ストーリーの変更、追加、更新、クイズの挿入等による再編集を行って、最終版の学習ストーリーを作成する(S208)。
作成した最終の学習ストーリーに基づいて、初期版の書換え、追加を行って学習者一人一人がそれぞれ異なる独自のストーリーとした最終版DVD23を製作する(S209)。
【0061】
以上の説明において、電子学習教材センター1側で使用するデータベースと学習者端末7側で使用するデータベースは、通信ネットワーク等を介して共通にアクセスできるものとしているが、電子学習教材センター1側のデータベース27からDVDを介して必要な情報をユーザー側の記憶装置に取り込むようにしてもよい。また、DVDの最終版の書き込みも電子学習教材センター1側で行うようにしたが、電子学習教材センター1側で共通の内容のみを初期版DVDとして書込・製作し、学習者端末7側のPCでその内容を取り込み、独自のストーリーを加えて再編集した最終版DVDをユーザー側PCで製作するように構成しても良い。
【0062】
こうして製作したDVD3は最終ユーザーの幼児(幼稚園、親)に応分の価格で引き渡され、課金される。
尚、以上の図10、11のフローチャートの説明では、幼児の反応取得回数と、再編集回数が1回として説明したが、勿論これに限定するものではなく、何回でも繰り返し実施は可能であり、幼児の対象メンバーを入れ替えたり、初期学習ストーリーの構成を代えたりする各種バリエーションの変更も可能である。こうしたユーザーの希望による各種バリエーションの変更は、オブションとして販売価格に反映されることになる。
また、ユーザー側に引き渡す最終版DVD23の構成は、通常は基本となるプロトタイプのストーリーが80%、ユーザー側の反応による反映部分が20%程度を目安として、各種のバリエーションによる変更は自由である。
【0063】
以上、月旅行を始め学習ストーリーのコンテンツとして宇宙科学を取り上げたが、これに限定するものではなく、生命、自然科学の分野、植物、動物、人種、熱帯、温帯、寒帯、北極、南極、サバンナ、海中生物、鳥類、競技、芸術…、等百科辞典に掲載されているような事象は全て対象コンテンツとして採用可能である。
そして、あらゆる学習ストーリー(内容は、幼児の数遊び、文字遊び、から一般社会人を対象とした、料理、科学、営業、趣味、教養、各種研修講座、等の教育支援システムまで含めて)に拡大可能であり、一度、立ち上げた電子学習教材は学習訪問者が変わる毎に、時間の経過につれて、操作情報も反応情報も変わるので、学習ストーリーの履歴情報をベースに、常に動的に進化してバージョンアップして行くことにもなる。
【0064】
最後に、インタラクティブエンジンの構成について、以下に実施例を挙げて詳しく説明する。
上述した実施例では、幼児やその親、先生等、学習に関わる操作者、参加者を対象にした電子学習システムについて説明してきたが、本システムは、同様の手法によって、操作者のスキルや能力の向上を図り、興味を増幅する必要性があるような一般的なプログラミングシステム(電子システム)にも適用できるので、その構成の核となるインタラクティブエンジンの説明をする。
図12は、本発明の標準的なインタラクティブエンジンの実施例(図1の4、5、8等を統合して、インタラクティブ機能を有するエンジン5として構築した例)である。
インタラクティブエンジン5は、メインエンジン5aが中心の実行用シーケンサとなり、外部の市販又はフリーソフトとして提供された汎用エンジンや専用エンジンを利用し、様々な機能命令の実行を担当する外部エンジン機能5b、ストーリー処理のための基本的な本エンジン固有の機能命令の実行を担当するオリジナル命令実行機能5c、各種スクリプトをはじめ実行用プログラムの編集機能等を提供するインタラクティブエディタ機能5d、シーンスクリプトやストーリースクリプト等のストーリー記述・実行用プログラムに変換しメインエンジン5aで直接解釈・実行可能なファイル等を生成するストーリー及びシーンスクリプト生成機能5e、様々なストーリーやシーンをライブラリ的にストックしておくストーリー・シーンストック手段5g、及び現在実行中のスクリプトファイルを管理するスクリプトファイルを管理手段5j、すべてのエンジンやエディタ機能からアクセス可能でありシステム内で共通に使われるファイル、データ、ステータスや制御・管理情報、及び知識ベースやライブラリ等のデータベース等を格納する共有記憶手段5h、インターネット等と接続するための外部情報通信機能5i、等の機能ソフトや機能手段と情報をやり取りしながら、それらに対する必要な操作やファンクション・コール/リターンによる機能呼び出し等を行うことによって、その時点で実行状態にあるスクリプトファイル管理手段5jに記述されているストーリーを具現化するための各種処理(エンジンの各種機能を表現するための命令ステートメント形でスクリプトファイル上に記述)を実行していく。
【0065】
尚、図12の細枠で囲った機能5b、5c、5d、5e、5f、5jは、メインエンジン5aと別のソフト又はハード機能の様に便宜上記載しているが、メインエンジン5aの実行機能の実態部分や、サブ機能部分及び実行動作に必要な情報記憶機能等に相当し、メインエンジン5a機能の一部と考えて扱っても良い。それ以外の太枠機能5h、5g、5iは、メインエンジン機能5aとは別に構成しても良い部分であるが、情報交換機能(OS、通信ソフト・ハード、メディア媒体も含む)を介してメインエンジン5aと通信できる必要がある。
【0066】
また、エンジンのシステム構築形態やインストール形態の観点から言えば、図1に例示した様なネットワーク型の構成を採ってハード・ソフトで構成した図12の各種機能を各種通信機能(ネットワーク通信機能も含む)で互いに接続して構成することもできるし、スタンドアローンタイプのコンピュータシステム(例えばパーソナルコンピュータ)上で図12の各種機能をソフトウェアモジュールとして備え、互いに接続して(又は互いに通信させて)構成することもできる。即ち、必要な機能モジュールが揃っていて、お互いに通信する機能(OS等の通信機能や、インターネット等の外部通信機能を用いても良い)があれば、処理能力や応答性能(リアルタイム性能)が満足いく範囲内であるならば、インタラクティブエンジンの各機能がどのような形で分散されて必要な処理系やシステムが構成されていたとしても特に問題はない。
【0067】
インタラクティブエディタ機能5dは、幼児等の学習者、先生や親といった一般のユーザー(プログラミングスキルの高くないユーザー)でもストーリーやシーン(ショートストーリー)、カット場面(サブシーン)等の製作・編集・修正・変更・追加・挿入が可能な様に、対話型の画面エディタ機能5fを備えている。既に述べたとおり、ユーザーはこの対話型エディタ5fを用いることにより、画面上に表示されるエディタ画面の指示に従い簡単に学習者自身の目的に合わせて学習ストーリーを変更していくことができ、学習者の興味や自発性を引き出しながら学習を進められるため、学習効果向上が期待できる。
【0068】
対話型エディタ5f機能の中には、シーンスクリプト生成用対話型画面エディタ5f1、ストーリースクリプト生成用対話型画面エディタ5f2、クイズ用対話型画面エディタ(クイズ製作・実行)5f3、絵本用対話型画面エディタ(お好みシーン製作・実行)5f4、動画・アニメーション用対話型画面エディタ(動画の製作・実行)5f5、等の画面エディタ機能を用意している。この中で、クイズ用対話型画面エディタ5f3、絵本用対話型画面エディタ5f4、動画・アニメーション用対話型画面エディタ5f5の各エディタ機能は、製作と実行処理とを兼ねた構成となっており、実行状態を見ながらその場で修正・追加等の編集作業を行い、リアルタイムオンラインでストーリーを変化させることも可能である。
【0069】
絵本用対話型画面エディタ5f4は、既に述べた「お好みシーン」を製作・実行するためのものであり、基本的に静止画ベースであるが、既にファイル化された動画や、静止画を複数枚少しずつ変化させて指定のインターバルタイムごとに連続表示していく機能も備えているので、ユーザーは簡単なアニメーションを製作して絵本に挿入したり、ビデオ等で撮った動画ファイルを使用して絵本に挿入したりして、アニメーションや動画入りの絵本を製作することもできる。編集が終了すると、スクリプト生成ボタンを押せばシーンスクリプトファイル等のストーリー記述用ファイルが生成される。
【0070】
通常、ここで生成されるストーリー記述用のスクリプトファイルは、テキストファイル等の汎用ファイル形式を採っており、コンパイル方式や中間コード形式のインタプリタ方式では、ストーリー及びシーンスクリプト生成機能5eを介して解釈処理が実施され、直接実行可能なオブジェクトコードに変換されるか、インタプリタ用の中間コード(そのインタプリタが解釈・実行可能な中間的なコード)に変換される。もし、テキストファイル等の汎用ファイルの内容を直接解釈・実行できるインタプリタであれば、変換されずにそのまま実行することも可能である。必要なら、その変換スクリプトファイルやオリジナルのスクリプトファイルを、ストレージ機能をもつストーリー・シーンストック手段5gや、共有記憶手段5hに格納(保存)しておく。
【0071】
スクリプトが実行されるときは、ストレージ機能をもつストーリー・シーンストック手段5g、共有記憶手段5hやディスク等の汎用ストレージから実行用のスクリプトファイルを記憶・格納・管理するスクリプトファイル管理手段5jに実行すべきスクリプトファイルが移され、そのスクリプトに記述されている命令ステートメント群(中間コードやオブジェクトコードに落ちている場合もある)を、メインエンジン5aが解釈・実行してストーリーを展開していく。(但し、コンパイラ形式の場合は、エンジンを構成するCPUが直接解釈・実行可能なプリミティブコードに変換されている場合もある)
【0072】
クイズ用対話型画面エディタ5f3は、既に月旅行のストーリー例でも紹介した様に、幼児の学習用としては、文字遊びクイズ、数字遊びクイズ、イエス・ノークイズ等が考えられるが、他の同様な形式のクイズは同じエディタ機能を用いて処理できる様に構成可能である。クイズ用対話型画面エディタ5f3は、パラメータ設定や、問題・説明用テキスト及びアナウンスの設定、画面構成やクリックボタンの設定等を変更するだけで、先生や親がクイズの内容を簡単に変更できる機能を持っており、学習者の進捗度に応じてクイズの難易度や学習内容を調整していくことが出来る。ここで製作されたクイズシーンの情報は、例えば、オリジナル命令実行機能5c内のクイズ実行用機能(図示せず)のようなメインエンジン5aの実行機能により実行されるソフトに登録され、ストーリースクリプトやシーンスクリプトからのファンクション呼び出し命令で実行するか、又はひとつのクイズシーンとしてストーリー内にアサインすることが出来る。
【0073】
スクリプト生成用の対話型エディタであるシーンスクリプト生成用対話型画面エディタ5f1、ストーリースクリプト生成用対話型画面エディタ5f2は、幼児等の学習者、先生や親等のプログラムスキルの高くない一般ユーザーが、製作したいストーリーやシーンを表現するためのプログラムファイルであるスクリプトファイルを容易に製作するためのエディタ機能であり、エディタ画面の指示に従って対話型で情報を入力することにより簡単にスクリプトファイルを生成できる機能を提供する。
【0074】
その他、インタラクティブエディタ機能5dは、ストーリー製作者であるプログラマ向けに、テキストファイル形式(別の汎用形式を用いても良い)でのスクリプト記述も許している。従って、汎用のテキストエディタでもスクリプトファイルを記述可能であるし、その機能を一般のユーザーが利用してスクリプトファイルを編集しても良い。製作されたスクリプトファイルは、必要に応じてストーリー及びシーンスクリプト生成機能5eにより事前の解釈処理を行って、エンジン(又はCPU)で直接解釈・実行可能な状態に変換する。
【0075】
既に述べた様に、実行すべきストーリーは、スクリプトファイルを記憶・格納・管理するスクリプトファイル管理手段5jに移されメインエンジン5aにより処理されるが、スクリプトファイル管理手段5jのスクリプトファイルの構造は、ストーリースクリプトとシーンスクリプトとの階層構造となっている。基本的には、この2種のスクリプトには構造上の違いは必要なく、メインエンジン5aから見て同種のファイルとして扱えるように構成しても良い。即ち、本実施例では、ストーリースクリプト、シーンスクリプト(シーンスクリプト1)、サブシーンスクリプト(カット場面)(シーンスクリプト2)、と言う様に3階層まで例示したが、各スクリプト、例えばどれかのシーンスクリプトをストーリースクリプトとして捉えれば、その下の階層がそのストーリースクリプトから呼び出されるシーンスクリプト、さらにその下の階層がサブシーンスクリプトと言う様に、階層構造や階層数を限定せずに考えることもできる。
【0076】
外部エンジン機能5bは、メインエンジン5aにより実行されるオリジナル命令実行機能5cの機能ソフトだけでは処理が困難又は処理機能不足といった複雑な機能命令の実行を行う場合や、処理の組み合わせ上、外部エンジン側の命令群を用いた方が良い場合等に、メインエンジン5aから、対応する命令セット又は対応するファンクション呼び出し命令等によって外部エンジン機能5b上の必要な外部機能が起動され、外部機能の処理が終了した時には、外部エンジン機能5b側で決められた終了手続き処理がなされて、処理結果に関する情報やそれらの情報の格納場所情報等がメインエンジン5aに通知される、といった方法にて利用される。
【0077】
ストーリースクリプトやシーンスクリプト等のストーリー記述・実行用スクリプト上では、オリジナル命令実行機能5cで実行されるオリジナル命令群と同様に記述されて、ユーザーから見ると予め定められた命令手続きルール上の違いは有るかも知れないが、基本的には他の命令群と区別無く扱うことができる。即ち、スクリプトを見ている限り、どれがオリジナル命令用の命令ステートメントで、どれが外部エンジン機能5b用の命令ステートメントかを、ユーザーからは区別が付かない様に構成しても良いし、また、スクリプトを記述する上でも区別せずに構成できる様にしても良い。
但し、機能ソフト又は下位階層のスクリプト(メインエンジンから見た子ストーリーとしてシーンやサブシーンをひとつのファンクション機能として定義する場合のプログラムに相当する)を外部エンジン機能5bの命令セットで記述して機能化し、ファンクション命令としてメインエンジン5aから外部エンジン機能5bを起動して処理する場合、もしユーザーによりそのファンクション(機能)を定義する必要があるならば、そのファンクション(機能)が外部エンジン機能5b上で処理されることをユーザーは意識して外部エンジンの命令コードにてその機能を記述し登録・定義する必要や、メインエンジン上で実行されるスクリプトからその機能を呼び出す必要が生じる場合もある。
【0078】
外部エンジン機能5b内を構成するエンジン機能の例として、複数枚の静止画をリアルタイムでベクトル的につないで、その間の補間画像を生成する等、少ない情報から自動的にアニメーションを生成するための必要な機能を提供するアニメーションエンジン5b1、文字列又は単語・短文等の言語情報(テキストファイル等に格納されている)を解釈すると共に、様々な声質にて音声化・アナウンス出力する音声合成・プレイエンジン5b2、様々な音情報を作成・出力する音声作成・プレイエンジン5b3、複数方向から撮影した静止画又は動画から三次元画像を製作することや視点をずらした三次元立視等の三次元画像処理を行うための三次元画像製作・描画エンジン5b4、ビデオやデジタル動画の製作・ファイル化や音楽作成・編集及びその実行(表示、音楽出力)を行う動画・音楽作成・プレイエンジン5b5、ストーリー記述・解釈・実行のための他のフリーソフトや市販ソフトにより提供されるエンジン機能であるストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6等が考えられる。尚、これらの外部エンジン機能は、他の機能部分も同様であるが、ソフトウェア機能として用意しても良いし、その一部又は全部をハードウェア機能として用意して十分なリアルタイム性能や処理能力を確保できる様に構成しても良い。
【0079】
例えば、メインエンジン5aにより実行されるオリジナル命令実行機能5cの代りに、ストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6の命令機能を用い、メインエンジン5aのファンクション機能としてサブストーリーを登録した場合、メインエンジン5aが実行するストーリースクリプト上で、そのサブストーリーに相当するシーンを実行する場面に至ると、そのためのファンクション呼び出し命令が起動され、ストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6に処理が移り、その上でストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6専用のシーンスクリプトにて記述されたシーンが処理される。処理を終了すると、その処理中の必要な情報は共有記憶手段5h等のメインエンジン5aからアクセス可能ないずれかのストレージに保存されている状態で、メインエンジン5aのシーケンサ側に処理が戻され、その上でストーリースクリプトの次の命令ステートメントへメインエンジン5aのシーケンサは処理を進める。
【0080】
この例において、ストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6で実行するファンクション化されたシーンを、メインエンジン5aから見て外部エンジンで処理されるひとつの機能命令として製作者側で用意しておけば、ユーザーはストーリー・シーン製作・実行用外部エンジン5b6側を意識せずにストーリースクリプトを製作できることになる。
同様にして、外部エンジン機能5bを使用して処理できる多くの機能命令をメインエンジン5aの命令セット又はファンクション(機能)として予め幾つも用意しておき、メインエンジン5a上で解釈・実行されるスクリプトから自由に呼び出せる様に設計することによって、殆ど全ての処理機能をユーザーが外部エンジン機能5bを意識せずに利用することができる構成を積極的に採ることもできる。
【0081】
ストーリー変化手段8の機能を実現するために、インタラクティブ機能を通じて得られる様々な情報(例えば操作者の興味や反応、操作情報、個人情報等)が大変重要であるが、そのひとつの具体例として、操作者が自身で製作したストーリーや絵本、アニメ等をメインのストーリーに追加・挿入・変更していくインタラクティブエディタ機能5dとその実態機能である対話型エディタ5fについては既に詳しく述べた通りである。それに加えて、高度なリアルタイムエンジンとして、場面やストーリーの状況、操作者の興味、反応、操作情報、個人情報等に基づいて、自動的にストーリーを変更したり、新しいシーンやストーリーを自動的に製作して実行したりする知能処理エンジン機能5a1を、ストーリー変化手段8のひとつとしてメインエンジン5aに備えてもよい。
【0082】
知能処理エンジン機能5a1は、エンジン内部や外部(操作者も含む)から得られる様々な情報や、共有記憶手段5h等のストレージ機能に蓄えられた知識ベース、ライブラリ、環境・制御情報等から知的認識・判断処理を行い、それに基づいてその時の状況に見合った何らかの適切なストーリー変更処理を行う機能を有する。知能処理エンジン機能5a1における知的認識・判断処理機能は、外部エンジン機能5bの機能のひとつとして備えても良いし、リアルタイム処理が困難な場合は、ソフトウェア機能としてだけでなく、一部又は全部を専用のプロセッサやアクセラレータを用いる等のリアルタイムハードウェア機能として用意しても良い。
【0083】
知的認識・判断処理機能の具体例としては、ニューロネットワークエンジン、ファジーエンジン、スケジューラーエンジン、複雑系の解析・判断エンジン、言語認識・解析・判断エンジン等が考えられる。それらに加えて、ストーリー変更のためのオートプログラミング機能とリアルタイムストーリー管理・制御機能を知能処理エンジン機能5a1内に備えて知的認識・解析・判断処理機能と連動することにより、実時間で知的認識・解析・判断処理機能と情報を交換しながらストーリーを知的に変更していくように構成しても良い。幼児等の学習者や操作者は、通り一遍では無い知的に変化するストーリーによって、ストーリーや課題に対しさらに興味や学習意欲を高め、飽きずに繰り返して学習ストーリーを学ぶことができるようになる。
【0084】
学習者の様々な操作や反応に対し、親しみや温かみを持ってストーリー側が応答してくれると、特に幼児等の幼い学習者はそのストーリーに没頭して行き易いし、予想以上のより有効な反応も期待でき、学習者側の興味や学習意欲もさらに深まると考えられる。これまでのコンピュータ学習は一方的で押し付けがましく、学習者の反応には応答しなかったし、学習者の意思も反映できなかった。従って、ストーリーに変化が無く、親しみや温かみも無いため、一度実行するとその時点で飽きが来てしまうのが最大の難点でもあった。ここでは、そう言った根本的な問題を解決するために、知能処理エンジン機能5a1と連動したリアルタイム知的ストーリー変化処理によるインタラクティブ機能をストーリーに盛り込むことを考えてみる。
【0085】
知能処理エンジン機能5a1による、リアルタイム知的ストーリー変化処理の一例として、「宇宙旅行で親睦を深めた宇宙人パートナーと最後に別れるシーン」を想定し、表現する方法を以下に例示してみる。先ずは、シーンの構成を示す。
(ア)宇宙旅行から帰ってきてパートナーである宇宙人とクイズ形式で思い出話をするシーンを実行。
(ア−1)10問程度のYES/NOベースのクイズを宇宙人パートナーが学習者に対して出題し、それに学習者が回答するシーン。(声を出してパートナーに語りかけても良い)
(ア−2)クイズに対する学習者の反応や回答に対して知能処理エンジン機能5a1が応答し、画面上の宇宙人パートナーが笑ったり、泣いたり、怒ったり、言葉を返して対話したり等の動作を行うリアルタイム知的ストーリー変化処理によるサブシーンを逐次挿入。
(イ)クイズが終わり、宇宙人パートナーが自分の星へ帰るためにロケットに乗り込むシーンを実行。
(イ−1)宇宙人パートナーが、自分のロケットへ向かって学習者との別れを惜しみながら寂しげに歩いていくシーン。
(イ−2)学習者が宇宙人パートナーの名前を呼ぶと、その声の状態(強度や感情レベル等)に知能処理エンジン機能5a1が反応して、a)振り返って悲しげな表情をする、b)振り返って涙を流し学習者の名前を呼び言葉をかける、c)振り返って涙を流し学習者の名前を呼びながら駈け戻り言葉をかけ握手を求める、の3つのサブシーンの中からひとつのシーンを自動的に選択し実行するリアルタイム知的ストーリー変化処理によるサブシーンを逐次挿入。(学習者が名前を呼ばない場合は実行されない)
(イ−3)振り返った時の宇宙人パートナーの表情や言葉も基本形から色々作り出して変化させるリアルタイム知的ストーリー変化処理によるサブシーンを逐次挿入。(学習者が名前を呼ばない場合は実行されない)
(イ−4)宇宙人パートナーが再びロケットまで走って行くサブシーン。
(イ−5)宇宙人パートナーがロケットに乗り込むサブシーン。
(エ)ロケットが宇宙人パートナーの故郷の惑星へ飛び立つシーンを実行。
この様な、簡単な「別れのシーン」を考えても、知能処理エンジン機能5a1によるリアルタイム知的ストーリー変化処理が有効に利用でき、様々な変化を伴い親しみや温かみのあるシーンを実現できることが判る。
【0086】
上記のサブシーン(ア−2),(イ−2),(イ−3)が該当するリアルタイム知的ストーリー変化処理を伴うシーンであるが、知能処理エンジン機能5a1は具体的には次の様な処理を実行する。
(ア−2):学習者の回答結果や声の反応等から、それを認識・解析・判断してその場にあった適切な言葉(例えば、自信なさげに答えていれば、「しっかりね!でも一応正解だよ!」とか)をテーブルから選択し、それに表情情報のテーブルから選択した画像を付けて、学習者に対して応答する。言葉のテーブルや表情のテーブル内容も同種の反応に対して複数種類用意しておき、様々な変化の組み合わせが得られる様にしておく。テーブル情報、言葉や画像情報等必要な情報は、共有記憶手段5h等のストレージ機能にデータベースとして用意しておき、適宜アニメーションエンジン5b1や音声合成・プレイエンジン5b2等と連動して画像や音声等にリアルタイムで変化をつけながら使用する。
(イ−2):学習者の声や言葉反応等から、それを認識・解析してその場にあった適切なサブシーンを、ストーリー・シーンストック手段5gや共有記憶手段5h等のストレージ機能から選択し実行する。a)、b)、c)の三つの基本シーンに対して複数の派生シーンを用意しておき、状況に応じて使い分けてさらに多くの変化が得られるように構成したり、基本・派生シーン内の画像間を適当にベクトル的に補間してアニメーション的に変化(アニメーションエンジン5b1等を用いてリアルタイムで画像間のベクトル処理を行い自動的に簡単なアニメーションを実行)を演出したりして、ストーリー変化のバリエーションを飛躍的に増やすことも可能である。
(イ−3):(イ−2)における、宇宙人パートナーの表情におけるサブシーンであり、(ア−2)と同様なリアルタイム知的ストーリー変化処理を挿入する。(イ−2)で述べた画像のベクトル処理を用いればさらに表情の表現は豊かになる。
【0087】
以上、知能処理エンジン機能5a1を用いた簡単なリアルタイムストーリー変化例を示したが、ストーリーの実行と共に、その経過から得られる学習者の反応情報、操作情報等のストーリー変化処理に利用できる様々な情報から、知能処理エンジン機能5a1によって新しいストーリーやシーン(例えば思い出のシーン等)を、ストーリー及びシーンスクリプト生成機能5e等と連携しながら、インタラクティブエンジン5が自らストーリー実行中にバックグラウンドで自動的に製作しておき(例えば直ちに実行可能なスクリプトにして製作し、ストーリー・シーンストック手段5g等のストレージ機能に格納しておく)、上記(ア)の思い出のクイズシーン等で利用したり、最後に宇宙人パートナーが夢で回想するシーン等として挿入したりすることによって、毎回異なるシーンが現れる様に演出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例による電子学習システムの構成図である。
【図2】図1に示す電子学習システムの学習ストーリーを構成する流れ図である。
【図3】図2に示すシーン1(S1)のイントロダクションの処理の流れ図である。
【図4】図2に示すシーン2(S2)の数字遊びの処理の流れ図である。
【図5】図2に示すシーン3(S3)の文字遊びの処理の流れ図である。
【図6】図2に示すシーン4(S4)の数字遊びの処理の流れ図である。
【図7】図2に示すシーン5(S5)の文字遊びの処理の流れ図である。
【図8】図2に示すシーン6(S6)のYes/Noクイズの処理の流れ図である。
【図9】図1に示す電子学習システムに用いる電子記録媒体製作システムの構成図である。
【図10】図9に示す教材提示手段の処理のフローチャートである。
【図11】図9に示す教材参加・完成手段のフローチャートである。
【図12】図1に示すインタラクティブ機能(エンジン)の一実施例による構成図である。
【図13】従来の文字学習器のブロック図である。
【図14】従来の学習教材の販売方法及び学習装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
1 電子学習教材センター
2 Webサーバ
3 メールサーバ
4 ストーリー実行手段
5 インタラクティブエンジン(インタラクティブ機能・手段)
6、27 データベース
7、9、10 学習者端末
8 ストーリー変化手段
11 通信ネットワーク
12 電子記録媒体
21 教材提示手段
22 教材参加・完成手段
23 DVD
24 教材収集・選択手段
25 学習ストーリー作成手段
26 DVD製作手段
27 画像データベース
28 RAM
29 DVD再生手段
30 シーン取込手段
31 シーンストック手段
32 学習者創作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者がコンピュータ又はコンピュータシステム上で学ぶための電子学習システムであって、
電子記録媒体又は通信手段によって提示された初期学習情報をコンピュータに取込み学習者の操作に従い取込んだ該初期学習情報を用いて初期学習ストーリーを展開するストーリー実行手段と、
学習者又は操作者の操作情報や反応情報を記憶しそれらの情報と前記初期学習情報とから初期学習ストーリーとは異なる学習ストーリーに変化させて前記ストーリー実行手段による実行を可能にするストーリー変化手段と、を備え、
電子記録媒体又は通信手段によってコンピュータに取込まれた前記初期学習情報を含む電子学習情報中の電子学習教材と学習者又は操作者とがコンピュータ上で相互に情報交換しながら学習ストーリーを学習者の目的に合致させていくためのインタラクティブ機能を有することを特徴とする電子学習システム。
【請求項2】
前記ストーリー実行手段は、前記学習ストーリーを解釈・実行するエンジンであって、学習者又は操作者とインタラクティブに情報の授受を行い前記ストーリー変化手段と一体化して前記学習ストーリーを実行し展開することを特徴とする請求項1に記載の電子学習システム。
【請求項3】
前記初期学習情報は、電子学習教材提供者側が事前に用意した情報であり、シーンを記述するシーンスクリプト及び学習ストーリーを記述するストーリースクリプト等のストーリープログラムを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子学習システム。
【請求項4】
前記ストーリー変化手段は、前記初期学習ストーリーに対する前記操作情報や反応情報を記憶しデータベース化して学習者個々人の情報を前記エンジン内に持たせる機能と、これらの情報に基づいて前記エンジンで個々人に合った適切なストーリーやストーリーの流れを解析して導き出し実行する機能と、学習者又は操作者の操作中に条件分岐ポインタを変更して学習ストーリーを切換える機能と、を有することを特徴とする請求項2に記載の電子学習システム。
【請求項5】
前記初期学習ストーリーは、電子学習教材提供者側が事前に用意した前記初期学習情報と該初期学習情報を用いて事前に用意される学習ストーリーとからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子学習システム。
【請求項6】
前記電子記録媒体は、少なくともCD、DVD、MO、MT、又はフラッシュメモリの何れかであって、前記電子学習教材と学習者又は操作者とがコンピュータ上で相互に情報交換しながら学習ストーリーを展開するためのインタラクティブ機能を有する学習プログラムを含む電子学習情報を記録した記録媒体であることを特徴とする請求項1に記載の電子学習システム。
【請求項7】
前記通信手段は、ファイル情報を授受するためのホームページ上又は電子メール等のオンラインによる情報提供手段であることを特徴とする請求項1に記載の電子学習システム。
【請求項8】
前記操作情報は、学習者又は操作者が意思、興味等に従いマウス等の入力手段により入力する操作情報と、前記学習者又は操作者が用意した画像、音声等のオリジナル情報を前記電子学習教材にストーリー情報として追加する操作情報と、前記学習者又は操作者が各編集機能を用いて主ストーリーの一部(ショートストーリー)を製作して学習ストーリーに追加・変更・修正を加える操作情報と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子学習システム。
【請求項9】
前記反応情報は、クイズ、質問に対する回答情報と、様々な学習ストーリー中に提示される情報へのアクセスと、マイク、圧力センサ、キーボードのタイプ速度、マウスのクリック速度及びカメラによる反応チェック等のセンシング情報により得られる学習者の応答強度と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子学習システム。
【請求項10】
学習者又は操作者が主ストーリーの一部(ショートストーリー)をシーンスクリプトに展開できる手段と、該シーンスクリプトで記述される独自のショートストーリーを既存の主ストーリーの中に挿入したり追加したり既存のシーンと入れ替えたりすることでエンジンの実行手段において通常のシーンと同様に実行可能とする手段と、をさらに備え、
学習者又は操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする請求項3に記載の電子学習システム。
【請求項11】
学習者又は操作者がシーンのひとつ又は一部としてクイズシーンを定義できる手段と、該クイズシーンをエンジンの実行手段に取り込み実行する手段、とをさらに備え、
既存の主ストーリーを学習者又は操作者自身の目的に合致した好みのストーリーに編集・実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする請求項2に記載の電子学習システム。
【請求項12】
コンピュータ又はコンピュータシステム上で電子ストーリーを実行するエンジンにおいて、
電子情報として与えられた初期ストーリーをエンジンに取り込む取り込み手段と、
電子情報化されたストーリーを実行するストーリー実行手段と、
操作者の操作情報や反応情報を記憶しそれらの情報を用いて初期ストーリーとは異なる新規内容を含むストーリーに変化させて前記ストーリー実行手段による実行を可能にするストーリー変化手段と、を備え、
初期ストーリーをその実行状況情報やストーリー実行時の参加者や操作者の反応情報や操作情報に応じてストーリーを目的に合わせて変化させて実行可能なインタラクティブ機能を有することを特徴とする電子システム。
【請求項13】
前記ストーリー変化手段は、様々な情報からストーリー変化させるための知的認識・解析・判断機能と、
ストーリーの実行状況やストーリー実行時の参加者や操作者の反応に応じて自動的にストーリーを変化させる知能処理機能と、を有することを特徴とする請求項12に記載の電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−308815(P2006−308815A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130560(P2005−130560)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(505158437)株式会社コンテック・ラボ (1)
【出願人】(505158459)有限会社ア・リズム (1)
【Fターム(参考)】