説明

電子式南京錠

【課題】 配送センター以外の非正規な場所で電子式南京錠が開錠・施錠されたことを禁止した、または開錠・施錠の履歴を残すことのできる電子式南京錠を提供すること。
【解決手段】 電子式南京錠10であって、(a)電池32と、(b)ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するモータ21と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段46と、(d)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致したときに、モータ21に電流を流してモータ21を制御手段40と、(e)電子キー許可情報、電子キーによる施錠時刻または開錠時刻、を記憶する履歴記憶手段43と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着脱自在なジョイントシャフトと、前記ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、鍵識別番号が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子式南京錠システムが販売されている。
電子キーは、電池と、鍵識別番号を有している。電子式南京錠は、着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段と、ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動させるシリンダーと、シリンダーの回転をロックする回転ロック手段と、開錠可能な電子鍵の鍵識別番号を記憶する鍵識別番号記憶手段とを有している。
電子式南京錠は、電子キーが装着されると、電子キーから電源を得て制御回路が駆動し、電子キーの鍵識別番号を読み取り、鍵識別番号記憶手段が記憶している鍵識別番号と一致する場合には、回転ロック手段のロック状態を解除する。
これにより、使用者は、シリンダーを回転させ、開錠または施錠を行うことができる。
そして、開錠、施錠の時刻、使用者等が電子鍵に記憶され、電子鍵を鍵保管庫に戻したときに、データとしてPC等に読み込まれる。
ここで、従来のシステムでは、電子キーとは別にプログラミングキーという鍵を有している。プログラミングキーは、電子式南京錠に装着され、新たに開錠が許可された鍵識別番号等の必要な情報を、電子式南京錠に書き込むための鍵である。
【0003】
一方、現在、宅配便システムは、例えば、北海道から名古屋に荷物を移動しようとするときに、自社のトラックではなく、北海道で空になったもので名古屋近郊を通過するトラックを利用することが、コストダウンのため広く行われている。
その場合に、北海道の集配センターで荷積みして、名古屋の集配センターで荷降ろしを行うのであるが、途中では、運転手が荷物にアクセスできないよう、南京錠が取り付けられている。しかし、南京錠の鍵は、別途送付すると遅れが出るため、運転者に預けざるを得ないため、荷物のセキュリティに欠陥があった。すなわち、途中で、例えば高速道路のサービスエリア等で、運転者が南京錠を用いて積荷を抜き取るトラブルが発生する恐れがあった。
【0004】
一方、特許文献1には、トランク内に鍵開閉用携帯電話を備える鍵開閉装置を有し、受取人側の携帯電話番号を事前に登録しておき、開くときには、登録された受取人側の携帯電話を用いて、基地局に電話をかけることにより、基地局が鍵開閉用携帯電話に信号を送って、鍵開閉装置を駆動して、鍵を開ける技術が記載されている。特許文献1にはさらに、鍵開閉用携帯電話は、GPS機能を有しており、トランクの途中搬送経路を確認することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-69753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の市販されているシステムには、次のような問題があった。
すなわち、正規の電子キーにより開錠、施錠がされた場合は、開錠時刻、施錠時刻を記憶することができるが、例えば、途中で電子キーの代用品を用いて回転ロック手段(ソレノイド等)を駆動された場合には、開錠時刻、施錠時刻等の履歴を記憶できていないため、途中で電子式南京錠が開錠されたか否かを検知することができなかった。すなわち、電子式南京錠側には電池がないため、別の電子キーで開錠・施錠された場合には、電子式南京錠側に履歴が残らず、開錠されたという事実を把握することができなかった。
そのため、途中で荷物の一部が紛失するトラブルが発生していた。
また、本来は、配送センターでしか開錠する必要がないはずであるが、配送センター等の指定された場所以外の場所で開錠、施錠されることに対して、全く無防備であった。
【0007】
この発明は上記問題点を解決するためのものであって、配送センター以外の非正規な場所で電子式南京錠が開錠・施錠されたことを禁止した、または開錠・施錠の履歴を残すことのできる電子式南京錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子式南京錠は、次の構成を有している。
(1)着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠であって、(a)電池と、(b)ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、(d)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致したときに、ロック駆動手段に電流を流してロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、(e)電子キー許可情報、電子キーによる施錠時刻または開錠時刻、を記憶する履歴記憶手段と、を有する。
(2)(1)に記載する電子式南京錠において、前記ロック手段が、開錠位置にあることを検出する開錠位置検出手段と、前記履歴記憶手段が、前記開錠位置検出手段が検出した開錠時刻を記憶すること、を特徴とする。
【0009】
(3)(1)または(2)に記載する電子式南京錠において、開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段を有すること、前記電子キーが、GPS装置から与えられたGPS情報と有効時刻とを記憶するGPS記憶手段を有すること、前記ロック制御手段は、前記GPS記憶手段が記憶するGPS情報が、前記許可エリア内にあり、かつ、前記有効時刻を経過していないときに、前記ロック駆動手段を駆動すること、を特徴とする。
ここで、例えば、GPS装置は、配送センター内に固設された制御装置に内蔵されており、検出したGPS情報を出力している。そのため常に、一定のGPS情報を出力する。
(4)(1)乃至(3)に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、行先表示器を有することを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とする。スマートフォンは、GPS装置を内蔵しており、GPS装置が検知しているGPS情報を出力する。
【0010】
(6)着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠であって、電子キーが、電子キー許可情報、GPS装置から与えられたGPS情報、及び有効時刻を記憶する電子キー記憶手段を有すること、電子式南京錠が、(a)電池と、(b)ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動するロック駆動手段と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、(d)開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段と、(e)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致し、かつ、GPS情報が許可エリア内にあり、かつ、有効時刻を経過していないときに、ロック駆動手段に電流を流してロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、を有する。
(7)(6)に記載する電子式南京錠において、前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
次に、上記構成を有する本発明の電子式南京錠の作用・効果について説明する。
(1)着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠であって、(a)電池と、(b)ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、(d)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致したときに、ロック駆動手段に電流を流してロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、(e)電子キー許可情報、電子キーによる施錠時刻または開錠時刻、を記憶する履歴記憶手段と、を有するので、電池によりモータ21の状態や、ロッキングカム16の状態等をチェックできるため、例えば、外部から強制的にロック駆動手段に通電されて駆動された場合でも、ロック駆動手段が駆動された時刻等を履歴に保存でき、異常状態の発生をチェックすることができる。
【0012】
(2)また、(1)に記載する電子式南京錠において、前記ロック手段が、開錠位置にあることを検出する開錠位置検出手段と、前記履歴記憶手段が、前記開錠位置検出手段が検出した開錠時刻を記憶すること、を特徴とするので、ロック駆動手段を駆動せずに、ロック手段を強制的に解除してジョイントシャフトを移動させた場合でも、ジョイントシャフトを移動したことを検出しているため、履歴にその時刻を保存することができ、異常状態の発生を特定することができる。
セキュリティの方法としては、積荷が盗難等のトラブルを発生させないことが一番であるが、そのためのシステムを構成するには、多大のコストを要する。それと比較して、電子式南京錠の開錠・履歴が確実に記憶されていれば、トラブルが発生した後で、追跡調査を行うことができるため、十分なセキュリティを確保できる。特に、ドライバーに履歴を記憶していることを知らせることで、防犯効果が期待できる。
【0013】
(3)また、(1)または(2)に記載する電子式南京錠において、開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段を有すること、前記電子キーが、GPS装置から与えられたGPS情報と有効時刻とを記憶するGPS記憶手段を有すること、前記ロック制御手段は、前記GPS記憶手段が記憶するGPS情報が、前記許可エリア内にあり、かつ、前記有効時刻を経過していないときに、前記ロック駆動手段を駆動すること、を特徴とするので、例えば、電子キーの複製を用いて開錠しようとした場合でも、正規の営業所以外の場所では開錠することができない。有効時刻は、通常、10分程度に設定している。これによれば、正規の営業所で正規にGPS情報を電子キーに記憶させたとしても、10分間経過すると、開錠できなくなるため、正規の営業所以外の場所では開錠できない。
また、開錠された場合では、開錠・施錠情報のみ履歴として記憶され、GPS情報が記憶されていないか、または配送センター以外のGPS情報が記憶されていれば、追跡調査できる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、行先表示器を有することを特徴とするので、電子式南京錠は、トラックのトランクに固設されている錠と異なり、互換性があるため、作業者が間違った電子式南京錠を使用する可能性があるが、行先表示器を確認することにより、間違いを是正できる。特に、(3)でGPS情報が記憶されている場合には、間違った電子式南京錠を取り付けると、目的地で開錠できなくなるため、行先表示器による確認作業が重要となる。
(5)(1)乃至(4)に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とするので、市販のスマートフォンにプログラムをインストールして、電子キー用の専用コネクタを用いて、電子キーをスマートフォンに接続し、スマートフォンのタッチパネルを用いてパスワードを入力させれば、個人認証を行うことができ、スマートフォンの通信機能を用いて基地サーバと通信することによりアクセス権限確認を行うことができるため、電子キーへ必要なデータを書き込むことができ、配送センターの広いエリア内に、安価かつ容易に必要とする台数のスマートフォンを設置でき、作業効率を高くすることができる。配送センター内に1台の制御装置を配置する場合でも、スマートフォンを利用すれば、コストを低減することができる。
【0015】
(6)着脱自在なジョイントシャフトと、ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠であって、電子キーが、電子キー許可情報、GPS装置から与えられたGPS情報、及び有効時刻を記憶する電子キー記憶手段を有すること、電子式南京錠が、(a)電池と、(b)ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動するロック駆動手段と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、(d)開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段と、(e)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致し、かつ、GPS情報が許可エリア内にあり、かつ、有効時刻を経過していないときに、ロック駆動手段に電流を流してロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、を有するので、例えば、電子キーの複製を用いて開錠しようとした場合でも、正規の営業所以外の場所では開錠することができない。有効時刻は、通常、10分程度に設定している。これによれば、正規の営業所で正規にGPS情報を電子キーに記憶させたとしても、10分間経過すると、開錠できなくなるため、正規の営業所以外の場所では開錠できない。
したがって、例え、開錠履歴を保存しなくても、正規の営業所以外の場所で開錠されことがないため、経路途中で搬送物が紛失する恐れを減少できる。
(7)(6)に記載する電子式南京錠において、前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とするので、市販のスマートフォンにプログラムをインストールして、電子キー用の専用コネクタを用いて、電子キーをスマートフォンに接続すれば、個人認証やアクセス権限確認を行いながら、電子キーへ必要なデータを書き込むことができるため、配送センターの広いエリア内に、安価かつ容易に必要とする台数のスマートフォンを設置できるため、作業効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例である電子式南京錠10の施錠状態を示す断面図である。
【図2】電子式南京錠10の開錠状態を示す断面図である。
【図3】電子式南京錠10の施錠途中の状態を示す断面図である。
【図4】電子式南京錠10と電子キー9の外観図である。
【図5】電子式南京錠10の底面図である。
【図6】電子式南京錠10の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】電子式南京錠10の制御手段40の開錠・施錠プログラム45の作用を示すフローチャートである。
【図8】配送センターの制御装置51の制御作用を示すフローチャートである。
【図9】配送システムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における電子式南京錠を具体化した一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図4に、電子式南京錠10、及び電子キー9の外観図を示す。また、図5に、電子式南京錠10の底面図を示す。電子式南京錠10は、U字形状で一端部が錠本体11に対して着脱自在なジョイントシャフト12を有している。電子キー9は、LED9a、一対の接触端子9bを備えている。電子式南京錠10の上面には、表示手段(表示器)8が付設されている。表示手段8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
図1、図2、図3に、電子式南京錠10の構成を断面図で示す。図1は、短シャフト12bが錠本体11に挿入され、ロックされている状態(施錠状態)を示し、図2は、短シャフト12bが錠本体11から離脱した状態(開錠状態)を示している。また、図3は、短シャフトが錠本体11に挿入されているが、未だロックされていない状態を示す。
金属製であり、内部に中空部11dを有する錠本体11の上面には、ジョイントシャフト12の短シャフト12bが着脱自在に挿入される短シャフト孔11aと、長シャフト12aが挿入される長シャフト孔11bが形成されている。また、短シャフト孔11aと長シャフト孔11bを連通する横孔11cが形成されている。横孔11cには、平板状のロッキングカム16を挟んで一対のロック球14、15が取り付けられている。横孔の入口には、ロック球14,15が抜け出ないようにするための凸部(図示しない)が形成されている。
ロッキングカム16の中心には、回転軸18の先端部が固定されている。回転軸18の先端面は、樹脂製の押え板17により回転自在に保持されている。
【0018】
錠本体11の中空部11dには、樹脂製のケース13が装着されている。樹脂製のケース13を用いているのは、宅配便用の電子式南京錠10は、屋外で使用されるため、防水仕様とするためである。
ケース13の上面には、凸部13cが形成されており、凸部13cに形成された保持孔13dに、回転軸18が回転可能に保持されている。ケース13には、保持孔13dに連続して少し径の大きい保持孔13eが形成されており、保持孔13eも回転軸18を回転可能に保持している。
また、ケース13には、2個の乾電池32を収納するための電池収納孔13aが形成されている。また、長シャフト12aを摺動自在に保持するためのガイド孔13bが形成されている。ガイド孔13bには、長シャフト12aが摺動可能に装着されている。長シャフトには、抜け止め部材12fが固設されている。抜け止め部材12fは、ケース13のガイド孔13hによりガイドされ、長シャフト12aが錠本体11から離脱しないための抜け止めとして機能している。
【0019】
また、ケース13には、長シャフト12aを検出するための摺動ノッチ24を摺動可能に保持するノッチ摺動孔13fが形成されている。ノッチ摺動孔13fには、付勢バネ25が付設されており、付勢バネ25は、摺動ノッチ24を長シャフト12aに当接する方向に付勢している。
ケース13の中央部には、中空部13gが形成されており、回転軸を回転させるためのモータ21、モータ21の回転軸に固設されたモータギア20、回転軸18に固設され、モータギア20と係合している回転軸ギア19、回転軸18の下端部に固設され、検出ノッチ22aが形成された検出板22、検出ノッチ22aを検出するためのリミットスイッチである施錠位置検出スイッチ23、摺動ノッチ24により長シャフトの位置を確認するためのリミットスイッチである長シャフト確認スイッチ26、及び電子キー9が装着され、電子キー9の接点と接触するための電子キー装着部28が収納されている。
なお、モータ21、施錠位置検出スイッチ23、長シャフト確認スイッチ26等の配線、及び制御手段40は、図が複雑になるため、図示を省略している。
錠本体11の中空部11dの開口11eは、本体蓋27により閉じられている。図5に示すように、本体蓋27には、電子キー9の挿入口29、電池挿入蓋30、ミニUSB端子35が形成されている。
ミニUSB端子35は、配送センターの制御手段51と電子式南京錠10を接続するための端子である。電子式南京錠10の記憶している履歴は、定期的に、制御手段51に吸い上げられる。
【0020】
次に、電子式南京錠10の作用について説明する。図2に示すように、ジョイントシャフト12は、短シャフト12bが短シャフト孔11aから抜け出ており、長シャフト12aは、抜け止め部材12fが錠本体11と当接することにより、図2の位置より抜け出ることはない。このとき、摺動ノッチ24は、付勢バネ25により付勢され、ガイド孔13b内に少し突出しており、長シャフト確認スイッチ26は、オフしている。
また、横孔11cの端部には、図示しない凸部が形成されており、ロック球14,15が、横孔11cから抜け落ちることがない。ロッキングカム16は、カムの谷がロック球14,15と当接しており、ジョイントシャフト12を抜くときには、ロック球14、15は、図2の位置に移動する。ロッキングカム16が図2の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出スイッチ23の検出板から外れた位置にあるため、施錠位置検出スイッチ23は、オフしている。
【0021】
次に、施錠作用を説明する。作業者は、ジョイントシャフト12のU字部12c内にチェーン等を掛けた状態で、短シャフト12bを短シャフト孔11aに挿入して、図3の状態とする。
次に、電子キー9を挿入口29から挿入し、電子キー装着部28の所定の位置に装着する。本実施例では、電子式南京錠を開錠する場合でも、施錠する場合でも、電子キー9を電子キー装着部28に装着する必要がある。開錠・施常時に必ず電子キー9を装着させることにより、電子キー9に開錠・施錠情報を書き込むことができる。電子式南京錠10は、電子キー9より、行先情報を読み込み、表示手段8に表示する。表示手段8での表示は、本実施例では、2桁の数字としている。作業者は、数字により、行先を確認することができる。
電子キー9による作用については、後で詳細に述べるが、電子式南京錠10の制御手段40は、所定の条件を満たしている場合には、モータ21を駆動する。モータが駆動されることにより、モータギア20、回転軸ギア19、及び回転軸18を介して、ロッキングカム16を回転させ、図1に示す施錠状態とする。図1状態では、ロック球14、15がジョイントシャフト12のロック溝12d、12eと係合しているため、短シャフト12bを錠本体11から抜くことができない。
図1の施錠状態では、摺動ノッチ24は、長シャフト12aにより左方向に移動しており、長シャフト確認スイッチ26は、オンしている。また、ロッキングカム16が図1の位置にあるときには、検出板22の検出ノッチ22aが施錠位置検出スイッチ23の検出板上にあるため、施錠位置検出スイッチ23は、オンしている。
【0022】
施錠位置検出スイッチ23がオンしているのみでは、短シャフト12bが錠本体11の短シャフト孔11aに挿入されていない場合もあり得るが、本実施例では、長シャフト12aの位置も長シャフト確認スイッチ26により確認しているので、施錠位置検出スイッチ23がオンしており、長シャフト確認スイッチ26がオンしていれば、施錠できていることを確実に確認できる。
本実施例の電子式南京錠10は、電池32を備え、常に、施錠位置検出スイッチ23と長シャフト確認スイッチ26により、開錠・施錠の状態をチェックし、施錠位置検出スイッチ23または長シャフト確認スイッチ26のオン・オフ状態に変化があったときには、全ての変化の内容と変化した時刻とを履歴手段43に記憶している。そして、全ての変化のうち、本実施例では、施錠位置検出スイッチ23がオフし、かつ、長シャフト確認スイッチがオフした場合に、開錠されたと判断し、開錠時刻として記憶している。
【0023】
そのため、配送センターA、B等所定の場所以外の場所で、電子式南京錠10が開錠・施錠された場合には、開錠・施錠の事実、及びその時刻を把握することができる。電子式南京錠10は、決められた時間に、ミニUSB端子35を介して、配送センターの制御手段51に接続され、履歴記憶手段43に記憶されている履歴が、制御手段51に吸い上げられる。また、このとき、電池32の残量がチェックされる。残量が少ないときは、制御手段51は、電池交換指示を表示する。
本実施例では、施錠位置検出スイッチ23と長シャフト確認スイッチ26とをリンクさせて制御していないが、両スイッチが共にオンしている場合にのみ、施錠可能とする制御を行っても良い。
【0024】
次に、電子式南京錠10の制御装置を、図6にブロック図で示す。なお、図1等では、制御基板の図示を省略している。
制御手段40には、モータ21、長シャフト確認手段26、施錠位置検出手段23、表示手段8、及び電子キー装着部28が接続している。電子キー装着部28には、電子キー9が装着され、電子キー9は、電子キー装着部28を介して、制御手段40と接続される。
制御手段40は、CPU41、RAM42、ROM44を有している。また、RAM42は、履歴記憶手段43を有している。また、ROM44は、開錠・施錠プログラム45、電子キー登録情報記憶手段46、登録GPSエリア記憶手段47を有している。
電子キー9の電気的構成は図示しないが、記憶手段である接触式ICチップ用の一対の電源端子9bが、接触式ICチップの両側に接続し、LED9aが接触式ICチップと並列に接続されている。接触式ICチップは、電源を流すことにより、記憶されているデータを読み出すことが可能である。
【0025】
次に、本発明の電子式南京錠10が使用される宅配便システムについて、図9に基づいて説明する。図9に示すように、配送センターA(例えば北海道)から、配送センターB(例えば名古屋)へ、トラック52により荷物を配送する場合について考える。
配送センターAにおいて、作業者Aは、電子キー9Aを用いて、トラック52のトランクルームのドアを、電子式南京錠10を用いて施錠する。すなわち、作業者Aは、配送センターA内に固設された制御装置51Aに、電子キー9Aを挿入して、電子式南京錠10を施錠するための許可を受ける必要がある。
同様に、配送センターBにおいて、作業者Bは、電子キー9Bを用いて、トラック52のトランクルームのドアを、電子式南京錠10を用いて開錠する。すなわち、作業者Bは、配送センターB内に固設された制御装置51Bに、電子キー9Bを挿入して、電子式南京錠10を施錠するための許可を受ける必要がある。
図8に、制御装置51の作用をフローチャートで示す。このフローチャートで示すプログラムは、制御装置51内のROMに記憶されている。プログラムは、開錠・施錠で共通している。
【0026】
作業者は、電子キー9を制御装置51の電子キー挿入口に挿入する。制御装置51は、電子キー9に対して、通電を行う。電子キー9には、接触式ICチップが内蔵されている。接触式ICチップに、電流を流すことにより、制御装置51は、接触式ICチップ内部に記憶されているデータを読み出すことができる(S201)。これにより、制御手段51は、電子キー9の接触式ICチップが記憶している固有の鍵番号を読み込む(S202)。接触式ICチップには、同じ番号がほとんど存在しない。
次に、作業者は、個人を認証させるためのパスワードを入力する。また、施錠したい電子式南京錠の番号を入力する(S203)。電子キー9の固有番号とパスワードで特定される個人(この場合作業者)が、施錠したい電子式南京錠のアクセス権限を有しているか否か確認する。アクセス権限とは、積荷を確認してドアを施錠する権限である。
【0027】
アクセス権限を有している場合には(S204;YES)、電子キー許可情報、制御手段51Aが有しているGPS装置によるGPS情報、有効時刻、及び行先情報である行先番号を電子キー9Aの接触式ICチップに書き込む(S205)。また、アクセス権限を有していない場合には(S204;NO)、制御手段51の画面にエラー表示する(S206)。
ここで、本実施例では、個人認証方法として、パスワード入力を用いているが、よりセキュリティレベルを上げるためには、指紋認証、静脈認証等を用いても良い。また、電子式南京錠の番号ではなく、トラック便の所定符号を入力することにより、そのトラックで使用されている電子式南京錠を特定しても良い。
【0028】
次に、電子式南京錠10の制御手段40に記憶されている開錠・施錠プログラムの作用を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
作業者は、積荷の最終確認を行った後、施錠作業を開始する。または、開錠作業を開始する。すなわち、作業者は、配送センター内の制御手段51で許可を受けた電子キー9Aを、電子式南京錠10の挿入口29から挿入する。電子キー9が電子キー装着部28の所定の位置に装着されると(S101;YES)、制御手段40は、電子キー9に電流を流して、電子キー9が備えている接触式ICチップから、電子キー許可情報、GPS情報、有効時刻を読み込むと共に、行先情報を読み込み行先を示す番号を表示手段8に表示する(S102)。作業者は、表示を確認して、予定されている行先番号と相違している場合には、電子キー9を迅速に外す。これにより、S103へ進むことが阻止される。予定されている行先番号と一致しているときは、そのまま電子キー9を挿し込んでおく。
次に、電子式南京錠10の制御手段40は、電子キー9から読み込んだ電子キー許可情報が、電子キー登録情報記憶手段46に記憶されている電子キー登録情報と一致するか否か判断する(S103)。一致していれば(S103;YES)、S104に進む。一致していなければ(S103;NO)、電子キー9にエラーを表示する(S108)。電子キー9には、LED9aが備えられており、エラー表示は、LED9aを点滅することにより行う。
【0029】
次に、読み込んだ有効時刻が経過していないか否か判断する(S104)。有効時刻を経過していない、すなわち有効時刻以前であれば(S104;YES)、S105へ進む。有効時刻を過ぎていれば(S104;NO)、電子キー9にエラー表示する(S108)。次に、読み込んだGPS情報が、登録GPSエリア記憶手段47が記憶している許可エリア内にあるか否か判断する(S105)。許可エリア内にあれば(S105;YES)、モータ21を駆動して施錠を行う(S106)。そして、施錠時刻、電子キー番号を履歴手段43、及び電子キー9の接触式ICチップに書き込む(S107)。一方、許可エリア内にないときは(S105;NO)、表示手段8または電子キー9のLED9aにエラー表示する(S108)。
【0030】
電子式南京錠10、または電子キー9のいずれか一方、または両方にGPS機能を持たせておき、電子式南京錠10を電子キー9で開錠・施錠しようとするときに、許可されたエリア(例えば、配送センターAの敷地)内でしか、開錠・施錠ができなくしておけば、有効時刻という要素を用いる必要はない。
しかしながら、電子キー9や電子式南京錠10は、コンパクトであることが求められているため、また、コストを低減するため、GPS機能を持たせることができないのが現状である。
本発明者は、試行錯誤を重ねた結果、配送センター側の制御手段51にGPS機能を持たせ、電子キー9に許可情報を書き込むときに、GPS情報も書き込むことを考え付いた。
しかし、GPS情報を書き込むだけでは、作業者が、正規の手段でGPS情報が書き込まれた電子キー9を配送センターのエリア外に持ち出した場合に、電子式南京錠を開錠・施錠できる問題があった。
それを防止するために、本実施例では、GPS情報を書き込むと共に、有効時刻を書き込み、有効時刻を経過すると、その電子キー9で電子式南京錠10が開錠・施錠できないようにしている。
【0031】
有効時刻は、配送センターのエリアの広さ、トラックヤードの配置、電子式南京錠10の開錠・施錠の頻度等により、管理者が設定する。
本実施例のコンセプトは、GPS情報と有効時刻とをペアで用いる点にある。しかし、開錠・施錠毎に、配送センターの制御手段51の所に行き、所定の許可を受けるのは、トラックが混雑する時間帯では、作業効率が低下する問題がある。
そのような場合には、スマートフォン、例えば、アップル社製のiPhone(アップル社の商標)を開錠・施錠を行う作業者に1台ずつ所持させ、スマートフォンに図8のプログラムをインストールすることにより、作業者は、制御手段51の所まで行く必要がなくなり、その場で、開錠・施錠許可情報、GPS情報、有効時刻を得ることができるため、作業効率を高めることができる。
【0032】
以上、詳細に説明したように、本実施例の電子式南京錠10によれば、(1)着脱自在なジョイントシャフト12と、ジョイントシャフト12をロックするロック手段(ロック球14、15、ロッキングカム16)を有し、電子キー許可情報が記憶された電子キー9により施錠または開錠される電子式南京錠10であって、(a)電池32と、(b)ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するモータ21と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段46と、(d)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致したときに、モータ21に電流を流してモータ21を制御手段40と、(e)電子キー許可情報、電子キーによる施錠時刻または開錠時刻、を記憶する履歴記憶手段43と、を有するので、電池によりモータ21の状態や、ロッキングカム16の状態等をチェックできるため、例えば、外部から強制的にモータ21に通電されて駆動された場合でも、モータ21が駆動された時刻等を履歴記憶手段43に保存でき、異常状態の発生をチェックすることができる。
【0033】
(2)電子式南京錠10が、ロック手段(ロック球14、15、ロッキングカム16)が、開錠位置にあることを検出する開錠位置検出手段(施錠位置検出スイッチ23、長シャフト確認スイッチ26)と、履歴記憶手段43が、開錠位置検出手段が検出した開錠時刻を記憶すること、を特徴とするので、モータ21を駆動せずに、ロック手段を強制的に解除してジョイントシャフト12を移動させた場合でも、ジョイントシャフト12を移動したことを検出しているため、履歴記憶手段43にその時刻を保存することができ、異常状態の発生を特定することができる。
本実施例の場合には、施錠位置検出スイッチ23がオフし、かつ、長シャフト確認スイッチがオフした場合に、開錠されたと判断している。
【0034】
(3)電子式南京錠10が、開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段47を有すること、電子キー9が、GPS装置から与えられたGPS情報と有効時刻とを記憶するGPS記憶手段を有すること、モータ21は、GPS記憶手段が記憶するGPS情報が、許可エリア内にあり(S105;YES)、かつ、有効時刻を経過していないとき(S104;YES)に、ロック駆動手段を駆動すること、を特徴とするので、例えば、電子キー9の複製を用いて開錠しようとした場合でも、正規の営業所以外の場所では開錠することができない。有効時刻は、通常、10分程度に設定している。これによれば、正規の営業所で正規にGPS情報を電子キーに記憶させたとしても、10分間経過すると、開錠できなくなるため、正規の営業所以外の場所では開錠できない。
【0035】
(4)行先表示器8を有することを特徴とするので、作業者が、行先表示器8により行先を確認することにより、間違いを是正できる。特に、(3)でGPS情報が記憶されている場合には、間違った電子式南京錠10を取り付けると、目的地で開錠できなくなるため、行先表示器10による確認作業が重要となる。
(5)電子キー9に対して、電子キー許可情報、GPS情報、及び有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とするので、市販のスマートフォンにプログラムをインストールして、電子キー用の専用コネクタを用いて、電子キーをスマートフォンに接続すれば、個人認証やアクセス権限確認を行いながら、電子キーへ必要なデータを書き込むことができるため、配送センターの広いエリア内に、安価かつ容易に必要とする台数のスマートフォンを設置できるため、作業効率を高くすることができる。
【0036】
(6)着脱自在なジョイントシャフト12と、ジョイントシャフト12をロックするロック手段(ロック球14、15、ロッキングカム16)とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キー9により施錠または開錠される電子式南京錠10であって、電子キー9が、電子キー許可情報、GPS装置から与えられたGPS情報、及び有効時刻を記憶する電子キー記憶手段(接触式ICチップ)を有すること、電子式南京錠10が、(a)電池32と、(b)ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動するモータ21と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段46と、(d)開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段47と、(e)電子キー許可情報が、電子キー登録情報と一致し、かつ、GPS情報が許可エリア内(S105;YES)にあり、かつ、有効時刻を経過していないとき(S104;YES)に、モータ21に電流を流してモータ21を駆動する制御手段40と、を有するので、例えば、電子キー9の複製を用いて開錠しようとした場合でも、正規の営業所以外の場所では開錠することができない。有効時刻は、通常、10分程度に設定している。これによれば、正規の営業所で正規にGPS情報を電子キーに記憶させたとしても、10分間経過すると、開錠できなくなるため、正規の営業所以外の場所では開錠できない。
したがって、例え、開錠履歴を保存しなくても、正規の営業所以外の場所で開錠されことがないため、経路途中で搬送物が紛失する恐れが減少できる。
【0037】
(7)電子キー9に対して、電子キー許可情報、GPS情報、及び有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とするので、市販のスマートフォンにプログラムをインストールして、電子キー用の専用コネクタを用いて、電子キーをスマートフォンに接続すれば、個人認証やアクセス権限確認を行いながら、電子キーへ必要なデータを書き込むことができるため、配送センターの広いエリア内に、安価かつ容易に必要とする台数のスマートフォンを設置できるため、作業効率を高くすることができる。
【0038】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
例えば、本実施例では、電子式南京錠10の開錠・施錠履歴を全て記憶しているが、GPS情報により、配送エリア内でしか電子キーを使用できなくすれば、履歴を全て記憶しなくても、途中の経路で電子式南京錠10が開錠・施錠されることを防止することができる。
また、本実施例では、有効時刻を10分程度としているが、配送センターでは通常、ひっきりなしにトラックが出入りするため、スマートフォンを携帯したとしても、毎回、開錠許可を受けるのは、煩雑となる場合がある。その場合には、例えば、作業者Aの有効時間としては、次の休憩時間までの2、3時間を設定しても良い。その作業者の可動状況は、他者も把握しているため、昼休み等の休憩時間に有効時刻が切れるようにすれば良い。
【0039】
また、本実施例では、電子式南京錠10を、トラックのトランクに取り付ける場合について説明したが、重要書類等を搬送するためのセキュリティボックス、セキュリティバックの施錠に、電子式南京錠10を用いても良い。その場合には、例えば、企業の本社と支社との間でセキュリティボックスを搬送する場合、企業の担当者が各々電子キー9を所持しており、書類を入れたセキュリティトランクを電子式南京錠10で施錠し、宅配便で配送する。配送された支社において、担当者が電子キー9を用いて開錠する。この施錠・開錠システムは、本実施例と同じなので、詳細な説明かを割愛する。
ここで、制御手段51としては、スマートフォンを使用すると便利であるが、ビルの地下等、スマートフォンの圏外となる場合に問題となる。そのような場合には、使用する場所にPCを設置して、有線による通信を行えば、本実施例の電子式南京錠10を利用することができる。
【0040】
本実施例では、行先情報を電子キー9を介して、電子式南京錠10のRAM42に記憶させているが、電子キー9を介さずに、電子式南京錠10を制御手段51に接続させ、制御手段51から直接電子式南京錠10のRAM42に行先情報を書き込み、始めから表示手段8に行先番号を表示しておけば、作業者の作業効率を高めることができる。
また、本発明の電子式南京錠10は、航空機用の貨物コンテナに利用しても良い。現在、貨物用コンテナに途中経路で貨物が入れられ、または取り出された場合に、履歴を追うことが難しかった。本発明の電子式南京錠10によれば、航空機用コンテナのセキュリティを向上させることができる。
【符号の説明】
【0041】
9 電子キー
10 電子式南京錠
11 錠本体
12 ジョイントシャフト
14、15 ロック球
16 ロッキングカム
21 モータ
23 施錠位置検出スイッチ
26 長シャフト確認スイッチ
32 電池
43 履歴記憶手段
45 開錠・施錠プログラム
46 電子キー登録情報記憶手段
47 登録GPSエリア記憶手段
51 (配送センターの)制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在なジョイントシャフトと、前記ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠において、
電池と、
前記ロック手段を、施錠位置または開錠位置に移動するロック駆動手段と、
電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、
前記電子キー許可情報が、前記電子キー登録情報と一致したときに、前記ロック駆動手段に電流を流して前記ロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、
前記電子キー許可情報、前記電子キーによる施錠時刻または開錠時刻、を記憶する履歴記憶手段と、
を有することを特徴とする電子式南京錠。
【請求項2】
請求項1に記載する電子式南京錠において、
前記ロック手段が、開錠位置にあることを検出する開錠位置検出手段と、
前記履歴記憶手段が、前記開錠位置検出手段が検出した開錠時刻を記憶すること、
を特徴とする電子式南京錠。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する電子式南京錠において、
開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段を有すること、
前記電子キーが、GPS装置から与えられたGPS情報と有効時刻とを記憶するGPS記憶手段を有すること、
前記ロック制御手段は、前記GPS記憶手段が記憶するGPS情報が、前記許可エリア内にあり、かつ、前記有効時刻を経過していないときに、前記ロック駆動手段を駆動すること、
を特徴とする電子式南京錠。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、
行先表示器を有することを特徴とする電子式南京錠。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載する電子式南京錠のいずれか1つにおいて、
前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とする電子式南京錠。
【請求項6】
着脱自在なジョイントシャフトと、前記ジョイントシャフトをロックするロック手段とを有し、電子キー許可情報が記憶された電子キーにより施錠または開錠される電子式南京錠において、
前記電子キーが、前記電子キー許可情報、GPS装置から与えられたGPS情報、及び有効時刻を記憶する電子キー記憶手段を有すること、
前記電子式南京錠が、(a)電池と、(b)前記ロック手段を施錠位置と開錠位置に移動するロック駆動手段と、(c)電子キー登録情報を記憶する電子キー登録情報記憶手段と、(d)開閉可能な許可エリアを記憶する登録GPSエリア記憶手段と、(e)前記電子キー許可情報が、前記電子キー登録情報と一致し、かつ、前記GPS情報が前記許可エリア内にあり、かつ、前記有効時刻を経過していないときに、前記ロック駆動手段に電流を流して前記ロック駆動手段を駆動するロック制御手段と、
を有することを特徴とする電子式南京錠。
【請求項7】
請求項6に記載する電子式南京錠において、
前記電子キーに対して、前記電子キー許可情報、前記GPS情報、及び前記有効時刻情報を書き込むのが、スマートフォンであることを特徴とする電子式南京錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−69152(P2011−69152A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222526(P2009−222526)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】