説明

電子情報処理装置、プログラム

【課題】 表示装置上でのフォルダとファイルの識別を容易にする電子音楽装置を提供する。
【解決手段】 電子音楽装置は、それぞれに名称が付与されたフォルダ及びデータファイルを階層構造で管理し記憶する記憶手段と、前記階層構造のうち任意の階層を選択する選択手段と、前記選択された階層のフォルダ及びデータファイルを検出する検出手段と、前記検出されたフォルダ及びデータファイルの少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字を付与する付与手段と、前記付与手段によって少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字が付与されたフォルダ及びデータファイルを一覧表示する表示手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報処理装置に関し、より詳しくは、階層構造のデータをリスト表示する電子情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子情報処理装置としては、それぞれ名称が付与された複数のフォルダ(あるいはディレクトリ)及び複数の音楽データファイル等を階層構造で管理・記憶し、記憶した音楽データファイルを読み出して再生可能な電子音楽装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、このような電子音楽装置は、記憶されているフォルダ(あるいはディレクトリ)と音楽データファイル等を内蔵の表示装置上にリスト表示することができる。ここで、同一階層にフォルダ(あるいはディレクトリ)と音楽データファイルの双方が存在する場合は、表示装置上で両者を識別可能なように、フォルダ名やファイル名の先頭にフォルダやファイルであることを現すアイコン画像を表示している。
【0004】
【特許文献1】特開2007−094920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、電子楽器や音源装置、ミキサ装置などの音楽関連処理に特化した電子音楽装置では、必要最小限の大きさ、分解能の表示装置のみを備えている。このような電子音楽装置では、文字や簡単な記号のみが表示可能であって、アイコン画像を表示装置に表示できない場合や、アイコン画像の表示能力はあるものの仕様によりアイコン画像を表示しないようにしている場合がある。このような場合、上述した従来の電子音楽装置のように、フォルダ名やファイル名の先頭にアイコン画像を表示することができず、表示装置上ではフォルダとファイルの見分けがつかなくなる。
【0006】
本発明の目的は、表示装置上でのフォルダとファイルの識別を容易にする電子情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、電子情報処理装置は、それぞれに名称が付与されたフォルダ及びデータファイルを階層構造で管理し記憶する記憶手段と、前記階層構造のうち任意の階層を選択する選択手段と、前記選択された階層のフォルダ及びデータファイルを検出する検出手段と、前記検出されたフォルダ及びデータファイルの少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字を付与する付与手段と、前記付与手段によって少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字が付与されたフォルダ及びデータファイルを一覧表示する表示手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子情報処理装置において、表示装置上でのフォルダとファイルの識別を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施例による電子情報処理装置としての電子音楽装置1のハードウェア構成を表すブロック図である。
【0010】
電子音楽装置1は、例えば、鍵盤等の演奏操作子を有する電子楽器や、音源装置、ミキサ装置、オーディオ録音又は再生装置等の音楽に関連する処理を行うことが可能な装置である。
【0011】
電子音楽装置1のバス6には、RAM7、ROM8、CPU9、タイマ10、検出回路11、表示回路13、記憶装置15、音源・効果回路18、通信インターフェイス(I/F)21が接続される。
【0012】
RAM7は、再生バッファ等のバッファ領域、フラグ、レジスタ、各種パラメータ等を記憶するCPU9のワーキングエリアを有する。
【0013】
ROM8には、各種データファイル、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。この場合、プログラム等を重ねて、記憶装置15に記憶する必要は無い。
【0014】
CPU9は、ROM8又は、記憶装置15に記憶されている制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等に従い、演算又は電子音楽装置1の制御を行う。タイマ10は、CPU9に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU9に供給する。
【0015】
ユーザは、検出回路11に接続される設定操作子12を用いて、各種入力及び設定、選択をすることができる。設定操作子12は、例えば、スイッチ、パッド、フェーダ、スライダ、ロータリーエンコーダ、ジョイスティック、ジョグシャトル、文字入力用キーボード、マウス等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、設定操作子12は、カーソルスイッチ等の他の操作子を用いて操作する表示装置14上に表示されるソフトスイッチ等でもよい。本実施例では、ユーザは設定操作子12を用いて表示装置14上にその内容をリスト表示するフォルダ(ディレクトリ又は階層)や、その階層化に含まれるデータファイルを選択する。
【0016】
表示回路13は、表示装置14に接続され、各種情報を表示装置14に表示することができる。ユーザは、この表示装置14に表示される情報を参照して、各種入力及び設定を行う。本実施例では、後述するように表示装置14に、記憶装置15またはROM8に記憶された複数のフォルダ(あるいはディレクトリ)DR及び複数のデータファイルDF等をリスト表示する。また、本実施例においては、表示装置14は、少なくともテキスト情報を表示可能なものでよい。
【0017】
記憶装置15は、ハードディスク、FD(フレキシブルディスク又はフロッピーディスク(登録商標))、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多目的ディスク)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等の記憶媒体とその駆動装置の組み合わせの少なくとも1つで構成される。記憶媒体は、着脱可能であってもよいし、電子音楽装置1に内蔵されていてもよい。記憶装置15及び(または)ROM8には、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の電子音楽装置1を制御するためのプログラムを記憶することができる。なお、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の電子音楽装置1を制御するためのプログラムを記憶装置15に記憶する場合は、これらをROM8に合わせて記憶する必要はない。また、一部のプログラムのみを記憶装置15に記憶し、その他のプログラムをROM8に記憶するようにしてもよい。
【0018】
記憶装置15及び(または)ROM8には、例えば、図2に示すように、それぞれテキストデータによる名称が付与された複数のフォルダ(あるいはディレクトリ)DR及び複数のデータファイル(ソングデータ、伴奏スタイルデータ、音色データ、各種設定ファイル等)DFが階層構造で管理され記憶されている。具体的には、フォルダ(ディレクトリ)DR(例えば「ROOT」)の下に、複数のフォルダDR(例えば、「USER」、「AAA」、「BBB」等)が記憶され、当該複数のフォルダDRのそれぞれの下にもさらに複数のフォルダDR(例えば、「SONG」、「CCC」等)が記憶されるとともに、データファイルDF(例えば、「DDD」)が記憶される。後述するリスト表示例(図3)でリスト表示するフォルダDR(フォルダ「ROOT>USER>SONG」)内には、例えば、フォルダ「USER SONG」及びデータファイル(音楽データファイル)「USER SONG」、「SONG 001」、「SONG 002」が記憶されている。
【0019】
図1に戻り、音源・効果回路18は、記憶装置15、ROM8又はRAM7等に記録された音楽データファイルDF若しくは演奏操作子22又は通信インターフェイス21に接続された外部機器等から供給される演奏信号、MIDI信号等に応じて楽音信号を生成し、各種音楽的効果を付与して、サウンドシステム19に供給する。サウンドシステム19は、D/A変換器及びスピーカを含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、発音する。
【0020】
演奏操作子(鍵盤、パッド等)22は、ユーザの演奏を入力するための操作子であり、ユーザが操作した操作子に対応する音高で、該ユーザの操作子に対する操作開始タイミング及び終了タイミングをそれぞれキーオン及びキーオフ信号として入力する。
【0021】
通信インターフェイス21は、MIDIなどの音楽専用有線I/F、USBやIEEE1394等の汎用近距離有線I/F、Ethernet(登録商標)等の汎用ネットワークI/F、無線LANやBluetooth(登録商標)等の汎用近距離無線I/F等の通信インターフェイスのうち少なくとも1つで構成される。
【0022】
図3は、本発明の実施例によるフォルダDR及びファイルDFのリスト表示例である。
【0023】
このリスト表示は、テキストデータを用いて図1の表示装置14上に表示される。この例では、図2に示すディレクトリ構造における「ROOT>USER>SONG」の階層が、ユーザの設定操作子12の操作により選択されている。このフォルダDR(「SONG」)には、「USER SONG」フォルダDR及び同じ名称の「USER SONG」ファイルDFが格納されている。また、「SONG 001」、「SONG 002」という名称のファイルDFが格納されている。
【0024】
本実施例では、ファイル名称の先頭部分に記号文字を付与することにより、フォルダ名称とファイル名称との間に段差を作り、フォルダDRとファイルDFとが一目で認識できるようにしている。
【0025】
具体的には、図に示すように、「_」のような1文字分の表示領域の内の大半が空白の記号文字を付与することにより、これを付与したファイル名と付与されていないフォルダ名とに段差ができたような表示となり両者の識別が容易となる。
【0026】
図4は、本発明の実施例によるフォルダ・ファイルリスト表示処理を表すフローチャートである。なお、この処理は電子音楽装置1の記憶装置15内に記憶されているフォルダDR及びファイルDFを閲覧する必要がある場合、若しくは記憶装置15内に記憶されているフォルダDR及びファイルDFを管理(コピー、名称変更、削除等)、編集、再生等のために選択する場合に起動される。
【0027】
ステップSA1で、フォルダ・ファイルリスト表示処理を開始し、ステップSA2では、表示対象のフォルダ(階層)DRの選択を受け付ける。フォルダDRの選択は、図1の記憶装置15内に管理・記憶されている複数のフォルダDRの中から所望のフォルダDRをユーザが図1の設定操作子12を用いて行う。この時、初期画面として記憶装置15のルートディレクトリ(図2の例では「ROOT」)を自動選択するようにしてもよいし、ルートディレクトリの内容を以下のステップSA3〜ステップSA5の処理により表示し、その中から所望のフォルダDRを選択させるようにしてもよい。また、ユーザが所望のフォルダDR名称を設定操作子12等を用いて直接入力するなどして選択するようにしてもよい。また、前回のフォルダ・ファイルリスト表示処理によって選択されたフォルダDRに関する情報(パス等)を記憶装置15やRAM7内の一時記憶領域に記憶しておき、当該記憶されたフォルダDRを自動選択するようにしても良い。
【0028】
ステップSA3では、ステップSA2で選択されたフォルダDRに含まれるフォルダDR及びデータファイルDFを記憶装置15内から検出する。ここで、検出したフォルダDR及びデータファイルDFの名称を表すテキストデータを抽出し、例えば、RAM7内のバッファ領域に一時的に記憶する。
【0029】
ステップSA4では、ステップSA3で検出したデータファイルDFのファイル名称の先頭に所定の記号文字を付与する。すなわち、ステップSA3でRAM7内のバッファ領域に一時的に記憶したデータファイルDFの名称を表すテキストデータの先頭に所定のテキストデータ(記号文字)を付与してRAM7内のバッファ領域に一時的に記憶したデータファイルDFの名称を更新する。なお、この所定の記号文字は、一覧表示用に一時的に付与するだけであり、元々の名称には影響を与えない。
【0030】
このステップSA4で付与する記号文字は、どのようなものでもよいが、例えば、「_」や、「 ̄」等の1文字分の表示領域の内の大半が空白のものとするのがより好ましい。また、記号文字としてスペース(空白)を付与してもよい。1文字分の表示領域の内の大半が空白の記号文字や、スペース(空白)を付与することにより、これを付与したファイル名と付与されていないフォルダ名とに段差ができたような表示となり両者の識別がさらに容易となる。
【0031】
ステップSA5では、ステップSA3で検出したフォルダDR及びデータファイルDFの名称を所定のソート順で並び替えて表示装置14に表示する。具体的には、ステップSA3で抽出してRAM7内のバッファ領域に一時的に記憶したフォルダDRの名称を表すテキストデータ及びステップSA3で抽出してRAM7内のバッファ領域に一時的に記憶しステップSA4で先頭に記号文字を付与したデータファイルDFの名称を表すテキストデータを所定のソート順でソートして表示装置14に表示する。ここで、所定のソート順とは、名称の昇順、降順、ファイルサイズ順、ファイル種類順、ファイル作成・更新日時順等である。その後、ステップSA6に進み、フォルダ・ファイルリスト表示処理を終了する。
【0032】
なお、上述のステップSA4では、データファイル名の先頭に記号文字を付与したが、フォルダ名の先頭に記号文字を付与するようにしてもよい。また、フォルダ名及びファイル名の双方にそれぞれ異なる記号文字を付与するようにしてもよい。
【0033】
なお、フォルダ(ディレクトリ)名やデータファイル名の先頭に付与する所定記号文字と同じ記号文字を、フォルダ(ディレクトリ)名やデータファイル名に予め付与できないようにするのが好ましい。これは、同じ記号文字が予め付与してあると、自動付与したものなのか否かが判別できなくなるからである。あるいは、フォルダ(ディレクトリ)名やデータファイル名の先頭以外の中間や末尾であれば、同じ記号文字を付与できるようにしてもよい。
【0034】
また、一覧表示内でフォルダ(ディレクトリ)を多段階表示する場合には、所定記号文字を複数個付与して多段階であることを表してもよい。
【0035】
以上、本発明の実施例によれば、フォルダ名及び/又はファイル名の先頭に記号文字を付与してフォルダ名及びファイル名を表示装置にリスト表示するので、表示装置上でのフォルダ及びファイルの識別が容易になる。
【0036】
また、記号文字を付与するので、文字情報(テキストデータ)のみを表示可能な表示装置上においても、フォルダ及びファイルの識別が容易になる。
【0037】
また、1文字分の表示領域の内の大半が空白の記号文字や、スペース(空白)を付与することにより、これを付与したファイル名と付与されていないフォルダ名とに段差ができたような表示となり両者の識別がさらに容易となる。
【0038】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例による電子音楽装置1のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施例によるフォルダ及びファイルの階層構造を表す概念図である。
【図3】本発明の実施例によるフォルダDR及びファイルDFリスト表示例である。
【図4】本発明の実施例によるフォルダ・ファイルリスト表示処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1…電子音楽装置、6…バス、7…RAM、8…ROM、9…CPU、10…タイマ、11…検出回路、12…設定操作子、13…表示回路、14…表示装置、15…記憶装置、18…音源・効果回路、19…サウンドシステム、21…通信I/F、22…演奏操作子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに名称が付与されたフォルダ及びデータファイルを階層構造で管理し記憶する記憶手段と、
前記階層構造のうち任意の階層を選択する選択手段と、
前記選択された階層のフォルダ及びデータファイルを検出する検出手段と、
前記検出されたフォルダ及びデータファイルの少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字を付与する付与手段と、
前記付与手段によって少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字が付与されたフォルダ及びデータファイルを一覧表示する表示手段と
を有する電子情報処理装置。
【請求項2】
それぞれに名称が付与されたフォルダ及びデータファイルを階層構造で管理し記憶する記憶手段と、前記フォルダ及びデータファイルの一覧表示が可能な表示手段とを有する電子情報処理装置で実行されるプログラムであって、
前記階層構造のうち任意の階層を選択する選択手順と、
前記選択された階層のフォルダ及びデータファイルを検出する検出手順と、
前記検出されたフォルダ及びデータファイルの少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字を付与する付与手順と、
前記付与手段によって少なくとも一方の名称の先頭に所定の記号文字が付与されたフォルダ及びデータファイルを表示手段に一覧表示する表示手順と
を有するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−216902(P2009−216902A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59630(P2008−59630)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】