説明

電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステム

【課題】不正利用の牽制効果を有し、操作を行った者の画像を確実に記録できる電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムを提供する。
【解決手段】特定の機能を実行する操作者の画像を撮影する撮像部202と、画像から操作者の顔を検出する顔検出部203と、顔検出部203が画像から操作者の顔を検出した場合に、画像を記録する不揮発記録部205と、不揮発記録部205が画像を記録した場合に、特定の機能を実行する制限機能実行部206とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用が制限された機能を有する電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムに関し、特に、利用が制限された機能の不正な使用を抑止する効果を有する電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店の店舗では、商取引の内容を管理するPOS(Point Of Sale)機能を備えたレジスタ(以下、POSレジスタ)が広く用いられている。
【0003】
POSでは、商取引の内容(物品名や個数、支払い金額、釣り銭など)がジャーナルと呼ばれるデータとして、取引が行われた日時とともに記録される。
【0004】
POSレジスタは、上記の項目(取引日時、ジャーナル)に加え、レジスタの操作者に関する情報も記録している。よって、店員はレジスタを操作する前に、バーコードやICタグを備えた身分証を専用のリーダで読み取るなどして操作者の情報をレジスタに入力し、その後でレジスタの操作を行っている。
【0005】
しかし、このような認証方法では、正規の身分証を他人が不正に使用して店員になりすました上で操作を行ったとしても、身分証の正当な所有者による操作であるか否かを判断することはできない。すなわち、悪意を持つ第三者であっても、店員の身分証を入手しさえすれば、不正にPOSレジスタを操作できてしまう。同様に、身分証を偽造した場合も、不正にPOSレジスタを操作できてしまう。
【0006】
これにより、POSレジスタ内の現金が不正に取り出されてしまうことがあった。
【0007】
小売店舗における防犯性を高めることを目的とした技術として、特許文献1に開示される「監視カメラ装置」がある。特許文献1に開示される発明は、店舗等の入口にテレビカメラを設置し、顔が確実に記録された場合のみ入口のドアを開いて店舗等への入場を許可するものである。
【0008】
また、不正利用者に対して不正利用の牽制効果を有する個人認証装置に関連した技術として、特許文献2に開示される「個人認証装置」がある。特許文献2に開示される発明は、認証される者を撮影し、撮影した画像に写された体の一部が利用権限を有する者のものであるか否かを判断することによって不正なアクセスであるか否かを判断するものである。
【特許文献1】特開平6−86295号公報
【特許文献2】特開2002−288671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示される発明が想定しているような監視カメラをPOSレジスタの操作時の認証用として適用した場合、悪意を持つ者によって撮影方向が変えられてしまう可能性がある。すなわち、POSレジスタ付近を撮影するように監視カメラを設置しても、別方向にカメラが向けられて、そこにいる別の人物が写されているならば、POSレジスタを操作する者の画像が記録されないまま、POSレジスタが操作されることとなる。
また、悪意を持つ者によって撮影方向が変えられたり、第三者が監視カメラの前を横切ったり、荷物が積み上げられるなどして、POSレジスタを操作するタイミングにおいて、操作者が監視カメラの死角に入ってしまうと、操作する権限を有する正当な操作者であってもPOSレジスタを操作できず、接客に支障をきたす恐れがある。
【0010】
さらに、画像処理による認証技術の認証精度は向上してきてはいるものの、認証率は100%ではない。このため、撮影した画像に利用権限を有する者が写されているにもかかわらず、それが利用権限を有する者ではないと判断される可能性はゼロではない。よって、POSレジスタの場合には、特許文献2に開示される発明のように、撮影した画像に利用権限を有する者の体の一部が写されていない場合に不正アクセスであるとして処理するとなると、誤認証によって頻繁に不正アクセスであると判断され、接客の妨げとなってしまう恐れがある。
【0011】
このように、不正利用の牽制効果を有し、操作を行った者の画像を確実に記録できる電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムは提供されていなかった。
【0012】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、不正利用の牽制効果を有し、操作を行った者の画像を確実に記録できる電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、特定の機能を実行する操作者の画像を撮影する撮像手段と、特定の機能を実行する制限機能実行手段と、画像から操作者の顔を検出する顔検出手段と、顔検出手段が画像から操作者の顔を検出した場合に、画像を記録する不揮発記録手段と、不揮発記録手段が画像を記録した場合に、特定の機能を実行する制限機能実行手段とを備えたことを特徴とする電子機器を提供するものである。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様に係る電子機器を適用したPOSレジスタであって、特定の機能はドロアの開放であることを特徴とするPOSレジスタを提供するものである。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記本発明の第1の態様に係る電子機器と、撮像手段によって撮影された画像を蓄積するデータベースと、データベースに蓄積された画像を検索する情報処理装置とが、ネットワークを介して接続されたことを特徴とする特定機能利用認証システムを提供するものである。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として上記本発明の第2の態様に係るPOSレジスタと、撮像手段によって撮影された画像を蓄積するデータベースと、データベースに蓄積された画像を検索する情報処理装置とが、ネットワークを介して接続されたことを特徴とするPOSシステムを提供するものである。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第5の態様として、特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて操作者の画像を撮影し、撮影した画像から操作者の顔を検出する顔検出する処理を行い、顔検出に成功したその画像を記録し、その後特定の機能を実行とすることを特徴とする電子機器の制御方法を提供するものである。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第6の態様として、電子機器を制御するコンピュータに、特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて操作者の画像を撮影する処理と、撮影した画像から操作者の顔を検出する顔検出する処理と、顔検出に成功したその画像を記録する処理と、記録完了後に特定の機能を実行する処理とを行わせることを特徴とする電子機器の制御方法のプログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、不正利用の牽制効果を有し、操作を行った者の画像を確実に記録できる電子機器、その制御方法及びプログラム、POSレジスタ、特定機能利用認証システム、POSシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に、本発明に係る電子機器の構成を示す。電子機器200は、特定の機能を実行する操作者の画像を撮影する撮像部202と、特定の機能を実行する制限機能実行部206と、画像から操作者の顔を検出する顔検出部203と、顔検出部203が画像から操作者の顔を検出した場合に、画像を記録する不揮発記録部205と、不揮発記録部205が画像を記録した場合に、特定の機能を実行する制限機能実行部206とを備える。
【0021】
なお、図2に示すように、電子機器を制御する実質的なコンピュータである制御部201にプログラムを実行させることにより、制御部201上にソフトウェア処理によって顔検出部203及び制限機能実行部206を構成するとともに、制御部201からの指令に応じて撮像部202及び不揮発記録部205を作動させても良い。
【0022】
図3に示すように、電子機器200は、撮像部202によって撮影された画像を蓄積する顔画像データベース400と、顔画像データベース400に蓄積された画像を検索するための顔画像検索端末500とに、ネットワーク300を介して接続することにより、特定機能利用認証システムとして活用される。
【0023】
また、図4に、本発明に係る電子機器をPOSレジスタとして使用する場合の構成を示す。POSレジスタ600は、ドロアを開状態とする操作を実行する操作者の画像を撮影する撮像部602と、画像から操作者の顔を検出する顔検出部603と、顔検出部603が画像から操作者の顔を検出した場合に、画像を記録する不揮発記録部605と、不揮発記録部605が画像を記録した場合に、ドロアを開状態とする処理を実行するドロア開閉制御部606とを備える。
【0024】
なお、図5に示すように、POSレジスタ600を制御する実質的なコンピュータである制御部601にプログラムを実行させることにより、制御部601上にソフトウェア処理によって顔検出部603及びドロア開閉制御部606を構成するとともに、制御部601からの指令に応じて撮像部602及び不揮発記録部605を作動させても良い。
【0025】
図6に示すように、POSレジスタ600は、撮像部602によって撮影された画像を蓄積する顔画像データベース400と、顔画像データベース400に蓄積された画像を検索するための顔画像検索端末500とに、ネットワーク300を介して接続することにより、POSシステムとして活用される。
【0026】
以下、POSレジスタ及びこれを用いたPOSシステムを例として、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0027】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図7に、本実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す。
POSレジスタ100は、制御部101、撮像部102、表示部103、操作部104、通信部105、電子錠106を有する。
【0028】
制御部101は、撮像部102から入力される画像データを一時的に保持するメモリ101aと、POSレジスタ100の各部の制御及び画像データに対する画像処理を行うCPU101zとを有する。CPU101zには、メモリ101aに保持されている画像データに対して顔検出処理を行うための顔検出処理部101bと、画像データとジャーナル情報とを関連づける関連づけ部101cとがソフトウェア処理によって形成されている。なお、顔検出処理部101bの処理としては、公知の顔検出処理を適用可能である。制御部101は、メモリ101aに保持した画像データを表示部103に出力して表示させる。また、制御部101は、メモリ101aに一時的に保持されている画像データに対して、特定のタイミングで関連付け部101cによる関連付け処理を行う。
【0029】
撮像部102は、操作者が操作部104を操作する際に、撮像範囲内に顔が入るようにPOSレジスタの筐体に固定されて設置されている。撮像部102は、所定の時間間隔で画像を撮影して、画像データをメモリ101aに転送する。表示部103は、制御部101によってメモリ101aから入力される画像データに応じた画像、すなわち撮像部102が撮影した画像を表示する。撮像部102が撮影した画像を表示部103において表示することにより、後述のように、ドロアを開く操作を行う際に、顔検出可能な画像が撮像部102によって撮影されているかを、予め確認できる。操作部104は、POSレジスタにジャーナルを入力するためのキー群やタッチパネルなどであり、ドロアを開く操作のためのキー(又はソフトキー)を含む。通信部105には、画像データとジャーナル情報とを関連づけた情報(以下、関連付け処理済みの情報)が関連付け部101cから入力される。通信部105はその情報を外部へ出力(後述するようにネットワーク300を介して顔画像データベース400へ送信)する。電子錠106は、ドロアを開閉する機構であり、制御部101から解錠信号が入力されるとドロアを開く。
【0030】
図8に示すように、POSレジスタ100は、ネットワーク300を介して顔画像データベース400及び顔画像検索端末500に接続されている。
顔画像データベース400は、関連付け処理済みの情報をPOSレジスタ100から受信すると、それを蓄積する。図9に示すように、顔画像データベースには、日時、ジャーナル及び顔画像という各フィールドに該当する情報が関連付けて格納される。日時の情報を顔画像に関連付けて顔画像データベース400に格納することにより、POSレジスタ100が不正使用された場合に不正使用した可能性のある人物を特定しやすくなる。すなわち、ある時間帯にPOSレジスタ100が不正に使用されたことが判明すれば、その時間帯に含まれる時刻と関連付けられた顔画像が示す人物が不正使用を行ったこととなる。
また、ジャーナル情報を顔画像データベース400に格納することにより、POSレジスタ100を不正に使用した可能性のある人物を特定しやすくなる。すなわち、不自然な取引内容のジャーナル(例えば、「小計0 預かり0」)に関連付けられた画像が存在するならば、その画像の示す人物が、不正使用を行った可能性が高いと判断できる。
【0031】
顔画像検索端末500は、ネットワーク300を介して顔画像データベース400と通信可能な情報処理装置であり、一般的なコンピュータ端末を適用可能である。
【0032】
顔画像データ及びジャーナル情報を顔画像データベース400に格納する動作について説明する。図10に、POSレジスタ100が操作される際のPOSレジスタ100の動作の流れを示す。
制御部101は、ドロアを開くための操作が操作部104を介して行われるのを監視している(ステップS101)。ドロアを開くための操作が行われていない場合(ステップS101/No)、制御部101はメモリ101aに一時的に保存した画像データに応じた画像を表示部103に表示させた後、ドロアを開くための操作が操作部104を介して行われるのを再び監視する。
【0033】
ドロアを開くための操作が行われたならば(ステップS101/Yes)、制御部101はそのタイミングで撮像部102から入力された画像データをメモリ101aに一時的に保存してから、顔検出処理部101bを起動する。顔検出処理部101bは、メモリ101aから入力された画像データに対して顔検出処理を行う(ステップS102)。
【0034】
顔検出処理部101bが顔検出に失敗したならば(ステップS103/No)、制御部101はそのタイミングで撮像部102から入力された画像データをメモリ101aに一時的に保存してから、顔検出処理部101bを起動し、顔検出処理を再度試みる(ステップS102)。
【0035】
一方、顔検出処理部101bが顔検出に成功したならば(ステップS103/Yes)、制御部101は関連付け部101cを起動し、メモリ101aに保存されている画像データと操作部104から入力されたジャーナルデータとを関連付ける(ステップS104)。
【0036】
その後、制御部101は関連付け処理済みの情報を通信部105へ出力し、ネットワーク300を介して顔画像データベース400へ送信する(ステップS105)。顔画像データベース400への関連付け処理済みの情報の送信が正常に完了したならば(ステップS106/Yes)、制御部101は電子錠106へ解錠信号を出力し、ドロアを開状態とする(ステップS107)。一方、顔画像データベース400への関連付け処理済みの情報の送信が正常に完了しなかったならば(ステップS106/No)、制御部101はそのタイミングで撮像部102から入力された画像データをメモリ101aに一時的に保存してから、顔検出処理部101bを起動し、顔検出処理を再度試みる(ステップS102)。
【0037】
以上のようにして顔画像データベース400に蓄積された関連付け処理済みの情報は、顔画像検索端末500からネットワーク300を介して、日時、映像種別、顔画像などを指定して参照(検索)可能である。よって、POSレジスタ100が不正使用された場合には、操作日時の情報とともに記録されている顔画像を基にして、不正な操作を行った者を容易に特定できる。また不正な操作が行われた場合に、その証拠を顔画像データベース400に確実に残すことができる。
【0038】
このように本実施形態に係るPOSレジスタ100では、撮像部102はPOSレジスタ100に固定されており、撮像方向を所定方向とは別方向に向けることはできないため、操作者の顔を含んだ画像を確実に撮影できる。
また、操作者がドロアを開こうとするタイミングで撮影した画像から操作者の顔を検出し、その画像を含むデータを顔画像データベースへ正常に転送することができなければドロアが開かない。すなわち、ドロアを開く際には顔画像の撮影及び記録が必須の要件となるため、POSレジスタの不正使用の抑止効果が得られる。
さらに、撮影画像からの顔検出や顔画像データベースへのデータ転送に失敗した場合には、不正アクセスとしての処理(警報音の出力など)を行わずに顔検出処理をやり直すため、顔検出に失敗したとしても接客の妨げとはなりにくい。
【0039】
なお、ここでは顔画像データベースへのデータ転送に失敗した場合には、別の画像データを用いて顔検出処理からやり直すとして説明したが、このような場合にデータの転送のみをやり直すようにしても良い。
【0040】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。図11に、本実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す。第1の実施形態のPOSレジスタ100とほぼ同様であるが、関連付け部101cから出力される情報を記録する不揮発メモリ107を備えている点と、不揮発メモリ107に記録されている情報を任意のタイミングで制御部101が取得し、通信部105を介して外部へ出力(ネットワーク300を介して顔画像データベース400へ送信)する点が相違する。
【0041】
第1の実施形態と同様に、POSレジスタ100は、ネットワーク300を介して顔画像データベース400及び顔画像検索端末500に接続される。
【0042】
図12に、本実施形態に係るPOSレジスタ100が操作される際のPOSレジスタ100の動作の流れを示す。第1の実施形態とほぼ同様の動作であるが、関連付け部101cによる関連付け処理が済んだ情報を不揮発メモリ107に正常に記録できた場合に(ステップS206/Yes)、制御部101は電子錠106へ解錠信号を出力する点が相違する。
【0043】
不揮発メモリ107に記録した関連付け処理済みの情報は、定期的に又は操作部104を介した入力操作に応じて制御部101によって通信部105へと送られ、通信部105からネットワーク300を介して顔画像データベース400へ送られる。
【0044】
本実施形態に係るPOSレジスタは、関連付け部101cによる関連付け処理が済んだ情報を不揮発メモリ107に正常に記録できた時点でドロアが開くため、操作部104を介した操作を行ってからドロアが開くまでの間に顔画像データベース400との通信に関係する待ち時間は発生しない。従って、POSレジスタ100と顔画像データベース400との間の通信環境が芳しくないために、関連付け処理が済んだ情報の転送に時間がかかるような場合でも速やかにドロアを開くことができ、関連付け処理済みの情報を転送できないような場合であってもドロアを開くことができる。よって、店舗等においては顧客を待たせる時間が短縮されるため、単位時間内により多くの顧客に対応することが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態においては、顔画像データベース400を省略し、図13に示すように、顔画像検索端末500が、POSレジスタ100の不揮発メモリ107に記録されている情報を直接参照できるようにしても良い。すなわち、顔画像データベース400としての機能を、POSレジスタ100に組み込むようにすることも可能である。
【0046】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図14に、本実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す。第1の実施形態のPOSレジスタ100とほぼ同様であるが、認証部101dを更に有する。認証部101dは、顔画像検出部101bが顔検出に成功した場合に、メモリ101aに一時的に保存されている画像データを通信部105を介して顔画像データベース400へ送信して、登録済みの利用権限を有する者の顔画像であるか否かの認証を依頼する。また、CPU101zは、顔画像データベース400から通信部105を介して認証結果を受信し、先に送信した画像が利用権限を有する者の画像であった場合には、メモリ101aに一時的に保存されている画像データを関連付け部101cへ出力させる。
【0047】
第1の実施形態と同様に、POSレジスタ100は、ネットワーク300を介して顔画像データベース400及び顔画像検索端末500に接続される。
【0048】
本実施形態においては顔画像データベース400には利用権限を有する者の顔画像が予め登録されており、顔画像データベース400は、POSレジスタから送信されてきた画像が利用権限を有する者の画像であるか否かをPOSレジスタからの要求に応じて判断(認証)する。
【0049】
図15に、本実施形態に係るPOSレジスタ100が操作される際のPOSレジスタ100の動作の流れを示す。ステップS301〜S303の動作は第1の実施形態でのステップS101〜S103と、ステップS306〜S309の動作は第1の実施形態でのステップS104〜S107の動作と同様であるため、ステップS304及びS305の動作についてのみ説明する。
【0050】
顔検出処理部101bが顔検出に成功したならば(ステップS303/Yes)、制御部101は認証部101dを起動し、メモリ101aに保存されている画像データを通信部105を介して顔画像データベース400へ送信するとともに、登録済みの利用権限を有する者の顔画像であるか否かの認証を要求する(ステップS304)。
【0051】
制御部101は、通信部105を介して認証結果を顔画像データベース400から取得すると、認証に成功したか否かを判断する(ステップS305)。顔画像データベース400から認証OKの応答を得た場合は(ステップS305/Yes)、ステップS306へ進み、制御部101は関連付け部101cを起動し、メモリ101aに保存されている画像データと操作部104から入力されたジャーナルデータとを関連付ける(ステップS306)。
一方、認証NGの応答を得た場合は(ステップS305/No)、ステップS302へ戻って顔画像の検出をやり直す。
【0052】
本実施形態に係るPOSレジスタは、予め顔画像データベースに顔画像が登録されている利用権限を有する者でなければドロアを開くことができない。すなわち、ドロアを開くことのできる人間が限られるため、利用権限を有する者に対する不正使用の抑制効果が大きくなる。
【0053】
なお、ここでは顔画像データベース400には利用権限を有する者の顔画像が予め登録されており、顔画像データベース400は、POSレジスタから送信されてきた画像が利用権限を有する者の画像であるか否かをPOSレジスタからの要求に応じて判断(認証)するものとしたが、顔画像データベース400とは別個に認証用のサーバを設けても良いことは言うまでもない。
【0054】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図16に本実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す。第3の実施形態と同様に認証部101dを有する構成であるが、内部でのデータのやりとりが異なっている。
【0055】
第1の実施形態と同様に、POSレジスタ100は、ネットワーク300を介して顔画像データベース400及び顔画像検索端末500に接続される。
【0056】
図17に、本実施形態に係るPOSレジスタ100が操作される際のPOSレジスタ100の動作の流れを示す。ステップS401〜S403の動作は第1の実施形態でのステップS101〜S103と同様である。
【0057】
顔検出処理部101bが顔検出に成功したならば(ステップS403/Yes)、制御部101は関連付け部101c及び認証部101dを起動し、メモリ101aに保存されている画像データと操作部104から入力されたジャーナルデータとを関連付けるとともに認証要求を生成する(ステップS404)。
【0058】
その後、制御部101は関連付け処理済みの情報と認証要求とを通信部105へ出力し、ネットワーク300を介して顔画像データベース400へ送信する(ステップS405)。顔画像データベース400への関連付け処理済みの情報の送信が正常に完了したならば(ステップS406/Yes)、顔画像データベース400からの応答を待機する。一方、顔画像データベース400への関連付け処理済みの情報の送信が正常に完了しなかったならば(ステップS406/No)、制御部101はそのタイミングで撮像部102から入力された画像データをメモリ101aに一時的に保存してから、顔検出処理部101bを起動し、顔検出処理を再度試みる(ステップS402)。
【0059】
顔画像データベース400から認証OKの応答を得た場合には(ステップS407/Yes)、制御部101は電子錠106へ解錠信号を出力し、ドロアを開状態とする(ステップS408)。また、顔画像データベース400から認証NGの応答を得た場合には(ステップS407/No)、制御部101はそのタイミングで撮像部102から入力された画像データをメモリ101aに一時的に保存してから、顔検出処理部101bを起動し、顔検出処理を再度試みる(ステップS402)。
【0060】
本実施形態に係るPOSレジスタも、予め顔画像データベースに顔画像が登録されている利用権限を有する者でなければドロアを開くことができないため、ドロアを開くことのできる人間が限られることとなり、利用権限を有する者に対する不正使用の抑制効果が大きくなる。
また、顔画像データベース400への画像データの送信回数が1回だけであるので、第3の実施形態と比較して処理速度が向上する。
【0061】
上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態では、POSレジスタ、顔画像データベース、顔画像検索端末が、有線の通信回線を介してネットワークに接続されている構成を例示したが、これらは無線回線を介してネットワークに接続されていても構わない。
また、上記各実施形態ではPOSレジスタを例として説明したが、本発明は不正な使用を防止するために利用が制限された機能を有する電子機器であれば、POSレジスタ以外も適用可能である。例として、ATMや電子ロックを備えた金庫などにも適用可能である。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る電子機器の構成を示す図である。
【図2】ソフトウェア処理によって機能を実現した本発明に係る電子機器の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る特定機能利用認証システムの構成を示す図である。
【図4】本発明に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図5】ソフトウェア処理によって機能を実現した本発明に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図6】本発明に係るPOSシステムの構成を示す図である。
【図7】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係るPOSレジスタを用いたPOSシステムの構成を示す図である。
【図9】顔画像データベースに格納される関連付け処理済み情報を示す図である。
【図10】第1の実施形態に係るPOSレジスタが操作される際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係るPOSレジスタが操作される際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】顔画像検索端末が、POSレジスタに記録されている情報を直接参照するPOSシステムの構成を示す図である。
【図14】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図15】第3の実施形態に係るPOSレジスタが操作される際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明を好適に実施した第4の実施形態に係るPOSレジスタの構成を示す図である。
【図17】第4の実施形態に係るPOSレジスタが操作される際の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
100、600 POSレジスタ
101、201、601 制御部
101a メモリ
101b、203、603 顔検出部
101c 関連付け部
101d 認証部
101z CPU
102、202、602 撮像部
103 表示部
104 操作部
105 通信部
106 電子錠
107 不揮発メモリ
200 電子機器
205、605 不揮発記録部
206 制限機能実行部
300 ネットワーク
400 顔画像データベース
500 顔画像検索端末
606 ドロア開閉制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の機能を実行する操作者の画像を撮影する撮像手段と、
前記画像から操作者の顔を検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段が前記画像から前記操作者の顔を検出した場合に、前記画像を記録する不揮発記録手段と、
前記不揮発記録手段が前記画像を記録した場合に、前記特定の機能を実行する制限機能実行手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記特定の機能を実行する操作を受け付けるユーザインタフェースを操作する者が撮像範囲に入るように固定されたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記撮像手段が撮影した画像を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記不揮発記録手段は、前記画像のデータを、外部記録装置へ記録させる手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて前記撮像手段が撮影した画像を基に、前記操作者が権限を有する者であるか否かの判断を認証装置に要求し、前記操作者が権限を有する者であると前記認証装置から通知された場合に、前記制限機能実行手段に前記特定の機能を実行させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項6】
前記不揮発記録手段は、不揮発メモリであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項7】
前記不揮発メモリに記録した画像を、外部記録装置へ送信して記録させる通信手段を有することを特徴とする請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記撮像手段が撮影した画像と関連付けて記録する関連情報を取得する手段と、
前記関連情報と前記画像とを関連付ける関連付け手段とを有し、
前記不揮発記録手段は、前記関連付け手段によって画像に関連付けされた関連情報を、その画像とともに記録することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の電子機器。
【請求項9】
前記関連情報は、自装置が操作された日時を含むことを特徴とする請求項8記載の電子機器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の電子機器を適用したPOSレジスタであって、
前記特定の機能はドロアの開放であることを特徴とするPOSレジスタ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項記載の電子機器と、前記撮像手段によって撮影された画像を蓄積するデータベースと、前記データベースに蓄積された画像を検索する情報処理装置とが、ネットワークを介して接続されたことを特徴とする特定機能利用認証システム。
【請求項12】
前記特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて前記撮像手段が撮影した画像を基に、前記操作者が権限を有する者であるか否かを判断する認証装置をさらに有し、
前記操作者が権限を有する者であると前記認証装置が判断した場合に、前記制限機能実行手段に前記特定の機能を実行させることを特徴とする請求項11記載の特定機能利用認証システム。
【請求項13】
請求項10記載のPOSレジスタと、前記撮像手段によって撮影された画像を蓄積するデータベースと、前記データベースに蓄積された画像を検索する情報処理装置とが、ネットワークを介して接続されたことを特徴とするPOSシステム。
【請求項14】
前記特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて前記撮像手段が撮影した画像を基に、前記操作者が権限を有する者であるか否かを判断する認証装置をさらに有し、
前記POSレジスタは、前記操作者が権限を有する者であると前記認証装置が判断した場合に、前記制限機能実行手段に前記特定の機能を実行させることを特徴とする請求項13記載のPOSシステム。
【請求項15】
特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて操作者の画像を撮影し、前記撮影した画像から操作者の顔を検出する顔検出する処理を行い、顔検出に成功したその画像を記録し、その後前記特定の機能を実行とすることを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項16】
前記操作者の画像と関連付けて記録する関連情報を取得し、
前記関連情報と前記画像とを関連付け、
前記操作者の画像に関連付けされた関連情報を、その画像とともに記録することを特徴とする請求項15記載の電子機器の制御方法。
【請求項17】
前記電子機器はPOSレジスタであり、
前記特定の機能は、ドロアを開状態とする処理であることを特徴とする請求項15又は16記載の電子機器の制御方法。
【請求項18】
電子機器を制御するコンピュータに、
特定の機能を実行する操作がなされたタイミングにおいて操作者の画像を撮影する処理と、
前記撮影した画像から操作者の顔を検出する顔検出する処理と、
顔検出に成功したその画像を記録する処理と、
記録完了後に前記特定の機能を実行する処理とを行わせることを特徴とする電子機器の制御方法のプログラム。
【請求項19】
前記コンピュータに、
前記操作者の画像と関連付けて記録する関連情報を取得する処理と、
前記関連情報と前記画像とを関連付ける処理と、
前記操作者の画像に関連付けされた関連情報を、その画像とともに記録する処理とを行わせることを特徴とする請求項18記載の電子機器の制御方法のプログラム。
【請求項20】
前記電子機器はPOSレジスタであり、
前記特定の機能は、ドロアを開状態とする処理であることを特徴とする請求項18又は19記載の電子機器の制御方法のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−230682(P2009−230682A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78238(P2008−78238)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000164449)九州日本電気ソフトウェア株式会社 (67)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】