電子機器、バリア部材及び筐体
【課題】押出し成形によって、部品点数が少なく、簡略な構造の摺動構造を形成することで、安定した摺動が可能で、かつ安価な電子機器を提供する。
【解決手段】筐体10は、押出し成形により成形された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体10の外縁には、押出し成形により一体形成されたクランク形状の溝10a及び溝10bが形成される。バリア部材11は、クランク形状のリブ11a、11bが押出し成形により一体形成された板状の部材である。リブ11aを溝10aに挿入し、リブ11bを溝10bに挿入する。溝10a、10bとリブ11a、11bとは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。このようにリブ11a及びリブ11bが、溝10a及び溝10bの内部をそれぞれ摺動することで、バリア部材11が筐体10の前面に摺動可能に取り付けられる。
【解決手段】筐体10は、押出し成形により成形された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体10の外縁には、押出し成形により一体形成されたクランク形状の溝10a及び溝10bが形成される。バリア部材11は、クランク形状のリブ11a、11bが押出し成形により一体形成された板状の部材である。リブ11aを溝10aに挿入し、リブ11bを溝10bに挿入する。溝10a、10bとリブ11a、11bとは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。このようにリブ11a及びリブ11bが、溝10a及び溝10bの内部をそれぞれ摺動することで、バリア部材11が筐体10の前面に摺動可能に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、バリア部材及び筐体に係り、特に筐体の前面にバリア部材を有する電子機器、バリア部材及び筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、そのカメラ本体の前面には、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等が配設されており、通常は、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等は、カメラ本体の前面に摺動自在に配設されたバリア部材により覆われている。このような形態のカメラにおいては、バリア部材を摺動させて、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等を露呈させることにより、撮影が可能となる。
【0003】
従来のバリア部材の摺動構造を図29に示す。バリア部材は、主として、金属製のパネル101と、プラスチック製のインナー102と、金属製の下板103とで構成され、カメラ本体は、主として金属製のパネル104と、金属製の上板105とで構成されている。パネル101及び下板103が、上板105に形成された凸部上を摺動することにより、バリア部材がカメラ本体上をスライドする。
【0004】
当該摺動構造では、パネル101、下板103、上板105等の板状の部品のソリ、インナー102の厚さのばらつき、部品点数が5部品と多いことによる寸法公差の積み重ねなどにより、摺動部分の隙間が拡大し、バリア部材のガタ付きが大きくなったり、摺動による削れ跡が目立ったりするなどの問題が発生している。
【0005】
また、部品点数が多いことによるコストアップも問題となっている。
【0006】
近年、少ない部品点数で充分な強度を保ち、かつ安価な筐体を製造する方法として押出し成形が用いられている。
【0007】
押出し成形により製造された筐体として、以下のような技術が開示されている。
【0008】
特許文献1には、押出し成形によって形成された断面がロの字状の筒状の筐体であって、内部に所定の部品を収納する収納部が一体形成された筐体が提案されている。
【特許文献1】特開平11―112160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の筐体において、押出し成形により内部に形成された収納部は、基板を差し込んで取り付けるためのものであるため、当該構造を摺動部に適用することはできない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、押出し成形によって部品点数が少なく、簡略な構造の摺動構造を形成することで、安定した摺動が可能で、かつ安価な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、 前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の電子機器によれば、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材と筐体との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、摺動構造を上面に形成する場合には、前面から溝が見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状の部材であり、 前記筐体には、押出し成形により形成され、前記摺動部が挿入されるクランク溝を有する棒状のガイド部が取り付けられることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の電子機器によれば、筐体には、押出し成形により形成され摺動部が挿入される溝を有する棒状のガイド部が取り付けられ、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、ガイド部を介して筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材とガイド部との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、筐体をガイド部と本体部とに分離して製造することにより、本体部の製造をプレス加工、射出成形などの押出し成形以外の方法で行うことができ、更にコストダウンを図ることができる。また、摺動構造を上面に形成する場合には、前面から溝が見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入されるハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の電子機器によれば、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状のバリア部材を、ハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材と筐体との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、バリア部材に形成するリブをハの字形状又は逆ハの字形状という単純な形状にすることにより、バリア部材の製造をプレス加工、射出成形などの押出し成形以外の方法で行うことができ、更にコストダウンを図ることができる。
【0017】
請求項4に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に一体形成された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の電子機器によれば、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に形成された板状のバリア部材が、摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動を安定して行うことができ、かつバリア部材により摺動部や溝が覆われることでデザイン性を向上させることができる。
【0019】
請求項5に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、板状のバリア部と、該バリア部の略中央部に設けられた略T字形状のリブとが押出し成形により一体成形された部材であり、前記筐体は、前記略T字形状のリブの根元部分のみが挿入される溝であって、前記筐体の前面の壁を貫通する溝が押出し成形により一体形成された略ロの字状の断面形状の部材であり、前記略T字形状のリブの根元部分を前記溝に挿入し、かつ前記バリア部の上下端と、前記略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着されることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の電子機器によれば、バリア部材には、略T字形状のリブが略中央部に形成されている。筐体の前面に形成された貫通溝に略T字形状のリブの根元部分を挿入し、板状のバリア部の上下端と、略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材により溝が一部覆われるため、デザイン性を向上させることができる。
【0021】
請求項6に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、摺動部として用いられる略T字形状のリブが押出し成形により一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記略T字形状のリブ全体が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の電子機器によれば、略T字形状の摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、摺動部が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。。これにより、摺動部の幅を広く取ることができ、安定した摺動を行うことができる。また、略T字形状の溝の内部で摺動が行われるため、摺動による跡が外観面に出ないようにすることができる。
【0023】
請求項7に記載の電子機器は、請求項1、3、4又は6に記載の電子機器において、前記筐体は、前記バリア部材が前記筐体の前面を左右に摺動する際に常に前記バリア部材によって覆われる領域を残して、前記溝が形成された領域を後加工により切削することにより形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の電子機器によれば、押出し成形により溝が一体形成された筐体に対して、バリア部材が筐体の前面を左右に摺動する際に常にバリア部材によって覆われる領域(オーバーラップ領域)のみが残るように、後加工により溝が形成された領域を切削を行なう。これにより、バリア部材の摺動に用いられる溝が正面から完全に見えないようにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0025】
請求項8に記載の電子機器は、請求項1から7のいずれかに記載の電子機器において、前記バリア部材の背面側及び前記筐体の前面側には、コイルバネを固定する固定部がそれぞれ配設され、前記バリア部材は、前記コイルバネの付勢力により前記筐体の右端又は左端に押し付けられることを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の電子機器によれば、バリア部材の背面側及び筐体の前面側に設けられた固定部を介してバリア部材及び筐体に取り付けられたコイルバネの付勢力により、バリア部材は、筐体の右端又は左端に押し付けられる。これにより、バリア部材を右端または左端に固定することができる。
【0027】
請求項9に記載の電子機器は、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器において、前記溝と嵌合する抜け止め部材であって、前記バリア部材の摺動距離の規制を行う抜け止め部材を更に備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の電子機器によれば、抜け止め部材を溝に勘合させて、バリア部材の摺動距離の規制を行う。これにより、簡単な構造でバリア部材の摺動距離を規制することができる。
【0029】
請求項10に記載のバリア部材は、請求項4から9のいずれかに記載の電子機器を構成する。
【0030】
請求項11に記載の筐体は、請求項1、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の電子機器を構成する。
【0031】
請求項12に記載の筐体は、請求項11に記載の筐体において、肉厚が厚い偏肉部が部分的に形成されたことを特徴とする。
【0032】
請求項12に記載の筐体によれば、略コの字状又は略ロの字状の断面形状の角や平面に部分的に肉厚が厚い偏肉部を形成する。これにより、筐体の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、摺動構造に押出し成形により形成された部品を使用することで、部品点数を削減し、構造を簡略化し、かつ安価な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明に係る電子機器を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0035】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器であるカメラ1の正面図であり、(a)はバリア部材11が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11が右端に位置決めされた状態を示す。図2はカメラ1の分解斜視図である。
【0036】
カメラ1は、主として、筐体10と、バリア部材11と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10にバリア部材11を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ1が組み立てられる。
【0037】
バリア部材11は、筐体10の前面に摺動可能に装着され、バリア部材11が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、図1(b)に示すように、バリア部材11は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材11によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材11が摺動されることにより、バリア部材が左端、すなわち開状態に位置される(図1(a)参照)と、筐体10前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材11が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0038】
[筐体10について]
図3は、押出し成形後の筐体10を示す図である。筐体10は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ1の左右方向(左右押出し、図3矢印参照)への押出し成形により成形された、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体10は、肉厚がほぼ同一になるように形成されるが、必要に応じて偏肉部(薄肉部10c及び厚肉部10d)が形成される。このように急激な肉厚の変化がある場合においても、押出し成形を用いることにより、ヒケ等の不具合が生じず、安定した寸法かつ外観に優れた部品を形成することができる。また、厚肉部10dを設けることにより、筐体10を補強することができる。なお、厚肉部10dは、角部のみでなく、平面部に設けることもできる。
【0039】
また、筐体10の外縁には、押出し成形により一体形成されたクランク形状の溝10a及び溝10bが形成される。押出し成形を用いることにより、アンダーカット形状を有する部品を容易に作ることができる。また、筐体10の前面側の壁には、レンズ用の孔10eが形成され、断面には、側板12、13を固定するためのネジ孔10fが形成される。
【0040】
次に、筐体10の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図2に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝10a、溝10b、薄肉部10c及び厚肉部10dが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。
【0041】
次に、機械加工により、略ロの字状の筒状の部材の前面にレンズ用の孔15を形成する。押出し成形により形成された筐体10を、前面を上にしてマシニングセンタ等に設置して、前面側から穴あけ加工を行う。その後、バリ取りなどを行って、レンズ用の孔15を形成する。
【0042】
最後に、機械加工により、筐体10の側面にネジ孔10fを形成する。押出し成形により形成された筐体10を、側面を上にしてマシニングセンタ等に設置して穴あけ加工及びねじ切り加工を行う。この作業を左右両側の側面に対して行い、その後バリ取りなどを行い、孔16fを計4箇所形成する。なお、ネジ孔14fの数は4個に限られない。
【0043】
[バリア部材11について]
図4は、押出し成形後のバリア部材11を示す図である。バリア部材11は、筐体10と同様に、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材である。また、バリア部材11の上端は、押出し成形により一体形成されたクランク形状の摺動部11aが形成され、バリア部材11の下端には、摺動部11bが形成される。
【0044】
次に、バリア部材11の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図4に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、摺動部11a、11bが設けられた板状のバリア部材11が形成される。
[バリア部材11の筐体10への取り付けについて]
図5は、バリア部材11を筐体10へ取り付けた図である。摺動部11aを溝10aに挿入し、摺動部11bを溝10bに挿入する。溝10a及び溝10bは、摺動部11a及び摺動部11bに対してそれぞれ約0.05mm〜0.5mm程度大きい、すなわち、溝10a、10bと摺動部11a、11bとは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより摺動部11a及び摺動部11bが、溝10a及び溝10bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0045】
このようにして、バリア部材11が筐体10の前面に摺動可能に取り付けられる。なお、摺動部11aを溝10aに沿って摺動させることのみで、バリア部材11を筐体10に対して摺動させることは可能であるが、摺動部11b及び溝10bを設けることで、バリア部材11が回転方向に傾くことを防止することができ、よりスムーズな摺動が可能となる。
【0046】
また、バリア部材11を筐体10に取り付けた後で、溝10aと略同形状の抜け止め部材14を溝10aに嵌合させることで、バリア部材11が左右方向に摺動する距離が規制される。これにより、閉状態及び開状態におけるバリア部材11の位置決めを正確に行うことができる。なお、バリア部材11の摺動距離の規制及び位置決めは、抜け止め部材14によって行う場合に限らず、側板12、13によって行なうようにしてもよい。
【0047】
本実施の形態によれば、押出し成形により摺動構造(リブ及び溝)を形成することで、構造を簡略化し、部品点数を削減することができる。これにより、コストダウンを図ることができる。また、射出成形の場合には、抜き勾配を設ける必要があるが、押出し成形を用いることで、抜き勾配を考慮する必要がないため、部品設計の自由度を増したり、製造を容易にしたりすることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、筐体10及びバリア部材11はアルミニウム合金で形成されていたが、マグネシウム合金、ステンレスなどの様々な金属材料や、プラスチック材料を用いることができる。なお、アルミニウム合金としては、強度、成形性、コストなどを考慮し、押出性に優れ、耐食性、表面処理性も良好なAl−Mg−Si系のA6063、Al−Mn系のA3003、A3004などが使用される。
【0049】
また、本実施の形態では、略コの字状の筐体を押出し成形により形成したが、溝を含んだ略コの字状の枠を前枠又は後枠として押出し成形により形成し、その他の枠と組み立てて筐体としてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、摺動部11a、11bを押出し成形により一体成形したが、プレス加工により形成することもできる。
【0051】
<第1の実施の形態の変形例‐1>
第1の実施の形態の変形例−1は、摺動部が挿入される溝のみを押出し成形で製造する形態である。図6(a)は、溝10aが形成されたガイド部10’−1を示す図であり、図6(b)はガイド部10’−1及びガイド部10’−2が本体部10’に装着された図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
ガイド部10’−1は、溝10aが押し出し成形により一体形成された棒状の部材である。これを、プレス加工により形成された略コの字状の前枠10’−3に固着する。同様に、溝10bが押出し成形により一体形成された棒状のガイド部10’−2を、前枠10’−3に固着する。
【0053】
後枠10’−4は、前枠10’−3と同様にプレス加工により形成された略コの字状の枠である。ガイド部10’−1及び10’−2が固着された前枠10’−3と後枠10’−4とを組み立てることで、筐体10’が完成する。このようにして組み立てられた筐体10’の前面には、バリア部材11が摺動可能に取り付けられる。
【0054】
本実施の形態によれば、摺動部が挿入される溝が形成されたガイド部のみを押出し成形にすることで、筐体の本体部はプレス加工、射出成形などのその他の製造方法で製造することができる。これにより、更にコストダウンを図ることができる。
【0055】
<第1の実施の形態の変形例‐2>
第1の実施の形態の変形例−2は、摺動部及び溝が1組のみ形成された形態である。図7は、カメラ1’’の正面図であり、(a)はバリア部材11’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’が右端に位置決めされた状態を示す。図8はカメラ1’’の分解斜視図である。図8はカメラ’’の分解斜視図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
筐体10’’は、押出し成形により外縁にクランク形状の溝10a’’が一体形成された略ロの字状の筒状の部材である。バリア部材11’’は、押出し成形により上端にクランク形状の摺動部11a’’が一体形成された板状の部材である。
【0057】
各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10’’にバリア部材11’’を取り付け、抜け止め部材14’’を溝10a’’に嵌合させた後で、側板12、13を筐体10’’にネジ等で固定することより、カメラ1’’が組み立てられる。
【0058】
本実施の形態によれば、摺動部、すなわち溝10a’’及び摺動部11a’’の形状を工夫することで、摺動部が前面から視認されないようにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0059】
<第1の実施の形態の変形例‐3>
第1の実施の形態の変形例−3は、筐体10’’’とバリア部材11’’’との間にコイルバネ16が配設された形態である。図9はカメラ1’’’の分解斜視図である。図10は、カメラ1’’の要部を正面から透視した図であり、(a)はバリア部材11’’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’’が右端に位置決めされた状態を示す。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
筐体10’’’の前面には、後加工によりコイルバネ16の一端を挿入するボス10gが組み立てられる。バリア部材11’’’は、押出し成形により成形された板状の部材である。また、バリア部材11’’’は、上端にクランク形状の摺動部11a、下端には摺動部11b、背面側の中央部にはリブ11cが、押出し成形により一体形成される。リブ11cには、コイルバネ16の一端を挿入するボス11dが組み立てられる。
【0061】
各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10’’のボス10gにコイルバネ16の一端を挿入し、ピン等で固定する。コイルバネ16の他端がボス11dに挿入された状態で、摺動部11aを溝10aに挿入し、摺動部11bを溝10bに挿入することで、バリア部材11’’’を筐体10’’’に取り付ける。最後に、側板12、13を筐体10’’’にネジ等で固定することより、カメラ1’’’が組み立てられる。
【0062】
次に、バリア部材11’’’の開閉動作について説明する。バリア部材11’’’ が開状態にある場合には、図10(a)に示すように、コイルバネ16の付勢力によりバリア部材11’’’が左側に押し付けられる。これにより、バリア部材11’’’が開状態に保たれる。
【0063】
図10(a)に示す開状態から図10(b)に示す閉状態にする場合には、バリア部材11’’’をコイルバネ16の付勢力に抗して右側へ摺動させる。コイルバネ16は、バリア部材11’’’の摺動距離の略半分まではバリア部材11’’’に左方向の力を付勢し、バリア部材11’’’の摺動距離の略半分以降はバリア部材11’’’に右方向の力を付勢する。したがって、バリア部材11’’’を摺動距離の略半分以上移動させると、図10(b)に示すように、コイルバネ16の付勢力によりバリア部材11’’’が右側に位置決めされる。これにより、バリア部材11’’’が閉状態に保たれる。
【0064】
本実施の形態によれば、コイルバネの付勢力によりバリア部材を安定して開状態及び閉状態に保つことができる。
【0065】
<第2の実施の形態>
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器であるカメラ2のバリア部材21が左端に位置決めされた状態を示し(a)は正面図であり、(b)は断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0066】
カメラ2は、主として、筐体20と、バリア部材21と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体20にバリア部材21を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ2が組み立てられる。
【0067】
バリア部材21は、筐体20の前面に摺動可能に装着され、バリア部材21が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材21は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材21によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材21が左方向に摺動されることにより、図11(a)に示すようにバリア部材21が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体20の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材21が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0068】
[筐体20について]
図12は、押出し成形後の筐体20の斜視図である。筐体20は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ2の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体20の外縁には、押出し成形により一体形成された略ハの字形状の溝20a、20bが形成される。
【0069】
次に、筐体20の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図12に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝20a、溝20bが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
[バリア部材21について]
図13は、バリア部材21の斜視図である。バリア部材21は、アルミニウム合金で形成されており、プレス成形により成形された板状の部材であり、上端には摺動部21aが形成され、下端には摺動部21bが形成される。
【0071】
次に、バリア部材21の製造方法について説明する。全ての工程はプレス加工により行われる。まず、板状のアルミニウム材料を所定の大きさに切断する。そのようにして得られた板材に対して曲げ加工を行うことで、略ハの字形状の摺動部21a、21bを形成する。
【0072】
[バリア部材21の筐体20への取り付けについて]
図11に示すように、摺動部21aを溝20aに挿入し、摺動部21bを溝20bに挿入する。溝20a、20b及び摺動部21a、21bは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより摺動部21a及び摺動部21bが、溝20a及び溝20bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0073】
本実施の形態によれば、バリア部材を単純なプレス加工により形成することができる。これにより、コストダウンを図ることができる。
【0074】
<第3の実施の形態>
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器であるカメラ3のバリア部材31が左端に位置決めされた状態を示し(a)は正面図であり、(b)は断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0075】
カメラ3は、主として、筐体30と、バリア部材31と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体30にバリア部材31を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ3が組み立てられる。
【0076】
バリア部材31は、筐体30の前面に摺動可能に装着され、バリア部材31が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材31は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材31によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材31が左方向に摺動されることにより、図14(a)に示すようにバリア部材31が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体30の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材31が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0077】
[筐体30について]
図15は、押出し成形後の筐体30の斜視図である。筐体30は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ3の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体30の外縁には、押出し成形により一体形成された略逆ハの字形状の溝30a、30bが形成される。
【0078】
次に、筐体30の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図15に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝30a、溝30bが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
[バリア部材31について]
図16は、バリア部材31の斜視図である。バリア部材31は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、上端には摺動部31aが形成され、下端には摺動部31bが形成される。
【0080】
次に、バリア部材31の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図16に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、摺動部31a、31bが設けられた板状のバリア部材31が形成される。
【0081】
[バリア部材31の筐体30への取り付けについて]
図14に示すように、摺動部31aを溝30aに挿入し、摺動部31bを溝30bに挿入する。溝30a、30b及び摺動部31a、31bは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより、摺動部31a及び摺動部31bが、溝30a及び溝30bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0082】
本実施の形態によれば、バリア部材の折り曲げ部が正面から見えないこと、及び溝の一部がバリア部材により覆われて正面から見えないことにより、デザイン性を向上させることができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、バリア部材31を押出し成形により形成したが、複数回プレス加工を行うことにより形成してもよい。
【0084】
<第4の実施の形態>
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る電子機器であるカメラ4のバリア部材41が左端に位置決めされた状態における正面図である。図18は、カメラ4の要部の分解斜視図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0085】
カメラ4は、主として、筐体40と、バリア部材41と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体40にバリア部材41を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ4が組み立てられる。
【0086】
バリア部材41は、筐体40の前面に摺動可能に装着され、バリア部材41が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材41は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材41によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材41が左方向に摺動されることで、図17に示すように、バリア部材41が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体40の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材41が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0087】
[筐体40について]
筐体40は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ4の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体40の外縁には、押出し成形により一体形成された溝40a、40b及び前面側の壁に対して凸となる摺動レール40cが形成される。なお、摺動レール40cは、摺動性を良くするため、筐体40の中央付近に形成されることが望ましい。溝40a、40bは、後述するリブ41a、41bが内部で摺動できるように、リブ41a、41bと略同一形状に形成される。
【0088】
次に、筐体40の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図18に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝40a、40b及び摺動レール40cが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
[バリア部材41について]
バリア部材41は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、中心線に対して線対称の位置には、先端が略90度に折り曲げられたリブ41a、41bが形成される。
【0090】
次に、バリア部材41の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図18に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、リブ41a、41bが設けられた板状のバリア部材41が形成される。
【0091】
[バリア部材41の筐体40への取り付けについて]
リブ41aを溝40aに挿入し、リブ41bを溝40bに挿入する。溝30a及び溝30bの幅は、リブ41a、41bに対してそれぞれ約0.05mm〜0.5mm程度大きく形成されている。このようにしてバリア部材41を筐体40に取り付けると、バリア部材41の背面と、摺動レール40cとが当接する。これにより、バリア部材41は、摺動レール30cの前面側を摺動可能となる。
【0092】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態では、摺動レール40c及びバリア部材の略中央背面側)が、バリア部材の略中央部に位置するため、安定した摺動が可能となる。また、摺動部の一部がバリア部材により覆われて正面から見えないことにより、デザイン性を向上させることができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、リブ41a、41bはその先端が略90度折り曲げられた形状をしているが、折り曲げ部が形成されていれば角度は略90度でなくてもよい。また、先端が折り曲げられた形状に限らず、ハの字形状などでもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、2本のリブ41a、41bが形成されたが、バリア部材41が筐体40から外れないのであれば、1本のリブ41aのみでもよい。
【0095】
<第5の実施の形態>
図19は、本発明の第5の実施の形態に係る電子機器であるカメラ5のバリア部材51が左端に位置決めされた状態における正面図である。図20は、カメラ5の要部の分解斜視図である。図21は、カメラ5の断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0096】
カメラ5は、主として、筐体50と、バリア部材51と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体50にバリア部材51を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ5が組み立てられる。
【0097】
バリア部材51は、筐体50の前面に摺動可能に装着され、バリア部材51が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材51は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材51によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材51が左方向に摺動されることで、図19に示すように、バリア部材51が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体50の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材51が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0098】
[筐体50について]
筐体50は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ5の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体40の外縁には、壁を貫通する貫通溝50aが押出し成形により一体形成される。
【0099】
次に、筐体50の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図20、21に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、貫通溝50aが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
[バリア部材51について]
バリア部材51は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部には略T字形状のリブ51aが形成される。バリア部材51の上端及び下端の背面側にはリブ51b、51cが形成され、略T字形状のリブ51aの前面側にはリブ51d、51eが形成される。リブ51b、51c、51d、51eの先端は、それぞれ円弧状に形成される。略T字形状のリブ61aは、根元部分である軸部51a−1と、先端部分である板状部61a−2とで構成され、板状部51a−2の幅はできるだけ広く、すなわちバリア部材51の形状が略H字形状になるように形成されるのが好ましい。これにより、リブ51dとリブ51eとの間隔は広くなる。
【0101】
次に、バリア部材51の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図20、21に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状のリブ51a及びリブ51b、51c、51d、51eが設けられた板状のバリア部材51が形成される。
【0102】
[バリア部材51の筐体50への取り付けについて]
略T字形状のリブ51aを貫通溝50aに挿入する。なお、貫通溝50aの幅は、略T字形状のリブ51aが挿入できるように、略T字形状のリブ51aの軸部51a−1の幅より大きく形成されている。略T字形状のリブ51aの軸部51a−1を貫通溝50aに挿入すると、リブ51b、51c、51d、51eと筐体50とが当接する。すなわち、リブ51bとリブ51d及びリブ51cとリブ51eとで筐体50の前面側の壁を挟み込むようにして、バリア部材51が筐体50に摺動可能に取り付けられる。
【0103】
バリア部材51が筐体50の前面を摺動するときの位置、すなわちバリア部材51と筐体50との摺動部は、リブ51b、51c、51d、51eの位置、すなわちバリア部材51及び略T字形状のリブ51aの板状部51a−2の上端及び下端に設けられる(図21斜線部参照)。このように摺動部の幅を広くすることで、バリア部材51のがたつきを押さえることができるため、よりスムーズな摺動が可能となる。
【0104】
また、リブ51b、51c、51d、51eの先端がそれぞれ円弧状に形成されていることにより、バリア部材51と筐体50とが線上で摺動する。これにより、摺動時の抵抗が減少し、スムーズな摺動が可能となる。
【0105】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態では、リブ51b、51c、51d、51e)の幅を広くすることで、安定した摺動が可能となる。また、正面から見える溝が1本のみであること、溝の一部がバリア部材により覆われて見えないことなどにより、デザイン性を向上させることができる。また、摺動を行うのに必要なスペースを減らすことができ、電子機器の小型化を図ることができる。
【0106】
<第6の実施の形態>
図22は、本発明の第6の実施の形態に係る電子機器であるカメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。図23は、カメラ6の要部の分解斜視図である。図24は、カメラ6の断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0107】
カメラ6は、主として、筐体60と、バリア部材61と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体60にバリア部材61を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ6が組み立てられる。
【0108】
バリア部材61は、筐体60の前面に摺動可能に装着され、バリア部材61が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材61は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材61によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材61が左方向に摺動されることで、図22に示すように、バリア部材61が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体60の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材61が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0109】
[筐体60について]
筐体60は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ6の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体60の外縁には、押出し成形により一体形成された略T字形状の溝60aが形成される。なお、略T字形状の溝60aは、貫通溝60a−1と略ロの字状の溝60a−2とで構成される。
【0110】
次に、筐体60の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図23、24に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状の溝60aが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
[バリア部材61について]
バリア部材61は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部には略T字形状のリブ61aが形成される。略T字形状のリブ61aは、根元部分である軸部61a−1と、先端部分である板状部61a−2とで構成され、板状部61a−2の上端及び下端の幅は他と比べて広くなっている、すなわち板状部61a−2の上端及び下端は凸形状となっている。
【0112】
次に、バリア部材61の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図23、24に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状のリブ61aが設けられた板状のバリア部材51が形成される。
【0113】
[バリア部材61の筐体60への取り付けについて]
軸部61a−1を貫通溝60aに挿入し、板状部61a−2を略ロの字状の溝60a−2に挿入する。なお、貫通溝50aの幅は、略T字形状のリブ51aが挿入できるように、略T字形状リブ51aの軸部51a−1の幅より大きく形成される。また、板状部61a−2の上端及び下端の幅Aは、略ロの字状の溝60a−2の幅Bより小さく、すなわちスムーズな摺動を可能にする寸法関係(例えば、B=A+0.05mm〜0.5mm)に形成される。
【0114】
略T字形状のリブ61aを略T字形状の溝60aに挿入すると、板状部61a−2の上端及び下端と略ロの字状の溝60a−2とが当接する。したがって、バリア部材61が筐体60の前面を摺動するときの位置、すなわちバリア部材61と筐体60との摺動部は、板状部61a−2の上端及び下端に設けられる。これにより、板状部61a−2の上端及び下端の幅Aの寸法と、略ロの字状の溝60a−2の幅Bの寸法との関係のみにより摺動の良し悪しが決めることができるため、寸法を適切にすることで、安定した摺動が可能となる。したがって、寸法公差の積み重ねを考慮する必要がない。また、摺動部を溝の内部にのみ設けることにより、摺動による削れ跡が正面から見えないようにすることができる。
【0115】
本実施の形態によれば、正面から見える溝が1本のみであること、バリア部材の摺動による摺動跡(図25斜線部参照)が正面から見えないことなどにより、デザイン性を向上させることができる。
【0116】
<第7の実施の形態>
図26は、本発明の第7の実施の形態に係る電子機器であるカメラ7の正面図であり(a)はバリア部材71が右端に位置決めされた状態を示し、(b)はバリア部材71が左端に位置決めされた状態を示し、(c)はバリア部材を外した状態を示す。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0117】
図27は、筐体70の斜視図である。図28は、バリア部材71の斜視図である。カメラ7は、主として、筐体70と、バリア部材71と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体70にバリア部材71を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ6が組み立てられる。
【0118】
バリア部材71は、筐体70の前面に摺動可能に装着され、バリア部材71が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、図26(a)に示すように、バリア部材71は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材71によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材71が左方向に摺動されることで、図26(b)に示すように、バリア部材71が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体70の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材71が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0119】
[筐体70について]
筐体70は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ7の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体70の外縁には、押出し成形により一体形成されたリブ70aが形成され、リブ70aには、クランク形状の溝70b、70cが形成される。
【0120】
リブ70a及び溝70b、70cは、筐体70の略中央に幅Dを残して切削される。リブ70a及び溝70b、70cの幅Dは、図26(c)に示すように、バリア部材71のオーバーラップ領域C、すなわちバリア部材71が左右方向に摺動する時に常にバリア部材71によって覆われる領域よりも小さい。これにより、リブ70a及び溝70b、70cが正面から見えることを防ぐことができる。
【0121】
次に、筐体70の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図27(a)に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、リブ70a及び溝70b、70cが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。
【0122】
次に、機械加工により、リブ70a及び溝70b、70cを切削する。押出し成形により形成された筐体70を、前面を上にしてフライス盤等に設置して、前面側から切削加工により、図26(c)、図27(b)の斜線部の領域、すなわち筐体70の略中央の幅Dの領域を残してリブ70a及び溝70b、70cを切削する。
【0123】
最後に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
[バリア部材71について]
バリア部材71は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部にはクランク形状のリブ71a、71bが形成される。なお、バリア部材71は、オーバーラップ領域Cが大きくなるように、最大限大きくすることが望ましい。オーバーラップ領域Cを大きくすることにより、リブ70a及び溝70b、70cを多く残すことができ、安定した摺動が可能となる。また、第1の実施の形態の変形例3に示すようなコイルバネなどの各種部品を隠すための領域を広く設けることができる。
【0125】
次に、バリア部材71の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図28に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、クランク形状のリブ71a、71bが設けられた板状のバリア部材71が形成される。
【0126】
[バリア部材71の筐体70への取り付けについて]
クランク形状のリブ71aを溝70aに挿入し、クランク形状のリブ71bを溝70bに挿入する。なお、溝70a、70bとリブ71a、71bとは、スムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより、リブ71a及びリブ71bが、溝70a及び溝70bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0127】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態においては、リブ70a及び溝70b、70c)が正面から一切見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0128】
なお、本発明は、屈曲式の光学系を備えたカメラを例に説明したが、屈曲式に限らず、沈動式の光学系を用いることもできる。この場合には、センサによりバリア部材11が開状態から閉状態へ移動されることが認識されると、内部の制御手段により、まず光学系の収納を行い、収納が完了するまではバリア部材を摺動できないようにし、収納が完了したらバリア部材を摺動可能にすればよい。
【0129】
また、本発明は、カメラのみでなく、携帯電話、PDA、音楽プレーヤーなどの様々な電子部品に適用することができる。また、本発明は、アルミニウム合金を用いて押出し成形を行ったが、アルミニウムに限らず、押出し成形が可能な様々な材料を用いることができる。例えば、マグネシウム合金などの金属材料を用いてもよいし、プラスチック材料を用いてもよい。
【0130】
また、本発明は、筐体の形状が略ロの字状又は略コの字状の場合を例に説明したが、筐体の形状はこれに限らず、様々な形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子機器であるカメラ1の正面図であり、(a)はバリア部材11が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11が右端に位置決めされた状態を示す。
【図2】上記カメラ1の分解斜視図である。
【図3】押出し成形後の筐体10を示す図である。
【図4】押出し成形後のバリア部材11を示す図である。
【図5】バリア部材11を筐体10へ取り付けた図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例−1に係るカメラ1’の筐体10’の斜視図であり、(a)は溝10aが形成されたガイド部10’−1を示し、図6(b)はガイド部10’−1が本体部10’に装着され状態を示す。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例−2に係るカメラ1’’の正面図であり、(a)はバリア部材11’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’が右端に位置決めされた状態を示す。
【図8】上記カメラ1’’ の分解斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の変形例−3に係るカメラ1’’’の分解斜視図である。
【図10】上記カメラ1’’’の要部を正面から透視した図であり、(a)はバリア部材11’’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’’が右端に位置決めされた状態を示す。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器であるカメラ2のバリア部材21が左端に位置決めされた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図12】押出し成形後の筐体20の斜視図である。
【図13】バリア部材21の斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る電子機器であるカメラ3のバリア部材31が左端に位置決めされた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図15】押出し成形後の筐体30の斜視図である。
【図16】バリア部材31の斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る電子機器であるカメラ4のバリア部材41が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図18】上記カメラ4の要部の分解斜視図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態に係る電子機器であるカメラ5のバリア部材51が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図20】上記カメラ5の要部の分解斜視図である。
【図21】上記カメラ5の断面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る電子機器であるカメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図23】上記カメラ6の要部の分解斜視図である。
【図24】上記カメラ6の断面図である。
【図25】上記カメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態に係る電子機器であるカメラ7の正面図であり(a)はバリア部材71が右端に位置決めされた状態を示し、(b)はバリア部材71が左端に位置決めされた状態を示し、(c)はバリア部材を外した状態を示す。
【図27】筐体70の斜視図である。
【図28】バリア部材71の斜視図である。
【図29】従来の例である。
【符号の説明】
【0132】
1、2、3、4、5、6、7:カメラ、10、20、30、40、50、60、70:筐体、11、21、31、41、51、61、71:バリア部材
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、バリア部材及び筐体に係り、特に筐体の前面にバリア部材を有する電子機器、バリア部材及び筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、そのカメラ本体の前面には、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等が配設されており、通常は、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等は、カメラ本体の前面に摺動自在に配設されたバリア部材により覆われている。このような形態のカメラにおいては、バリア部材を摺動させて、撮影レンズ、ファインダ、ストロボ等を露呈させることにより、撮影が可能となる。
【0003】
従来のバリア部材の摺動構造を図29に示す。バリア部材は、主として、金属製のパネル101と、プラスチック製のインナー102と、金属製の下板103とで構成され、カメラ本体は、主として金属製のパネル104と、金属製の上板105とで構成されている。パネル101及び下板103が、上板105に形成された凸部上を摺動することにより、バリア部材がカメラ本体上をスライドする。
【0004】
当該摺動構造では、パネル101、下板103、上板105等の板状の部品のソリ、インナー102の厚さのばらつき、部品点数が5部品と多いことによる寸法公差の積み重ねなどにより、摺動部分の隙間が拡大し、バリア部材のガタ付きが大きくなったり、摺動による削れ跡が目立ったりするなどの問題が発生している。
【0005】
また、部品点数が多いことによるコストアップも問題となっている。
【0006】
近年、少ない部品点数で充分な強度を保ち、かつ安価な筐体を製造する方法として押出し成形が用いられている。
【0007】
押出し成形により製造された筐体として、以下のような技術が開示されている。
【0008】
特許文献1には、押出し成形によって形成された断面がロの字状の筒状の筐体であって、内部に所定の部品を収納する収納部が一体形成された筐体が提案されている。
【特許文献1】特開平11―112160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の筐体において、押出し成形により内部に形成された収納部は、基板を差し込んで取り付けるためのものであるため、当該構造を摺動部に適用することはできない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、押出し成形によって部品点数が少なく、簡略な構造の摺動構造を形成することで、安定した摺動が可能で、かつ安価な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、 前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の電子機器によれば、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材と筐体との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、摺動構造を上面に形成する場合には、前面から溝が見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状の部材であり、 前記筐体には、押出し成形により形成され、前記摺動部が挿入されるクランク溝を有する棒状のガイド部が取り付けられることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の電子機器によれば、筐体には、押出し成形により形成され摺動部が挿入される溝を有する棒状のガイド部が取り付けられ、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、ガイド部を介して筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材とガイド部との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、筐体をガイド部と本体部とに分離して製造することにより、本体部の製造をプレス加工、射出成形などの押出し成形以外の方法で行うことができ、更にコストダウンを図ることができる。また、摺動構造を上面に形成する場合には、前面から溝が見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入されるハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の電子機器によれば、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状のバリア部材を、ハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動構造をバリア部材と筐体との2部品で構成することができる。また、部品点数を削減できることにより、コストダウンを図ることができる。また、バリア部材に形成するリブをハの字形状又は逆ハの字形状という単純な形状にすることにより、バリア部材の製造をプレス加工、射出成形などの押出し成形以外の方法で行うことができ、更にコストダウンを図ることができる。
【0017】
請求項4に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に一体形成された板状の部材であり、前記筐体は、前記摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の電子機器によれば、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に形成された板状のバリア部材が、摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材の摺動を安定して行うことができ、かつバリア部材により摺動部や溝が覆われることでデザイン性を向上させることができる。
【0019】
請求項5に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、板状のバリア部と、該バリア部の略中央部に設けられた略T字形状のリブとが押出し成形により一体成形された部材であり、前記筐体は、前記略T字形状のリブの根元部分のみが挿入される溝であって、前記筐体の前面の壁を貫通する溝が押出し成形により一体形成された略ロの字状の断面形状の部材であり、前記略T字形状のリブの根元部分を前記溝に挿入し、かつ前記バリア部の上下端と、前記略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着されることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の電子機器によれば、バリア部材には、略T字形状のリブが略中央部に形成されている。筐体の前面に形成された貫通溝に略T字形状のリブの根元部分を挿入し、板状のバリア部の上下端と、略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着される。これにより、バリア部材により溝が一部覆われるため、デザイン性を向上させることができる。
【0021】
請求項6に記載の電子機器は、バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、前記バリア部材は、摺動部として用いられる略T字形状のリブが押出し成形により一体成形された板状の部材であり、前記筐体は、前記略T字形状のリブ全体が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材であることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の電子機器によれば、略T字形状の摺動部が押出し成形により一体成形された板状のバリア部材が、摺動部が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の筐体の前面に摺動可能に装着される。。これにより、摺動部の幅を広く取ることができ、安定した摺動を行うことができる。また、略T字形状の溝の内部で摺動が行われるため、摺動による跡が外観面に出ないようにすることができる。
【0023】
請求項7に記載の電子機器は、請求項1、3、4又は6に記載の電子機器において、前記筐体は、前記バリア部材が前記筐体の前面を左右に摺動する際に常に前記バリア部材によって覆われる領域を残して、前記溝が形成された領域を後加工により切削することにより形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の電子機器によれば、押出し成形により溝が一体形成された筐体に対して、バリア部材が筐体の前面を左右に摺動する際に常にバリア部材によって覆われる領域(オーバーラップ領域)のみが残るように、後加工により溝が形成された領域を切削を行なう。これにより、バリア部材の摺動に用いられる溝が正面から完全に見えないようにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0025】
請求項8に記載の電子機器は、請求項1から7のいずれかに記載の電子機器において、前記バリア部材の背面側及び前記筐体の前面側には、コイルバネを固定する固定部がそれぞれ配設され、前記バリア部材は、前記コイルバネの付勢力により前記筐体の右端又は左端に押し付けられることを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の電子機器によれば、バリア部材の背面側及び筐体の前面側に設けられた固定部を介してバリア部材及び筐体に取り付けられたコイルバネの付勢力により、バリア部材は、筐体の右端又は左端に押し付けられる。これにより、バリア部材を右端または左端に固定することができる。
【0027】
請求項9に記載の電子機器は、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器において、前記溝と嵌合する抜け止め部材であって、前記バリア部材の摺動距離の規制を行う抜け止め部材を更に備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の電子機器によれば、抜け止め部材を溝に勘合させて、バリア部材の摺動距離の規制を行う。これにより、簡単な構造でバリア部材の摺動距離を規制することができる。
【0029】
請求項10に記載のバリア部材は、請求項4から9のいずれかに記載の電子機器を構成する。
【0030】
請求項11に記載の筐体は、請求項1、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の電子機器を構成する。
【0031】
請求項12に記載の筐体は、請求項11に記載の筐体において、肉厚が厚い偏肉部が部分的に形成されたことを特徴とする。
【0032】
請求項12に記載の筐体によれば、略コの字状又は略ロの字状の断面形状の角や平面に部分的に肉厚が厚い偏肉部を形成する。これにより、筐体の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、摺動構造に押出し成形により形成された部品を使用することで、部品点数を削減し、構造を簡略化し、かつ安価な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明に係る電子機器を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0035】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器であるカメラ1の正面図であり、(a)はバリア部材11が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11が右端に位置決めされた状態を示す。図2はカメラ1の分解斜視図である。
【0036】
カメラ1は、主として、筐体10と、バリア部材11と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10にバリア部材11を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ1が組み立てられる。
【0037】
バリア部材11は、筐体10の前面に摺動可能に装着され、バリア部材11が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、図1(b)に示すように、バリア部材11は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材11によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材11が摺動されることにより、バリア部材が左端、すなわち開状態に位置される(図1(a)参照)と、筐体10前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材11が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0038】
[筐体10について]
図3は、押出し成形後の筐体10を示す図である。筐体10は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ1の左右方向(左右押出し、図3矢印参照)への押出し成形により成形された、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体10は、肉厚がほぼ同一になるように形成されるが、必要に応じて偏肉部(薄肉部10c及び厚肉部10d)が形成される。このように急激な肉厚の変化がある場合においても、押出し成形を用いることにより、ヒケ等の不具合が生じず、安定した寸法かつ外観に優れた部品を形成することができる。また、厚肉部10dを設けることにより、筐体10を補強することができる。なお、厚肉部10dは、角部のみでなく、平面部に設けることもできる。
【0039】
また、筐体10の外縁には、押出し成形により一体形成されたクランク形状の溝10a及び溝10bが形成される。押出し成形を用いることにより、アンダーカット形状を有する部品を容易に作ることができる。また、筐体10の前面側の壁には、レンズ用の孔10eが形成され、断面には、側板12、13を固定するためのネジ孔10fが形成される。
【0040】
次に、筐体10の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図2に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝10a、溝10b、薄肉部10c及び厚肉部10dが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。
【0041】
次に、機械加工により、略ロの字状の筒状の部材の前面にレンズ用の孔15を形成する。押出し成形により形成された筐体10を、前面を上にしてマシニングセンタ等に設置して、前面側から穴あけ加工を行う。その後、バリ取りなどを行って、レンズ用の孔15を形成する。
【0042】
最後に、機械加工により、筐体10の側面にネジ孔10fを形成する。押出し成形により形成された筐体10を、側面を上にしてマシニングセンタ等に設置して穴あけ加工及びねじ切り加工を行う。この作業を左右両側の側面に対して行い、その後バリ取りなどを行い、孔16fを計4箇所形成する。なお、ネジ孔14fの数は4個に限られない。
【0043】
[バリア部材11について]
図4は、押出し成形後のバリア部材11を示す図である。バリア部材11は、筐体10と同様に、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材である。また、バリア部材11の上端は、押出し成形により一体形成されたクランク形状の摺動部11aが形成され、バリア部材11の下端には、摺動部11bが形成される。
【0044】
次に、バリア部材11の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図4に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、摺動部11a、11bが設けられた板状のバリア部材11が形成される。
[バリア部材11の筐体10への取り付けについて]
図5は、バリア部材11を筐体10へ取り付けた図である。摺動部11aを溝10aに挿入し、摺動部11bを溝10bに挿入する。溝10a及び溝10bは、摺動部11a及び摺動部11bに対してそれぞれ約0.05mm〜0.5mm程度大きい、すなわち、溝10a、10bと摺動部11a、11bとは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより摺動部11a及び摺動部11bが、溝10a及び溝10bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0045】
このようにして、バリア部材11が筐体10の前面に摺動可能に取り付けられる。なお、摺動部11aを溝10aに沿って摺動させることのみで、バリア部材11を筐体10に対して摺動させることは可能であるが、摺動部11b及び溝10bを設けることで、バリア部材11が回転方向に傾くことを防止することができ、よりスムーズな摺動が可能となる。
【0046】
また、バリア部材11を筐体10に取り付けた後で、溝10aと略同形状の抜け止め部材14を溝10aに嵌合させることで、バリア部材11が左右方向に摺動する距離が規制される。これにより、閉状態及び開状態におけるバリア部材11の位置決めを正確に行うことができる。なお、バリア部材11の摺動距離の規制及び位置決めは、抜け止め部材14によって行う場合に限らず、側板12、13によって行なうようにしてもよい。
【0047】
本実施の形態によれば、押出し成形により摺動構造(リブ及び溝)を形成することで、構造を簡略化し、部品点数を削減することができる。これにより、コストダウンを図ることができる。また、射出成形の場合には、抜き勾配を設ける必要があるが、押出し成形を用いることで、抜き勾配を考慮する必要がないため、部品設計の自由度を増したり、製造を容易にしたりすることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、筐体10及びバリア部材11はアルミニウム合金で形成されていたが、マグネシウム合金、ステンレスなどの様々な金属材料や、プラスチック材料を用いることができる。なお、アルミニウム合金としては、強度、成形性、コストなどを考慮し、押出性に優れ、耐食性、表面処理性も良好なAl−Mg−Si系のA6063、Al−Mn系のA3003、A3004などが使用される。
【0049】
また、本実施の形態では、略コの字状の筐体を押出し成形により形成したが、溝を含んだ略コの字状の枠を前枠又は後枠として押出し成形により形成し、その他の枠と組み立てて筐体としてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、摺動部11a、11bを押出し成形により一体成形したが、プレス加工により形成することもできる。
【0051】
<第1の実施の形態の変形例‐1>
第1の実施の形態の変形例−1は、摺動部が挿入される溝のみを押出し成形で製造する形態である。図6(a)は、溝10aが形成されたガイド部10’−1を示す図であり、図6(b)はガイド部10’−1及びガイド部10’−2が本体部10’に装着された図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
ガイド部10’−1は、溝10aが押し出し成形により一体形成された棒状の部材である。これを、プレス加工により形成された略コの字状の前枠10’−3に固着する。同様に、溝10bが押出し成形により一体形成された棒状のガイド部10’−2を、前枠10’−3に固着する。
【0053】
後枠10’−4は、前枠10’−3と同様にプレス加工により形成された略コの字状の枠である。ガイド部10’−1及び10’−2が固着された前枠10’−3と後枠10’−4とを組み立てることで、筐体10’が完成する。このようにして組み立てられた筐体10’の前面には、バリア部材11が摺動可能に取り付けられる。
【0054】
本実施の形態によれば、摺動部が挿入される溝が形成されたガイド部のみを押出し成形にすることで、筐体の本体部はプレス加工、射出成形などのその他の製造方法で製造することができる。これにより、更にコストダウンを図ることができる。
【0055】
<第1の実施の形態の変形例‐2>
第1の実施の形態の変形例−2は、摺動部及び溝が1組のみ形成された形態である。図7は、カメラ1’’の正面図であり、(a)はバリア部材11’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’が右端に位置決めされた状態を示す。図8はカメラ1’’の分解斜視図である。図8はカメラ’’の分解斜視図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
筐体10’’は、押出し成形により外縁にクランク形状の溝10a’’が一体形成された略ロの字状の筒状の部材である。バリア部材11’’は、押出し成形により上端にクランク形状の摺動部11a’’が一体形成された板状の部材である。
【0057】
各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10’’にバリア部材11’’を取り付け、抜け止め部材14’’を溝10a’’に嵌合させた後で、側板12、13を筐体10’’にネジ等で固定することより、カメラ1’’が組み立てられる。
【0058】
本実施の形態によれば、摺動部、すなわち溝10a’’及び摺動部11a’’の形状を工夫することで、摺動部が前面から視認されないようにすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0059】
<第1の実施の形態の変形例‐3>
第1の実施の形態の変形例−3は、筐体10’’’とバリア部材11’’’との間にコイルバネ16が配設された形態である。図9はカメラ1’’’の分解斜視図である。図10は、カメラ1’’の要部を正面から透視した図であり、(a)はバリア部材11’’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’’が右端に位置決めされた状態を示す。なお、第1の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
筐体10’’’の前面には、後加工によりコイルバネ16の一端を挿入するボス10gが組み立てられる。バリア部材11’’’は、押出し成形により成形された板状の部材である。また、バリア部材11’’’は、上端にクランク形状の摺動部11a、下端には摺動部11b、背面側の中央部にはリブ11cが、押出し成形により一体形成される。リブ11cには、コイルバネ16の一端を挿入するボス11dが組み立てられる。
【0061】
各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体10’’のボス10gにコイルバネ16の一端を挿入し、ピン等で固定する。コイルバネ16の他端がボス11dに挿入された状態で、摺動部11aを溝10aに挿入し、摺動部11bを溝10bに挿入することで、バリア部材11’’’を筐体10’’’に取り付ける。最後に、側板12、13を筐体10’’’にネジ等で固定することより、カメラ1’’’が組み立てられる。
【0062】
次に、バリア部材11’’’の開閉動作について説明する。バリア部材11’’’ が開状態にある場合には、図10(a)に示すように、コイルバネ16の付勢力によりバリア部材11’’’が左側に押し付けられる。これにより、バリア部材11’’’が開状態に保たれる。
【0063】
図10(a)に示す開状態から図10(b)に示す閉状態にする場合には、バリア部材11’’’をコイルバネ16の付勢力に抗して右側へ摺動させる。コイルバネ16は、バリア部材11’’’の摺動距離の略半分まではバリア部材11’’’に左方向の力を付勢し、バリア部材11’’’の摺動距離の略半分以降はバリア部材11’’’に右方向の力を付勢する。したがって、バリア部材11’’’を摺動距離の略半分以上移動させると、図10(b)に示すように、コイルバネ16の付勢力によりバリア部材11’’’が右側に位置決めされる。これにより、バリア部材11’’’が閉状態に保たれる。
【0064】
本実施の形態によれば、コイルバネの付勢力によりバリア部材を安定して開状態及び閉状態に保つことができる。
【0065】
<第2の実施の形態>
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器であるカメラ2のバリア部材21が左端に位置決めされた状態を示し(a)は正面図であり、(b)は断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0066】
カメラ2は、主として、筐体20と、バリア部材21と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体20にバリア部材21を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ2が組み立てられる。
【0067】
バリア部材21は、筐体20の前面に摺動可能に装着され、バリア部材21が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材21は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材21によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材21が左方向に摺動されることにより、図11(a)に示すようにバリア部材21が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体20の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材21が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0068】
[筐体20について]
図12は、押出し成形後の筐体20の斜視図である。筐体20は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ2の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体20の外縁には、押出し成形により一体形成された略ハの字形状の溝20a、20bが形成される。
【0069】
次に、筐体20の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図12に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝20a、溝20bが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
[バリア部材21について]
図13は、バリア部材21の斜視図である。バリア部材21は、アルミニウム合金で形成されており、プレス成形により成形された板状の部材であり、上端には摺動部21aが形成され、下端には摺動部21bが形成される。
【0071】
次に、バリア部材21の製造方法について説明する。全ての工程はプレス加工により行われる。まず、板状のアルミニウム材料を所定の大きさに切断する。そのようにして得られた板材に対して曲げ加工を行うことで、略ハの字形状の摺動部21a、21bを形成する。
【0072】
[バリア部材21の筐体20への取り付けについて]
図11に示すように、摺動部21aを溝20aに挿入し、摺動部21bを溝20bに挿入する。溝20a、20b及び摺動部21a、21bは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより摺動部21a及び摺動部21bが、溝20a及び溝20bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0073】
本実施の形態によれば、バリア部材を単純なプレス加工により形成することができる。これにより、コストダウンを図ることができる。
【0074】
<第3の実施の形態>
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器であるカメラ3のバリア部材31が左端に位置決めされた状態を示し(a)は正面図であり、(b)は断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0075】
カメラ3は、主として、筐体30と、バリア部材31と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体30にバリア部材31を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ3が組み立てられる。
【0076】
バリア部材31は、筐体30の前面に摺動可能に装着され、バリア部材31が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材31は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材31によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材31が左方向に摺動されることにより、図14(a)に示すようにバリア部材31が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体30の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材31が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0077】
[筐体30について]
図15は、押出し成形後の筐体30の斜視図である。筐体30は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ3の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体30の外縁には、押出し成形により一体形成された略逆ハの字形状の溝30a、30bが形成される。
【0078】
次に、筐体30の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図15に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝30a、溝30bが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
[バリア部材31について]
図16は、バリア部材31の斜視図である。バリア部材31は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、上端には摺動部31aが形成され、下端には摺動部31bが形成される。
【0080】
次に、バリア部材31の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図16に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、摺動部31a、31bが設けられた板状のバリア部材31が形成される。
【0081】
[バリア部材31の筐体30への取り付けについて]
図14に示すように、摺動部31aを溝30aに挿入し、摺動部31bを溝30bに挿入する。溝30a、30b及び摺動部31a、31bは、それぞれスムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより、摺動部31a及び摺動部31bが、溝30a及び溝30bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0082】
本実施の形態によれば、バリア部材の折り曲げ部が正面から見えないこと、及び溝の一部がバリア部材により覆われて正面から見えないことにより、デザイン性を向上させることができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、バリア部材31を押出し成形により形成したが、複数回プレス加工を行うことにより形成してもよい。
【0084】
<第4の実施の形態>
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る電子機器であるカメラ4のバリア部材41が左端に位置決めされた状態における正面図である。図18は、カメラ4の要部の分解斜視図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0085】
カメラ4は、主として、筐体40と、バリア部材41と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体40にバリア部材41を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ4が組み立てられる。
【0086】
バリア部材41は、筐体40の前面に摺動可能に装着され、バリア部材41が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材41は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材41によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材41が左方向に摺動されることで、図17に示すように、バリア部材41が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体40の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材41が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0087】
[筐体40について]
筐体40は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ4の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体40の外縁には、押出し成形により一体形成された溝40a、40b及び前面側の壁に対して凸となる摺動レール40cが形成される。なお、摺動レール40cは、摺動性を良くするため、筐体40の中央付近に形成されることが望ましい。溝40a、40bは、後述するリブ41a、41bが内部で摺動できるように、リブ41a、41bと略同一形状に形成される。
【0088】
次に、筐体40の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図18に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、溝40a、40b及び摺動レール40cが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
[バリア部材41について]
バリア部材41は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、中心線に対して線対称の位置には、先端が略90度に折り曲げられたリブ41a、41bが形成される。
【0090】
次に、バリア部材41の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図18に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、リブ41a、41bが設けられた板状のバリア部材41が形成される。
【0091】
[バリア部材41の筐体40への取り付けについて]
リブ41aを溝40aに挿入し、リブ41bを溝40bに挿入する。溝30a及び溝30bの幅は、リブ41a、41bに対してそれぞれ約0.05mm〜0.5mm程度大きく形成されている。このようにしてバリア部材41を筐体40に取り付けると、バリア部材41の背面と、摺動レール40cとが当接する。これにより、バリア部材41は、摺動レール30cの前面側を摺動可能となる。
【0092】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態では、摺動レール40c及びバリア部材の略中央背面側)が、バリア部材の略中央部に位置するため、安定した摺動が可能となる。また、摺動部の一部がバリア部材により覆われて正面から見えないことにより、デザイン性を向上させることができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、リブ41a、41bはその先端が略90度折り曲げられた形状をしているが、折り曲げ部が形成されていれば角度は略90度でなくてもよい。また、先端が折り曲げられた形状に限らず、ハの字形状などでもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、2本のリブ41a、41bが形成されたが、バリア部材41が筐体40から外れないのであれば、1本のリブ41aのみでもよい。
【0095】
<第5の実施の形態>
図19は、本発明の第5の実施の形態に係る電子機器であるカメラ5のバリア部材51が左端に位置決めされた状態における正面図である。図20は、カメラ5の要部の分解斜視図である。図21は、カメラ5の断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0096】
カメラ5は、主として、筐体50と、バリア部材51と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体50にバリア部材51を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ5が組み立てられる。
【0097】
バリア部材51は、筐体50の前面に摺動可能に装着され、バリア部材51が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材51は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材51によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材51が左方向に摺動されることで、図19に示すように、バリア部材51が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体50の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材51が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0098】
[筐体50について]
筐体50は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ5の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体40の外縁には、壁を貫通する貫通溝50aが押出し成形により一体形成される。
【0099】
次に、筐体50の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図20、21に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、貫通溝50aが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
[バリア部材51について]
バリア部材51は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部には略T字形状のリブ51aが形成される。バリア部材51の上端及び下端の背面側にはリブ51b、51cが形成され、略T字形状のリブ51aの前面側にはリブ51d、51eが形成される。リブ51b、51c、51d、51eの先端は、それぞれ円弧状に形成される。略T字形状のリブ61aは、根元部分である軸部51a−1と、先端部分である板状部61a−2とで構成され、板状部51a−2の幅はできるだけ広く、すなわちバリア部材51の形状が略H字形状になるように形成されるのが好ましい。これにより、リブ51dとリブ51eとの間隔は広くなる。
【0101】
次に、バリア部材51の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図20、21に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状のリブ51a及びリブ51b、51c、51d、51eが設けられた板状のバリア部材51が形成される。
【0102】
[バリア部材51の筐体50への取り付けについて]
略T字形状のリブ51aを貫通溝50aに挿入する。なお、貫通溝50aの幅は、略T字形状のリブ51aが挿入できるように、略T字形状のリブ51aの軸部51a−1の幅より大きく形成されている。略T字形状のリブ51aの軸部51a−1を貫通溝50aに挿入すると、リブ51b、51c、51d、51eと筐体50とが当接する。すなわち、リブ51bとリブ51d及びリブ51cとリブ51eとで筐体50の前面側の壁を挟み込むようにして、バリア部材51が筐体50に摺動可能に取り付けられる。
【0103】
バリア部材51が筐体50の前面を摺動するときの位置、すなわちバリア部材51と筐体50との摺動部は、リブ51b、51c、51d、51eの位置、すなわちバリア部材51及び略T字形状のリブ51aの板状部51a−2の上端及び下端に設けられる(図21斜線部参照)。このように摺動部の幅を広くすることで、バリア部材51のがたつきを押さえることができるため、よりスムーズな摺動が可能となる。
【0104】
また、リブ51b、51c、51d、51eの先端がそれぞれ円弧状に形成されていることにより、バリア部材51と筐体50とが線上で摺動する。これにより、摺動時の抵抗が減少し、スムーズな摺動が可能となる。
【0105】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態では、リブ51b、51c、51d、51e)の幅を広くすることで、安定した摺動が可能となる。また、正面から見える溝が1本のみであること、溝の一部がバリア部材により覆われて見えないことなどにより、デザイン性を向上させることができる。また、摺動を行うのに必要なスペースを減らすことができ、電子機器の小型化を図ることができる。
【0106】
<第6の実施の形態>
図22は、本発明の第6の実施の形態に係る電子機器であるカメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。図23は、カメラ6の要部の分解斜視図である。図24は、カメラ6の断面図である。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0107】
カメラ6は、主として、筐体60と、バリア部材61と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体60にバリア部材61を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ6が組み立てられる。
【0108】
バリア部材61は、筐体60の前面に摺動可能に装着され、バリア部材61が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、バリア部材61は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材61によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材61が左方向に摺動されることで、図22に示すように、バリア部材61が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体60の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材61が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0109】
[筐体60について]
筐体60は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ6の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体60の外縁には、押出し成形により一体形成された略T字形状の溝60aが形成される。なお、略T字形状の溝60aは、貫通溝60a−1と略ロの字状の溝60a−2とで構成される。
【0110】
次に、筐体60の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図23、24に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状の溝60aが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。次に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
[バリア部材61について]
バリア部材61は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部には略T字形状のリブ61aが形成される。略T字形状のリブ61aは、根元部分である軸部61a−1と、先端部分である板状部61a−2とで構成され、板状部61a−2の上端及び下端の幅は他と比べて広くなっている、すなわち板状部61a−2の上端及び下端は凸形状となっている。
【0112】
次に、バリア部材61の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図23、24に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、略T字形状のリブ61aが設けられた板状のバリア部材51が形成される。
【0113】
[バリア部材61の筐体60への取り付けについて]
軸部61a−1を貫通溝60aに挿入し、板状部61a−2を略ロの字状の溝60a−2に挿入する。なお、貫通溝50aの幅は、略T字形状のリブ51aが挿入できるように、略T字形状リブ51aの軸部51a−1の幅より大きく形成される。また、板状部61a−2の上端及び下端の幅Aは、略ロの字状の溝60a−2の幅Bより小さく、すなわちスムーズな摺動を可能にする寸法関係(例えば、B=A+0.05mm〜0.5mm)に形成される。
【0114】
略T字形状のリブ61aを略T字形状の溝60aに挿入すると、板状部61a−2の上端及び下端と略ロの字状の溝60a−2とが当接する。したがって、バリア部材61が筐体60の前面を摺動するときの位置、すなわちバリア部材61と筐体60との摺動部は、板状部61a−2の上端及び下端に設けられる。これにより、板状部61a−2の上端及び下端の幅Aの寸法と、略ロの字状の溝60a−2の幅Bの寸法との関係のみにより摺動の良し悪しが決めることができるため、寸法を適切にすることで、安定した摺動が可能となる。したがって、寸法公差の積み重ねを考慮する必要がない。また、摺動部を溝の内部にのみ設けることにより、摺動による削れ跡が正面から見えないようにすることができる。
【0115】
本実施の形態によれば、正面から見える溝が1本のみであること、バリア部材の摺動による摺動跡(図25斜線部参照)が正面から見えないことなどにより、デザイン性を向上させることができる。
【0116】
<第7の実施の形態>
図26は、本発明の第7の実施の形態に係る電子機器であるカメラ7の正面図であり(a)はバリア部材71が右端に位置決めされた状態を示し、(b)はバリア部材71が左端に位置決めされた状態を示し、(c)はバリア部材を外した状態を示す。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、説明を省略する。
【0117】
図27は、筐体70の斜視図である。図28は、バリア部材71の斜視図である。カメラ7は、主として、筐体70と、バリア部材71と、側板12、13とで構成される。各種部品(図示せず)が内部に組み立てられた筐体70にバリア部材71を取り付けた後で、側板12、13を筐体にネジ等で固定することより、カメラ6が組み立てられる。
【0118】
バリア部材71は、筐体70の前面に摺動可能に装着され、バリア部材71が左右に摺動することにより開状態と閉状態とが切り替えられる。通常は、図26(a)に示すように、バリア部材71は右端、すなわち閉状態に位置されており、レンズはバリア部材71によって覆われている。これにより、レンズなどの破損が防止される。バリア部材71が左方向に摺動されることで、図26(b)に示すように、バリア部材71が左端、すなわち開状態に位置されると、筐体70の前面に配設されたレンズが露呈される。図示しないセンサによりバリア部材71が開状態であることが認識されると、制御手段(図示せず)により電源がONされ、撮影が可能となる。
【0119】
[筐体70について]
筐体70は、アルミニウム合金で形成されており、カメラ7の左右方向への押出し成形により成形され、内部に貫通孔が形成された略ロの字状の断面の筒状の部材である。筐体70の外縁には、押出し成形により一体形成されたリブ70aが形成され、リブ70aには、クランク形状の溝70b、70cが形成される。
【0120】
リブ70a及び溝70b、70cは、筐体70の略中央に幅Dを残して切削される。リブ70a及び溝70b、70cの幅Dは、図26(c)に示すように、バリア部材71のオーバーラップ領域C、すなわちバリア部材71が左右方向に摺動する時に常にバリア部材71によって覆われる領域よりも小さい。これにより、リブ70a及び溝70b、70cが正面から見えることを防ぐことができる。
【0121】
次に、筐体70の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図27(a)に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた略ロの字状の筒状の棒材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、リブ70a及び溝70b、70cが設けられた略ロの字状の筒状の部材を形成する。
【0122】
次に、機械加工により、リブ70a及び溝70b、70cを切削する。押出し成形により形成された筐体70を、前面を上にしてフライス盤等に設置して、前面側から切削加工により、図26(c)、図27(b)の斜線部の領域、すなわち筐体70の略中央の幅Dの領域を残してリブ70a及び溝70b、70cを切削する。
【0123】
最後に、機械加工により、レンズ用の孔(図示せず)とネジ孔(図示せず)とを形成する。この部分は第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
[バリア部材71について]
バリア部材71は、アルミニウム合金で形成されており、押出し成形により成形された板状の部材であり、背面の略中央部にはクランク形状のリブ71a、71bが形成される。なお、バリア部材71は、オーバーラップ領域Cが大きくなるように、最大限大きくすることが望ましい。オーバーラップ領域Cを大きくすることにより、リブ70a及び溝70b、70cを多く残すことができ、安定した摺動が可能となる。また、第1の実施の形態の変形例3に示すようなコイルバネなどの各種部品を隠すための領域を広く設けることができる。
【0125】
次に、バリア部材71の製造方法について説明する。まず、押出し機(図示せず)を用いて、アルミニウム合金をダイ(図示せず)から押し出すことによって、図28に示す断面形状を有する中空の筒状の棒材を成形する。そのようにして得られた板材を丸鋸等で所定の長さに切断することにより、クランク形状のリブ71a、71bが設けられた板状のバリア部材71が形成される。
【0126】
[バリア部材71の筐体70への取り付けについて]
クランク形状のリブ71aを溝70aに挿入し、クランク形状のリブ71bを溝70bに挿入する。なお、溝70a、70bとリブ71a、71bとは、スムーズな摺動を可能にする寸法関係に形成される。これにより、リブ71a及びリブ71bが、溝70a及び溝70bの内部をそれぞれ摺動可能となる。
【0127】
本実施の形態によれば、摺動部(本実施の形態においては、リブ70a及び溝70b、70c)が正面から一切見えないため、デザイン性を向上させることができる。
【0128】
なお、本発明は、屈曲式の光学系を備えたカメラを例に説明したが、屈曲式に限らず、沈動式の光学系を用いることもできる。この場合には、センサによりバリア部材11が開状態から閉状態へ移動されることが認識されると、内部の制御手段により、まず光学系の収納を行い、収納が完了するまではバリア部材を摺動できないようにし、収納が完了したらバリア部材を摺動可能にすればよい。
【0129】
また、本発明は、カメラのみでなく、携帯電話、PDA、音楽プレーヤーなどの様々な電子部品に適用することができる。また、本発明は、アルミニウム合金を用いて押出し成形を行ったが、アルミニウムに限らず、押出し成形が可能な様々な材料を用いることができる。例えば、マグネシウム合金などの金属材料を用いてもよいし、プラスチック材料を用いてもよい。
【0130】
また、本発明は、筐体の形状が略ロの字状又は略コの字状の場合を例に説明したが、筐体の形状はこれに限らず、様々な形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子機器であるカメラ1の正面図であり、(a)はバリア部材11が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11が右端に位置決めされた状態を示す。
【図2】上記カメラ1の分解斜視図である。
【図3】押出し成形後の筐体10を示す図である。
【図4】押出し成形後のバリア部材11を示す図である。
【図5】バリア部材11を筐体10へ取り付けた図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例−1に係るカメラ1’の筐体10’の斜視図であり、(a)は溝10aが形成されたガイド部10’−1を示し、図6(b)はガイド部10’−1が本体部10’に装着され状態を示す。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例−2に係るカメラ1’’の正面図であり、(a)はバリア部材11’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’が右端に位置決めされた状態を示す。
【図8】上記カメラ1’’ の分解斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の変形例−3に係るカメラ1’’’の分解斜視図である。
【図10】上記カメラ1’’’の要部を正面から透視した図であり、(a)はバリア部材11’’’が左端に位置決めされた状態を示し、(b)は、バリア部材11’’’が右端に位置決めされた状態を示す。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器であるカメラ2のバリア部材21が左端に位置決めされた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図12】押出し成形後の筐体20の斜視図である。
【図13】バリア部材21の斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る電子機器であるカメラ3のバリア部材31が左端に位置決めされた状態を示し、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図15】押出し成形後の筐体30の斜視図である。
【図16】バリア部材31の斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る電子機器であるカメラ4のバリア部材41が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図18】上記カメラ4の要部の分解斜視図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態に係る電子機器であるカメラ5のバリア部材51が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図20】上記カメラ5の要部の分解斜視図である。
【図21】上記カメラ5の断面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態に係る電子機器であるカメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図23】上記カメラ6の要部の分解斜視図である。
【図24】上記カメラ6の断面図である。
【図25】上記カメラ6のバリア部材61が左端に位置決めされた状態における正面図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態に係る電子機器であるカメラ7の正面図であり(a)はバリア部材71が右端に位置決めされた状態を示し、(b)はバリア部材71が左端に位置決めされた状態を示し、(c)はバリア部材を外した状態を示す。
【図27】筐体70の斜視図である。
【図28】バリア部材71の斜視図である。
【図29】従来の例である。
【符号の説明】
【0132】
1、2、3、4、5、6、7:カメラ、10、20、30、40、50、60、70:筐体、11、21、31、41、51、61、71:バリア部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状の部材であり、
前記筐体には、押出し成形により形成され、前記摺動部が挿入されるクランク溝を有する棒状のガイド部が取り付けられる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入されるハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に一体形成された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、板状のバリア部と、該バリア部の略中央部に設けられた略T字形状のリブとが押出し成形により一体成形された部材であり、
前記筐体は、前記略T字形状のリブの根元部分のみが挿入される溝であって、前記筐体の前面の壁を貫通する溝が押出し成形により一体形成された略ロの字状の断面形状の部材であり、
前記略T字形状のリブの根元部分を前記溝に挿入し、かつ前記バリア部の上下端と、前記略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着されることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、摺動部として用いられる略T字形状のリブが押出し成形により一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記略T字形状のリブ全体が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記筐体は、前記バリア部材が前記筐体の前面を左右に摺動する際に常に前記バリア部材によって覆われる領域を残して、前記溝が形成された領域を後加工により切削することにより形成されることを特徴とする請求項1、3、4又は6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記バリア部材の背面側及び前記筐体の前面側には、コイルバネを固定する固定部がそれぞれ配設され、
前記バリア部材は、前記コイルバネの付勢力により前記筐体の右端又は左端に押し付けられることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記溝と嵌合する抜け止め部材であって、前記バリア部材の摺動距離の規制を行う抜け止め部材を更に備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
請求項4から9のいずれかに記載の電子機器を構成するバリア部材。
【請求項11】
請求項1、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の電子機器を構成する筐体。
【請求項12】
肉厚が厚い偏肉部が部分的に形成されたことを特徴とする請求項11に記載の筐体。
【請求項1】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入されるクランク溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、クランク形状を有する摺動部が押出し成形により一体成形された板状の部材であり、
前記筐体には、押出し成形により形成され、前記摺動部が挿入されるクランク溝を有する棒状のガイド部が取り付けられる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、ハの字形状又は逆ハの字形状の摺動部が一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入されるハの字形状又は逆ハの字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、先端が折り曲げられたリブ状又はハの字形状の摺動部が押出し成形により背面の略中央に一体形成された板状の部材であり、
前記筐体は、前記摺動部が挿入される溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、板状のバリア部と、該バリア部の略中央部に設けられた略T字形状のリブとが押出し成形により一体成形された部材であり、
前記筐体は、前記略T字形状のリブの根元部分のみが挿入される溝であって、前記筐体の前面の壁を貫通する溝が押出し成形により一体形成された略ロの字状の断面形状の部材であり、
前記略T字形状のリブの根元部分を前記溝に挿入し、かつ前記バリア部の上下端と、前記略T字形状のリブの先端部分の上下端とでそれぞれ前記筐体の前面の壁を挟み込むことにより、前記バリア部材が前記筐体に摺動可能に装着されることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
バリア部材と、該バリア部材が前面に摺動可能に装着される筐体とからなる電子機器であって、
前記バリア部材は、摺動部として用いられる略T字形状のリブが押出し成形により一体成形された板状の部材であり、
前記筐体は、前記略T字形状のリブ全体が挿入される略T字形状の溝が押出し成形により一体形成された略コの字状又は略ロの字状の断面形状の部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記筐体は、前記バリア部材が前記筐体の前面を左右に摺動する際に常に前記バリア部材によって覆われる領域を残して、前記溝が形成された領域を後加工により切削することにより形成されることを特徴とする請求項1、3、4又は6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記バリア部材の背面側及び前記筐体の前面側には、コイルバネを固定する固定部がそれぞれ配設され、
前記バリア部材は、前記コイルバネの付勢力により前記筐体の右端又は左端に押し付けられることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記溝と嵌合する抜け止め部材であって、前記バリア部材の摺動距離の規制を行う抜け止め部材を更に備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
請求項4から9のいずれかに記載の電子機器を構成するバリア部材。
【請求項11】
請求項1、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の電子機器を構成する筐体。
【請求項12】
肉厚が厚い偏肉部が部分的に形成されたことを特徴とする請求項11に記載の筐体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−128633(P2009−128633A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303441(P2007−303441)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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