説明

電子機器、位置決定方法及びプログラム

【課題】複数の電子機器間の位置関係を容易に把握することを可能とする。
【解決手段】電子機器は、表示手段と、表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段と、他の電子機器と通信する通信部100と、自電子機器の表示画面における操作及び他の電子機器の表示画面における操作をもとに、自電子機器から他の電子機器へ至る操作の軌跡又は他の電子機器から自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する画面情報取得部120と、取得した軌跡情報をもとに、自電子機器と他の電子機器との間の位置関係を算出する位置関係計算部113とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器、位置決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどの携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)、テレビジョン放送受信装置等の電子機器では、設置された複数の電子機器の位置関係を互いの通信状態をもとに把握するものがある。例えば、隣接する電子機器間の距離を無線通信の電波電界強度、遅延時間などに基づいて計測し、その計測結果を元に隣接する電子機器の位置を決定し、最後に特定の電子機器を基準座標系にして各電子機器の位置を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−105662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、例えば無線通信の場合、マルチパスの問題などにより位置決定の精度はあまり期待できるものではなかった。また、赤外線通信の場合は、指向性が強いので機器同士が正対して発光と受光とが正面で向き合うことで位置関係を把握できるが、発光と受光とが正面で向き合わない配置の場合や、電子機器の間に障害物がある場合には、正確な位置関係を決定することは容易なことではなかった。
【0005】
本発明の実施形態は、複数の電子機器の正確な位置関係を容易に把握することを可能とする電子機器、位置決定方法及びプログラムを得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の電子機器は、表示手段と前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段と、他の電子機器と通信する通信手段と、自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得手段と、取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出手段と、を備える。
【0007】
また、実施形態の位置決定方法は、表示手段、前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段、他の電子機器と通信する通信手段、取得手段、算出手段を備える電子機器の位置決定方法であって、前記取得手段が、自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得ステップと、前記算出手段が、取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出ステップとを含む。
【0008】
実施形態のプログラムは、表示手段、前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段、他の電子機器と通信する通信手段、取得手段、算出手段を備える電子機器のプログラムであって、自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得手段と、取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出手段として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、複数の電子機器の通信を例示する概念図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、CPUの機能構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施形態にかかる電子機器の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、3台の電子機器間の位置決めを例示する概念図である。
【図6】図6は、3台の電子機器間の位置決めを例示する概念図である。
【図7】図7は、3台の電子機器間の位置決めを例示する概念図である。
【図8】図8は、3台の電子機器間の位置決めを例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる電子機器、位置決定方法及びプログラムを詳細に説明する。実施形態にかかる電子機器は、スマートフォンなどの携帯電話、PDA、PC、テレビジョン放送受信装置等であってよい。以下では、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面上に操作入力を受け付けるタッチセンサを積層したタブレット型の電子機器を例示する。
【0011】
図1は、複数の電子機器の通信を例示する概念図である。図1に示すように、電子機器1は、LCD等の表示部2の表示画面上に操作ペン4などによる操作を受け付けるタッチセンサ3を積層した構成である。電子機器1では、表示部2の表示画面上のユーザのタッチ操作をタッチセンサ3で受け付ける。例えば、表示部2の表示画面上で操作ペン4をタッチすることで、そのタッチ位置がタッチセンサ3で検出され、そのタッチ位置に対応した操作の入力が受け付けられることとなる。また、表示部2の表示画面上で操作ペン4をタッチした状態でタッチ位置を移動させることで、タッチ位置の移動に対応した操作の入力が受け付けられることとなる。
【0012】
また、電子機器1は、無線基地局5等を介して他の電子機器1と互いに通信を行う機能を有する。電子機器1と無線基地局5との通信は、例えば無線LAN(Local Area Network)などであってよい。また、電子機器1同士はアドホックモードで直接通信を行ってもよい。なお、本実施形態では、電子機器1の通信を無線LANなどの無線通信で行う構成を例示するが、電子機器1の通信は有線で行われてもよいことは言うまでもないことである。
【0013】
図2は、実施形態にかかる電子機器1の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、電子機器1は、上述した表示部2、タッチセンサ3の他、CPU10(Central Processing Unit)、ROM11(Read Only Memory)、RAM12(Random Access Memory)、記憶部13、計時部14、ジャイロセンサ15、通信I/F16を備える。
【0014】
CPU10は、電子機器1の動作を中央制御する。具体的には、CPU10は、ROM11や記憶部13に記憶された各種プログラムを読み出し、RAM12の作業領域に展開して順次実行することで、バスラインを介して接続する電子機器1の各部に制御信号を出力する。ROM11は、各種プログラムや設定データを記憶する。RAM12は、CPU10の作業領域を提供する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、CPU10が実行するアプリケーションプログラム、文字、動画像、静止画像、音声などの各種データを読み書き可能に記憶する。計時部14は、RTC(Real Time Clock)機能およびネットワークを介して時刻の同期を行う機能を有し、S1時には時刻の同期および計時を行う。計時部14が同期および計時した時刻はCPU10に通知される。
【0015】
ジャイロセンサ15(ジャイロスコープ)は、MEMS技術を用いた振動型の角速度センサなどであり、XYZの3軸方向の電子機器1の姿勢を検出し、検出結果をCPU10へ出力する。通信I/F16は、CPU10の制御の下、所定の通信プロトコルに従い、有線又は無線の通信を行うインタフェースである。例えば、通信I/F16は、CPU10の制御の下、無線基地局5を介した無線LANの通信を行う。
【0016】
ここで、CPU10がプログラムを順次実行することで実現する機能構成について説明する。図3は、CPU10の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、CPU10は、プログラムを順次実行することで、通信部100、位置決定部110、画面情報取得部120、画面位置検出部130としての機能を実現する。
【0017】
通信部100は、所定の通信プロトコルに従って、通信I/F16を介した他の電子機器1との通信を行う。本実施形態では、通信部100は、IEEE 802.11等の規格に従った無線LANによる通信により他の電子機器1との通信を行う。
【0018】
位置決定部110は、ID管理部111、時刻管理部112、位置関係計算部113、軌跡情報記憶部114を備え、通信I/F16を介して通信する複数の電子機器1同士の位置関係を、位置決めにかかる操作(詳細は後述する)を元に決定する。なお、ここでいう位置関係とは、ある機器を基準とした場合の他の機器の方向、距離、他の機器が向いている方向などである。例えば、自らの電子機器1と、他の電子機器1との間の位置関係の場合には、自らの電子機器1を基準とした他の電子機器1の方向、距離、他の電子機器1が向いている方向などであってよい。
【0019】
ID管理部111は、通信I/F16を介して通信する電子機器1ごとの識別情報(ID)を管理する。識別情報は、機器の名称、通信アドレス等、機器ごとにユニークに割り当てられ、機器を特定可能な情報であればいずれであってもよい。例えば、識別情報の一例としては、通信I/F16を介した通信の際のMACアドレスなどが挙げられる。ID管理部111は、機器の名称で管理する場合は機器の名称とその名称で識別される機器の通信アドレスとの対応関係を、通信アドレスで管理する場合は電子機器1の通信アドレスの一覧を管理している。したがって、通信I/F16を介して他の電子機器1との間で通信が行われた場合は、ID管理部111で管理される識別情報を参照することで、通信が行われた他の電子機器1を特定することができる。
【0020】
時刻管理部112は、位置決めにかかる操作が行われた時刻を管理する。具体的には、時刻管理部112は、位置決めにかかる操作が開始された開始時刻と、その操作の終了時刻とを計時部14より取得し、取得した時刻をRAM12などに一時記憶する。
【0021】
位置関係計算部113は、複数の電子機器1同士の位置決めにかかる操作の軌跡として軌跡情報記憶部114に記憶された軌跡情報をもとに、複数の電子機器1同士の位置関係を算出する。なお、位置関係計算部113、軌跡情報記憶部114の詳細については、図4に例示したフローチャートや図5〜図8に例示した概念図を参照して説明する。
【0022】
画面情報取得部120は、自らの電子機器1の表示画面における操作や、他の電子機器1の表示画面における操作を取得する。具体的には、画面情報取得部120は、タッチセンサ3の出力をもとに自らの電子機器1の表示画面における操作を取得する。また、画面情報取得部120は、通信I/F16を介した通信によって他の電子機器1のタッチセンサ3の出力を受け付けることで、他の電子機器1の表示画面における操作を取得する。
【0023】
画面位置検出部130は、自らの電子機器1の姿勢(表示部2の表示画面の位置)や、他の電子機器1の姿勢を検出する。具体的には、画面情報取得部120は、ジャイロセンサ15の出力をもとに、自らの電子機器1の姿勢を検出する。また、画面情報取得部120は、通信I/F16を介した通信によって他の電子機器1のジャイロセンサ15の出力を受け付けることで、他の電子機器1の姿勢を検出する。
【0024】
次に、無線基地局5を介して通信する複数の電子機器1の位置決めに際し、上述した機能構成において実現される電子機器1の動作の詳細について説明する。複数の電子機器1の位置決めを行う形態としては、会議室などで会議を行う際にユーザが持ち寄ったスマートフォンなどの位置決めや、部屋に設置した複数のテレビジョン放送受信装置の位置決めなどがある。以下では、説明を簡単に行うため、ユーザが持ち寄った3台の電子機器1をアドホックに位置決めする場合(図5〜図8参照)を例示する。なお、3台の電子機器1は、テーブルなどに載置され、位置決めを行う最中は姿勢に変化がないものとする。また、位置決めにかかる操作は、ひとりのユーザが3台の電子機器1を順次操作して行うものとする。
【0025】
図4は、実施形態にかかる電子機器1の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、機器間の位置決めを行うための操作などに応じて処理が開始されると、通信部100は、無線基地局5を介した複数の電子機器1間の通信を開始する(S1)。次いで、通信部100は、S1において通信を開始した電子機器1の識別情報(装置ID)を取得する(S2)。なお、本実施形態では、識別情報として、機器の名称を取得するものとする。取得した機器の名称は、MACアドレスなどとともにID管理部111で管理される。
【0026】
図5〜図8は、3台の電子機器1間の位置決めを例示する概念図である。図5〜図8に示すように、ユーザU1〜U3の各々が持ち寄った3台の電子機器1では、機器間の位置決めを行うための操作などに応じて、図4のフローチャートに例示した処理が行われる。そして、S1、S2の処理が行われることで、3台の電子機器1においては、図5に示すように、ユーザU1が持ち寄った電子機器1の識別情報である「Terminal_C」、ユーザU2が持ち寄った電子機器1の識別情報である「Terminal_B」、ユーザU3が持ち寄った電子機器1の識別情報である「Terminal_A」が取得されて、ID管理部111で管理されることとなる。
【0027】
次いで、CPU10は、表示部2の表示画面上の所定の位置に、位置決めにかかる操作の基準となるマーク画像を表示する(S3)。このマーク画像は、図5に示すように、表示部2の表示画面の中心近傍におけるG1である。
【0028】
ここで、位置決めにかかる操作の詳細について説明する。位置決めにかかる操作は、ユーザU1〜U3の中のひとりが、いずかのマーク画像G1を起点(出発点)として他のマーク画像G1を順次経由して、起点となったマーク画像G1へ戻る操作である。
【0029】
具体的には、図6に示すように、「Terminal_C」の電子機器1におけるマーク画像G1を起点とし、そのマーク画像G1をタッチした状態で「Terminal_B」の電子機器1の方向へ、表示画面の辺に至るまでスライドする操作OP1を行う。なお、操作OP1の開始時刻はt0、終了時刻はt1とする。
【0030】
次いで、操作OP1を行ったユーザは、「Terminal_B」の電子機器1に移動し、「Terminal_C」方向の表示画面の辺をタッチした状態でマーク画像G1に至るまでスライドする操作OP2を行う。なお、操作OP2の開始時刻はt2、終了時刻はt3とする。この操作OP1、OP2は、「Terminal_C」の電子機器1から見た場合は自らの電子機器1から他の電子機器1へ至る操作であり、「Terminal_B」の電子機器1から見た場合は他の電子機器1から自らの電子機器1へ至る操作である。そして、操作OP1、OP2におけるスライドした方向及び時刻t0〜t3までの時間が操作の軌跡を示す軌跡情報である。
【0031】
次いで、図7に示すように、操作OP2を行ったユーザは、「Terminal_B」のマーク画像G1をタッチした状態で「Terminal_A」の電子機器1の方向へ、表示画面の辺に至るまでスライドする操作OP3を行う。なお、操作OP3の開始時刻はt3、終了時刻はt4とする。次いで、操作OP3を行ったユーザは、「Terminal_A」の電子機器1に移動し、「Terminal_B」方向の表示画面の辺をタッチした状態でマーク画像G1に至るまでスライドする操作OP4を行う。なお、操作OP4の開始時刻はt5、終了時刻はt6とする。この操作OP3、OP4は、「Terminal_C」の電子機器1から見た場合、第1の他の電子機器1から第2の他の電子機器1へ至る操作である。そして、操作OP3、OP4におけるスライドした方向及び時刻t3〜t6までの時間が操作の軌跡を示す軌跡情報である。
【0032】
次いで、図8に示すように、操作OP4を行ったユーザは、「Terminal_A」のマーク画像G1をタッチした状態で「Terminal_C」の電子機器1の方向へ、表示画面の辺に至るまでスライドする操作OP5を行う。なお、操作OP5の開始時刻はt6、終了時刻はt7とする。次いで、操作OP5を行ったユーザは、「Terminal_C」の電子機器1に移動し、「Terminal_A」方向の表示画面の辺をタッチした状態でマーク画像G1に至るまでスライドする操作OP6を行う。なお、操作OP6の開始時刻はt8、終了時刻はt9とする。この操作OP5、OP6におけるスライドした方向及び時刻t6〜t9までの時間が、「Terminal_A」から「Terminal_C」の電子機器1に至る操作の軌跡を示す軌跡情報である。以上の操作OP1〜OP6が、いずれかのマーク画像G1を起点として他のマーク画像G1を順次経由して、起点となったマーク画像G1へ戻る操作である。
【0033】
図4に戻り、S3以後の処理を説明する。S3の後、画面情報取得部120は、表示部2の表示画面上でタッチ操作があったか否かをタッチセンサ3の出力をもとに判定する(S4)。タッチ操作がない場合(S4:NO)、CPU10は、S8へ処理を進める。タッチ操作がある場合(S4:YES)、すなわちマーク画像G1をタッチした状態で他の電子機器1の方向へ、表示画面の辺に至るまでスライドする操作(操作OP1、OP3、OP5)や、表示画面の辺をタッチした状態でマーク画像G1に至るまでスライドする操作(操作OP2、OP4、OP6)が行われた場合、画面情報取得部120は、上述した操作の軌跡(スライドした方向及び時間)をタッチセンサ3の出力をもとに取得する(S5)。
【0034】
次いで、軌跡情報記憶部114は、S5で取得した操作の軌跡と、その操作の時刻(開始時刻、終了時刻)とを軌跡情報として、操作が行われた機器を示す識別情報とともにRAM12などに記憶する(S6)。次いで、通信部100は、取得した操作の軌跡を他の電子機器1へブロードキャストし(S7)、S8へ処理を進める。このブロードキャストによって、例えば図7に例示した操作OP1の軌跡は、「Terminal_C」の電子機器1だけでなく、他の電子機器1でも共有されることとなる。
【0035】
S8において、CPU10は、通信部100における通信をもとに、他の電子機器1からのブロードキャストがあるか否かを判定する。他の電子機器1からのブロードキャストがない場合(S8:NO)、CPU10は、S10へ処理を進める。他の電子機器1からのブロードキャストがある場合(S8:YES)、すなわち他の電子機器1でタッチ操作があった場合、画面情報取得部120は、ブロードキャストされた他の電子機器1での操作の軌跡(スライドした方向及び時間)を通信部100を介して取得する。次いで、軌跡情報記憶部114は、取得した他の電子機器1での操作の軌跡と、その操作の時刻(開始時刻、終了時刻)とを軌跡情報として、操作が行われた機器を示す識別情報とともにRAM12などに記憶する(S9)。
【0036】
S10において、CPU10は、軌跡情報記憶部114に記憶されている軌跡情報と、ID管理部111で管理されている識別情報とをもとに、起点(出発点)となったマーク画像G1へ操作が戻ったか否かを判定する(S10)。具体的には、S10では、最初に軌跡情報が取得された電子機器1と、最後に軌跡情報が取得された電子機器1との識別情報が一致するか否かを判定する。起点となったマーク画像G1へ操作が戻っていない場合(S10:NO)、CPU10は、S4へ処理を戻し、自らの電子機器1のタッチ操作や、他の電子機器1のタッチ操作を取得する処理を継続する。
【0037】
起点となったマーク画像G1へ操作が戻った場合(S10:YES)、軌跡情報記憶部114は、記憶された操作の軌跡を、時刻順にソートする(S11)。このS11のソートにより、操作OP1〜OP6の軌跡が実際に操作された順に並び替えられることとなる。この並び替えにより、例えば「Terminal_C」の電子機器1は、自らの電子機器1から他の電子機器1へ至る操作OP1、OP2の軌跡を取得できる。なお、他の電子機器1間の軌跡も同様である。
【0038】
次いで、位置関係計算部113は、S11の並び替えにより取得した電子機器1間の軌跡を元に、電子機器1間の位置関係を計算する(S12)。例えば、「Terminal_C」の電子機器1では、操作OP1、OP2の軌跡をもとに、「Terminal_B」の電子機器1との間の位置関係を算出する。より具体的には、「Terminal_C」の電子機器1において操作OP1の示す方向は、ユーザが示す「Terminal_B」の方向であることから、その方向を「Terminal_C」に対する「Terminal_B」の方向とする。また、操作OP1から延長する操作OP2が方向は、「Terminal_C」を基準とした場合に「Terminal_B」が向いている方向を示している。したがって、操作OP2の方向を、「Terminal_B」が「Terminal_C」に対して向く方向とする。
【0039】
また、操作OP1の開始時刻(t1)から操作OP2の終了時刻(t3)までの時間は、ユーザの移動時間が大半を占め、「Terminal_C」、「Terminal_B」間の距離に比例する。したがって、位置関係計算部113は、操作OP1の開始時刻(t1)から操作OP2の終了時刻(t3)までの時間に所定の係数を掛け合わせることで、「Terminal_C」、「Terminal_B」間の距離を算出する。
【0040】
同様にして、操作OP3、OP4により「Terminal_B」、「Terminal_A」間の位置関係、操作OP5、OP6により「Terminal_A」、「Terminal_C」間の位置関係が算出されることとなる。なお、上述した位置関係については、余弦定理などを用いて算出してもよい。具体的には、図8のマーク画像G1を頂点とした三角形において、2つの辺の長さ(距離)と1つの内角の大きさ(操作方向の成す角)からもう一つの辺の長さ(距離)を算出できる。
【0041】
また、本実施形態では電子機器1が3台の場合を例示したが、4台以上の場合は、上述した余弦定理を利用することで電子機器1間の位置関係を算出することができる。具体的には、隣接する電子機器1同士の角度や距離は3台の場合と同様に求める。そして、ある電子機器1から隣の電子機器1より1つ先の電子機器1へ向かう角度は、隣の電子機器1を経由して1つ先の電子機器1へ至るまでの距離(2辺の距離)の情報と、その内角の情報から余弦定理を利用することで算出できる。同様に、距離も余弦定理によって算出できる。このように余弦定理を順次用い、隣接しない電子機器1間の位置関係を算出していくことで、全ての電子機器1間の位置関係を算出できる。
【0042】
次いで、画面位置検出部130は、自らの電子機器1の姿勢(表示部2の表示画面の位置)や、他の電子機器1の姿勢に変化があるか否かを判定する(S13)。この電子機器1の姿勢の変化は、例えばユーザの持ち替えなどによって、縦向きから横向きへの変化する場合などがある。自らの電子機器1や他の電子機器1の姿勢に変化がある場合(S13:YES)、その姿勢の変化量(XYZの3軸方向で変化した角度)をジャイロセンサ15の出力や、通信I/F16を介した通信から取得し(S14)、S12へ処理を戻す。S12では、S14で取得した変化量をもとに、直近のS12で算出した電子機器1間の位置関係を補正する。この補正により、位置関係の計算後における電子機器1の姿勢の変化に対応することができる。
【0043】
具体的には、図8における「Terminal_C」の電子機器1が縦向きから横向きに姿勢が変化した場合、「Terminal_C」の電子機器1では、「Terminal_C」に対する「Terminal_B」の方向が横向きに合わせて補正される。また、「Terminal_B」の電子機器1では、「Terminal_B」を基準とした場合の「Terminal_C」が向いている方向が横向きに合わせて補正される。
【0044】
自らの電子機器1や他の電子機器1の姿勢に変化がない場合(S13:NO)、CPU10は、S12で計算された位置関係の解消を指示する操作入力などをもとに、位置関係を解消するか否かを判定する(S15)。位置関係を解消しない場合(S15:NO)、CPU10は、S13へ戻して処理を継続する。位置関係を解消する場合(S15:YES)、通信部100は、無線基地局5を介した複数の電子機器1間の通信を終了し(S16)、処理を終了する。
【0045】
以上のように、実施形態にかかる電子機器1は、自らの電子機器1(例えば「Terminal_C」)の表示画面における操作(操作OP1)及び他の電子機器1(例えば「Terminal_B」)の表示画面における操作(操作OP2)をもとに、自らの電子機器1から他の電子機器1へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する画面情報取得部120と、取得した軌跡情報をもとに、自らの電子機器1と他の電子機器1との間の位置関係を算出する位置関係計算部113を備えている。また、画面情報取得部120は、自らの電子機器1(例えば「Terminal_C」)の表示画面における操作(操作OP6)及び他の電子機器1(例えば「Terminal_A」)の表示画面における操作(操作OP5)をもとに、他の電子機器1(例えば「Terminal_A」)から自らの電子機器1(例えば「Terminal_C」)へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得し、位置関係計算部113は取得した軌跡情報をもとに、自らの電子機器1と他の電子機器1との間の位置関係を算出する。したがって、電子機器1では、自らの電子機器1と他の電子機器1との間の正確な位置関係を容易に把握することが可能となる。
【0046】
また、画面情報取得部120は、第1の他の電子機器1(例えば「Terminal_B」)から第2の他の電子機器(例えば「Terminal_A」)へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を通信より取得する。そして、位置関係計算部113は、通信より取得した軌跡情報をもとに、電子機器1間の位置関係を算出することで、複数の電子機器1間の位置関係を決定していくことが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態の電子機器1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の電子機器1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0048】
さらに、本実施形態の電子機器1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の電子機器1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0049】
本実施形態の電子機器1で実行されるプログラムは、上述した各機能構成を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記機能構成が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0050】
また、電子機器1における姿勢の検出は、ジャイロセンサだけでなく、方位センサなどにより基準とする方位に対する電子機器1の姿勢の変化を検出してもよい。また、電子機器1における表示画面の操作は、タッチセンサ3による構成に限定しない。例えば、表示画面上のポインタをマウス、トラックパッド、カーソルキーなどで操作するものであってよい。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0052】
1…電子機器、2…表示部、3…タッチセンサ、4…操作ペン、5…無線基地局、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…記憶部、14…計時部、15…ジャイロセンサ、16…通信I/F、100…通信部、110…位置決定部、111…ID管理部、112…時刻管理部、113…位置関係計算部、114…軌跡情報記憶部、120…画面情報取得部、130…画面位置検出部、G1…マーク画像、U1〜U3…ユーザ、OP1〜OP6…操作、t0〜t9…時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と
前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段と、
他の電子機器と通信する通信手段と、
自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得手段と、
取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記取得手段は、前記自電子機器の前記表示画面における、当該自電子機器から前記他の電子機器へ向かう方向の操作の軌跡を前記操作手段より取得し、前記他の電子機器の表示画面における操作の軌跡を前記他の電子機器との通信より取得して、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得すること、
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記取得手段は、前記他の電子機器の表示画面における操作の軌跡を前記他の電子機器との通信より取得し、前記自電子機器の前記表示画面における、前記他の電子機器から前記自電子機器へ向かう方向の操作の軌跡を前記操作手段より取得して、前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得すること、
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記取得手段は、第1の他の電子機器から第2の他の電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を通信より取得し、
前記算出手段は、通信より取得した前記軌跡情報をもとに、前記第1の他の電子機器と前記第2の他の電子機器との間の位置関係を算出すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器ごとの識別情報を管理する識別情報管理手段を更に備え、
前記取得手段は、管理された複数の前記電子機器の中で、いずれかの前記電子機器を起点とし、他の電子機器を経由して前記起点に戻るまでの操作の軌跡を示す軌跡情報を取得し、
前記算出手段は、取得した前記軌跡情報をもとに、管理された複数の前記電子機器の間の位置関係を算出すること、
を特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記操作の軌跡の開始時刻と終了時刻とを管理する時刻管理手段を更に備え、
前記算出手段は、管理された前記開始時刻と前記終了時刻との間の時間をもとに、前記電子機器間の距離を算出すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記自電子機器及び前記他の電子機器の姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、
前記算出手段は、前記自電子機器及び前記他の電子機器の姿勢の変化に応じて前記位置関係を補正すること
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
表示手段、前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段、他の電子機器と通信する通信手段、取得手段、算出手段を備える電子機器の位置決定方法であって、
前記取得手段が、自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得ステップと、
前記算出手段が、取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする位置決定方法。
【請求項9】
表示手段、前記表示手段の表示画面の操作を取得する操作手段、他の電子機器と通信する通信手段、取得手段、算出手段を備える電子機器のプログラムであって、
自電子機器の表示画面における操作及び前記他の電子機器の表示画面における操作をもとに、前記自電子機器から前記他の電子機器へ至る操作の軌跡又は前記他の電子機器から前記自電子機器へ至る操作の軌跡を示す軌跡情報を取得する取得手段と、
取得した前記軌跡情報をもとに、前記自電子機器と前記他の電子機器との間の位置関係を算出する算出手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133581(P2012−133581A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284948(P2010−284948)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】