説明

電子機器、閃光発生装置および放電方法

【課題】衝撃を受けた場合に、電子機器の蓄電器を確実に放電させる。
【解決手段】電源から供給された電荷を一対の電極の間に蓄積し、且つ、放電により負荷に電力を供給する蓄電部と、所与の閾値を越える衝撃を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく電気信号を発生する衝撃検知部と、電気信号を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく一対の電極を短絡させる放電部とを備える。連続光光源は、閃光光源が被照明物に正対した場合に、連続光が筐体の下方を照明する方向に配されるよう筐体に支持されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、閃光発生装置および放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタに蓄積した電力の放電を利用する電子機器がある。下記特許文献1には、電子機器に加速度センサを内蔵させて、当該電子機器の落下が検出された場合にキャパシタを放電させることが記載される。また、下記特許文献2には、衝撃を検出した場合に、キセノン管を強制発光させる電子機器の構造が記載される。
【特許文献1】特開2008−009210号公報
【特許文献2】特開2008−083350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の電子機器は、いずれも、当該機器の電源が投入されている場合に上記機能を実行する。従って、スイッチが切られている場合は、蓄積された電荷を放電することができない。このため、例えばキャパシタのように、非動作時にも蓄積された電荷を保持し続ける素子を含む電子機器では、有効に動作しない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、上記の課題を解決すべく、本発明の第1の態様として、電源から供給された電荷を一対の電極の間に蓄積し、且つ、放電により負荷に電力を供給する蓄電部と、所与の閾値を越える衝撃を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく電気信号を発生する衝撃検知部と、電気信号を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく一対の電極を短絡させる放電部とを備えることを特徴とする電子機器が提供される。
【0005】
また、本発明の第2の態様として、上記の電子回路を有し、負荷は閃光光源であり、蓄電部からの放電により閃光光源を発光することを特徴とする閃光発生装置が提供される。
【0006】
更に、本発明の第3の態様として、電源から供給された電荷を一対の電極の間に蓄積し、且つ、放電により負荷に電力を供給する蓄電部を放電させる放電方法であって、所与の閾値を越える衝撃を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく電気信号を発生する電気信号発生段階と、電気信号を受けた場合に、電源から電力を供給されることなく一対の電極を短絡させる放電段階とを備えることを特徴とする放電方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。しかしながら、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、閃光光源を含む照明装置100の外観を示す斜視図である。照明装置100は、相互に連結された固定筐体110および可動筐体130を備える。固定筐体110は、下端面に取り付け部120を、側面に電池室112、前面に補助光光源111およびリモート用レディライト113等を備える。
【0009】
取り付け部120は、カメラボディのホットシューに嵌合する取り付け脚122と、ホットシューにおいて信号を伝達する連動接点124とを有する。取り付け脚122をホットシューに嵌合させた場合、固定筐体110は、カメラボディに固定される。
【0010】
電池室112は、照明装置100を動作させる電力を供給する乾電池等を収容する。補助光光源111およびリモート用レディライト113は透明な共通カバー115に覆われて、動作モードに応じて発光する。即ち、補助光光源111は、暗い撮影環境においてオートフォーカスを動作させる場合に被写体を照明する。また、リモート用レディライト113は、照明装置100をカメラボディから離して動作させる場合に、充電完了をユーザに通知する。
【0011】
可動筐体130は、前面に閃光発生部140を、側面にロック解除ボタン136を有する。また、閃光発生部140の上に、広角拡散板141およびキャッチライト反射板143を備える。広角拡散板141およびキャッチライト反射板143は、要求に応じて閃光発生部140の前面を覆う。使用しない場合は、可動筐体130の内部に収容される。
【0012】
可動筐体130は、その後端近傍において、水平回動部132および垂直回動部134を介して固定筐体110に結合される。即ち、水平回動部132の下端は、固定筐体110の上端面に結合される。また、水平回動部132の上端は、垂直回動部134を介して可動筐体130に結合される。
【0013】
これら水平回動部132および垂直回動部134により、カメラボディ等に固定された固定筐体110に対して、可動筐体130の向きを、水平および垂直に回動させて任意の方向に向けることができる。これにより、閃光発生部140を被写体に向けて直接に照明できる他、閃光発生部140を他の方向に向けて、間接光により照明して撮影することもできる。
【0014】
また、水平回動部132および垂直回動部134は、通常はロック機構により係止されており回動しない。ユーザがロック解除ボタン136を押し込んだ場合は、一定の範囲で回動する。これにより、可動筐体130が不用意に向きを変えることが防止される。
【0015】
閃光発生部140は、フレネルレンズ等の拡散レンズ146を介して、広い範囲に閃光を放射する。これにより、単一の閃光光源で広い範囲を略均一に照明できる。
【0016】
図2は、照明装置100を背面から見た様子を示す斜視図である。なお、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0017】
固定筐体110の背面には、表示部160および操作部170が配される。表示部160は、液晶表示パネル114、レディライト116等を含む。操作部170は、複数のボタン118、ダイアル119等を含む。これにより、照明装置100をカメラボディに装着した場合に、操作し易い。また、表示部160および操作部170は、照明装置100を単独で操作および動作させる場合にも使用される。
【0018】
図3は、照明装置100の内部構造を模式的に示す断面図である。図3においても、図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0019】
固定筐体110は、電池室112に収容された電池180と、電池180により電力を供給されて動作する電子回路を実装した主基板182とを内蔵する。主基板182は、照明装置100を制御する制御回路、カメラボディとの通信を司る通信回路等の他、閃光発生部140に供給する高電圧を発生する昇圧回路等も含む。
【0020】
可動筐体130は、閃光発生部140の他に、閃光発生部140に電力を供給するメインキャパシタ138も内蔵する。メインキャパシタ138は、主基板182に実装された昇圧回路から印加される高電圧により迅速に充電される。また、主基板182に実装された主制御部から閃光発生の指示を受けた場合に急速に放電して大きな電力を閃光発生部140に供給する。
【0021】
閃光発生部140は、閃光を発生する放電管142と、放電管142が発生した閃光を反射する反射板144とを含む。放電管142は、メインキャパシタ138から電力を供給された場合に放電して閃光を発生させる。
【0022】
反射板144は二次曲面を有しており、放電管142は当該二次曲面の焦点に配される。これにより、放電管142が放射した閃光は、効率よく外部に向けて出射される。従って、照明装置100を装着されたカメラは、放電管142による輝度の高い閃光で被写体を照明して、比較的速いシャッタ速度で、階調範囲の広い静止画を撮影できる。
【0023】
更に、可動筐体130の内部は、メインキャパシタ138および放電管142の間で、絶縁性の高い材料で形成された隔壁139により仕切られる。メインキャパシタ138に面した隔壁139の表面には、副基板183が配される。副基板183は、図4以降を参照して説明するように、電池180から電力を供給されることなく動作し得る放電回路200を含む。
【0024】
図4は、照明装置100の電気的な構造の一部を示す回路図である。この回路は、メインキャパシタ138を充電する充電系211と、メインキャパシタ138の放電により放電管142に閃光を発生させる駆動系212と、これらを包括的に制御する主制御回路210と、これら充電系211、駆動系212および主制御回路210から独立して動作する放電回路200とを含む。これらのうち、少なくとも放電回路200は、メインキャパシタ138の近傍に配された副基板183に実装される。
【0025】
充電系211は、昇圧回路220および電圧検出回路230を含み、メインキャパシタ138の両端のノードX、Yに接続される。昇圧回路220は、DC−DCコンバータであり、電池180の一端に生じた電圧を昇圧して、電池180の他端との間により大きな電位差を生じさせる。これにより、メインキャパシタ138を迅速に充電できる。昇圧回路220は、主制御回路210から受ける昇圧許可信号aがハイになった場合に、駆動信号fとその反転信号とを受けて高効率に動作する。
【0026】
なお、ここではフォワード他励式の昇圧回路220を用いたが、昇圧回路の構造がこれに限定されるわけではない。即ち、昇圧回路220は、自励式であっても、フライバック式であっても、更に他の方式であっても差し支えない。
【0027】
電圧検出回路230は、昇圧回路220の出力側のノードAにおいて電圧を監視する。検出した電圧が定格に達した場合は、主制御回路210に対する通知信号bをハイにする。これにより、主制御回路210は、昇圧回路220に対する昇圧許可信号aをローにして、メインキャパシタ138に対する充電を停止させる。
【0028】
充電系211とノードXとの間には、整流器222が挿入される。これにより、メインキャパシタ138の放電による電流が充電系211に逆流することを防止する。
【0029】
駆動系212は、メインキャパシタ138の両端のノードX、Yの間に順次接続された、放電管142、整流器264およびIGBT素子262(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を含む。また、放電管142のトリガ電極にはトリガ回路240が、放電管142のカソード側には倍電圧回路250が、IGBT素子262のゲートにはIGBT制御回路260がそれぞれ接続される。
【0030】
トリガ回路240は、放電管142のトリガ端子242に印加するトリガ電圧を発生する。トリガ端子242にトリガ電圧が印加された場合、キセノンガス等の放電ガスが励起されて、放電管142内に放電電流が流れる。これにより、放電管142は閃光を発生する。
【0031】
倍電圧回路250は、放電管142のカソード側に接続され、充電電圧に略等しい絶対値で反対極性の電圧を発生して、ノードBに印加する。これにより、放電管142の両端には、メインキャパシタ138の充電電圧の約2倍の電位差が生じる。
【0032】
整流器264は、倍電圧回路250が接続されたノードBとIGBT素子262のコレクタ側との間に接続される。これにより、後述するIGBT素子262に対する倍電圧回路250の影響を遮断できる。
【0033】
IGBT素子262は、高圧側にコレクタが、低圧側にエミッタが、それぞれ接続されるIGBT制御回路260は、主制御回路210から発光開始信号cを受けると、IGBT素子262のゲートにゲート電圧を印加する。これによりIGBT素子262は導通し、放電管142に放電電流が流れ得る状態となる。
【0034】
主制御回路210は、カメラボディの他、他の照明装置100、リモートコントローラ等から発光指示を受けた場合に、発光開始信号cを発生する。主制御回路210から発光開始信号cを受けたIGBT制御回路260は、トリガ回路240および倍電圧回路250もアクティブにする。これにより、メインキャパシタ138から放電された電力を供給された放電管142は、倍電圧回路250により発生された高い放電電圧で放電を開始して閃光を発生する。
【0035】
放電管142の発光によりメインキャパシタ138の電力が消費されてノードXの電圧が低下すると、電圧検出回路230は、その旨を通知する通知信号bを発生して主制御回路210に通知する。これにより、主制御回路210は、再び昇圧許可信号aをハイにしてメインキャパシタ138の充電を再開する。
【0036】
なお、メインキャパシタ138の充電電圧は、放電管142の発光の他、メインキャパシタ138自体の自己リーク等によっても低下する。このような場合も、電圧検出回路230は、その旨を通知する通知信号bを発生して主制御回路210に通知し、主制御回路210はメインキャパシタ138を充電させる。
【0037】
このような構造により、照明装置100が可動している間は、放電直後を除くと、メインキャパシタ138は常時満充電となっている。また、自己リークがあるとはいえ、照明装置100の電源が切られた後も、メインキャパシタ138が完全に放電するまでには時間がかかる。このため、なんらかの理由で可動筐体130が破損してメインキャパシタ138が外部に露出した場合、メインキャパシタ138に触れると慮外の放電が生じる場合がある。
【0038】
これに対して、照明装置100は、放電回路200を備えている。即ち、放電回路200は、可動筐体130が破損するほど大きな衝撃を照明装置100が受けた場合に、照明装置100が動作しているか否かに拠らず、メインキャパシタ138を安全に放電させる。
【0039】
放電回路200は、ノードX、Yの間に、メインキャパシタ138に対して並列に接続され、スイッチング素子270、衝撃センサ280および放電抵抗290を含む。放電抵抗290は、一端をノードXに、他端を、スイッチング素子270を介してノードYに接続される。スイッチング素子270の制御端子は、衝撃センサ280に接続される。
【0040】
ここで、衝撃センサ280は、例えば、圧電バイモルフを用いた加速センサにより形成できる。圧電バイモルフは、受けた衝撃を加速度として検出して素子の両端に電位差を生じる。この電位差を衝撃検知信号としてスイッチング素子270を駆動することにより、照明装置100の電源が投入されているか否かに拠らず、放電回路200は動作する。従って、例えば、照明装置100の電源を遮断した状態でも衝撃検知信号を発生することができる。
【0041】
また、衝撃センサ280は、互いに立体的に交差する3方向の衝撃を検出することが好ましい。これにより、あらゆる方向から受けた衝撃を有効に検出できる。
【0042】
なお、照明装置100が、動作中に衝撃を受ける場合もある。そのような場合は、上記したように、メインキャパシタ138は継続的に充電される。従って、衝撃を受けた時点で放電しても、充電系211が稼動していれば、再び充電される場合がある。
【0043】
図5は、上記のように、充電中に放電回路200が動作した場合の、主制御回路210の制御手順を示す流れ図である。即ち、衝撃センサ280が衝撃を受けた場合、放電回路200からは、衝撃を検知した旨を通知する通知信号dが主制御回路210に通知される(S101)。
【0044】
そこで、主制御回路210は、充電系211がメインキャパシタ138を充電しているか否かを調べる(S102)。充電系211がメインキャパシタ138を充電している最中であった場合(S102:YES)、主制御回路210は、昇圧許可信号aをロウにして、充電系211に充電を中止させる(S103)。また、充電系211が動作していなかった場合は、そのまま処理を終了する(S102:NO)。こうして、メインキャパシタ138の再充電を未然に防止することができる。
【0045】
なお、上記のような一連の制御により充電系211による充電が中止された後に、例えば、照明装置100の電源スイッチが再投入された場合、あるいは、電池180が再装填された場合、充電系211が再び充電を開始することがあり得る。そこで、通知信号dが発生した場合は、意図的な復帰操作をしない限り充電系211が動作しない構造としてもよい。
【0046】
このような再充電を防止する機能は、例えば、通知信号dをフラグとして保持し続けるラッチ回路等のハードウェアの他、主制御回路210に実装したソフトウェアによっても実現できる。また、通知信号dの発生をトリガとして溶断され、充電系211を遮断するヒューズを用いてもよい。これにより、再充電により生じる感電の可能性を確実に回避できる。
【0047】
図6は、放電回路200の一例である放電回路201を示す回路図である。放電回路201は、スイッチング素子270としてトライアック271を備える。トライアック271は、衝撃センサ280の出力電圧の極性に拠らず、ゲートにかかる電圧が閾値電圧を越えた場合に導通する。これにより、ノードX、Yの間は放電抵抗290およびトライアック271を介して短絡され、メインキャパシタ138に蓄積された電荷が放電される。
【0048】
導通したトライアック271は、自身を流れる電流が保持電流よりも低くなるまで導通し続ける。従って、放電抵抗290の抵抗値を小さく設定することにより、衝撃センサ280の生じる衝撃検知信号が衝撃発生後に途絶えたとしても、メインキャパシタ138が十分に放電するまで導通状態を維持する。これにより、破損した可動筐体130から露出したメインキャパシタ138に接触した場合に、危険な放電は生じない。
【0049】
図7は、放電回路200の他の例である放電回路202を示す回路図である。放電回路202は、スイッチング素子270としてサイリスタ272を備える。サイリスタ272は、ゲートに掛かる正電圧が閾値電圧を越えた場合に導通する。そこで、衝撃センサ280に生じた電位差が、サイリスタ272のゲートに正電圧として作用するように、整流器274およびキャパシタ273を用いた電圧値クランプ回路を備える。
【0050】
これにより、衝撃センサ280が所与の閾値電圧を越える電圧を有する衝撃検知信号を発生した場合に、サイリスタ272のアノードおよびカソードの間が導通する。従って、ノードX、Yの間は放電抵抗290およびサイリスタ272を介して短絡される。これにより、メインキャパシタ138に蓄積された電荷は放電される。
【0051】
また、サイリスタ272は、電流がなくなるまでアノードおよびカソードの間の導通を維持する。従って、衝撃センサ280の生じる衝撃検知信号が、衝撃発生後に途絶えたとしても、メインキャパシタ138が十分に放電するまでサイリスタ272導通状態を維持する。これにより、破損した可動筐体130から露出したメインキャパシタ138に接触した場合に、危険な放電は生じない。
【0052】
図8は、放電回路200のまた他の例である放電回路203を示す回路図である。放電回路203は、スイッチング素子270としてFET275を備える。FET275は、ゲートに掛かる正電圧が閾値電圧を越えた場合に導通する。そこで、衝撃センサ280に生じた電位差が、FET275のゲートに正電圧として作用するように、整流器274およびキャパシタ273を用いたクランプ回路を設けた。
【0053】
これにより、衝撃センサ280が所与の閾値電圧を越える電圧を有する衝撃検知信号を発生した場合に、ノードX、Yの間は放電抵抗290およびサイリスタ272を介して短絡され、メインキャパシタ138に蓄積された電荷は放電される。
【0054】
また、クランプ回路がゲート電圧を維持するので、衝撃センサ280の生じる衝撃検知信号が、衝撃発生後に途絶えたとしても、メインキャパシタ138が十分に放電するまでFET275は導通状態を維持する。これにより、破損した可動筐体130から露出したメインキャパシタ138に接触した場合に、危険な放電は生じない。
【0055】
図9は、放電回路200の更に他の例である放電回路204を示す回路図である。放電回路204は、スイッチング素子270としてサイリスタ272を備える。サイリスタ272は、ゲートに掛かる正電圧が閾値電圧を越えた場合に導通するので、衝撃センサ280の出力電圧を入力電圧VINに受けるリセットIC277の出力電圧VOUTをサイリスタ272のゲートに結合した。
【0056】
リセットIC277は、入力電圧VINを監視して、入力電圧VINが所与の閾値電圧を越えるまで、出力電圧VOUTをローに保つ。入力電圧VINが閾値電圧を越えて上昇するとリセット信号を発生する。リセット信号を出力電圧VOUTとしてサイリスタ272のゲートに印加することにより、サイリスタ272のアノードおよびカソードの間を導通させる。
【0057】
こうして、衝撃センサ280が所与の閾値電圧を越える電圧を有する衝撃検知信号を発生した場合に、ノードX、Yの間は放電抵抗290およびサイリスタ272を介して短絡され、メインキャパシタ138に蓄積された電荷は放電される。従って、破損した可動筐体130から露出したメインキャパシタ138に接触した場合に、危険な放電は生じない。
【0058】
また、既に説明した通り、サイリスタ272は、電流がなくなるまでアノードおよびカソードの間の導通を維持する。従って、衝撃センサ280の生じる衝撃検知信号が、衝撃発生後に途絶えたとしても、メインキャパシタ138が十分に放電するまでサイリスタ272導通状態を維持する。これにより、破損した可動筐体130から露出したメインキャパシタ138に接触した場合に、危険な放電は生じない。
【0059】
更に、この放電回路204は、リセットIC277の入力電圧VINに接続したツェナーダイオード278を備える。ツェナーダイオード278は、印加された電圧がツェナー電圧に等しくなるように電流が流れるので、リセットIC277の入力端子VINの電圧を安定化させて、リセットIC277を過電圧から保護することができる。これにより、ノイズ耐性が高く、動作の安定した放電回路204が形成される。
【0060】
図10は、放電回路200のまた更に他の例である放電回路205の構造を示す回路図である。放電回路205は、スイッチング素子270としてサイリスタ272を備える。サイリスタ272は、ゲートに掛かる正電圧が閾値電圧を越えた場合に導通する。そこで、衝撃センサ280に生じた電位差が、サイリスタ272のゲートに正電圧として作用するように、整流器274、抵抗291、292およびキャパシタ273を用いた電圧値クランプ回路と、オペアンプ279とを備える。
【0061】
衝撃センサ280が衝撃検知信号を発生した場合、オペアンプ279は、その利得に応じて増幅した衝撃検知信号を出力してサイリスタ272のゲートに印加する。これによりサイリスタ272のアノードおよびカソードが導通すると、ノードX、Yの間は放電抵抗290およびサイリスタ272を介して短絡される。従って、メインキャパシタ138に蓄積された電荷は放電される。
【0062】
ここで、放電回路205は、メインキャパシタ138に蓄積された電荷からオペアンプ279の駆動電圧を生成する定電圧生成部301を有する。更に、定電圧生成部301は、起動部302を含む。
【0063】
定電圧生成部301は、npnトランジスタ371、373、pnpトランジスタ372およびツェナーダイオード278を含む。ツェナーダイオード278のカソードは、定電圧生成部301の出力に結合される。また、ツェナーダイオード278のアノードおよびカソードは、キャパシタ363を介してノードYに結合される。
【0064】
npnトランジスタ371は、抵抗381、382を介してノードXにコレクタを接続され、ノードYにエミッタを接続される。pnpトランジスタ372は、エミッタをノードXに接続され、抵抗382、384を介してノードYに接続される。もうひとつのnpnトランジスタ373は、キャパシタ361および抵抗385を介してノードXにコレクタを接続され、ノードYにエミッタを接続される。
【0065】
更に、npnトランジスタ371のベースは、抵抗383、384の間に接続される。pnpトランジスタ372のベースは、抵抗381、382の間に接続される。npnトランジスタ373のベースは、ツェナーダイオード278のアノードに接続される。ツェナーダイオード278のカソードは、pnpトランジスタ372のコレクタに接続される。
【0066】
上記のような定電圧生成部301において、キャパシタ361および抵抗386が起動部302を形成する。充電系211が動作してメインキャパシタ138が充電されると、メインキャパシタ138両端のノードX、Yには充電量に応じた電圧が生じる。ノードXの電圧上昇につれて、キャパシタ361および抵抗386の時定数に応じてnpnトランジスタ371のベースに印加される電圧も上昇し、やがて、npnトランジスタ371がオンになる。
【0067】
npnトランジスタ371がオンになると、抵抗381、382の間の電圧が上昇し、やがて、pnpトランジスタ372がオンになる。これにより、抵抗384によりnpnトランジスタ371のベースに印加される電圧も高くなり、npnトランジスタ371およびpnpトランジスタ372がラッチされる。
【0068】
一方、pnpトランジスタ372のコレクタは、抵抗386を介してキャパシタ363を充電する。このキャパシタ363の充電電圧が、定電圧生成部301の出力電圧となる。キャパシタ363による定電圧生成部301の出力電圧は、ツェナーダイオード278のツェナー電圧に依存する。
【0069】
即ち、ツェナーダイオード278のカソード側の電圧がツェナー電圧に達すると、抵抗387に電圧が発生し、npnトランジスタ373がオンになる。これにより、npnトランジスタ373のベース電流がシンクされ、その導通状態が浅くなる。同様に、pnpトランジスタ372の導通状態も浅くなり、キャパシタ363への充電量が低下する。このような一連の動作により、定電圧生成部301の出力電圧が一定に保たれる。
【0070】
なお、定電圧生成部301により駆動されるオペアンプ279に高速性能は求められない。従って、消費電流が小さいことを重視してオペアンプ279を選ぶことにより、メインキャパシタ138の電圧降下は抑制できる。
【0071】
このように、放電回路205においては、オペアンプ279により増幅された衝撃検知信号がサイリスタ272のゲートに印加されるので、サイリスタ272が確実に動作する。また、オペアンプ279の駆動電力は、メインキャパシタ138から発生するので、照明装置100の電源スイッチが切られている場合、あるいは、電池180が抜けた場合であっても、放電回路205は確実に動作する。
【0072】
以上、図6から図10までを参照して説明したように、放電回路201、202、203、204、205は、いずれも、照明装置100の電源スイッチが切られている場合はもとより、電力源である電池180が抜けている場合であっても、可動筐体130が開くような衝撃を受けた場合に、メインキャパシタ138を確実に放電できる。従って、メインキャパシタ138に残存する電荷によりユーザが感電する等の障害を未然に防止できる。
【0073】
なお、上記の例では、放電回路200としての放電回路201、202、203、204、205を独立した副基板に実装して可動筐体130に収容した。しかしながら、放電回路200は、電池180から電力を供給されることなく独立して動作するので、主基板に接続されなくてもよい。そこで、放電回路200を、メインキャパシタ138の近傍に配置し、あるいは、メインキャパシタ138と一体に実装することもできる。
【0074】
図11は、放電回路200を含む放電回路組立体300分解斜視図である。放電回路組立体300は、メインキャパシタ138、および、放電回路200を実装された副基板183を一体的に備える。
【0075】
メインキャパシタ138は、円筒形のケース310の一方の端面に一対のキャパシタ電極311を有する。キャパシタ電極311の上端面には、ネジ穴312が形成される。
【0076】
副基板183は円形であり、メインキャパシタ138のケース310の外径よりも小さな外径を有する。また、副基板183は、スイッチング素子270、衝撃センサ280および放電抵抗290等を実装され、放電回路200を形成する。更に、メインキャパシタ138のキャパシタ電極311に対する接続部材として、一対の基板電極313を有する。
【0077】
基板電極313は、キャパシタ電極311と同じ間隔で配され、それぞれ、副基板183を厚さ方向に貫通する。また、基板電極313は、副基板183の厚さ方向に貫通した貫通ネジ穴314を有する。
【0078】
放電回路組立体300は、副基板183およびそれに実装された放電回路200を覆うキャップ317を有する。キャップ317は、メインキャパシタ138と略同じ外径を有し、副基板183と略同じ内径を有する。また、キャップ317は、天面から垂下して形成された一対の押圧部315を有する。押圧部315も、基板電極313と同じ径の貫通ネジ穴316を有する。
【0079】
上記のような部材は、以下のように組み立てられる。まず、キャパシタ電極311と基板電極313との位置が一致するように位置合わせして、放電回路200が実装された副基板183をメインキャパシタ138の上に載せる。続いて、基板電極313と押圧部315との位置が一致するように位置合わせして、副基板183を覆うように、キャップ317をメインキャパシタ138の上に重ねる。
【0080】
更に、押圧部315の貫通ネジ穴316と、基板電極313の貫通ネジ穴314とに挿通したビス318を、キャパシタ電極311のネジ穴312に螺入することにより、メインキャパシタ138、副基板183およびキャップ317を一体化する。このとき、基板電極313は、押圧部315により、キャパシタ電極311に強く押しつけられる。従って、基板電極313およびキャパシタ電極311は、良好に導通する。
【0081】
こうして組み立てられた放電回路組立体300は、メインキャパシタ138よりも僅かに長いが、メインキャパシタ138単体と略同じ形状を有する。従って、放電回路200を備えていない照明装置100に、放電回路200を容易に付加できる。
【0082】
閃光光源を有する照明装置100を例に挙げて説明したが、放電回路200の用途は照明装置100に限られるものではない。例えば、2次電池、スーパーキャパシタ等のように電気エネルギを高密度に蓄積する蓄積部を備えた携帯機器等において広く使用できる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。また、上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。更に、変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】照明装置100の外観を示す斜視図である。
【図2】照明装置100を他の視点から見た様子を示す斜視図である。
【図3】照明装置100の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図4】照明装置100の電気的構造を示す回路図である。
【図5】図4に示す回路の動作を示す流れ図である。
【図6】放電回路201の一例を示す回路図である。
【図7】放電回路202の他の例を示す回路図である。
【図8】放電回路203のまた他の例を示す回路図である。
【図9】放電回路204の更に他の例を示す回路図である。
【図10】放電回路205のまた更に他の例を示す回路図である。
【図11】放電回路200の他の実装構造を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
100 照明装置、110 固定筐体、111 補助光光源、112 電池室、113 リモート用レディライト、114 液晶表示パネル、115 共通カバー、116 レディライト、118 ボタン、119 ダイアル、120 取り付け部、122 取り付け脚、124 連動接点、130 可動筐体、132 水平回動部、134 垂直回動部、136 ロック解除ボタン、138 メインキャパシタ、139 隔壁、140 閃光発生部、141 広角拡散板、142 放電管、143 キャッチライト反射板、144 反射板、146 拡散レンズ、160 表示部、170 操作部、180 電池、182 主基板、183 副基板、200、201、202、203、204、205 放電回路、210 主制御回路、211 充電系、212 駆動系、220 昇圧回路、222、264 整流器、230 電圧検出回路、240 トリガ回路、242 トリガ端子、250 倍電圧回路、260 IGBT制御回路、262 IGBT素子、270 スイッチング素子、271 トライアック、272 サイリスタ、273、361、363 キャパシタ、274 整流器、275 FET、277 リセットIC、278 ツェナーダイオード、279 オペアンプ、280 衝撃センサ、290 放電抵抗、291、292、381、382、383、384、385、386、387 抵抗、300 放電回路組立体、301 定電圧生成部、302 起動部、310 ケース、311 キャパシタ電極、312 ネジ穴、313 基板電極、314、316 貫通ネジ穴、315 押圧部、317 キャップ、318 ビス、371、373 npnトランジスタ、372 pnpトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給された電荷を一対の電極の間に蓄積し、且つ、放電により負荷に電力を供給する蓄電部と、
所与の閾値を越える衝撃を受けた場合に、前記電源から電力を供給されることなく電気信号を発生する衝撃検知部と、
前記電気信号を受けた場合に、前記電源から電力を供給されることなく前記一対の電極を短絡させる放電部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記衝撃検知部は、相互に交差する3方向について感度を有し、いずれの方向から受けた衝撃に対しても前記電気信号を発生することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記衝撃検知部は、加圧された場合に電圧を生じる圧電素子を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記放電部は、前記一対の電極を短絡させた場合に、前記蓄電部が放電し切るまで短絡させた状態を持続することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記放電部は、前記蓄電部に対して並列に前記一対の電極に結合され、制御端子に前記電気信号を受けた場合に前記一対の電極を短絡させるサイリスタまたはトライアックを含むことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記放電部は、前記蓄電部に蓄積された電力により駆動されるクランプ回路を含み、前記クランプ回路は、前記蓄電部から電力を供給されて前記一対の電極の間の短絡を維持することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電気信号を受けた場合に、前記蓄電部に充電する電力の供給を遮断する遮断部を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記衝撃検知部は、前記蓄電部に蓄積された電力により駆動され、前記電気信号を増幅する増幅部を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れかに記載の電子機器を有し、
前記負荷は閃光光源であり、
前記蓄電部からの放電により前記閃光光源を発光することを特徴とする閃光発生装置。
【請求項10】
電源から供給された電荷を一対の電極の間に蓄積し、且つ、放電により負荷に電力を供給する蓄電部を放電させる放電方法であって、
所与の閾値を越える衝撃を受けた場合に、前記電源から電力を供給されることなく電気信号を発生する電気信号発生段階と、
前記電気信号を受けた場合に、前記電源から電力を供給されることなく前記一対の電極を短絡させる放電段階と
を備えることを特徴とする放電方法。
【請求項11】
前記放電段階は、前記蓄電部が放電し切るまで前記短絡を維持することを特徴とする請求項10に記載の放電方法。
【請求項12】
前記電気信号発生段階は、
前記蓄電部に蓄積された電力により駆動され、前記電気信号を増幅する増幅段階を更に含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の放電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−164838(P2010−164838A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7935(P2009−7935)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】